(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記許容電流値増加手段(S96)は、自身の前記冷凍コンテナ(2)の前記庫内の設定温度と庫内温度との偏差から前記必要電流値を演算し、この必要電流値に基づいて前記許容電流値を増加させることを特徴とする請求項1に記載の冷凍コンテナシステム。
前記制御装置(12)は、前記発電最大電流値よりも前記合計必要電流値のほうが大きい場合に、前記通信手段(101)を介して制御できる前記冷凍装置(100)の前記必要電流値を低減させる低減手段(S106、S136、S217)を有し、この低減された前記必要電流値に基づいて設定された前記許容電流値の範囲内で前記冷凍装置(100)を運転することを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍コンテナシステム。
前記制御装置(12)は、前記発電最大電流値よりも前記合計必要電流値のほうが大きい場合に、アラームを発する手段(S216)を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の冷凍コンテナシステム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0017】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について
図1ないし
図11を用いて詳細に説明する。
図1のように、船内の冷凍コンテナ用の発電機1は、3相の440ボルトの電圧を発生し、複数(n台)の冷凍コンテナ2a、2b、2n(総称して冷凍コンテナ2とも言う)に電力を供給する。なお、発電機1の最大電力に係る最大供給電流値を発電最大電流値とし、各冷凍コンテナ2が充分な冷凍能力を確保するために各冷凍コンテナ2に流す必要のある電流値を必要電流値と定義する。
【0019】
図2において、冷凍コンテナ2内には冷凍サイクルによって庫内の冷凍製品を冷却する後述する冷凍装置が設けられ、表面には冷凍装置の後述する制御装置が設けられた操作パネル3が露出している。
【0020】
図3は、
図2に示した操作パネル3および操作パネル周辺の冷凍コンテナ2の模式構成を示している。また、
図4は操作パネル3に設けられた制御ボックス4の正面の構成を示している。
図4のように、制御ボックス4は、液晶装置からなるディスプレイ5と押しボタンスイッチ6とを有する。
【0021】
また、
図3において、制御ボックス4の下側には、電動圧縮機(単に圧縮機とも言う)5を有し、更に、熱を放熱する放熱用熱交換器7と庫内から熱を吸熱する熱交換器を成す庫内冷却用熱交換器8が設けられている。また、放熱用熱交換器7に庫外の空気を送風する凝縮器用送風機9が設けられている。
【0022】
この凝縮器用送風機9は、
図3の紙面奥方向に向かう空気9aが放熱用熱交換器7を通過した後、
図3の紙面手前方向に流れるよう空気9aを移動させる。また、
図3の上部裏側には、庫内の空気を蒸発器から成る庫内冷却用熱交換器8に送風する蒸発器用送風機11a、11bが設けられている。
【0023】
図5は、制御ボックス4の内部配置を示している。制御ボックス4内にはCPU(セントラルプロセッシングユニット)を備えた制御装置12と電磁開閉器やブレーカ等の電気部品13と、船舶の中央監視装置からの信号を受け取る監視用制御器14とが設けられている。制御装置12は、自身が備えられた冷凍コンテナ2に関するコンテナID(コンテナ登録符号)の情報を内部のメモリに記憶している。
【0024】
図6は、冷凍装置100における冷凍サイクルの構成を示す。冷凍装置100における冷凍サイクルは、圧縮機5、放熱用熱交換器を成す凝縮器7、レシーバー12、減圧手段13、庫内冷却用熱交換器を成す蒸発器8、アキュムレータ14と、これらをつなぐ冷媒配管とからなる周知のものである。まず、圧縮機5は、気相冷媒を吸入して高温高圧に圧縮するもので、インバータによって内部の圧縮機駆動用の電動機における回転数が制御される。
【0025】
凝縮器7は、圧縮機5から吐出される冷媒を凝縮させるもので、凝縮器用送風機9によって送風される冷却風によって内部の冷媒が冷却されて凝縮する。レシーバー12は、凝縮器7にて凝縮された冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離するとともに、液相冷媒を貯留しながら且つ導出するものである。
【0026】
減圧手段としての膨張弁13は、レシーバー12からの液相冷媒を減圧するものである。この膨張弁13は、蒸発器8の出口冷媒温度を検知する図示しない温度サーミスタを用いてCPUから演算され開度信号により動作する電子式膨張弁であり、蒸発器8の出口冷媒の過熱度を所定置に維持するように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。
【0027】
蒸発器8は、膨張弁13で減圧された冷媒を、蒸発器用送風機を成す冷凍ファン11a、11bで循環される冷凍室内の空気と熱交換させて当該冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱によって循環空気を冷却する熱交換器である。アキュムレータ14は、蒸発器8を通過した冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離するとともに、液相冷媒を貯留しながら気相冷媒を圧縮機5へ導出するものである。
