【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年7月2日、http://n−link.nissan.co.jp/INTRO/about.html 、http://zeroemission.nissan−carwings.com/aqPortal/content/country/default/jsp/top_post_login.iface
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年7月2日、http://www.nissan−global.com/JP/NEWS/2012/_STORY/120702−01−j.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態に係る車両用情報提供システムSの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の車両用情報提供システムSは、電動機13を駆動源とする複数台の車両Aに搭載される車載装置1、車両Aの所有者が所持する端末装置2、およびデータセンタBが有する車両用情報提供装置3を備える。車載装置1および車両用情報提供装置3、端末装置2および車両用情報提供装置3は、通信路を介して各種情報の送受信を行う。通信路としては、たとえば、携帯電話網、無線LAN網、DSRC(Dedicated Short Range Communications)網および電力線通信網などが挙げられる。また、たとえば、車載装置1および車両用情報提供装置3のそれぞれが、フラッシュメモリ等の着脱式の記憶媒体に各種情報を記録し、記録した各種情報を通信機能を有する端末経由で送受信する構成としてもよい。
【0009】
車載装置1は、アクセル開度検出部4、位置検出部5、スイッチ状態検出部6、気温検出部7、高度検出部8、車速検出部9、エアコン使用量検出部10、電池残量検出部11および運転者検出部12を備える。
【0010】
アクセル開度検出部4は、自車両Aのアクセル開度を検出する。そして、アクセル開度検出部4は、検出結果の情報を後述する車両制御部15に出力する。位置検出部5は、GPS(Globa lPositioning System)衛星が送信したGPS信号に基づいて自車両Aの現在位置(たとえば、緯度経度)を検出する。そして、位置検出部5は、検出結果の情報を後述するナビゲーション装置18に出力する。
【0011】
スイッチ状態検出部6は、自車両Aのイグニッションスイッチのスイッチ状態を検出する。イグニッションスイッチのスイッチ状態としては、たとえば、オン状態、オフ状態がある。そして、スイッチ状態検出部6は、検出結果の情報を後述する走行履歴記録部19に出力する。気温検出部7は、自車両Aの現在位置の気温を検出する。そして、気温検出部7は、検出結果の情報を後述する走行履歴記録部19に出力する。
【0012】
高度検出部8は、自車両Aの現在位置の高度を検出する。そして、高度検出部8は、検出結果の情報を後述する走行履歴記録部19に出力する。車速検出部9は、自車両Aの車速を検出する。そして、車速検出部9は、検出結果の情報を後述する走行履歴記録部19に出力する。エアコン使用量検出部10は、自車両Aのエアコン使用量を検出する。エアコン使用量としては、たとえば、エアコンで消費する電力がある。そして、エアコン使用量検出部10は、検出結果の情報を後述する走行履歴記録部19に出力する。
【0013】
電池残量検出部11は、車両Aの電池残量を検出する。電池残量としては、本実施形態では、駆動源である電動機13に電力を供給するための走行用バッテリ14の残量が挙げられる。そして、電池残量検出部11は、検出結果の情報を後述する走行履歴記録部19に出力する。運転者検出部12は、自車両Aの運転者の運転者ID(Identification)を検出する。運転者IDとしては、たとえば、運転者を一意に特定するための番号等がある。そして、運転者検出部12は、検出結果の情報を後述する走行履歴記録部19に出力する。
【0014】
また、車載装置1は、車両制御部15、充放電制御部16、充放電回路部17、ナビゲーション装置18および走行履歴記録部19を備える。
【0015】
車両制御部15は、アクセル開度検出部4が出力した情報(アクセル開度)を取得する。そして、車両制御部15は、取得した情報を走行履歴記録部19に出力する。また、車両制御部15は、取得した情報(アクセル開度)に基づき、アクセル開度に応じた電力を電動機13に供給させる制御指令を充放電制御部16に出力する。
【0016】
充放電制御部16は、車両制御部15からの制御指令に従って、走行用バッテリ14が蓄えている電力を電動機13に供給させる制御指令を充放電回路部17に出力する。また、充放電制御部16は、走行用バッテリ14の充電状態および充電時間を検出する。充電状態としては、たとえば、充電中であるか、非充電中であるかの区別が挙げられる。また、充電時間としては、たとえば、充電を開始してから充電を終了するまでの時間がある。そして、充放電制御部16は、検出結果の情報を走行履歴記録部19に出力する。
【0017】
充放電回路部17は、充放電制御部16からの制御指令に従って、走行用バッテリ14が蓄えている電力を電動機13に供給する。これにより、電動機13は駆動力を発生する。また、充放電回路部17は、充電コネクタ20を介して充電装置21と接続する。このような充電装置21としては、たとえば、車両A外部に設けられた充電施設Cに備えられ、走行用バッテリ14を充電するための電力を供給するための装置が挙げられる。そして、充放電回路部17は、充電コネクタ20に充電装置21が接続されることで、充電装置21から電力が供給され、これにより走行用バッテリ14が充電される。
【0018】
ナビゲーション装置18は、位置検出部5が出力した情報(緯度経度(車両Aの現在位置))を取得する。そして、ナビゲーション装置18は、取得した情報(緯度経度(車両Aの現在位置))に基づき、運転者が設定した出発地点P
Oから目的地点P
Dまでの案内ルートに沿って車両Aを案内する案内情報を運転者に提示する。また、ナビゲーション装置18は、取得した情報および案内ルートを走行履歴記録部19に出力する。
【0019】
走行履歴記録部19は、各種検出部6〜12、車両制御部15、充放電制御部16およびナビゲーション装置18が出力した情報に基づき、走行履歴情報記録処理を実行する。
【0020】
走行履歴情報記録処理では、後述する第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を記録する。そして、走行履歴記録部19は、記録した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を車両用情報提供装置3に送信する。なお、第1走行履歴情報および第2走行履歴情報、ならびに、走行履歴情報記録処理の詳細については後述する。
【0021】
一方、端末装置2は、目的地点等入力部22、ルート演算部23および表示部24を備える。なお、端末装置2としては、たとえば、車両Aの所有者が所持する携帯電話端末、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0022】
目的地点等入力部22は、端末装置2の利用者から出発地点P
O、目的地点P
D、電池残量(たとえば、該利用者が所有する車両Aの電池残量)および運転者ID(たとえば、該利用者を特定する運転者ID)の入力を受け付ける。そして、目的地点等入力部22は、受け付けた出発地点P
O、目的地点P
D、電池残量および運転者IDの情報をルート演算部23に出力する。
【0023】
ルート演算部23は、目的地点等入力部22から出力された情報、具体的には、出発地点P
Oおよび目的地点P
Dの情報に基づき、ルート提供処理を実行する。ルート提供処理では、ルート演算部23は、提示ルートの検索要求(以下、提示ルート検索要求とも呼ぶ)を車両用情報提供装置3に送信する。続いて、ルート演算部23は、提示ルート、該提示ルートを走行する際に消費する消費電力および該提示ルートを走行する際に経由する充電施設Cの位置(以下、充電経由地とも呼ぶ)の情報を車両用情報提供装置3から受信する。また、ルート演算部23は、車両用情報提供装置3から該情報を受信すると、受信した情報を表示させる制御信号を表示部24に出力する。ルート提供処理の詳細については後述する。なお、本実施形態では、端末装置2が、ルート提供処理を実行する例を示しているが、他の構成を採用することもできる。すなわち、たとえば、位置検出部5、ルート演算部23および表示部24を、車両Aに備えられたナビゲーション装置18で実現し、これによりルート提供処理を実行する構成としてもよい。
【0024】
ここで、
図2は、表示部24により表示される表示内容の一例を示す図である。表示部24は、
図2に示すように、ルート演算部23が出力した制御指令に従って、提示ルート、該提示ルートを走行する際に消費する消費電力および該提示ルートを走行する際に経由する充電経由地の情報を表示画面に表示する。これにより、端末装置2の利用者は、車両Aを目的地点まで走行させる際の消費電力や充電経由地を事前に確認できる。
【0025】
図1に戻り、車両用情報提供装置3は、地図情報記憶部25、走行履歴蓄積部26および履歴統計処理部27を備える。
【0026】
地図情報記憶部25は、車両Aが走行する地域の地図情報を記憶している。地図情報としては、たとえば、道路網を表現するノードやリンク、車両Aに備えらえた走行用バッテリ14を充電するための充電施設Cの位置、有料道路や有料道路に付設されている施設位置の情報等が挙げられる。
【0027】
走行履歴蓄積部26は、車載装置1から送信された第1走行履歴情報および第2走行履歴情報に基づいて、履歴情報蓄積処理を実行する。具体的には、履歴情報蓄積処理では、走行履歴蓄積部26は、車載装置1が送信した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を順次受信(取得)する。そして、走行履歴蓄積部26は、受信した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を走行履歴情報として蓄積する。
【0028】
履歴統計処理部27は、端末装置2から送信された提示ルート検索要求、地図情報記憶部25が記憶している地図情報および走行履歴蓄積部26が蓄積している走行履歴情報(第1走行履歴情報、第2走行履歴情報)を参照して、走行履歴統計処理を実行する。
【0029】
走行履歴統計処理では、まず、履歴統計処理部27は、ルート演算部23から送信された提示ルート検索要求に基づき、地図情報記憶部25が記憶している地図情報を参照して、出発地点P
Oから目的地点P
Dまでの計画ルートを探索(取得)する。計画ルートとしては、出発地点P
Oから目的地点P
Dまで到達できるようなルートであればよく、特に限定されないが、たとえば、出発地点P
Oと目的地点P
Dとを最短時間で走行可能な走行ルートが設定される。
【0030】
続いて、走行履歴統計処理においては、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している走行履歴情報(第1走行履歴情報)を参照して、探索(取得)した計画ルートと同一または類似の提示ルートを決定する。なお、このような提示ルートの決定方法については後述する。続いて、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している走行履歴情報(第1走行履歴情報、第2走行履歴情報)を参照して、決定した提示ルートを走行する際に、車両Aが実際に消費した消費電力および提示ルートを走行する際に経由する充電経由地を決定する。そして、履歴統計処理部27は、決定した提示ルート、消費電力および充電経由地の情報を車載装置1に送信(提供)する。これにより、車載装置1は、履歴統計処理部27が出力した情報に基づいて、提示ルート、提示ルートを走行する際に消費した消費電力および提示ルートを走行する際に経由する充電経由地を消費電力の情報を提示する。なお、この際に、提示ルート中に、プライバシーに関連すると判断されるプライバシー地点P
Pが含まれる場合には、このようなプライバシー地点P
Pが特定できないような態様で情報の提示を行う。走行履歴統計処理の詳細については後述する。
【0031】
<走行履歴情報記録処理>
