(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に車両駆動用の主電池(101)を備えた電動車両(1)と、前記電動車両(1)に接続ケーブル(3)を介して接続され前記主電池(101)からの電力線(107、108)が導かれる電力変換器(2)とを備える電力供給装置であって、
前記電力変換器(2)は、
前記接続ケーブル(3)を介して前記電動車両(1)からの第1制御電源を導く第1制御電源ライン(L1)と、
前記主電池(101)からの電力により前記電力線(107、108)とは絶縁された第2制御電源を生成する絶縁型DC−DCコンバータ(15)と、
前記絶縁型DC−DCコンバータ(15)からの第2制御電源を導く第2制御電源ライン(L2)と、
前記第1制御電源または前記第2制御電源が供給されて作動する制御装置(4)と、
前記制御装置(4)と前記第1制御電源ライン(L1)との間に設けられた回り込み防止リレーのスイッチ手段(16)と、を備え、
前記スイッチ手段(16)の一次側に前記第1制御電源ライン(L1)が接続され、前記スイッチ手段(16)の二次側に前記第2制御電源ライン(L2)が接続されていることを特徴とする電力供給装置。
前記第1制御電源ライン(L1)は、前記電動車両(1)のシガーソケット(70)を介して前記電力変換器(2)に接続されたラインと、前記シガーソケット(70)を介さずに前記接続ケーブル(3)に接続されたラインとから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
前記制御装置(4)内のスイッチ素子(110j)が、前記接続ケーブル(3)内の往路と成る信号線(110)を介して前記電動車両(1)内のスイッチ素子(110k)に接続され、
前記制御装置(4)は、前記接地線(103)を前記信号線(110)の帰路として前記電動車両(1)との間で制御信号を授受することを特徴とする請求項3に記載の電力供給装置。
前記電力変換器(2)内に、前記接地線を介して流れる前記電力線(107、108)の地絡電流を検出する地絡検出センサが設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の電力供給装置。
前記電動車両(1)内に電動車両駆動用電力を供給する前記主電池(101)と、前記電動車両(1)の運転スイッチのオンオフにより外部への電源供給が制御され前記主電池(101)よりも低圧の直流電源を供給する低圧電池(102)と、前記低圧電池(102)の電源を外部に取り出すシガーソケット(70)と、前記主電池(101)の電力を外部に供給する場合に投入されるコンタクタ(101c)とを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電力供給装置。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等の電動車両内の主電池を用いて、系統への放電や電気機器への給電を行いたいという要望がある。しかし、この要望は、設計変更を加えた特定の電動車両でしか実現できなかった。
【0003】
そこで、特許文献1に係る
図4を援用して説明すれば、可搬型の電力変換器2を用意し、電動車両1が持つ急速充電コネクタに電力変換器2を接続してEV駆動用バッテリと称する主電池の電動車両1外部への放電を行うものが知られている。しかし、可搬型の電力変換器2であるため、電動車両1からの放電が始まるまでは電力変換器2自身のインターフェースと称する制御装置の制御電源が確保できないとう問題があった。
【0004】
換言すれば、市場に出回っている一般の電動車両1に可搬型の電力変換器2を持ってきて、電動車両1内の主電池を用いて、系統への放電や電気機器への給電を行いたい場合に、電動車両1と電力変換器2とを制御する制御装置の電源確保という問題がある。そして、電動車両から電力をもらうまでは、制御装置の電源確保ができない。
【0005】
そこで、この問題に鑑み、特許文献1に記載の構成が考えられている。この構成は、電動車両1から電力を取り出して外部に供給する電力変換器2を起動させるための制御電源を確保し、より確実に電力変換器2を起動できるようにする。
【0006】
そのために、特許文献1に記載の装置は、
図4のように、電力変換器2に搭載される内蔵バッテリと、電力変換器2に搭載されDC/ACインバータの動作を制御するインターフェース(制御装置)を具備している。かつ、電動車両1に設けられEV駆動用バッテリ(電動車両内の主電池)の放電を制御する急速充電コンタクタを具備している。
【0007】
この特許文献1に記載の装置では、第1に、接続プラグを介する高圧のDC主回路から給電を受ける電力変換器2内の内蔵充電器および内蔵バッテリから制御装置(インターフェース)が制御電源を得ている。第2に、電動車両1の補機用バッテリからACCプラグ(シガーソケット)とダイオードとを介してインターフェース(制御装置)が制御電源を得ている。この二つのルートから制御電源を確保するのが特許文献1の考え方である。このインターフェース(制御装置)によって、電動車両1と電力変換器2とが、情報交換しながら電力の授受を行うものである。
【0008】