【0028】
また、蒸発器8の下方には、蒸発器8より生じる凝縮水を受けて集める図示しないドレンパンが設けられている。このドレンパンに集まった凝縮水は、排水通路を通り、この排水通路に接続されたドレンホースを通って冷凍室の外に出て図示しない車両床下に排水される。
【0029】
また、圧縮機5の吐出側P1と膨張弁13の下流側かつ蒸発器8の上流側P2とを連通してホットガスを導く除霜用バイパス回路BPが設けられている。この場合、除霜用バイパス回路BPには、開閉手段である電磁弁16が設置されている。
【0030】
また、この除霜用バイパス回路BPを形成する冷媒配管15の一部は、ホットガス除霜時にドレンパンを加熱するドレンパンヒータ15aを兼ねており、ドレンパンの内側表面に這わすようにして設置されている。
【0031】
図7は、制御の全体フローチャートを示す。この
図7の制御は定期的に実行される。
図7において、制御が開始されると、ステップS71において各種入力情報の読み込みが行われる。このときに、各冷凍コンテナ2は、
図4の押しボタンスイッチ6によって手動入力された各冷凍コンテナ2の初期許容電流を読み込んでいる。
【0032】
次に、ステップS72において、複数の冷凍コンテナ2の一つをマスターコンテナとするようにマスターコンテナ選定制御が実行される。次に、ステップS73において、各冷凍コンテナ2の冷凍能力過不足判定制御が実行される。この冷凍能力過不足判定制御は、各冷凍コンテナ2の冷凍能力の過不足を判定するものである。次に、ステップS74において許容電流算出制御が実行され、各冷凍コンテナ2に割り当てる許容電流が算出される。
【0033】
図8は、マスターコンテナ選定制御(ステップS72)を示す。
図5のCPUを備えた制御装置12は、自身が備えられた冷凍コンテナ2に関するコンテナIDの情報を内部のメモリに記憶している。
図8において、マスターコンテナ選定制御が開始されると、ステップS81において制御装置12同士が互いに電力線搬送型の通信線101(
図1)を介して通信し、冷凍コンテナ2間でコンテナIDを互いに比較する。次に、ステップS82において、コンテナIDがもっとも若い(数字であれば小さい)冷凍コンテナ2をマスターコンテナに決定する。
【0034】
図9は、冷凍能力過不足判定制御(ステップS73)を示す。冷凍能力過不足判定がスタートすると、ステップS91において、冷凍コンテナ2内の庫内温度が予め設定された温度範囲にあるか否かを判定する。庫内温度が予め設定された温度範囲にある場合は、ステップS92において、庫内温度が設定温度の範囲内にあったときの冷凍装置100の平均消費電流値を記憶する。
【0035】
次に、ステップS93において、庫内温度が設定温度範囲内を所定時間(この実施形態では1時間)以上継続して維持されていたか否かを判定する。庫内温度が設定温度範囲内を1時間以上継続していた場合は、ステップS94において、その冷凍コンテナ2が充分な冷凍能力を得るために必要な必要電流値を上記設定温度範囲内における冷凍装置100に流れ込んだ平均消費電流値として、許容電流値を変更する。なお、許容電流値とは機器に設定される設定値であり、必要電流値とは制御装置で計算される設定値を言う。
【0036】
また、当初設定されていた許容電流値を必要電流値に応じて変更する。この実施形態においては、許容電流値を必要電流値と同じ値として設定しているが、許容電流値を必要電流値より所定量大きい値としても良い。
【0037】
更に、ステップS95において、変更した必要電流値(許容電流値)をマスターコンテナの制御装置(マスター制御装置)12に送信し、マスター制御装置12内のメモリに許容電流値を更新して記憶させる。
【0038】
ステップS91で、庫内温度が設定温度範囲内に無い場合は、ステップS93に移行する。また、ステップS93において庫内温度が設定温度範囲内を1時間以上継続していない場合は、ステップS96において、設定温度とそのときの庫内温度との偏差から、その冷凍コンテナ2が充分な冷凍能力を発揮するのに必要な必要電流をマップにより算出する。上記マップは、予め実験で定めた値を制御装置12内に記憶している。次に、ステップS97に進んで、算出した必要電流値をマスター制御装置12に送信し、マスター制御装置12のメモリに必要電流値を更新して記憶させる。
【0039】
次に、
図10、は、許容電流値算出制御(ステップS74)を示す。各冷凍コンテナ2の冷凍装置100の主として圧縮機5にて消費される電流値が許容電流値を上回ると、ブレーカまたは電磁開閉器がオフして圧縮機5が停止する。
【0040】
この許容電流値の設定は、
図4の制御ボックス4内のディスプレイ5と押しボタンスイッチ6を使用して手動で設定し変更することも可能である。また、マスター制御装置12からの信号、または、監視用制御器14を介した図示しない中央監視装置からの信号により、許容電流値を設定し変更することが可能である。
【0041】