次に、走行履歴記録部19が実行する走行履歴情報記録処理について説明する。走行履歴記録部19は、予め定められた設定時間(たとえば、10ミリ秒)が経過するたびに走行履歴情報記録処理を実行する。
図3は、走行履歴情報記録処理を表すフローチャートである。
【0032】
まず、
図3に示すように、ステップS101では、走行履歴記録部19は、運転者が車両Aの運転を開始したか否かを判定する。具体的には、走行履歴記録部19は、スイッチ状態検出部6が出力した情報(イグニッションスイッチのスイッチ状態)に基づき、イグニッションスイッチがオン状態であるか否かを判定する。そして、走行履歴記録部19は、イグニッションスイッチがオン状態であると判定した場合には(ステップS101=Yes)、運転者が車両Aの運転を開始したと判定し、ステップS102に進む。一方、走行履歴記録部19は、イグニッションスイッチがオフ状態であると判定した場合には(ステップS101=No)、運転者が車両Aの運転を開始していないと判定し、ステップS107に進む。
【0033】
運転者が車両Aの運転を開始したと判定された場合には、ステップS102に進み、ステップS102では、走行履歴記録部19は、車両Aを特定する車両IDの情報、運転者検出部12から出力された運転者IDの情報、気温検出部7から出力された気温の情報および現在の日時の情報を走行時基本情報として記録する。すなわち、本実施形態において、走行時基本情報は、車両IDの情報、運転者IDの情報、気温の情報および現在の日時の情報を含む情報である。
【0034】
続いてステップS103に進み、走行履歴記録部19は、位置検出部5、高度検出部8から出力された緯度経度の情報および高度の情報、ならびに走行ルートの情報(以下、走行位置情報とも呼ぶ)を移動情報として記録する。すなわち、本実施形態において、移動情報は、緯度経度の情報、高度の情報および走行ルートの情報(走行位置情報)を含む。走行ルートとしては、たとえば、ナビゲーション装置18が提示する案内ルートに沿って車両Aが走行するものと考えられるため、ナビゲーション装置18が出力した情報(案内ルート)を採用することができる。
【0035】
続いてステップS104に進み、走行履歴記録部19は、各検出部4,8,9,10から出力された車速の情報、アクセル開度の情報およびエアコン使用量の情報を車両状態情報として記録する。なお、走行履歴記録部19は、ナビゲーション装置18が案内する案内ルートに沿った走行を終えた場合には、案内ルートを走行した際に消費した消費電力の情報(以下、消費電力情報とも呼ぶ)も車両状態情報に含めて記録する。すなわち、本実施形態において、車両状態情報は、車速の情報、アクセル開度の情報、エアコン使用量の情報、および消費電力の情報(消費電力情報)を含む。消費電力の算出方法としては、たとえば、案内ルートの出発地点P
Oを出発したときの電池残量から走行ルートの目的地点P
Dに到達したときの電池残量を減算することにより求めることができる。
【0036】
続いてステップS105に進み、走行履歴記録部19は、走行履歴記録部19が記録している走行時基本情報、移動情報および車両状態情報を含む情報を第1走行履歴情報として車両用情報提供装置3に送信する。
【0037】
続いてステップS106に進み、走行履歴記録部19は、運転者が車両Aの運転を終了したか否かを判定する。具体的には、走行履歴記録部19は、スイッチ状態検出部6から出力されたイグニッションスイッチのスイッチ状態の情報に基づき、イグニッションスイッチがオフ状態であるか否かを判定する。そして、走行履歴記録部19は、イグニッションスイッチがオフ状態であると判定した場合には(ステップS106=Yes)、運転者が車両Aの運転を終了したと判定し、ステップS107に進む。一方、走行履歴記録部19は、イグニッションスイッチがオン状態であると判定した場合には(ステップS106=No)、運転者が車両Aの運転を終了していないと判定し、ステップS102に戻り、運転者が車両Aの運転を終了したと判定されるまで、ステップS102〜S106の処理を繰返し実行する。
【0038】
運転者が車両Aの運転を終了したと判定された場合には、ステップS107に進み、ステップS107では、走行履歴記録部19は、走行用バッテリ14の充電を開始したか否かを判定する。具体的には、走行履歴記録部19は、充放電制御部16から出力された走行用バッテリ14の充電状態の情報に基づき、走行用バッテリ14が充電状態であるか否かを判定する。そして、走行履歴記録部19は、走行用バッテリ14が充電状態であると判定した場合には(ステップS107=Yes)、走行用バッテリ14の充電を開始したと判定し、ステップS108に進む。一方、走行履歴記録部19は、走行用バッテリ14が充電状態ではないと判定した場合には(ステップS107=No)、走行用バッテリ14の充電を開始していないと判定し、ステップS101に戻り、車両Aの運転が開始される(ステップS101=Yes)か、あるいは、走行用バッテリ14の充電が開始される(ステップS107=Yes)まで、ステップS101,S107の処理を繰返し実行する。
【0039】
走行用バッテリ14の充電が開始されるとステップS108に進み、ステップS108では、走行履歴記録部19は、気温検出部7から出力された気温の情報および現在の日時の情報を充電時基本情報として記録する。すなわち、本実施形態において、充電時基本情報は、気温の情報および現在の日時の情報を含む。
【0040】
続いてステップS109に進み、走行履歴記録部19は、位置検出部5、電池残量検出部11、充放電制御部16から出力された緯度経度の情報(以下、充電経由地情報、充電位置情報とも呼ぶ)、充電量の情報、および充電時間の情報を充電情報として記録する。すなわち、実施形態において、充電情報は、緯度経度の情報(充電経由地情報、充電位置情報)、充電量の情報、および充電時間の情報を含む。
【0041】
続いてステップS110に進み、走行履歴記録部19は、走行履歴記録部19が記録している充電時基本情報および充電情報を含む情報を第2走行履歴情報として車両用情報提供装置3に送信する。その際、走行履歴記録部19は、第2走行履歴情報を、上述したステップS105において送信した第1走行履歴情報と対応付けて、車両用情報提供装置3に送信する。これにより、車両Aが走行した走行ルートと該走行ルートを走行した際に経由した充電経由地とが対応付けられることとなる。
【0042】
続いてステップS111に進み、走行履歴記録部19は、走行用バッテリ14の充電を終了したか否かを判定する。具体的には、走行履歴記録部19は、充放電制御部16から出力された走行用バッテリ14の充電状態の情報に基づき、走行用バッテリ14が充電状態でないか否かを判定する。そして、走行履歴記録部19は、走行用バッテリ14が充電状態でないと判定した場合には(ステップS111=Yes)、走行用バッテリ14の充電を終了したと判定し、走行履歴情報記録処理を終了する。一方、走行履歴記録部19は、走行用バッテリ14が充電状態であると判定した場合には(ステップS111=No)、走行用バッテリ14の充電を終了していないと判定し、ステップS108に戻り、走行用バッテリ14の充電を終了したと判定されるまで、ステップS108〜S111の処理を繰返し実行する。
【0043】
<ルート提供処理>
次いで、ルート演算部23が実行するルート提供処理について説明する。ルート演算部23は、目的地点等入力部22から、出発地点P
O、目的地点P
D、電池残量および運転者IDの情報が入力されると、以下に説明するルート提供処理を実行する。
図4は、ルート提供処理を表すフローチャートである。
【0044】
図4に示すように、まず、ステップS201では、ルート演算部23は、目的地点等入力部22から出力された出発地点P
O、目的地点P
D、電池残量および運転者IDの情報を取得する。
【0045】
続いてステップS202に進み、ルート演算部23は、提示ルート検索要求を車両用情報提供装置3に送信する。具体的には、ルート演算部23は、上述したステップS201で取得した出発地点P
O、目的地点P
D、電池残量および運転者IDの情報とともに、提示ルート検索要求を車両用情報提供装置3に送信する。
【0046】
そして、ルート演算部23から出力された提示ルート検索要求に応じて、車両用情報提供装置3の履歴統計処理部27が、地図情報記憶部25が記憶している地図情報を参照して、出発地点P
Oから目的地点P
Dまでの計画ルートを探索(取得)する。続いて、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報を参照して、計画ルートと同一または類似のルート(以下、類似ルートとする。)を検索し、検索した類似ルートを提示ルートとして決定する。なお、提示ルートの決定方法については後述する。そして、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報、第2走行履歴情報を参照して、決定した提示ルートを走行する際に消費した消費電力および提示ルートを走行する際に経由する充電経由地を決定する。なお、消費電力および充電経由地の決定方法については後述する。そして、履歴統計処理部27が、決定した提示ルート、消費電力および充電経由地の情報を端末装置2に送信(提供)する。走行履歴統計処理の詳細については後述する。なお、この際に、履歴統計処理部27が、提示ルート中に、プライバシー地点P
Pが含まれる場合と判断した場合には、このようなプライバシー地点P
Pが特定できないような態様で情報を端末装置2に送信(提供)する。また、たとえば、該当する類似ルートが存在しなかった場合など提示ルートを決定(算出)できなかった場合には、履歴統計処理部27は、提示ルートの情報に代えて、探索した計画ルートの情報を端末装置2に送信(提供)する。
【0047】
続いてステップS203に進み、ルート演算部23は、車両用情報提供装置3から送信された提示ルートの情報、消費電力の情報および充電経由地の情報含む情報を受信する。なお、ステップS202において、提示ルートを決定できなかった場合には、ルート演算部23は、提示ルートの情報に代えて、計画ルートの情報を受信する。
【0048】
続いてステップS204に進み、ルート演算部23は、ステップS203において、提示ルートの情報を受信したか否かの判定を行う。そして、ルート演算部23は、提示ルートの情報を受信したと判定した場合には(ステップS204=Yes)、ステップS205に進む。一方、ルート演算部23は、提示ルートの情報に代えて、計画ルートの情報を受信したと判定した場合には(ステップS204=No)、ステップS207に進む。
【0049】
提示ルートの情報を受信したと判定した場合には、ステップS205に進み、ステップS205では、ルート演算部23は、上述したステップS203で取得した情報(提示ルートの情報、消費電力の情報および充電経由地の情報)のうち、提示ルートの情報および充電経由地の情報を表示させる制御指令を表示部24に出力する。
【0050】
続いてステップS206では、ルート演算部23は、上述したステップS203で取得した情報(提示ルートの情報、消費電力の情報および充電経由地の情報)のうち、消費電力の情報を表示させる制御指令を表示部24に出力した後、ルート提供処理を終了する。そして、これにより、表示画面上に、
図2に示すような表示が行われることとなる。
【0051】
一方、提示ルートの情報を受信しなかったと判定した場合には、ステップS207に進み、ステップS207では、ルート演算部23は、上述したステップS203で取得した情報(計画ルートの情報、消費電力の情報および充電経由地の情報)のうち、計画ルートの情報および充電経由地の情報を表示させる制御指令を表示部24に出力する。
【0052】
続いてステップS208では、ルート演算部23は、上述したステップS203で取得した情報(計画ルートの情報、消費電力の情報および充電経由地の情報)のうち、消費電力の情報を表示させる制御指令を表示部24に出力した後、ルート提供処理を終了する。そして、これにより、表示画面上に、
図2に示すような表示が行われることとなる。
【0053】
<履歴蓄積処理>
次いで、走行履歴蓄積部26が実行する履歴蓄積処理について説明する。走行履歴蓄積部26は、ルート演算部23から第1走行履歴情報または第2走行履歴情報を受信すると履歴蓄積処理を実行する。
図5は、履歴蓄積処理を表すフローチャートである。
【0054】
