特許第6020650号(P6020650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020650
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】移動局、通信方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/06 20090101AFI20161020BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20161020BHJP
【FI】
   H04W4/06 150
   H04W92/20
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-97350(P2015-97350)
(22)【出願日】2015年5月12日
(62)【分割の表示】特願2014-29394(P2014-29394)の分割
【原出願日】2009年9月9日
(65)【公開番号】特開2015-164351(P2015-164351A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2015年5月12日
(31)【優先権主張番号】特願2008-281096(P2008-281096)
(32)【優先日】2008年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】神藤 将人
(72)【発明者】
【氏名】林 貞福
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0167041(US,A1)
【文献】 特表2005−524333(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/094389(WO,A1)
【文献】 Ericsson (rapporteur),Summary of the continued discussion on L1 parameter handling in dedicated,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #62 Tdoc R2-082125,3GPP,2008年 5月 5日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基地局と第2の基地局とを有する無線通信システムの移動局であって、
X2インターフェースを介して無線リソースに関するパラメータを含むMBSFNに関する情報を前記第2の基地局から受信する前記第1の基地局から、
前記MBSFNに関する情報に含まれる前記パラメータに基づき送信されるMBMSデータを受信する受信手段を有し、
前記MBSFNに関する情報は、前記MBMSデータの送信前に、前記X2インターフェースを介して前記第1の基地局と接続するために必要とされる設定情報を送信するメッセージに含まれる、
移動局。
【請求項2】
前記無線通信システムの通信方式は、LTEである、
請求項1に記載の移動局。
【請求項3】
前記第2の基地局は、スクランブリングコードと、チャネライゼーションコードと、スロットフォーマットとの中の少なくともいずれか一つの情報を、前記X2インターフェースを介して前記第1の基地局に送信する、
請求項1または2に記載の移動局。
【請求項4】
第1の基地局と第2の基地局とを有する無線通信システムの移動局の通信方法であって、
X2インターフェースを介して無線リソースに関するパラメータを含むMBSFNに関する情報を前記第2の基地局から受信する前記第1の基地局から、
前記MBSFNに関する情報に含まれる前記パラメータに基づき送信されるMBMSデータを受信する、
前記MBSFNに関する情報は、前記MBMSデータの送信前に、前記X2インターフェースを介して前記第1の基地局と接続するために必要とされる設定情報を送信するメッセージに含まれる、
移動局の通信方法。
【請求項5】
第1の基地局と第2の基地局とを有する無線通信システムの移動局の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
X2インターフェースを介して無線リソースに関するパラメータを含むMBSFNに関する情報を前記第2の基地局から受信する前記第1の基地局から、
前記MBSFNに関する情報に含まれる前記パラメータに基づき送信されるMBMSデータを受信し、
前記MBSFNに関する情報は、前記MBMSデータの送信前に、前記X2インターフェースを介して前記第1の基地局と接続するために必要とされる設定情報を送信するメッセージに含まれる、
プログラム。
【請求項6】
無線通信システムにおける第一の基地局であって、
X2インターフェースを介して無線リソースに関するパラメータを含むMBSFNに関する情報を、第二の基地局から受信する手段と、
前記MBSFNに関する情報に含まれる前記パラメータに基いて、移動局にMBMSデータを送信する手段と、を有し、
前記MBSFNに関する情報は、前記MBMSデータの送信前に、前記X2インターフェースを介して前記第一の基地局と接続するために必要とされる設定情報を送信するメッセージに含まれる、基地局。
【請求項7】
前記無線通信システムの通信方式はLTEである、請求項6に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局、通信方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Projects)では、MBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)と呼ばれるサービスが規定されている(非特許文献1〜7)。
【0003】
MBMSとは、複数のUE(User Equipment:移動局)に対して、動画や音楽などのマルチメディアデータ(以下、MBMSデータと称す)を、ブロードキャストまたはマルチキャストで同時に送信するサービスである。
【0004】
また、3GPPでは、MBMSを提供する方式として、MBSFN(Multicast Broadcast Single Frequency Network)と呼ばれる方式が規定されている。
【0005】
MBSFNとは、複数のNodeB(基地局)の各々が形成する複数のセル(Cell)において、同一の周波数を使用して同一の送信タイミングで同一のMBMSデータをUEに送信する方式である。
【0006】
これにより、UEから見ると、複数のセルを1つの大きな通信エリアとみなすことができる。この通信エリアは、MBSFNクラスターと呼ばれており、UEは、MBSFNクラスターの配下では、大きな利得でMBMSデータを受信することが可能となる。
【0007】
