特許第6020543号(P6020543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020543
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】空気調和装置の室内機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   F24F1/00 401E
   F24F1/00 401Z
   F24F13/20 207
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-255635(P2014-255635)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-114336(P2016-114336A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安積 孝治
(72)【発明者】
【氏名】桝田 智雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 高幹
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−249364(JP,A)
【文献】 実開平4−95218(JP,U)
【文献】 特開2000−249362(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/129527(WO,A1)
【文献】 実開昭57−114316(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファン(12)と電気品箱(40)とが収容されるケーシング(11)を備え、前記送風ファン(12)によって空気が流通する流通口(26A,26B)を前記ケーシング(11)の底面に形成する第1の態様と、前記流通口(26A,26B)を前記ケーシング(11)の一側面に形成する第2の態様とを選択可能な室内機であって、
前記電気品箱(40)は、点検口(48)が形成された第1の側面(41)を備え、かつ、前記第1の態様においては前記点検口(48)を前記ケーシング(11)の内側に向け、前記第2の態様においては前記点検口(48)を前記ケーシング(11)の外側に向けた状態で前記ケーシング(11)内に配置され、
前記第1の側面(41)に隣接し互いに対向する前記電気品箱(40)の第2及び第3の側面(42,43)には、それぞれ外部配線(k,j)を前記電気品箱(40)内に引き込むための第1の引込口(61,62)が形成され、
前記ケーシング(11)の他の側面には、前記第2の態様において前記点検口(48)に対向する開口(33)と、この開口(33)の両側部に配置され、前記外部配線(k,j)を前記ケーシング(11)内に引き込むための第2の引込口(35A,35B)とが形成されている、空気調和装置の室内機。
【請求項2】
前記第2及び第3の側面(42,43)に形成された各第1の引込口(61,62)には、強電配線(k)と弱電配線(j)とがそれぞれ個別に引き込まれる、請求項1に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項3】
前記電気品箱(40)内に、2つの端子台(55,56)が前記第2の側面(42)と前記第3の側面(43)との対向方向に並べて配置され、
前記第2及び第3の側面(42,43)に形成された2つの前記第1の引込口(61,62)には、各端子台(55,56)に接続される外部配線(k,j)がそれぞれ個別に引き込まれる、請求項1又は2に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項4】
前記電気品箱(40)の前記第2及び第3の側面(42,43)には、それぞれ前記第1の引込口(61,62)側から前記第1の側面(41)へ向けて延び、前記外部配線(k,j)を誘導する第1の誘導路(64a,65a)と、前記第1の引込口(61,62)側から前記第1の側面(41)に対向する第4の側面(44)へ向けて延び、前記外部配線(k,j)を誘導する第2の誘導路(64b,65b)とが形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項5】
