【実施例】
【0042】
以下に本発明の実施例及び比較例を示し、本発明についてより具体的に説明する。
実施例及び比較例においては、非晶質バイオプラスチックとして非晶質ポリ乳酸を使用した。具体的には、重量平均分子量(Mw)が約30,000、約50,000、約55,000、約80,000及び約120,000の非晶質ポリ乳酸と、重量平均分子量(Mw)が約130,000及び約150,000の結晶質ポリ乳酸を使用した。なお、用いた非晶質ポリ乳酸は、
図2に示した非晶質ポリ乳酸と同様に、DSC曲線では発熱ピークがみられなかった。
【0043】
<トナーの作製>
(実施例1)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が80,000の非晶質ポリ乳酸樹脂「バイロエコール BE−400」(東洋紡(株)製)を51質量部、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターN125」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部及び重量平均分子量(Mw)が85,500のスチレンアクリル樹脂「FSR−051」(藤倉化成(株)製)を10質量部、着色剤としてマゼンタR269を40%の濃度で含んだマスターバッチを12質量部、離型剤として「カルナウバワックス1号粉末」(日本ワックス(株)製)を6質量部、及び、帯電制御剤として「LR−147」(日本カーリット(株)製)を1質量部使用し、これらを合計30kgとなるように計量し、容量が150Lのヘンシェルミキサーで混合した。
【0044】
得られた混合物を2軸押出機(スクリュー径43mm、L/D=34)で溶融混練した後、この溶融混練物を、圧延ロールの循環水を10℃に設定して延伸、冷却して硬化させた。この硬化後の混練物を、「ロートプレックス」(ホソカワミクロン(株)製、2mmスクリーン)で粗砕した。
【0045】
その後、衝突式粉砕機「UFS−2」(日本ニューマチック工業(株)製)及び風力分級機「UFC−2」(日本ニューマチック工業(株)製)で、トナーの平均粒径が7.5μmとなるように粉砕及び分級を行い、着色微粒子を得た。
【0046】
得られた着色微粒子100質量部に、外添剤として、1次粒子径40nmの疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル(株)製)を2.5質量部、1次粒子径7nmの疎水性シリカ「TG−810G」(キャボット(株)製)を0.8質量部、及び、1次粒子径115nmの疎水性シリカ「TG−C190」(キャボット(株)製)を1.3質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、篩を行い、電子写真用トナーを得た。
【0047】
(実施例2)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が118,000のスチレンアクリル樹脂「FSR−055」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(実施例3)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が112,000のスチレンアクリル樹脂「FB−676」(三菱レイヨン(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0048】
(実施例4)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が110,000のスチレンアクリル樹脂「FB−1157」(三菱レイヨン(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(実施例5)
結着樹脂を53質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FSR−051」(藤倉化成(株)製)を8質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0049】
(実施例6)
結着樹脂を49質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FSR−051」(藤倉化成(株)製)を12質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(実施例7)
結着樹脂を53質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FSR−055」(藤倉化成(株)製)を8質量部使用したことを除いて、実施例2と同様にトナーを作製した。
【0050】
(実施例8)
結着樹脂を49質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FSR−055」(藤倉化成(株)製)を12質量部使用したことを除いて、実施例2と同様にトナーを作製した。
(実施例9)
結着樹脂を53質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FB−676」(三菱レイヨン(株)製)を8質量部使用したことを除いて、実施例3と同様にトナーを作製した。
【0051】
(実施例10)
結着樹脂を49質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FB−676」(三菱レイヨン(株)製)を12質量部使用したことを除いて、実施例3と同様にトナーを作製した。
(実施例11)
結着樹脂を53質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FB−1157」(三菱レイヨン(株)製)を8質量部使用したことを除いて、実施例4と同様にトナーを作製した。
【0052】
(実施例12)
結着樹脂を49質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FB−676」(三菱レイヨン(株)製)を12質量部使用したことを除いて、実施例4と同様にトナーを作製した。
(実施例13)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が120,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0053】
(実施例14)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が55,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(実施例15)
粉砕助剤としてのテルペンフェノール樹脂について、「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0054】
(実施例16)
結着樹脂を46質量部、テルペンフェノール樹脂「YSポリスターN125」(ヤスハラケミカル(株)製)を25質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(実施例17)
結着樹脂を56質量部、テルペンフェノール樹脂「YSポリスターN125」(ヤスハラケミカル(株)製)を15質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0055】
(実施例18)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が55,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を46質量部、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を25質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(実施例19)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が55,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を56質量部、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を15質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0056】
(比較例1)
結着樹脂を81質量部使用し、粉砕助剤としてのテルペンフェノール樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例2)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が55,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を81質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0057】
