特許第6020223号(P6020223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020223
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】過電流検出回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20161020BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20161020BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20161020BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20161020BHJP
   H03K 19/003 20060101ALI20161020BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01L27/04 H
   H02H3/08 A
   H03K17/08 C
   H03K19/003 E
   G01R19/165 J
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-22225(P2013-22225)
(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公開番号】特開2014-154669(P2014-154669A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 順一
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 弘之
(72)【発明者】
【氏名】角井 博樹
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−324338(JP,A)
【文献】 特開2003−198349(JP,A)
【文献】 特開平09−257840(JP,A)
【文献】 特開2008−235856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
G01R 19/165
H01L 27/04
H02H 3/08
H03K 17/08
H03K 19/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子の一端が負荷に接続されている駆動用MOSFET(1,12)に並列に接続される、電流検出用MOSFET(2,13)及び電流検出用抵抗素子(3)の直列回路と、
前記電流検出用抵抗素子の端子電圧を、閾値電圧と比較する比較器(5)と、
電流源(6)と、前記駆動用MOSFETと同一の温度特性を有する温度特性補正用MOSFET(7,15)と、閾値設定用抵抗素子(8)との直列回路で構成され、前記閾値電圧を発生させる閾値設定回路(9)とを備えることを特徴とする過電流検出回路(1,10,10’,11)。
【請求項2】
前記温度特性補正用MOSFETのオン抵抗値をR1,前記閾値設定用抵抗素子の抵抗値をR2,前記電流検出用抵抗素子の端子電圧をVx,前記温度特性補正用MOSFET及び前記閾値設定用抵抗素子の共通接続点の端子電圧をVyとすると、
前記抵抗値R1,R2は、低温時と高温時とのそれぞれにおいて前記電流検出用抵抗素子に流れる電流の変化を考慮し、低温時と高温時とのそれぞれにおける電圧Vxと電圧Vyとが何れも等しくなることを条件として決定されていることを特徴とする請求項1記載の過電流検出回路(1)。
【請求項3】
出力端子の一端が負荷に接続されている駆動用MOSFET(1)に並列に接続される、電流検出用MOSFET(2)及び電流検出用抵抗素子(3)の直列回路と、
前記電流検出用抵抗素子の端子電圧を、閾値電圧と比較する比較器(5)と、
電流源(23)と、閾値設定用抵抗素子(8)との直列回路で構成される閾値設定回路(22)とを備え、
前記電流源は、主電流経路に制御用抵抗素子(25)が接続され、ミラー電流経路に前記閾値設定用抵抗素子が接続されるカレントミラー回路(24)と、
基準電圧を生成する基準電圧生成回路(28)と、
前記制御用抵抗素子の端子電圧と前記基準電圧とが夫々入力端子に与えられ、前記カレントミラー回路に流れるミラー電流を制御する電流制御回路(29)とで構成され、
基準電圧生成回路は、前記駆動用MOSFETと同一の温度特性を有する温度特性補正用MOSFET(27)のオン抵抗を用いて前記基準電圧を発生させることを特徴とする過電流検出回路(21)。
【請求項4】