また、特許文献1に記載の装置は、EV駆動用バッテリ(主電池)と、インターフェース(制御装置)とを接続プラグを介して電気的に接続している。また、内蔵バッテリの電力をインターフェース(制御装置)および接続プラグに供給することにより、DC/ACインバータが動作可能となる。同時に、接続プラグと、急速充電コンタクタ(EVコンタクタまたは単にコンタクタとも言う)とを介して、電動車両1から電力変換器2への送電が可能となる。
【0009】
具体的には、車両内のDC12ボルトの低圧電源を供給するシガーソケットから制御装置に制御電源を供給している。一方、車両を駆動するEV駆動用バッテリからの高電圧(DC主回路)を、急速充電コネクタを介して電力変換器2の内蔵充電器と内蔵バッテリに電力を供給し、この内蔵バッテリからもインターフェース(制御装置)に制御電源を供給している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1の技術によると、以下の問題が有る。第1に、利用する内蔵バッテリ(二次電池)は経年劣化が生じ、定期的な交換対応が必要なため、商品性の劣化や利用者の利便性低下が起きる。
【0012】
第2に、電力変換器2の内蔵充電器が絶縁型(絶縁トランスで一次側二次側を完全に絶縁するタイプ)であるとは記載されていない。内蔵充電器が非絶縁型(コイルとスイッチング素子だけで電圧変換するタイプ)とすると、上記DC主回路(高圧の主電池のラインであり200〜400ボルトの電圧を持つ)と制御電源が同電位となる可能性があるが、そのことについては考慮されていない。
【0013】
ちなみに、電動車両の内部では、EV駆動用バッテリの高電圧のラインと補機用バッテリとの低電圧のラインとは絶縁されている。要は、混触して低電圧のラインに高電圧が印加されないように配慮されている。この考え方は、電力変換器2の内部でも、そのような配慮がなされるべきである。しかし、上記特許文献1の技術では、このような配慮がなく、インターフェース(制御装置)に高電圧が混触してしまう可能性がある。
【0014】
第3に、シガーソケット(ACCソケット)のDC12ボルトラインをダイオードを介してインターフェースに常時直接接続している。この接続形態では、JISのTSD0007に規定された急速充電仕様に定める回り込み回路発生防止の機能を果たさず、電力線の地絡検知にも用いられる接地線の断線を検出できない。
【0015】
以下、これについて、説明する。
図5は電力線の地絡検知の説明図である。電動車両1内にはEV駆動用バッテリとも称する高圧直流電力を供給する主電池101が内蔵され、この主電池101の両端に接続された電力線107、108の地絡を検出する必要がある。
【0016】
また、電動車両1の車体1bおよび電力変換器2の筐体2bは共に接地線103にて接続されアースされている。このような接地線103は、特許文献1では図示が省略されているが当然設けられている。
【0017】
この接地線103は、本来の接地作用以外に、電動車両1内の制御を行う図示しない制御装置内のスイッチ素子と電力変換器2内の制御を行うスイッチ素子とのオンオフ信号を電動車両1と電力変換器2との間でやり取りする場合の信号帰路としての作用を成す。なお、スイッチ素子はトランジスタ等で形成される。
【0018】
この信号帰路を成す接地線103が断線すると、上記オンオフ信号を電動車両1側と電力変換器2との間でやり取りできなくなる。つまり、電力変換器2側からすれば電動車両1の動きが読めなくなり、接地線103が断線した場合は停止信号として感知でき、充電ないし放電動作を停止することができる。しかし、回りこみ回路が形成されると、接地線103が断線していても感知できない。
【0019】
また、電動車両1と電力変換器2との間では地絡検出のために、地絡検出回路が形成されている。この地絡検出回路は、接地線103と、2つの抵抗104、105に接続された地絡検出センサ106(直流電流センサとも言う)とを有している。接地線103はJISに記載され第1の作用を成す接地線と同じである。地絡が発生すると、抵抗104、105のいずれかと接地線103とを介して地絡検出センサ106に微弱電流が流れて地絡の有無が検出される。つまり、接地線103は、地絡検出という作用にも関係する。よって、接地線103が断線すると、地絡検出ができなくなる。
【0020】
回り込み回路形成事例として、
図6と同様の回路例が公開されている。接地線103が断線しているか否かを監視することが重要になる。しかし、
図6の電力変換器(充電器)2側と電動車両1側との間に、抵抗R1、R3を介した常時直接接続されている常時直接接続ライン109がある場合に問題が起こる。この場合、接地線103が×印のように断線していても、常時直接接続ライン109(抵抗R1、R3を通るライン)によって、本来の破線矢印の信号線110と接地線103とを経由する回路に代わる回り込み回路が、実線の矢印のように形成される。
【0021】
この結果、接地線に×印の断線があっても、電動車両1側のスイッチ素子110kと電力変換器側(充電器側)のスイッチ素子110jのオンオフ信号が電動車両1側と電力変換器(充電器)2側との間でやり取りされてしまう。なお、スイッチ素子110jとスイッチ素子110kは、トランジスタまたはフォトトランジスタから構成できる。
【0022】
換言すれば、本来は、接地線103を破線矢印のように通るオンオフ信号によって電動車両1側のスイッチ素子110kと電力変換器2側(充電器側)のスイッチ素子110jとの間にオンオフ信号が流れる。このため、接地線103に断線が有ると、すぐに判明する。しかし、実線矢印のように接地線103断線時の回り込み回路が形成されると、接地線103に断線が有ることがわからなくなる。
