(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る熱交換器を備えた空気調和装置1について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(1)空気調和装置1の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置1の構成の概要を示す回路図である。
【0022】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって空調室内機3が設置されている建物内の冷暖房に使用される装置であり、熱源側ユニットとしての空調室外機2と、利用側ユニットとしての空調室内機3とが冷媒連絡配管6,7で接続されて構成されている。
【0023】
空調室外機2と空調室内機3と冷媒連絡配管6,7とが接続されて構成される冷媒回路は、圧縮機91、四路切換弁92、室外熱交換器20(熱交換器)、膨張弁33、室内熱交換器4およびアキュムレータ93などが冷媒配管で接続されることで構成されている。この冷媒回路内には冷媒が封入されており、冷媒が圧縮され、冷却され、減圧され、加熱・蒸発された後に、再び圧縮されるという冷凍サイクル運転が行われるようになっている。冷媒としては、例えば、R410A、R32、R407C、R22、R134a、二酸化炭素、などから選択されたものが用いられる。
【0024】
(2)空気調和装置1の詳細構成
(2−1)空調室内機3
空調室内機3は、室内の壁面に壁掛け等により、又は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により設置される。空調室内機3は、室内熱交換器4と、室内ファン5とを有している。室内熱交換器4は、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
【0025】
(2−2)空調室外機2
空調室外機2は、ビル等の室外に設置されており、冷媒連絡配管6,7を介して空調室内機3に接続される。空調室外機2は、
図2および
図3に示されているように、略直方体状のユニットケーシング10を有している。
【0026】
図3に示されているように、空調室外機2は、ユニットケーシング10の内部空間を鉛直方向に延びる仕切板18で二つに分割することによって送風機室S1と機械室S2とを形成した構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。空調室外機2は、ユニットケーシング10の送風機室S1内に配置された室外熱交換器20および室外ファン95を有しており、ユニットケーシング10の機械室S2内に配置された圧縮機91、四路切換弁92、アキュムレータ93、膨張弁33、ガス冷媒配管31、および、液冷媒配管32を有している。
【0027】
ユニットケーシング10は、底板12と、天板11と、送風機室側の側板13と、機械室側の側板14と、送風機室側前板15と、機械室側前板16とを備えて、筐体を構成している。
【0028】
空調室外機2は、ユニットケーシング10の背面および側面の一部からユニットケーシング10内の送風機室S1に室外空気を吸い込んで、吸い込んだ室外空気をユニットケーシング10の前面から吹き出すように構成されている。具体的には、ユニットケーシング10内の送風機室S1に対して、吸込口10aと吸込口10bと吹出口10cとが形成されている。吸込口10aおよび吸込口10bの全体は、送風機室側の側板13の背面側の端部から機械室側の側板14の送風機室S1側の端部にわたって広がっている。また、吹出口10cは、送風機室側前板15に設けられており、その前側がファングリル15aによって覆われている。
【0029】
四路切換弁92は、冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、四路切換弁92は、圧縮機91の吐出側の冷媒配管と室外熱交換器20の一端(ガス側端部)から延びるガス冷媒配管31とを接続するとともに、アキュムレータ93を介してガス冷媒の冷媒連絡配管7と圧縮機91の吸入側の冷媒配管とを接続する(
図1の四路切換弁92の実線を参照)。また、暖房運転時には、四路切換弁92は、圧縮機91の吐出側の冷媒配管とガス冷媒の冷媒連絡配管7とを接続するとともに、アキュムレータ93を介して圧縮機91の吸入側と室外熱交換器20の一端(ガス側端部)から延びるガス冷媒配管31とを接続する(
図1の四路切換弁92の破線を参照)。
【0030】
