(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
蒸発器温度を制御対象として感知し、その温度が目標温度と一致するように、可変容量圧縮機の吐出容量や電動圧縮機の回転数を外部より制御することで、圧縮機の能力制御値を送信し、圧縮機能力を制御する空調装置の温度制御が周知である。この周知技術における蒸発器温度制御は、冷凍装置の圧縮機ON(圧縮機始動)と同時に開始される。
【0003】
また、圧縮機能力制御は、一般にPI制御やPID制御等のフィードバック制御を用いておこなわれる。このフィードバック制御の制御特性(制御初期値、制御ゲイン等)は、冷凍サイクルが作動し圧縮機ON後すぐに蒸発器温度が応答する状態を想定して検討される。その結果、蒸発器温度のオーバーシュートやアンダーシュートが小さく適切に制御されるよう煩雑な調整作業がなされる。
【0004】
しかし、冷凍装置の運転前の状況によっては、圧縮機がONしても蒸発器温度の応答が遅れる場合がある。例えば、冷凍装置を長時間作動させないでおいた後に運転を開始すると、冷媒は冷凍サイクル内に偏って滞留する。そのため、圧縮機ON後、冷媒が冷凍サイクル内を循環し蒸発器に流れ込むまでに時間がかかり、圧縮機ONに対する蒸発器温度の応答が遅れる状況が生じる。また、この時間は一定ではない。
【0005】
ところが、空調装置のフィードバック制御は、蒸発器温度がすぐ応答するか遅れて応答するかに関わらず圧縮機ONと同時に開始されるため、圧縮機能力は、蒸発器温度の応答遅れの間、能力を大きくするよう制御される。よって、能力過大となり、その結果蒸発器温度のオーバーシュート大によるフロストの発生や、吹出温度変動大による空調フィーリングの悪化といった問題が生じる。
【0006】
上記の問題は圧縮機ON後に蒸発器温度がすぐ応答するか遅れて応答するかに関わらず圧縮機ONと同時に空調装置のフィードバック制御を開始するために生じる。従って、ある圧縮機能力初期値で圧縮機ONし温度制御を開始した後、しばらく間は圧縮機能力初期値を保持するものが、例えば、特許文献1で知られている。
【0007】
この特許文献1は、可変容量型圧縮機を備えた冷凍サイクル装置において、真夏時ほど冷房能力を必要としない春、秋等の季節下で、目標温度に達するまでの温度変動が少ない容量制御を行うものである。そのために、 車両用空調装置は、春、秋等の季節で蒸発器の目標吹出空気温度TEOが10℃前後である場合に、目標吹出空気温度TEOに対応する制御電流を初期出力値として可変容量型圧縮機の容量制御を行う。
【0008】
これにより、特許文献1の装置は、蒸発器の目標吹出空気温度TEOに対応する初期出力値より制御を開始する。そうすることで、吐出容量を100%とする制御電流を初期出力値として容量制御を行う従来の場合と比較して、実際の吹出空気温度TEが蒸発器の目標吹出空気温度TEOに達するまでのオーバーシュートや温度変動(ハンチング)が低減される。
【0009】
具体的には、真夏時ほど熱負荷が高くない春、秋等の季節では、圧縮機の吸入圧力は、ほぼ制御電流によって定まる。また、蒸発器の目標吹出空気温度TEOと初期出力値との間に、所定の比例関係が成り立つ。
【0010】
そして、目標吹出温度TAOを基に、蒸発器の目標吹出空気温度TEOを求める。続いて、蒸発器の目標吹出空気温度TEOと実際の吹出空気温度TEとの温度偏差Enを算出する。その後、サンプリング回数nが“1”であるか否かを判断し、n=1の場合(YES)は、温度偏差Enの0回目と1回目を共に“0”と置く。
【0011】
次に、蒸発器の目標吹出空気温度TEOに対応する初期出力値を求める。サンプリング回数n=1の時は、初期出力値が制御電流Inの出力値となる。サンプリング回数nが2回目以降は、蒸発器の目標吹出空気温度TEOと実際の吹出空気温度TEとの温度偏差Enを用いて算出された制御電流Inが出力されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0021】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について
図1ないし
図6を用いて詳細に説明する。
図1において、空調ユニット2は、車室内前方のインストルメントパネル4の内部に配設されており、インストルメントパネル4の外面には、デフロスタ吹出口5、フェイス吹出口6、およびフット吹出口7等が設けられている。車両用空調装置は、大別して、空調ユニット2、
図2の送風機30、冷凍サイクル40、冷却水回路50、エアコンECU(本発明で言う空調制御手段)60等から構成されている。
【0023】