【0023】
このように、特許文献1に記載の電力供給装置においても、開示が成されていないものの、
図5と
図6の回路の考え方が必須であり、回り込み回路の形成に留意する必要がある。特に接地線103は、電動車両1の車体1bから接続プラグ内を経由して電力変換器2のシャシー(筐体2b)と共に接地されている。
【0024】
しかるに、特許文献1の回路構成では、
図4のように、シガーソケット(ACCソケット)のDC12ボルトラインがダイオードを介してインターフェース(制御装置)に常時直接接続している。よって、上述の常時直接接続ラインを通る回り込み回路が形成されてしまうという問題がある。
【0025】
このように、特許文献1の回路構成では、シガーソケットのDC12ボルトラインを車両への供給ラインに常時直接接続しているため、JISのTSD0007に規定された急速充電仕様に定める回り込み回路が形成されている可能性が高い。
【0026】
従って、回りこみ回路発生防止の機能を果たしていない。つまり接続プラグ内を通過する図示していない信号帰路を形成する接地線103が断線していても、この断線の有無が判明しない。また、電力線107、108の地絡検知にも用いられる接地線103の断線を検出できない。
【0027】
このように、電動車両1内の高電圧が、充電器、充放電装置、可搬式電力変換器等と称される電力変換器2に導かれている。そして、電動車両1内で地絡が発生すると接地線103を介して電流が流れ、この電流を地絡検出器内の地絡検出センサ106(
図5)で検出するようになっている。つまり電動車両1内の絶縁状態を監視している。しかし、万一接地線103が断線していると、このような地絡検出が不可能となる。
【0028】
このことが安全上のリスクになる上、上記JISの基準にも適合しない。このような問題を解決するためには、
図4の内蔵バッテリの利用を止めたり、電力変換器2と電動車両1との電力通信状態に応じて、電動車両1と電力変換器2との接続形態および受電方法を変更したりする必要がある。しかし、実装部品の見直しや通信段階に応じた複雑な制御が必要であり、扱いを間違えると制御電源喪失に至る可能性がある。
【0029】
本発明の目的は、電動車両と電力変換器との間の制御を実行する制御装置の制御電源が確実に確保されると共に、電動車両と電力変換器との間の常時直接接続ラインに係る回り込み回路発生による弊害をなくすことにある。そして、電力線の地絡検知にも用いられる接地線の断線をより確実に検出できるようにした電力供給装置を提供することにある。
【0030】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、本発明の一つでは、電力供給装置は、内部に車両駆動用の主電池(101)を備えた電動車両(1)と、電動車両(1)に接続ケーブル(3)を介して接続され主電池(101)からの電力線(107、108)が導かれる電力変換器(2)とを備える。電力変換器(2)は、第1制御電源ライン(L1)と、絶縁型DC−DCコンバータ(15)と、第2制御電源ライン(L2)と、制御装置(4)と、回り込み防止リレーのスイッチ手段(16)とを備える。
【0032】
第1制御電源ライン(L1)は、接続ケーブル(3)を介して電動車両(1)から第1制御電源を得る。絶縁型DC−DCコンバータ(15)は、主電池(101)からの電力により電力線(107、108)とは絶縁された第2制御電源を生成する。第2制御電源ライン(L2)は、絶縁型DC−DCコンバータ(15)からの第2制御電源を導く。
【0033】
制御装置(4)は、第1制御電源または第2制御電源が供給されて作動する。回り込み防止リレーのスイッチ手段(16)は、制御装置(4)と第1制御電源ライン(L1)との間に設けられている。そして、スイッチ手段(16)の一次側に第1制御電源ライン(L1)が接続され、スイッチ手段(16)の二次側に第2制御電源ライン(L2)が接続されている。
【0034】
この発明によれば、接続ケーブル(3)を介して電動車両(1)から第1制御電源を得る第1制御電源ライン(L1)を備える。また、車両駆動用の主電池(101)からの電力により、電力線(107、108)とは絶縁された第2制御電源を第2制御電源ライン(L2)に生成する絶縁型DC−DCコンバータ(15)を備える。そして、第1制御電源または第2制御電源が供給されて作動する制御装置(4)を備える。制御装置(4)と第1制御電源ライン(L1)との間に回り込み防止リレーのスイッチ手段(16)を備える。それにより、スイッチ手段(16)の一次側に第1制御電源ライン(L1)が接続され、スイッチ手段(16)の二次側に第2制御電源ライン(L2)が接続されている。従って、制御装置(4)には、絶縁型DC−DCコンバータ(15)からの第2制御電源と、スイッチ手段(16)を経由した第1制御電源とが供給される。
【0035】
