(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベース基板と、前記ベース基板の表面側から見て、前記ベース基板よりも面積が小さく、前記表面に直交する方向にレーザ光を発光する発光領域多層部と、を備えた垂直共振面発光レーザ素子の実装方法であって、
前記ベース基板の表面側における前記発光領域多層部と異なる部分に形成されている絶縁膜の表面を、平コレットで吸着する工程と、
前記平コレットで吸着した前記ベース基板を、吸着面と反対側の面が外部回路基板側となるように前記外部回路基板の所定位置に実装する工程と、を有する、
垂直共振面発光レーザ素子の実装方法。
ベース基板と、前記ベース基板の表面側から見て、前記ベース基板よりも面積が小さく、前記表面に直交する方向にレーザ光を発光する第1発光領域多層部および第2発光領域多層部と、を備えた垂直共振面発光レーザアレイ素子の実装方法であって、
前記ベース基板は、前記表面側から視て、互いに直交する第1方向と第2方向とを有する形状であり、前記第2方向の長さは前記第1方向の長さよりも短く、
前記第1発光領域多層部と前記第2発光領域多層部とは、前記第1方向に沿って、離間して配置されており、
前記ベース基板の表面側における前記第1発光領域多層部と前記第2発光領域多層部との間に形成されている絶縁膜の表面を、平コレットで吸着する工程と、
前記平コレットで吸着した前記ベース基板を、吸着面と反対側の面が外部回路基板側となるように外部回路基板の所定位置に実装する工程と、を有する、
垂直共振面発光レーザアレイ素子の実装方法。
前記アノード用パッド電極と前記カソード用パッド電極は、前記第2方向に沿って、前記発光領域多層部に対して同じ側に配置されている、請求項9に記載の垂直共振面発光レーザ素子。
請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の垂直共振面発光レーザ素子を複数備え、各垂直共振面発光レーザ素子の各発光領域多層部がそれぞれ所定距離で離間して配置されている垂直共振面発光レーザアレイ素子。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1の実施形態に係る垂直共振面発光レーザ素子(VCSEL素子)について、図を参照して説明する。以下では、垂直共振面発光レーザ素子を「VCSEL素子」と称する。
【0036】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る垂直共振面発光レーザ素子10の平面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る垂直共振面発光レーザ素子10のA−A’面断面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る垂直共振面発光レーザ素子10のB−B’面断面図である。
【0037】
VCSEL素子10は
図1、
図2、
図3に示す構造を有するヘテロ接合型の半導体からなる。垂直共振面発光レーザ10は、GaAsを材料とするベース基板
11を備える。
【0038】
ベース基板11は、半絶縁性半導体もしくはN型半導体の導電性半導体からなり、例えば具体的には、GaAsを材料とする基板からなる。なお、ベース基板11を半絶縁性半導体基板にする場合、抵抗率が1.0×10
7Ω・cm以上であることが好ましい。このような抵抗率の半絶縁性半導体からなるベース基板11を用いることにより、後述する複数のVCSEL素子を単一のベース基板上に配列して形成する場合に、VCSEL素子間のアイソレーションをより高く確保することができる。
【0039】
ベース基板11は、当該ベース基板11に直交する方向、すなわち表面側から見て(平面視して)、矩形である。矩形からなるベース基板11の第1方向の長さ(第1の長さ)は、当該第1方向に直交する第2方向の長さ(第2の長さ)よりも長い。
【0040】
ベース基板11の表面には、N型半導体コンタクト層21が積層形成されている。N型半導体コンタクト層21は、N型導電性を有する化合物半導体からなる。
【0041】
N型半導体コンタクト層21の表面には、N型DBR(多層分布ブラッグ反射器)層22が積層形成されている。N型半導体DBR(多層分布ブラッグ反射器)層22は、AlGaAs材料からなり、Gaに対するAlの組成比率が異なる層を複数層積層してなる。このような層構成により所定周波数のレーザ光を発生するための第1の反射器を形成する。なお、N型半導体DBR層は、N型半導体コンタクト層を兼ねていてもよい。すなわち、N型半導体コンタクト層は必須ではない。
【0042】
N型半導体DBR層22の表面には、N型半導体クラッド層31が積層形成されている。N型半導体クラッド層31は、後述する発光領域となるN型半導体DBR層22の一部の領域に形成されている。言い換えれば、ベース基板11を平面視した一部の領域にのみ形成されている。N型半導体クラッド層31もAlGaAs材料からなる。