室外熱交換器20は、送風機室S1において吸込口10a,10bに対向するようにして、上下方向(鉛直方向)に立てて配置されている。室外熱交換器20は、アルミニウム製の熱交換器であり、本実施形態では設計圧力が3MPa〜4MPa程度のものを用いている。室外熱交換器20は、一端(ガス側端部)から、四路切換弁92と接続されるように、ガス冷媒配管31が延びている。また、室外熱交換器20の他端(液側端部)から、膨張弁33に接続されるように、液冷媒配管32が延びている。
【0031】
アキュムレータ93は、四路切換弁92と圧縮機91との間に接続されている。アキュムレータ93は、冷媒を気相と液相とに分ける気液分離機能を具備している。アキュムレータ93に流入する冷媒は、液相と気相とに分かれ、上部空間に集まる気相の冷媒が圧縮機91へと供給される。
【0032】
膨張弁33は、冷媒回路において冷媒を減圧するための機構であり、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁33は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、室外熱交換器20と液冷媒の冷媒連絡配管6の間に設けられ、冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても、冷媒を膨張させる機能を有している。
【0033】
室外ファン95は、室外熱交換器20を流れる冷媒との間で熱交換をさせるための室外空気を、室外熱交換器20に対して供給する。室外ファン95は、室外熱交換器20に対向するようにして、送風機室S1に配置されている。室外ファン95は、背面側からユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器20において冷媒と室外空気との間で熱交換を行わせた後に、熱交換後の空気を前面側からユニット外に排出する。
【0034】
(3)空気調和装置1の動作
(3−1)冷房運転
冷房運転時は、四路切換弁92が
図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機91の吐出側がガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20のガス側に接続され、かつ、圧縮機91の吸入側がアキュムレータ93、冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器4のガス側に対して接続された状態となっている。膨張弁33は、室内熱交換器4の出口(すなわち、室内熱交換器4のガス側)における冷媒の過熱度が一定になるように開度調節されるようになっている(過熱度制御)。この冷媒回路の状態で、圧縮機91、室外ファン95および室内ファン5を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機91で圧縮されることで高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、四路切換弁92を経由して室外熱交換器20に送られる。その後、高圧のガス冷媒は、室外熱交換器20において、室外ファン95によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、過冷却状態になった高圧の液冷媒は、室外熱交換器20から膨張弁33に送られる。膨張弁33によって圧縮機91の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態となった冷媒は、室内熱交換器4に送られ、室内熱交換器4において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
【0035】
この低圧のガス冷媒は、冷媒連絡配管7を経由して空調室外機2に送られ、再び、圧縮機91に吸入される。このように冷房運転では、空気調和装置1は、室外熱交換器20を圧縮機91において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器4を室外熱交換器20において凝縮された冷媒の蒸発器として機能させる。
【0036】
(3−2)暖房運転
暖房運転時は、四路切換弁92が