従って、絶縁型DC−DCコンバータ(15)が作動していないときにも、電動車両(1)から第1電源が制御装置(4)に供給されるため、電動車両(1)と電力変換器(2)との間の制御を実行する制御装置(4)の電源が確実に確保される。また、制御装置(4)には、スイッチ手段(16)を経由した第1制御電源が供給される。よって、スイッチ手段(16)が開放またはOFFしている場合を設定することができる。これにより、電動車両(1)と電力供給装置との間の常時直接接続ラインを無くすことができるから、回り込み回路発生による弊害を解消できる。更に、回り込み回路が実質的に無くなることにより、電力線(107、108)の地絡検知にも用いられる接地線(103)の断線をより確実に検出できる。
【0036】
なお、スイッチ手段(16)が閉じている場合は、回り込み回路が形成されるが、回り込み防止リレーのスイッチ手段(16)が閉じている期間は、絶縁型DC−DCコンバータ(15)からの第2制御電源が確立していない一時期だけとすることができる。また、この時期は、絶縁型DC−DCコンバータ(15)に車両駆動用の主電池(101)からの高圧電力が来ていない一時期と重なる。よって、回り込み防止リレーのスイッチ手段(16)が閉成(ON)している期間に短時間の回り込み回路が形成され接地線(103)の断線が一時的に検出されなくなっても実害が無い。
【0037】
次に、本発明の一つでは、第1制御電源ライン(L1)は、電動車両のシガーソケット(70)を介して電力変換器(2)に接続されたラインと、電動車両のシガーソケット(70)を介さずに接続ケーブル(3)に接続されたラインとから形成されている。
【0038】
これによれば、既存のシガーソケット(70)を介して接続されたラインと、シガーソケット(70)を介さずに接続ケーブル(3)に接続されたラインとから第1制御電源ライン(L1)を形成している。それにより、第1制御電源ライン(L1)に対する電源の供給形態を選択することができ、例えば、一方が不備でも他方で電源供給を確立することができる。
【0039】
次に、本発明の一つでは、制御装置(4)は、接続ケーブル(3)を介して電動車両(1)の車体に接続された接地線(103)を有し、かつ、制御装置(4)は、接地線(103)を使用して電動車両(1)との間で制御信号を授受する。これによれば、接地線(103)を活用しての制御装置(4)が電動車両(1)と電力変換器(2)との間で電力供給に係る制御を行うことができる。
【0040】
次に、本発明の一つでは、制御装置(4)内のスイッチ素子(110j)が、接続ケーブル(3)内の往路と成る信号線(110)を介して電動車両(1)内のスイッチ素子(110k)に接続されている。制御装置(4)は、接地線(103)を信号線(110)の帰路として電動車両(1)との間で制御信号を授受する。
【0041】
この発明によれば、接地線(103)を活用して、制御装置(4)が、電動車両(1)と電力変換器(2)との間で電力供給に係る制御を行うことができる。また、接地線(103)が断線すると制御信号の授受ができなくなるから、接地線(103)の断線が判明する。
【0042】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号ないし説明は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を分かり易く示す一例であり、発明の内容を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について
図1〜
図3を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態となる電力供給装置の電気回路を示している。電力供給装置は、電動車両1と可搬型の電力変換器2とを備えている。電力変換器2は外部に電動車両1の主電池101の電力を取り出す放電装置としての役割を備える。
【0045】
この一実施形態においては、外部電源となる系統電力(商用電源の電力)側の電気機器30から電動車両1の主電池101を充電する充電装置としての機能も持っている。従って、電力変換器2は充放電装置でもある。電動車両1と電力変換器2との間には充放電コネクタケーブルから成る接続ケーブル3を備えている。
【0046】
この一実施形態は、電動車両1と電力変換器2との間の制御を実行する制御装置4(特許文献1のインターフェースに相当し、電力変換器2内の機器である)の制御電源が確実に確保されるようにしている。それと共に、電動車両1と電力変換器2との間の常時直接接続ラインに係る回り込み回路発生による弊害をなくしている。また、電力線107、108の地絡検知にも用いられる接地線103の断線を検出できるようにした電力供給装置を提供している。
【0047】
そのために、電動車両1から電力変換器2にDC12ボルト給電ライン6が追加されている。このDC12ボルト給電ライン6の代わりに、あるいは、それと共に、シガーソケット70を利用した脱着式シガーケーブル5を用いても良い。
【0048】
図1においては、DC12ボルト給電ライン6と脱着式シガーケーブル5とを併用してダイオード10、11で給電出力が合流して回り込み防止リレーの接点からなるスイッチ手段16を介して制御装置4にDC12ボルトの制御電源が供給されるようにしている。
【0049】
また、特許文献1の内蔵バッテリ相当を廃止して、代わりに、一次側と二次側が絶縁トランスで絶縁された絶縁型DC−DCコンバータ15を採用している。更に、DC12ボルト給電ライン6に、DC12ボルトの供給源を切り替える回り込み防止リレーのスイッチ手段16を追加して、常時直接接続ラインを廃止している。スイッチ手段16は無接点式のいわゆる半導体スイッチでもよい。