前記ケーシング(11)の内部には、前記電気品箱(40)を係合させて支持するための支持部(67)が形成され、前記電気品箱(40)には、前記第1の態様において前記支持部(67)に係合する第1の係合部(66b)と、前記第2の態様において前記支持部(67)に係合する第2の係合部(66a)とが設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項6】
前記電気品箱(40)の底壁(46)上には、前記外部配線(k,j)を接続する端子台(55,56)が設けられ、前記底壁(46)が、一端側を支点として下方に揺動可能に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気調和装置の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和装置の室内機に関し、特に電気品箱への電気配線の引き込みを容易にすることができる空気調和装置の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の室内の冷暖房に使用される空気調和装置として、天井埋込ダクト型の室内機を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
天井埋込ダクト型の室内機は、ケーシングの下面から室内の空気を吸い込む態様(以下、第1の態様という)と、ケーシングの背面から空気を吸い込む態様(以下、第2の態様という)とがある。特許文献1記載の室内機は、第1の態様と第2の態様とのいずれかを選択的に採用することが可能とされている。
【0003】
また、特許文献1記載の室内機は、第1の態様と第2の態様とで、ケーシングの内部に配置される電気品箱を共用している。具体的に、電気品箱の一側面には点検口が形成されており、第1の態様(下面吸込)の場合には電気品箱の点検口をケーシングの内側に向けて配置し、吸込口から点検口を介して電気品箱内にアクセスできるようにし、第2の態様(背面吸込)の場合には、電気品箱を反転させて点検口をケーシングの外側に向けて配置し、ケーシング外部から点検口を介して電気品箱内にアクセスできるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−249364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の電気品箱には、電源線のような強電配線と、制御信号の通信等に用いられる弱電配線とが室内機のケーシングの外側から引き込まれる。強電配線と弱電配線とは、ノイズの影響を回避するために別々の場所から電気品箱に引き込まれることが推奨される。したがって、第1の態様と第2の態様とで電気品箱を反転させる場合、いずれの態様においても強電配線と弱電配線とを個別に引き込めるように構成する必要がある。
【0006】
特許文献1記載の技術は、電気品箱に対して外部配線が一箇所から引き込まれており、強電配線及び弱電配線のような異なる種類の電気配線を外部から個別に引き込むことについては何ら考慮されていない。
【0007】
本発明は、ケーシング内で電気品箱を反転させても、異なる種類の外部配線を個別に電気品箱内に引き込むことが可能な空気調和装置の室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、送風ファンと電気品箱とが収容されるケーシングを備え、前記送風ファンによって空気が流通する流通口を前記ケーシングの底面に形成する第1の態様と、前記流通口を前記ケーシングの一側面に形成する第2の態様とを選択可能な室内機であって、
前記電気品箱は、点検口が形成された第1の側面を備え、かつ、前記第1の態様においては前記点検口を前記ケーシングの内側に向け、前記第2の態様においては前記点検口を前記ケーシングの外側に向けた状態で前記ケーシング内に配置され、
前記第1の側面に隣接し互いに対向する前記電気品箱の第2及び第3の側面には、それぞれ外部配線を前記電気品箱内に引き込むための第1の引込口が形成され、
前記ケーシングの他の側面には、前記第2の態様において前記点検口に対向する開口と、この開口の両側部に配置され、前記外部配線を前記ケーシング内に引き込むための第2の引込口とが形成されている。
【0009】
この構成によれば、第1の態様と第2の態様との双方の場合において、第2の引込口を介してケーシング内に2種類の外部配線を個別にケーシング内に引き込むことができ、さらに各外部配線を第1の引込口を介して個別に電気品箱に引き込むことができる。