図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機91の吐出側が冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器4のガス側に接続され、かつ、圧縮機91の吸入側がガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20のガス側に接続された状態となっている。膨張弁33は、室内熱交換器4の出口における冷媒の過冷却度が過冷却度目標値で一定になるように開度調節されるようになっている(過冷却度制御)。この冷媒回路の状態で、圧縮機91、室外ファン95および室内ファン5を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機91に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁92、および、冷媒連絡配管7を経由して、空調室内機3に送られる。
【0037】
そして、空調室内機3に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器4において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、膨張弁33を通過する際に、膨張弁33の弁開度に応じて減圧される。この膨張弁33を通過した冷媒は、室外熱交換器20に流入する。そして、室外熱交換器20に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン95によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁92を経由して、再び、圧縮機91に吸入される。このように暖房運転では、空気調和装置1は、室内熱交換器4を圧縮機91において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器20を室内熱交換器4において凝縮された冷媒の蒸発器として機能させる。
【0038】
(4)室外熱交換器20の詳細構成
(4−1)室外熱交換器20の全体構成
図4に、室外熱交換器20の概略外観斜視図を示す。また、
図5に、伝熱フィン21aの扁平多穴管21bに対する取付状態を示す。
【0039】
室外熱交換器20は、室外空気と冷媒との熱交換を行わせる熱交換部21と、この熱交換部21の一端側に設けられた出入口ヘッダ管26および折返しヘッダ24と、この熱交換部21の他端側に設けられた連結ヘッダ23と、折返しヘッダ24の下部と折返しヘッダ24の上部を連結させる連絡部25と、出入口ヘッダ管26の下方に分流された冷媒を導く分流器22と、を備えている。
【0040】
(4−2)熱交換部21
熱交換部21は、多数の伝熱フィン21aと多数の扁平多穴管21bとで構成されている。伝熱フィン21aおよび扁平多穴管21bは、いずれもアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。
【0041】
伝熱フィン21aは、
図5に示すように、平板部材であり、各伝熱フィン21aには水平方向に延びる扁平管挿入用の切り欠き21aaが形成されている。この伝熱フィン21aには、この切り欠き21aaが上下方向に複数並ぶようにして設けられている。なお、伝熱フィン21aは、空気流れの上流側に向けて突出した部分を無数に有するように取り付けられている。
【0042】
扁平多穴管21bは、伝熱管として機能し、伝熱フィン21aと室外空気との間を移動する熱を、内部を流れる冷媒に伝達する。この扁平多穴管21bは、伝熱面となる上下の平面部と、冷媒が流れる複数の流入口21baを有している。扁平多穴管21bの複数の流入口21baは、室外熱交換器20を通過する空気流れ方向に並んでいる。このような形状を有する扁平多穴管21bは、複数設けられており、これら複数が鉛直方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0043】
なお、この熱交換部21は、室外ファン95によって生じる空気流れ方向(筐体の背面および左側面側から筐体の正面のファングリル15aに向かう流れ)において、風上の部分を縁取るように設けられた風上側熱交換部20aと、風下側を縁取るように設けられた風下側熱交換部20bと、を有している。これらの風上側熱交換部20aと風下側熱交換部20bとは、空気流れ方向において2列並ぶように配置されている。
【0044】
風上側熱交換部20aは、風上側を縁取るように延びており上下方向に複数本並んだ扁平多穴管21bと、この扁平多穴管21bに固定された伝熱フィン21aとを有している。また、風下側熱交換部20bも、同様に、風下側を縁取るように延びており上下方向に複数本並んだ扁平多穴管21bと、この扁平多穴管21bに固定された伝熱フィン21aとを有している。
【0045】
(4−3)分流器22