図5に示すように、ステップS301では、走行履歴蓄積部26は、受信した第1走行履歴情報または第2走行履歴情報を走行履歴情報として蓄積し、履歴蓄積処理を終了する。その際、走行履歴蓄積部26は、渋滞有無、曜日、季節、天気、走行時間帯、走行消費電力および平均速度の各情報も走行履歴情報(第1走行履歴情報、第2走行履歴情報)に含めて蓄積する。渋滞有無の情報としては、たとえば、第1走行履歴情報に含まれる走行時の日時および走行ルートにおける渋滞有無の検出を行い、検出した情報を用いることができる。また、曜日の情報としては、たとえば、第1走行履歴情報に含まれる走行時の日時が属する曜日が挙げられる。さらに、季節の情報としては、たとえば、第1走行履歴情報に含まれる走行時の日時が属する季節がある。また、天気の情報としては、たとえば、第1走行履歴情報に含まれる走行時の日時および緯度経度における天気を検出し、検出した情報を用いることができる。さらに、時間帯の情報としては、たとえば、第1走行履歴情報に含まれる走行時の日時が属する時間帯が挙げられる。また、走行消費電力の情報としては、たとえば、第1走行履歴情報に含まれる走行時の電池残量の単位時間当たりの減少量が挙げられる。さらに、平均速度の情報としては、たとえば、第1走行履歴情報に含まれる車速の設定時間(たとえば、10分)における平均値が挙げられる。
【0055】
なお、本実施形態では、走行履歴記録部19が、ナビゲーション装置18から出力された案内ルートの情報を走行ルートとする例を示したが、他の構成を採用することもできる。たとえば、第1走行履歴情報の走行ルートのうちに車両Aが実際には異なるルートを走行した部分がある場合には、走行履歴蓄積部26が、走行履歴蓄積部26が蓄積している走行履歴情報(緯度経度)に基づき、車両Aが実際に走行した走行ルートに補正する。これにより、走行履歴蓄積部26は、車両Aが実際に走行した走行ルートの情報を蓄積する。実際に走行したルートの情報としては、一般的なデッドレコニング後の緯度経度数列、あるいは道路リンク列、さらにはマップマッチング後の緯度経度数列あるいは道路リンク列を採用することができる。デッドレコニングとは、たとえば位置検出部5の検出したGPS緯度経度を、車速検出部9の速度情報に鑑みて補正した位置情報である。さらには図示しないジャイロセンサ(加速度センサ)の情報を加味することで、補正精度を高める方法も知られている。また、マップマッチングとは、位置検出部5の検出したGPS緯度経度もしくは上記デッドレコニング後の緯度経度と、ナビゲーション装置18が保有する道路リンク、ノード情報と、ナビゲーション案内中であれば案内ルートの情報とを併せ見て、道路上を走行しているか否か、道路上の場合はどの道路上を通過したかを判定した上で尤もらしい道路上の場所を検出する方法として知られている。
【0056】
<走行履歴統計処理>
次に、履歴統計処理部27が実行する走行履歴統計処理について説明する。履歴統計処理部27は、端末装置2が送信した提示ルート検索要求を受信すると履歴統計処理を実行する。
図6は、走行履歴統計処理を表すフローチャートである。
【0057】
図6に示すように、まず、ステップS401では、履歴統計処理部27は、受信した提示ルート検索要求から出発地点P
Oおよび目的地点P
Dを取得する。続いて、履歴統計処理部27は、地図情報記憶部25が記憶している地図情報に基づき、取得した出発地点P
Oから目的地点P
Dまでの計画ルートを探索(取得)する。計画ルートとしては、出発地点P
Oから目的地点P
Dまで到達できるようなルートであればよく、特に限定されないが、たとえば、出発地点P
Oと目的地点P
Dとを最短時間で走行可能な走行ルートが設定される。
【0058】
なお、本実施形態では、車両用情報提供装置3に備えらえた履歴統計処理部27が、計画ルートを探索(取得)する例を示したが、他の構成を採用することもできる。たとえば、車載装置1に備えられたナビゲーション装置18が、計画ルートを探索する構成としてもよい。この場合、ナビゲーション装置18が、計画ルートの探索結果を履歴統計処理部27に送信し、履歴統計処理部27が、ナビゲーション装置18から送信された計画ルートを受信(取得)する。
【0059】
続いてステップS402に進み、履歴統計処理部27は、受信した提示ルート検索要求から電池残量の情報を取得する。電池残量の情報の取得方法としては、端末装置2からデータセンタBを経由して車両Aの電池残量検出部11に問い合わせる方法としてもよいし、利用者が任意の電池残量を入力する方法としてもよい。前者の方法によれば、実際にこれから出発する際に直近の電池残量に基づく計算ができるため、現時点の常態に則した結果を得ることができる。また、後者の方法によれば、利用者が事前に電池残量を指定することができるため、たとえば、電池が100%充電になってから出発することを想定して結果を得ることができる。
【0060】
次いで、ステップS403に進み、ステップS403では、履歴統計処理部27により、類似ルートの探索が実行される。具体的には、履歴統計処理部27は、受信した提示ルート検索要求に含まれる出発地点P
Oおよび目的地点P
Dに基づいて、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
Dを設定する。ここで、
図7は、本実施形態の類似ルートの検索方法を説明するための図である。
図7(A)に示すように、本実施形態においては、履歴統計処理部27は、出発地点P
Oから半径r
Oを有する円形状の範囲を出発地点範囲R
Oに設定し、かつ、目的地点P
Dから半径r
Dを有する円形状の範囲を目的地点範囲R
Dに設定する。
【0061】
次いで、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報(走行ルート)のうちから、設定した出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
D内に、走行開始点および走行終了点を有する走行ルートを検索し、検索した走行ルートを類似ルートとして検出する。具体的には、履歴統計処理部27は、走行開始点が、出発地点範囲R
O内にあり、かつ、走行終了点が、目的地点範囲R
D内にある走行ルートを、類似ルートとして設定する。たとえば、
図7(B)に示す例においては、出発地点P
Oと目的地点P
Dとを結ぶ計画ルートに対して、2つの「類似ルート1」および「類似ルート2」が検出された例を示している。
【0062】
なお、本実施形態において、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
Dの大きさ(広さ)を規定する半径r
O、半径r
Dとしては予め定められた距離(たとえば、5km)に設定することができる。本実施形態によれば、このように、類似ルートを設定する際に、所定の範囲を有する出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
Dを設定し、これらを用いることで、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報(走行ルート)中に、対応する類似ルートが無いという状況を低減することができ、これにより、類似ルートを適切に設定することが可能となる。
【0063】
そして、ステップS403においては、このようにして検索した類似ルートを、提示ルートとして設定する。なお、提示ルートの数は、特に限定されず、1つであっても複数であってもよい。
【0064】
また、ステップS403において、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報(走行ルート)のうちに、類似ルートが存在しない場合、すなわち、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
D内に、走行開始点および走行終了点を有する走行ルートが存在しない場合には、類似ルートの抽出を断念する。
【0065】
続いてステップS404に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS403にて類似ルートを抽出できたか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、類似ルートを抽出できたと判定した場合には(ステップS404=Yes)、ステップS405に進む。一方、履歴統計処理部27は、類似ルートを抽出できなかった(類似ルートの抽出を断念した)と判定した場合には(ステップS404=No)、ステップS408に進む。
【0066】
ステップS404において、類似ルートを抽出できたと判定した場合には、ステップS405に進み、ステップS405では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報を参照し、ステップS403において抽出された類似ルートが、単一の車両の走行ルートのみからなるものであるか否かの判定を行う。すなわち、テップS405では、履歴統計処理部27は、上述したステップS403において、複数の車両の走行ルートが類似ルートとして抽出されたか、あるいは、複数の類似ルートが抽出された場合でも、抽出された複数の類似ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみであるかの判定を行う。なお、ステップS403において抽出された類似ルートが、単一の車両の走行ルートのみからなるものであるか否かの判定は、たとえば、各走行ルートの運転者IDの情報を参照することにより判定することができる。
【0067】
そして、履歴統計処理部27は、ステップS403において抽出された類似ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみからなるものであると判定した場合には(ステップS405=Yes)、抽出された類似ルートは、プライバシー性が高い走行ルートであると判定し、提示ルートとして設定された類似ルートを、提示ルートとしないものと決定し、ステップS408に進む。なお、この場合には、ステップS403において類似ルートが抽出されているが、以後においては、類似ルートは抽出されなかったものとして扱う。一方、履歴統計処理部27は、ステップS403において抽出された類似ルートが、複数存在し、かつ、これらが複数の車両の走行ルートからなるものであると判定した場合には(ステップS405=No)、ステップS406に進む。
【0068】
なお、本実施形態においては、ステップS403において抽出された類似ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみからなるものである場合に、プライバシー性が高い走行ルートであると判定し、提示ルートとして設定された類似ルートを、提示ルートとしないものと決定する構成としたが他の例を採用してもよい。すなわち、たとえば、ステップS403において抽出された類似ルートが、複数の車両の走行ルートからなるものである場合でも、抽出された類似ルートの数が、予め定められた所定数以下である場合には、提示ルートとして設定された類似ルートを、提示ルートとしないものと決定するような構成としてもよい。なお、この場合の所定数としては、たとえば、プライバシー性が高い走行ルートであると判断できるような数に設定することができる。
【0069】
ステップS406において、類似ルートが、複数存在し、かつ、これらが複数の車両の走行ルートからなるものであると判定した場合には、ステップS406に進み、ステップS406では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報(充電経由地)のうちから、上述したステップS403で抽出した類似ルートを走行した際に経由した充電経由地を抽出する。たとえば、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちから、上述したステップS403で抽出した類似ルートを含む第1走行履歴情報を検索する。続いて、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報(充電経由地)のうち、検索した第1走行履歴情報に対応付けられている第2走行履歴情報から充電経由地を抽出する。
【0070】
続いてステップS407に進み、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報(消費電力の情報)のうちから、上述したステップS403で抽出した類似ルートを走行した際に消費した消費電力を抽出した後、ステップS413に進む。たとえば、履歴統計処理部27は、上述したステップS403で抽出した類似ルートを含む第1走行履歴情報のうちから消費電力を抽出する。
