(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理制御手段は、前記傾きの前記変化の前に前記光学センサデバイスが前記予め定められた基準軸に対して相対的に有していた前記傾きを、前記傾きの前記変化の終了時に再現するよう前記光学センサデバイスを制御する、請求項1又は2に記載の装置。
前記処理制御手段と関連付けられた機械的結合手段が、前記処理制御手段の制御の下、前記光学センサデバイスを堅固に、または回転可能に、前記装置の前記本体に機械的に結合する、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
前記処理制御手段は、前記傾きの前記変化の前に前記光学センサデバイスが有していた前記傾きを、前記傾きの前記変化の終了時に再現するよう前記モータ手段を制御する、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
前記処理制御手段は、前記予め定められた基準軸の方向を示すグラフィック要素を、前記光学センサデバイスにより撮像され得る前記1以上の画像を少なくとも部分的に表示する表示デバイスに表示させる、請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
動画像シーケンスの撮像を指示する命令の取得に続き一定の間隔を置いて連続して、前記装置の前記本体の前記角度オフセットの前記検出が行われ、かつ、前記処理制御手段による前記光学センサデバイスの前記傾きの前記変化が引き起こされる、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、一般的なレフレックスカメラの構造を示す図である。一般的なレフレックスカメラは、ユーザが、撮影される写真が撮影後にどのように見えるかを事前に高忠実度で見ることを可能とする光学系を搭載している。レンズ系2により、入射光線9は、ミラー系3、3'および他の光学素子を介してファインダーへと導かれる。ファインダーにおいてユーザは、光学センサデバイス1を用いて装置により撮像され得る、フレーミングされているシーンのプレビューを見ることが出来る。光学センサデバイス1は以下において、撮像デバイスとも呼ばれる。レンズ系2により生じる物理的な暗室効果(dark−room effect)のため画像は光学センサデバイスに上下逆さまの状態で到達するので、一般的に、ファインダーに表示されるシーンは反転させられる。よって、例えば、
図3の(c)および
図5の(c)に示される実際のシーン内の被写体はそれぞれ、撮像デバイス1において、
図3の(a)および
図5の(a)に示されるように上下逆さまの状態で到達する。通常、電子光学センサが用いられた場合、その光学センサデバイスの回路が、画像の反転を行う。
【0018】
しかし、ファインダーで画像を反転させるためのシステム、フレーミングされているシーンと同程度の忠実度でプレビューを表示するためのLCDの代替となる光学式ファインダー、そしてさらにはフレーミングされているシーンを表示するためのいずれのデバイスも、本願発明の実施においては全く必要とされない。なぜなら、画像が個別に撮像されようと、動画シーケンスの一部として撮像されようと、本願発明はあらゆる撮像装置に対し等しく適用可能であるからである。
【0019】
通常カメラ100には、例えば複数のバッテリからなるセットにより構成される電源8と、装置の動作のために必要となる電子制御/処理回路を備えるプリント基板4と、装置の動作を制御するために有用な多数の制御要素とが搭載される。典型的には記憶デバイスも含まれる。記憶デバイスは、撮像された画像および/または動画を格納するための異なる形態(例えば、半導体メモリ、磁気または光ディスク)で実装され、異なる容量(メガバイトからギガバイト、またはさらに大きい容量)を有する不揮発性の記憶デバイスであり得る。いずれの場合であっても、カメラは、装置の通常の動作の間、取り外すことが出来ず、装置の本体を形成すべく堅固に結合された多数のコンポーネント(例えば、キーパッド、スイッチ、筐体、電子回路、光学式ファインダー、フレームディスプレイ、集積回路およびその他の電子コンポーネントを含んだプリント基板、集束光学系、並びに絞りなど)を備える。これらのコンポーネントには、撮像プロセスを有効化するための要素6(プッシュボタン、スイッチ、タッチスクリーン画面など)、および、動作モードを変更するために用いられる、例えば、撮像済みの画像を閲覧するモードから新たな画像を撮像するためのモードに切り替えるために用いられる、または、個別の画像を撮像するモードから動画像のシーケンスを撮影するモードに切り替えるために用いられる、2以上の位置を含むスイッチ7が含まれる。
【0020】
典型的には画像は、