【0043】
N型半導体クラッド層31の表面には、活性層40が形成されている。活性層40は、GaAs材料とAlGaAs材料からなる。AlGaAs層をバンドギャップの高い光閉じ込め層とし、その間に挟まれるようにGaAs層を形成する。このような構成により、活性層40には、バンドギャップの高い光閉じ込め層に挟まれた単一もしくは複数の量子井戸を有する層となる。
【0044】
各活性層40の表面には、P型半導体クラッド層32が形成されている。P型半導体クラッド層32もAlGaAs材料からなる。
【0045】
P型半導体クラッド層32の表面には、P型半導体DBR層23が形成されている。P型半導体DBR層23は、AlGaAs材料からなり、Gaに対するAlの組成比率が異なる層を複数層積層してなる。このような層構成により所定周波数のレーザ光を発生するための第2の反射器を形成する。P型半導体DBR層23は、N型半導体DBR層
22に対して反射率が若干低くなるように形成されている。ここでは、活性層を挟むように半導体クラッド層を設けたが、この構成に限るものではない。共振を発生させるような膜厚の層を活性層に設けてもよい。
【0046】
P型半導体クラッド層32とP型半導体DBR層23との境界面には、酸化狭窄層50が形成されている。酸化狭窄層50は、AlGaAs材料からなり、Gaに対するAlの組成比率が他の各層よりも高く設定されている。酸化狭窄層50は、P型半導体クラッド層32とP型半導体DBR層23と境界面の全面に形成されているわけでなく、形成領域の略中央に所定の面積で非形成部が存在する。
【0047】
P型半導体DBR層23の表面には、P型半導体コンタクト層24が積層形成されている。P型半導体コンタクト層24は、P型導電性を有する化合物半導体からなる。なお、P型半導体DBR層は、P型半導体コンタクト層を兼ねていてもよい。すなわち、P型半導体コンタクト層は必須ではない。
【0048】
これら、N型半導体DBR層22、N型半導体クラッド層31、活性層40、P型半導体クラッド層32、P型半導体DBR層23、P型半導体コンタクト層24によって、本発明の「発光領域多層部」が構成される。そして、この発光領域多層部が形成されるベース基板11上の領域が発光領域700となる。この発光領域多層部において、レーザ光が発光する。
【0049】
このような構成において、光定在波分布の中心の腹の位置に、1つの発光スペクトルピーク波長を有する複数の量子井戸が配置されるように、各層の厚み、Gaに対するAlの組成比率を設定することで、発光領域多層部がVCSEL素子10の発光部として機能する。さらに、上述の酸化狭窄層50を備えることで、電流を活性領域に効率良く注入できるとともに、レンズ効果も得られるため、低消費電力のVCSEL素子を実現できる。
【0050】
P型コンタクト層24の表面には、アノード用電極921が形成されている。アノード用電極921は、
図1に示すように平面視して環状の電極である。なお、アノード用電極は必ずしも環状である必要はなく、例えば環状の一部が開いたC型の形状や矩形状であってもよい。
【0051】
N型半導体コンタクト層21の表面には、N型半導体DBR層22が形成されていない領域が設けられている。この領域は、発光領域700に近接した位置に形成されている。
【0052】
この領域には、カソード用電極911が形成されている。カソード用電極911は、N型半導体コンタクト層21に導通するように形成されている。カソード用電極911は、
図1に示すように平面視して、発光領域700の外周形状に沿うような円弧状の電極である。
【0053】
ベース基板11の表面側には、カソード用電極911、アノード用電極921の少なくとも一部を被覆せず、他の発光領域多層部を構成する各構成要素の外面を覆うように、絶縁膜60が形成されている。絶縁膜60は、例えば窒化ケイ素(SiNx)を材料として形成されている。
【0054】
絶縁膜60の表面には、カソード用パッド電極912A、912B、および、アノード用パッド電極922が離間して形成されている。カソード用パッド電極912A、912B、およびアノード用パッド電極922は、絶縁膜60表面における発光領域700と重ならない領域に形成されている。
【0055】
カソード用パッド電極912Aは、カソード配線電極913Aを介して、カソード用電極911に接続されている。カソード用パッド電極912Bは、カソード配線電極913Bを介して、カソード用電極911に接続されている。アノード用パッド電極922は、アノード用配線電極923を介して、アノード用電極921に接続されている。
【0056】
そして、
図1に示すように、本実施形態のVCSEL素子10の発光領域700は、第1方向に沿った一方端に近い位置に配置されている。また、発光領域700は、第2方向に沿った一方端にも近い位置に配置されている。
【0057】