【0071】
このように、本実施形態では、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちから、類似ルートを抽出する。続いて、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報のうちから、類似ルートを走行した際に経由した充電経由地の情報を抽出する。続いて、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちから、抽出した類似ルートを走行した際に消費した消費電力を抽出する。それゆえ、より適切な消費電力や充電経由地の情報を取得できる。そのため、より実際の環境に則した消費電力の情報、充電経由地の情報を提供できる。
【0072】
一方、上述したステップS404において、類似ルートを抽出できなかったと判定した場合、または、上述したステップS405において、ステップS403において抽出された類似ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみからなるものであると判定した場合には、ステップS408に進み、ステップS408において、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している、複数の走行ルートを合成することにより生成された合成ルートを参照し、計画ルートと同一または類似の合成ルートである類似合成ルートを探索(決定)する。
【0073】
ここで、
図8は、合成ルートを表す説明図である。履歴統計処理部27は、
図8に示すように、同一車両が走行した複数の走行ルートを合成して得られた合成ルートの情報を抽出し、上述したステップS403で設定した出発地点範囲R
O内に、走行開始点があり、かつ、目的地点範囲R
D内に、走行終了点がある合成ルートを、類似合成ルートとして抽出する。
【0074】
なお、このような合成ルートは、走行履歴蓄積部26によって、以下の方法により生成される。ここで、
図9は、合成ルートの生成方法の一例を説明するための図であり、以下においては、
図9に示す例を参照しながら、合成ルートの生成方法を説明する。すなわち、まず、走行履歴蓄積部26は、蓄積している第1走行履歴情報を参照して、特定の車両A
1が走行した走行ルートのうちから、任意の走行ルートを抽出する。たとえば、
図9(A)に示す例においては、任意の走行ルートを「車両A
1の走行ルート1」としている。そして、走行履歴蓄積部26は、抽出した「車両A
1の走行ルート1」の走行終了点から半径r
Sを有する円形状の範囲を合成地点範囲R
Sに設定し、車両A
1が走行した走行ルートのうちから、合成地点範囲R
S内に走行開始点を有する走行ルートの検索を行う。その結果、合成地点範囲R
S内に走行開始点を有する走行ルートが検索された場合には、走行履歴蓄積部26は、これらの走行ルートの合成を行い、これにより合成ルートを生成し、生成した合成ルートを蓄積する。すなわち、
図9(A)に示す例においては、「車両A
1の走行ルート1」と、合成地点範囲R
S内に走行開始点を有する「車両A
1の走行ルート2」とを合成し、これにより「車両A
1の走行ルート1」と「車両A
1の走行ルート2」とからなる合成ルートを生成し、これを蓄積する。なお、半径r
Sとしては、特に限定さないが、たとえば、1〜5km程度とすることができる。
【0075】
また、この場合における合成ルートの走行開始点および走行終了点は、合成ルートの各端点(合成に用いた点を除く点)となる。すなわち、
図9(A)に示す「車両A
1の走行ルート1」と「車両A
1の走行ルート2」とからなる合成ルートにおいては、「車両A
1の走行ルート1」の走行開始点が、合成ルートの走行開始点となり、また、「車両A
1の走行ルート2」の走行終了点が、合成ルートの走行終了点となる。
【0076】
なお、
図9(A)に示す例においては、2つの走行ルートを合成する場合を例示したが、合成ルートを得る際における、走行ルートの合成数は2つに限定されず、3つ以上としてもよい。すなわち、たとえば、
図9(B)に示す例のように、「車両A
1の走行ルート1」と「車両A
1の走行ルート2」とからなる合成ルートに、「車両A
1の走行ルート2」の走行終了点から半径r
Sを有する円形状の範囲を合成地点範囲R
S内に走行開始点を有する「車両A
1の走行ルート3」をさらに合成して、「車両A
1の走行ルート1」と「車両A
1の走行ルート2」と「車両A
1の走行ルート3」とからなる合成ルートを生成することができる。なお、このようにして得られる合成ルートにおいては、「車両A
1の走行ルート1」の走行開始点が、合成ルートの走行開始点となり、また、「車両A
1の走行ルート3」の走行終了点が、合成ルートの走行終了点となる。
【0077】
なお、上記においては、特定の車両A
1について、合成ルートを生成する例を例示したが、
図8に示すように、走行履歴蓄積部26は、車両A
1以外の車両A
2、車両A
3、・・・についても、各車両が走行した複数の走行ルートを合成することで、各車両ごとに合成ルートを生成し、走行履歴蓄積部26は、このようにして生成した合成ルートを記録することで、各車両ごとに合成した複数の合成ルートを蓄積している。
【0078】
また、上記した例では、任意の走行ルートの走行終了点から半径r
Sを有する円形状の範囲を合成地点範囲R
Sとして設定し、合成地点範囲R
S内に、走行開始点を有する走行ルートを合成する例を例示したが、走行終了点を中心として緯度±d1および経度±d2で構成される矩形状の範囲を合成地点範囲R
Sとして設定してもよいし、あるいは、地図上の緯度経度を所定のステップごとに区切ってなるメッシュを設定し、走行終了点を中心とした所定数のメッシュ範囲を、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
Dとして設定することもできる。
【0079】
さらに、上記した例では、同一車両が走行した複数の走行ルートに基づいて合成ルートを生成する例を示したが、たとえば、異なる複数の車両が走行した複数の走行ルートを合成することで、合成ルートを生成するような構成としてもよい。すなわち、本実施形態においては、
図10(A)に示すように、合成ルートを生成する際には、「車両A
1の走行ルート1」の走行終了点から半径r
Sを有する円形状の範囲を合成地点範囲R
S内に、他の車両A
2の走行ルートである「車両A
2の走行ルート6」の走行開始点がある場合には、走行履歴蓄積部26は、これらを合成し、「車両A
1の走行ルート1」と「車両A
2の走行ルート6」との合成ルートを生成する。また、この場合においても、
図10(B)に示すように、走行履歴蓄積部26が、さらに別の車両A
3の走行ルートである「車両A
3の走行ルート7」を合成して、3つの車両A
1、A
2、A
3の走行ルートを合成してなる合成ルートを生成するような態様とすることもできる。
【0080】
そして、ステップS408においては、履歴統計処理部27は、このようにして走行履歴蓄積部26により合成され蓄積された合成ルートのうち、上述したステップS403で設定した出発地点範囲R
O内に、走行開始点があり、かつ、目的地点範囲R
D内に、走行終了点がある合成ルートを、類似合成ルートとして抽出し、抽出した類似合成ルートを提示ルートとして決定する。
【0081】
また、ステップS408において、履歴統計処理部27は、履歴蓄積部26に蓄積された合成ルートのうちに、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
D内に、走行開始点および走行終了点を有する合成ルートが存在しない場合には、類似合成ルートの抽出を断念する。
【0082】
続いてステップS409に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS407で類似合成ルートを抽出できたか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、類似合成ルートを抽出できたと判定した場合には(ステップS409=Yes)、ステップS410に進む。一方、履歴統計処理部27は、類似合成ルートを抽出できなかった(合成ルートの抽出を断念した)と判定した場合には(ステップS409=No)、ステップS413に進む。
【0083】
ステップS409において、類似合成ルートを抽出できたと判定した場合には、ステップS410に進み、ステップS410では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報を参照し、ステップS408において抽出された類似合成ルートが、単一の車両の走行ルートのみからなるものであるか否かの判定を行う。すなわち、ステップS410では、履歴統計処理部27は、上述したステップS408において、複数の車両の走行ルートからなる類似合成ルートが抽出されたか、あるいは、複数の類似合成ルートが抽出された場合でも、抽出された複数の類似合成ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみであるかの判定を行う。なお、ステップS403において抽出された類似合成ルートが、単一の車両の走行ルートのみからなるものであるか否かの判定は、たとえば、各類似合成ルートを構成する各走行ルートの運転者IDの情報を参照することにより判定することができる。
【0084】
そして、履歴統計処理部27は、ステップS408において抽出された類似合成ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみからなるものであると判定した場合には(ステップS410=Yes)、抽出された類似合成ルートは、プライバシー性が高い走行ルートであると判定し、提示ルートとして設定された類似合成ルートを、提示ルートとしないものと決定し、ステップS413に進む。なお、この場合には、ステップS408において類似合成ルートが抽出されているが、以後においては、類似合成ルートは抽出されなかったものとして扱う。一方、履歴統計処理部27は、ステップS408において抽出された類似合成ルートが、複数存在し、かつ、これらが複数の車両の走行ルートからなるものであると判定した場合には(ステップS410=No)、ステップS411に進む。
【0085】
なお、本実施形態においては、ステップS408において抽出された類似合成ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみからなるものである場合に、プライバシー性が高い走行ルートであると判定し、提示ルートとして設定された類似ルートを、提示ルートとしないものと決定する構成としたが他の例を採用してもよい。すなわち、たとえば、ステップS408において抽出された類似合成ルートが、複数の車両の走行ルートからなるものである場合でも、抽出された類似合成ルートの数が、予め定められた所定数以下である場合には、提示ルートとして設定された類似合成ルートを、提示ルートとしないものと決定するような構成としてもよい。なお、この場合の所定数としては、たとえば、プライバシー性が高い走行ルートであると判断できるような数に設定することができる。
【0086】
ステップS410において、類似合成ルートが、複数存在し、かつ、これらが複数の車両の走行ルートからなるものであると判定した場合には、ステップS411に進み、ステップS411では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報(充電経由地)のうちから、上述したステップS408で抽出した類似合成ルートを形成する各走行ルートを走行した際に経由した充電経由地を抽出する。たとえば、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちから、上述したステップS408で抽出した類似合成ルートを形成する各走行ルートを含む複数の第1走行履歴情報を検索する。続いて、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報(充電経由地の情報)のうち、検索した第1走行履歴情報に対応付けられている第2走行履歴情報それぞれから充電経由地の情報を抽出する。そして、履歴統計処理部27は、抽出した充電経由地それぞれを、上述したステップS408で抽出した類似合成ルートを走行した際に軽油した充電経由地とする。
【0087】