【0050】
以下具体的に説明する。この実施形態においても基本的にはDC12ボルトの電源を例えば脱着式シガーケーブル5や新設のDC12ボルト給電ライン6を介して電動車両1からもらうことは否定していない。なお新設ラインから成るDC12ボルト給電ライン6を設ける場合は、接続ケーブル3の先についているコネクタ内の余剰のピンを利用できる。
【0051】
制御装置4の制御電源が、DC12ボルト給電ライン6またはシガーソケット70を介した脱着式シガーケーブル5から供給されている。このように、DC12ボルトの制御電源供給ラインに関して、シガーソケット70からと、接続ケーブル3の先についているコネクタ内のピンからとの両方を有している点、は特許文献1に記載がない部分である。
【0052】
絶縁型DC−DCコンバータ15は、高圧をDC12ボルトに降圧し、一次側と二次側とが内部の絶縁トランスで絶縁された絶縁型である。従って、高圧側と低圧側の混触のリスクが少ない。この絶縁型DC−DCコンバータ15のDC12ボルト出力と、前述のDC12ボルト給電ライン6またはシガーソケット70を経由する脱着式シガーケーブル5のDC12ボルト出力とは、スイッチ手段16の一次側と二次側とに夫々供給されている。
【0053】
電力変換器2が起動した当初は、DC12ボルト給電ライン6または脱着式シガーケーブル5を経由する第1制御電源ラインL1のDC12ボルト出力によって、制御装置4の制御電源が確保される。
【0054】
そして、制御装置4によって電動車両1と電力変換器2との間で通信がなされる。この通信の一例は、電動車両1内の
図1では図示が省略されたコンタクタ(急速充電コンタクタまたはEVコンタクタとも呼ばれる)の投入を依頼する。このコンタクタは後述する
図5のEVコンタクタと同じものである。コンタクタ投入による電動車両1からの電力線107、108を経由した高圧電力によって、絶縁型DC−DCコンバータ15がDC12ボルトの出力を第2制御電源ラインL2に生成できる。そして生成できる段階になった場合には、回り込み防止リレーのスイッチ手段16をオン状態からオフ状態に切替える。
【0055】
この回り込み防止リレーのスイッチ手段16をオン状態からオフ状態に切替えることにより、電動車両1からのDC12ボルト出力が常時直接接続とはならない。つまり、接地線103が断線したときの回り込み回路が解消される。制御装置4の制御電源が絶縁型DC−DCコンバータ15のDC12ボルトの出力によって生成できたことを確認したうえで、回り込み防止リレーのスイッチ手段16がオン状態からオフ状態に切替えられている。
【0056】
なお、電動車両1から電力変換器2を介して電力を取り出すのを停止する終了処理の場合は、逆に回り込み防止リレーのスイッチ手段16をオフ状態からオン状態に切替えてから、電動車両1内のコンタクタがオフする。その結果、電力線107、108に高圧電源が来なくなって絶縁型DC−DCコンバータ15のDC12ボルト出力が無くなる。その代わりに、DC12ボルト給電ライン6または脱着式シガーケーブル5を経由するDC12ボルト出力によって制御装置4の制御電源が確保される。これによって、制御電源の信頼性が高まる。
【0057】
なお、電動車両1から電力変換器2を介して電力を取り出すのを停止する終了処理を行っているときは、回り込み防止リレーのスイッチ手段16をオフ状態からオン状態に切替えるため回り込み回路が一時的に形成される。しかし、電動車両1内のコンタクタが遅滞なくオフし、電力線107、108に高圧電源が来なくなるため、このときに、接地線103が断線したとしても、実害がない。
【0058】
なお、絶縁型DC−DCコンバータ15のDC12ボルト出力を確認する図示しない電圧計からの信号によって、絶縁型DC−DCコンバータ15のDC12ボルト出力が来たのを確認してから、回り込み防止リレーのスイッチ手段16がオフするようにしても良い。また、絶縁型DC−DCコンバータ15のDC12ボルト出力を回り込み防止リレーのスイッチ手段16の二次側に逆流防止ダイオード21を介して導くようにしても良い。
【0059】
図2は、この一実施形態における電力供給装置の起動準備中の制御を示す。
図3はこの一実施形態における電力供給装置の放電中および終了処理中の制御を示す。
図2において、ステップS301で電動車両1のシステムが起動される。先ず、ステップS302で車両の運転キーがユーザによって操作され、運転スイッチのIG端子またはACC端子に所定の電圧が印加される(IG or ACC ON)。これによって、電動車両1から
図1のDC12ボルト給電ライン6またはシガーソケット70および脱着式シガーケーブル5を経由するDC12ボルト出力の電力変換器2への供給が行われる。
【0060】
電力変換器2においては、ステップS306の起動処理では、先ず、ステップS307において、ユーザにより接続ケーブル3の充放電コネクタが電動車両1と電力変換器2との間に接続される。
【0061】
次に、ステップS308では、接続ケーブル3内におけるDC12ボルトの追加線であるDC12ボルト給電ライン6が有るか否かが判断される。DC12ボルト給電ライン6が有る場合は、ステップS310に進み、無い場合は、ステップS309において、ユーザがシガーソケット70に脱着式シガーケーブル5を介して制御装置4の制御電源ラインを接続する。
【0062】
