(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
電極活物質および重合体
本発明の電極活物質は、前記式(1)で表される構造を有する重合体(以下「重合体(1)」ともいう。)からなる電極活物質または前記式(2)で表される構造を有する電極活物質である。
このような電極活物質によれば、サイクル特性および安全性に優れる電池が得られ、さらに、重金属を含まないため、環境への負荷が小さく、コストの安い電池が得られる。
本発明の電極活物質は、電解液中に溶解し難いため、これを用いることで、サイクル特性に優れる電池が得られると考えられる。
【0015】
なお、前記式(1)で表される構造において、複数存在し得るX、ならびに、前記式(2)で表される構造において、複数存在するR、Xおよびnは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0016】
前記Rにおける有機基としては、炭化水素基、該炭化水素基と、−O−、−CO−、−COO−、および−S−から選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせてなる2価の基、ならびに、これらの基の少なくとも1つの水素原子をハロ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基等で置き換えた基などが挙げられる。
前記炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0017】
前記Rにおける有機基としては、サイクル特性に優れる電池を得ることができる等の点から、−CO−R
1−CO−または−R
2−(但し、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、置換または非置換の炭化水素基を示す。)が好ましい。
【0018】
前記Rにおける有機基としては、放電電位が高い電池を得ることができる等の点から、Rが結合する酸素原子と共に、1,4−ベンゾキノン構造に対する電子吸引基となる基が好ましく、特に−CO−R
1−CO−が好ましい。
【0019】
前記R
1およびR
2における炭化水素基としては、前記Rにおける炭化水素基として例示した基と同様の基などが挙げられ、放電容量の高い電池が得られる等の点から、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基である。
これらの中でも、放電容量およびサイクル特性にバランス良く優れる電池を得ることができる等の点から、炭素数1〜10の直鎖状炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基がより好ましい。
なお、前記R
1およびR
2における炭化水素基が、フェニレン基である場合、2つの結合手がオルト位またはメタ位にあると、放電容量およびサイクル特性にバランス良く優れる電池を得ることができる傾向にある。
【0020】
前記R
1およびR
2における置換基としては、ハロ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基などが挙げられる。
【0021】
また、前記Xにおける有機基としては、アルコキシ基などが挙げられる。
本発明におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。
本発明において、nは0であることが好ましい。即ち、前記式(1)において1,4−ベンゾキノン構造は、Xで表される置換基を有さないことが好ましい。
【0022】
本発明において、前記式(1)で表される構造は、放電電位が高い電池を得ることができる等の点から、下記式(1−1)で表される構造であることが好ましい。
【0023】
【化3】
〔式(1−1)において、Rは式(1)におけるRと同義である。〕
【0024】
本発明の電極活物質は、前記重合体(1)からなれば特に限定されるものではないが、充放電容量等の点から、前記式(2)で表される構造を有する重合体(以下「重合体(2)」ともいう。)からなることが好ましく、下記式(2−1)で表される構造を有する重合体からなることが特に好ましい。
【0025】
【化4】
〔式(2−1)において、Rは独立に、式(1)におけるRと同義であり、mは式(2)におけるmと同義である。〕
【0026】
前記重合体(1)および(2)は、公知のエステル化反応またはエーテル化反応により製造することができ、例えば、下記式(3)で表されるジヒドロキシベンゾキノンと、炭化水素のジハロゲン化物や二塩基酸のジハロゲン化物等のジハロゲン化物とを反応させることにより製造することができる。
前記ジヒドロキシベンゾキノンおよびジハロゲン化物はそれぞれ、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
【化5】
〔式(3)において、Xおよびnはそれぞれ独立に、式(1)におけるXおよびnと同義である。〕
【0028】
前記式(3)で表されるジヒドロキシベンゾキノンとしては、例えば、下記式(3−1)〜(3−5)で表される化合物が挙げられるが、中でも、下記式(3−1)で表される化合物が好ましい。
【0030】
また、前記炭化水素のジハロゲン化物としては、例えば、Cl−R
2−Cl、Br−R
2−Br(但し、R
2は前記式(1)中のRが取り得るR
2と同義である。)が挙げられる。また、前記二塩基酸のジハロゲン化物としては、例えば、Cl−CO−R
1−CO−Cl、Br−CO−R
1−CO−Br(但し、R
1は、前記式(1)中のRが取り得るR