図10の許容電流値算出制御が開始されると、ステップS101において、この制御を実行している制御装置12の冷凍コンテナ2が、マスターコンテナかどうかが判定される。マスターコンテナである場合は、ステップS102において各冷凍コンテナ2からの許容電流値変更情報を受信しているか否かを判定する。この許容電流値変更情報とは、
図9のステップS95の許容電流値のことである。
【0042】
許容電流値変更情報がある場合には、ステップS103に進み、各冷凍コンテナ2の許容電流値の合計値である合計必要電流値を演算し、すでに記憶している合計必要電流値を更新する。ステップS102において、各冷凍コンテナ2からの許容電流値変更情報を受信していない場合は、直ちにステップS104に進み、やはり各冷凍コンテナ2からの必要電流値変更情報を受信していないか確認し、受信していない場合は許容電流値算出制御を終了する。
【0043】
ステップS104において、各冷凍コンテナ2からの必要電流値変更情報を受信している場合は、ステップS105において、発電機1の最大電力に係る発電最大電流値とステップS103で更新した合計必要電流値とを比較する。合計必要電流値の方が、発電最大電流値より大きい場合は、ステップS106に進み、そうでない場合は、ステップS108において必要電流値情報を出したコンテナの許容電流値を更新し、制御を終了する。
【0044】
ステップS106においては、合計必要電流値の方が、発電最大電流値より大きいため、各冷凍コンテナ2の許容電流値を一律で低減し、合計必要電流値が発電最大電流値を超えないようにする。このためには、合計必要電流値の方が、発電最大電流値よりどれだけ大きいか超過量を演算し、この超過量を同じ発電機1に接続されている冷凍コンテナ2の台数で割って一律低減量を演算する。またこの、ステップS106で、合計必要電流値を演算する基礎となった各冷凍コンテナ2の必要電流値から一律低減量を減算した値を各冷凍コンテナ2の必要電流値(=許容電流値)として割り付ける。
【0045】
更に、ステップS107において、割り付けられた許容電流値を超えないように各冷凍コンテナ2の冷凍装置100の圧縮機5を運転させ、許容電流値算出制御を終了する。割り付けられた許容電流値を超えないようにするために、冷凍コンテナ2は、圧縮機5の回転数をインバータで低減し、冷凍能力を落とすことになる。
【0046】
図11は、上記第1実施形態の作用効果を示す。
図11においては判り易くするために、冷凍コンテナ2の総数を3台としている。今、冷凍コンテナ2a、2bの冷凍負荷が安定し、
図9のステップS94、95のように演算され、許容電流値が当初の設定値から変更されているとする。また、冷凍コンテナ2cの冷凍負荷の変動が大きく、ステップS93において庫内温度が設定温度以内を1時間以上継続していないとする。
【0047】
この場合、
図11の余力電流値分(低減された許容電流値分)Ya1、Yb1のように、冷凍コンテナ2a、2bでは、ステップS94、95において許容電流値が当初の設定値より低減されるため、冷凍コンテナ2cの許容電流は、余力電流値分(低減された許容電流値分)Ya1、Yb1分だけ積み上げ可能である。
【0048】
これによって、他の冷凍コンテナ2a、2bから譲ってもらった許容電流値分だけ冷凍コンテナ2cは冷凍能力を上げることができ、冷凍コンテナ2c内の冷凍物品の品質低下が防止できる。
【0049】
そして、各冷凍コンテナ2a〜2cの冷凍負荷が上昇し、許容電流値が増加するように更新されて、ついに、
図10のステップS105において、合計必要電流値が発電最大電流値を超えるようになると、ステップS106、107のように全冷凍コンテナ2a〜2cの許容電流値が一律低減される。
【0050】
その結果、低減後の合計必要電流が発電機最大電流を越えないようにされるから、発電機1が故障することが無い。また、特定の冷凍コンテナ2cのみが急速に冷凍品質の悪化を招くことがない。なお、ステップS106からステップS107の間で、中央監視装置に許容電流値を強制的に一律低減したことが送信され、必要な処理を促すことができる。
【0051】
このように、この第1実施形態においては、1台の発電機1に対して複数の冷凍コンテナ2a〜2nが、各々電源線で接続されて電源供給される冷凍コンテナシステムを提供している。そして、各冷凍コンテナ2a〜2nには、自身の消費電力情報を外部へ送信したり、自身以外の冷凍コンテナ2の消費電力情報を受信したりすることができる通信線101を持つ通信手段を有する。
【0052】
この通信手段10を用いて、負荷変動によって庫内温度が設定温度範囲を超えた(または超えそうな)冷凍コンテナ2cに、他の冷凍コンテナ2a、2bの余力電流値分(低減された許容電流値分)だけ、増加された許容電流値を割り当てることができる。
【0053】
また、冷凍能力が足りている場合は、庫内温度が設定温度範囲内中に記録された平均消費電流値に許容電流値を変更し、変更した許容電流値をマスターコンテナに送信する。一方、冷凍能力が不足している場合は、設定温度と庫内温度の偏差から必要電流値を算出し、必要電流値をマスターコンテナ内のマスター制御装置に送信する。この場合、スレーブ側の制御装置12で勝手に許容電流値を偏差から求めた必要電流値に応じて設定変更するのでなく、マスター制御装置12からの許可あるいは指示を得て変更する。
