(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020513
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】細胞培養バッグおよび細胞培養バッグの製造方法
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20161020BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20161020BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20161020BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12M3/06
C12M1/00 C
C12M1/34 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-111151(P2014-111151)
(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公開番号】特開2015-223145(P2015-223145A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飯野 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】日置 丹悟
【審査官】
福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−529854(JP,A)
【文献】
特表2007−534335(JP,A)
【文献】
特表平05−508556(JP,A)
【文献】
特開平02−016965(JP,A)
【文献】
特表2013−502930(JP,A)
【文献】
特開平03−010677(JP,A)
【文献】
特開平11−178597(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0242173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養液を収容する細胞培養バッグであって、
外部膜と、
前記外部膜の培養液側に配置された、検出対象物に反応する層を含んだセンサチップと、
前記センサチップの培養液側を、当該センサチップと、前記外部膜の培養液側における当該センサチップの周囲と、の双方に亘って密着して覆って前記検出対象物を透過させる透過膜と、
を有することを特徴とする細胞培養バッグ。
【請求項2】
前記透過膜は、前記外部膜の内側全面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養バッグ。
【請求項3】
前記透過膜は、前記外部膜の内側の前記センサチップを含んだ部分的な領域を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養バッグ。
【請求項4】
前記センサチップは、複数個配置されており、
前記複数個のセンサチップは、複数のサイズに区別され、中心部分に最も大きなサイズのセンサチップが配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養バッグ。
【請求項5】
培養液を収容する細胞培養バッグの製造方法であって、
外部膜となるロール素材に、検出対象物に反応する層を含んだセンサチップを貼付、あるいは前記検査対象物に反応する材料を噴霧してセンサチップとするステップ、
前記検出対象物を透過させる透過膜となるロール素材を、前記外部膜となるロール素材に前記センサチップを覆うように重ねるステップ、
両ロール素材を熱圧着するステップ、を含むことを特徴とする細胞培養バッグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養バッグに係り、特に、測定対象物に反応するセンサチップを内蔵した細胞培養バッグおよび細胞培養バッグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製造等における細胞培養工程においては、培養液中の溶存酸素濃度、pH、栄養成分濃度、培養液温度等を細胞の育成に最適な条件に維持するために、これらの値を測定することが重要である。
【0003】
細胞培養を行なう培養容器としては、フラスコが一般的であったが、近年ではシングルユースの細胞培養バッグが広く用いられるようになっている。細胞培養バッグは、滅菌された状態で市販されており、取り扱いが容易、ガス透過性が高い、効率の良い高密度培養が可能等の特性を有している。
【0004】
細胞培養バッグ内の培養液を対象とした測定について、溶存酸素濃度を例に
図12を参照して説明する。溶存酸素濃度センサとしては、電極式、試薬利用方式、光学式等いくつかの方式が実用化されているが、ここでは、光学式の溶存酸素センサを用いるものとする。
【0005】
光学的に溶存酸素濃度を測定する場合には、酸素に反応する物質を含有した酸素検出用のセンサチップを培養液中に配置しておく。そして、励起光をセンサチップに照射し、センサチップから発せられる燐光を観測する。溶存酸素濃度が高いほど、燐光の位相が励起光の位相より遅れ、また燐光の強度が減少するため、照射する励起光を、正弦波等で変調し、観測される燐光の位相遅れあるいは強度を測定することで、培養液中の溶存酸素濃度を得ることができる。
【0006】
