(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、ガムやチョコレート等の板状の食品を収容する包装容器として、特許文献1や特許文献2に記載のものがある。
これら特許文献に記載の包装容器は、板状食品を立てた状態で、前列よりも後列側が高くなるように段差を設けて2列に重ね、コンパクトに収容したものである。
かかる構成によれば、包装容器内の板状食品の高さが前列より後列側が高くなるため、食品の取り出しが容易になる。また、板状食品を包装容器内に仮着しているので、たとえば前列の板状食品を取り出す時に、後列の板状食品の整列が乱れることが防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示された包装構造(包装容器)では、包装容器から個々の板状食品を取り出して喫食することができるが、取り出した際に個々の板状食品の包装紙を剥離しなければならず、喫食時の包装紙の取り外しが煩わしいという課題がある。
一方、特許文献3には、板状食品を個包装する包装紙に予めミシン目を入れておき、ミシン目入りの包装紙で個包装された板状食品の包装紙の一端側を包装容器内に接着しておくことにより、包装紙の他端側を介して板状食品を把持して板状食品を引き抜くことにより、包装紙のミシン目部分が引きちぎれて板状食品の一端が露出した状態で包装容器から取り出せ、容易に喫食できる包装構造が提案されている。
【0005】
上記ミシン目入りの個包装紙は、板状食品の引き抜き時にミシン目が切れて板状食品を喫食可能に取り出せる点では優れているが、ミシン目の大きさや間隔を板状食品毎に設計しなければ、引き抜き時にミシン目が適切に切れないこともある。そこで、より良好に板状食品を引き抜くことができ、引き抜いた際に板状食品の一端側が露出して引き出せるような包装構造が望まれる。
【0006】
この発明は、係る背景のもとになされたものであり、包装容器から板状食品を取り出した際に、個包装された板状食品の一端の包装が剥がれて板状食品の一端が露出した状態で引き出せ、しかも包装容器内で板状食品の数が減っても、板状食品がばらばらになることのない、より改善された包装構造を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、包装紙により個包装したガム等の板状食品を複数枚整列させた状態で集積して包装容器に収容する包装構造であって、前記板状食品は、前記包装容器から取り出す際の引き抜き方向側が少なくとも個包装紙で覆われており、前記個包装紙で覆われた各板状食品が前記包装容器に収容された状態において、前記包装容器内で複数枚整列されて集積された複数枚の板状食品の前記個包装紙で覆われていない前記各板状食品の反引き抜き方向側を共通に覆う共通の集積用包装紙を有し、かつ前記各板状食品を個包装した前記個包装紙と前記共通の集積用包装紙とは、互いに重なり合う重ね合わせ部を有し、当該重ね合わせ部は、前記個包装紙に所定の力以上の引っ張り力が加わると前記個包装紙が前記共通の集積用包装紙から解離可能な仮接着剤で接着されており、前記個包装紙に引き抜き方向の力が加わった際に、前記共通の集積用包装紙を前記包装容器内に留めておくために、前記共通の集積用包装紙を前記包装容器内に接着するための、前記仮接着剤よりも接着力の強い接着手段、を含むことを特徴とする、包装構造である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、板状食品を包装容器から引き出す際には、個包装紙で覆われた板状食品の引き抜き方向側を把持して、把持した板状食品を所定の引っ張り力で包装容器から引き抜くことにより、把持した部分は個包装紙で覆われた状態で、かつ、板状食品の根元側(一端側)を覆っていた集積用包装紙は包装容器内に残される。よって、板状食品の一端が露出した状態で、板状食品を包装容器から引き出すことができる。これにより、把持して引き出した板状食品は、その根元側を口に入れ易く、喫食し易い状態で取り出すことができる。
【0009】
包装容器内に残った集積用包装紙は、接着手段で包装容器内に固定されているため、包装容器内にそのまま残り、他の残りの板状食品の根元側を包装しているから、包装容器に収容された残りの板状食品は、当初の整列状態のまま包装容器内に収容された状態が維持される。つまり、包装容器から板状食品を引き出し、喫食していくにつれて、包装容器内の板状食品の枚数は減少していくが、集積用包装紙を介して板状食品は包装容器内に固定されているため、その整列状態が乱れたりせず、取り出し易い状態のまま包装容器内に収容されている。
【0010】
以上の通り、この発明では、集積用包装紙が複数枚の板状食品を共通に包装する共通の包装用紙片であり、当該共通の包装用紙片は、包装容器内で安定して収容されているから、板状食品を個々に引き出しても、残った板状食品は包装容器内で整列状態が維持される。また、板状食品を包装容器から、板状食品の一端が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明
に関連する包装構造が適用された包装体1Aの斜視図である。