なお、MBSFNクラスターを形成する複数のセルでは、周波数の他、スクランブリングコード(Scrambling Code)、チャネライゼーションコード(Channelisation Code)、スロットフォーマット(Slot Format)等も同一のものが使用される。本明細書では、これら周波数、スクランブリングコード、チャネライゼーションコード、スロットフォーマットを総称して無線リソースと称する。これら無線リソースは、詳細には、各セルにおいて、NodeBからUEに対しMBMSデータを無線で送信するために用いる共通物理チャネルであるS−CCPCH(Secondary Common Control Physical Channel)に使用される。
【0008】
図1に、MBSFNを用いてMBMSを提供する、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)の移動通信システムの構成の一例を示す(非特許文献1)。
【0009】
図1に示すように、関連する移動通信システムは、BM−SC(Broadcast Multicast-Service Center)100と、GGSN(Gateway GPRS Support Node、GPRS=General Packet Radio Service)200と、SGSN(Serving GPRS Support Node)300と、RNC(Radio Network Controller:制御局)400と、NodeB(NB)500と、を含む。
【0010】
なお、図1では、RNC400として、3台のRNC400−1〜400−3(#1〜#3)を図示している。
【0011】
また、図示していないが、BM−SC100、GGSN200、およびSGSN300は、CN(CoreNetwork)内に配置され、RNC400およびNodeB500は、後述のRAN(Radio Access Network)450内に配置されている。一般的には、RAN450では、1台のRNC400に複数のNodeB500が接続される形態をとる。
【0012】
BM−SC100は、MBMSデータの送信先となるUE800のユーザを認証する機能、MBMSデータの管理を行う機能、MBMSデータの配信スケジューリングを行う機能などを備えたノードである。これら動作の詳細は、3GPPで規定されており、一般的なことであるので、説明を省略する。
【0013】
GGSN200は、BM−SC100から送られてくるIP(Internet Protocol)パケット(メッセージおよびMBMSデータをIPパケット化したもの)をSGSN300へ転送する機能、SGSN300から送られてくるIPパケットをBM−SC100へ転送する機能などを備えたゲートウェイノードである。これら動作の詳細は、3GPPで規定されており、一般的なことであるので、説明を省略する。
【0014】
SGSN300は、IPパケットのルーティング・転送を行う機能、移動通信に必要なモビリティ管理やセッション管理を行う機能などを備えたノードである。これら動作の詳細は、3GPPで規定されており、一般的なことであるので、説明を省略する。
【0015】
RNC400−1〜400−3は、RAN450を制御する機能を備えたノードである。例えば、RNC400−1〜400−3は、配下のセル600におけるS−CCPCHの無線リソースを決定し、そのS−CCPCHの設定をNodeB500に指示するとともに、配下のセル600におけるMBMSデータの送信タイミングを決定し、その送信タイミングに合わせてMBMSデータを各NodeB500へ送信する。これら動作の詳細は、3GPPで規定されており、一般的なことであるので、説明を省略する。本明細書では、「配下」とは、自ノードに接続されている下位ノードや、その下位ノードが形成するセルやMBSFNクラスター等を指すものとする。
【0016】
このように、RNC400−1〜400−3は、配下のセル600における無線リソースおよび送信タイミングを独自に決定している。
【0017】
そのため、RNC400−1配下のMBSFNクラスター700−1と、RNC400−2配下のMBSFNクラスター700−2と、RNC400−3配下のMBSFNクラスター700−3と、がそれぞれ形成されることになる。
【0018】
NodeB500は、RNC400−1〜400−3からの指示に基づきS−CCPCHに無線リソースを設定する機能、RNC400−1〜400−3から送られてきたMBMSデータを無線データに変換し、セル600内のUE800へS−CCPCHにより送信する機能などを備えたノードである。これら動作の詳細は、3GPPで規定されており、一般的なことであるので、説明を省略する。
【0019】
ここで、図2を参照して、MBSFN使用時のUE800の利得について、MBSFN非使用時の利得と比較して説明する。なお、図2において、(a)は、非特許文献2のTable7に開示された、MBSFN使用時のUE800の周波数利用効率を示し、また、(b)は、非特許文献2のTable8に開示された、MBSFN非使用時のUE800の周波数利用効率を示している。
【0020】
まず、UE800が、Type−3の受信機(Receiver)であり、3つの無線リンクで受信した信号を合成する構成(Receiver capable of equalizing 3RLs、RL=Radio Link)である場合を例に挙げる。この場合、周波数利用効率は、MBSFN使用時には0.602[b/s/Hz]であるのに対して、MBSFN非使用時には0.4736[b/s/Hz]と低くなっている。また、無線リンクが7つの場合には、MBSFN使用時は1.075[b/s/Hz]の周波数利用効率となっており、MBSFN非使用時の0.4736[b/s/Hz]とは大きく異なっている。
【0021】
この結果から、MBSFNの非使用時には、UE800の利得が非常に小さくなってしまうことがわかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】3GPP TS 23.246
【非特許文献2】3GPP TS 25.905
【非特許文献3】3GPP TS 29.061
【非特許文献4】3GPP TS 29.060
【非特許文献5】3GPP TS 25.413
【非特許文献6】3GPP TS 25.402
【非特許文献7】3GPP TS 24.008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、関連する移動通信システムでは、異なるRNCにおいて、配下のセルにおけるS−CCPCHの無線リソースおよびMBMSデータの送信タイミングを統一する手段がないため、RNCの各々が、配下のセルにおける無線リソースおよび送信タイミングを独自に決定している。
【0024】
そのため、MBSFNクラスターは、RNCごとに形成することのみが可能で、RNCをまたいで形成することは不可能であった。すなわち、異なるRNCの配下のセル同士で1つのMBSFNクラスターを形成することは不可能であった。
【0025】
したがって、UEは、異なるRNCに接続されたNodeBのセル境界付近では、MBSFNクラスターの境界に位置することになるため、大きな利得でMBMSデータを受信するというMBSFNの効果が低くなってしまうという課題がある。