本図において、細胞培養バッグ310には、培地である培養液320が収容されている。また、細胞培養バッグ310には培養液320中の酸素濃度分布等を均一にするために撹拌翼330が用いられており、モータにより所定の回転速度で回転している。
【0007】
細胞培養バッグ310の内側には、酸素検出用のセンサチップ340を貼付しておく。光学式溶存酸素センサ350は、信号処理部351と光学系352とを備えており、光学系352は、正弦波等で変調した励起光をセンサチップ340に照射する励起光学系と、センサチップ340が発する燐光を受光し電気信号に変換する受光光学系とを含んでいる。信号処理部351は、受光光学系から取得した電気信号に対して所定の信号処理を行ない、酸素濃度に対応した電気信号に変換する。
【0008】
図13は、センサチップ340の貼付箇所付近の細胞培養バッグ310とセンサチップ340の構成例を示している。本図に示すように、細胞培養バッグ310は、積層構造となっており、例えば、内側からEVA(エチレンビニルアセテート)層311、EVOH(エチルビニルアルコール)層312、LDPE(低密度ポリエチレン)層313から構成されている。
【0009】
センサチップ340は、酸素感応膜342の一方の面上に、反射膜343と遮光膜344とが配置されており、酸素感応膜342の他方の面に形成された接着剤層341により細胞培養バッグ310に貼付されている。
【0010】
酸素感応膜342は、例えば、酸素消光性を有する光励起物質であり、金属ポルフィリン錯体等を用いることができる。反射膜343は、励起光を反射して酸素感応膜342に戻すことにより、励起光を有効利用する目的で用いられている。遮光膜344は、不要な外来光が光学系352に入射しないようにするために用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−222429号公報
【特許文献2】特開2010−136628号公報
【特許文献3】特許第2628406号公報
【特許文献4】特許第3109740号公報
【特許文献5】米国特許第2012171760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
細胞を培養する場合、細胞に直接触れる器具等は無菌状態でなければならない。一般に、ユーザは、滅菌済の細胞培養バッグ310の内側に、別途購入したセンサチップ340を貼り付けて使用するため、貼り付け後の細胞培養バッグ310に対してユーザ自身がγ線等を用いて滅菌処理を行なう必要がある。このため、ユーザは過剰な負荷が強いられるのみならず、スキル不足や不手際等で滅菌処理が十分でない状況も生じかねない。
【0013】
センサチップ340は、細胞培養バッグ310内部で露出し、培養液に接液した状態で使用されるため、滅菌処理が不十分の場合や、センサチップ340に含まれている物質が培養液中に溶出すると、細胞の培養に悪影響を与えるおそれがある。
【0014】
そこで、本発明は、検出対象の物質に反応するセンサチップが培養液に接しない細胞培養バッグおよび細胞培養バッグの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の細胞培養バッグは、培養液を収容する細胞培養バッグであって、外部膜と、前記外部膜の培養液側に配置された、検出対象物に反応する層を含んだセンサチップと、前記センサチップの培養液側を
、当該センサチップと、前記外部膜の培養液側における当該センサチップの周囲と、の双方に亘って密着して覆って前記検出対象物を透過させる透過膜と、を有する。
ここで、前記透過膜は、前記外部膜の内側全面を覆っていてもよい。
あるいは、前記透過膜は、前記外部膜の内側の前記センサチップを含んだ部分的な領域を覆っていてもよい。
また、前記センサチップは、複数個配置されており、前記複数個のセンサチップは、複数のサイズに区別され、中心部分に最も大きなサイズのセンサチップが配置されているものであってもよい。
上記課題を解決するため、本発明の細胞培養バッグの製造方法は、培養液を収容する細胞培養バッグの製造方法であって、外部膜となるロール素材に、検出対象物に反応する層を含んだセンサチップを貼付
、あるいは前記検査対象物に反応する材料を噴霧してセンサチップとするステップ、前記検出対象物を透過させる透過膜となるロール素材を、前記外部膜となるロール素材に前記センサチップを覆うように重ねるステップ、両ロール素材を熱圧着するステップ、を含むことを特徴とする細胞培養バッグの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検出対象の物質に反応するセンサチップが培養液に接しない細胞培養バッグおよび細胞培養バッグの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る細胞培養バッグの使用形態を説明する図である。
【
図2】センサチップ付近の細胞培養バッグの構成例を示している。
【
図3】細胞培養バッグ用のシートの作成方法の一例を示す図である。
【
図4】細胞培養バッグ用のシートの作成方法の別例を示す図である。
【
図5】細胞培養バッグ用のシートの作成方法の別例を示す図である。
【
図6】細胞培養バッグ用のシートの作成方法の別例を示す図である。
【
図7】複数個のセンサチップを取り付けた細胞培養バックの例を示す図である。
【
図8】複数個のセンサチップを取り付けた細胞培養バックの他の例を示す図である。
【
図9】センサチップを噴霧器で形成する場合を説明する図である。
【
図10】センサチップパターンの例を示す図である。