空調ユニット2は、車室内前方に配設され、車室内へ空調空気を導く空気通路を形成する空調ケース10、この空調ケース10内において空気流を発生させる遠心式の送風機30を備える。かつ、空調ユニット2は、空調ケース10内を流れる空気を冷却して車室内を冷房するための蒸発器45、空調ケース10内を流れる空気を加熱して車室内を暖房するためのヒータコア51等から構成されている。
【0024】
空調ケース10の最も風流れ上流側は、内外気切替箱(吸込口切替箱)を構成する部分で、車室内空気(内気)を取り入れる内気吸込口11、および車室外空気(外気)を取り入れる外気吸込口12を有している。さらに、内気吸込口11および外気吸込口12の内側には、内外気(吸込口)切替ドア13が回動自在に取り付けられている。
【0025】
この内外気切替ドア13は、サーボモータなどの図示しないアクチュエータによって駆動され、吸込モードとして内気循環モードまたは外気導入モードに切り替えられる。なお、内外気切替ドア13は、内外気切替箱と共に内外気切替手段を構成する。次に、送風機30は、空調ケース10と一体的に構成されたスクロールケース内に、回転自在に収容された遠心多翼(シロッコ)式のブロワファン31、およびこのブロワファン31を回転駆動するブロワモータ32を有している。
【0026】
ブロワモータ32には、電流制御可能な3相のブラシレスモータが使用されており、エアコンECU60からのデューティ信号に応じて、ブロワモータ32に与えるパルス幅を可変制御する図示しないモータ駆動回路を有している。そして、ブロワモータ32は、このモータ駆動回路を介して供給される制御電流に基づいて、ブロワファン31の回転速度、つまりは送風量が制御される。なお、ブラシレスモータに代えて、通常の制御回路付きの直流モータでも使用可能である。
【0027】
冷凍サイクル40は、車両走行用のエンジン1にベルト駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機41と、圧縮された冷媒を凝縮液化させる凝縮器42、凝縮液化された冷媒を気液分離して液冷媒のみを下流に流す受液器43とを備える。かつ、冷凍サイクル40は、液冷媒を減圧膨張させる膨張弁44、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させる蒸発器45、およびこれらを環状に接続する冷媒配管などから構成されている。
【0028】
圧縮機41は、内蔵する容量可変機構によって圧縮容量が可変できる可変容量圧縮機となっており、冷却能力可変手段として、図示しない容量制御弁(容量制御機構)で圧縮容量を制御している。この容量制御弁は、エアコンECU60によって制御されている。また、圧縮機41には、エンジン1から圧縮機41への回転動力の伝達を断続(ON、OFF)するクラッチ手段としての電磁クラッチ46が連結されている。
【0029】
この電磁クラッチ46は、エアコンECU60から図示しないクラッチ駆動回路を介して制御される。そして、電磁クラッチ46に通電された時にエンジン1の回転動力が圧縮機41に伝達され、蒸発器45による空気冷却作用が行われる。また、電磁クラッチ46の通電が停止した時にエンジン1と圧縮機41との接続が遮断され、蒸発器45による空気冷却作用が停止される。
【0030】
凝縮器42は、車両が走行する際に生じる走行風を受け易い車両前方部などに配設され、内部を流れる冷媒と走行風および冷却ファン47によって送風される外気とを熱交換する室外熱交換器である。蒸発器45は、空気通路を全面塞ぐようにして空調ケース10内に配設され、自身を通過する空気を冷却する空気冷却作用、および自身を通過する空気を除湿する空気除湿作用を行う室内熱交換器である。
【0031】
換言すると、蒸発器45は、圧縮機41の作動により空調風を冷却、除湿する冷却用熱交換器である。なお、蒸発器45直後の部位には、図示しないサーミスタからなる実蒸発器温度センサ45cが配置されており、蒸発器45を通過した直後の空気温度またはフィン温度(以下、蒸発器後温度または実蒸発器温度という)を検出するようになっている。
【0032】
冷却水回路50は、図示しないウォータポンプにより、エンジン1のウォータジャケットで暖められた冷却水を循環させる回路であり、ラジエータ、サーモスタット(いずれも図示せず)およびヒータコア51を有している。このヒータコア51は、内部にエンジン1を冷却した冷却水が流れ、この冷却水を暖房用熱源として冷風を加熱するものである。
【0033】
ヒータコア51は、空調ケース10内において蒸発器45の下流側で、空気通路を部分的に塞ぐように配設されている。つまり、空調ケース10の内部に、ヒータコア51を迂回する冷風バイパス通路(冷風側通路)14Aと、ヒータコア51を通過する温風側通路14Bと、を形成している。そして、ヒータコア51の空気上流側には、エアミックスドア52が回動自在に取り付けられている。