図1を参照して、包装体1Aは、包装容器2と、この包装容器2に収容された包装対象物としての複数の板状食品3と、これらの板状食品3を個包装する複数の包装紙4Aとを有している。板状食品3としては、例えば、ガム、チョコレート等である。
【0013】
包装紙4Aにより個包装したガム等の板状食品3は、複数枚整列させた状態で集積され、包装容器2に収容されている。なお、
図1は、包装容器2内に整列した複数の板状食品3のうちの一つを取り出した状態を図示している。また、以下では、板状食品3を包装紙4Aにより個包装したものを、食品ユニット30ともいう。この食品ユニット30は、板状食品3と包装紙4Aとを含んでいる。
【0014】
包装容器2は、箱形状をなしており、例えば、紙材により形成されている。包装容器2は、開口20を有する容器形状をなす主体部21と、主体部21の開口20を開閉可能に覆う蓋22と、蓋22と主体部21とを連結する連結部23とを有している。なお、包装容器2は、紙製の他、合成樹脂により形成してもよい。主体部21と、蓋22と、連結部23とは、展開形状の一枚の紙材を折り曲げて形成されてなる。
【0015】
蓋22を開くことにより、包装容器2の開口20を開放できる。包装容器2の開口20を通じて、包装容器2から板状食品3を引き抜くことができる。
包装容器2内において、複数の板状食品3は、互いに直交する2方向X,Y(当該板状食品3の長手方向Zにともに直交する2方向)に並んでいる。また、各板状食品3は、長手方向Zが互いに平行になるように、整列して配置されている。なお、本実施形態では、複数の板状食品3がX方向に列をなして4つ並ぶ場合(Y方向に2列並ぶ)を説明するが、Y方向に3つ以上並ぶ場合や、Y方向には1つだけで、X方向に一列に並ぶ収容の仕方にも適用できる。
【0016】
板状食品3は、当該板状食品3の長手方向Zに関して、引き抜き方向側31と、反引き抜き方向側32とを有している。引き抜き方向側31は、包装容器2内において底板24から遠い側に配置されている。反引き抜き方向側32は、包装容器2内において底板24に近い側に配置されている。
図2は、包装体1Aの部分断面図である。
図1および
図2を参照して、包装紙4Aは、板状食品3の引き抜き方向側31を覆う第1包装紙片41と、板状食品3の反引き抜き方向側32を覆う第2包装紙片42とを有している。
【0017】
第1包装紙片41および第2包装紙片42は、所定の大きさ以上の引っ張り力が加わると解離可能な仮接着剤5で接着された一体の個包装紙となっている。
仮接着剤5で接着された個包装紙4Aによって各板状食品3は個包装されて食品ユニット30となり、その食品ユニット30が包装容器2に収容された状態で、個包装紙4Aの第2包装紙片42を包装容器2内に留めるように、第2包装紙片42が集積紙8で囲まれ、第2包装紙片42と集積紙8とは接着剤6で接着され、さらに集積紙8は接着剤7で包装容器2内に接着されている。つまり、集積紙8および接着剤6、7が接着手段を構成している。
【0018】
接着剤6と接着剤7とは、同じ仕様のものを利用できるし、異なる仕様のものを用いても良い。いずれの場合も、上述の仮接着剤5と比較して、強い接着力を有している。これにより、食品ユニット30を引き出すときに、個包装紙の第2包装紙片42を包装容器2内に留めることができる。
これにより、板状食品3の一端としての反引き抜き方向側32が露出した喫食し易い状態で、板状食品3を包装容器2から引き出すことができる。これとともに、喫食に伴って包装容器2内の板状食品3の数が減少しても、第2包装紙片42を介して板状食品3は包装容器2内に固定されているため、その整列状態が乱れたりせず、取り出し易い状態のまま包装容器2内に収容できる。
【0019】
第1包装紙片41は、板状食品3の長手方向Zに関して、板状食品3を把持できる長さで板状食品3の引き抜き方向側31を覆っている。
第2包装紙片42は、板状食品3の長手方向Zに関して、第1包装紙片41で覆われていない板状食品3の反引き抜き方向側32にある部分を覆っている。
また、第1包装紙片41が板状食品3を覆い、且つ第2包装紙片42が取り除かれた状態では、板状食品3の反引き抜き方向側32が、板状食品3の長手方向Zに関して、口に入れることができる長さで露出されるようになっている。
【0020】
図3は、包装体1Aの製造方法を説明する模式図である。第1包装紙片41および第2包装紙片42は、互いに仮接着剤5で接着されており、これにより一体の個包装紙となっている。仮接着剤5は、所定の大きさ以上の引っ張り力が作用したときに、仮接着剤5で接着された第1包装紙片41および第2包装紙片42の接着部分同士が解離し、第1包装紙片41および第2包装紙片42が互いに分離するようになっている。
【0021】
仮接着された個包装紙を用いて、板状食品3の全体を包む。これにより食品ユニット30が得られる。
次に、複数の食品ユニット30を、集積紙8に並べる。このとき、第2包装紙片42と集積紙8とを接着剤6により固定する。
図4を参照して、次に、集積紙8を介して互いに連結された複数の食品ユニット30を、包装容器2の主体部21に入れる。集積紙8と包装容器2の主体部21とを、接着剤7で固定する。これにより、包装体1Aを得る。