(比較例3)
結着樹脂を81質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が118,000のスチレンアクリル樹脂「FSR−055」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例4)
粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターU115」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0058】
(比較例5)
粉砕助剤としてテルペン水添樹脂「クリアロンP135」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例6)
粉砕助剤としてロジンエステル樹脂「ペンセルD135」(荒川化学工業(株)製)を20質量部したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0059】
(比較例7)
結着樹脂を41質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターN125」(ヤスハラケミカル(株)製)を30質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例8)
結着樹脂を31質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターN125」(ヤスハラケミカル(株)製)を40質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0060】
(比較例9)
結着樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターN125」(ヤスハラケミカル(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例10)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が30,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0061】
(比較例11)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が50,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例12)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が50,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を51質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0062】
(比較例13)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が55,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例14)
結着樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0063】
(比較例15)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が120,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例16)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が130,000の結晶性ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0064】
(比較例17)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が130,000の結晶性ポリ乳酸樹脂を51質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例18)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が150,000の結晶性ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0065】
(比較例19)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が55,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、比較例3と同様にトナーを作製した。
(比較例20)
結着樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、比較例3と同様にトナーを作製した。
【0066】
(比較例21)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が120,000の結晶性ポリ乳酸樹脂を61質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂を使用しなかったことを除いて、比較例3と同様にトナーを作製した。
(比較例22)
結着樹脂を41質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FSR−051」(藤倉化成(株)製)を20質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0067】
(比較例23)
結着樹脂を31質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FSR−051」(藤倉化成(株)製)を30質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例24)
結着樹脂を56質量部使用し、スチレンアクリル樹脂「FSR−051」(藤倉化成(株)製)を5質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0068】
(比較例25)
結着樹脂を41質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂について、「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が118,000のスチレンアクリル樹脂「FSR−055」(藤倉化成(株)製)を20質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例26)
結着樹脂を31質量部使用し、粉砕助剤としてテルペンフェノール樹脂について、「YSポリスターG150」(ヤスハラケミカル(株)製)を20質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が118,000のスチレンアクリル樹脂「FSR−055」(藤倉化成(株)製)を30質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0069】
(比較例27)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が34,500のスチレンアクリル樹脂「FSR−020」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例28)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が13,200のスチレンアクリル樹脂「FSR−044」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0070】
(比較例29)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が400,000のスチレンアクリル樹脂「FSR−053」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例30)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が180,000のスチレンアクリル樹脂「TIZ−470」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0071】