【0034】
このエアミックスドア52は、サーボモータなどの図示しないアクチュエータによって駆動され、その停止位置によりヒータコア51を通過する空気量と、ヒータコア51を迂回する空気量との割合を調節する。エアミックスドア52は、車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段として働く。空調ケース10内の冷風バイパス通路14Aおよび温風側通路14Bの下流側には混合空間14C形成され、冷風バイパス通路14Aからの冷風と温風側通路14Bからの温風とが混合されて下記の各開口部に供給される。
【0035】
空調ケース10の最も風流れ下流側は、吹出口切替箱を構成する部分で、デフロスタ開口部18、フェイス開口部19およびフット開口部20などが形成されている。デフロスタ開口部18には、デフロスタダクト15が接続され、このデフロスタダクト15の最下流端には、車両の前面窓ガラス3の内面に向けて主に温風を吹き出すデフロスタ吹出口5(
図1)が開口している。
【0036】
また、フェイス開口部19には、フェイスダクト16が接続され、このフェイスダクト16の最下流端には、前席乗員の頭胸部に向けて主に冷風を吹き出すフェイス吹出口6が開口している。更に、フット開口部20には、フットダクト17が接続され、このフットダクト17の最下流端には、前席乗員の足元部に向けて主に温風を吹き出すフット吹出口7が開口している。
【0037】
そして、各吹出口5〜7の内側には、吹出口切替手段として、本実施形態では2枚の吹出口切替ドア、具体的には、デフロスタフェイスドア21とフットドア22とが回動自在に取り付けられている。デフロスタフェイスドア21は、デフロスタ開口部18とフェイス開口部19との開口比率を可変し、フットドア22は、フット開口部20の開度を可変するドアである。
【0038】
この2枚の吹出口切替ドア21、22は、図示しないリンク機構によって連動し、そのリンク機構は、サーボモータなどの図示しないアクチュエータによって駆動される。そして、吹出モードとしてフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモードまたはデフロスタモードのいずれかに切り替えられる。
【0039】
なお、フェイスモードでは、空調風の全量がフェイス吹出口6から吹き出され、バイレベルモードでは、空調風がフェイス吹出口6とフット吹出口7とから吹き出される。また、フットモードでは、全吹出風量の80%程度がフット吹出口7から吹き出され、残りの20%程度の空調風がデフロスタ吹出口5から吹き出される。
【0040】
また、フットデフロスタモードでは、全吹出風量の60%程度がフット吹出口7から吹き出され、残りの40%程度の空調風がデフロスタ吹出口5から吹き出される。さらに、デフロスタモードでは、空調風の全量がデフロスタ吹出口5から吹き出される。
【0041】
エアコンECU60は、エンジン1の始動および停止を司るイグニッションスイッチのON/OFFに関係なく、車両に搭載された車載電源である図示しないバッテリから直流電源が供給されて、演算処理や制御処理を行うように構成されている。エアコンECU60には、インストルメントパネル4に一体的に設置された図示しないエアコン操作パネル上の各種操作スイッチから、各スイッチ信号が入力されるように構成されている。
【0042】
また、エアコンECU60の内部には、演算処理や制御処理を行うCPU(中央演算装置)、ROMやRAMなどのメモリ、およびI/Oポート(入力/出力回路)などの機能を含んで構成される周知のマイクロコンピュータが設けられている。そして、各種センサからのセンサ信号がI/Oポート、もしくはA/D変換回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0043】
すなわち、エアコンECU60は、車室内温度(内気温度)を検知する内気温検知手段としての内気温センサ、車室外温度(外気温度)を検知する外気温検知手段としての外気温センサを備える。かつ、エアコンECU60は、蒸発器45を通過した直後の空気またはフィン温度(蒸発器後温度)を検知する蒸発器後温度検知手段としての実蒸発器温度検出手段を成す実蒸発器後温度センサを備える。そして、車両のエンジン冷却水温を検知して送風空気の加熱温度とする加熱温度検知手段としての冷却水温センサなどの検知信号が、エアコンECU60に入力される。
【0044】