【0010】
(2)前記第2及び第3の側面に形成された各第1の引込口には、強電配線と弱電配線とがそれぞれ個別に引き込まれてもよい。
このような構成によって、強電配線と弱電配線とが1つの引込口から引き込まれることに起因するノイズの影響を回避することができる。
【0011】
(3)前記電気品箱内に、2つの端子台が前記第2の側面と前記第3の側面との対向方向に並べて配置されている場合、前記第2及び第3の側面に形成された2つの前記第1の引込口には、各端子台に接続される外部配線がそれぞれ個別に引き込まれてもよい。
このような構成によって、各端子台に接続される外部配線を、最も近い引込口から引き込むことができる。
【0012】
(4)前記電気品箱の前記第2及び第3の側面には、それぞれ前記第1の引込口側から前記第1の側面へ向けて延び、前記外部配線を誘導する第1の誘導路と、前記第1の引込口側から前記第1の側面に対向する第4の側面へ向けて延び、前記外部配線を誘導する第2の誘導路とが形成されていることが好ましい。
このような構成によって、第1の態様と第2の態様のいずれにおいても第1の引込口への外部配線の引き込みを容易に行うことができる。
【0013】
(5)前記ケーシングの内部には、前記電気品箱を係合させて支持するための支持部が形成され、前記電気品箱には、前記第1の態様において前記支持部に係合する第1の係合部と、前記第2の態様において前記支持部に係合する第2の係合部とが設けられていることが好ましい。
このような構成によって、第1の態様と第2の態様のいずれにおいても、同一の支持部に係合部を係合させ、電気品箱を支持することができる。
【0014】
(6)前記電気品箱の底壁上には、前記外部配線を接続する端子台が設けられ、前記底壁が、一端側を支点として下方に揺動可能に設けられていることが好ましい。
このような構成により、第1の態様において、ケーシングの下面から電気品箱内を点検する場合に、電気品箱の底壁を開放してアクセスしやすくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ケーシング内で電気品箱を反転させても、異なる種類の外部配線を個別に電気品箱内に引き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る空気調和装置の室内機の内部を示す側面説明図である。
図2】同室内機の内部を示す側面説明図である。
図3図1に示される室内機の内部を示す平面説明図である。
図4】室内機のケーシングを概略的に示す斜視図である。
図5】電気品箱を示す斜視図である。
図6】第1の態様における図3のA矢視部に相当する図である。
図7】第2の態様における図3のA矢視部に相当する図である。
図8】ケーシングに形成された開口の正面図である。
図9】ケーシング及び電気品箱への外部配線の引き込み状態を説明する図である。
図10】電気品箱の底壁を開放した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係る空気調和装置の室内機の内部を示す側面説明図、図3は、図1に示される室内機の内部を示す平面説明図、図4は、室内機のケーシングを概略的に示す斜視図である。
本実施の形態の室内機10は、天井裏に設置され、天井70に接続されたダクトを介して吸気及び排気を行う天井埋込ダクト型である。室内機10は、ケーシング11、送風ファン12、熱交換器13、及びドレンパン14等を備えている。
【0018】
ケーシング11は、上下方向に扁平な直方体形状の箱体であり、天板16と、この天板16の下方に対向する底板17と、天板16及び底板17の4辺に沿って設けられた側板18〜21とを有している。側板18〜19は、前側板18と、この前側板18の後方に対向する後側板(背面板)19と、前側板18及び後側板19の左右各端部同士を接続する左側板20及び右側板21とを含む。
【0019】
ケーシング11の前側板18には、空気の吹出口23が形成されている。この吹出口23には、吹出ダクト24の一端が接続され、この吹出ダクト24の他端(図示省略)は、天井70に接続されている。吹出ダクト24は、複数に分岐されていてもよい。
空気の吸込口(流通口)26A,26Bは、図1に示すように、底板17の後部側に形成される場合(第1の態様)と、図2に示すように、後側板19に形成される場合(第2の態様)とがある。そして、本実施の形態の室内機10は、いずれかの態様を選択して適用することが可能である。
