特許第6020384号(P6020384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020384
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】メータ装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20161020BHJP
   G01D 13/22 20060101ALI20161020BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G01D11/28 P
   G01D11/28 L
   G01D13/22 101
   B60K35/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-167699(P2013-167699)
(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公開番号】特開2015-36637(P2015-36637A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2015年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 琢磨
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−207756(JP,A)
【文献】 特開2004−347338(JP,A)
【文献】 特開2007−309837(JP,A)
【文献】 特開2010−216942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28,13/22,13/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字板と、
前記文字板を基準として運転者に近接する側を前側とするとき、
前記文字板の前側においてモータの出力軸を中心に回動可能に設けられた指針と、
前記指針の前面に向けて光を照射する照射装置と、を備え、
前記指針の前面は、反射材によって形成されるとともに同指針の長手方向の先端側ほど前側に位置するように湾曲しており、同指針の長手方向の先端側ほど前側に位置する放物線状をなす部位を含み、
前記照射装置は前記指針よりも前側の位置から同指針の前面に光を照射し、前記指針がなす放物線の焦点の位置から同指針の前面に光を照射するように構成されている、
メータ装置。
【請求項2】
前記指針の長手方向に直交する方向における同指針の前面の断面は円弧状の凸面をなしている、
請求項1に記載のメータ装置。
【請求項3】
前記指針の前面には、同指針の長手方向における曲率が異なる複数の面が同長手方向に直交する方向に沿って並設されている、
請求項1または請求項2に記載のメータ装置。
【請求項4】
前記照射装置は、
前記指針よりも後方に設けられた光源と、
前記指針よりも前方に設けられて前記光源から照射される光を前記指針の前面に向けて反射させる反射部材と、を備えている、
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のメータ装置。
【請求項5】
前記反射部材は、前記指針の前面に沿って延びる反射面を有する凸面鏡である、
請求項に記載のメータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針を備えるメータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両などに搭載されるメータ装置は、数字や目盛りなどが設けられた文字板、及び文字板の前側において軸を中心に回動可能に設けられた指針を備えている。また、従来、こうしたメータ装置では、文字板が照明されたり、指針が照明されたりしている。
【0003】
指針を照明するメータ装置としては例えば特許文献1に記載の装置がある。特許文献1に記載のメータ装置は、指針の回転軸の後側に設けられた光源と、同回転軸の前端に設けられ、反射面を有する反射部材と、を備えている。また、指針の前面は例えば断面略コ字状をなしている。そして、光源から前方に向けて照射された光が、反射部材の反射面において反射されて、その反射光が指針の前面に向けて照射される。そして、照射された光が指針の前面において拡散反射される。こうしたメータ装置によれば、むらのない状態で指針を間接的に発光させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012―181049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のメータ装置の場合、指針の前面に向けて照射された光が同前面において拡散反射されるため、光源の光量に対して運転者の眼に届く光量の割合が小さい。そのため、指針の視認性を高めようとすれば、光源の光量を大きくしなければならず、消費電力が増大するといった問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、光源の光量を大きくしなくとも指針の視認性を高めることができるメータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためのメータ装置は、文字板と、 前記文字板を基準として運転者に近接する側を前側とするとき、前記文字板の前側においてモータの出力軸を中心に回動可能に設けられた指針と、前記指針の前面に向けて光を照射する照射装置と、を備え、前記指針の前面は、反射材によって形成されるとともに同指針の長手方向の先端側ほど前側に位置するように湾曲しており、同指針の長手方向の先端側ほど前側に位置する放物線状をなす部位を含み、前記照射装置は前記指針よりも前側の位置から同指針の前面に光を照射し、前記指針がなす放物線の焦点の位置から同指針の前面に光を照射するように構成されている。