【0054】
第1実施形態と、
図22、
図23の開発過程の装置との違いを説明する。開発過程の技術では、日射などの影響により、過渡的に冷凍負荷が発生し、冷凍コンテナ2cにおける庫内の温度が設定温度範囲を超えた場合、許容電流値の限度まで電流(冷凍能力)を上げる。しかし、設定温度範囲に達するまで時間がかかったり、設定温度範囲に戻せないで庫内の荷物が傷んでしまったりする可能性がある。
【0055】
一方、上記第1実施形態では、1台の冷凍コンテナ(例えば2c)の冷凍負荷が急に上昇した場合に、
図11のように他の冷凍コンテナ2a、2bから余力電流値分Ya1、Yb1を融通させることで、庫内の荷物が傷んでしまうという可能性を低減することが可能である。
【0056】
(第1実施形態の作用効果)
上記第1実施形態においては、電源電圧を発生する発電機1と、発電機1から発電最大電流値の範囲内の電流を供給され庫内を冷却する複数の冷凍コンテナ2a〜2nとを備えている。冷凍コンテナ2a〜2nの各々は、発電機1の電力により許容電流値の範囲内で電流が供給されて庫内を温度調節する冷凍装置100と、自身の冷凍コンテナ2a〜2nの冷凍装置100の運転に必要な必要電流値を演算する制御装置12と、自身の冷凍コンテナ2a〜2n以外の他の冷凍コンテナ2a〜2nの制御装置12と通信する通信手段101とを有する。
【0057】
制御装置12の少なくとも一つは、通信手段101を介して取得した冷凍コンテナ2a〜2n全体の合計必要電流値と、発電最大電流値とを比較する比較手段S105を有する。また、制御装置12は、合計必要電流値よりも発電最大電流値のほうが大きい場合に、冷凍能力が不足している冷凍コンテナ2a〜2nの冷凍装置100が消費する電流に対する許容電流値を増加させる許容電流値増加手段S96を有する。
【0058】
これによれば、発電最大電流値のほうが合計必要電流値よりも大きい場合は、冷凍能力が不足する冷凍コンテナ2cの冷凍装置100が消費する電流に対する許容電流値を増加させる。従って、発電機1の能力を最大限に活用して、冷凍コンテナ2内の冷凍装置100を運転することができる。
【0059】
許容電流値増加手段S96は、自身の冷凍コンテナ2の庫内の設定温度と庫内温度との偏差から必要電流値を演算する。そして、この必要電流値に基づいて許容電流値を増加させている。
【0060】
これによれば、制御装置12は、冷凍装置100の負荷変動によって自身の冷凍コンテナ2の庫内温度と設定温度との間に偏差が生じた場合に、充分に庫内を冷却するために必要な必要電流値を算出して、冷凍コンテナ2の許容電流値を増加させる。従って、合計必要電流値と、発電最大電流値との比較結果を活用して、更に庫内を充分に冷却することができる。
【0061】
制御装置12は、発電最大電流値よりも合計必要電流値のほうが大きい場合に、通信手段101を介して制御できる冷凍装置100の許容電流値を低減させる低減手段S106を有する。そして、この低減された許容電流値の範囲内で冷凍装置100を運転する。
【0062】
これによれば、制御装置12は、発電最大電流値よりも合計必要電流値のほうが大きい場合に、通信手段101を介して制御できる冷凍装置100の許容電流値を低減させて、この低減された許容電流値の範囲内で冷凍装置100を運転する。従って、発電機1がオーバーロードに成ることを防止できる。
【0063】
複数の冷凍コンテナ2内の各制御装置12は、マスターコンテナを選択する手段S72を有する。マスターコンテナとして選択された冷凍コンテナ2の制御装置12から成るマスター制御装置12に、比較手段S105を有する。
【0064】
これによれば、マスターコンテナとして選択された冷凍コンテナの制御装置12から成るマスター制御装置12が、冷凍コンテナ2全体の合計必要電流値と、発電最大電流値とを比較する。そして、合計必要電流値よりも発電最大電流値のほうが大きい場合に、冷凍コンテナ2の冷凍装置100が消費する電流に対する許容電流値を増加させる。従って、重複した制御装置12における演算を無くすことができる。
【0065】
自身の冷凍コンテナ2の冷凍装置100の運転に必要な必要電流値の演算は、庫内の温度が設定温度範囲内を所定時間以上継続して維持したときに、所定時間内における冷凍装置100の平均消費電流値を、演算された必要電流値とする。あるいは、庫内の温度が設定温度範囲内を所定時間以上継続して維持しなかったときに、設定温度と庫内の温度との偏差から演算した値を演算された必要電流値とする。これによれば、冷凍コンテナ2が充分に庫内の温度を調整するために必要な必要電流値を容易に演算することができる。
【0066】
制御装置12は、複数の冷凍コンテナ2の各々に発電機1から流れる電流の大きさを規制する許容電流値を設定する手段を有する。許容電流値は、制御開始の当初に設定されていた当初許容電流値が、演算された必要電流値に基づいて変更される。
【0067】
これによれば、当初に設定されていた当初許容電流値が、演算された必要電流値に基づいて変更され、発電機1の発電最大電流値の範囲内で必要電流値および許容電流値を変化させ、冷凍コンテナ2の冷凍装置100の負荷の変動に対処することができる。
【0068】