これにより、電動車両1から充放電装置を成す電力変換器2に、DC12ボルト給電ライン6または脱着式シガーケーブル5を経由するDC12ボルト出力が供給され、電力変換器2は、DC12ボルトの受電をステップS310で開始する。このステップS310のときに、回り込み防止リレーのスイッチ手段16を成す接点は、常閉状態(ノーマルクローズ状態NC)を維持している。
【0063】
次に、ステップS311において、充放電装置を成す電力変換器2の起動処理を行う。このために、ステップS312において、電力変換器2に付属している図示しない充放電開始スイッチがユーザによりON操作される。これにより、電力変換器2から電動車両1に充放電開始信号の送信がなされる。
【0064】
この充放電開始信号の送信を受けた電動車両1側では、ステップS304において車両側充放電起動処理をおこなう。そして、ステップS305において、電動車両1内のコンタクタがONする。これによって、主電池101の高電圧を電力変換器2に印加する。
【0065】
電力変換器2側では、ステップS313において、電圧等によりコンタクタがONしたことを確認すると、ステップS314において、電力変換器2内の絶縁型DC−DCコンバータ15が起動する。この起動は、高電圧がくると自動的に成されても良い。これにより絶縁型DC−DCコンバータ15は、二次側にDC12ボルトを発生し、逆流防止ダイオード21を経由して、制御装置4にDC12ボルトを供給する(逆流防止ダイオード21は必須ではない)。そして、ステップS315において、回り込み防止リレーのスイッチ手段16をOFFする。
【0066】
次に、
図3によって、電動車両1内の主電池101の高電圧が電力変換器2を介して放電する放電中の処理と終了処理中の処理について説明する。放電中においては、電動車両1および電力変換器2において、夫々
図1の電気機器30に対する放電動作が、
図3のステップS321、ステップS328において行われる。例えば、電気機器30が災害時の非常電源装置である場合は、電動車両1内の主電池101の電力を放電させて災害時の照明負荷等に電力を供給できる。
【0067】
また、電気機器30が急速充電装置である場合は、制御装置4によって制御される電磁開閉器の接点30a〜30cおよび抵抗30dを介して、電動車両1内の主電池101に充電することができる。なお、充電のみを行う場合にあっては、この電磁開閉器の接点30a〜30cおよび抵抗30dは、電力線107上で電力変換器2から電動車両1の向きに通電するダイオードに置き換えてもよい。従って、
図3のステップS321、ステップS328においては、充放電動作が行われる。
【0068】
次に、このような、充放電動作を終了する場合について説明する。ステップS329において、ユーザが電力変換器2に付属している充放電停止スイッチをONする。これにより、電力変換器2から電動車両1に対して充放電停止信号が送信される。この充放電停止信号を電動車両1が受信したときは、ステップS322において、充放電許可信号をOFFすると共に、電力変換器2に充放電停止信号を受信した証としての充放電停止信号を返信する。かつ、充放電許可信号がOFFされたことを示す作動許可信号を電動車両1から電力変換器2に送信する。
【0069】
次に、ステップS323において、電動車両1は第1制御電源の供給を再開する(なお、基本的には常時DC12ボルトの電圧が、DC12ボルト給電ライン6または脱着式シガーケーブル5に印加されている)。
【0070】
電力変換器2では、ステップS330において、念のため制御用DC12ボルトの供給が再開していることを確認してから回り込み防止リレーのスイッチ手段16をオフ状態からオン状態に切替える。これによって、絶縁型DC−DCコンバータ15からのDC12ボルト電源(第2制御電源)が無くなっても制御装置4の制御電源が確保できる状態となる。
【0071】
次に、電動車両1では、ステップS324において、コンタクタをOFFする。これにより電動車両1内の主電池101の出力が外部に供給されなくなる。この主電池の電圧の印加なしの情報は、電力変換器2に通知される。
【0072】
電力変換器2では、ステップS331において、DC主回路電圧計測ライン111を利用するなどして、コンタクタがOFFされ電動車両1内の高圧の主電池101の出力が外部に供給されなくなったことを確認する。そして、この確認をしてから、ステップS332において、電力変換器2に内蔵の絶縁型DC−DCコンバータ15を停止させる(電圧が来なくなることにより自然に停止させても良い)。
【0073】
電動車両1では、ステップS325において、ユーザにより運転スイッチが操作されて、運転スイッチのIG端子またはACC端子における所定の電圧が印加されなくなる(IG or ACC OFF)。これにより、ステップS326において、電動車両1から
図1のDC12ボルト給電ライン6またはシガーソケット70および脱着式シガーケーブル5を経由するDC12ボルト出力の電力変換器2への供給が停止される。
【0074】
そして、DC12ボルトが遮断された情報が電力変換器2に通知される。ステップS327およびステップS333においては、電動車両1側の車両システムの停止と、電力変換器2側の充放電装置システムの停止がなされる。
【0075】
なお、この一実施形態においても、
図5の地絡検出の構成を採用していることは勿論である。
