(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020138
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】テーパートレーの成形方法
(51)【国際特許分類】
B31B 1/62 20060101AFI20161020BHJP
B31B 3/30 20060101ALI20161020BHJP
B31B 3/60 20060101ALI20161020BHJP
B65D 5/28 20060101ALI20161020BHJP
B31B 43/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
B31B1/62 301
B31B3/30
B31B3/60
B65D5/28
B31B43/00 301
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-278193(P2012-278193)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-121813(P2014-121813A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大野 行雄
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−334936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 1/00−49/04
B65D 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、該底部の対向する端部に延設された1対の第一側面部と、該第一側面部の左右に延設された貼着板と、前記底部の前記第一側面部が延設されていない対向する端部に延設された1対の第二側面部とからなるブランクを、成形してなるテーパートレーの成形方法であって、
前記貼着板に糊付けされた前記ブランクを、下方より四角垂台形状の雄型で押し上げ、成形タワーに押し込み、前記第一側面部、前記貼着板、前記第二側面部を順次折り込む時、前記雄型の表面に設けられた脱気孔より、前記底部を吸引固定し、それぞれの折り込みに合わせて、脱気孔より吸引固定することを特徴とするテーパートレーの成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパートレーの成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙を主とする素材からなり、底部より上に広がって側面部が形成されたテーパートレーは、使用前に積み重ねて場所をとらずに保管できることや、耐熱性や断熱性、あるいは、廃棄の容易さなどから、ファーストフードなどの容器に使用されたり、小売店での少量の食品などの販売にも多く用いられたりしている。
【0003】
このような、テーパートレーには、例えば、底部の周縁各辺に側面部を連設し、隣接する側面部同士を繋ぎ合わせ、対向する側面部と底部の境をなす罫線を円弧状に湾曲させた紙製トレーがある(特許文献1)。
【0004】
このようなテーパートレーの成形方法は、
図4のように、成形部に搬送された糊付けされたブランク101を、テーパートレー100の形状に合わせた雄型201で持ち上げ、上方に設けられた成形タワー300に押し込んで成形する。
【0005】
すなわち、
図4(A)のように、底部1と、底部1の対向する端部に延設された1対の第一側面部2、2と、第一側面部2、2の左右に延設された貼着板3、3、3、3と、底部1の第一側面部2、2が延設されていない対向する端部に延設された1対の第二側面部4、4とからなり、貼着板3、3、3、3に糊5が糊付けされたブランク101が、下方に雄型201が備えられた成形部に搬送されてくる。
【0006】
次に、
図4(B)のように、雄型201が上昇して、ブランク101を上方に備えられた成形タワー300に押し込んでいく。成形タワー300には、棒状あるいは板状などの第一ガイド部材31、31、31、31と第二ガイド部材32、32、32、32が設けられている。また、各ガイド部材の平面方向の位置は、テーパートレー100の側面部の上端の位置に合わせてあり、下端部は外側に開いている。
【0007】
複数のガイド部材は、その接する側面板を折る順番に、その下端の上下位置がずれていて、先に折る側面板から順に下から上に位置するようになっていて、
図4(C)のように、まず、先に折る第一側面部2、2が、第一ガイド部材31、31、31、31により折られて、雄型201に密着するようになる。このとき貼着板3、3、3、3は、上昇時に図示しない折込補助具などにより内方に折れるようにしておく。
【0008】
更に、雄型201を上昇させて行くと、残りの第二側面部4、4も第二ガイド部材32、32、32、32により折られて、雄型201に密着するようになり、貼着板3、3、3、3もその第二側面部4、4に貼着されて、
図4(D)のように、テーパートレー100が成形される。成形されたテーパートレー100は、糊5が固化するまで成形タワー300にスタックされ、その後、成形タワー300の開放されている上方から取り出される。
【0009】
このように、テーパートレー100は成形されるが、この方法では、ブランク101が雄型201上で固定されていないので、正規の位置からずれることがある。また、紙の反発により、貼着板3、3、3、3が折れずに、また、折ったのが戻ったりして、貼りずれが起こったりする。
【0010】
このことから成形不良が生じたり、ブランク101や成形されたテーパートレー100などが引っかかり詰まったりするなどといった問題があった。また、このような問題を回避するため、成形のスピードを落とさざるを得ず、生産性が低下するといった問題もあった。
【0011】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−247122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、成形不良や、成形物などが引っかかって詰まることがなく、またそれを防ぐために成形のスピードを落とす必要がなく、生産性の低下のないテーパートレーの成形方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、底部と、該底部の対向する端部に延設された1対の第一側面部と、該第一側面部の左右に延設された貼着板と、前記底部の前記第一側面部が延設されていない対向する端部に延設された1対の第二側面部とからなるブランクを、成形してなるテーパートレーの成形方法であって、