続いてステップS412に進み、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報(消費電力の情報)のうちから、上述したステップS408で抽出した類似合成ルートを形成する各走行ルートを走行した際に消費した消費電力を抽出する。たとえば、履歴統計処理部27は、上述したステップS408で抽出した類似合成ルートを形成する各走行ルートを含む複数の第1走行履歴情報それぞれから消費電力の情報を抽出する。続いて、履歴統計処理部27は、抽出した消費電力の総和を、上述したステップS408で抽出した類似合成ルートを走行した際に消費した消費電力とする。
【0088】
このように、本実施形態では、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している合成ルートのうちから、出発地点範囲R
O内に、走行開始点があり、かつ、目的地点範囲R
D内に、走行終了点がある合成ルートを類似合成ルートとして抽出する。続いて、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報のうちから、類似合成ルートを形成する各走行ルートを走行した際に経由した充電経由地を抽出する。続いて、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちから、類似合成ルートを形成する各走行ルートを走行した際に消費した消費電力を抽出する。そのため、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちに、類似ルート(すなわち、計画ルートと同一または類似の走行ルート)が存在しない場合にも、消費電力や充電経由地の情報を適切に取得できる。
【0089】
一方、ステップS409において、類似合成ルートを抽出できなかったと判定された場合、または、上述したステップS410において、ステップS408において抽出された類似合成ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみからなるものであると判定した場合には、ステップS413に進み、ステップS413では、履歴統計処理部27は、自車両Aの理論性能に基づいて、上述したステップS401で探索した計画ルートを走行する際に消費する消費電力(以下、理論消費電力とも呼ぶ)を算出する。具体的には、履歴統計処理部27は、計画ルートの全長と予め定めた単位距離当たりの消費電力との乗算結果を理論消費電力とする。
【0090】
続いてステップS414に進み、履歴統計処理部27は、地図情報記憶部25が記憶している地図情報に基づき、上述したステップS401で探索した計画ルートの近傍に存在する充電施設Cの位置を抽出した後、ステップS415に進む。計画ルートの近傍に存在する充電施設Cとしては、計画ルート沿いに存在する充電施設Cや、計画ルートから設定距離(たとえば、20m)以内にある充電施設Cなどが挙げられる。
【0091】
続いてステップS415に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS403またはS408で抽出した提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)のうち、該ルート中に、プライバシーに関連すると判断されるプライバシー地点P
Pが含まれる提示ルートが存在するか否かの判定を行う。なお、プライバシー地点P
Pの検出方法については後述する。そして、履歴統計処理部27は、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)中に、プライバシー地点P
Pが含まれる提示ルートが存在すると判定した場合には(ステップS415=Yes)、ステップS416に進む。一方、履歴統計処理部27は、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)中に、プライバシー地点P
Pが含まれる提示ルートが存在しないと判定した場合には(ステップS416=Yes)、ステップS417に進む。
【0092】
ステップS415において、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)中に、プライバシー地点P
Pが含まれる提示ルートが存在すると判定した場合には、ステップS416に進み、ステップS416では、プライバシー地点P
Pが含まれる提示ルートについて、該提示ルートを、表示部24により表示する際に、プライバシー地点P
Pが特定できないようにする処理(プライバシー地点保護処理)を実行する。なお、プライバシー地点P
Pが特定できないようにする処理の詳細は後述する。
【0093】
続いてステップS417では、履歴統計処理部27は、上述したステップS402で取得した電池残量に基づき、充電経由地抽出処理を実行する。充電経由地抽出処理では、履歴統計処理部27は、上述したステップS406、S411またはS414で取得した充電経由地のうちから、送信元端末装置2に送信(提供)する充電経由地を抽出する。送信元端末装置2としては、たとえば、この履歴統計処理の開始の契機となった提示ルート検索要求の送信元の端末装置2が挙げられる。また、充電経由地抽出処理では、車両Aが目的地点に到達できない可能性を判定し、目的地点に到達できない可能性があると判定した場合にはその旨を警告する到達不能警告を行うことを決定する。充電経由地抽出処理の詳細は後述する。
【0094】
続いてステップS418に進み、履歴統計処理部27は、車両Aの運転者の電力消費傾向に基づき、消費電力補正処理を実行する。消費電力補正処理では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうち、提示ルート検索要求が含んでいる運転者IDが特定した運転者の第1走行履歴情報を参照して、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)を走行した際に消費する消費電力を算出する。続いて、履歴統計処理部27は、算出した消費電力に基づいて、上述したステップS407、S412またはS413で抽出した消費電力を補正する。消費電力補正処理の詳細は後述する。
【0095】
続いてステップS419に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS403またはS408で抽出した提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)、上述したステップS417で抽出した充電経由地および上述したステップS418で補正した消費電力の情報を送信元端末装置2に送信(提供)した後、走行履歴統計処理を終了する。なお、履歴統計処理部27は、上述したステップS403、408で提示ルートを抽出できなかった場合には、上述したステップS401で探索した計画ルート、上述したステップS417で抽出した充電経由地および上述したステップS414で算出した消費電力(理論消費電力)の情報を送信する。また、履歴統計処理部27は、上述したステップS417で到達不能警告を行うことを決定した場合には到達不能警告を表示させる制御指令も送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0096】
なお、本実施形態では、上述したステップS417で抽出した充電経由地、および上述したステップS418で補正した消費電力の情報を送信元端末装置2に送信(提供)する例を示したが、他の構成を採用することもできる。たとえば、上述したステップS406、S411またはS414で取得した充電経由地、および上述したステップS418で補正する前の消費電力の情報を送信元端末装置2に送信(提供)する構成としてもよい。
【0097】
<プライバシー地点検出処理>
次に、走行履歴蓄積部26が実行するプライバシー地点検出処理について説明する。走行履歴蓄積部26は、ルート演算部23から受信し、蓄積した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を用いて、プライバシー地点検出処理を実行する。
図11は、プライバシー地点検出処理を表すフローチャートである。
【0098】
図11に示すように、まず、ステップS501では、走行履歴蓄積部26は、蓄積した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を参照し、同一の運転者の走行履歴(運転者IDが同一である運転者の走行履歴)を抽出し、抽出した走行履歴中に含まれる、走行開始点および走行終了点(以下、走行開始点および走行終了点を、適宜、「走行端点」とする。)の情報から、走行端点の頻度を地点ごとに算出する。そして、走行履歴蓄積部26は、走行端点の頻度を算出した結果、頻度が予め定められた所定割合以上である地点が存在するか否かの判定を行う。判定の結果、走行履歴蓄積部26は、頻度が所定割合以上である走行端点が存在すると判定した場合には(ステップS501=Yes)、ステップS502に進む。一方、走行履歴蓄積部26は、頻度が所定割合以上である走行端点がないと判定した場合には(ステップS501=No)、ステップS503に進む。なお、この場合における所定割合としては、たとえば、走行端点が自宅位置や、知人宅の位置など、プライバシーに関連する地点であると判定できるような割合に設定すればよい。
【0099】
ステップS501において、頻度が所定割合以上である走行端点が存在すると判定した場合にはステップS502に進み、ステップS502では、走行履歴蓄積部26は、ステップS501において頻度が所定割合以上であると判定された走行端点を、プライバシー地点P
Pに設定し、設定したプライバシー地点P
Pを蓄積する。
【0100】
続いてステップS503に進み、走行履歴蓄積部26は、蓄積した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を参照し、同一の運転者の走行履歴(運転者IDが同一である運転者の走行履歴)を抽出し、抽出した走行履歴から駐車時間を算出する。なお、駐車時間は、時間的に連続する走行履歴を抽出し、これらの走行履歴の走行終了時の日時と、走行開始時の日時との差を算出することにより求めることができる。そして、走行履歴蓄積部26は、同一の運転者の走行履歴中に含まれる走行端点について、駐車時間が予め定められた所定時間以上である走行端点が存在するか否かを判定する。その結果、走行履歴蓄積部26は、駐車時間が所定時間以上である走行端点が存在すると判定した場合には(ステップS503=Yes)、ステップS504に進む。一方、走行履歴蓄積部26は、駐車時間が所定時間以上である走行端点が存在しないと判定した場合には(ステップS503=No)、ステップS505に進む。なお、この場合における所定時間としては、たとえば、走行端点が自宅位置や、知人宅の位置など、プライバシーに関連する地点に滞在していると判断できるような時間(たとえば、12時間)に設定することができる。
【0101】
ステップS503において、駐車時間が所定時間以上である走行端点が存在すると判定した場合にはステップS504に進み、ステップS504では、走行履歴蓄積部26は、ステップS503において駐車時間が所定時間以上であると判定された走行端点を、プライバシー地点P
Pに設定し、設定したプライバシー地点P
Pを蓄積する。
【0102】
続いてステップS505に進み、走行履歴蓄積部26は、蓄積した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を参照し、各車両Aの走行履歴中に、Uターン部が含まれているか否かの判定を行う。なお、Uターン部を検出する方法としては、たとえば、各車両Aの走行履歴中に含まれる走行ルートにおいて、たとえば、道路リンクの上り線と下り線とを一定距離以内で走行している場合に、このような部分をUターン部として検出する方法が挙げられる。あるいは、Uターン部を検出する別の方法として、走行ルートにより予め定められた所定面積以内の閉ループが形成されているか否かを検出する方法や、走行ルート中に、所定距離範囲内に、正方向のベクトルと、逆方向のベクトルとが含まれているか否かを検出する方法などを用いてもよい。そして、走行履歴蓄積部26は、Uターン部が存在していると判定した場合には(ステップS505=Yes)、ステップS506に進む。一方、走行履歴蓄積部26は、Uターン部が含まれていないと判定した場合には(ステップS505=No)、プライバシー地点検出処理を終了する。