【0008】
同構成によれば、反射材が設けられた指針の前面が同指針の長手方向の先端側ほど前側に位置するように湾曲しているため、指針よりも前側から同指針の前面に光が照射されると、照射された光が反射して前方に向けて揃って進む。このため、指針の前面によって反射された光の指向性を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源の光量を大きくしなくとも指針の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のメータ装置の断面図。
図2】同実施形態のメータ装置の正面図。
図3図2の3−3線に沿った断面図。
図4】第2実施形態のメータの指針の正面図。
図5図4の5−5線に沿った断面図。
図6図4の6−6線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、図1図3を参照して、メータ装置を車両の車速メータとして具体化した第1実施形態について説明する。なお、以降において、車速メータを基準として運転者に近接する方向を前方とし、運転者から離間する方向を後方とする。
【0012】
図1に示すように、基板14の前面には数字や目盛りが形成された文字板10が設けられている。文字板10は、基板14の前面に固設された筒部13を有している。また、図1及び図2に示すように、文字板10は、筒部13の先端から前方及び外周側に向けて放射状に延びる湾曲部11と、同湾曲部11の外周縁から屈曲して基板14に沿って外周側に向けて延びる平面部12とを備えている。
【0013】
図2に示すように、湾曲部11には目盛りが形成されており、平面部12には数字が形成されている。
図1に示すように、基板14の後側にはステッピングモータ40が設けられている。ステッピングモータ40の出力軸41は、基板14に形成された孔14a及び筒部13を貫通して前方に向けて延びている。
【0014】
出力軸41の先端には指針20の基部23が外嵌されている。基部23の前端の外周面には、上記出力軸41の外周側に向けて延びる針本体21が連結されている。従って、指針20は文字板10の前側において出力軸41を中心に回動可能に設けられている。
【0015】
針本体21の前面には鏡面状の反射膜22が形成されている。反射膜22の前面、すなわち表面は、指針20の正面視における長手方向(以下、単に長手方向と略称する。)の先端側ほど前側に位置する放物線状をなしている。
【0016】
図3に示すように、指針20の長手方向に直交する方向(以下、直交方向Nと略称する。)における同指針20の前面の断面は円弧状の凸面をなしている。
基部23と針本体21との連結部には、前方に向けて突出する突出部24が形成されている。突出部24には、針本体21の基部23や突出部24を覆うキャップ26が固設されている。
【0017】
次に、指針20の前面に光を照射する照射装置30の構成について説明する。
図1に示すように、照射装置30は、筒部13の内部における基板14の前面に設けられた複数の第1光源31を備えている。これら第1光源31は、発光ダイオード(LED)からなり、上記出力軸41を中心とした円周上において所定間隔毎に設けられている。なお、第1光源31は指針20の回動範囲に対応して設けることが好ましい。すなわち、例えば図2に示す8時位置から4時位置までの範囲に光源を設けることが好ましい。また、第1光源31を、上記出力軸41を中心とした円周上において隙間なく設けることもできる。
【0018】
キャップ26の内部における上記放物線の焦点の位置には、反射鏡33が固設されている。反射鏡33は、指針20の前面に沿って延びる反射面33aを有する凸面鏡である。また、キャップ26の周壁には指針20に向けて開口するスリット27が形成されている。
【0019】
筒部13の内周面と基部23との間には、導光体32が基部23と一体回転可能に設けられている。導光体32は、第1光源31と反射鏡33との間に位置しており、第1光源31からの光の向きを揃えて反射鏡33に導くものである。
【0020】
また、基板14の前面における筒部13の外周側には、例えば発光ダイオードからなり、半透明の文字板10の数字及び目盛りに後側から光を照射する複数の第2光源39が設けられている。これら第2光源39は、上記出力軸41を中心とした円周上において所定間隔毎に設けられている。なお、第2光源39は目盛りや数字の形成範囲に対応して設けることが好ましい。
【0021】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、第1光源31から前方に向けて光が照射されると、この光は導光体32を通じて、上記放物線の焦点の位置に設けられた反射鏡33に導かれる。そして、反射鏡33において反射されて同指針20の前面の略全体に照射される。ここで、反射膜22が設けられた指針20の前面が同指針20の長手方向の先端側ほど前側に位置するように湾曲して放物線状をなしているため、反射鏡33から同指針20の前面に光が照射されると、照射された光が反射して前方に向けて放物線の対称軸線Lと平行に前方に向けて進む。このため、指針20の前面によって反射された光の指向性が高められる。
【0022】
また、図3に示すように、直交方向Nにおける指針20の前面の断面が円弧状の凸面をなしているため、指針20の前面において反射された光が直交方向Nにおいてある程度の広がりをもって進む。このため、直交方向Nにおいて運転者の視点が変動した場合であっても、指針20からの反射光が運転者の眼に届くこととなる。
【0023】