【0022】
所望の板状食品3を包装容器2から引き出す際には、第1包装紙片41で覆われた板状食品3の引き抜き方向側31を把持して、把持した板状食品3を、所定の引っ張り力以上の力で包装容器2から引き抜くようにする。これにより、板状食品3の根元側にある反引き抜き方向側32が露出し、且つ、この根元側を覆っていた第2包装紙片42が包装容器2内に残される。よって、板状食品3を包装容器2から、板状食品3の一端としての反引き抜き方向側32が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。
【0023】
また、包装容器2内に残った第2包装紙片42は、包装容器2内に固定されているため、包装容器2内にそのまま残っている。これとともに、他の食品ユニット30の第2包装紙片42との関係もそのままである。従って、包装容器2に収容された残りの食品ユニット30は、当初の整列状態のまま包装容器2内に収容された状態が維持される。つまり、包装容器2から板状食品3を引き出し、喫食していくにつれて、包装容器2内の板状食品3の枚数は減少していくが、第2包装紙片42を介して食品ユニット30(板状食品3)は包装容器2内に固定されているため、その整列状態が乱れたりせず、取り出し易い状態のまま包装容器2内に収容されている。
【0024】
次に、本発明の
一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、上述
したこの発明に関連する包装構造と異なる点を中心に説明する
。上述
した包装構造と同様
の構成には、上述
した包装構造と同じ符合を付しておく。
図5は、この発明の
一実施形態にかかる包装構造が適用された包装体1Bの製造方法を説明する模式図である。
図6は、包装体1Bの使用状態を説明する模式図である。
【0025】
包装体1Bは、
図1に示
す包装紙4Aに代えて、
図5および
図6に示す包装紙4B
および共通の集積用包装紙52を有している。
包装紙4Bは、上述の第1包装紙片41と同じに構成された個包装紙51
であり、集積用包装紙52は、集積された複数枚の板状食品の個包装紙で覆われていない反引き抜き方向側を共通に覆う共通の集積用包装紙である。個包装紙51は、板状食品3毎に1枚ずつ用いられる。板状食品3の引き抜き方向側31が、少なくとも個包装紙51で覆われている。集積用包装紙52は、複数の板状食品3について一つが用いられ、これらの複数の板状食品3の反引き抜き方向側32を覆っている。本実施形態では、一つの包装容器2内において、2つの集積用包装紙52が用いられている。各集積用包装紙52は、X方向に沿って一列に並ぶ複数の板状食品3を覆っている。
【0026】
また、個包装紙51が、集積用包装紙52に、仮接着剤5により仮接着されている。また、集積用包装紙52は、板状食品3の反引き抜き方向側32を覆う包装
紙として機能するとともに、上述の集積紙8と同様に機能しており、包装容器2に接着手段としての接着剤7により接着されて固定されている。
個包装紙51で覆われた各板状食品3が包装容器2に収容された状態において、包装容器2内で整列されて集積された複数枚の板状食品3の反引き抜き方向側32は、共通の集積用包装紙52で覆われている。これとともに、各板状食品3を個包装した個包装紙51と共通の集積用包装紙52とは、個包装紙に所定の力以上の引っ張り力が加わると解離可能な仮接着剤5で接着されている。
【0027】
図5を参照して、包装体1Bは、例えば、下記のようにして製造することができる。
先ず、個包装紙51を用いて、板状食品3の引き抜き方向側31を包む。このとき、板状食品3の反引き抜き方向側32は、露出させる。次に、個包装紙51により一部が包装された複数の板状食品3を、整列させる。これらの整列した板状食品3の反引き抜き方向側32を集積用包装紙52で覆う。そして、個包装紙51と集積用包装紙52とを、仮接着剤5で固定する。これにより板状の食品ユニット30Bが得られる。
【0028】
次に、複数の食品ユニット30Bを、整列状態とし、包装容器2の主体部21に入れる。集積用包装紙52と包装容器2の主体部21とを、接着剤7で固定する。これにより、包装体1Bを得る。
図6を参照して、所望の板状食品3を包装容器2から引き出す際には、個包装紙51で覆われた板状食品3の引き抜き方向側31を把持して、把持した板状食品3を、所定の引っ張り力以上の力で包装容器2から引き抜くようにする。これにより、板状食品3の根元側(一端側)が露出し、且つ、この根元側を覆っていた集積用包装紙52が包装容器2内に残される。よって、板状食品3を包装容器2から、板状食品3の一端が露出された喫食し易い状態で取り出すことができる。
【0029】
また、集積用包装紙52が複数枚の板状食品3を共通に包装する共通の包装用紙片であり、当該共通の包装用紙片は、包装容器2内で安定して収容されているから、この場合も、板状食品3を個々に引き出しても、残った板状食品3は包装容器2内で整列状態が維持される。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。