分流器22は、液冷媒配管32と出入口ヘッダ管26の下方部分とを連結させるように接続されている。この分流器22は、例えば、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際には、液冷媒配管32から流れてきた冷媒を高さ方向に分流させ、分流器22で分流された各冷媒流れは、出入口ヘッダ管26の下方部分の各高さ位置を介して、風上側熱交換部20aの下方部分に導かれる(
図4の点線参照)。
【0046】
(4−4)出入口ヘッダ管26
出入口ヘッダ管26は、鉛直方向に延びるアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製の筒状部材であり、内部が上方部分と下方部分とに分割されている。具体的には、出入口ヘッダ管26の内部は、水平方向に広がったバッフルによって上下に仕切られている。
【0047】
この出入口ヘッダ管26の下方部分は、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際には、冷媒の入口として機能し、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能する際には、冷媒の出口として機能する。また、出入口ヘッダ管26の上方部分は、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際には、冷媒の出口として機能し、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能する際には、冷媒の入口として機能する。
【0048】
出入口ヘッダ管26の下方部分は、分流器22を介して、液冷媒配管32に接続されている。出入口ヘッダ管26の上方部分は、ガス冷媒配管31に対して接続されている。
【0049】
また、出入口ヘッダ管26の下方部分は、室外熱交換器20が蒸発器として機能する際に分流器22によって分流された冷媒の高さ方向における分布が維持されるように、上下に並んだ複数の空間を有している。これらの空間は、出入口ヘッダ管26の下方部分の内部空間が複数のバッフルによって上下に仕切られることで区画されている。これにより、分流器22によって高さ方向に分けられた各冷媒流れそれぞれを、分けられた分流状態を維持させたままで出入口ヘッダ管26の下方部分を介して熱交換部21に送ることができるように構成されている。
【0050】
以上の構成により、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合には、液冷媒配管32と分流器22と出入口ヘッダ管26の下方部分を介して熱交換部21に流入した冷媒は、以下の各部材を通過しながら蒸発し、出入口ヘッダ管26の上方部分に到達する。そして、蒸発した冷媒は、出入口ヘッダ管26の上方部分とガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20の外部に流出していくことになる。なお、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能している場合には、上記とは逆の流れになる。
【0051】
(4−5)連結ヘッダ23
連結ヘッダ23は、室外熱交換器20のうち、熱交換部21の出入口ヘッダ管26や折返しヘッダ24が設けられている側(
図3でいう機械室側)の端部とは反対側(
図3でいう送風機室側)に設けられている。
【0052】
連結ヘッダ23は、風上側熱交換部20aの扁平多穴管21bを流れた冷媒を同じ高さ位置の風下側熱交換部20bの扁平多穴管21bに導くか、風下側熱交換部20bの扁平多穴管21bを流れた冷媒を同じ高さ位置の風上側熱交換部20aの扁平多穴管21bに導くように構成されている。ここで、連結ヘッダ23のうちの出入口ヘッダ管26の下方部分に対応した高さ位置の部分を流れる冷媒流れの向きと、連結ヘッダ23のうちの出入口ヘッダ管26上方部分に対応した高さ位置の部分を流れる冷媒流れの向きとは、互いに反対方向となっている。具体的には、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合には、連結ヘッダ23の下方部分は風上側熱交換部20aを流れた冷媒を風下側熱交換部20bに導き、連結ヘッダ23の上方部分は風下側熱交換部20bを流れた冷媒を風上側熱交換部20aに導く(
図4の点線参照)。室外熱交換器20が冷媒の放熱器として伊能する場合には、上述とは反対の冷媒流れとなる。
【0053】
この連結ヘッダ23では、冷媒の上下方向の移動は生じず、室外熱交換器20内における冷媒の流路を同じ高さ位置で単に繋ぐ役割を果たしている。
【0054】