1と同義である。)が挙げられる。
【0031】
前記重合体(1)および(2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜100,000である。
分子量がこの範囲にあることで、電池作動中に電解液中に溶解し難い電極活物質を得ることができ、サイクル特性に優れる電池が得られる。
【0032】
電極
本発明の電極は、本発明の電極活物質を含有するものであり、集電体上に本発明の電極活物質およびバインダー等を含有する活物質層が形成されてなるものであることが好ましい。前記活物質層は、通常、電極活物質およびバインダー等を含有するスラリーを調製し、これを集電体上に塗布し、乾燥させることにより製造することができる。
本発明の電極は、本発明の電極活物質を正極活物質として用い、正極とすることが好ましい。
【0033】
本発明の電極における本発明の電極活物質の含有量は、特に制限されないが、得られる活物質層100質量部に対し、好ましくは10〜90質量部、より好ましくは50〜75質量部である。
なお、本発明の電極に含まれる本発明の電極活物質は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
前記集電体の材質としては、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルなどが挙げられるが、本発明の電極が正極である場合、アルミニウム、ステンレス等が好ましい。
【0035】
前記バインダーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等のゴム系バインダー;ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレンの他、特開2009−246137号公報に開示されているフッ素変性(メタ)アクリル系バインダーを挙げることができる。
前記バインダーは、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
本発明の電極における前記バインダーの含有量は、特に制限されないが、得られる活物質層100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
【0037】
前記活物質層には、本発明の効果を損なわない範囲で、更にカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック等)、黒鉛、気相成長炭素繊維(VGCF)、高表面積活性炭(MAXSORB)、金属粉末等の導電剤;カルボキシルメチルセルロース、そのNa塩またはアンモニウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチおよびカゼイン等の増粘剤などの任意成分が含有されていてもよい。
前記任意成分はそれぞれ、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
電池
本発明の電池は、本発明の電極を正極として備えてなるものである。本発明の電池は、本発明の電極からなる正極の他、少なくとも負極および電解質を備える。
本発明の電極からなる正極の構成および製造方法は、前記「電極」において説明した通りである。
【0039】
前記負極の基本的な構成および製造方法は、活物質の種類を除いて、前記「電極」において説明したものと同様であればよい。
用いられる負極活物質としては、金属リチウム、リチウムをドープした炭素系材料(黒鉛、活性炭等)、リチウム合金などが挙げられる。これらの負極活物質は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
前記電解質は、通常、溶媒中に溶解された電解液の状態で用いられる。前記電解質としては、特に制限されないが、リチウムイオンを生成することのできるものが好ましく、具体的には、LiClO
4、LiAsF
6、LiBF
4、LiPF
6、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(FSO
2)
2などが挙げられる。これらの電解質は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
電解質を溶解させるための溶媒としては、非プロトン性の有機溶媒が好ましく、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、1−フルオロエチレンカーボネート、1−(トリフルオロメチル)エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジグライム、テトラグライム、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
電解質は、前記のように通常は液状に調製されて使用されるが、漏液や活物質の溶出を防止する目的でゲル状または固体状のものを使用してもよい。
【0042】
電解質が電解液の状態で用いられる場合、正極と負極の間には、通常、正極と負極が物理的に接触しないようにするためにセパレータが設けられる。前記セパレータとしては従来公知のものを使用すればよく、例えば、セルロースレーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド等を原料とする不織布または多孔質フィルムの他、紙、ガラスフィルター等が挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0044】
[実施例1]