【
図11】センサチップパターンの別例を示す図である。
【
図12】細胞培養バッグ内の培養液を対象とした従来の溶存酸素濃度測定について説明する図である。
【
図13】センサチップの貼付箇所付近の細胞培養バッグとセンサチップの従来の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る細胞培養バッグ110の使用形態を説明する図である。従来と同じ部位については同じ符号を付している。
【0019】
細胞培養バッグ110には、培地である培養液320が収容されている。また、細胞培養バッグ110には培養液320中の酸素濃度分布等を均一にするために撹拌翼330が用いられており、モータにより所定の回転速度で回転している。細胞培養バッグ110内に、培養液320を曝気するスパージャを設置してもよい。
【0020】
本実施形態の細胞培養バッグ110は、多層構造となっており、最内側の層には酸素透過膜112が形成されている。そして、酸素透過膜112の外側に酸素検出用のセンサチップ120が配置されている。このため、センサチップ120は、酸素透過膜112を介して培養液320と接することになる。細胞培養バッグ110の最外側は、従来の細胞培養バッグ310と同様の構成の外部膜111とすることができる。
【0021】
すなわち、本実施形態の細胞培養バッグ110は、外部膜111上に配置したセンサチップ120を酸素透過膜112で覆った構造となっている。培養液320中の酸素は、酸素透過膜112を通過してセンサチップ120に到達する。
【0022】
光学式溶存酸素センサ350は、信号処理部351と光学系352とを備えており、光学系352は、正弦波等で変調した励起光をセンサチップ120に照射する励起光学系と、センサチップ120が発する燐光を受光し電気信号に変換する受光光学系とを含んでいる。信号処理部351は、受光光学系から取得した電気信号に対して所定の信号処理を行ない、酸素濃度に対応した電気信号に変換する。
【0023】
図2は、センサチップ120付近の細胞培養バッグ110の構成例を示している。上述のように、細胞培養バッグ110は、外部膜111上に配置したセンサチップ120を酸素透過膜112で覆った多層構造となっている。外部膜111は、従来の細胞培養バッグ310と同様の積層膜とすることができる。例えば、内側からEVA(エチレンビニルアセテート)層、EVOH(エチルビニルアルコール)層、LDPE(低密度ポリエチレン)層とすることができるが、他の構成であってもよい。
【0024】
センサチップ120は、従来と同様に酸素感応膜122の一方の面上に、反射膜123と遮光膜124とが配置されており、酸素感応膜122の他方の面に形成された接着剤層121により細胞培養バッグ110の外部膜111に貼付されている。
【0025】
酸素感応膜122は、例えば、酸素消光性を有する光励起物質であり、金属ポルフィリン錯体等を用いることができる。反射膜123は、励起光を反射して酸素感応膜122に戻すことにより、励起光を有効利用する目的で用いられる。遮光膜124は、不要な外来光が光学系352に入射しないようにするために用いられる。
【0026】
酸素透過膜112は、酸素透過率が高く、外部膜111との接着性が良好で、溶出部の少ない膜を用いるものとする。このような膜としては、低密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサン等が挙げられるが、他の材料であってもよい。
【0027】
本実施形態の細胞培養バッグ110は、細胞培養バッグ110とセンサチップ120とが一体形成されており、センサチップ120が露出してないため、ユーザは滅菌済の状態でセンサチップ120付き細胞培養バッグ110を購入することができ、別途滅菌処理を行なう必要はない。また、センサチップ120は、酸素透過膜112を介して培養液320と接するため、センサチップ120の含有物質の培養液320への溶出を防ぐことができる。
【0028】
図3は、細胞培養バッグ110用のシートの製造方法の一例を示す図である。本図の例では、外部膜111のロール素材211にセンサチップ120を貼付し、酸素透過膜112のロール素材212を重ねて、熱圧着用ロール214で熱圧着することで細胞培養バッグ110のシート213が製造される。
【0029】
このシート213を所定の形状に切断し、接着等することにより細胞培養バッグ110を製造することができる。ただし、他の製造方法を採用してもよい。
【0030】
例えば、
図4(a)〜(d)に示すように、センサチップ120を、外部膜111に熱圧着により埋め込み、その上に酸素透過膜112を重ねてシート213を製造してもよい。この場合、接着剤層121は不要である。本製造方法では、センサチップ120の取り付け箇所で外部膜111とセンサチップ120とで段差が生じないため、外部膜111と酸素透過膜112との密着性を高めることができる。
【0031】
また、
図5に示すように、外部膜111にセンサチップ120を貼り付け、外部膜111の全面ではなく、センサチップ120を含んだ部分的な領域にセンサチップ120を覆うように酸素透過膜113を熱圧着、接着剤等で貼り付けて細胞培養バッグ110用のシート213を製造してもよい。
【0032】
あるいは、
図6に示すように、酸素透過膜113に代えて、樹脂114によるセンサチップ120のコーティング処理を行なって細胞培養バッグ110用のシート213を製造してもよい。樹脂120は、高い酸素透過性を有するフッ素樹脂等を用いることができる。一般に、酸素透過性の高い樹脂120によるコーティングは、酸素透過膜113よりも薄く形成することができるため、コーティングにより、酸素透過性が高まり、溶存酸素濃度測定の応答速度が向上する。