(4−6)折返しヘッダ24および連絡部25
折返しヘッダ24は、熱交換部21の連結ヘッダ23が設けられている側の端部とは反対側の端部であって、出入口ヘッダ管26よりも風下側において上下方向に延びるように設けられている円筒形状の部材である。この折返しヘッダ24は、熱交換部21のうちの風下側熱交換部20bの連結ヘッダ23側とは反対側の端部に接続されている。折返しヘッダ24もアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製の部材である。
【0055】
連絡部25は、折返しヘッダ24に対して接続されるアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製の円筒配管である複数の連絡配管25a〜25jを有している。複数の連絡配管25a〜25jのそれぞれは、折返しヘッダ24の内部において複数に仕切られている空間のうち下方の空間と上方の空間とを一対一に接続する。
【0056】
折返しヘッダ24は、
図6の折返しヘッダ24および連絡部25の分解概略斜視図に示すように、複数の扁平多穴管21bの一端が接続されている多穴側部材61と、扁平多穴管21bが接続されている側とは反対側を構成する配管側部材62と、多穴側部材61と配管側部材62との間に位置する仕切部材70と、折返しヘッダ24内部の空間を上下に仕切っている複数のバッフル80と、を有している。
【0057】
折返しヘッダ24は、これらの複数の部材を組合せることで構成される鉛直方向に長い構造物である。折返しヘッダ24では、仕切部材70以外の各部材が、主として1つの部品である仕切部材70に対して固定されて構成されているため、互いの位置決めを行いやすく、強度を確保しやすく、鉛直方向に長い構造であっても製造を容易にすることができている。
【0058】
多穴側部材61は、熱交換部21側の折返しヘッダ24の壁面を構成しており、上面視において略半円弧形状に形成されている。この多穴側部材61は、この半円弧形状が上下方向に延びた形状を有しており、扁平多穴管21bを挿入するための板厚方向に貫通した開口が高さ位置毎に複数設けられている。
【0059】
配管側部材62は、折返しヘッダ24の壁面のうち熱交換部21側とは反対側の壁面を構成しており、上面視において略半円弧形状に形成されている。この配管側部材62は、この半円弧形状が上下方向に延びた形状を有している。配管側部材62は、連絡部25の連絡配管25a〜25jを挿入するための板厚方向に貫通した開口が高さ位置毎に複数設けられている。また、この配管側部材62には、バッフル80の一端側を固定するための開口が高さ位置毎にそれぞれ設けられている。
【0060】
仕切部材70は、折返しヘッダ24の内部の空間を、多穴側部材61側の空間と配管側部材62側の空間とに仕切るように前後および上下に延びている。仕切部材70には、バッフル80を挿入固定するための開口が高さ位置毎に設けられている。
【0061】
折返しヘッダ24は、
図6に示すように、内部空間が、ノズルが設けられた上昇流れ形成部材81によって、下方の下方折返し部分34と、上方の上方折返し部分37とに上下に分割されている。
【0062】
下方折返し部分34の内部空間は、バッフル80によって、下方の第1下方折返し部分35と、上方の第2下方折返し部分36とに上下にさらに分割されている。なお、この第1下方折返し部分35の内部は、複数のバッフル80によって、上下方向にさらに複数の空間に仕切られている。
【0063】
上方折返し部分37の内部空間も、バッフル80によって、下方の第1上方折返し部分38と上方の第2上方折返し部分39とに上下方向にさらに分割されている。なお、この第2上方折返し部分39の内部は、複数のバッフル80によって、上下方向にさらに複数の空間に仕切られている。第2上方折返し部分39の内部において仕切られている各空間には、それぞれ複数の扁平多穴管21bが接続されている。この第2上方折返し部分39の内部において仕切られている各空間には、それぞれ上昇流れを形成するためのノズルが設けられた上昇流れ形成部材81が設けられている。このため、第2上方折返し部分39の内部において仕切られている各空間に対して異なる高さ位置で接続されている複数の扁平多穴管21bそれぞれに対して冷媒を送り込むことが可能になっている。
【0064】
なお、第2下方折返し部分36と第1上方折返し部分38には、連絡配管25a〜25jのいずれも接続されておらず、第2下方折返し部分36内に流入した冷媒は、ノズルが設けられた上昇流れ形成部材81を介して折返しヘッダ24内を上昇し、第1上方折返し部分38から流出するか、第1上方折返し部分38内に流入した冷媒は、ノズルが設けられた上昇流れ形成部材81を介して折返しヘッダ24内を下降し、第2下方折返し部分36から流出するように流れる。