なお、本実施形態では、オートエアコンが備えている日射検知手段としての日射センサを備えている。そして、エアコンECU60は、上述した各ドア用のアクチュエータ、ブロワモータ32のモータ駆動回路、圧縮機41の容量制御弁、電磁クラッチ46のクラッチ駆動回路、および冷却ファン47の駆動回路などに制御信号を出力するようになっている。
【0045】
以下、エアコンECU60による制御方法を説明する。
図3は、エアコンECU60の制御プログラムの一例を示している。まず、イグニッションスイッチがONされてエアコンECU60に直流電源が供給されると、予めメモリに記憶されている制御プログラムの実行が開始される。まず、エアコンECU60内部のマイクロコンピュータに内蔵されたデータ処理用メモリの記憶内容などの初期化を行う(ステップS1)。
【0046】
次に、各種信号の入力処理として、各種データをデータ処理用メモリに読み込む。すなわち、エアコン操作パネル上の各種操作スイッチからのスイッチ信号、各種センサからのセンサ信号、および日射センサ9(
図2)の出力電圧Vsunの大きさなどを入力する(ステップS2)。
【0047】
次に、上記の入力データを、記憶している演算式に代入して、空調装置からの目標吹出温度TAOを演算し、その目標吹出温度TAOと外気温度とから、目標蒸発器後温度TEOを演算する(ステップS3)。そして、ステップS3で求めた目標吹出温度TAOに基づいてブロワの制御量、すなわちブロワモータ32のモータ駆動回路に与えるデューティ比を演算する(ステップS4)。
【0048】
また、ステップS3で求めた目標吹出温度TAOと上記の入力データとを、メモリに記憶されている演算式に代入して、エアミックスドア52の開度SW(%)を演算する(ステップS5)。次に、ステップS3で求めた目標吹出温度TAOに基づき、車室内へ取り込む空気流の吸込モードと、車室内へ吹き出す空気流の吹出モードとを決定する(ステップS6)。
【0049】
更に、ステップS3で求めた目標吹出温度TAOと、実蒸発器温度センサ45cが検知する実際の蒸発器後流温度とが一致するように、フィードバック制御が実行される。この制御は、圧縮機41の吐出量を制御するための制御量(電流値)を決定する蒸発器温度制御(ステップS7)で行われる。
【0050】
このフィードバック制御は比例積分制御(PI制御)で行われる。具体的には、圧縮機41に付設された電磁式の容量制御弁の電磁ソレノイドに供給する制御電流となるソレノイド電流(制御電流:Ioutn)を、メモリに記憶されている演算式に基づいて演算する。なお、この蒸発器温度制御(ステップS7)については後に詳述する。
【0051】
次に、ステップS4で決定されたブロワの制御量を、モータ駆動回路に出力する(ステップS8)。次に、ステップS5で決定されたエアミックス開度SWとなるように、サーボモータに制御信号を出力する(ステップS9)。更に、ステップS6で決定された吸込モードおよび吹出モードとなるように、サーボモータに制御信号を出力する(ステップS10)。
【0052】
その後に、ステップS2の制御処理に戻る。なお、マニュアル設定時には、その設定値に従って
図2の制御プログラムが実行される。
【0053】
以下、上述した蒸発器温度制御(ステップS7)について更に説明する。外部からの制御信号に応じて冷媒吐出量を可変する可変容量型の圧縮機41を用いた蒸発器温度制御の詳細を
図4、
図5にフローチャートで示している。
図4のステップS30において、蒸発器温度制御が開始されると、フィードバック制御実施の場合の初期値として、ステップS31でサンプリング回数(サンプリングのカウント値)n=1を設定する。かつ、ステップS32で温度偏差Es(n−1)=0、E(n−1)=0を設定する。なお、nは正の整数である。
【0054】
次に、ステップS33において、空調装置の運転状態を表す車室内温度、外気温度、および日射量等の各種の情報を入力する(読み込む)。ステップS34で空調装置の運転状態を表す各種の情報より目標吹出温度(TAO)を周知のように算出し、更に、目標吹出温度(TAO)と外気温度とから目標蒸発器温度TEOを算出する。目標蒸発器温度TEOは目標吹出温度(TAO)等からマップを用いて演算しても良い。
【0055】
制御初期値演算手段を成すステップS35でサイクルに応じた適切な制御初期値Ioutsを算出する。また、ステップS36において、蒸発器温度制御開始時の実蒸発器温度TEsを実蒸発器温度センサ45cから読み取り、この読み取った値をメモリに記憶する。更に、S37で、先のステップS35で算出した制御初期値Ioutsを圧縮機に出力し圧縮機41を作動させる。具体的には、ソレノイド電流と成る制御初期値Ioutsを、圧縮機41に付設された電磁式の容量制御弁の電磁ソレノイドに出力する。