(比較例31)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が67,000のスチレンアクリル樹脂「FB−1760」(三菱レイヨン(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例32)
粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が260,000のスチレンアクリル樹脂「FB−1765」(三菱レイヨン(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0072】
(比較例33)
結着樹脂を53質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が34,500のスチレンアクリル樹脂「FSR−020」(藤倉化成(株)製)を8質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例34)
結着樹脂を49質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が34,500のスチレンアクリル樹脂「FSR−020」(藤倉化成(株)製)を12質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0073】
(比較例35)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が120,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を51質量部使用し、粉砕助剤としてのスチレンアクリル樹脂について、重量平均分子量(Mw)が400,000のスチレンアクリル樹脂「FSR−053」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
(比較例36)
結着樹脂として重量平均分子量(Mw)が55,000の非晶質ポリ乳酸樹脂を51質量部使用し、重量平均分子量(Mw)が400,000のスチレンアクリル樹脂「FSR−053」(藤倉化成(株)製)を10質量部使用したことを除いて、実施例1と同様にトナーを作製した。
【0074】
作製したトナーのそれぞれについて、以下の方法により測定及び評価を行った。
1.粉砕性
上記衝突式粉砕機「UFS−2」(日本ニューマチック工業(株)製)及び風力分級機「UFC−2」(日本ニューマチック工業(株)製)で粉砕及び分級を行った際のフィード量により、下記の基準で評価を行った。
◎:8kg/hr以上
〇:5kg/hr超、8kg/hr未満
△:3kg/hr超、5kg/hr未満
×:3kg/hr以下。
【0075】
2.定着性
プリンタ「GE6000」(カシオ計算機(株)製)に得られたトナーをセットし、定着温度を120℃〜190℃まで5℃ずつ変更し、各温度において100%ベタ画像を10枚連続で印字した。各温度での印字の際に定着オフセットが生じるかを確認し、オフセットが生じなかった温度範囲の広さを以下の基準で評価した。
〇:50℃以上
△:30℃超、50℃未満
×:30℃以下。
【0076】
3.耐久性
プリンタ「GE6000」(カシオ計算機(株)製)に得られたトナーをセットし、1.7%印字画像で、5枚間欠印字を40,000枚まで行った。途中、5,000枚ごとにサンプル画像を印字し、この画像に発生したスジの量により、下記の基準で評価を行った。
〇:スジが観察されなかった(問題ない)
△:数本のスジが観察された
×:多くのスジが観察された。
【0077】
4.総合結果
総合結果は、1〜3による評価を総合して評価した。
以上の結果を、表1及び表2に纏めた。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1に示すように、実施例1〜19は、粉砕性、定着性及び耐久性の全てについて、良好な性能を達成した。特に、実施例1〜4、6、8、10、12、13は、実施例5、7、9、11、14〜19と比較して、より優れた粉砕性を達成できた。
【0081】
また、実施例1〜19と表2に示す比較例10〜12、16〜18との対比から明らかなように、ポリ乳酸樹脂の分子量(Mw)範囲は55,000〜120,000が好ましい。
【0082】
なお、ポリ乳酸樹脂の分子量(Mw)30,000では液体であり、トナー化は不可能であり、ポリ乳酸樹脂の分子量(Mw)50,000では粉砕性は確保されたが、分子量が低いため定着性、耐久性が劣る。
【0083】
一方、ポリ乳酸樹脂の分子量(Mw)が130,000以上では粉砕性が困難となり、分子量(Mw)150,000はあまりに固くトナー化することができなかった。
【0084】
そして、実施例1〜19と比較例1〜6、13〜16、18〜21との対比から明らかなように、十分な粉砕性を達成するには、テルペンフェノール樹脂とスチレンアクリル樹脂との所定の組み合わせから成る粉砕助剤の使用が必須であることが判る。
【0085】
なお、比較例4はテルペンフェノール樹脂であるYSポリスターU115を使用したが、軟化点が低いため、定着性、耐久性に問題があった。従って、テルペンフェノール樹脂と雖も、所定の軟化点のものが望ましい。テルペンフェノール樹脂の軟化点範囲としては、125℃〜150℃が好ましい。
【0086】
因みに、比較例5、6はテルペン系樹脂であるテルペン水添樹脂、ロジン樹脂を使用したが、耐久性が悪化した。
【0087】
また、比較例7、8、9は実施例1〜19と同じYSポリスターN125を30、40、10%とそれぞれ添加した例だが、いずれも定着性が悪化した。これはテルペンフェノール樹脂の分子量が低く、多く添加するとトナーとしての定着特性が悪化し、また添加量が少ないと粉砕性を満たさなくなると考えられた。
【0088】
従って、テルペンフェノール樹脂の量は、実施例1〜19から15〜25%、好ましくは20%が良い。
【0089】
一方、比較例22〜26はスチレンアクリル樹脂を、5〜30%と添加した例だが、添加量が多いと定着性がやや不利になった。また本来の目的であるトナーのバイオマス由来度を下げてしまう。逆に添加量が少ないと粉砕性を保つことができなくなる結果となった。
【0090】
従って、スチレンアクリル樹脂の量は、実施例1〜19から8〜12%、好ましくは10%が良い。
【0091】
比較例27、33、34ではスチレンアクリル樹脂の分子量(Mw)34500とし、実施例1と同様にトナー化を行ったが、粉砕性は問題なく良好であったものの、定着性、耐久性において問題が発生した。これはスチレンアクリス樹脂の分子量が低いため、粉砕性は確保できたが定着性、耐久性でトナー強度が保てず結果として問題が発生したと考えられた。
【0092】
同様に比較例28、31ではスチレンアクリル樹脂の分子量を13200、67000としたもので、粉砕性は問題なかったが、耐久性において、トナー強度が保てず問題が発生した。
【0093】
一方、比較例29、30、32ではスチレンアクリル樹脂の分子量(Mw)を400000、180000、260000とし、実施例1と同様にトナー化を行ったが粉砕性が保てずトナー化することが困難であった。これはスチレンアクリル樹脂の分子量が高くトナー全体の粉砕性を悪化させたものと考えられる。
【0094】
比較例35、36では、スチレンアクリル樹脂の分子量(Mw)400000を10%添加し、PLA樹脂の分子量(Mw)をそれぞれ120000、55000としたが、粉砕性を保つことはできなかった。
【0095】
以上の実施例1〜19と比較例1〜36の結果から明らかなように、重量平均分子量(Mw)が55,000〜120,000の非晶質ポリ乳酸と、テルペンフェノール樹脂、及び重量平均分子量(Mw)が85,500〜118,000のスチレンアクリル樹脂との組み合わせが最も好ましい結果となった。
【0096】
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の発明を付記する。
[1]
重量平均分子量(Mw)が55,000〜120,000の非晶質バイオプラスチック、テルペンフェノール樹脂、及び重量平均分子量(Mw)が85,500〜118,000のスチレンアクリル樹脂とを含んだ電子写真用トナー。
[2]
前記非晶質バイオプラスチックは非晶質ポリ乳酸である[1]に記載の電子写真用トナー。
[3]
重量平均分子量(Mw)が55,000〜120,000の非晶質バイオプラスチック、テルペンフェノール樹脂、及び重量平均分子量(Mw)が85,500〜118,000のスチレンアクリル樹脂とを含んだ混合物を溶融混練して混練物を得る工程と、
硬化後の前記混練物を粉砕する工程と
を含んだ電子写真用トナーの製造方法。
[4]
前記非晶質バイオプラスチックは非晶質ポリ乳酸である[3]に記載の電子写真用トナーの製造方法。