【0026】
また、1台のRNCに接続されるNodeBの数が一定と仮定すると、UEの数が多い通信エリアにおいては、多くのNodeBが必要となる。そのため、1台のRNCがカバーする通信エリアが小さくなる。このことは、UE数が多いエリアにおいては、RNCの通信エリアの境界が多くできてしまうことを意味する。
【0027】
したがって、RNCごとにMBSFNクラスターを形成したとしても、UE数の多いエリアにおいては、MBSFNクラスターの境界が多くできてしまうため、MBSFNの効果が低くなってしまうという課題がある。
【0028】
そこで、本発明の目的は、MBSFNクラスターの範囲を広げることで、MBSFNクラスターの境界を少なくし、それにより、上述した課題を解決する移動局、通信方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
例示的な実施形態における、第1の基地局と第2の基地局とを有する無線通信システムの移動局であって、
X2インターフェースを介して無線リソースに関するパラメータを含むMBSFNに関する情報を前記第2の基地局から受信する前記第1の基地局から、
前記MBSFNに関する情報に含まれる前記パラメータに基づき送信されるMBMSデータを受信する受信手段を有し、
前記MBSFNに関する情報は、前記MBMSデータの送信前に、前記X2インターフェースを介して前記第1の基地局と接続するために必要とされる設定情報を送信するメッセージに含まれる、移動局。
【0030】
他の例示的な実施形態における、第1の基地局と第2の基地局とを有する無線通信システムの移動局の通信方法であって、
X2インターフェースを介して無線リソースに関するパラメータを含むMBSFNに関する情報を前記第2の基地局から受信する前記第1の基地局から、
前記MBSFNに関する情報に含まれる前記パラメータに基づき送信されるMBMSデータを受信する、
前記MBSFNに関する情報は、前記MBMSデータの送信前に、前記X2インターフェースを介して前記第1の基地局と接続するために必要とされる設定情報を送信するメッセージに含まれる、移動局の通信方法。
【0031】
例示的な実施形態における、第1の基地局と第2の基地局とを有する無線通信システムの移動局の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
X2インターフェースを介して無線リソースに関するパラメータを含むMBSFNに関する情報を前記第2の基地局から受信する前記第1の基地局から、
前記MBSFNに関する情報に含まれる前記パラメータに基づき送信されるMBMSデータを受信し、
前記MBSFNに関する情報は、前記MBMSデータの送信前に、前記X2インターフェースを介して前記第1の基地局と接続するために必要とされる設定情報を送信するメッセージに含まれる、プログラム。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、制御局または基地局の配下の全てのセルにおいて、同一の周波数を使用して、同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信することができる。
【0033】
したがって、同一の周波数を使用して同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信する複数のセルからなる通信エリアの範囲を、広げることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】関連する移動通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】MBSFN使用時のUEの利得を説明する図である。
図3】本発明の移動通信システムの構成の一例を示す図である。
図4図3に示したBM−SC、GGSN、SGSN、およびRNCの構成の一例を示すブロック図である。
図5図4に示したRNCの記憶部に記憶される第1のデータベースの一例を説明する図である。
図6図4に示したRNCの記憶部に記憶される第2のデータベースの一例を説明する図である。
図7】本発明の移動通信システムにおいて、MBMSのセッション開始時の動作の一例を説明するCプレーンシーケンスチャートである。
図8図7に示したCプレーンメッセージを送受信するために利用するCプレーンプロトコルスタックを説明する図である。
図9図7に示したステップS10において、BM−SCからGGSNに送信されるSession Start Requestメッセージの一例を説明する図である。
図10図7に示したステップS20において、GGSNからSGSNに送信されるMBMS Session Start Requestメッセージの一例を説明する図である。
図11図7に示したステップS30において、SGSNからRNCに送信されるMBMS Session Start Requestメッセージの一例を説明する図である。
図12図4に示したRNCの記憶部に記憶される第1のデータベースの他の例を説明する図である。
図13】本発明の移動通信システムの構成の他の例を示すブロック図である。
図14図13に示したBM−SCおよびNodeBの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0036】
(1)第1の実施形態
(1−1)第1の実施形態の構成
図3に示すように、本実施形態の移動通信システムの全体構成は、図1と比較して、RNC400−1〜400−3間が、Iurインターフェースを経由して接続されている点が異なる。なお、図示していないが、RNC400−2およびRNC400−3も、SGSN300とluインターフェースを経由して接続されている。
【0037】
なお、RNC400−1は第2の制御局の一例であり、RNC400−2、400−3は第1の制御局の一例である。
【0038】
本実施形態では、RNC400−1〜400−3のうちの1つのRNC400(図3では、RNC400−1)が、RNC400−1〜400−3配下のセル600におけるS−CCPCHの無線リソース(周波数、スクランブリングコード、チャネライゼーションコード、スロットフォーマット)の設定値およびMBMSデータの送信タイミングの設定値を決定し、他のRNC400(図3では、RNC400−2、400−3)に指示する。
【0039】
詳細には、RNC400−1は、RNC400−1〜400−3配下のセル600におけるS−CCPCHの無線リソースの設定値およびMBMSデータの送信タイミングの設定値の組み合わせを表す識別子となるMBSFN−Indicatorを決定する。
【0040】
そのため、BM−SC100、GGSN200、SGSN300、およびRNC400−1〜400−3は、図1と比較して、機能が追加されている。そこで、これらの構成について、図4を参照して説明する。
【0041】