【0020】
図1に示す第1の態様では、底板17に形成された吸込口26Aに吸込ダクト27Aの上端が接続され、吸込ダクト27Aの下端は天井70の開口71に接続される。図2に示す第2の態様では、後側板19に形成された吸込口26Bに吸込ダクト27Bの一端が接続され、この吸込ダクト27Bの他端(図示省略)が天井70に接続される。
【0021】
図1に示すように、第1の態様を選択した場合、吸込口26Bは閉鎖板28Bで閉鎖され、この閉鎖板28Bが後側板19の一部を構成する。
図2に示すように、第2の態様を選択した場合、吸込口26Aは閉鎖板28Aで閉鎖され、この閉鎖板28Aが底板17の一部を構成する。なお、図4は、第1の態様を選択した場合において、吸込口26Aを開放し、吸込口26Bを閉鎖板28Bで閉鎖した状態を示す。
【0022】
図1図3に示すように、ケーシング11の内部には、左右方向に延びる仕切り板29が前側板18及び後側板19と略平行に設けられている。この仕切り板29は、ケーシング11の内部を前後2つの領域31,32に区画する。仕切り板29の前側の領域31は、熱交換器13が配置される熱交換室とされ、後側の領域32は、送風ファン12が配置される送風室とされている。
【0023】
前述の吹出口23は、熱交換室31において開口し、吸込口26A,26Bは、送風室32において開口している。
【0024】
送風ファン12は、例えばシロッコファン等の多翼型ファンであり、モータ12aによって駆動される。送風ファン12のケーシングは、仕切り板29等に固定され、その吹出口12bが熱交換室31で開口している。
送風ファン12は、室内機10のケーシング11外の空気を吸込口26A,26Bを介してケーシング11内に吸い込み、仕切り板29の前方の熱交換室31に流れる空気流を生成する。
【0025】
送風ファン12は、送風室32内で左右方向一方側(右側)に偏倚して配置されている。そして、送風室32内の左右方向他方側(左側)に電気品箱40が配置されている。この電気品箱40内には、制御基板や端子台等が収容され、ケーシング11の内部及び外部から電気配線が引き込まれる。
【0026】
図4に示すように、ケーシング11の左側板20には、ケーシング11の外部から電気配線を引き込むための引込口35A,35Bが前後に間隔をあけて2箇所に形成されている。また、2箇所の引込口35A,35Bの間には、第2の態様において電気品箱40へのアクセスを可能にするために用いられる開口33が形成されている。この開口33は、第1の態様では蓋体34によって閉鎖される。この電気品箱40の詳細な説明は後述する。
【0027】
図1図3に示すように、熱交換器13は、例えば、所定の間隔で並べられた多数のフィンと、このフィンを貫通する伝熱管とを含むクロスフィンタイプのフィンアンドチューブ型熱交換器とされている。そして、熱交換器13は、送風ファン12によって生成された空気流が通過し、その過程で伝熱管を流れる冷媒と空気との間で熱交換を行う。熱交換器13は、上部側が前方に、下部側が後方に位置するように傾斜して配置されている。
【0028】
空気調和装置は、この熱交換器13を蒸発器として用いることで冷房運転が可能であり、凝縮器として用いることで暖房運転が可能である。
冷房運転中、熱交換器13において発生した結露水は、熱交換器13の下方に配置されたドレンパン14によって受け止められる。
【0029】
図3に示すように、熱交換器13は、熱交換室31内の左右方向一方側(右側)にやや偏倚して配置されている。熱交換室31の左右他方側(左側)の領域37には、熱交換器13に接続される分流器やヘッダ等の配管群の他、ドレンポンプ、室内膨張弁、サーミスタ等の電気部品が配置されている。これらの電気部品の電気配線は、熱交換室31から仕切り板29を貫通して電気品箱40に引き込まれる。また、送風ファン12のモータ12aを駆動するための電気配線も電気品箱40に引き込まれる。
【0030】
<電気品箱40の具体的構成>
図5に示すように、電気品箱40は、上壁45と、これに対向する底壁46と、上壁45及び底壁46の4辺に沿った側壁41〜44とを有する略直方体(略6面体)により構成されている。電気品箱40の一つの側壁41(第1の側面)は、その外縁部の一部を除く略全体に点検口48が形成されている。点検口48は、固定ネジ等によって着脱可能に取り付けられる蓋体49によって閉鎖される。したがって、この蓋体49が、電気品箱40の実質的な側壁を構成している。