この位置は、具体的に次のような仕様に基づいて決定される。VCSEL素子10は、実装型部品であり、上述のように、VCSEL素子10の表面、すなわちベース基板11に各層が形成された最上面に、吸着治具である平コレットを吸着させることで、ピックアップされ、外部回路基板の所定位置に実装される。
【0058】
ここで、平コレットは、通常、吸着性能を向上させるため、VCSEL素子10の吸着可能部分の大きさにできる限り近づく大きさであることが好ましい。逆に、平コレットは、VCSEL素子10の外形形状をよりも大きくなってしまうと、吸着性能が低下してしまう。すなわち、例えば、吸着面が円形の平コレットを用いる場合、吸着面の直径は、ベース基板11の第1の長さと第2の長さとの短い方、すなわち本実施形態の構成であれば、第2の長さに一致させることが望ましい。このため、本実施形態のようなVCSEL素子10では、平コレットとして、吸着面の直径が第2の長さに一致するものを一般的に利用する。したがって、吸着領域800は、
図1に示すように、ベース基板11の第2の方向の両端辺に当接し、第1の方向の他方端辺に当接する円形の領域となる。
【0059】
ここで、本発明においては、発光領域700は、このように設定された吸着領域800と重なり合わないように、配置されている。すなわち、発光領域700は、第1の方向に対して、吸着領域800よりも第1の方向の一方端側に、吸着領域800に略接するもしくは所定距離だけ離間するように配置される。なお、発光領域700と吸着領域800とは、所定距離離間する方が好ましい。この際、離間距離は、平コレットによるVCSEL素子10のピックアップ精度に基づいて、平コレットの装着誤差範囲外に発光領域700が配置されるとよい。
【0060】
このような構成とすることで、平コレットがVCSEL素子10を吸着する際に、平コレットが発光領域700に重なり合わない。したがって、平コレットが発光領域多層部に接触せず、当該発光領域多層部の結晶欠落の発生を防止できる。
【0061】
なお、発光領域700は、
図1に示すように、第2の方向に対しても、吸着領域800よりも第2の方向の一方端側に、吸着領域800に略接するもしくは所定距離だけ離間するように配置することができる。このため、発光領域700と吸着領域800とが第1方向に沿って並ぶ場合よりも、ベース基板11上の第1方向における発光領域700と吸着領域800の占める長さを短くすることができる。これにより、ベース基板11の第1方向に沿った長さを短くすることができ、VCSEL素子10をより小型化することができる。
【0062】
カソード用パッド電極912A,912Bおよびアノード用パッド電極922は、第2方向の一方端付近において、第1方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。このように、カソード用パッド電極912A,912B、アノード用パッド電極922を、発光領域700を基準として同じ側に配置することで、第2方向の一方端側から外部回路基板にワイヤボンディング接続を行い場合に、全てのワイヤが発光領域700上を通過しない。これにより、発光領域700からベース基板11に直交する方向へ照射されるレーザ光がワイヤに反射してロスすることを防止できる。さらに、第1方向に沿って所定の間隔を置いて配置する場合に、当該間隔を一定にすることで、ワイヤボンディングのVCSEL素子10側のランド位置の間隔が一定になる。したがって、ワイヤボンディング工程およびワイヤボンディング設定構成を単純化することができ、作業負荷を軽減することができる。さらに、ワイヤボンディング精度の制約から、パッド電極の最小サイズ及び最小間隔が決まる。この最小サイズおよび最小間隔で規定される間隔で一定に配置することで、チップサイズを小型化することができる。
【0063】
また、アノード用パッド電極922は、カソード用パッド電極912Aとカソード用パッド電極912Bとの間に配置されている。このような構成とすることで、VCSEL素子10を、第1方向に沿って配列して設置する場合に、隣り合うVCSEL素子10間で隣接するパッド電極が同極性となる。したがって、各VCSEL素子10に印加する駆動信号間のクロストークを抑圧することができる。
【0064】
次に、第2の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子について、図を参照して説明する。以下では、垂直共振面発光レーザアレイ素子を「VCSELアレイ素子」と称する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子1Aの平面図である。
【0065】
本実施形態のVCSELアレイ素子1Aは、上述の第1の実施形態に示したVCSEL素子10と同じ積層構造のVCSEL素子10A1,10A2を、単一のベース基板上に形成したものである。したがって、各VCSEL素子10A1,10A2の積層方向に沿った構造の説明は省略する。
【0066】