図1に示されるようなタイプのカメラによって以下のように撮像される。現在フレーミングされているシーンを撮像すべきであるとユーザが決定すると、ユーザは、例えば撮像有効化ボタン6を押すことにより、撮像セットアップコマンドを入力する。現在有効な設定に応じ、カメラ100は、例えば露出時間を調節する、絞りを開く、焦点を合わす、必要ならばフラッシュデバイスを設定するなど当該シーンの撮像に備える1以上の予備動作を実行する。場合によっては、特定の光による、および/または音声による通知手段によって、ユーザは、撮像セットアップ段階が終了したことを知らされる。
【0021】
続いて、例えばユーザが有効化ボタン6を押し続けた場合、カメラ100はフレーミングされた画像を実際に撮像する。レフレックス装置の場合、レンズ2から入ってくる画像を表示するのに用いられたミラー3が持ち上げられ、シャッター(
図1には図示せず)が設けられている場合には、アイドル状態にある光学センサデバイス1を覆う位置からシャッターが動かされ、設定されたばかりの絞りの開きに対して適切であると見なされる露出時間の間、入射光線9が光学センサデバイス1に当たることが出来る状態になる。
【0022】
この説明は、撮影されることになる写真が撮影後にどのように見えるかをユーザが事前に見ることを可能とするミラー系を含まない、レフレックスカメラ以外のカメラにも当てはまる。レフレックスカメラの当該特徴を可能とする光学系の代わりに、レフレックスシステムで保証される程、高忠実度ではないが、ユーザが、撮像される画像をLCD上で、また場合によっては光学式ファインダー上で見ることを可能とする代替的なシステムがある。しかしいずれの場合であっても、要素6を作動することにより有効化させられる撮像セットアップ段階の終了時には、レンズ系2に入射する光線9は光学センサデバイス1に到達でき、画像の撮像が可能となる。
【0023】
画像シーケンス、つまり動画または映像を撮像する際には同様のメカニズムが採用される。この場合、異なる点は主に、要素6の作動に応じて、および/または他の制御デバイスまたは調節デバイス、例えば個々の画像の撮像を有効化するために必要とされる位置とは異なる位置にセットされるスイッチ要素7の作動によって、必要な長さの期間だけ光学センサデバイスに光線が当たるという点である。
【0024】
図2〜
図6を参照し、以下に、本願発明に係る撮像装置を説明する。
【0025】
図6の撮像デバイス600は、予め定められた基準軸に対する光学センサデバイス1の傾きを計測可能な傾きセンサ60を備える。MEMS(Micro Electro−Mechanical Systems)技術を利用する、本願発明において傾きセンサとして用いられ得る特性(寸法、精度、感度、電圧など)を有する集積回路の形態で製造される傾斜計デバイスが市販されている。よって傾きセンサ60は、装置内に収容され得る集積されたコンパクトなユニットとして設計された傾斜計で構成されていてよい。典型的には光学センサデバイス1は長方形の形状を有するので、傾きセンサは例えば、予め定められた軸に対する光学センサデバイス1の傾きを検出できるようにセンサデバイスの縁のうち1つに機械的に結合されてよい。この場合、予め定められた軸は、当該結合される辺に対し平行である。
【0026】
しかしこのことは、検出の間、光学センサデバイスの1辺が撮像装置600の本体の1面に対して平行であるように光学センサデバイスが搭載された場合において、厳密には必須ではない。当該1辺を設定し、よって、当該1面と平行になる軸が設定された後、傾きセンサは、所望される傾きを計測すべく、当該1面に対し固定される。事実、装置の本体のこの表面の傾きを検出することは、撮像デバイス1の傾きを検出するのと同等である。
【0027】
例えば、
図1に示される撮像装置100の場合、光学センサデバイス1は長方形の形状を有し、平面内で延在しており、光線9が伝搬する軸(つまり、レンズ系2の光軸)の長さの大部分に沿って同じく実質的に長方形の断面を有する装置100の本体により全体が囲まれている。本体の縁の少なくとも一部は、本体の中心に配置された光学センサデバイス1の縁に対して少なくとも部分的に平行であるので、この場合、光学センサデバイス1の傾きを検出するには、撮像デバイス1の1辺に対して平行な縁の一部分に対して傾きセンサ60を結合すればよい。
【0028】
予め定められた基準軸に対するセンサデバイスの傾きを計測するべく、センサデバイスに対し傾きセンサを機械的に結合する方法は多く存在する。それらの方法は全て同等であり、本願発明の目的に関して得られる結果に影響を与えることはない。
【0029】
場合によっては、例えばスケール変化、アナログ−デジタル変換、インピーダンス適合、増幅、信号のダイナミクス変更、電流−電圧変換動作などを実行することにより、計測された傾きデータを必要な場合にユニット62の特性へと適切に適合させる信号適合調整ユニット61を介して、傾きセンサは、装置600の動作を制御する処理制御ユニット62へ計測データを送信する。処理制御ユニット62は以下において、管理ユニットとも呼ぶ。適合調整ユニット61は存在しないか、或いは全体が傾きセンサ60またはユニット62に統合されてもよい。または、適合調整ユニット61の機能は、何らかのやり方でセンサ60およびユニット62に分散されてもよい。