【0056】
なお、制御初期値Ioutsは、例えば目標吹出温度TAOからマップによって求める。このマップは予め実験により設定する。その他、車室内温度、日射量、外気温度等からマップを求めても良い。
【0057】
ここから圧縮機41がONした後の実蒸発器温度TE(n)に応答があるかを判定するルーチンとなる。ステップS38で圧縮機作動後の現時点の実蒸発器温度TE(n)を実蒸発器温度センサ45cの出力から読み取る。この実蒸発器温度センサ45cは、この第1実施形態においては、蒸発器45直後の部位に配置された図示しないサーミスタから構成されている。そして、ステップS39で圧縮機作動前(または作動直後)の実蒸発器温度TEsと圧縮機作動後の現時点における実蒸発器温度TE(n)の温度偏差Es(n)をEs(n)=TE(n)−TEsとして計算する。
【0058】
次に、ステップS40において、温度偏差Es(n)の変化率Esdot(n)を計算する。この温度偏差Es(n)の変化率Esdot(n)は、現時点の温度偏差Es(n)から前回の温度偏差Es(n−1)を減算した値を温度偏差の変化率Esdot(n)としている。
【0059】
また、圧縮機41をONした後に、実蒸発器温度TE(n)に応答があり、温度が変化したかを判定するステップS41に進む。このステップS41では
(条件1)温度偏差Es(n)が第1所定値となる閾値Xより小さいか、換言すれば、現在の実蒸発器温度TE(n)が圧縮機作動前の実蒸発器温度TEsより閾値Xに関係する値以上下がったかどうか、
(条件2)温度偏差の変化率Esdon(n)が第2所定値となる閾値Yに関係する値以下かどうか、
を計算する。ここで閾値X、Yの値は、冷凍サイクルに応じて適切な値に設定すればよい。なお、X、Yいずれの値も、この第1実施形態においてはマイナス値に成る。温度偏差の変化率Edon(n)がマイナスとは、温度変化の傾きが低下していることを表している。
【0060】
もし、上記条件1と条件2とが両方とも成立したときは、実蒸発器温度TE(n)に応答があり、実蒸発器温度TE(n)が実質的に変化したと判定する。すなわち、圧縮機41が回転し、冷媒が蒸発器45に充分に流れ込んで蒸発器45が充分に冷却されたと判定する。そして、この判定後は、
図5のステップS45にて示す通常の蒸発器温度制御ルーチン以降に進む。
【0061】
また、条件1と条件2とのどちらかが成り立たなければ、圧縮機41は作動しているが、圧縮機41作動開始前または開始直後の実蒸発器温度TEsにはまだ応答がないと判定し、ステップS42、S43を経由してステップS37に戻る。ステップS42では、E(n−1)にE(n)の値を代入する(これをE(n−1)←E(n)と記す)。また、ステップS43だは、nにn+1の値を代入する(n←n+1)。
【0062】
これにより、実蒸発器温度TEsに応答があると判定されるまで(ステップS41でYESとなるまで)、圧縮機41の能力制御値は初期値Ioutsが維持される。この結果、蒸発器温度制御により圧縮機41の能力制御値が過剰になることはない。この場合、次回の判定に備えてS42でE(n−1)にE(n)の値を代入し、S43でnにn+1の値を代入した後、ステップS37に戻る。
【0063】
従って、圧縮機41がONした後の実蒸発器温度応答有無の判定(ステップS41)が継続される。実蒸発器温度TEsに応答があると判定されるまでの時間は一定ではなく、車種や外気温度、圧縮機41の運転履歴等で変化する。この時間は、1分ないし30秒かかることもまれではない。
【0064】
以上、ステップS43までの制御フローにより、圧縮機41がONした後の実蒸発器温度の応答が遅れる状況が生じても、圧縮機能力が過剰になる蒸発器温度制御が行われることはない。このため、実蒸発器温度のオーバーシュート大によるフロストの発生や温度変動大による空調フィーリングの悪化といった問題を防止することができる。
【0065】
図5のステップS45以降は、一般的なPI制御による実蒸発器温度制御の例を示している。このステップS45以降の制御は圧縮機41の制御として公知のものを採用することができる。
【0066】
図4のステップS41で実蒸発器温度TE(n)に応答があり、温度が充分に低下化した(ステップS41にてYES)と判定した後、
図4のステップS45で実蒸発器温度TE(n)を読み込む。
【0067】
次に、ステップS46で目標蒸発器温度TEOと実蒸発器温度TE(n)の温度偏差E(n)をE(n)=TE(n)−TEOとして計算する。ステップS47において、温度偏差E(n)の変化率Edot(n)を、Edot(n)=E(n)−E(n−1)として計算する。
【0068】