【0031】
以下の説明では、電気品箱40において、点検口48が形成された側壁41を前側壁とし、その両側に隣接する側壁を左右側壁(第2,第3の側面)42,43とし、前側壁41の後方に対向する側壁を後側壁(第4の側面)44とする。
【0032】
電気品箱40の後側壁44の内側には、制御基板51が設けられている。電気品箱40の上壁45の内側にも制御基板52が設けられている。これらの制御基板51,52は、室内機10内の電気部品、例えば、送風ファン12、ドレンポンプ、室内膨張弁等の動作を制御するためのものであり、各電気部品の電気配線が接続されている。各電気部品の電気配線は、電気品箱40の後側壁44に形成された孔を介して引き込まれる。
【0033】
電気品箱40の底壁46上には、2つの端子台55,56が設けられている。この端子台55,56は、点検口48から見て左右に並べて配置されている。一方の端子台55は、電源線を含む強電配線を接続するためのものであり、他方の端子台56は、制御信号の通信等に用いられる弱電配線を接続するためのものである。端子台55,56が取り付けられた底壁46の上面は点検口48側が低位となるように傾斜している。
【0034】
点検口48が形成された前側壁41の両側に隣接する左右側壁42,43には、それぞれケーシング11の外部から電気品箱40内に強電配線及び弱電配線を引き込むための第1の引込口61,62が形成されている。左右の第1の引込口61,62は、同一径の円形状の孔とされている。また、第1の引込口61,62は、端子台55,56に近い、左右側壁42,43の下部側に配置されている。左右の第1の引込口61,62は、互いに対向する位置に配置されている。
【0035】
強電配線は、強電配線用の端子台55に最も近い第1の引込口61から引き込まれる。一方、弱電配線は、弱電配線用の端子台56に最も近い第1の引込口62から引き込まれる。これにより、電気品箱40内における強電配線及び弱電配線の取り回しを容易に行うことができる。
【0036】
<電気品箱40の配置>
前述したように、室内機10は、吸込口26Aがケーシング11の底板17に形成される第1の態様(図1参照)と、吸込口26Bがケーシング11の後側板19に形成される第2の態様(図2参照)とを選択的に採用することができる。そして、本実施の形態の電気品箱40は、第1の態様においては点検口48をケーシング11の内側に向けた状態で配置され、第2の態様においては、点検口48をケーシング11の外側に向けた状態で配置される。すなわち、第1の態様と、第2の態様との間で電気品箱40が反転される。
【0037】
図6は、第1の態様における電気品箱40の配置を示している。電気品箱40の点検口48は、ケーシング11の内側に向けられている。点検口48には蓋体49が装着されている。そして、蓋体49を取り外して点検口48を開放することによって、ケーシング11の底板17に形成された吸込口26Aから電気品箱40内にアクセスすることが可能となっている。ケーシング11の左側壁20に形成された開口33は、蓋体34によって塞がれている。
【0038】
図7は、第2の態様における電気品箱40の配置を示している。電気品箱40の点検口48は、ケーシング11の外側に向けられている。そして、点検口48は、ケーシング11の左側板20に形成された開口33に対向するように配置される。
第1の態様を示す図6及び図4においては、開口33は、蓋体34によって塞がれていたが、第2の態様においては、点検口48を塞ぐ蓋体49が、同時に開口33をも塞いでいる。つまり、蓋体34と蓋体49とは略同一の形状とされ、第2の態様においては、蓋体34の代わりに蓋体49が用いられている。ただし、これとは逆に、開口33を塞ぐ蓋体34が、同時に点検口48を塞いでもよい。また、蓋体34及び蓋体49が、それぞれ開口33及び点検口48を塞いでもよい。
【0039】
図8に示すように、開口33の左右両側には、第2の引込口35A,35Bが形成されている。この第2の引込口35A,35Bは、開口33の周縁において開放された凹部として構成されている。左右の第2の引込口35A,35Bは、開口33を中心として対称形状に形成されている。
【0040】
一方、開口33を閉鎖する蓋体34(49)の左右両縁には、第2の引込口35A,35Bに対応する凹部34a,34b(49a,49b)が形成されている。そして、第2の引込口35A,35Bと、凹部34a,34b(49a,49b)とによって、全周の閉じた孔が形成される。