【0103】
ステップS505において、Uターン部が存在していると判定した場合にはステップS506に進み、ステップS506では、走行履歴蓄積部26は、ステップS505においてUターン部が存在していると判定された領域を、プライバシー地点P
Pに設定し、設定したプライバシー地点P
Pを蓄積する。ただし、この場合に、Uターン部に公共の充電施設があり、かつ、そこで充電を行っている場合は、プライバシーに関連する地点ではないと判断されるため、プライバシー地点P
Pから除外する。なお、本実施形態においては、知人を知人宅まで送迎する際に、所望のルートから一度外れて、再び戻ることにより、このようなUターン部が生じることが考えられるため、このようなUターン部が検出された場合にも、プライバシーに関連する地点であると判定して、プライバシー地点P
Pに設定する。
【0104】
以上のようにして、走行履歴蓄積部26は、蓄積した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報中における、プライバシーに関連する地点であると判断できる地点を検出し、検出した地点を、プライバシー地点P
Pとして蓄積する。
【0105】
そして、履歴統計処理部27は、上述したステップS415において、上述したステップS404またはS408で抽出した提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)中に、このようにして設定されたプライバシー地点P
Pが含まれるか否かの判定を行い、プライバシー地点P
Pが含まれる場合には、履歴統計処理部27は、上述したステップS416において、プライバシー地点P
Pが含まれる提示ルートについて、該提示ルートを、表示部24により表示する際に、プライバシー地点P
Pが特定できないようにする処理(プライバシー地点保護処理)を実行する。以下、履歴統計処理部27がプライバシー地点保護処理について、詳細に説明する。
【0106】
ここで、
図12は、プライバシー地点保護処理の方法を説明するための図である。
図12においては、
図12(A)に示すように、提示ルート(類似ルート)の走行開始点および走行終了点が、いずれもプライバシー地点P
P(頻度が所定割合以上である走行端点、駐車時間が所定時間以上である走行端点)である場合を例示している。そして、履歴統計処理部27は、このようなプライバシー地点P
Pおよびプライバシー地点P
P近傍の走行ルートが特定できないように、
図12(B)に示すように、出発地点P
Oおよび目的地点P
Dから、それぞれ所定の距離D範囲内をプライバシー保護領域とし、このようなプライバシー保護領域内については、提示ルート(類似ルート)が特定できないような処理を行う。すなわち、
図12(B)に示すように、プライバシー保護領域と接する点から、それぞれ出発地点P
Oおよび目的地点P
Dまで破線で結んだ態様とすることで、プライバシー保護領域内については、提示ルート(類似ルート)が特定できないような処理を行う。すなわち、
図2に示すように、履歴統計処理部27は、表示部24に提示ルート(類似ルート)を表示させる際には、
図13に示すように、プライバシー保護領域内については、破線にて表示されるようにする。なお、プライバシー保護領域を画定する距離Dとしては特に限定されず、プライバシー地点P
Pが特定できないような距離とすればよいが、たとえば、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
Dを規定する半径r
O、r
Dと同様とすることができる。
【0107】
あるいは、履歴統計処理部27は、
図12(C)に示すように、出発地点P
Oおよび目的地点P
Dから、それぞれ所定の距離D範囲内をプライバシー保護領域とし、このようなプライバシー保護領域内については、提示ルート(類似ルート)を表示しないような態様とすることもできる。すなわち、この場合には、履歴統計処理部27は、表示部24に提示ルート(類似ルート)を表示させる際には、
図14に示すように、プライバシー保護領域内については、提示ルート(類似ルート)が表示されないものとすることができる。
【0108】
また、履歴統計処理部27は、
図15(A)に示すように、提示ルートである類似合成ルート(走行ルートαおよび走行ルートβからなる類似合成ルート)中に、プライバシー地点P
P(頻度が所定割合以上である走行端点、駐車時間が所定時間以上である走行端点)が存在する場合には、プライバシー地点P
Pを中心として、所定の距離D範囲内をプライバシー保護領域として設定し、
図15(B)に示すように、このようなプライバシー保護領域内については、提示ルート(類似ルート)が特定できないような処理を行う。すなわち、
図15(B)に示すように、プライバシー保護領域内には、類似合成ルートを構成する走行ルートαと走行ルートβとを破線で結んだ態様とすることで、プライバシー保護領域内については、提示ルート(類似合成ルート)が特定できないような処理を行い、このような態様で、表示部24に提示ルート(類似ルート)を表示させる。
【0109】
あるいは、履歴統計処理部27は、
図15(C)に示すように、プライバシー保護領域内において、類似合成ルートを構成する走行ルートαと走行ルートβとを破線で結んだ態様とする際には、プライバシー保護領域内における走行ルートαおよび走行ルートβの実際の距離が反映されるような態様とすることもできる。また、履歴統計処理部27は、
図15(D)に示すように、プライバシー保護領域内については、走行ルートαおよび走行ルートβを覆うような表示を重畳する(図中においては、所定の面積を有する円図形を重畳)こともできる。さらには、履歴統計処理部27は、
図15(E)に示すように、地図情報記憶部25が記憶している地図情報を参照し、プライバシー保護領域内において、走行ルートαと走行ルートβとを結ぶ最短ルート(走行ルートαのプライバシー保護領域と接する点と、走行ルートβのプライバシー保護領域と接する点とを結ぶ最短ルート)を検索し、検索の結果得られた最短ルートを表示するような態様とすることができる。
【0110】
さらに、履歴統計処理部27は、
図16(A)に示すように、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)中に、Uターン部であるプライバシー地点P
Pが存在する場合には、
図16(B)に示すように、Uターン部の始点および終点を、破線で結んだ態様とすることで、Uターン部の走行ルートが特定できないような処理を行い、このような態様で、表示部24に提示ルート(類似ルート)を表示させる。
【0111】
あるいは、履歴統計処理部27は、
図16(C)に示すように、Uターン部の始点および終点を、破線で結んだ態様とする際には、Uターン部の実際の距離が反映されるような態様とすることもできる。さらに、履歴統計処理部27は、
図16(C)に示すように、Uターン部の始点および終点を覆うような表示を重畳する(図中においては、所定の面積を有する円図形を重畳)こともできる。
【0112】
<充電経由地抽出処理>
次に、履歴統計処理部27が実行する充電経由地抽出処理について説明する。履歴統計処理部27は、上述した走行履歴統計処理において、ステップS417に進むと、充電経由地抽出処理を実行する。
図17は、充電経由地抽出処理を表すフローチャートである。
【0113】
図17に示すように、まず、ステップS601では、履歴統計処理部27は、上述したステップS402で取得した電池残量が、上述したステップS407、S412またはS413で抽出した消費電力(以下、抽出消費電力とも呼ぶ)より大きいか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、電池残量が抽出消費電力より大きいと判定した場合には(ステップS601=Yes)、ステップS602に進む。一方、履歴統計処理部27は、電池残量が抽出消費電力以下であると判定した場合には(ステップS601=No)、ステップS605に進む。
【0114】
ステップS601において、電池残量が抽出消費電力より大きいと判定した場合には、ステップS602に進み、ステップS602では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報(充電経由地)を参照して、上述したステップS407、S411またはS414で取得した充電経由地のうちに、実績充電経由地があるか否かを判定する。実績充電経由地としては、複数台の車両Aのうちの少なくとも1台が実際に充電を行ったことがある充電施設Cの位置が挙げられる。そして、履歴統計処理部27は、実績充電経由地があると判定した場合には(ステップS602=Yes)、ステップS603に進む。一方、履歴統計処理部27は、実績充電経由地がないと判定した場合には(ステップS602=No)、充電経由地を抽出せずに、充電経由地抽出処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行用バッテリ14の電池残量が十分であり、かつ、上述したステップS407、S411またはS414で取得した充電経由地のうちに、実績充電経由地がない場合には、実績充電経由地の情報を送信元端末装置2に送信(提供)しない。実績充電経由地は、特定の個人もしくは法人の専用充電施設であることも考えられるため、統計処理により公共の充電施設であることが確実な施設を優先的に抽出することが望ましい。たとえば、別途公共充電施設データベースを持つ構成とし、このデータと同地点の実績であるものを抽出する方法、あるいは、異なる名義(法人、個人含む)の複数車両(たとえば、5台以上等)が同一地点で充電の実績がある充電施設を抽出する方法等が考えられる。また、これらのデータを活用する際に、利用可能時間帯を加味することで、当該経由地の到達予想時間帯に実際に利用可能な充電施設を優先して経由するように選定することが望ましい。
【0115】
一方、実績充電経由地があると判定した場合には、ステップS603に進み、ステップS603では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第2走行履歴情報(充電経由地)を参照して、上述したステップS407、S411またはS414で取得した充電経由地のうちから実績充電経由地を抽出した後、充電経由地抽出処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行用バッテリ14の電池残量が十分であり、かつ、上述したステップS407、S411またはS414で取得した充電経由地のうちに、実績充電経由地がある場合には、実績充電経由地の情報のみを送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0116】
また、上述したステップS601において、電池残量が抽出消費電力以下であると判定した場合には、ステップS604に進み、ステップS604では、履歴統計処理部27は、地図情報記憶部25が記憶している地図情報に基づき、上述したステップS403またはS408で抽出した提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)の近傍に充電施設Cが存在するか否かを判定する。提示ルートの近傍に存在する充電施設Cとしては、提示ルート沿いに存在する充電施設Cや、提示ルートから設定距離(例えば、20m)以内にある充電施設Cが挙げられる。そして、履歴統計処理部27は、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)の近傍に充電施設Cが存在すると判定した場合には(ステップS604=Yes)、ステップS605に進む。一方、履歴統計処理部27は、提示ルートの近傍に充電施設Cがないと判定した場合には(ステップS604=No)、ステップS606に進む。
【0117】
なお、上述したステップS403またはS408で提示ルートを抽出できなかった場合には、履歴統計処理部27は、地図情報記憶部25が記憶している地図情報に基づき、上述したステップS401で探索した計画ルートの近傍に充電施設Cが存在するか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、計画ルートの近傍に充電施設Cが存在すると判定した場合には(ステップS604=Yes)、ステップS605に進む。一方、履歴統計処理部27は、計画ルートの近傍に充電施設Cがないと判定した場合には(ステップS604=No)、ステップS606に進む。