図4に示すように、BM−SC100は、制御部101と、通信部102と、を含む。
【0042】
制御部101は、他ノードに送信するメッセージを生成する。例えば、本実施形態では、制御部101は、MBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを生成する。
【0043】
なお、制御部101は、上述の動作以外にも、BM−SC100全体を制御して各種の動作、例えば、図1の説明で述べたユーザ認証、MBMSデータの管理、配信スケジューリング等を行う。
【0044】
通信部102は、他ノードとの間でメッセージおよびMBMSデータを送受信する。例えば、本実施形態では、通信部102は、GGSN200に対し、制御部101にて生成された、MBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを送信する。
【0045】
ここで、制御部101は、MBSFN使用時に、MBSFN Indicatorを決定する役割を担うRNC400−1を知っている。つまり、BM−SC100内部の不図示の記憶部、または、BM−SC100を操作する人間が、その役割を担うRNC400−1を表すリスト(不図示)を持っている。そのため、制御部101は、上記で生成したメッセージの宛先をRNC400−1とする。
【0046】
GGSN200は、制御部201と、通信部202と、を含む。
【0047】
制御部201は、他ノードに送信するメッセージを生成する。例えば、本実施形態では、制御部201は、BM−SC100から通知されたMBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを生成する。
【0048】
なお、制御部201は、上述の動作以外にも、GGSN200全体を制御して各種の動作を行う。
【0049】
通信部202は、他ノードとの間でメッセージおよびMBMSデータを送受信する。例えば、本実施形態では、通信部202は、BM−SC100から、MBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを受信し、また、SGSN300に対し、制御部201にて生成された、MBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを送信する。
【0050】
SGSN300は、制御部301と、通信部302と、を含む。
【0051】
制御部301は、他ノードに送信するメッセージを生成する。例えば、本実施形態では、制御部301は、GGSN200から通知されたMBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを生成する。
【0052】
なお、制御部301は、上述の動作以外にも、SGSN300全体を制御して各種の動作、例えば、図1の説明で述べたルーティング、モビリティ管理、セッション管理等を行う。
【0053】
通信部302は、他ノードとの間でメッセージおよびMBMSデータを送受信する。例えば、本実施形態では、通信部302は、GGSN200から、MBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを受信し、また、RNC400−1に対し、制御部301にて生成された、MBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを送信する。
【0054】
RNC400−1、400−2は、時刻同期部401と、記憶部402と、制御部403と、通信部404と、を含む。なお、RNC400−3は、RNC400−2と構成および動作が同様である。
【0055】
時刻同期部401は、GPS(Global Positioning System)衛星900からUTC(協定世界時:Coordinated Universal Time)の時刻情報を受信し、自身の時刻をUTCと同期させる。なお、GPSによるUTCとの時刻同期の方法は、一般的なことであるので、説明を省略する。
【0056】
このようにして、RNC400−1〜400−3は、UTCと時刻同期をとる。
【0057】
これにより、RNC400−1〜400−3間で時刻同期をとることができる。
【0058】
なお、RNC400−1〜400−3間で時刻同期をとる方法は、上述のGPSによる方法に限らず、3GPPで規定されている以下の方法を利用することができる。
【0059】
・UTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Network、UMTS=Universal Mobile Telecommunications System)における3GPP同期方法(3GPP synchronization in UTRAN)
・NTP(Network Time Protocol)を用いる方法
・IPマルチキャスト配信を用いる方法(Relying on IP multicast distribution)
・IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1588で規定された方法
記憶部402は、第1のデータベースと、第2のデータベースと、を記憶する。
【0060】
第1のデータベースには、自身がMBSFN Indicatorを決定する役割を担うかどうかを表す決定Flagと、その役割を担う場合に、決定したMBSFN Indicatorの通知先となるRNC400のリストと、が含まれる。
【0061】
そのため、制御部403は、自身がMBSFN Indicatorを決定する役割を担うかどうかを知っており、また、その役割を担う場合に、決定したMBSFN Indicatorの通知先となるRNC400も知っている。
【0062】
本実施形態では、RNC400−1がMBSFN Indicatorを決定する役割を担う。そのため、図5に示すように、RNC400−1に記憶される第1のデータベースでは、決定Flagが有効を示す“1”になっており、通知先のRNC400のリストには、同一のMBMSデータの送信対象になっているRNC400−2、400−3が含まれる。
【0063】
なお、図示していないが、RNC400−2、400−3に記憶される第1のデータベースでは、決定Flagが無効を示す“0”になっている。また、通知先のRNC400のリストには、同一のMBMSデータの送信対象になっている他のRNC400(例えば、RNC400−2の場合は、RNC400−1、400−3)が含まれる。
【0064】
図6に示すように、第2のデータベースには、MBSFN−Indicatorと、このMBSFN−Indicatorに対応付けられた、セル600における無線リソースの設定値および送信タイミングの設定値の組み合わせと、が含まれている。
【0065】
制御部403は、決定Flagが有効である場合、MBSFN使用時のMBSFN−Indicatorを決定する。ここで決定されたMBSFN−Indicatorは、後述のように、他のRNC400に指示される。