以上説明した本実施形態に係るメータ装置によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)メータ装置は、文字板10と、文字板10の前側においてステッピングモータ40の出力軸41を中心に回動可能に設けられた指針20と、指針20の前面に向けて光を照射する照射装置30と、を備えている。指針20の前面は、反射膜22によって形成されるとともに指針20の長手方向の先端側ほど前側に位置する放物線状をなしている。照射装置30は指針20がなす放物線の焦点の位置から同指針20の前面に光を照射するように構成されている。
【0024】
こうした構成によれば、反射膜22が設けられた指針20の前面が同指針20の長手方向の先端側ほど前側に位置するように湾曲して放物線状をなしているため、同放物線の焦点の位置から同指針20の前面に光が照射されると、照射された光が反射して前方に向けて放物線の対称軸線と平行に進む。このため、指針20の前面によって反射された光の指向性を高めることができる。従って、第1光源31の光量を大きくしなくとも指針20の視認性を高めることができる。
【0025】
(2)指針20の長手方向に直交する直交方向Nにおける同指針20の前面の断面は円弧状の凸面をなしている。
こうした構成によれば、指針20の前面において反射された光が直交方向Nにおいて広がりをもって進む。このため、直交方向Nにおいて運転者の視点が変動した場合であっても、指針20からの反射光が運転者の眼に届くこととなる。従って、直交方向Nにおいて運転者の視点が変動した場合に指針20の視認性が損なわれることを抑制することができる。
【0026】
(3)照射装置30は、指針20よりも後方に設けられた第1光源31と、指針20よりも前方に設けられて第1光源31から照射される光を指針20の前面に向けて反射させる反射鏡33と、を備えている。
【0027】
こうした構成によれば、指針20の後側に設けられた第1光源31から照射される光が、同指針20よりも前方に設けられた反射鏡33において反射されて同指針20の前面全体に照射される。このように第1光源31を指針20よりも後方に設けることによって指針20よりも前方の構造を簡易なものとすることができる。
【0028】
(4)反射鏡33は、指針20の前面に沿って延びる反射面33aを有する凸面鏡である。このため、反射鏡33において反射した光の大部分は指針20の前面に向けて進む。従って、反射鏡33において反射した光を無駄なく指針20の前面に照射することができる。
【0029】
<第2実施形態>
以下、図4図6を参照して、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
本実施形態では、指針の前面に、指針の長手方向における曲率が異なる3つの面を長手方向に直交する直交方向に並設している点が先の第1実施形態と相違している。
すなわち、図4及び図5に示すように、針本体121の前面には鏡面状の反射膜122が形成されている。反射膜122の前面には、指針120の長手方向における曲率が異なる3つの面122a,122bが直交方向Nに並設されている。
【0031】
ここで、直交方向Nの中央に位置する第1面122aは、第1実施形態の反射膜22と同様な放物線状をなしている。また、図6に示すように、直交方向Nの両端に位置する第2面122bは第1面122aよりも曲率が大きくされており、長手方向の先端側ほど第1面122aよりも前方に位置している。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
反射膜122の第1面122aにおいて反射された光は、放物線の対称軸線Lと平行に前方に向けて揃って進む。
【0033】
また、図6に示すように、反射膜122の第2面122bにおいて反射された光は、前方に向けて揃って進む。ただし、第2面122bは第1面122aよりも曲率が大きいため、放物線の対称軸線Lと平行ではなく、キャップ26寄りに傾斜して前方に向けて進む。
【0034】
このように、指針120の長手方向における曲率が異なる面122a,122bにおいて反射された光は、それらの曲率の違いに応じて互いに異なる方向に向けて進む。
以上説明した本実施形態に係るメータ装置によれば、先の第1実施形態の効果(1)〜(4)に加え、新たに以下に示す効果が得られるようになる。
【0035】
(5)指針120の前面には、指針120の長手方向における曲率が異なる複数の面122a,122bが長手方向に直交する直交方向Nに沿って並設されている。
こうした構成によれば、指針120の長手方向において運転者の視点が変動した場合であっても、指針120の視認性が損なわれることを抑制することができる。
【0036】
なお、本発明に係るメータ装置は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・本発明をエンジンの回転速度メータなど車速メータ以外のメータ装置に対して適用することもできる。
【0037】
・指針の前面の表面粗さを適宜設定することができる。
・反射鏡33に代えて、放物線の焦点の位置に光源を設けることもできる。この場合、反射鏡33及び導光体32を省略することができる。
【0038】
・上記各実施形態では、直交方向Nにおける指針20、120の前面の断面を円弧状の凸面としたが、これに代えて、直交方向における指針の前面の断面を平面状にすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
10…文字板、11…湾曲部、12…平面部、13…筒部、14…基板、14a…孔、20…指針、21…針本体、22…反射膜(反射材)、23…基部、24…突出部、26…キャップ、27…スリット、30…照射装置、31…第1光源(光源)、32…導光体、33…反射鏡(反射部材)、33a…反射面、39…第2光源、40…ステッピングモータ、41…出力軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6