【0030】
図6は、撮像プロセスが有効化された場合に光学センサデバイス1により現在撮像され得るフレーミングされた画像上に重ねられる、および/または当該フレーミングされた画像の横に、または当該フレーミングされた画像と組み合わせられるグラフィック要素を表示できる、例えばLCDである表示デバイス67を示す。そのようなグラフィック要素の可視化は、ユーザによる設定、および、
図6に示されるような、ユニット62と相互作用するデバイス、およびその他のデバイスによって検出され得る撮像装置の動作状況に基づいて、ユニット62の制御下で行われる。
【0031】
撮像デバイス1はモータデバイス64にも機械的に結合されている。モータデバイス64は、例えば装置600のユーザによって引き起こされる所望されない回転運動など外的要因による撮像デバイス1の回転の影響で起こる、傾きセンサ60により計測される傾きを減少または増加させ得る回転運動を撮像デバイス1に対して行わせることが出来る。このモータデバイスは、例えば、光学センサデバイス1と、光学センサデバイス1が堅固に固定された支持部材とを、当然ながら予め定められた角度精度レベルで、予め定められた角度だけ時計回りまたは反時計回りに回転させることの出来る非常に小さなサイズの低電力消費かつ高精度のモータにより構成され得る。必要であれば、複数のモータデバイスが用いられる。この場合、1つのモータは一方向への回転に用いられ、他のモータは他の方向への回転に用いられる。および/または、1つのモータは大きな回転に用いられ、より正確な他のモータは、より小さな回転に用いられる。これらのいずれの場合であっても、本願発明に対して影響は与えない。
【0032】
光学センサデバイス1と、光学センサデバイス1が堅固に固定された支持部材とは、撮像装置に対して固定された回転軸に対して相対的に回転できる。例えば、回転軸は、光線9の方向によって定まるレンズ系2の光軸と一致し得る、または平行となり得る。よって光学センサデバイスは、回転軸に対して実質的に直交するよう位置付けられる。
【0033】
モータデバイス64は、処理制御ユニット62により計算された所望される角回転を撮像デバイス1に行わせることができるデバイスにより構成され得る。典型的には、モータデバイス64は、サーボモータ、つまり、本願発明において適切な幅および分解能で、自身の軸、よって当該自身の軸に結合された物体を予め定められた角度だけ、時計回りにおよび/または反時計回りに制御された回転を行わせることが出来る回転モータにより構成され得る。モータデバイス64は、直流または交流モータ、コンパレータ、並びに、回転方向、回転速度、到達する最終位置に関するモータの動作の制御、および所望される回転をモータシャフトに行わせるのに有用な他のユニットを備える。これらのサーボモータは回転軸の現在の角度位置を検出する手段と係合させられ、これらのデバイスを非常に正確なものとするが、同時に比較的複雑でコストの高いものにもするフィードバックメカニズムを介して、所望される位置に実際に到達したことを確認することが出来る。
【0034】
代替的に、いわゆるステップモータ、つまり、不連続な動きをするモータデバイスを用いてもよい。命令を受けるとステップモータは、受信するデジタル制御信号に応じて、それぞれが一定の値に対応する複数の微小な角運動を行うことが可能である。このタイプのモータデバイスは、より単純かつよりコンパクトな構造を可能とするという利点がある。加えて、ステップモータは、電力が供給される限り、所望される位置にモータシャフトを保持するトルクを出力することが出来る。近年の製造技術の進歩のおかげで、このタイプのモータは、多くの適用例において十分なレベルである精度および分解能を有するようになっている。一般的には、このタイプのモータには、到達した角度位置を自動的に確認し補正するための内部メカニズムが搭載されていないので、そのような確認を行い、モータシャフトの位置に誤りがあった際に必要となる補正を行うためには、追加のデバイスを要する。
【0035】
なお、回転は、平角の整数の倍数(360°)未満とされる。よって、複数の時計回りまたは反時計回りの回転により、モータシャフトのあらゆる角度位置に到達することも可能である。さらに、ある幅(a)の例えば反時計回り、またはプラス方向への角回転は、反対方向への60分数(sexagesimal degrees)の(360−a)°の角回転に対応する。実際、これらのデータは、利用されているモータデバイスが自身の動作限界により、ある閾値未満の角運動を行えなく、それでいて、例えば十分に短い時間の間により速い速度で回転出来るようさらに大きな幅を移動させられる場合において有用である。
【0036】