【0065】
連絡部25の連絡配管25a〜25jは、それぞれ、第1下方折返し部分35の内部において複数のバッフル80によって上下方向に仕切られている複数の空間の1つと、第2上方折返し部分39の内部において複数のバッフル80によって上下方向に仕切られている複数の空間の1つと、を一対一に上下に接続する。なお、本実施形態では、連絡部25の連絡配管25aは、折返しヘッダ24の内部空間のうち、第2上方折返し部分39の最も上方の空間と、第1下方折返し部分35の最も下方の空間と、を接続している。また、連絡部25の連絡配管25bは、折返しヘッダ24の内部空間のうち、第2上方折返し部分39の上から2番目の空間と、第1下方折返し部分35の下から2番目の空間と、を接続している。このようにして、連絡部25の連絡配管25a〜25jは、連絡距離が遠い順に接続している。
【0066】
以上の接続状態において、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合には、熱交換部21の風下側熱交換部20bの下方部分を介して第1下方折返し部分35に流入した冷媒は連絡部25の連絡配管25a〜25jを介して第2上方折返し部分39に送られる。また、熱交換部21から第2下方折返し部分36に流入した冷媒は連絡部25を介することなく折返しヘッダ24内の空間を介して第1上方折返し部分38に送られる。ここで、第2上方折返し部分39や第1上方折返し部分38に送られた冷媒は、熱交換部21の風下側熱交換部20bの上方部分に送られる。
【0067】
ここで、第1下方折返し部分35に接続された扁平多穴管21bの本数よりも、第2上方折返し部分39に接続された扁平多穴管21bの本数の方が多くなるように構成されている。また、第2下方折返し部分36に接続された扁平多穴管21bの本数よりも、第1上方折返し部分38に接続された扁平多穴管21bの本数の方が多くなるように構成されている。
【0068】
なお、熱交換部21の風下側熱交換部20bの下方部分を介して第1下方折返し部分35に流入する冷媒は、第1下方折返し部分35の内部においてバッフル80によって上下に仕切られている各空間を分流状態(風下側熱交換部20bの下方部分で上下に並んだ複数の扁平多穴管21bに分けられている分流状態)を維持したまま流れる。このようにして第1下方折返し部分35の内部の各空間を流れる冷媒は、分流状態を維持したままで連絡部25の連絡配管25a〜25jをそれぞれ流れて、第2上方折返し部分39の内部においてバッフル80によって上下に仕切られている各空間を分流状態(連絡部25の連絡配管25a〜25jに分けられている分流状態)を維持したままで流れる。
【0069】
(5)連絡部25の連絡配管25a〜25jの結束部9による結束
図6に点線で概略配置を示すように、連絡部25の連絡配管25a〜25jは、複数の結束部9によって結束された状態でロウ付け固定されている。
【0070】
図7〜
図10において、結束部9によって結束されている箇所の一例の外観斜視図を示す。ここで、
図7は正面図であり、
図8は折返しヘッダ24側から見た外観斜視図であり、
図9は正面下方から見た外観斜視図であり、
図10は背面下方から見た外観斜視図である。
【0071】
結束部9は、バンド部材40と、挟持具50によって構成されている。
【0072】
バンド部材40は、平面図である
図11に示すように、本体部41と、バンド部43と、を有する、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の部材である。本体部41は、内側において板厚方向に貫通した係止孔42を有している。バンド部43は、本体部41の一部から伸び出しており、係止孔42に挿入可能なように係止孔42の幅よりも細く形成されている。このバンド部43は、人間の手で折り曲げ可能であって、一度な係止孔42に挿入されて折り曲げられた場合には緩みにくい程度の剛性を有している。また、バンド部43は、一重巻きするだけで十分に結束固定できるように、剛性が調節されている。
【0073】
挟持具50は、側面図である