図5において、電動車両1内には、DC12ボルトの通常の低圧電池(
図1および
図6の低圧電池102)以外に主電池101が搭載されている。この主電池101からコンタクタ101cを介して電動車両1側に電力線107、108が接続される。この電力線107、108は、接地線103等と共に接続ケーブル3内に収納されている。
【0076】
この接地線103は、本来の接地作用以外に、制御装置4内のスイッチ素子110j(
図6)と電動車両1内のスイッチ素子110kとのオンオフ信号を、電動車両1と電力変換器2との間でやり取りする場合の信号帰路としての作用を成す。
【0077】
電力変換器2内には、地絡検出のために、地絡検出回路が形成されている。この地絡検出回路は、
図5のように接地線103と、2つの抵抗104、105に接続された地絡検出センサ106とを有している。
【0078】
地絡が発生すると、抵抗104、105のいずれかと接地線103とを介して地絡検出センサ106に微弱電流(地絡電流106i)が流れて地絡の有無が検出される。つまり、接地線103は、地絡検出という作用にも関係する。よって、接地線103が断線すると、地絡検出ができなくなる。
【0079】
(一実施形態の作用効果)
上記実施形態においては、電力供給装置は、内部に車両駆動用の主電池101を備えた電動車両1と、電動車両1に接続ケーブル3を介して接続され主電池101からの電力線107、108が導かれる電力変換器2とを備える。電力変換器2は、第1制御電源ラインL1と、絶縁型DC−DCコンバータ15と、第2制御電源ラインL2と、制御装置4と、回り込み防止リレーのスイッチ手段16とを備える。
【0080】
第1制御電源ラインL1は、接続ケーブル3を介して電動車両1から第1制御電源を得る。絶縁型DC−DCコンバータ15は、主電池101からの電力により電力線107、108とは絶縁された第2制御電源を生成する。
【0081】
第2制御電源ラインL2は、絶縁型DC−DCコンバータ15からの第2制御電源を導く。制御装置4は、第1制御電源または第2制御電源が供給されて作動する。回り込み防止リレーを成すスイッチ手段16は、制御装置4と第1制御電源ラインL1との間に設けられている。そして、スイッチ手段16の一次側に第1制御電源ラインL1が接続され、スイッチ手段16の二次側(制御装置4側)に第2制御電源ラインL2が接続されている。
【0082】
これによれば、接続ケーブル3を介して電動車両1から第1制御電源を得る第1制御電源ラインL1を備える。また、車両駆動用の主電池101からの電力により、電力線107、108とは絶縁された第2制御電源を第2制御電源ラインL2に生成する絶縁型DC−DCコンバータ15を備える。
【0083】
そして、第1制御電源または第2制御電源が供給されて作動する制御装置4を備える。制御装置4と第1制御電源ラインL1との間に回り込み防止リレーのスイッチ手段16を備える。それにより、スイッチ手段16の一次側に第1制御電源ラインL1が接続され、回り込み防止リレーのスイッチ手段16の二次側に第2制御電源ラインL2が接続されている。
【0084】
従って、制御装置4には、絶縁型DC−DCコンバータ15からの第2制御電源と、スイッチ手段16を経由した第1制御電源とが供給される。これにより、絶縁型DC−DCコンバータ15が作動していないときにも、電動車両1から第1制御電源が制御装置4に供給されるため、電動車両1と電力変換器2との間の制御を実行する制御装置4の電源が確実に確保される。
【0085】
また、絶縁型DC−DCコンバータ15を使用しているため、
図4の上記特許文献1の技術のような問題が無い。つまり、第1に、内蔵バッテリ(二次電池)の経年劣化に伴う問題が無い。第2に、DC主回路(高圧の主電池のラインであり200〜400ボルトの電圧を持つ)と制御電源が同電位となる可能性がない。第3に、回り込み防止リレーのスイッチ手段16を有し、このため、シガーソケット(ACCソケット)のDC12ボルトラインがインターフェースに常時直接接続されていない。そのため、回り込み回路発生防止の機能を果たし、電力線の地絡検知にも用いられる接地線の断線を検出できる。
【0086】
また、制御装置4には、スイッチ手段16を経由した第1制御電源が供給される。よって、スイッチ手段16が開放またはOFFしている場合を設定することができる。これにより、電動車両1と電力変換器2との間の常時直接接続ラインを無くすことができるから、回り込み回路発生による弊害を解消できる。
【0087】
更に、回り込み回路が実質的に無くなることにより、電力線107、108の地絡検知にも用いられる接地線103の断線をより確実に検出できる。なお、スイッチ手段16が閉じている場合は、回り込み回路が形成されるが、この回り込み防止リレーのスイッチ手段16が閉じている期間は、絶縁型DC−DCコンバータ15からの第2制御電源が確立していない一時期にすることができる。
【0088】
また、この時期は、絶縁型DC−DCコンバータ15に車両駆動用の主電池101からの高圧電力が来ていない一時期と重なる。よって、回り込み防止リレーのスイッチ手段16が閉じている期間に短時間の回り込み回路が形成され接地線の断線が一時的に検出されなくなっても実害が無い。
【0089】
次に、第1制御電源ラインL1は、電動車両のシガーソケット70を介して電力変換器2に接続されたラインと、電動車両のシガーソケット70を介さずに接続ケーブル3に接続されたラインとから形成されている。