最も単純な場合において、十分な速度、精度、および分解能で本願発明を実施するのに必要な回転をモータデバイス64が実行出来るのであれば、モータデバイス64は自身の回転軸との直接的な関連付けによって光学センサデバイス1に結合されてよい。代替的に、当該結合は、予め定められた割合で、およびモータデバイス64の軸の回転に応じる撮像デバイス1の回転運動の回転幅を増加または減少させられる歯車または他の微小機械素子を用いて間接的に行われる。このように、モータデバイス64による撮像デバイス1の運動の角分解能を増加または減少させられる。混成の機械的結合を実装することも可能である。この場合、結合は直接的または間接的のいずれかであってよく、さらには、(行われる各回転の幅および方向、実現され得る各回転速度、様々な回転の分解能および精度など)瞬間的な要求に応じて有効化され得る異なる角度割合を可能とする可変のトリムを採用し得る。
【0037】
例として、
図9は、光学センサデバイス1をモータデバイス64と、撮像装置の機械本体とに機械的に結合する1つの可能な方法を示す。
図9の(a)は、光学センサデバイス1が(場合によっては、関連付けられた電子制御取得回路と共に)締結されるディスク状の軸受け支え92を概略的に示す。デバイスは、機械本体に、またはモータデバイス64の軸に一体的に結合され得る。特に、
図9の(a)において、軸受け支え92は、機械本体内から突出する2つのピンを用いて機械本体に固定されている2つのジョー90、90'を用いて機械本体に堅固に固定されている。当該ピンは、管理ユニットから命令を受信すると軸受け支え92と係合し、支持部材を機械本体と一体にする。機械的結合はさらに、ギザギザのある、波形、または窪みが設けられた接面を用い、ロックされた位置での結合部分を増やし、密着性を高めるによりさらに向上させられ得る。他方、モータデバイス64の回転軸は、軸受け支え92、よって撮像デバイス1との結合が解除される。この構成において、撮像デバイス1は撮像装置100と一体的に動く。
【0038】
本願発明の目的のために、光学センサデバイス1と撮像装置との結合を解除し、光学センサデバイス1をモータデバイス64の制御の下、回転可能とすることが必要な場合は常に、管理ユニット62(
図9では図示せず)は、デバイス64のモータシャフトの、軸受け支え92の中心の適切な空洞または凹部への挿入を命令する。当該空洞は隠れた円形の表面に位置するので
図9において示されていない。モータシャフトが支持部材92に対して機械的に結合されると、管理ユニット62は、2つのジョー90が軸受け支え92から離れ、撮像デバイスがモータデバイス64の制御の下、回転可能となるよう命令する。当然ながら、光学センサデバイス1が撮像デバイスに対して固定されていなければならない場合は、反対の動作が実行される。この場合、支持部材92が固定されないままとなることを避けるべく、モータシャフトの結合を解除する前に、支持部材92をジョー90、90'に結合する。代替的に、支持部材92をロックできるジョーは1つのみであってもよい。
【0039】
ここで説明される構造はあくまで例示であり、本願発明で必要であるように軸受け支えと光学センサデバイス1とを互いに固定する様々な方法の一例のみが示されていることが明らかである。例えば1つの考え得る変形例において、2つのジョー90が設けられる。それぞれのジョーは、
図9に示されるようにピンの動作に応じて線的に動くのとは異なり、命令に応じて開かれ、閉じられるペンチのアームのような2つのアームにより構成されている。なお単純化のために
図9は、システムが正常に動作するために要する全ての他の部材(例えば、機械的アクチュエータのための位置センサ、電力、信号、および制御接続ケーブルなど)を示してはいない。
【0040】
必要であればユニット61により実行される動作と同様の動作を、管理ユニット62からモータデバイス64へ送信される制御信号、およびモータデバイス64からユニット62へ発せられる同様の制御フィードバック信号に対して実行する追加の信号適合調整ユニット61'を場合によっては用いて、処理制御ユニット62は、回転の絶対角度値および方向を指定する回転命令をモータデバイス64へ送信する。この場合も、ユニット61'によって実行される機能は部分的または全体的に、処理制御ユニット62とモータデバイス64とに分散され得る。代替的に、ユニット62はモータデバイス64のタイプに基づき(直流および交流のいずれの電力が供給されているか、ステップモータかサーボモータか、など)、モータデバイス64の回転に要する制御信号を計算し、それらの制御信号を、例えば、ユニット62から得られる所望される角度位置の値に基づき必要な制御信号を部分的または全体的に生成する信号適合調整ユニット61を用いて、モータデバイス64へ送信する。
【0041】
処理制御ユニット62は撮像有効化要素6からの制御信号を受信できる。撮像有効化要素6の作動によりユニット62に対し、シングル画像モードで画像を撮影する必要がある、または動画ストリームを構成する画像のシーケンスを撮像する必要があることが示される。