VCSEL素子10A1,10A2は、ベース基板の第1方向に沿って、所定間隔を置いて配置されている。VCSEL素子10A1とVCSEL素子10A2は、ベース基板11の第1方向に沿った略中心で、第2方向に沿った中心軸を基準にして、平面視した形状が略線対称である。
【0067】
具体的には、VCSEL素子10A1のカソード用電極9111と、VCSEL素子10A2のカソード用電極9112とは、前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10A1のカソード用パッド電極912A1,912B1と、VCSEL素子10A2のカソード用パッド電極912A2,912B2とは、それぞれ前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10A1のカソード用配線電極913A1,913B1と、VCSEL素子10A2のカソード用配線電極913A2,913B2とは、それぞれ前記中心軸を基準に線対称である。
【0068】
VCSEL素子10A1のアノード用電極9211と、VCSEL素子10A2のアノード用電極9212は、前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10A1のアノード用パッド電極9221と、VCSEL素子10A2のアノード用パッド電極9222は、前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10A1のアノード用配線電極9231と、VCSEL素子10A2のアノード用配線電極9232は、前記中心軸を基準に線対称である。
【0069】
VCSEL素子10A1の発光領域701Aと、VCSEL素子10A2の発光領域702Aは、前記中心軸を基準に線対称である。
【0070】
吸着領域800Aは、上述の第1の実施形態と同様に、平コレットが吸着する領域であり、吸着領域800Aの直径は、VCSELアレイ素子1Aの第2の長さに略等しい。このような形状の平コレットの中心がVCSELアレイ素子1Aの第1の方向の中心および第2の方向の中心に一致するように、平コレットがVCSELアレイ素子1Aに装着するように設定した場合、
図4に示すように、第1方向の両端に吸着領域800Aに含まれない領域が生じる。
【0071】
したがって、
図4に示すように、発光領域701Aと発光領域702Aが吸着領域800Aに含まれないように、前記中心軸を基準にして線対称になるように、VCSEL素子10A1,10A2を第1の方向に沿って配列することで、第1の実施形態と同様に、実装時のVCSEL素子10A1,10A2の破損を防止できる。
【0072】
また、本実施形態でも、各カソード用パッド電極と各アノード用パッド電極とが、発光領域701A,702Aに対して同じ側に配置されているので、第1の実施形態と同様に、ワイヤによるレーザ光のロスの発生を防止できる。
【0073】
なお、
図4では、VCSEL素子10A1,10A2が中心軸を基準に正確に線対称になる例を示したが、正確に線対称になる必要はない。発光領域701Aと発光領域702Aが吸着領域800Aに含まれないように、VCSEL素子10A1,10A2が第1の方向に沿って配列されていればよい。
【0074】
次に、第3の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子について、図を参照して説明する。以下でも、垂直共振面発光レーザアレイ素子を「VCSELアレイ素子」と称する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子1Bの平面図である。
【0075】
本実施形態のVCSELアレイ素子1Bは、上述の第1の実施形態に示したVCSEL素子10と同じ積層構造からなり、アノードおよびカソードの配線パターンが異なるVCSEL素子10B1,10B2を、単一のベース基板上に形成したものである。したがって、各VCSEL素子10B1,10B2の積層方向に沿った構造の説明は省略する。
【0076】
VCSEL素子10B1,10B2は、ベース基板の第1方向に沿って、所定間隔を置いて配置されている。VCSEL素子10B1とVCSEL素子10B2は、ベース基板11の第1方向に沿った略中心且つ第2方向に沿った中心を基準点として、平面視した形状が略点対称である。
【0077】
具体的には、VCSEL素子10B1のカソード用電極9311と、VCSEL素子10B2のカソード用電極9312とは、前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10B1のカソード用パッド電極932A1,932B1と、VCSEL素子10B2のカソード用パッド電極932A2,932B2とは、それぞれ前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10B1のカソード用配線電極933A1,933B1と、VCSEL素子10B2のカソード用配線電極933A2,933B2とは、前記基準点に対して点対称である。