前記電流検出用抵抗素子(3)と前記閾値設定用抵抗素子(8)とは、同一の温度特性を有する抵抗素子であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の過電流検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力端子の一端が負荷に接続される駆動用MOSFETに流れる過電流を検出する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動用MOSFETを介して流れる過電流を検出するものとして、例えば検出用のMOSFET及び抵抗素子の直列回路を駆動用MOSFETに並列に接続し、検出用抵抗素子の電位を閾値電圧と比較する構成の回路がある。しかし一般的に、閾値電圧を設定する部分の回路が温度特性を有しているので、閾値のばらつきが大きくなる傾向にある。そのためのマージンを考慮すると、駆動用MOSFETのサイズを大きくする必要があり、チップ面積が大きくなることが問題となる。そこで、閾値電圧のばらつきを低減するための構成が、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−17036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、閾値電圧を設定するために供給する定電流値をダイナミックに調整するため、比較的複雑な回路構成を採用している。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡単な構成で、駆動用MOSFETを介して流れる過電流の検出を精度良く行うことができる過電流検出回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の過電流検出回路によれば、駆動用MOSFETに対し、電流検出用MOSFET及び電流検出用抵抗素子の直列回路を並列に接続し、比較器は、電流検出用抵抗素子の端子電圧を閾値電圧と比較して過電流検出を行う。そして、前記閾値電圧を発生させる閾値設定回路を、電流源と、前記駆動用MOSFETと同一の温度特性を有する温度特性補正用MOSFETと、閾値設定用抵抗素子との直列回路で構成する。
【0006】
このように構成すれば、電流検出用抵抗素子に流れる電流により発生する検出電圧と、閾値設定用抵抗素子に流れる電流により発生する閾値電圧の温度特性が同一になる。これにより双方の電圧の温度特性がキャンセルされるので、過電流の検出を高い精度で行うことができる。したがって、極めて簡単な構成で検出精度を向上させることができ、従来のように駆動用MOSFETの電流駆動能力に余裕を持たせる必要が無くなり、素子サイズを小型にすることができる。
【0007】
請求項2記載の過電流検出回路によれば、温度特性補正用MOSFETのオン抵抗値をR1,閾値設定用抵抗素子の抵抗値をR2,電流検出用抵抗素子の端子電圧をVx,温度特性補正用MOSFET及び閾値設定用抵抗素子の共通接続点の端子電圧をVyとする。そして、抵抗値R1,R2を、低温時,高温時でそれぞれ電流検出用抵抗素子に流れる電流の変化を考慮し、低温時,高温時の電圧Vxと電圧Vyとが何れも等しくなることを条件に決定する。
【0008】
例えば、駆動用,検出用,温度特性補正用MOSFETにそれぞれ流れる電流をI1〜I3とし、各MOSFETのオン抵抗は、低温時を基準として高温時にα倍になるものとする。また、駆動用,検出用MOSFETのオン抵抗をそれぞれA,Bとし、検出用抵抗素子の抵抗値をCとする。すると、低温時において電流I1が過電流となった場合に、検出用MOSFETに流れる電流I2は、
I2=A/(B+C)・I1 …(1)
となり、高温時において電流I1が過電流となった場合に流れる電流I2は、
I2=αA/(αB+C)・I1 …(2)
となる。
【0009】
そして、低温時の電圧Vx,電圧Vyは、
Vx=A/(B+C)・I1・C …(3)
Vy=(R1+R2)・I3 …(4)
高温時の電圧Vx,電圧Vyは、
Vx=αA/(αB+C)・I1・C …(5)
Vy=(αR1+R2)・I3 …(6)
となる。
【0010】
これらより、(3)式と(4)式,(5)式と(6)式がそれぞれ等しくなることが条件となるから、これらの式を解くと、
R1=I1/I3{αA・C/(αB+C)−A・C/(B+C)}
/(α−1) …(7)
R2=I1/I3[A・C/(B+C)−{αA・C/(αB+C)
−A・C/(B+C)}/(α−1)] …(8)
が得られる。したがって、温度特性補正用MOSFETのオン抵抗値と閾値設定用抵抗素子の抵抗値とを、具体的に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態であり、過電流検出回路の構成を示す図
図2】第2実施形態を示す図1相当図
図3】第3実施形態を示す図1相当図
図4】(a)は第4実施形態を示す図1相当図、(b)は電流源の構成を示す図
図5】第5実施形態であり、ハーフブリッジ回路を構成した場合の図1相当図