【0042】
この要素6は、例えば、リリースプッシュボタンにより構成され得る。リリースプッシュボタンの作動は、このような場合において選択されたモードで画像を撮像するために必要な動作の実行を管理するユニット62によって検出される。ユニット62は一般的に、ユーザ設定と装置の動作の管理を可能とする命令から構成される特別なマイクロプログラムとを格納するためのメモリ、並びに、
図6に示されるものも含めて正常に動作するために必要となる、装置の多数のコンポーネントの補助を受けて当該マイクロプログラムを実行するマイクロプロセッサからなる。
【0043】
以下において、本願発明に係る撮像装置600の動作を説明する。
【0044】
図2は、本願発明に係る撮像装置600の動作の第1モードを概略的に示す。撮像装置600は、作動させられるとレンズ系2を介して光線9が光学センサデバイス1に当たるようにする有効化要素6を搭載する。なお、装置600の動作をよりわかりやすく示すべく、光学センサデバイスの寸法は、実際のものと比較し
図2および
図4において意図的に誇張されている。
【0045】
アイドル状態において、つまり装置の電源が切られている状態、スタンバイ状態、または撮像動作を行っていない何らかの状態において(
図2の(a))、光学センサデバイス1は、撮像装置600の本体に堅固に固定されている。典型的には、装置の外部筐体の少なくとも1面のある部分は、光学センサデバイス1の1つの縁に対して平行である。例えば
図1のカメラ100を参照すると、長方形の形状を有する光学センサデバイス1の水平軸15−15'は、主に平面的である光学センサデバイス1を含む平面に対して平行な断面平面において同じく実質的に長方形の断面を有する筐体の上面および下面の多くの部分に対して平行である。このような空間配置により、ユーザは、撮像プロセスを開始する前に撮像デバイス1のアライメントに関し、即時であり、かつ明確な知覚体験をすることが出来る。同じことが、本願発明に係る撮像装置600において起こり得る。さらに、デバイス1は入射光線9に直交する平面内に存在し、その重心は、レンズ系2の中心にある。この動作状態において、センサデバイス1は一般的に、撮像装置に堅固に固定され、よって、
図2の(a)に示されるように、撮像装置から独立して動くことが出来ない。
【0046】
装置のユーザが、
図2の(b)に示される状態で有効化要素6を作動させるものと仮定する。予め定められた水平基準軸は、光学センサデバイスの水平軸20−20'の方向に対し、ヌルでない角度を有している。最初に、予め定められた基準軸が、ユーザが位置する垂直線に対して垂直な軸に対応するものと仮定し、最も一般的な場合のように、ユーザは、縁にアライメントされた撮像画像を取得したがっているものと仮定する。殆ど何もない空を背景にボートが浮かんでいる一定の範囲の海が装置600が捉えようとしているシーンであるものと想定する。ユーザは通常、
図3の(b2)のような写真ではなく、写真の縁、または写真ファイルの縁に対して被写体が傾いていない
図3の(c)に見えるような撮像画像を所望するであろう。
【0047】
本願発明に係る撮像装置600は、ユーザによる操作を必要とすることなく、このような結果を自動的に得ることを可能とする。処理制御ユニット62は、要素6が作動されたことを検出し、現在有効なモードで撮像を行うべく装置の準備を行うためのプログラムされた動作(絞りの開き、露出時間、焦点、安定化システムなどの調節)の実行を管理する。セットアップ段階の間、処理制御ユニット62は、角度オフセットに関する光学センサデバイス1の、軸20−20'の予め定められた基準軸に対する傾きに対応する傾きの値を傾きセンサ60から取得する。この場合、光学センサデバイス1の傾きは、水平軸によって表される予め定められた基準軸に対する軸20−20'の傾きとなる。傾きは例えば、光学センサデバイス1の、光線9の方向によって定まる回転軸に沿った回転に起因する、軸20−20'を水平基準軸に一致する方向から
図2の(b)で示される方向に動かすために必要とされる、軸20−20'が横切る頂点と反対側の最も小さな凸角の値として表される。よって、回転方向を考慮に入れる必要があるので、当該傾きは符号付きの角度である。ここで、正方向の角度は、当該角度を含む平面の上部から見たときに反時計回りに移動する角度のことを指す。
図2の(b)に示す状態の場合において、光学センサデバイス1の対称な水平軸20−20'が移動する角度aは正方向の角度である。センサの傾きの絶対値および符号の両方が分かると、処理制御ユニット62は、その傾きがユーザにより所望される予め定められた傾きと一致するか、或いは無視出来る程度に異なるか、または予め定められた傾きとの差異は計測出来ない程度のものか確認を行う。無視出来ない程度に異なっている場合、ユニット62は、実質的にオフセットを相殺するべく補正を実行し、フレーミングされた画像を実際に撮像する前に、ユーザにより所望されるだけ撮像画像を傾ける。