【0066】
本実施形態では、RNC400−1の決定Flagが有効となる。そのため、RNC400−1の制御部403がMBSFN−Indicatorを決定し、決定されたMBSFN−Indicatorが他のRNC400−2、400−3に指示される。
【0067】
また、制御部403は、他ノードに送信するメッセージおよび指示を生成する。例えば、本実施形態では、制御部403は、図6の第2のデータベースを参照して、RNC400−1で決定されたMBSFN−Indicatorに対応付けられた無線リソースの設定値を選択し、その無線リソースのS−CCPCHへの設定指示を生成する。また、特に、RNC400−1の制御部403は、自身で決定したMBSFN−Indicatorを含むメッセージを生成することも行う。
【0068】
また、制御部403は、非特許文献6に記載されているようなノード同期(Node Synchronisation)手順により、RNC400−1と配下の各NodeB500とのタイミングのずれを知ることが可能である。そのため、制御部403は、配下の各NodeB500に対してどのタイミングでMBMSデータを送信すれば、配下の全てのセル600において、同一の送信タイミングでMBMSデータが送信されるのかがわかる。そこで、制御部403は、図6の第2のデータベースを参照して、RNC400−1で決定されたMBSFN−Indicatorに対応付けられた送信タイミングの設定値を選択し、配下の全てのセル600において、その送信タイミングでMBMSデータが送信されるように、配下の各NodeB500へ送信するMBMSデータのタイミングをスケジューリングする。
【0069】
なお、制御部403は、上述の動作以外にも、自身のRNC400全体を制御して各種の動作を行う。
【0070】
通信部404は、他ノードとの間でメッセージ、MBMSデータ、および指示を送受信する。例えば、本実施形態では、通信部404は、配下の全てのNodeB500に対し、制御部403にて生成された、RNC400−1で決定された無線リソースのS−CCPCHへの設定指示を送信する。また、特に、RNC400−1の通信部404は、SGSN300から、MBSFNの使用要否の情報を含むメッセージを受信し、また、制御部403にて生成された、MBSFN−Indicatorを含むメッセージをRNC400−2、400−3に送信することも行う。
【0071】
このようにして、RNC400−1〜400−3は、配下の全てのNodeB500に対し、RNC400−1で決定された無線リソースのS−CCPCHへの設定指示を送信している。
【0072】
これにより、RNC400−1〜400−3の配下の全てのセル600において、S−CCPCHに同一の無線リソースを使用できるようになる。
【0073】
また、通信部404は、制御部403にてスケジューリングされたタイミングで、配下の各NodeB500に対し、MBMSデータを送信する。
【0074】
このようにして、RNC400−1〜400−3は、配下の全てのセル600におけるMBMSデータの送信タイミングを、RNC400−1で決定された送信タイミングに揃えている。
【0075】
また、RNC400−1〜400−3間は時刻同期がとれている。
【0076】
これにより、RNC400−1〜400−3の配下の全てのセル600において、同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信できるようになる。
【0077】
以上のことから、RNC400−1〜400−3の配下の全てのセル600において、同一の周波数を使用して、同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信できるので、RNC400−1〜400−3をまたいだ、範囲の広いMBSFNクラスター700を形成することが可能となる。
【0078】
(1−2)第1の実施形態の動作
次に、本実施形態の移動通信システムのMBMSの開始時、すなわちセッション開始時の動作について、図7に示すCプレーン(Control Plane)シーケンスチャートに沿って説明する。なお、Cプレーンとは制御プレーンであり、ネットワーク内の制御に使用される信号用のプロトコルを示す。
【0079】
なお、本実施形態では、図7に示したCプレーンメッセージを送受信するために、図8に示したCプレーンプロトコルスタック(C-Plane Protocol Stack)を変更せずに利用する。このプロトコルスタックは、3GPPで規定されているので詳細説明は省略する。
【0080】
図7に示すように、BM−SC100の通信部102は、MBMSのセッション開始時に、ステップS10において、RNC400−1を宛先とするSession Start Requestメッセージを、GGSN200へ送信する。Session Start Requestメッセージの詳細は、非特許文献3に記載されている。
【0081】
本実施形態では、BM−SC100の制御部101は、ステップS10のSession Start Requestメッセージにおいて、図9に示すように、MBSFNの使用要否を表すMBSFN−Flag30というパラメータを新規に追加する。このとき、制御部101は、MBSFNでMBMSを開始したい場合、MBSFN−Flag30を、有効を示す“1”とする。各RNC400−1〜400−3では、このパラメータにおける設定値が、MBSFNの使用要否の判断に使用されることになる。
【0082】
次に、GGSN200の通信部202は、ステップS11において、Session Start Requestメッセージに対する応答メッセージであるSession Start Responseメッセージを、BM−SC100に返す。
【0083】
BM−SC100とGGSN200間で送受信されるSession Start RequestメッセージおよびSession Start Responseメッセージは、図8に示したGmbインターフェース151上でDiameter Protocol150を用いて送信される。なお、Diameter Protocol 150の詳細は、非特許文献3に記載されている。
【0084】
次に、GGSN200の通信部202は、ステップS20において、RNC400−1を宛先とするMBMS Session Start RequestメッセージをSGSN300へ送信する。
【0085】
本実施形態では、GGSN200の制御部201は、ステップS20のMBMS Session Start Requestメッセージにおいて、図10に示すように、上記のSession Start Requestメッセージに含まれていた、MBSFN−Flag30に相当するパラメータを新規に追加する。このパラメータのビット数は、Session Start Requestメッセージに含まれるパラメータのビット数と同じとする。
【0086】