当初許容電流値は、発電最大電流値を複数の冷凍コンテナ2の台数で除して、均等に割り振られた値から成る。これによれば、容易に当初許容電流を設定することができる。複数の冷凍コンテナ2の台数を、通信手段101を介して複数の冷凍コンテナ2のコンテナIDの情報から確定する。これによれば、自動的に複数の冷凍コンテナ2の台数を把握することができる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。なお、第2実施例以下については、第1実施例と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明が援用される。
【0070】
第1実施形態における許容電流の設定は、手動で冷凍コンテナ2毎に任意の値で設定されたが、この第2実施形態では、均等に当初の許容電流を割り振るものである。つまり、この第2実施形態は、
図12から
図14のように、発電最大電流を冷凍コンテナ2の台数で割って(除して)冷凍コンテナ2毎に割り当てられた当初許容電流を設定し、この当初許容電流を超えない余力電流値分を冷凍能力が不足している冷凍コンテナ2に回すものである。
【0071】
図12は、
図7に対応する第2実施形態の冷凍コンテナ2内の制御を示す。
図12においては、ステップS121において、発電最大電流を冷凍コンテナ2の台数(総数)で除して各冷凍コンテナ2の当初許容電流を均等に設定している。ステップS122からステップS124は、第1実施形態と略同様である。
図13は、
図10に対応する第2実施形態の許容電流値算出制御を示す。以下、第2実施形態を具体的に説明する。
【0072】
先ず、前述の
図12のステップS122では、マスターコンテナ選定制御を実行する。上述のように、CPUを備えた制御装置12(
図5)は、自身が備えられた冷凍コンテナ2に関するコンテナIDの情報を内部のメモリに記憶している。ステップS122のマスターコンテナ選定制御が開始されると、制御装置12同士が互いに通信し、冷凍コンテナ2間でコンテナIDを互いに比較する。そして、コンテナIDがもっとも若い冷凍コンテナ2をマスターコンテナに決定する。
【0073】
図9の冷凍能力過不足判定制御を示すフローチャートは第2実施形態のステップS123にも適用される。ステップS123の冷凍能力過不足判定がスタートすると、
図9のステップS91において、冷凍コンテナ2内の庫内温度が予め設定された温度範囲にあるか否かを判定する。庫内温度が予め設定された温度範囲にある場合は、ステップS92において、庫内温度が設定温度の範囲内にあったときの冷凍装置の平均消費電流値を記憶する。
【0074】
次に、ステップS93において、庫内温度が設定温度範囲内を所定時間(この第2実施形態では1時間)以上継続していたか否かを判定する。庫内温度が設定温度範囲内を1時間以上継続していた場合は、ステップS94において、必要電流値を上記設定温度範囲継続中における冷凍装置100の平均消費電流値として、許容電流値を変更する。
【0075】
また、許容電流値を必要電流値に応じて設定する(簡単には同じ値にする)。更に、ステップS95において、変更した許容電流値をマスター制御装置12に送信し、マスター制御装置12のメモリに必要電流値を更新して記憶させる。
【0076】
ステップS91で、庫内温度が設定温度範囲内に無い場合は、ステップS93に移行する。また、ステップS93において庫内温度が設定温度範囲内を1時間以上継続していない場合は、ステップS96において、設定温度とそのときの庫内温度との偏差から、その冷凍コンテナ2が充分な冷凍能力を発揮するのに必要な必要電流値をマップにより算出する。更に、ステップS97に進んで、算出した必要電流値をマスター制御装置12に送信し、マスター制御装置12のメモリに必要電流値を更新して記憶させる。
【0077】
次に、
図13は、第2実施形態における許容電流値算出制御(ステップS124)を示す。各冷凍コンテナ2の冷凍装置100の主として圧縮機5にて消費される電流値が許容電流値を上回ると、ブレーカまたは電磁開閉器がオフして圧縮機5が停止する。
【0078】
当初の許容電流値の設定は、
図12のステップS121において均等に設定されている。
図13の許容電流値算出制御(ステップS124)が開始されると、ステップS131において、この制御を実行している制御装置12の冷凍コンテナ2が、マスターコンテナであるか否かが判定される。
【0079】
マスターコンテナである場合は、ステップS132において、各冷凍コンテナ2からの許容電流値変更情報を受信しているか否かを判定する。この許容電流値変更情報とは、
図9のステップS95の必要電流値のことである。
【0080】
許容電流値変更情報がある場合には、ステップS133に進み、各冷凍コンテナ2の許容電流値の合計値を演算し、すでに記憶している許容電流値の合計値を更新する。ステップS132において、各冷凍コンテナ2からの許容電流値変更情報を受信していない場合は、直ちにステップS134に進み、やはり各冷凍コンテナ2からの必要電流値変更情報を受信していない場合は、許容電流値算出制御を終了する。
【0081】