【0048】
水平軸に対するセンサデバイスの傾きに起因して、フレーミングされた画像3cが即座に撮像された場合、センサ上には
図3の(b1)に示されるような、装置600に入射する光線9の経路に沿って配置されたレンズ系2に関連する光学現象に起因して上下逆さまである撮像画像が得られるであろう。
図3の(b2)は、そのような状況において得られる写真の最終結果を明確に示すべく、
図3の(b1)の画像を180°回転させ、その縁が真っ直ぐにされた、つまり、紙面の縁に対して平行にされた写真を示す。なお、フレーミングされた被写体の傾きのせいで、このシーンは、不自然かつ非審美的な影響を受ける。このようなことは実際の多くの場合において避けられるべきである。前述したように、
図2の(b)において、水平軸、つまり、地表上の、光学センサデバイス1の重心と地心とを繋ぐ方向によって定まる、重力方向とおよそ一致する垂直線に対して直交する軸に対してヌルの傾きを有する撮像画像を得ることをユーザが所望しているものと仮定している。
【0049】
この時点において、ユニット62は直接的または間接的に以下の動作を実行させる。まず最初に、ユニット62は、例えば、撮像装置600の本体との堅固な、または緩い機械的結合に作用する微小機械のアクチュエータデバイス69へ適切な制御信号を送信することにより、光線9により定められる軸周りにセンサデバイス1が回転可能な状態にする。代替的に、デバイス69は設けられなくてもよく、光学センサデバイス1を本体に対して相対的に固定された状態、または回転可能な状態にする機能は、処理制御ユニット62により制御され得る、特定の動作状態においてデバイス1を装置600の本体に堅固に固定された状態に維持するのに用いられるモータデバイス64により同じく実行されてもよい。このようにデバイス69が設けられない場合、ユニット62は、モータデバイス64にこの最初の特定の動作状態を終了させ、モータデバイス64に光学センサデバイス1を同じ絶対値および反対の符号を有する角度の分だけ回転させ、
図2の(b)の状況において存在する角度オフセットを相殺する。2つの曲線矢印は、モータデバイス64が光学センサデバイス1に行わせる回転の方向を示す。
【0050】
モータデバイス64によって実行される補正のための干渉動作により、
図2の(c)に示される状態となる。外部から何らかの動きが加えられない場合、撮像装置600は
図2の(b)に示されるように実質的に傾いたままである。そうではなく、光学センサデバイス1は
図2の(b)の傾きと同じ絶対値および反対の符号を有する角度−aの分だけ傾いており、ユーザにより所望される予め定められた基準軸に対して実質的に平行な、対称な水平軸を有しており、水平軸の予め定められた基準軸に対する角度は、ヌルまたは無視出来る程度の値の角度である。この補正回転の結果、光学センサデバイス1により撮像される画像は、
図3の(a)に示されるようなものとなり、
図2の(a)に示される、光学センサデバイス1が装置600に堅固に固定されており、装置600と予め定められた水平基準軸とにアライメントされている状況における撮像で得られる画像に対応する。モータデバイスが光デバイス1を角度−aの分だけ回転させると、ユニット62は、上述した他の撮像セットアップ動作が完了していることを条件に、画像の実際の撮像を実行する。これらの撮像セットアップ動作は補正動作と同時に行われるのが有利である。
【0051】
モータデバイス64は、例えば、その入力部へ送信された適切な制御信号を受けて予め定められた角度位置に位置させることが出来るサーボモータを用いて実装されてもよい。このタイプのデバイスは一般的に、所望される位置に対して角度位置のオフセットを検出するメカニズムと係合させられる。このオフセットにより、所望される角度位置に到達すべく制御信号として適切に利用される誤差信号が構成されてもよい。当該所望される角度位置に到達すると、誤差信号が取り消され、モータデバイス64の回転部分に対して行われる回転運動が停止させられる。当該回転部分は、本願発明において説明される動作を実現すべく光学センサデバイス1に機械的に結合されるのが都合がよい。
【0052】
これらのセットアップ動作は典型的には1秒の十分の一程度など無視出来ない程度の時間を要するので、ユーザが偶然、撮像装置600を動かし、そのような動きが光線9の伝搬方向に対する光学センサデバイス1の回転を含むということも起こり得る。よって、画像撮像セットアップ段階の間に起こる所望されない回転を補正すべく、処理制御ユニット62が、傾きセンサ60を用いてセンサデバイス1の傾きを適切な頻度で定期的にモニタリングするのが有利である。
【0053】
図4および
図5は、いわゆる「ポートレート」姿勢、つまり短い辺が画像の上辺および下辺となる姿勢にある光学センサデバイス1で画像が撮像される際の撮像装置600の動作を説明する。対照的に
図2および