次に、SGSN300の通信部302は、ステップS21において、MBMS Session Start Requestメッセージに対する応答メッセージであるMBMS Session Start Responseメッセージを、GGSN200に返す。
【0087】
GGSN200とSGSN300間で送受信されるMBMS Session Start RequestメッセージおよびMBMS Session Start Responseメッセージは、図8に示したGnインターフェース251上でGTP−C Protocol250を用いて送信される。GTP−C Protocol250の詳細は、非特許文献4に記載されている。
【0088】
次に、SGSN300の通信部302は、ステップS30において、RNC400−1を宛先とするMBMS Session Start Requestメッセージを、RNC400−1へ送信する。MBMS Session Start Requestメッセージの詳細は、非特許文献5に記載されている。
【0089】
本実施形態では、SGSN300の制御部301は、ステップS30のMBMS Session Start Requestメッセージにおいて、図11に示すように、MBSFN Informationと呼ばれるGroupを追加し、その中に新規のパラメータとなるIE(Information Element)として、MBSFN−Flagを含める。
【0090】
次に、RNC400−1の通信部404は、ステップS31において、MBMS Session Start Requestメッセージに対する応答メッセージであるMBMS Session Start Responseメッセージを、SGSN300に返す。
【0091】
SGSN300とRNC400−1間で送受信されるMBMS Session Start RequestメッセージおよびMBMS Session Start Responseメッセージは、図8に示したIu−PSインターフェース351上でRANAP Protocol350を用いて送信される。RANAP Protocol350の詳細は、非特許文献5に記載されている。
【0092】
RNC400−1の制御部403は、MBSFNの使用要否を、ステップS30のMBMS Session Start Requestメッセージに含まれるMBSFN−Flagから知ることができる。
【0093】
MBSFN−Flagが無効を示す“0”となっている場合、RNC400−1の制御部403は、MBSFNを使用しないと判断し、一般的なMBMSの処理を実施する。
【0094】
一方、MBSFN−Flagが有効を示す“1”となっている場合、RNC400−1の制御部403は、MBSFNを使用すると判断する。
【0095】
このとき、RNC400−1の第1のデータベースでは、図5に示すように、決定Flagが有効を示す“1”となっている。
【0096】
そのため、RNC400−1の制御部403は、自身がMBSFN Indicatorを決定する役割を担うと判断し、図6の第2のデータベースのMBSFN Indicatorの中から1つのMBSFN Indicatorを決定し、
決定したMBSFN IndicatorをMBMS Session Start Requestメッセージまたは別のメッセージに含める。
【0097】
そして、RNC400−1の通信部404は、
MBMS Session Start Requestメッセージを、RNC400−2、400−3に転送する。このとき、上記で決定したMBSFN Indicatorを別のメッセージに含める場合は、その別のメッセージも合わせて転送する。
【0098】
RNC400−2、400−3の制御部403は、MBSFNの使用要否を、RNC400−1から転送されたMBMS Session Start Requestメッセージにより知ることができ、また、RNC400−1にて決定されたMBSFN Indicatorを、RNC400−1から転送されたMBMS Session Start Requestメッセージまたは別のメッセージにより知ることができる。
【0099】
その後、RNC400−1〜400−3では、配下のNodeB500との間で、ステップS40において、RANリソースセットアップ(RAN Resource Setup)手順を実行する。
【0100】
RANリソースセットアップ手順において、RNC400−1〜400−3の通信部404は、配下の全てのNodeB500に対し、RNC400−1にて決定されたMBSFN Indicatorに対応付けられた無線リソースの設定値のS−CCPCHへの設定指示を送信する。これを受けて、RNC400−1〜400−3配下の全てのNodeB500は、これら無線リソースをS−CCPCHに設定する。
【0101】
これにより、RNC400−1〜400−3の配下の全てのセル600において、S−CCPCHに同一の無線リソースを使用できるようになる。
【0102】
また、RNC400−1〜400−3の時刻同期部401は、GPS衛星900からUTCの時刻情報を受信し、自身の時刻をUTCと同期させる。
【0103】
これにより、RNC400−1〜400−3間で時刻同期をとることができる。
【0104】
また、RNC400−1−1〜400−3の制御部403は、スケジューリングを行うことで、配下の全てのセル600におけるMBMSデータの送信タイミングを、RNC400−1にて決定されたMBSFN Indicatorに対応付けられた送信タイミングの設定値に揃える。
【0105】
これにより、RNC400−1〜400−3の配下の全てのセル600において、同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信できるようになる。
【0106】
以上のことから、本実施形態では、RNC400−1〜400−3の配下の全てのセル600において、同一の周波数を使用して、同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信できるので、RNC400−1〜400−3をまたいだ、範囲の広いMBSFNクラスター700を形成することが可能となる。
【0107】
したがって、UE800は、RNC400−1の通信エリアと、RNC400−2の通信エリアまたはRNC400−3の通信エリアと、の境界に位置していても、MBSFNの効果を得ることができる。
【0108】
また、UE800は、RNCの違い、NodeBの違い、セルの違いを意識せずに、連続的にMBMSデータを受信し続けることが可能となる。
【0109】
(2)第2の実施形態
(2−1)第2の実施形態の構成
本実施形態の移動通信システムの全体構成は、図3と同様である。
【0110】
また、本実施形態のBM−SC100、GGSN200、SGSN300、およびRNC400−1〜400−3の構成は、図4と同様である。
【0111】
ただし、本実施形態では、RNC400−1〜400−3のうちの1つのRNC400(図3では、RNC400−1)が、MBSFNに使用するMBSFN−Indicatorを決定するに際して、他のRNC400(図3では、RNC400−2、400−3)と交渉する動作を行う。