【0078】
VCSEL素子10B1のアノード用電極9411と、VCSEL素子10B2のアノード用電極9412は、前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10B1のアノード用パッド電極9421と、VCSEL素子10B2のアノード用パッド電極9422は、前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10B1のアノード用配線電極9431と、VCSEL素子10B2のアノード用配線電極9432は、前記基準点に対して点対称である。
【0079】
VCSEL素子10B1の発光領域701Bと、VCSEL素子10B2の発光領域702Bは、前記基準点に対して点対称である。
【0080】
吸着領域800Bは、上述の第1の実施形態と同様に、平コレットが吸着する領域であり、吸着領域800Bの直径は、VCSELアレイ素子1Bの第2の長さに略等しい。このような形状の平コレットの中心がVCSELアレイ素子1Bの第1の方向の中心および第2の方向の中心に一致するように、平コレットがVCSELアレイ素子1Bに装着するように設定した場合、
図5に示すように、第1方向の両端に吸着領域800Bに含まれない領域が生じる。
【0081】
したがって、
図5に示すように、発光領域701Bと発光領域702Bが吸着領域800Bに含まれないように、前記基準点に対して点対称となるようにVCSEL素子10B1,10B2を第1の方向に沿って配列することで、第1、第2、第3の実施形態と同様に、実装時のVCSEL素子10B1,10B2の破損を防止できる。
【0082】
なお、本実施形態では、VCSEL素子10B1のカソード用パッド電極とアノード用パッド電極との発光領域701Bに対する方向と、VCSEL素子10B2のカソード用パッド電極と各アノード用パッド電極との発光領域702Bに対する方向とが逆である。しかしながら、VCSEL素子10B1,10B2毎に、発光領域701B,702Bと反対側にワイヤボンディングを行えば、第1、第2、第3の実施形態と同様に、ワイヤによるレーザ光のロスの発生を防止できる。
【0083】
また、
図5では、VCSEL素子10B1,10B2が基準点に対して正確に点対称になる例を示したが、正確に線対称になる必要はない。発光領域701Bと発光領域702Bが吸着領域800Bに含まれないように、VCSEL素子10B1,10B2が第1の方向に沿って配列されていればよい。
【0084】
次に、第4の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子について、図を参照して説明する。以下でも、垂直共振面発光レーザアレイ素子を「VCSELアレイ素子」と称する。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子1Cの平面図である。
【0085】
本実施形態のVCSELアレイ素子1Cは、上述の第1の実施形態に示したVCSEL素子10と同じ積層構造からなり、アノードおよびカソードの配線パターンが異なるVCSEL素子10C1,10C2を、単一のベース基板上に形成したものである。したがって、各VCSEL素子10C1,10C2の積層方向に沿った構造の説明は省略する。
【0086】
VCSEL素子10C1,10C2は、ベース基板の第1方向に沿って、所定間隔を置いて配置されている。VCSEL素子10C1とVCSEL素子10C2は、ベース基板11の第1方向に沿った略中心且つ第2方向に沿った中心を基準点として、平面視した形状が略点対称である。
【0087】
具体的には、VCSEL素子10C1のカソード用電極9511と、VCSEL素子10C2のカソード用電極9512とは、前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10C1のカソード用パッド電極952A1,952B1と、VCSEL素子10C2のカソード用パッド電極952A2,952B2とは、それぞれ前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10C1のカソード用配線電極953A1,953B1と、VCSEL素子10C2のカソード用配線電極953A2,953B2とは、前記基準点に対して点対称である。
【0088】
VCSEL素子10C1のアノード用電極9611と、VCSEL素子10C2のアノード用電極9612は、前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10C1のアノード用パッド電極9621と、VCSEL素子10C2のアノード用パッド電極9622は、前記基準点に対して点対称である。VCSEL素子10C1のアノード用配線電極9631と、VCSEL素子10C2のアノード用配線電極9632は、前記基準点に対して点対称である。