<前記式(2−1)においてRが−CO−pPh−CO−である重合体の製造>
1000mlの三つ口フラスコに2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン14.0g(0.1mol)、NaOH8.0g(0.2mol)、テトラブチルアンモニウムブロミド6.4g(0.02mol)および純水500mlを仕込み、室温で攪拌し完全に溶解させた。500mlのエーレンマイヤーフラスコに、テレフタル酸クロリド20.3g(0.1mol)およびジクロロメタン200mlを加え溶解させた。その溶液を前記三つ口フラスコに滴下しながら加えた。ただちに反応が起こり、反応溶液に析出物が出現した。1時間反応させた後、デカンテーションで水層を除去し、有機層および固体を1000mlのメタノールに投入し、重合体を固化させた。ろ過により分別した固体を5%NaOH水溶液、5%HCl水溶液、エタノールで順次洗浄し、真空下で乾燥させて17gの茶色固体物質を得た。
【0045】
KBr法によるFT−IR測定の結果、得られた固体物質は、3064cm
-1と1408cm
-1にベンゼン環由来のピーク、896cm
-1にパラ置換のベンゼン環由来のピーク、1790cm
-1と1726cm
-1にエステル結合由来のピーク、1672cm
-1にベンゾキノン由来のピークを有しており、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンとテレフタル酸とのポリエステル(前記式(2−1)においてRが−CO−pPh−CO−である重合体(なお、「Ph」はベンゼン環を示す。以下同様。))であることを確認した。得られた固体物質を「重合体1」とする。
【0046】
<電池の作製および評価>
ポリエチレンカップに活物質として前記重合体1を7.0g、N−メチルピロリドンを25g、導電剤としてアセチレンブラックを2.5g、ポリフッ化ビニリデンの5質量%N−メチルピロリドン溶液を10g仕込み、撹拌することで黒色のスラリーを得た。得られたスラリーを住軽アルミ箔(株)製アルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレード(ギャップ100μm)を用いて塗布した。その後、100℃のホットプレートで20分予備乾燥し、更に真空乾燥機中で100℃、3時間乾燥し電極シートを得た。得られた電極シートを円形にカットし、電池の正極として用いた。得られた正極、ニッポン高度紙工業(株)製TF45−35(セパレータ)およびリチウム箔(負極)をこの順で重ね合わせ、東洋システム(株)製セルに配置した。得られたセル中に、LiPF
6の1Mエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=30/70(体積比)溶液(電解液)を加え、電池を作製した。
【0047】
作製した電池を用い、充放電試験機として東洋システム(株)製TOSCAT−3100を用い、室温下、0.1Cの電流値で4サイクルの充放電試験を行った。4サイクルの中で最大の放電容量、および、サイクル特性(1サイクル目の放電容量に対する4サイクル目の放電容量の割合)を表1に示す。
【0048】
[実施例2]
テレフタル酸クロリドの代わりにイソフタル酸クロリド20.3g(0.1mol)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で重合体を合成した。その結果、22gの固体物質を得た。
【0049】
KBr法によるFT−IR測定の結果、得られた固体物質は、3063cm
-1と1436cm
-1にベンゼン環由来のピーク、715cm
-1にメタ置換のベンゼン環由来のピーク、1753cm
-1にエステル結合由来のピーク、1676cm
-1にベンゾキノン由来のピークを有しており、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンとイソフタル酸とのポリエステル(前記式(2−1)においてRが−CO−mPh−CO−である重合体)であることを確認した。得られた固体物質を「重合体2」とする。
【0050】
正極活物質として重合体1の代わりに7.0gの重合体2を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で電池の作製および評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0051】
[実施例3]
テレフタル酸クロリドの代わりにコハク酸クロリド15.5g(0.1mol)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で重合体を合成した。その結果、17.5gの固体物質を得た。
【0052】
KBr法によるFT−IR測定の結果、得られた固体物質は、2946cm
-1と920cm
-1にメチレン鎖由来のピーク、1767cm
-1にエステル結合由来のピーク、1680cm
-1にベンゾキノン由来のピークを有することを確認した。
1H−NMR測定(溶媒:重DMSO(重ジメチルスルホキシド))の結果、2.90ppm〔4H〕,6.57ppm〔2H〕にピークを確認した。
また、
13C−NMR測定(溶媒:重DMSO)の結果、28.8ppm,110.4ppm,141.2ppm,174.7ppmにピークを確認した。
これらの結果から、得られた固体物質が、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンとコハク酸とのポリエステル(前記式(2−1)においてRが−CO−C
2H