図12に示すように、と、を有する、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の部材である。第1壁面部51と、第2壁面部52と、第1湾曲部53と、第2湾曲部54を有している。本実施形態では挟持具50として、円筒形状の配管である連絡配管25a〜25jを第1壁面部51側と第2壁面部52側とに2列に収容できるものを例示している。第1壁面部51と第2壁面部52とは、互いに対面するように広がる面状部分であり、内部に収容される連絡配管25a〜25jを径方向外側から板厚方向に挟持することができる。また、第1湾曲部53は、その内面が、第1壁面部51の一端側に収容される連絡配管25a〜25jの外周面に沿いやすいように湾曲して構成されている。第2湾曲部54も同様に、その内面が、第2壁面部52の一端側に収容される連絡配管25a〜25jの外周面に沿いやすいように湾曲して構成されている。第1湾曲部53と第2湾曲部54とはなだらかな曲面を介して連続している。第1壁面部51の第1曲面部53側とは反対側の端部中央付近には、バンド部材40のバンド部43を通過させるための第1切り込み51aが形成されている。この第1切り込み51aの幅は、バンド部材40のバンド部43の幅よりも大きく、バンド部材40の本体部41の幅よりも小さく構成されている。第2壁面部52の第2曲面部54側とは反対側の端部中央付近においても、同様に、バンド部材40のバンド部43を通過させるための第2切り込み52aが形成されている。この第2切り込み52aの幅についても、バンド部材40のバンド部43の幅よりも大きく、バンド部材40の本体部41の幅よりも小さく構成されている。第1切り込み51aと第2切り込み52aの切り込み深さは、連絡配管25a〜25jの外径よりも短い。
【0074】
(6)ロウ付け
連絡部25の各連絡配管25a〜25jの外周表面には、クラッド材が被覆された皮膜が形成されている。当該クラッド材は、連絡配管25a〜25jの外周表面を孔食から保護することが保護することが可能な犠牲材であり、特に限定されないが、例えば、亜鉛を僅かに(例えば1%以下)含むアルミニウム7072等の合金を用いることができる。また、このクラッド材の融点は、連絡部25の各連絡配管25a〜25jのクラッド材以外の部分の融点よりも低く、ロウ材としても機能することができる。
【0075】
また、結束部9の挟持具50の表面においても、各連絡配管25a〜25jの外側表面と同様のクラッド材が被覆された皮膜が形成されている。なお、結束部9のバンド部材40にはこのようなクラッド材による被覆はなされていない。
【0076】
このように、外側表面がクラッド材で被覆された連絡配管25a〜25jは、互いが密着するように(円筒形状の外周面同士が互い密着するように)結束部9によって結束された状態で、炉中ロウ付けされる。
【0077】
具体的には、
図13に記載のフローチャートに従った手順で、連絡配管25a〜25jと結束部9とは一体化固定される。
【0078】
ステップS10では、クラッド材で被覆された連絡配管25a〜25jを、径方向外側から覆うようにして、結束部9の挟持具50によって挟持させる。
【0079】
ステップS20では、連絡配管25a〜25jを挟持している挟持具50をさらに径方向外側からバンド部材40によって結束する。ここで、バンド部材40は、本体部41を第2壁面部52の外側に位置させつつ、バンド部43を挟持具50の第1切り込み51aおよび第2切り込み52aを通過させながら周回させる。バンド部43の本体部41側とは反対側端部は、係止孔42に通過させた後、折り返すことにより、連絡配管25a〜25jおよび挟持具50を締め付けて位置決めさせる。
【0080】
なお、ここで、挟持具50のうち第1曲面部53や第2曲面部54とは反対側の部分は開放されている。そして、挟持具50には、第1切り込み51aおよび第2切り込み52aが設けられていることで、バンド部43が挟持具50の開放部分に位置している連絡配管25a〜25jの外周曲面に接して沿うことが可能になっている。
【0081】
ステップS30では、複数の連絡配管25a〜25jと、挟持具50と、バンド部材40とが一体となった状態で炉に入れられる。
【0082】
ステップS40では、炉の温度が連絡配管25a〜25jや挟持具50のクラッド材の融点よりも高い温度であってクラッド材以外の部分の融点以下の温度まで高められることで、クラッド材を融解させてロウ材として機能させる。これにより、連絡配管25a〜25jの表面に位置していたクラッド材の一部は、
図14の断面図(
図7のX−X断面の図)に示すように、連絡配管25a〜25jの外周曲面同士の接触部分に移動してフィレット99を形成し、連絡配管25a〜25j同士をロウ付け固定させる。また、連絡配管25a〜25jの表面に位置していたクラッド材の一部は、挟持具50の内側面と複数の連絡配管25a〜25jとの接触部分にも移動してフィレット99を形成し、挟持具50と連絡配管25a〜25jとをロウ付け固定させる。また、バンド部材40のバンド部43は、複数の連絡配管25a〜25jの外表面と接触している部分において、互いにロウ付け固定される。