【0090】
これによれば、既存のシガーソケット70を介したラインと、接続ケーブル3に接続されたラインとから第1制御電源ラインL1を形成している。それにより、第1制御電源ラインL1に対する電源の供給形態を選択することができ、例えば、一方が不備でも他方で電源供給を確立することができる。
【0091】
次に、制御装置4は、接続ケーブル3を介して電動車両1の車体に接続された接地線103を有し、かつ、制御装置4は、接地線103を使用して電動車両1との間で制御信号を授受する。これによれば、接地線103を活用して制御装置4が電動車両1と電力変換器2との間で電力供給に係る制御を行うことができる。
【0092】
次に、電力変換器2の制御装置4内のスイッチ素子110jが、接続ケーブル3内の往路と成る信号線110を介して電動車両1内のスイッチ素子110kに接続されている。そして、制御装置4は、接地線103を信号線110の帰路として電動車両1との間で制御信号を授受する。
【0093】
これによれば、接地線103を活用して、制御装置4が、電動車両1と電力変換器2との間で電力供給に係る制御を行うことができる。また、接地線103が断線すると制御信号の授受ができなくなるから、接地線103の断線が判明する。
【0094】
次に、電力変換器2内に、接地線103を介して流れる電力線107、108の地絡電流を検出する地絡検出センサ106が設けられている。これによれば、地絡検出センサ106が設けられているから、接地線を活用して、電力線の地絡を検出することができる。
【0095】
次に、電動車両1内に、電動車両駆動用電力を供給する主電池101と、電動車両1の運転スイッチのオンオフにより外部への電源供給が制御され主電池101よりも低圧の直流電源を供給する低圧電池102とが設けられている。かつ、電動車両1内に、低圧電池102の電源を外部に取り出すシガーソケット70と、主電池101の電力を外部に供給する場合に投入されるコンタクタ101cとが設けられている。
【0096】
これによれば、低圧電池102の電力をシガーソケット70を介して外部に取り出すことができるから、電力変換器2に必要な制御電源が、シガーソケット70を介して供給できる。また、主電池101の電力を外部に供給する場合に投入されるコンタクタ101cを備えるから、コンタクタ101cにより、外部への電力供給を制御できる。
【0097】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
【0098】
上記一実施形態では、DC12ボルト給電ライン6と脱着式シガーケーブル5とを併用してダイオード10、11で給電出力が合流して回り込み防止リレーのスイッチ手段16を介して制御装置4にDC12ボルトの制御電源が供給されるようにしている。しかし、DC12ボルト給電ライン6および脱着式シガーケーブル5のいずれか一方を用いて、制御電源が供給されるようにしても良い。
【0099】
脱着式シガーケーブル5を用いる場合は、電動車両1内の主電池101を用いて系統電力への放電や電化機器への給電を行うことができる。この場合、設計変更を加えた特定の電動車両1でなくても(リリース済の電動車両でも)、シガーソケット70さえあれば実現できる。
【0100】
また、上記一実施形態では、回り込み防止リレーを成すスイッチ手段16を電力変換器2の内部に具備しているが、DC12ボルトの制御電源を供給する側である電動車両1内に設けてもよい。シガーソケット70を用いる車両の場合は、少なくともDC12ボルト給電ライン6は電力変換器2のみにDC12ボルトの制御電源を供給するため、車内にスイッチ手段16を設けることが可能である。
【0101】
この場合、スイッチ手段16のON/OFFのタイミングは、電動車両1と電力変換器2の間の通信制御で予め定めておくことで対応できる。例えば、電動車両1内でコンタクタ101cをONする規定時間後にスイッチ手段16をOFFさせたり、コンタクタ101cをOFFする規定時間前にスイッチ手段16をONさせたりすることを予め定めることができる。
【0102】
なお、上記一実施形態においても、回り込み回路が形成されるが、これにより接地線断線検出が無効になるのは数秒程度の間だけである。かつ、終了処理時に接地線103が断線しても、電動車両1の高電圧出力は無くなっているので、実質的な問題はない。
【0103】
更に、上記一実施形態では、第1制御電源ラインL1と第2制御電源ラインL2との選択ならびに回り込み防止回路の形成を主眼に説明している。しかし、この第1制御電源ラインL1と第2制御電源ラインL2との切替えの副次的な効果として、電動車両1の低圧電池102のバッテリあがり防止が挙げられる。
【0104】
具体的には、電力変換器2は使用状態によっては長時間の利用が想定されるが、電力変換器2の制御電源を常時第1制御電源ラインL1から受電すると、車両の設計によっては、低圧電池102を使い切る恐れがある。そこで、初期の起動時と停止終了時のみ第1制御電源ラインL1から低圧電池102のDC12ボルト電源を受電し、それ以外の充放電中は第2制御電源ラインL2に切り替えて主電池101から受電する。このようにすることで、電力変換器2を長時間使用したとしても電動車両1の低圧電池102を使い切る可能性が大幅に下がり、電動車両1の走行利用等に支障をきたさない。