図6】第6実施形態であり、Hブリッジ回路を構成した場合の図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1(a)において、図示しない負荷が接続される出力端子OUTとグランドとの間には、駆動用MOSFET1と、検出用MOSFET2及び検出用抵抗素子3の直列回路とが接続されている。これらのMOSFET1及び2は何れもNチャネル型であり、これらのゲートには、ゲート制御部4により共通のゲート信号が与えられる。ゲート制御部4には、例えば5Vの電源VCCが動作用電源として供給されている。尚、検出用MOSFET2のサイズは、駆動用MOSFET1のサイズ以下に設定されている。
【0013】
検出用MOSFET2のソースは、ヒステリシス付きコンパレータである比較器5の非反転入力端子に接続されている。電源VCCとグランドとの間には、電流源6,温度特性補正用MOSFET7及び閾値設定用抵抗素子8の直列回路が接続されている。この直列回路は閾値設定回路9を構成している。温度特性補正用MOSFET7もNチャネル型であり、そのドレインは、比較器5の反転入力端子に接続されており、ゲートは電源VCCにプルアップされている。
【0014】
ここで、温度特性補正用MOSFET7には、駆動用MOSFET1と同一の温度特性を有する素子が選択されている。尚、検出用MOSFET2の温度特性が駆動用MOSFET1と同一であることは言うまでもない。また、閾値設定用抵抗素子8についても、検出用抵抗素子3と同一の温度特性を有する素子が選択されている。
【0015】
比較器5は、検出用抵抗素子3の端子電圧(検出電圧)を、温度特性補正用MOSFET7のドレイン電圧である閾値電圧と比較し、前者が後者を超えると出力端子をハイレベルにして、過電流検出信号をゲート制御部4に出力する。ゲート制御部4は、上記過電流検出信号が入力されると、駆動用MOSFET1の駆動を停止する。以上において、駆動用MOSFET1及びゲート制御部4を除いたものが過電流検出回路10を構成している。
【0016】
次に、本実施形態の作用について説明する。ここで、駆動用,検出用,温度特性補正用MOSFET1,2,7にそれぞれ流れる電流をI1〜I3とする。ゲート制御部4がゲート駆動信号をハイレベルにすると、検出用MOSFET2は駆動用MOSFET1と同時にオンして、両者のサイズ比に応じた電流I2を検出用抵抗素子3に流す。したがって、比較器5の非反転入力端子に与えられる検出電圧は、検出用抵抗素子3の抵抗値をCΩとすると、C・I2となる。一方、閾値設定回路9においては、電流源6より供給される電流I3が、温度特性補正用MOSFET7を介して閾値設定用抵抗素子8に流れる。したがって、比較器5の反転入力端子に与えられる閾値電圧は、閾値設定用抵抗素子8の抵抗値をEΩとすると、E・I3となる。
【0017】
駆動用,検出用,温度特性補正用MOSFET1,2,7が何れも同じ温度特性を有しているので、検出用抵抗素子3,閾値設定用抵抗素子8に流れる電流I2,I3により発生する検出電圧と閾値電圧とは、同じ温度特性を有することになる。したがって、上述のように、比較器5が検出電圧を閾値電圧と比較して駆動用MOSFET1に流れる電流I1が過電流となったことを、高い精度で検出できる。
【0018】
ここで、駆動用,検出用MOSFET1,2のオン抵抗をそれぞれAΩ,BΩとし、検出用抵抗素子の抵抗値をCΩとする。また、温度特性補正用MOSFET7のオン抵抗をDΩ,閾値設定用抵抗素子8の抵抗値EΩとして、オン抵抗D(=R1)Ω,抵抗値E(=R2)Ωを決定する方法の一例を示す。各MOSFET1,2,7のオン抵抗は、低温時を基準として高温時にα倍になるものとする。
【0019】
すると、低温時,高温時に検出用MOSFET2に流れる電流I2は、それぞれ前述の(1)式,(2)式で表される。また、比較器5の非反転入力端子,反転入力端子の電位をそれぞれVx,Vyとすると、低温時の電圧Vx,電圧Vyはそれぞれ(3)式,(4)式で表され、高温時の電圧Vx,電圧Vyはそれぞれ(5)式,(6)式で表される。
【0020】
そして、オン抵抗DΩ,抵抗値EΩは、低温時の電圧Vx,電圧Vyと、高温時の電圧Vx,電圧Vyとがそれぞれ等しくなるように決定すれば良い。すなわち、
A/(B+C)・I1・C=I3・(D+E) …(10)
αA・C/(αB+C)・I1・C=I3・(αD+E) …(11)
を解いて、オン抵抗DΩ,抵抗値EΩを求めると(7)式,(8)式が得られる。
【0021】
また、図1(b)に示すように、各電流値及び抵抗値に具体的な数値を付与した場合について、オン抵抗DΩ,抵抗値EΩを求めると以下のようになる。
A=100m,B=100,C=10,電流I1の過電流値を1[A],I3=20μ[A]とし、α=2とする。低温時に検出用MOSFETに流れる電流I2は、(1)式より、
I2=100・10−3/(100+10)・1=0.909[mA]
となり、高温時に流れる電流I2は、(2)式より、
I2=2・100・10−3/(2・100+10)・1=0.952[mA]