【0041】
ケーシング11の第2の引込口35A,35Bと、電気品箱40の第1の引込口61,62とは、互いに重複する高さに設けられている。そして、ケーシング11の第2の引込口35A,35Bから引き込んだ電気配線を電気品箱40の第1の引込口61,62に引き込むことができる。
【0042】
図9(a)に示すように、第1の態様では、強電配線用の端子台55は、図中左側に配置されているので、左側に位置する第2の引込口35Aからケーシング11内に強電配線kが引き込まれ、さらに左側に位置する第1の引込口61から電気品箱40内に強電配線kが引き込まれる。したがって、強電配線用の端子台55に最も近い経路で配線接続作業を行うことができる。
【0043】
また、弱電配線用の端子台56は、図中の右側に配置されているので、右側に位置する第2の引込口35Bからケーシング11内に弱電配線jが引き込まれ、さらに右側に位置する第1の引込口62から電気品箱40内に弱電配線jが引き込まれる。したがって、弱電配線用の端子台56に最も近い経路で配線接続作業を行うことができる。
【0044】
一方、図9(b)に示すように、電気品箱40を反転させた第2の態様では、強電配線用の端子台55は、図中の右側に配置されているので、右側に位置する第2の引込口35Bからケーシング11内に強電配線kが引き込まれ、右側に位置する第1の引込口61から電気品箱40内に強電配線kが引き込まれる。したがって、第1の態様と同様に強電配線用の端子台55に最も近い経路で配線接続作業を行うことができる。
【0045】
また、弱電配線用の端子台56は、図中の左側に配置されているので、左側に位置する第2の引込口35Aからケーシング11内に弱電配線jが引き込まれ、さらに左側に位置する第1の引込口62から電気品箱40内に弱電配線jが引き込まれる。したがって、第1の態様と同様に弱電配線用の端子台56に最も近い経路で配線接続作業を行うことができる。
【0046】
以上により、第1の態様及び第2の態様のいずれにおいても強電配線kと弱電配線jとを個別に引き込むことができる。したがって、強電配線kと弱電配線jとを共通の引込口から引き込むことに起因するノイズの影響等を回避することができる。また、第1,第2のいずれの態様においても電気品箱40内で強電配線kと弱電配線jとをクロスさせることなく端子台55,56に接続することができる。したがって、配線接続作業やメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0047】
図5及び図9に示すように、電気品箱40の左右の側壁42,43には、それぞれ第1の引込口61,62側から前側壁41及び後側壁44に向けて前後に延びる誘導路64a,64b,65a,65bが形成されている。この誘導路64a,64b,65a,65bは、凹状の溝により構成されている。また、誘導路64a,64b,65a,65bは、第1の引込口61,62から離れるほど深くなるように溝底が傾斜面に形成されている。第1の引込口61,62の両側に配置された誘導路64a、64b、65a,65bは、第1の引込口61,62を基準として略対称形状に形成されている。
【0048】
蓋体34,49に形成された凹部34a,34b,49a,49bは、誘導路64a,64b,65a,65bの開放側の端縁に沿った形状に形成されている。
【0049】
このような誘導路64a,64b,65a,65bが形成されることによって、ケーシング11の第2の引込口35A,35Bから引き込んだ配線を電気品箱40の第1の引込口61,62に好適に導くことができ、配線接続作業の作業性をより高めることができる。また、誘導路64a,64b,65a,65bは、第1の引込口61,62を挟んで前後両側に形成されているので、第1の態様と第2の態様とのいずれにおいても第1の引込口61,62への引き込みを容易に行うことができる。
【0050】
図6に示すように、電気品箱40の底壁46は、その後端部における左右両側に設けられた支持軸68を介して上下揺動可能に設けられている。そして、図10に示すように、底壁46を下方に揺動させることによって、電気品箱40を下方に開放することができる。
【0051】