【0089】
VCSEL10C1のカソード用パッド電極952A1,952B1およびアノード用パッド電極9621は、第1方向と第2方向とに対して、平行でなく所定の角度を有する方向に沿って配列されている。
【0090】
VCSEL10C2のカソード用パッド電極952A2,952B2およびアノード用パッド電極9622は、第1方向と第2方向とに対して、平行でなく所定の角度を有する方向に沿って配列されている。VCSEL10C2のカソード用パッド電極952A2,952B2およびアノード用パッド電極9622の配列方向と、VCSEL10C1のカソード用パッド電極952A1,952B1およびアノード用パッド電極9621の配列方向は、平行である。
【0091】
カソード用パッド電極952A1,952B1、アノード用パッド電極9621、カソード用パッド電極952A2,952B2およびアノード用パッド電極9622は、第1方向に沿って等しい間隔dで配置されている。
【0092】
このような構成とすることで、第2の方向に沿ってワイヤを引き出すようにワイヤボンディングを行う場合に、ワイヤボンディングのVCSEL素子10C1,10C2側のランド位置の間隔が一定になる。したがって、ワイヤボンディング工程およびワイヤボンディング設定構成を単純化することができ、作業負荷を軽減することができる。さらに、ワイヤボンディング精度の制約から、パッド電極の最小サイズ及び最小間隔が決まる。この最小サイズおよび最小間隔で規定される間隔で一定に配置することで、チップサイズを小型化することができる。
【0093】
VCSEL素子10C1の発光領域701Cと、VCSEL素子10C2の発光領域702Cは、前記基準点に対して点対称である。
【0094】
吸着領域800Cは、上述の第1の実施形態と同様に、平コレットが吸着する領域であり、吸着領域800Cの直径は、VCSELアレイ素子1Cの第2の長さに略等しい。このような形状の平コレットの中心がVCSELアレイ素子1Cの第1の方向の中心および第2の方向の中心に一致するように、平コレットがVCSELアレイ素子1Cに装着するように設定した場合、
図6に示すように、第1方向の両端に吸着領域800Cに含まれない領域が生じる。
【0095】
したがって、
図6に示すように、発光領域701Cと発光領域702Cが吸着領域800Cに含まれないように、前記基準点に対して点対称となるようにVCSEL素子10C1,10C2を第1の方向に沿って配列することで、第1、第2の実施形態と同様に、実装時のVCSEL素子10C1,10C2の破損を防止できる。
【0096】
また、本実施形態のVCSELアレイ素子1CにおけるVCSEL素子10C1のカソード用パッド電極952A1,952B1、アノード用パッド電極9621、および、VCSEL素子10C2のカソード用パッド電極952A2,952B2、アノード用パッド電極9622は、第1方向に沿った位置が、発光領域701C,702Cと重ならない。したがって、第2の方向に沿ってワイヤを引き出すようにワイヤボンディングを行う場合に、いずれの方向にワイヤを引き出しても、ワイヤにレーザ光が照射することはなく、ワイヤによるレーザ光のロスの発生を防止できる。
【0097】
また、
図6では、VCSEL素子10C1,10C2が基準点に対して正確に点対称になる例を示したが、正確に線対称になる必要はない。少なくとも発光領域701
Cと発光領域702
Cが吸着領域800Bに含まれないように、VCSEL素子10C1,10C2が第1の方向に沿って配列されていればよい。
【0098】
次に、第5の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子について、図を参照して説明する。以下でも、垂直共振面発光レーザアレイ素子を「VCSELアレイ素子」と称する。
図7は、本発明の第5の実施形態に係る垂直共振面発光レーザアレイ素子1
Dの平面図である。
【0099】
本実施形態のVCSELアレイ素子1Dは、上述の第1の実施形態に示したVCSEL素子10と同じ積層構造からなり、アノードおよびカソードの配線パターンが異なるVCSEL素子10D1,10D2を、単一のベース基板上に形成したものである。したがって、各VCSEL素子10D1,10D2の積層方向に沿った構造の説明は省略する。
【0100】
VCSEL素子10D1,10D2は、ベース基板の第1方向に沿って、所定間隔を置いて配置されている。VCSEL素子10D1とVCSEL素子10D2は、ベース基板11の第1方向に沿った略中心で、第2方向に沿った中心軸を基準にして、平面視した形状が略線対称である。
【0101】