ステップS134において、各冷凍コンテナ2からの必要電流値変更情報を受信している場合は、ステップS135において、発電機1の最大電力に係る発電最大電流値とステップS133で更新した合計必要電流値とを比較する。合計必要電流値の方が、発電最大電流値より大きい場合は、ステップS136に進み、そうでない場合は、ステップS138において必要電流値情報を出したコンテナの許容電流値を更新し、制御を終了する。
【0082】
ステップS136においては、合計必要電流値の方が、発電最大電流値より大きいため、
図12のステップS121で均等に設定された全冷凍コンテナ2の許容電流値を一律で低減し(例えば所定量減算するか1より小さい所定値を乗算する)、合計許容電流値が発電最大電流値を超えないようにする。このためには合計許容電流値の方が、発電最大電流値よりどれだけ大きいか超過量を演算し、この超過量を同じ発電機1に接続されている冷凍コンテナ2の台数で割って一律低減量を演算する。
【0083】
次に、ステップS136で合計必要電流値を演算する基礎となった各冷凍コンテナ2の必要電流値から一律低減量を減算した値を各冷凍コンテナ2の新許容電流値として割り付ける。更に、ステップS137において、割り付けられた新許容電流値を超えないように各冷凍コンテナ2の冷凍装置100を運転させ、許容電流値算出制御を終了する。割り付けられた許容電流値を超えないようにするために、必要電流値以下の許容電流値が割り当てられた冷凍コンテナ2は、圧縮機5の回転数をインバータで低減し、冷凍能力を落とすことになる。
【0084】
図14は、上記第2実施形態の作用効果を示す。
図12においては、判り易くするために、冷凍コンテナ2の総数を3台としている。今、冷凍コンテナ2a、2bの冷凍負荷が安定し、
図9のステップS94、95のように演算され、許容電流値が当初の設定値から変更されているとする。
【0085】
また、冷凍コンテナ2cの冷凍負荷の変動が大きく、ステップS93において、庫内温度が設定温度以内を1時間以上継続していないとする。この場合、
図14の余力電流値分Ya2、Yb2のように、冷凍コンテナ2a、2bでは許容電流値が当初の値より余力電流値分Ya2、Yb2分だけ低減されたため、冷凍コンテナ2cの許容電流値は、余力電流値分Ya2、Yb2分だけ積み上げ可能である。
【0086】
これによって、他の冷凍コンテナ2a、2bから譲ってもらった許容電流分である余力電流値分Ya2、Yb2だけ、冷凍コンテナ2cは、冷凍能力を上げることができ、冷凍コンテナ2c内の冷凍物品の品質低下が防止できる。
【0087】
図13のステップS135において、合計必要電流が発電最大電流を超えるようになると、ステップS136、137のように、全冷凍コンテナ2の必要電流値、すなわち当初許容電流値が一律低減される。この結果、合計許容電流が発電機最大電流を越えないようにされるから、発電機1が故障することが無い。
【0088】
また、特定の冷凍コンテナ2cのみが急速に冷凍品質の悪化を招くことがない。なお、
図13のステップS136からステップS137の間で、中央監視装置に許容電流値を強制的に一律低減したことを送信してもよい。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。
図15は、本発明の第3実施形態を示す冷凍コンテナシステムの電気系統を示している。第1実施形態および第2実施形態においては、発電機1の定格出力等が押しボタンスイッチ6(
図4)によって各冷凍コンテナ2の制御装置12に入力されており、この定格出力等から発電機1から取り出し得る発電最大電流値が判明した。
【0090】
一方、この第3実施形態においては、
図15のように、発電機1から取り出し得る発電最大電流値(発電可能電力情報)を冷凍コンテナ2a〜2n内の制御装置12(
図5)が所定のインターバルで取り込むものである。
【0091】
これによって、押しボタンスイッチ6への入力手間が省け、かつ変動する発電機1の能力に対応した発電最大電流値を制御装置12が取り込むことができる。なお、この発電最大電流値の取り込みは、
図7のステップS71または
図12のステップS121で行われる。また、発電機1に接続されている冷凍コンテナ2は3台で説明したが、冷凍コンテナ2は何台接続されていても構わない。
【0092】
そして、マスター制御装置12は、発電機1から発電最大電流値の情報を取得し、取得した発電最大電流値と、同じ発電機1に接続されている他の冷凍コンテナ2a〜2nの必要電流値から、発電可能電力を越えないように、各冷凍コンテナ2a〜2nの消費電流を制御する。具体的には電動圧縮機5の回転数を制御する。
【0093】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。
図16は、本発明の第4実施形態を示す冷凍コンテナシステムの電気系統を示す。
図16において、マスターコンテナの選定は、
図3の制御ボックス4からの手動入力情報に基づいて行われる。なお、
図7のフローチャートはそのままでもよく、各種入力情報を読み込むステップS71において、マスターコンテナの選定が制御ボックス4から手動入力されていれば、その手動入力された情報をステップS72の選定制御よりも優先するようにすればよい。
【0094】