【0112】
そこで、以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0113】
BM−SC100の制御部101は、MBSFN使用時に、MBSFN Indicatorを交渉する役割を担うRNC400−1を知っている。つまり、BM−SC100内部の不図示の記憶部、または、BM−SC100を操作する人間が、その役割を担うRNC400−1を表すリスト(不図示)を持っている。そのため、制御部101は、Session Start Requestメッセージの宛先をRNC400−1とする。
【0114】
RNC400−1〜400−3の記憶部402には、第1のデータベースとして、自身がMBSFN Indicatorを交渉する役割を担うかどうかを表す交渉Flagと、その役割を担う場合に、交渉先となるRNC400のリストと、を含むデータベースが記憶される。なお、交渉先のRNC400は、同時に、交渉により決定したMBSFN Indicatorの通知先にもなる。
【0115】
そのため、RNC400−1〜400−3の制御部403は、自身がMBSFN Indicatorを交渉する役割を担うかどうかを知っており、また、その役割を担う場合に、交渉先のRNC400も知っている。
【0116】
本実施形態では、RNC400−1がMBSFN Indicatorを交渉する役割を担う。そのため、図12に示すように、RNC400−1に記憶される第1のデータベースでは、交渉Flagが有効を示す“1”になっており、交渉先のRNC400のリストには、同一のMBMSデータの送信対象となっているRNC400−2、400−3が含まれる。
【0117】
なお、図示していないが、RNC400−2、400−3に記憶される第1のデータベースでは、交渉Flagが無効を示す“0”になっている。また、交渉先のRNC400のリストには、同一のMBMSデータの送信対象となっている他のRNC400(例えば、RNC400−2の場合は、RNC400−1、400−3)が含まれる。
【0118】
また、RNC400−1〜400−3の記憶部402には、第1の実施形態と同様に、図6に示したような第2のデータベースも記憶されている。
【0119】
(2−2)第2の実施形態の動作
本実施形態の移動通信システムのMBMSのセッション開始時のCプレーンシーケンスチャートは、図7と同様であるため、説明を省略する。
【0120】
ただし、本実施形態では、ステップS30のMBMS Session Start Requestメッセージに含まれるMBSFN−Flagが有効を示す“1”となっている場合、以下の動作が行われる。
【0121】
本実施形態では、RNC400−1の第1のデータベースは、図12に示すように、交渉Flagが有効を示す“1”となっている。
【0122】
そのため、RNC400−1の制御部403は、自身がMBSFN Indicatorを交渉する役割を担うと判断し、他のRNC400−2、400−3と交渉を行う。
【0123】
交渉に際して、RNC400−1の通信部404は、まず、図6の第2のデータベースに含まれるMBSFN−Indicatorの使用候補を含むメッセージを、RNC400−2、400−3に送信する。
【0124】
これを受けて、RNC400−2、400−3の制御部403は、自身が使用可能なMBSFN−Indicatorを判断し、使用可能なMBSFN−Indicatorを含むメッセージを通信部404からRNC400−1へ送信する。
【0125】
RNC400−1の制御部403は、自身および他のRNC400−2、400−3で使用可能なMBSFN−Indicatorを基に、1つのMBSFN−Indicatorを決定する。このときの基準としては、より多くのRNCが使用可能なMBSFN−Indicatorを決定するなどが考えられるが、特に限定はない。
【0126】
以降の動作は第1の実施形態と同様である。
【0127】
これにより、本実施形態でも、RNC400−1〜400−3をまたいだ、範囲の広いMBSFNクラスター700を形成することが可能となる。
【0128】
(3)第3の実施形態
(3−1)第3の実施形態の構成
本実施形態の移動通信システムは、本発明をevolved HSPA(High Speed Packet Access)のネットワークまたはLTE(Long Term Evolution)のネットワークに適用した場合の例である。
【0129】
これらのネットワークでは、RNCがNodeBに縮退されたFlat Architectureの形態をとることが可能である。
【0130】
図13に示すように、本実施形態の移動通信システムは、BM−SC100と、NodeB500と、を含む。
【0131】
なお、図13では、BM−SC100とNodeB500との間のノード(GGSNおよびSGSN)を省略し、evolved HSPAおよびLTEのどちらのネットワークにも対応可能な構成を図示している。
【0132】
また、図13では、NodeB500として、3台のNodeB500−1〜500−3(#1〜#3)を図示している。
【0133】
また、NodeB500−1が、BM−SC100を含む不図示のCNへと接続されている。なお、図示していないが、NodeB500−2およびNodeB500−3も、CNへと接続されている。また、NodeB500−1〜500−3間が相互に接続されている。NodeB500−1〜500−3間のインターフェースは、例えば、LTEのネットワークの場合は、X2インターフェースとなる。
【0134】
なお、NodeB500−1は第2の基地局の一例であり、NodeB500−2、500−3は第1の基地局の一例である。
【0135】
図14に示すように、BM−SC100の構成は、図4と同様である。
【0136】
また、NodeB500−1、500−2は、時刻同期部501と、記憶部502と、制御部503と、通信部504と、を含む。なお、NodeB500−3は、NodeB500−2と構成および動作が同様である。
【0137】
本実施形態は、第1および第2の実施形態の構成をFlat Architectureに対応する構成に変更したものであり、RNC400に対して適用していた第1または第2の実施形態と同様の方法を、NodeB500に対して適用する。
【0138】
そのため、NodeB500−1は、第1または第2の実施形態と同様に、MBSFNに使用するMBSFN−Indicatorを独自にまたは交渉により決定し、他のNodeB500−2、500−3に指示する。
【0139】
時刻同期部501は、GPS衛星900からUTCの時刻情報を受信し、自身の時刻をUTCと同期させる。
【0140】
このようにして、NodeB500−1〜500−3間で時刻同期をとることができる。
【0141】
なお、NodeB500−1〜500−3間で時刻同期をとる方法は、上述のGPSによる方法に限らず、図4の説明で述べた方法を利用できる。
【0142】