具体的には、VCSEL素子10D1のカソード用電極9711と、VCSEL素子10D2のカソード用電極9712とは、前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10D1のカソード用パッド電極972A1,972B1と、VCSEL素子10D2のカソード用パッド電極972A2,972B2とは、それぞれ前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10D1のカソード用配線電極973A1,973B1と、VCSEL素子10D2のカソード用配線電極973A2,973B2とは、それぞれ前記中心軸を基準に線対称である。
【0102】
VCSEL素子10D1のアノード用電極9811と、VCSEL素子10D2のアノード用電極9812は、前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10D1のアノード用パッド電極9821と、VCSEL素子10D2のアノード用パッド電極9822は、前記中心軸を基準に線対称である。VCSEL素子10D1のアノード用配線電極9831と、VCSEL素子10D2のアノード用配線電極9832は、前記中心軸を基準に線対称である。
【0103】
VCSEL10D1のカソード用パッド電極972A1,972B1およびアノード用パッド電極9821は、第1方向と第2方向とに対して、平行でなく所定の角度を有する方向に沿って配列されている。
【0104】
VCSEL10D2のカソード用パッド電極972A2,972B2およびアノード用パッド電極9822は、第1方向と第2方向とに対して、平行でなく所定の角度を有する方向に沿って配列されている。VCSEL10D2のカソード用パッド電極972A2,972B2およびアノード用パッド電極9822の配列方向と、VCSEL10D1のカソード用パッド電極972A1,972B1およびアノード用パッド電極9821の配列方向は、平行でなく、前記中心軸を基準に線対称となる関係にある。
【0105】
カソード用パッド電極972A1,972B1、アノード用パッド電極9821、カソード用パッド電極972A2,972B2およびアノード用パッド電極9822は、第1方向に沿って等しい間隔dで配置されている。
【0106】
このような構成とすることで、第2の方向に沿ってワイヤを引き出すようにワイヤボンディングを行う場合に、ワイヤボンディングのVCSEL素子10C1,10C2側のランド位置の間隔が一定になる。したがって、ワイヤボンディング工程およびワイヤボンディング設定構成を単純化することができ、作業負荷を軽減することができる。さらに、ワイヤボンディング精度の制約から、パッド電極の最小サイズ及び最小間隔が決まる。この最小サイズおよび最小間隔で規定される間隔で一定に配置することで、チップサイズを小型化することができる。
【0107】
VCSEL素子10D1の発光領域701Dと、VCSEL素子10D2の発光領域702Dは、前記中心軸を基準に線対称である。
【0108】
吸着領域800Dは、上述の第1の実施形態と同様に、平コレットが吸着する領域であり、吸着領域800Dの直径は、VCSELアレイ素子1Dの第2の長さに略等しい。このような形状の平コレットの中心がVCSELアレイ素子1Dの第1の方向の中心および第2の方向の中心に一致するように、平コレットがVCSELアレイ素子1Dに装着するように設定した場合、
図7に示すように、第1方向の両端に吸着領域800Dに含まれない領域が生じる。
【0109】
したがって、
図7に示すように、発光領域701Dと発光領域702Dが吸着領域800Dに含まれないように、前記中心軸を基準にして線対称になるように、VCSEL素子10D1,10D2を第1の方向に沿って配列することで、上述の実施形態と同様に、実装時のVCSEL素子10D1,10D2の破損を防止できる。
【0110】
また、本実施形態でも、各カソード用パッド電極と各アノード用パッド電極とが、発光領域701D,702Dに対して同じ側に配置されているので、上述の実施形態と同様に、ワイヤによるレーザ光のロスの発生を防止できる。
【0111】
なお、
図7では、VCSEL素子10D1,10D2が中心軸を基準に正確に線対称になる例を示したが、正確に線対称になる必要はない。発光領域701Dと発光領域702Dが吸着領域800Dに含まれないように、VCSEL素子10D1,10D2が第1の方向に沿って配列されていればよい。
【0112】
上述の各実施形態の構造は、本発明の作用効果が得られる数例を示すものであり、これらの実施形態を組み合わせて想定できる構造であれば、上述の各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
また、上述の吸着領域に電極パターンが形成されている場合、当該電極パターンの形成領域と、電極パターンが形成されていない領域との間には、電極厚み分だけ段差が生じる。通常、電極パターンは薄いため、当該電極パターンによる段差があっても、吸着は可能である。しかしながら、吸着領域にのみ平坦化用の絶縁膜を形成するようにしてもよい。これにより、吸着性をさらに向上することができる。