図3においては、当該短い辺が、デバイス1により占められる長方形の重心の右側と左側とに位置するものと仮定されている(いわゆる「風景」姿勢)。本願発明の動作は、
図2および
図3を参照して既に説明したものと同様である。
【0054】
撮像装置が角度bの分だけ回転した後に、ユーザが要素6を作動させることにより撮像実行命令を出すものと仮定する。ここで角度bは負の方向である。なぜなら、
図4の(a)に示される利用的な撮像状況に対し、
図4の(b)においては望まれず反対方向に回転させられているからである。このことにより
図5の(a)に示されるような画像がセンサデバイス1上で撮像されることになる。通常このような画像は、不揮発性メモリに格納される前にデバイスの電子制御回路により真っ直ぐにさせられ、
図5の(c)に示されるような最終的な写真画像が得られる。この場合、木、家、および背景に水平線を含むフレーミングされたシーンは、それら被写体が画像の長方形の縁とアライメントされた、つまり平行にされたものとなる。
図5の(b1)は、
図4の(b)の状態にある光学センサデバイス1により撮像された画像を示す。
図5の(b2)は、
図5の(b1)の画像と同じ画像を示すが、180°だけ回転させられており、画像の縁が紙面の縁と平行となるよう真っ直ぐにされている。この場合でも、
図3の(b1)および(b2)の平行な場合と同じように、シーン内にフレーミングされた被写体の不自然な傾きに起因する好ましくない影響がある。よって、この場合にも、デバイス1の予め定められた基準軸に対する相対的な傾きまたは角度オフセットが検出され相殺されなければならなく、当該予め定められた基準軸は水平軸である。
【0055】
管理ユニット62は画像撮像命令を取得すると、傾きセンサ60を介して光学センサデバイス1の予め定められた水平基準軸に対する対称軸40−40'のヌルでない傾きの存在を検出し、検出した傾きに応じた回転をモータデバイス64に行わせる。特に、この回転は、傾きセンサ60により検出された傾きと同じ絶対値と反対の符号である、
図4の(b)に曲線矢印で示される方向に値−bを有し得る。これにより、光学センサデバイス1の短辺は、
図4の(c)に示されるように予め定められた水平基準軸に対して実質的に平行になる。
図4の(c)は、本願発明に係る撮像セットアップ動作の終了時に光学センサデバイス1が到達する最終位置を示す。
【0056】
なお、
図2および
図3と、
図4および
図5との間の主な差異は、水平である予め定められた基準軸に対する傾きが計算されるセンサデバイス1の対称軸が異なる。
図2および
図3においては、当該対称軸は長辺の方向に対して平行に延在しており、
図4および
図5においては、当該対称軸は短辺の方向に対して平行に延在している。
【0057】
互いに直交する2つの軸に対する相対的な傾きを検出出来る2軸傾斜計は既に利用可能となっている。よって、2つの撮像姿勢、つまり風景姿勢およびポートレート姿勢に関して、適切に制御された同一の傾きセンサを用いることが可能である。何らかの理由によりそのようなセンサを用いることが出来ない場合には、センサデバイス1が水平に向けられている(風景)か垂直に向けられている(ポートレート)かを判断出来る姿勢検出器68を用い、姿勢検出器68に当該姿勢を検出させることも可能である。このタイプの検出器は市販されており、いくつかの撮像装置に用いてられている。水平姿勢と垂直姿勢という2つの主な場合のうち一方において光学センサデバイス1の傾きを検出することが出来る2つの傾きセンサを含む撮像装置600において、管理ユニット62は検出器から姿勢情報を取得し、所望される傾きの、撮像装置600内に存在するもののうち適切な1軸傾きセンサ60による検出を有効化する。
【0058】
実際の撮像段階の終了時に管理ユニット62は、モータデバイス64に作用することにより、また場合によっては存在するならば微小機械のアクチュエータデバイス69に命令することにより、光学センサデバイス1を画像撮像セットアップ段階の前のアイドル状態位置に戻し、光学センサデバイス1を再び撮像装置600の本体に堅固に固定された状態にするのが有利である。
【0059】
このように、光学センサデバイス1は
図2の(a)および
図4の(a)に示されるように、つまり、対向する少なくとも1組の辺が撮像装置600の側面の少なくとも一部に対して実質的に平行となるよう撮像600に対して相対的に位置づけられる。この位置は、技術のあるユーザが撮像を行う可能性が最も高い位置であり、撮像装置1の所望されない、正の方向でも負の方向でも等しい確率であり得るが一般的には非常に小さく、1°の十分の一から60分数で数度程度であるのが典型的である角運動の開始位置でもある。さらに、この位置において、フレーミングされたシーンを表示すべく光学式ファインダー3またはLCDに示される画像は、所望されない傾きなしで撮像プロセスが有効化された場合に光学センサデバイスにより撮像され得る画像と一致し、よって、表示されている画像と、装置600により撮像され得る画像との一致度が最も高くなる。