このように、第4実施形態は、マスターコンテナの選定を制御装置12が自発的に行うのでなく、外部からの入力によって行うものである。なお、船舶の中央監視装置からの信号を受け取る監視用制御器14(
図5)からの情報を最優先してマスターコンテナを選定してもよい。
【0095】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。
図17において、発電機1に電力ケーブルとコネクタを介して複数の冷凍コンテナ2a〜2nが接続される。次に、各冷凍コンテナ2a〜2n内の圧縮機5が作動する前に、操作パネル3(
図2)内の図示しないインピーダンス回路を介して、全部の冷凍コンテナ2a〜2nに共通の初期電流が流れる。
【0096】
この初期電流の合計値は、発電機1側の制御回路で検出され、冷凍コンテナ2a〜2nのマスター制御装置12内に各種入力情報の一つとして送信される。これにより、
図18のステップS181において、初期電流の合計値から何台の冷凍コンテナ2a〜2nが発電機1に接続されているかが判明する。
【0097】
なお、複数の冷凍コンテナ2が同時に起動しないようにすれば、順次起動される冷凍コンテナ2の初期電流が流れた回数を積算して、台数を把握してもよい。このように複数の冷凍コンテナ(2a〜2n)の台数を、複数の冷凍コンテナ(2a〜2n)に流れる初期電流の合計値または初期電流が流れた回数から容易かつ自動的に複数の冷凍コンテナ(2a〜2n)の台数を確定することができる。
【0098】
このコンテナIDの数と初期電流の合計値等から判明した台数とが一致しないときは、冷凍コンテナ2a〜2nの中に通信機能を持たない、または、通信機能が不調な冷凍コンテナ2n(
図17)が混入していることが判明する。
【0099】
このように通信機能が発揮できない冷凍コンテナ2nが混入している場合も含めて、ステップS181のように、発電機1の発電最大電流値を発電機1に現に接続されている冷凍コンテナ2の台数(通信機能が発揮できない冷凍コンテナ2の台数を含む)で割った値を各冷凍コンテナ2の当初許容電流値として設定して記憶する(当初許容電流値となる均等配分値を設定し記憶する)。
【0100】
次に、ステップS182において、通信機能が存在する冷凍コンテナ2間でマスターコンテナを選定する。そして、ステップS183、184で、通信機能が存在する冷凍コンテナ2間において、冷凍能力過不足判定制御および許容電流算出制御を
図9および
図13のように行う。以下これについて説明する。
【0101】
通信機能が発揮できない冷凍コンテナ2nの必要電流値は、上記当初許容電流値と同じとして扱う。よって、第5実施形態が援用する
図13の合計必要電流値には通信機能が発揮できない冷凍コンテナ2nの必要電流値も含まれる。
【0102】
また、全冷凍コンテナ2の当初許容電流値を一律で低減し新許容電流値を割り付けるのは、通信機能が発揮できない冷凍コンテナ2nに対しても行われる。仮に、通信機能が発揮できない冷凍コンテナ2nが新許容電流値をオーバーした場合は、図示を省略した発電機1側の配電盤にて警報を発し、強制的に電流を低減または回路を遮断して警報する。
【0103】
なお、各冷凍コンテナ2a〜2n内の圧縮機5が作動する前に操作パネル3内のインピーダンス回路(インピーダンス値は、各冷凍コンテナ2において共通である)を介して全部の冷凍コンテナ2a〜2nに共通の初期電流が流れるようにする代わりに、初期において、発電機1側の配電盤内の定電流制御装置にて強制的に各冷凍コンテナ2a〜2nを一定の消費電流で運転させてもよい。このようにすることで、合計消費電流値から発電機1に接続されている冷凍コンテナ2a〜2nの台数を自動的に確認してもよい。なお、このことは、圧縮機5を起動するときの合計の始動電流の低減にも繋がる。
【0104】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。
図19において、発電機1には、冷凍コンテナ2a〜2nが電気的に接続されている。また、各冷凍コンテナ2a〜2nの
図5の制御装置12には船舶側の遠隔監視装置20(
図19)が監視用制御器14(
図5)を介して電気的に接続されている。
【0105】
各冷凍コンテナ2a〜2nの許容電流値を、遠隔監視装置20からの通信信号による指示によって決定している。この場合も、上記第1実施形態および第2実施形態のフローチャートを活用できる。
【0106】
つまり、遠隔監視装置20からの通信信号により各冷凍コンテナ2の許容電流値が指示されていないときは、
図7、
図12のステップS71、121の各種入力情報として当初許容電流値が読み込まれる。そして、マスターコンテナが選定される。しかし、遠隔監視装置20からの通信信号により各冷凍コンテナ2a〜2nの許容電流値が強制的に指示されたときは、遠隔監視装置20からの許容電流値を最優先する。許容電流値の強制的指示が取り消されたときは、通常の制御に戻る。
【0107】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。
図20において、発電機1には、冷凍コンテナ2a〜2nが電気的に接続されている。マスターコンテナを決定せずに、各冷凍コンテナ2a〜2n内の制御装置12が自身の冷凍コンテナ2a〜2n以外の許容消費電流値を通信にて取得し、発電機1の発電可能電力を超えないよう、自身の許容電流値を決定する。