低温時の電圧Vx,電圧Vyは、(3)式,(4)式より、
Vx=0.909・10−3・10=9.09[mV] …(12)
Vy=20・10−6・(D+E) …(13)
一方、高温時の電圧Vx,電圧Vyは、(5)式,(6)式より、
Vx=0.952・10−3・10=9.52[mV] …(14)
Vy=20・10−6・(2D+E) …(15)
となる。
【0022】
そして、(12)式と(13)式,(14)式と(15)式がそれぞれ等しくなることが条件となるから、
20・10−6・(D+E)=9.09・10−3 …(16)
20・10−6・(2D+E)=9.52・10−3 …(17)
となり、これらの式を解くと、
D=21.5[Ω]
E=433[Ω]
が得られる。
【0023】
以上のように本実施形態によれば、過電流検出回路10は、駆動用MOSFET1に対し、電流検出用MOSFET2及び電流検出用抵抗素子3の直列回路を並列に接続し、比較器5は、電流検出用抵抗素子3の端子電圧を閾値電圧と比較して過電流検出を行う。そして、閾値電圧を発生させる閾値設定回路9を、電流源6と、駆動用MOSFET1と同一の温度特性を有する温度特性補正用MOSFET7と、閾値設定用抵抗素子8との直列回路で構成した。
【0024】
このように構成すれば、電流検出用抵抗素子3に流れる電流I2により発生する検出電圧と、閾値設定用抵抗素子8に流れる電流I3により発生する閾値電圧の温度特性が同一になり,双方の電圧の温度特性がキャンセルされるので、過電流の検出を高い精度で行うことができる。したがって、極めて簡単な構成で検出精度の向上を図ることができ、従来のように駆動用MOSFETQの電流駆動能力に余裕を持たせる必要が無くなり、素子サイズを小型にできる。
【0025】
また、温度特性補正用MOSFET7のオン抵抗値をD,閾値設定用抵抗素子8の抵抗値をE,比較器5の非反転入力端子,反転入力端子の電位をそれぞれVx,Vyとして、抵抗値D,Eを、低温時,高温時でそれぞれ電流検出用抵抗素子3に流れる電流の変化を考慮し、低温時,高温時の電圧Vxと電圧Vyとが何れも等しくなることを条件に決定する。したがって、温度特性補正用MOSFET7のオン抵抗値と閾値設定用抵抗素子8の抵抗値とを、具体的に決定することができる。そして、電流検出用抵抗素子3と閾値設定用抵抗素子8とを同一の温度特性を有する抵抗素子としたので、過電流の検出精度を一層高めることができる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図2に示す電圧検出回路10’は、第1実施形態の閾値設定回路9を、NチャネルMOSFET7と閾値設定用抵抗素子8との直列接続順を入れ替えた、閾値設定回路9’に置き換えたものである。このように構成される第2実施形態による場合も、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0027】
(第3実施形態)
第1実施形態は、ローサイド駆動方式であったが、図3に示す過電流検出回路11はハイサイド駆動方式に適用したものである。駆動用MOSFET12と、検出用抵抗素子3及び検出用MOSFET13の直列回路とは、14Vの電源VBと出力端子OUTとの間に接続されている。この場合、MOSFET12及び13はPチャネル型であり、これらのゲートには、ゲート制御部4に替わるゲート制御部14より共通のゲート駆動信号が与えられる。ゲート制御部14には、電源VCCに加えて、ゲート駆動用電源として電源VBも供給されている。
【0028】
電源VBとグランドとの間には、抵抗素子8,温度特性補正用MOSFET15(Pチャネル型)及び電流源6の直列回路が接続されており、これらが閾値設定回路16を構成している。温度特性補正用MOSFET15のゲートはグランドにプルダウンされている。そして、検出用MOSFET13のソースは、比較器5の非反転入力端子に接続されている。また、温度特性補正用MOSFET15は、駆動用MOSFET12と同一の温度特性を有する素子が選択されている。
【0029】
次に、第3実施形態の作用について説明する。ゲート制御部14がゲート駆動信号をローレベルにすると、検出用MOSFET13は駆動用MOSFET12と同時にオンして、両者のサイズ比に応じた電流I2を検出用抵抗素子3に流す。したがって、比較器5の非反転入力端子に与えられる検出電圧は、検出用抵抗素子3の抵抗値をCΩとすると、(VB−C・I2)となる。一方、閾値設定回路16においては、電流源6がシンクする電流I3が、閾値設定用抵抗素子8を介して温度特性補正用MOSFET15に流れる。したがって、比較器5の反転入力端子に与えられる閾値電圧は、温度特性補正用MOSFET15のオン抵抗をDΩ,閾値設定用抵抗素子8の抵抗値をEΩとすると、{VB−(D+E)・I3}となる。
【0030】