記憶部502は、第1のデータベースと、第2のデータベースと、を記憶する。
【0143】
第1の実施形態の方法を適用する場合、第1のデータベースには、自身がMBSFN Indicatorを決定する役割を担うかどうかを表す決定Flagと、その役割を担う場合に、決定したMBSFN Indicatorの通知先となるNodeB500のリストと、が含まれる。
【0144】
本実施形態では、NodeB500−1がMBSFN Indicatorを決定する
役割を担う。そのため、図5に示したように、NodeB500−1に記憶される第1のデータベースでは、決定Flagが有効を示す“1”になっており、通知先のリストには、同一のMBMSデータの送信対象となっているNodeB500−2、500−3が含まれる。
【0145】
一方、第2の実施形態の方法を適用する場合、第1のデータベースには、自身がMBSFN Indicatorを交渉する役割を担うかどうかを表す交渉Flagと、その役割を担う場合に、交渉先となるNodeB500のリストと、が含まれる。
【0146】
本実施形態では、NodeB500−1がMBSFN Indicatorを交渉する役割を担う。そのため、図12に示したように、NodeB500−1に記憶される第1のデータベースでは、交渉Flagが有効を示す“1”になっており、交渉先のNodeB500のリストには、同一のMBMSデータの送信対象となっているNodeB500−2、500−3が含まれる。
【0147】
第2のデータベースには、図6に示したように、MBSFN−Indicatorと、このMBSFN−Indicatorに対応付けられた、セル600における無線リソースの設定値および送信タイミングの設定値の組み合わせと、が含まれている。
【0148】
制御部503は、決定Flagまたは交渉Flagが有効である場合、MBSFN使用時のMBSFN−Indicatorを、独自で決定するか、または、他のNodeB500と交渉して決定する。ここで決定されたMBSFN−Indicatorは、後述のように、他のNodeB500に指示される。
【0149】
本実施形態では、NodeB500−1の決定Flagまたは交渉Flagが有効となる。そのため、NodeB500−1の制御部503がMBSFN−Indicatorを決定し、決定されたMBSFN−Indicatorが他のNodeB500−2、500−3に指示される。
【0150】
制御部503は、自身のNodeB500全体を制御して各種の動作を行う。例えば、本実施形態では、制御部503は、NodeB500−1にて決定されたMBSFN−Indicatorに対応付けられた無線リソースの設定値をS−CCPCHに設定する。
【0151】
これにより、NodeB500−1〜500−3の配下の全てのセル600において、S−CCPCHに同一の無線リソースを使用できるようになる。
【0152】
また、制御部503は、他ノードに送信するメッセージを生成する。例えば、本実施形態では、NodeB500−1の制御部503は、自身で決定したMBSFN−Indicatorを含むメッセージを生成する。
【0153】
通信部504は、他ノードとの間でメッセージおよびMBMSデータを送受信する。例えば、本実施形態では、通信部504は、NodeB500−1にて決定されたMBSFN−Indicatorに対応付けられた送信タイミングで、MBMSデータを送信する。また、特に、NodeB500−1の通信部504は、制御部503にて生成された、MBSFN−Indicatorを含むメッセージを、他のNodeB500−2、500−3に送信する。
【0154】
また、NodeB500−1〜500−3間は時刻同期がとれている。
【0155】
これにより、NodeB500−1〜500−3の配下の全てのセル600において、同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信できるようになる。
【0156】
以上のことから、NodeB500−1〜500−3の配下の全てのセル600において、同一の周波数を使用して、同一の送信タイミングで同一のMBMSデータを送信できるので、NodeB500−1〜500−3をまたいだ、範囲の広いMBSFNクラスター700を形成することが可能となる。
【0157】
(3−2)第3の実施形態の動作
本実施形態は、RNC400に対して適用していた第1または第2の実施形態と同様の方法を、NodeB500に対して適用したものであり、動作の説明は省略する。
【0158】
よって、本実施形態でも、NodeB500−1〜500−3をまたいだ、範囲の広いMBSFNクラスター700を形成することが可能となる。
【0159】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0160】
例えば、上述した第1〜第3の実施形態では、それぞれのRNC400またはNodeB500間において、MBSFN情報として、無線リソース(周波数、スクランブリングコード、チャネライゼーションコード、スロットフォーマット)、送信タイミングというパラメータを指示していたが、本発明をLTEのネットワークに適用する場合には、これらパラメータの代わりに他のパラメータを指示するか、または他のパラメータを追加で指示する。例えば、下りリンクでOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)を用いる場合、無線リソースを示すものとして、次の3つのパターンのいずれかがある。ただし、これらのパターンは、本発明の本質的部分ではないため、詳細説明は省略する。
【0161】
(パターン1)
・MBMSデータを割り当てるサブキャリア番号とシンボル番号を指示する
(パターン2)
・MBMSデータの割り当て時間および周波数を追加で指示する
(パターン3)
・リソースブロックナンバー(Resource Block Number)を指示する
なお、本発明のRNC400およびNodeB500にて行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能であり、ネットワークを介して外部に提供することも可能である。
【0162】
本出願は、2008年10月31日に出願された日本出願特願2008−281096を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0163】
100 BM−SC
101 制御部
102 通信部
200 GGSN
201 制御部
202 通信部
300 SGSN
301 制御部
302 通信部
400−1〜400−3 RNC
401 時刻同期部
402 記憶部
403 制御部
404 通信部
500、500−1〜500−3 NodeB
501 時刻同期部
502 記憶部
503 制御部
504 通信部
600 セル
700 MBSFNクラスター
800 UE
900 GPS衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14