そして、ステップS48において、温度偏差E(n)および温度偏差の変化率Edot(n)を用い、フィードバック理論に基づく数式1を用いて圧縮機41の能力制御値Iout(n)を決定する。
(数式1)Iout(n)=Iout(n−1)+Kp*Edot(n)+Ki*E(n)
なお、KpおよびKiはフィードバックゲインである。なお、*は掛け算を表す。
【0069】
ステップS45からステップS48までは能力制御値演算手段を構成する。次に、ステップS49で圧縮機41に能力制御値Iout(n)を出力する。具体的には、ソレノイド電流と成る制御初期値Iout(n)を、圧縮機41に付設された電磁式の容量制御弁の電磁ソレノイドに出力する。
【0070】
なお、ステップS48では、比例項と積分項を用いたPIフィードバック制御により圧縮機の能力制御値Iout(n)を決定した。しかし、比例項と積分項に微分項を加えたPIDフィードバック制御やフィードフォワード制御等を用いて能力制御値Iout(n)を決定しても良い。
【0071】
また、ステップS50において、蒸発器温度制御を継続するか否かを判定する。蒸発器温度制御を継続しないと判定するのは、エアコンスイッチをOFFしたとか、エンジン1を停止させたとか、異常停止信号が発生した場合である。
【0072】
エアコンスイッチのOFF操作等が無く、ステップS50で制御を継続すると判定した場合は、ステップS52に進み、次回のフィードバック制御に備えてIout(n−1)にIout(n)の値を代入する。更にステップS53において、E(n−1)にE(n)の値を代入し、かつステップS54において、nにn+1の値を代入した後、ステップS45に戻り、蒸発器温度制御を継続する。ステップS50において、制御を継続しないと判定した場合は、ステップS51に分岐し、蒸発器温度制御を終了する。
【0073】
この実施形態においては、実蒸発器温度TE(n)に応答があったかどうかの判定を行うステップS41(
図4)は、条件1と条件2とから判定している。条件1として、現時点の実蒸発器温度TE(n)と蒸発器温度制御開始時の実蒸発器温度TEsとの温度偏差Es(n)が所定の閾値Xより小さいことを条件としている。このことは換言すれば、現時点の実蒸発器温度TE(n)が、圧縮機41作動前の実蒸発器温度TEsから閾値X以上下がったことを条件としていることになる。第2に、温度偏差の変化率Esdot(n)が、閾値Y以下であることを条件としている。しかし、後述する第2実施形態のように、条件1または条件2のみを用いて、ステップS41の判定を行っても良い。
【0074】
また、上記実施形態においては、吐出容量を外部より制御することで能力を制御する圧縮機を用いて説明しているが、圧縮機回転数を外部より制御することで圧縮機能力を制御できる電動圧縮機を用いてシステムを構成しても良い。
【0075】
(第1実施形態の作動)
以下、
図6を用いて、上記第1実施形態の作動を比較例と比較して説明する。
図6の(a)は、実蒸発器温度が時間の経過と共に目標蒸発器温度に収束していく状態を示している。T1は、一般的な比較例と成る圧縮機の能力制御開始時点である。T2は、上記第1実施形態と成る圧縮機の能力制御開始時点の一例である。また、粗い破線C1は、一般的なフィードバック制御で蒸発器温度応答が速い場合(本件制御が不必要な場合)を示している。また、細かい破線C2は、一般的なフィードバック制御で蒸発器温度応答が後れた期間P1を有し、オーバーシュートP2を生じている状態を示している。実線C3は、上記第1実施形態に基づくフィードバック制御である。なお、圧縮機41をOFFして、すぐにONする場合は、冷媒流れの遅れがなく、本件の制御を行わなくても破線C1のように良好な制御が行われる。
【0076】
図6の(b)は、エンジン1(
図1)の動力で電磁クラッチ46を介して駆動される圧縮機41が、電磁クラッチ46のOFF状態からON状態に切替わり、圧縮機の能力制御値が制御初期値Ioutsから時間の経過につれて変動していく状態を示している。
【0077】
Spは、蒸発器温度の応答遅れの間、制御初期値Ioutsを保持する第1実施形態に伴う特性部分を示している。T1の時点で圧縮機41のクラッチ46がONし、圧縮機41が回転し始める。
【0078】
図6(b)の粗い破線C1は、一般的なフィードバック制御で蒸発器温度応答が速い場合を示しているが、このときは圧縮機の能力制御値は圧縮機能力過剰になる期間が少ない理想的な状態である。また、細かい破線C2は、一般的なフィードバック制御で蒸発器温度応答が後れた期間P1を有している。
【0079】