【0118】
ステップS604において、提示ルートの近傍に充電施設Cが存在すると判定した場合には、ステップS605に進み、ステップS605では、履歴統計処理部27は、地図情報記憶部25が記憶している地図情報に基づき、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)の近傍に存在する充電施設Cの位置(以下、推奨近傍充電経由地とも呼ぶ)を抽出した後、充電経由地抽出処理を終了する。また、上述したステップS403、S408で提示ルートを抽出できなかった場合には、履歴統計処理部27は、地図情報記憶部25が記憶している地図情報に基づき、計画ルートの近傍に存在する推奨近傍充電経由地を抽出する。これにより、履歴統計処理部27は、走行用バッテリ14の電池残量が不十分であり、かつ、推奨近傍充電経由地が存在する場合には、推奨近傍充電経由地の情報のみを送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0119】
一方、ステップS604において、提示ルートの近傍に充電施設Cが存在しないと判定した場合には、ステップS606に進み、ステップS606では、履歴統計処理部27は、到達不能警告を行うことを決定した後、充電経由地抽出処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行用バッテリ14の電池残量が不十分であり、かつ、推奨近傍充電経由地が存在しない場合には、推奨近傍充電経由地(充電経由地)の情報を送信元端末装置2に送信(提供)しない。
【0120】
<消費電力補正処理>
次に、履歴統計処理部27が実行する消費電力補正処理について説明する。履歴統計処理部27は、上述した走行履歴統計処理において、ステップS418に進むと、消費電力補正処理を実行する。
図18は、消費電力補正処理を表すフローチャートである。
【0121】
図18に示すように、まず、ステップS701では、履歴統計処理部27は、受信した提示ルート検索要求から運転者ID(運転者を特定する情報)を取得する。続いて、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちに、取得した運転者IDと同一の運転者IDを含んでいる第1走行履歴情報(以下、送信元走行履歴情報とも呼ぶ)があるか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、送信元走行履歴情報があると判定した場合には(ステップS701=Yes)、ステップS703に進む。一方、履歴統計処理部27は、送信元走行履歴情報がないと判定した場合には(ステップS701=No)、ステップS702に進む。
【0122】
ステップS701において、送信元走行履歴情報があると判定した場合には、ステップS702に進み、ステップS702では、履歴統計処理部27は、上述したステップS407、S412またはS413で算出した消費電力をそのまま補正後の消費電力(以下、補正後消費電力とも呼ぶ)とし、消費電力補正処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうちに、送信元走行履歴情報がない場合には、上述したステップS407、S412またはS413で算出した消費電力の情報をそのまま送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0123】
一方、ステップS701において、送信元走行履歴情報がないと判定した場合には、ステップS703に進み、ステップS703では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報(走行ルート)のうちに、上述したステップS403で抽出した類似ルートと同一の走行ルート(以下、同一走行ルートとも呼ぶ)があるか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、同一走行ルートがあると判定した場合には(ステップS703=Yes)、ステップS704に進む。一方、履歴統計処理部27は、同一走行ルートがないと判定した場合には(ステップS703=No)、ステップS706に進む。なお、同一走行ルートとして、上述したステップS403で抽出した類似ルートと同一であると判断できるものであればよく、誤差範囲と判断できるような量であれば、相違部分があってもよい。
【0124】
ステップS703において、同一走行ルートがあると判定した場合には、ステップS704に進み、ステップS704では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報のうちから、同一走行ルートを走行した際に消費した消費電力を抽出する。続いて、履歴統計処理部27は、抽出した消費電力を補正用消費電力とする。
【0125】
続いてステップS705に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS704で算出した補正用消費電力に基づいて、上述したステップS407、S412またはS413で算出した消費電力を補正する。消費電力の補正方法としては、たとえば、消費電力を補正用消費電力で置換する方法、消費電力と補正用消費電力との平均値を算出する方法、消費電力bと補正用消費電力aとの差cを用いてa±cと表現する方法がある。続いて、履歴統計処理部27は、補正した消費電力を補正後消費電力とした後、消費電力補正処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報のうちに、同一走行ルートがある場合には、同一走行ルートを走行した際に消費した消費電力で補正を行い、補正後の消費電力を送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0126】
一方、上述したステップS703において、同一走行ルートがないと判定した場合には、ステップS706に進み、ステップS706では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報(走行ルート)のうちに、類似種別走行ルートがあるか否かを判定する。類似種別走行ルートとしては、たとえば、上述したステップS403またはS408で抽出した提示ルート(類似ルート、合成ルート)と道路種別が同一または類似の走行ルートがある。なお、上述したステップS403、408で提示ルートを抽出できなかった場合には、上述したステップS401で探索した計画ルートを類似種別走行ルートとする。そして、履歴統計処理部27は、類似種別走行ルートがあると判定した場合には(ステップS706=Yes)、ステップS707に進む。一方、履歴統計処理部27は、類似種別走行ルートがないと判定した場合には(ステップS706=No)、ステップS710に進む。
【0127】
ステップS706において、類似種別走行ルートがあると判定した場合には、ステップS707に進み、ステップS707では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報を参照して、類似種別走行ルートの単位距離当たりの消費電力(以下、類似種別電力消費率とも呼ぶ)を算出する。
【0128】
続いてステップS708に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS707で算出した類似種別電力消費率と計画ルートの全長とを乗算する。そして、履歴統計処理部27は、乗算結果を補正用消費電力とする。
【0129】
続いてステップS709に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS708で算出した補正用消費電力に基づいて、上述したステップS407、S412またはS413で算出した消費電力を補正する。消費電力の補正方法は、上述したステップS705と同様の方法とすることができる。続いて、履歴統計処理部27は、補正した消費電力を補正後消費電力とし、消費電力補正処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報のうちに、類似種別走行ルートがある場合には、類似種別電力消費率で消費電力を補正し、補正後の消費電力を送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0130】
一方、上述したステップS706において、類似種別走行ルートがないと判定した場合には、ステップS710に進み、ステップS710では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報(走行ルート)のうちに、類似距離走行ルートがあるか否かを判定する。類似距離走行ルートとしては、たとえば、上述したステップS403またはS408で抽出した提示ルート(類似ルート、合成ルート)と全長が同一または類似の走行ルートがある。なお、上述したステップS403、408で提示ルートを抽出できなかった場合には、上述したステップS401で探索した計画ルートを類似距離走行ルートとする。たとえば、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報(走行ルート)のうちに、提示ルートの全長との差が設定値(例えば、±100m)未満の走行ルートがあるか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、類似距離走行ルートがあると判定した場合には(ステップS710=Yes)、ステップS711に進む。一方、履歴統計処理部27は、類似距離走行ルートがないと判定した場合には(ステップS710=No)、ステップS714に進む。
【0131】
ステップS710において、類似距離走行ルートがあると判定した場合には、ステップS711に進み、ステップS711では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報を参照して、類似距離走行ルートの単位距離当たりの消費電力(以下、類似距離電力消費率とも呼ぶ)を算出する。
【0132】
続いてステップS712に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS711で算出した類似距離電力消費率と計画ルートの全長とを乗算する。そして、履歴統計処理部27は、乗算結果を補正用消費電力とする。
【0133】
続いてステップS713に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS712で算出した補正用消費電力に基づいて、上述したステップS407、S412またはS413で算出した消費電力を補正する。消費電力の補正方法は、上述したステップS705と同様の方法とする。続いて、履歴統計処理部27は、補正した消費電力を補正後消費電力とし、消費電力補正処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報のうちに、類似距離走行ルートがある場合には、類似距離電力消費率で消費電力を補正し、補正後の消費電力を送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0134】
一方、上述したステップS710において、類似距離走行ルートがないと判定した場合には、ステップS714に進み、ステップS714では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報(走行ルート)のうちに、類似平均速度走行ルートがあるか否かを判定する。類似平均速度走行ルートとしては、たとえば、上述したステップS403またはS408で抽出した提示ルート(類似ルート、合成ルート)と平均速度が同一または類似の走行ルートがある。なお、上述したステップS403、408で提示ルートを抽出できなかった場合には、上述したステップS401で探索した計画ルートを類似平均速度走行ルートとする。たとえば、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報(走行ルート)のうちに、提示ルートの平均速度との差が設定値(たとえば、±5km/h)未満の走行ルートがあるか否かを判定する。そして、履歴統計処理部27は、類似平均速度走行ルートがあると判定した場合には(ステップS714=Yes)、ステップS715に進む。一方、履歴統計処理部27は、類似平均速度走行ルートがないと判定した場合には(ステップS714=No)、ステップS718に進む。