4−CO−である重合体)であることを確認した。得られた固体物質を「重合体3」とする。
【0053】
正極活物質として重合体1の代わりに7.5gの重合体3を使用し、ポリフッ化ビニリデンの5質量%N−メチルピロリドン溶液を使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で電池の作製および評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0054】
[実施例4]
テレフタル酸クロリドの代わりにアジピン酸クロリド18.3g(0.1mol)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で重合体を合成した。その結果、18.1gの固体物質を得た。
【0055】
KBr法によるFT−IR測定の結果、得られた固体物質は、2953cm
-1と921.6cm
-1にメチレン鎖由来のピーク、1770cm
-1にエステル結合由来のピーク、1678cm
-1にベンゾキノン由来のピークを有することを確認した。
1H−NMR測定(溶媒:重DMSO)の結果、1.5〜1.7ppm〔4H〕,2.60ppm〔4H〕,6.55ppm〔2H〕にピークを確認した。
また、
13C−NMR測定(溶媒:重DMSO)の結果、24.2ppm,33.5ppm,111.4ppm,141.2ppm,174.7ppmにピークを確認した。
これらの結果から、得られた固体物質が、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンとアジピン酸とのポリエステル(前記式(2−1)においてRが−CO−(CH
2)
4−CO−である重合体)であることを確認した。得られた固体物質を「重合体4」とする。
【0056】
正極活物質として重合体1の代わりに7.5gの重合体4を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で電池の作製および評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0057】
[実施例5]
テレフタル酸クロリドの代わりにスベロイルクロリド21.1g(0.1mol)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で重合体を合成した。その結果、19.1gの固体物質を得た。
【0058】
KBr法によるFT−IR測定の結果、得られた固体物質は、2936cm
-1と917cm
-1にメチレン鎖由来のピーク、1771cm
-1にエステル結合由来のピーク、1679cm
-1にベンゾキノン由来のピークを有することを確認した。
1H−NMR測定(溶媒:重DMSO)の結果、1.5〜1.7ppm〔4H〕,2.60ppm〔4H〕,6.55ppm〔2H〕にピークを確認した。
また、
13C−NMR測定(溶媒:重DMSO)の結果、24.5ppm,28.4ppm,33.8ppm,111.3ppm,141.2ppm,174.8ppmにピークを確認した。
これらの結果から、得られた固体物質が、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンとスベリン酸とのポリエステル(前記式(2−1)においてRが−CO−(CH
2)
6−CO−である重合体)であることを確認した。得られた固体物質を「重合体5」とする。
【0059】
正極活物質として重合体3の代わりに7.5gの重合体5を使用したこと以外は実施例3と同様の方法で電池の作製および評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0060】
[実施例6]
500mlの三つ口フラスコに2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン14.0g(0.1mol)、K
2CO
328.0g(0.2mol)、p−キシリレンブロマイド26.3g(0.1mol)およびジメチルアセトアミド200mlを仕込み、攪拌し溶解させた。得られたフラスコを50℃まで加温したところ、次第に反応溶液に析出物が出現した。2時間反応させた後、有機層および固体を1000mlのメタノールに投入し、重合体を固化させた。ろ過により分別した固体をエタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて16gの茶色固体物質を得た。
【0061】
KBr法によるFT−IR測定の結果、得られた固体物質は、3065cm
-1と1420cm
-1にベンゼン環由来のピーク、805cm
-1にパラ置換のベンゼン環由来のピーク、1178cm
-1にエーテル結合由来のピーク、1652cm
-1にベンゾキノン由来のピークを有しており、1,4−ベンゾキノンとp−キシレンとのポリエーテル(前記式(2−1)においてRが−CH
2−pPh−CH
2−である重合体)であることを確認した。得られた固体物質を「重合体6」とする。
【0062】
正極活物質として重合体1の代わりに7.0gの重合体6を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で電池の作製および評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
正極活物質として重合体1の代わりに7.0gの2,5−ジメトシ−1,4−ベンゾキノンを使用したこと以外は実施例1と同様の方法で電池の作製および評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0064】
【表1】