そのため、蒸発器温度応答遅れの分、P3の部分で圧縮機能力が大きく過剰と成っている。そしてこの過剰な圧縮機能力に起因してオーバーシュートP2を生じている。実線C3は、第1実施形態に基づくフィードバック制御である。圧縮機41が回転を始めてから所定の期間Spの間(つまり蒸発器温度応答遅れの間)は、圧縮機能力の制御初期値Ioutsを保持するように構成しているため、オーバーシュートが生じていない。よって、オーバーシュートに伴う吹出温度の変動(ハンチング)を生じない。
【0080】
(第1実施形態の作用効果)
上記第1実施形態における冷凍サイクル装置は、圧縮機41で圧縮された冷媒を蒸発器45内で蒸発させる冷凍サイクル装置において、蒸発器45の作動による実蒸発器温度TEを検出する実蒸発器温度検出手段45cを備える。冷凍サイクル装置は、蒸発器45の目標蒸発器温度TEOを演算する目標蒸発器温度演算手段S34と、圧縮機41の制御における制御初期値Ioutsを演算する手段S35とを備える。冷凍サイクル装置は、目標蒸発器温度TEOと、実蒸発器温度TEとの温度偏差E(n)から圧縮機の能力制御値Iout(n)を演算する手段S45〜S48を備える。冷凍サイクル装置は、制御初期値Ioutsにより圧縮機41を制御した後に蒸発器45が所定の温度状態になったことを判定する判定手段S41、S41aを備える。更に、冷凍サイクル装置は、判定手段S41、S41aが所定の温度状態になったことを判定するまでは制御初期値Ioutsによる圧縮機41の制御を保持する圧縮機制御手段S49を備える。かつ、圧縮機制御手段S49は、所定の温度状態になった後に圧縮機の能力制御値Iout(n)による圧縮機41の制御を開始する。
【0081】
これによれば、冷媒の圧縮により所定の温度状態に成るまでの時間が状況により変化しても、所定の温度状態になったことを判定するまでは制御初期値Ioutsによる圧縮機41の制御を保持する。よって、一層確実にオーバーシュートやハンチングが抑制される冷凍サイクル装置を提供できる。
【0082】
次に、冷凍サイクル装置は、現時点の実蒸発器温度TE(n)と圧縮機41の運転を開始したときの実蒸発器温度TEsとの温度偏差Es(n)を演算する温度偏差演算手段手段(S39)を有する。冷凍サイクル装置は、温度偏差Es(n)の変化率Esdot(n)を演算する変化率演算手段S40を有する。演算された温度偏差Es(n)と第1所定値Xとを比較し、かつ、演算された温度偏差の変化率Esdot(n)と第2所定値Yとを比較する。この2つの比較から、判定手段(S41)が所定の温度状態になったことを判定する。
【0083】
これによれば、第1所定値Xと第2所定値Yとを用いた2つの比較による判定に基づいて制御初期値による圧縮機の制御を圧縮機41の能力制御値Iout(n)による制御に切替える。従って、オーバーシュートやハンチングが確実に抑制される冷凍サイクル装置を提供できる。
【0084】
また、現時点の実蒸発器温度をTE(n)とし、圧縮機41の制御を開始したときの実蒸発器温度をTEsとしたときに、温度偏差Es(n)を以下の数式2で求める。求められた温度偏差Es(n)よりも前の時点で求められた温度偏差をEs(n−1)とするときに、温度偏差の変化率Esdot(n)を以下の数式3で求める。
【0085】
(数式2)Es(n)=TE(n)−TEs
(数式3)Esdot(n)=Es(n)−Es(n−1)
これによれば、温度偏差Es(n)、または、温度偏差の変化率Esdot(n)を簡単に求めて、これらの求められた値から蒸発器45が所定の温度状態に成ったことを正確に判定することができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。なお、第2実施例以下については、第1実施例と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明が援用される。
図7において、実蒸発器温度TE(n)に応答があったかどうかの判定を行うステップS41aは、条件1または条件2から判定している。条件1として、現時点の実蒸発器温度TE(n)と蒸発器温度制御開始時の実蒸発器温度TEsとの温度偏差Es(n)が所定の閾値Xより小さいことを条件としている。このことは換言すれば、現時点の実蒸発器温度TE(n)が、圧縮機41作動前の実蒸発器温度TEsから閾値X以上下がったことを条件としていることになる。
【0087】
条件2として、温度偏差の変化率Esdot(n)が、閾値Y以下であることを条件としている。そして、第2実施形態においては、条件1または条件2のみを用いて、ステップS41aの判定を行っている。つまり、蒸発器温度の低下を実際のセンサでの検出値、あるいは、温度低下の傾きのいずれか一方で判定している。
【0088】
(第2実施形態の作用効果)