電気品箱40の底壁46は、通常は、上方へ揺動させた状態で図示しない固定ネジによって固定されている。そして、第1の態様において、吸込口26Aから電気品箱40の点検を行う場合は、固定ネジを取り外して底壁46を下方に揺動させることで、電気品箱40の内部の視認性を高め、アクセスを容易にすることができる。また、底壁46を下方に揺動させることによって、底壁46に設けられた端子台55,56も大きく露出するため、端子台55,56に対する配線接続作業等の作業性を高めることができる。
【0052】
図6及び図7に示すように、電気品箱40の上壁45の上面には、上方に突出する係合部66a,66bが前後に並べて設けられている。各係合部66a,66bは、図5に示すように左右方向に長く形成されている。また、ケーシング11の天板16の下面には、下方に突出する支持部67が設けられている。
【0053】
一方の係合部(第1の係合部)66bは、第1の態様において支持部67の前側に係合することによって、電気品箱40の上部側が後方に倒れるのを防止することができる。他方の係合部(第2の係合部)66aは、第2の態様において支持部67の前側に係合することによって、電気品箱40の上部側が後方に倒れるのを防止することができる。したがって、第1及び第2の態様のいずれにおいても1つの支持部67によって電気品箱40を支持することができる。なお、係合部66a,66bは、必ずしも上壁45に形成されていなくてもよく、左右の側壁42,43に形成されていてもよく、この場合は、側壁42に対向するケーシング11の内面に支持部67が形成されていればよい。
【0054】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、適宜変更できるものである。
例えば、電気品箱40の左右側壁42,43に形成された第1の引込口61,62は、円形状に限らず、角形状等に形成することができる。また、2つの第1の引込口61,62は、互いに同一形状でなくてもよい。また、両第1の引込口61,62は、互いに対向せず、前後又は上下に位置がずれていてもよい。
【0055】
また、第1の引込口61,62の前後両側に形成された誘導路64a,64b,65a,65bの形状についても上記に限定されない。例えば、第1の引込口61,62の前側の誘導路64a,65aと後側の誘導路64b,65bとは、互いに溝幅、溝深さ、溝長さ等が異なる非対称な形状であってもよい。
【0056】
室内機10のケーシング11に形成された第2の引込口35A,35Bは、開口33とは離れた位置に独立して形成されていてもよい。また、左右の第2の引込口35A,35Bは、互いに対称形状に形成されていなくてもよく、その大きさ、上下の高さ、形状等が互いに異なっていてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、電気品箱40の底壁46が、その後端部側を支点として上下揺動自在に構成されていたが、左右端部、又は前端部側を支点として上下揺動自在に設けられていてもよい。ただし、上記実施の形態のように底壁46がその後端部側を支点として上下揺動自在に構成されていることで、吸込口26Aから電気品箱40内へのアクセスが一層容易となり、より好適である。
【0058】
上記実施の形態では、2つの端子台55,56が強電配線用及び弱電配線用とされていたが、これに限定されるものではなく、異なる用途の2つの端子台55,56を備えていてもよい。
上記実施の形態では、送風ファン12によって空気が流通する本発明の流通口が、空気の吸込口26A,26Bである場合について説明したが、当該流通口は、空気の吹出口であってもよい。例えば、送風ファン12による空気の流れを逆にし、吹出口23を吸込口とし、吸込口26A,26Bを吹出口としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 :室内機
11 :ケーシング
12 :送風ファン
26A :吸込口(流通口)
26B :吸込口(流通口)
33 :開口
35A :第2の引込口
35B :第2の引込口
40 :電気品箱
41 :前側壁(第1の側面)
42 :左側壁(第2の側面)
43 :右側壁(第3の側面)
44 :後側壁(第4の側面)
46 :底壁
48 :点検口
55 :端子台
56 :端子台
61 :第1の引込口
62 :第1の引込口
64a :誘導路
64b :誘導路
65a :誘導路
65b :誘導路
66a :係合部
66b :係合部
67 :支持部
j :弱電配線
k :強電配線
図1
図3
図4
図5
図6
図8
図9
図10
図2
図7