前記貼着板に糊付けされた前記ブランクを、下方より四角垂台形状の雄型で押し上げ、成形タワーに押し込み、前記第一側面部、前記貼着板、前記第二側面部を順次折り込む時、前記雄型の表面に設けられた脱気孔より、前記底部を吸引固定し、それぞれの折り込みに合わせて、脱気孔より吸引固定することを特徴とするテーパートレーの成形方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のテーパートレーの成形方法によれば、成形不良や、ブランクや成形されたテーパートレーが引っかかって詰まることがなく、また、これらを防ぐために成形のスピードを落としたりする必要がなく、そのため生産性が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のテーパートレーの成形方法の一例を説明する模式的な斜視図である。
【
図2】本発明のテーパートレーの成形方法の一例に用いる雄型の真空ラインを説明する模式的な図である。
【
図3】本発明のテーパートレーの成形方法の一例による成形を説明する模式的な斜視図である。
【
図4】従来のテーパートレーの成形方法の一例による成形を説明する模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明のテーパートレーの成形方法の一例を説明する模式的な斜視図、
図2は、本発明のテーパートレーの成形方法の一例に用いる雄型の真空ラインを説明する模式的な図、
図3は、本発明のテーパートレーの成形方法の一例による成形を説明する模式的な斜視図である。
【0018】
本例のテーパートレーの成形方法のテーパートレー100は、
図1のように、底部1と、底部1の対向する端部に延設された1対の第一側面部2、2と、第一側面部2、2の左右に延設された貼着板3、3、3、3と、底部1の第一側面部2,2が延設されていない対向する端部に延設された1対の第二側面部4、4とからなるブランク101から成形される。また、ブランク101の貼着板3、3、3、3は糊付け部で糊5が付けられている。
【0019】
成形は、ブランク101を雄型200で成形タワー300の中に押し込むことによって、行われる。雄型200は、四角垂台形状をしていて、これは、成形されたテーパートレー100の内面形状に合わせて作成されている。また、雄型200の表面には、無数の真空孔20が開けられている。
【0020】
そして、雄型200の表面に設けられた真空孔20は、それぞれ、真空ラインに接続されているが、
図2の真空ラインを説明する模式図のように、ブランク101の底部1に当たる面の真空孔20に第一真空ライン21を、第一側面部2、2に当たる面の真空孔20に第二真空ライン22を、貼着板3、3に当たる面の真空孔20に第三真空ライン23を、貼着板3、3、3、3に当たる面を除いた第二側面部4、4に当たる面の真空孔20に第四真空ライン24を接続させ、それぞれ独立して、真空引きができるようになっている。図の背面側も同様であるが
図2では省略する。
【0021】
また、それぞれの真空ライン21、22、23、24は、それぞれバルブを介して、メイン真空ライン25に接続されていて、図の矢印の先に、真空タンクと真空ポンプが接続されていて、メイン真空ライン25は常に減圧されている。
【0022】
図3は、テーパートレー100をブランク101から成形する方法を説明する模式的な斜視図である。成形タワー300は、板状の第一ガイド部材31、31、31、31と第二ガイド部材32、32、32、32から構成されている。それぞれのガイド部材は、下端が外側に折れ曲がっていて、ブランク101が上昇してきたときに、それぞれの側面部をゆっくりと折り曲げるようになっている。
【0023】
また、第一ガイド部材31、31、31、31と第二ガイド部材32、32、32、32は、上下方向の位置がずれて設けられていて、第一側面部2、2と第二側面部4、4が順に折られるようになっている。
【0024】
図3(A)のように、糊付けされたブランク101が所定の位置に搬送されてくると、雄型200が上昇し、
図3(B)のように、ブランク101の底部1が雄型200に接触する。このとき、真空ライン21が開通して、ブランク101の底部1が、雄型200に吸引固定される。なお、雄型200が上昇するとき、貼着板3、3、3、3は、図示しない折込補助具で下に折られる。
【0025】
そして、更に、雄型200が上昇して、成形タワー300の板状の第一ガイド部材31、31、31、31により、貼着板3、3、3、3が延設された第一側面部2、2が、
図3(C)のように、折り曲げられると、同時に第二真空ライン22が開通して、第一側面部2、2が雄型200に吸引固定される。
【0026】
次に、第三真空ライン23を開通して、貼着板3、3、3、3を雄型200に吸引固定させるようにする。このとき、別の機構により、貼着板3、3、3、3を雄型200に密着するように折るようにしても良い。
【0027】
更に、雄型200が上昇すると、
図3(D)のように、成形タワー300の板状の第二ガイド部材32、32、32、32により、第二側面部4、4が折り曲げられると同時に、第四真空ライン24が開通して、第二側面部4、4が雄型200に吸引固定される。このとき、貼着板3、3、3、3の上に第二側面部4、4が重なり、貼着板3、3、3、3と第二側面部4、4は糊5で接着される。
【0028】
このようにして、テーパートレー100を成形した後、真空ライン21、22、23、24の真空を閉じて、雄型200に吸引固定されていたテーパートレー100が、吸引固定から開放される。そして、テーパートレー100を成形タワー300に残したまま雄型200は下降して元の位置に戻る。
【0029】
次のブランク101が所定の位置に搬送されてくると、雄型200が上昇して、同様にして、次々とテーパートレー100を成形していく。成形されたテーパートレー100は、成形タワー300の中にスタッキングされていき、溜まったテーパートレー100は、必要に応じて、成形タワー300の上端部より取り出される。
【0030】
本発明のブランク101は、板紙、あるいは、板紙の片面または両面に、樹脂層やワックスを設けた基材からなっている。また、貼着板3、3、3、3に糊付けする糊5としては、水性エマルジョン型接着剤や、ホットメルト型接着剤などを使用することが出来る。
【符号の説明】
【0031】
100・・・テーパートレー
101・・・ブランク
1・・・底部
2、2・・・第一側面部
3、3、3、3・・・貼着板
4、4・・・第二側面部
5・・・糊
200、201・・・雄型
20・・・真空孔
21・・・第一真空ライン
22・・・第二真空ライン
23・・・第三真空ライン
24・・・第四真空ライン
300・・・成形タワー
31、31、31、31・・・第一ガイド部材
32、32、32、32・・・第二ガイド部材