第2実施形態において、冷凍サイクル装置は、現時点の実蒸発器温度TE(n)と圧縮機41の運転を開始したときの実蒸発器温度TEsとの温度偏差Es(n)を演算する温度偏差演算手段(S39)を有する。冷凍サイクル装置は、温度偏差Es(n)の変化率Esdot(n)を演算する変化率演算手段S40を有する。演算された温度偏差Es(n)と第1所定値Xとを比較するか、または、演算された温度偏差の変化率Esdot(n)と第2所定値Yとを比較する。これらいずれかの比較から、判定手段S41、S41aが所定の温度状態になったこと判定する。
【0089】
これによれば、いずれかの判定条件が満たされるときに、制御初期値Ioutsによる圧縮機41の制御を圧縮機の能力制御値Iout(n)による圧縮機41の制御に切替えるから、オーバーシュートやハンチングが抑制される冷凍サイクル装置を提供できる。
【0090】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図8の一部フローチャートにおいて、ステップS34とステップS35の間にステップS81を追加している。ステップS81では、外気温度が所定値以下かを判定し、外気温度が高く、夏場のようにオーバーシュートが発生しない条件においては、直ちに、ステップS45(援用する
図5)における通常の圧縮機制御に移行している。なお、外気温度の代わりに蒸発器で冷やされる車室内温度、または、目標吹出温度(TAO)を用いても良い。
【0091】
(第3実施形態の作用効果)
第3実施形態においては、目標吹出温度(TAO)と、外気温度と、蒸発器45によって冷却される室内温度とのいずれかが所定温度以上の場合に、判定手段S41、S41aによる判定を行わず、直ちに圧縮機41の能力制御値Iout(n)による制御を開始する制御開始手段S81を備える。
【0092】
これによれば、判定手段S41、S41aによる判定を行わず直ちに圧縮機41の能力制御値Iout(n)による制御を開始できる。従って、圧縮機41の能力制御値Iout(n)による制御を開始するまでの時間が短縮できる。この結果、蒸発器温度の低下を早くして、かつオーバーシュートやハンチングが抑制される冷凍サイクル装置を提供できる。
【0093】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図9において、ステップS34とステップS35の間にステップS91を追加している。ステップS91では、前回の圧縮機OFF(圧縮機41の停止)から今回の圧縮機ON(圧縮機41の稼働)までが所定時間以上経過しているか否かを判定している。所定時間経過しておらず、圧縮機OFFから圧縮機ONまでの時間が短い場合は、蒸発器45の流れ込む冷媒の遅れが実質無視できるため、直ちに、ステップS45(援用する
図5)における通常の圧縮機制御に移行している。
【0094】
(第4実施形態の作用効果)
第4実施形態においては、前回の圧縮機41の停止から圧縮機41の運転開始までの時間が所定時間以上でない場合に、判定手段S41、S41aによる判定を行わず、直ちに圧縮機41の能力制御値Iout(n)による制御を開始する。この制御は、制御開始手段S91により行われる。
【0095】
これによれば、圧縮機41の能力制御値Iout(n)による制御を開始するまでの時間が短縮でき、蒸発器温度の低下を早くして、かつオーバーシュートやハンチングが抑制される冷凍サイクル装置を提供できる。
【0096】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
【0097】
上記実施形態はエアコンサイクルの車両用空調装置について述べたが、車両用以外の空調装置の蒸発器温度制御、冷凍車における蒸発器温度制御、電気自動車またはハイブリッド車の電動圧縮機を使用した車両用空調制御に適用可能である。かつ、ヒートポンプサイクルを用いた温度制御にも、本発明が適用可能である。また、空調用装置の温度制御に限らず、システムの作動開始と作動開始から制御対象が応答するまでの時間遅れが大きく、その結果、制御対象のオーバーシュートやアンダーシュートが大きくなる冷媒を圧縮する温度制御に適用可能である。
【0098】
なお、車両用空調装置においては、オーバーシュートの抑制により、蒸発器の氷結が抑制でき、氷結臭の発生を抑制できる。また、冷凍車では、凍らせては品質が低下する生もの等の温度管理に適する。
【0099】
更に、蒸発器45直後の部位には、図示しないサーミスタからなる実蒸発器温度センサ45cが配置されている。これにより、蒸発器45を通過した直後の空気温度または蒸発器のフィンの温度を検出した。この温度センサに代わり、蒸発器出口の冷媒温度を検出するセンサを実蒸発器温度センサとしても良い。