以上のように構成される第3実施形態によれば、過電流検出回路11を、Pチャネル型の駆動用MOSFET12を用いたハイサイド駆動方式に適用した場合も、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0031】
(第4実施形態)
第4実施形態の過電流検出回路21は、第1実施形態の過電流検出回路1を構成していた閾値設定回路9を、閾値設定回路22に置き換えたもので、閾値設定回路22は、電流源23と閾値設定用抵抗素子8との直列回路で構成されている。図4(b)に示す電流源23において、電源VCCにソースが接続される2つのPチャネルMOSFET24a,24bは、カレントミラー回路24を構成している。PチャネルMOSFET24a,24bのドレイン(それぞれ主電流経路,ミラー電流経路)は、それぞれ制御用抵抗素子25,閾値設定用抵抗素子8を介してグランドに接続されている。
【0032】
また、電源VCCとグランドとの間には、抵抗素子26及び温度特性補正用MOSFET27の直列回路が接続されている。温度特性補正用MOSFET27はNチャネル型であり、そのゲートは電源VCCにプルアップされている。また、温度特性補正用MOSFET27は、駆動用MOSFET1と同一の温度特性を有する素子が選択されている。これらは基準電圧生成回路28を構成している。
【0033】
制御用抵抗素子26及び温度特性補正用MOSFET27の共通接続点とPチャネルMOSFET24aのドレインとは、オペアンプ29(電流制御回路)の非反転入力端子と反転入力端子とにそれぞれ接続されている。そして、オペアンプ29の出力端子は、PチャネルMOSFET24a,24bのゲートに接続されている。
【0034】
次に、第4実施形態の作用について説明する。オペアンプ29の非反転入力端子の電位は、電源VCCの電圧を、制御用抵抗素子26の抵抗値と、温度特性補正用MOSFET27のオン抵抗とで分圧したもの(基準電圧)となる。オペアンプ29は、PチャネルMOSFET24a,24bのゲート電位を、抵抗素子25の端子電圧と前記制御電圧との差に応じた電圧とするように制御する。したがって、PチャネルMOSFET24bを介して閾値設定用抵抗素子8に流れる電流I4は、基準電圧によって制御される。
【0035】
そして、温度特性補正用MOSFET27は、駆動用MOSFET1と同一の温度特性を有しているので、閾値設定用抵抗素子8の端子電圧;閾値電圧は、検出電圧と同様に変化することになり、温度特性がキャンセルされる。
【0036】
以上のように第4実施形態によれば、過電流検出回路21を構成する電流源23を、主電流経路に制御用抵抗素子25が接続され、ミラー電流経路に閾値設定用抵抗素子8が接続されるカレントミラー回路24と、基準電圧生成回路28と、制御用抵抗素子28の端子電圧と基準電圧とがそれぞれ入力端子に与えられ、カレントミラー回路24に流れるミラー電流を制御するオペアンプ29とで構成する。そして、基準電圧生成回路28は、駆動用MOSFET1と同一の温度特性を有する温度特性補正用MOSFET27のオン抵抗を用いて基準電圧を発生させる。このような構成を用いた場合も、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
(第5実施形態)
図5は、電源VBとグランド(VSS)との間に、駆動用MOSFET12及び1の直列回路を接続してハーフブリッジ回路31を構成した場合に、駆動用MOSFET12及び1のそれぞれに過電流検出回路11及び10を配置したものである。出力端子OUTに接続される負荷としては、例えばコイル32及びコンデンサ33から成るLC共振回路等である。
【0038】
(第6実施形態)
図6は、電源VBとグランドとの間に、駆動用MOSFET12A及び1Aの直列回路と、駆動用MOSFET12B及び1Bの直列回路とを接続してHブリッジ回路41を構成した場合に、駆動用MOSFET12及び1のそれぞれに過電流検出回路11及び10を配置したものである。2つの出力端子OUT_A,OUT_B間に接続される負荷としては、例えばDCモータ42等である。
【0039】
本発明は上記した、又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下の用な変形又は拡張が可能である。
閾値設定用抵抗素子8と検出用抵抗素子3との温度特性が異なる場合でも、第1実施形態で示した計算と同様の考え方により、それぞれの抵抗値を最適化するように決定できる。
電流制御回路はオペアンプ29に限らず、例えば複数のトランジスタを組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0040】
図面中、1は駆動用MOSFET、2は検出用MOSFET、3は検出用抵抗素子、5は比較器、6は電流源、7は温度特性補正用MOSFET、8は閾値設定用抵抗素子、9は閾値設定回路、10は過電流検出回路を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6