【0135】
ステップS714において、類似平均速度走行ルートがあると判定した場合には、ステップS715に進み、ステップS715では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報を参照して、類似平均速度走行ルートの単位距離当たりの消費電力(以下、類似平均速度電力消費率とも呼ぶ)を算出する。
【0136】
続いてステップS716に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS715で算出した類似平均速度電力消費率と計画ルートの全長とを乗算する。そして、履歴統計処理部27は、乗算結果を補正用消費電力とする。
【0137】
続いてステップS717に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS716で算出した補正用消費電力に基づいて、上述したステップS407、S412またはS413で算出した消費電力を補正する。消費電力の補正方法は、上述したステップS705と同様の方法とすることができる。続いて、履歴統計処理部27は、補正した消費電力を補正後消費電力とし、消費電力補正処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報のうちに、類似平均速度走行ルートがある場合には、類似平均車速電力消費率で消費電力を補正し、補正後の消費電力を送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0138】
一方、上述したステップS714において、類似平均速度走行ルートがないと判定した場合には、ステップS718に進み、ステップS718では、履歴統計処理部27は、走行履歴蓄積部26が蓄積している送信元走行履歴情報を参照して、すべての送信元走行履歴情報の走行ルートの単位距離当たりの消費電力の平均値(以下、平均電力消費率とも呼ぶ)を算出する。
【0139】
続いてステップS719に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS718で算出した平均電力消費率と計画ルートの全長とを乗算する。そして、履歴統計処理部27は、乗算結果を補正用消費電力とする。
【0140】
続いてステップS720に進み、履歴統計処理部27は、上述したステップS719で算出した補正用消費電力に基づいて、上述したステップS407、S412またはS413で算出した消費電力を補正する。消費電力の補正方法は、上述したステップS705と同様の方法とすることができる。続いて、履歴統計処理部27は、補正した消費電力を補正後消費電力とし、消費電力補正処理を終了する。これにより、履歴統計処理部27は、上述したステップS703、S706、S710およびS714の判定がいずれも「No」となった場合には、平均電力消費率で消費電力を補正し、補正後の消費電力を送信元端末装置2に送信(提供)する。
【0141】
このように、本実施形態では、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報のうち、指定した運転者の第1走行履歴情報基づき、探索した計画ルートを走行した際に消費する消費電力を算出する。続いて、履歴統計処理部27が、算出した消費電力に基づいて、抽出した消費電力を補正する。続いて、履歴統計処理部27が、補正した消費電力の情報を提供する。そのため、運転者の運転特性を考慮した消費電力を取得できる。そのため、より適切な消費電力の情報を提供できる。
【0142】
以上のように、本実施形態では、車両用情報提供装置3が、電動機13を駆動源とする車両Aに搭載された車載装置1から走行位置情報、消費電力情報および充電位置情報の少なくとも1つを順次取得して走行履歴情報(第1走行履歴情報、第2走行履歴情報)として蓄積する。そして、車両用情報提供装置3が、蓄積した第1走行履歴情報を参照して、計画ルートと同一または類似の類似ルートを検索し、検出した類似ルートを提示ルートとして設定する。あるいは、類似ルートに代えて、類似合成ルートを提示ルートとして設定する。続いて、車両用情報提供装置3が、蓄積した第1走行履歴情報および第2走行履歴情報を参照して、設定した提示ルートを走行する際に消費する消費電力および提示ルートを走行する際に経由する充電経由地を検出する。続いて、車両用情報提供装置3が、設定した提示ルートの情報、並びに決定した消費電力および充電経由地の情報を提供する。そのため、実際の環境に則した消費電力の情報、充電経由地の情報を提供できる。
【0143】
なお、本実施形態では、車両用情報提供装置3が、類似ルートを実際に車両Aが走行した際に消費した消費電力および充電経由地の両方を決定(抽出)する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、車両用情報提供装置3が、消費電力および充電経由地の少なくとも1つを決定する構成としてもよい。この場合、車両用情報提供装置3は、提示ルートとともに、決定した消費電力または充電経由地のみを提供(送信)する。
【0144】
加えて、本実施形態によれば、提示ルートの情報を提供する際に、提示ルートにプライバシーに関連すると判断されるプライバシー地点P
Pが含まれる場合には、このようなプライバシー地点P
P近傍の走行ルートが特定できないような態様で、提示ルートの情報を提供する。そのため、本実施形態によれば、プライバシー地点P
Pをわからないものとしながら、実際の環境に則した消費電力の情報、充電経由地の情報を提供できる。
【0145】
また、本実施形態によれば、提示ルートとして抽出された類似ルートまたは類似合成ルートが、全て単一の車両の走行ルートのみからなるものであると判定した場合や、予め定められた所定数以下である場合には、抽出された類似ルートまたは類似合成ルートは、プライバシー性が高い走行ルートであると判定し、提示ルートとしないものと決定する(上述のステップS405、S410)。すなわち、このような場合には、類似ルートまたは類似合成ルートの情報を提供しないものとする。そのため、本実施形態によれば、このようなプライバシー性が高いと判断される走行ルートを開示しないようにすることで、各運転者のプライバシーに関する情報をより適切に保護することができる。
【0146】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0147】
たとえば、上述した実施形態において、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している第1走行履歴情報を参照して、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)を走行する際における、消費電力を運転者毎に決定する構成としてもよい。この場合、履歴統計処理部27が、提示ルートおよび充電経由地の情報とともに、決定した運転者毎の消費電力のうちの、最大の消費電力、最小の消費電力および平均の消費電力の情報を送信元端末装置2に送信(提供)する。これにより、送信元端末装置2は、
図19に示すように、受信した情報に基づき、提示ルートおよび充電経由地に加え、最大の消費電力(消費電力MAX)、最小の消費電力(消費電力MIN)および平均の消費電力(平均消費電力)を表示画面に表示する。なお、この場合においても、提示ルート中に、プライバシー地点P
Pが含まれる場合には、
図13、
図14と同様に、プライバシー地点P
Pの近傍の走行ルートが特定できないような態様で表示させるようにする。
特に、このような構成によれば、提示ルートを走行する際の消費電力を運転者毎に算出し、算出した消費電力のうちの、最大の消費電力、最小の消費電力および平均の消費電力を提供する。そのため、利用者が、運転者毎の消費電力のばらつき度合いを把握することが可能となる。
【0148】
また、上述した実施形態では、表示部24が、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)とともに、消費電力および充電経由地を表示する例を示したが、他の構成を採用することもできる。たとえば、表示部24が、消費電力や充電経由地の抽出に用いた第1走行履歴情報および第2走行履歴情報が含む渋滞有無、走行速度、走行高度、季節、気温、天気、走行時間帯、走行消費電力およびエアコンの消費電力の情報も併せて表示する構成としてもよい。具体的には、端末装置2が、渋滞有無、走行速度、走行高度、季節、気温、天気、走行時間帯、走行消費電力およびエアコンの消費電力の少なくとも1つ(以下、検索用状態量とも呼ぶ)の入力を受け付ける。続いて、端末装置2が、受け付けた検索用状態量の情報を車両用情報提供装置3に送信する。続いて、車両用情報提供装置3(履歴統計処理部27)が、端末装置2が送信した情報を受信すると、受信した情報から検索条件状態量を検索条件として取得する。続いて、履歴統計処理部27が、走行履歴蓄積部26が蓄積している走行履歴情報のうち、取得した検索条件に適合する走行履歴情報を参照して、決定した提示ルートを走行する際に消費する消費電力および提示ルートを走行する際に経由する充電経由地を決定する。続いて、履歴統計処理部27が、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)、消費電力および充電経由地の情報とともに、取得した検索条件の情報を送信元端末装置2に送信(提供)する。これにより、送信元端末装置2は、
図20に示すように、受信した情報に基づき、提示ルート、消費電力および充電経由地に加え、消費電力および充電経由地の決定に用いた検索条件を表示画面に表示する。なお、この場合においても、提示ルート中に、プライバシー地点P
Pが含まれる場合には、
図13、
図14と同様に、プライバシー地点P
Pの近傍の走行ルートが特定できないような態様で表示させるようにする。
このような構成によれば、提示ルート、消費電力および充電経由地とともに、消費電力や充電経由地の決定に用いた検索条件を提供する。そのため、利用者が、消費電力や充電経由地の決定に用いた検索条件を把握できる。
【0149】
また、上述した例において、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)として、プライバシー地点P
Pを含むものが検出された場合には、プライバシー地点P
Pの近傍の走行ルートが特定できないような態様で表示させるような態様としたが、プライバシー地点P
Pを含む提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)については表示を行わず、これらと同一または類似であり、かつ、プライバシー地点P
Pを含まない走行ルートを検索し、これを提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)とするような態様としてもよい。あるいは、提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)が複数抽出され、かつ、プライバシー地点P
Pを含む提示ルートと、プライバシー地点P
Pを含まない提示ルートとが存在する場合には、プライバシー地点P
Pを含まない提示ルートの情報のみを提供するような態様としてもよい。特に、これらの方法によれば、プライバシー地点P
Pを含む提示ルート(類似ルート、類似合成ルート)については情報の提供の対象から除外するため、プライバシー保護水準をより高めることができる。
【0150】
また、上述した実施形態において、出発地点P
Oと目的地点P
Dとの距離に応じて、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
Dの大きさを変更する(距離が遠いほど、大きくする)ような態様としたり、あるいは、出発地点P
Oから目的地点P
Dまで到達するための所要時間(走行時間)に応じて、出発地点範囲R
Oおよび目的地点範囲R
Dの大きさを変更する(所要時間が長いほど、大きくする)ような態様としてもよい。
【0151】
なお、上述した実施形態において、車両用情報提供装置3の走行履歴蓄積部26は本発明の履歴情報蓄積部、プライバシー地点検出部および合成ルート生成部に、車両用情報提供装置3の履歴統計処理部27は本発明の計画ルート取得部、提示ルート決定部、プライバシー判定部、提示ルート決定部、提示情報決定部および提示情報提供部に、それぞれ相当する。