【0033】
図7に示すように、細胞培養バッグ110は、複数個のセンサチップ120を内蔵するようにしてもよい。
図3〜
図6に例示したような製造方法により、コストを上昇させることなく、容易に複数個のセンサチップ120を細胞培養バッグ110に内蔵させることができる。複数個のセンサチップ120を用いることで、細胞培養バッグ110内の溶存酸素分布を測定することができるようになる。各センサチップ120の検出対象物質を変えるようにしてもよい。
【0034】
複数個のセンサチップ120を内蔵した場合、本図に示すように、センサチップ120毎に光学式溶存酸素センサ350を用意してもよいが、光学式溶存酸素センサ350はセンサチップ120に比して高価であるため、1台の光学式溶存酸素センサ350で各センサチップ120の測定を順次行なうようにしてもよい。
【0035】
この場合、
図8に示すように、細胞培養バッグ110の外側の各センサチップ120の近傍にセンサチップ120を識別するためのID情報を書き込んだバーコード140を貼り付けるとともに、光学式溶存酸素センサ360にバーコードリーダ部353を備えさせるようにしてもよい。
【0036】
このような光学式溶存酸素センサ360を用いて、各センサチップ120を順次測定すると、センサチップ120からの燐光を測定するのと同時に、バーコード140を読み取ることができるようになり、測定値とセンサチップ120とを容易に対応付けることができる。バーコード140に限られず、IDタグ等を各センサチップ120近傍に付して、光学式溶存酸素センサ360が読み取るようにしてもよい。
【0037】
なお、センサチップ120を構成する膜のうち、測定対象物である酸素に反応する酸素感応膜122は必須であるが、反射膜123、遮光膜124については状況により省くことができる。反射膜123、遮光膜124を省くことにより、培養液320から酸素感応膜122への酸素透過量が増えるため、溶存酸素濃度測定の応答速度が向上する。
【0038】
例えば、反射膜123は、励起光を反射して酸素感応膜122に戻すことにより、励起光を有効利用する目的で用いられるが、燐光の受光量が十分得られる場合は省いてもよい。また、遮光膜124は、不要な外来光が光学系352に入射しないようにするために用いられるが、細胞培養バッグ110は、ステンレス製のジャケット内に保持されることが多く、このような場合は、外来光の影響を受けにくいため、遮光膜124を省いてもよい。
【0039】
酸素感応膜122のみでセンサチップ120を構成する場合には、
図9に示すように、酸素感応材料を粉末または液体にして、噴霧器370から外部膜111に噴霧して酸素感応膜122を形成するようにしてもよい。噴霧器370は、スプレーやインクジェットプリンタ等を利用することができる。
【0040】
ところで、センサチップ120の大きさや色によっては、また、細胞培養バッグ110が不透明の場合等には、細胞培養バッグ110の外部からセンサチップ120の位置が分かりづらく、光学式溶存酸素センサ360を適切な位置に配置することが困難な場合が起こり得る。
【0041】
そこで、例えば、
図10(a)に示すようなパターンで複数個のセンサチップ120を細胞培養バッグ110内に配置するようにしてもよい。本パターンでは、実際の測定に用いる中央のセンサチップ群のサイズを最も大きくし、左右に隣接するセンサチップ群のサイズを中程度のサイズとし、隅のセンサチップ群のサイズを最小のサイズとしている。このようなパターン形成は、噴霧器370を用いることで容易に行なうことができる。
【0042】
センサチップ120が発する燐光の強度はセンサチップ120の大きさに応じるため、
図10(a)に示すようなパターンでセンサチップ120を形成すると、光学式溶存酸素センサ360は、その位置により、
図10(b)に示すような強度の信号を計測することになる。
【0043】
そこで、光学式溶存酸素センサ360を信号強度が高くなる方向移動させることで、光学式溶存酸素センサ360を適切な位置に配置することができるようになる。また、上記実施例とは別に、複数個のセンサチップが単一のサイズで等間隔に配置されていてもよい。さらに、上記実施例とは別に、複数個のセンサチップが単一のサイズで異なる間隔で規則的に配置されていてもよい。
【0044】
また、
図11に示すようなパターンとしてもよい。本パターンでは、同心円状に複数個のセンサチップ120を並べ、中心のセンサチップほどサイズが大きくなるようにしている。このようなパターンでも光学式溶存酸素センサ360を信号強度が高くなる方向移動させることで、光学式溶存酸素センサ360を適切な位置に配置することができるようになる。
【0045】
以上、本発明の細胞培養バッグについて酸素を検出対象物質の例として説明したが、pH、グルコース、乳酸、グルタミン、グルタミン酸、アンモニア、二酸化炭素等を検出対象としてもよい。この場合、検出対象に反応するセンサチップを用いるとともに、検出対象物を透過させる膜でセンサチップを覆って細胞培養バッグを製造すればよい。
【符号の説明】
【0046】
110…細胞培養バッグ、111…外部膜、112…酸素透過膜、113…酸素透過膜、114…樹脂、120…センサチップ、121…接着剤層、122…酸素感応膜、123…反射膜、124…遮光膜、140…バーコード、211…ロール素材、212…ロール素材、213…シート、214…熱圧着用ロール、370…噴霧器