【0083】
以上のようにして、複数の連絡配管25a〜25jと結束部9とは互いにロウ付け固定される。
【0084】
(7)特徴
本実施形態では、折返しヘッダ24に対して複数の連絡配管25a〜25jが接続されている。ここで、仮に、各連絡配管25a〜25j同士の間で結露水や雨水等の水が保持されないように各連絡配管25a〜25jの間隔を広くあけて配置する場合には、設置に要するスペースが広く必要になってしまう。この問題は、折返しヘッダ24内で仕切られている空間が多く存在し、連絡配管25a〜25jの本数が多くなればなるほど顕在化する。
【0085】
これに対して、本実施形態の空気調和装置1では、複数の連絡配管25a〜25jは、互いに密着して配置されている。これにより、設置に要するスペースの増大を抑制させることが可能になっている。特に、本実施形態では、3本以上の連絡配管を互いに密着固定させているため、当該設置スペースの狭小化効果が顕著である。
【0086】
しかも、各連絡配管25a〜25jの外周曲面同士は、互いにロウ付け固定されているため、相対的な移動が規定されている。したがって、互いにロウ付けされることなく各連絡配管25a〜25jを単に縛っただけの場合と比べて、各連絡配管25a〜25jの相対的な移動を規制することで外周曲面が互いに擦れ合うことを避けることができており、擦れ合いによって腐食が促進してしまうことも回避することが可能になっている。
【0087】
また、
図14に示すように、各連絡配管25a〜25jの外周曲面同士の間にはロウ材から構成されるフィレット99が残存しているため、曲面同士が近接している場合においても、各連絡配管25a〜25j同士の間において水が保持されにくい。これにより、電食を抑制させることが可能になる。なお、各連絡配管25a〜25j同士の間において水が保持されにくいことから、水はけ性を向上させることも可能になっている。
【0088】
なお、本実施形態では、特に、上述の配管の密着固定を、連絡部25の複数の連絡配管25a〜25jにおいて実施している。この連絡配管25a〜25jは、いずれも、上下方向に伸びる折返しヘッダ24の下方から伸び出して、同じ折返しヘッダ24の上方に戻るように設けられている。したがって、各連絡配管25a〜25jが通過しようとする位置が特に近接している。本実施形態では、このように、互いに遠い位置を通過する配管同士ではなく、互いに近接した位置を通過する配管同士をロウ付けにより一体化させることで、互いの擦れを防止しつつ水が保持されにくくする効果をよりいっそう高めることが可能になっている。
【0089】
また、各連絡配管25a〜25jの間に形成されたフィレット99は、犠牲材として機能するため、仮に電気的腐食が生じたとしても、複数の連絡配管25a〜25jの母材(表面のクラッド材以外の部分)よりも当該フィレット99の部分が優先して溶け出すことになる。したがって、連絡配管25a〜25jの寿命を長くすることが可能になっている。
【0090】
なお、本実施形態の連絡配管25a〜25jは、結束部9によって束ねられて互いに密着した状態で炉に入れられるため、当該密着部分に対してロウ材として機能するクラッド材を導きやすくなり、固定の信頼性を高めることができる。
【0091】
(8)変形例
(8−1)変形例A
上記実施形態では、複数の連絡配管25a〜25jが結束部9によって結束された状態で互いにロウ付け固定されている場合を例に挙げて説明した。
【0092】
しかし、ロウ付け対象となる複数の円筒配管が互いにロウ付け固定されていればよく、最終的な固定物として結束部9が一体となっている必要はない。例えば、ロウ付け作業後に取り外すことが可能な工具を用いて複数の円筒配管を互いに密着させた状態で炉中ロウ付けを行い、複数の円筒配管が互いにロウ付け固定された後で当該工具を取り外すようにしてもよい。
【0093】
また、ロウ付け対象となる複数の円筒配管としては、特に限定されるものではなく、上記実施形態の複数の連絡配管25a〜25j以外の空気調和装置1が有する任意の複数の円筒配管を互いにロウ付けするようにしてもよい。
【0094】
(8−2)変形例B
上記実施形態では、複数の連絡配管25a〜25jの表面や挟持具50の表面には、ロウ材として機能するクラッド材が設けられている場合を例に挙げて説明した。
【0095】
しかし、ロウ付け対象となる複数の円筒配管としては、このようにロウ材が表面に設けられているものに限られず、ロウ付け対象となる複数の円筒配管以外の任意の対象からロウ材を得るようにしてもよい。