【0108】
この場合、第1実施形態および第2実施形態におけるようなマスターコンテナ選定制御は不要である。また、全ての制御装置12の内部で冷凍能力過不足判定制御と許容電流値算出制御とが実行される。
【0109】
マスター制御装置12が無いため、自身の制御装置12内のマスター記憶部に許容電流値ならびに必要電流値が記憶される。通信手段101を介して、他の冷凍コンテナ2の許容電流値ならびに必要電流値も各制御装置に記憶される。そして、許容電流値算出制御が全ての制御装置12内で実行される。
【0110】
このようにマスターコンテナが選定されなくても制御が可能であるが、各冷凍コンテナ2内の全制御装置12での制御内容が重複し、各制御装置12間で一律で自身の冷凍コンテナ2の許容電流値を低減する割合等を統一しておくといった規格の統一が必要となる。
【0111】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。
図21においては、許容電流値算出制御において、アラームを発生させるステップS216が追加されている。
【0112】
当初の許容電流値の設定は、援用する
図12のステップS121において成されている。
図21の許容電流値算出制御(
図12のステップS124相当)が開始されると、ステップS211において、この制御を実行している制御装置12の冷凍コンテナ2a〜2nがマスターコンテナかどうかが判定される。
【0113】
マスターコンテナである場合は、ステップS212において、各冷凍コンテナ2a〜2nからの許容電流値変更情報を受信しているか否かを判定する。この許容電流値変更情報とは、援用する
図9のステップS95の許容電流値のことである。
【0114】
許容電流値変更情報がある場合には、ステップS213に進み、各冷凍コンテナ2a〜2nの合計必要電流値を演算し、すでに記憶している合計必要電流値を更新する。
【0115】
ステップS212において、各冷凍コンテナ2a〜2nからの許容電流値変更情報を受信していない場合は、直ちにステップS214に進み、やはり各冷凍コンテナ2a〜2nからの必要電流値変更情報を受信していない場合は許容電流値算出制御を終了する。
【0116】
ステップS214において、各冷凍コンテナ2a〜2nからの必要電流値変更情報を受信している場合は、ステップS215において、発電機1の最大電力に係る発電最大電流値とステップS213で更新した合計必要電流値とを比較する。合計必要電流値の方が、発電最大電流値より大きい場合は、ステップS216に進み、そうでない場合は、ステップS218において必要電流値情報を出したコンテナの許容電流値を更新し、制御を終了する。
【0117】
ステップS216においては、合計必要電流値の方が、発電最大電流値より大きいのでアラームを鳴らし、ユーザー(船舶管理者等)に冷凍能力不足を知らせる。なお、強制的かつ自動的な許容電流値の一律低減制御は実行しない。
【0118】
また、ステップS217では、手動による許容電流の増加の設定があっても受けつけず、手動による許容電流の低減操作があった場合のみ、ステップS217にて受け付ける(許可する)。このようにして、許容電流値の低減のみの更新をマスター制御装置12が許可することで、スレーブとなっているコンテナが必要電流値(=許容電流値)を変更することが出来るようしている。そして、各々の冷凍コンテナ2が勝手に必要電流値(=許容電流値)を更新し、システムが破綻(発電最大電流値オーバー)するのを防止している。
【0119】
上記第8実施形態においては、制御装置12は、発電最大電流値よりも合計必要電流値のほうが大きい場合に、アラームを発する手段S216を有する。これによれば、アラームにより、冷凍コンテナにおける庫内の冷凍製品に悪影響が出る前に対策することを促すことができる。
【0120】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
【0121】
上記各実施形態においては、説明を簡単にするために、必要電流値が許容電流値と等しいものとして説明した。しかし、演算された必要電流値に応じて許容電流値を設定すればよく、すぐに許容電流値を超えて警報や回路の遮断が無いように必要電流値よりも余裕分大きいに電流値に許容電流値を設定してもよい。
【0122】
次に、マスター制御装置は、許容電流値変更情報を受信した場合、各冷凍コンテナ2の許容電流合計値を更新する。必要電流値情報を受信した場合、マスター制御装置は、冷凍能力が不足している冷凍コンテナの必要電流値と余力電流値分(低減された許容電流値分)とを比較してもよい。この比較で、発電機の発電可能電力が足りているか否か確認し、発電可能電力に対して余力がある場合は、必要電流値分だけ許容電流値の変更を許可するようにしてもよい。発電可能電力に対して余力がない場合は、冷凍コンテナから一律で許容電流値を低減するように冷凍コンテナの許容電流値を変更すればよい。
【0123】
なお、上記実施形態においては、圧縮機5(
図6)の吐出側P1と膨張弁13の下流側かつ蒸発器8の上流側P2とを連通してホットガスを導く除霜用バイパス回路BPが設けられているが、除霜用バイパス回路BPは無くても良い。