【0060】
このホーミングは、最後に撮像が試みられてから予め定められた時間が経過した後に行われてもよい。実際、特に個々の画像を自由に撮像する場合には、ユーザは次から次へと間をおかず一連の撮像を行うことが多い。そのような場合においては、センサデバイスのホーミングを行う前に僅かの期間だけ待機した方がよい。なぜならば、ある撮像段階の直後に新たな撮像段階が開始された場合、センサデバイスはその直前の撮像が行われた際の傾きに近い傾きを有している可能性が高いからである。よって、所望されない傾きを補正するための補正回転は、光学センサデバイス1のホーミングをまず行ってから次の撮像のために要される補正回転を行う場合に必要なよりも小さいはずである。一般的に、このような動作により、連続で撮像が行われる際に補正回転運動を実行するべくモータデバイス64のために必要とされる消費電力および時間の点で大きな節約が出来る。
【0061】
よって本願発明は、請求項1に係る撮像装置に関する。さらに、本願発明の自明でない実施形態は従属項に示されている。
【0062】
変形例および一般化
上記の説明においては、光学センサデバイス1に画像が上下逆さまに到達するものと仮定した。画像が上下逆さまでない状態でデバイス1に到達することが可能であるならば、本願発明を実施すべく本明細書に説明された発明である撮像装置に対して修正を加えなければならないことを当業者であれば理解されよう。
【0063】
個別の画像が撮像される場合と、動画の形態で画像シーケンスが撮像される場合との両方に対して本願発明は区別なく適用可能である。それら両方の場合の違いは単に、画像シーケンスが撮像される場合においては、予め定められた間隔をおいて(典型的には1秒あたり25〜30フレーム)個々の画像の撮像を繰り返すことにより継続して撮像プロセスが行われ、フレーミングされたシーン内で被写体が動いているように人間の視覚において知覚される、経時的に連続した進展を見せる動画ストリームが形成される点にある。本願発明の目的において全く必須ではないが唯一の差異は、画像シーケンスが撮像される場合においては、処理制御ユニット62が連続的に制御メカニズムを動作させればよい点にある。処理制御ユニット62は、動画シーケンスを構成する個々の画像を撮像する際に予め定められた頻度でセンサデバイスの傾きをモニタリングしてよく、それに応じて、検出された傾きに対応する傾きと等しく、また反対方向である回転を光学センサデバイス1に行わせるモータデバイス64を用いて予め定められた基準軸に対する検出された個々の傾きを補償すればよい。
【0064】
撮像装置のユーザが位置する場所の垂直線に対して直交する水平軸と地表で一致する水平軸が予め定められた基準軸である最も一般的なケースを参照し、説明を行う。本願発明の範囲はこの説明によって何ら制限されない。実際、画像撮像段階において光学センサデバイスの傾きが計算され相殺される際に基準となる相対的な基準軸は、予めユーザによって設定されるか、または改めて設定され得る。このことは、例えばひし形の縁を有する写真を撮影するなど、フレーミングされた被写体が画像の縁に対して予め定められた傾きを有していなければならない、或いは、ユーザが、画像内の他の被写体とアライメントされていない特定の被写体、例えばピサの斜塔の輪郭が、少なくとも画像の縁に対してアライメントされていることを所望するなど、特別なビジュアル効果を得たい場合において特に有用である。実質上、ユーザは、撮像段階において、撮像画像のアライメントを管理することが出来る。
【0065】
どのようなものであれ予め定められた基準軸の方向が装置600のフレームディスプレイ67に表示されるのも有利である。
図7を参照して説明するケースでは、ユーザが垂直軸を予め定められた基準軸として指定したものと仮定している。この場合、例えばユーザは、インタラクティブなメニュー上で、グラフィック要素74を用いたフレームディスプレイ上の基準軸の可視化を有効化出来る。グラフィック要素74は、当該基準軸の位置をユーザに対して示す、フレーミングされた画像上に重ね合わされた1以上の直線状の要素(例えば破線の線分、線分からなる格子など)からなっている。本願発明に係るメカニズムによると、光学センサデバイス1は当該基準軸に対して相対的にアライメントされる。
【0066】
ユーザはこの重ね合わせを必要に応じて有効化することが出来、場合によっては、撮像画像の縁が相対的にアライメントされる被写体のアライメントを確認出来るよう、適切な入力要素を用いて、フレームディスプレイ67上のその重ね合わせ位置を変更することが出来る。よって、本願発明のこの特定の実施形態において、処理制御ユニット62は、グラフィック要素74を、適切な傾きセンサにより取得される軸の方向に基づき、現在有効状態にある予め定められた基準軸とアライメントさせて表示する必要がある。説明を単純にすべく、このセンサは
図6のブロック図において示されていない。当該センサは、多くの分野においてこの目的で既に用いられている、例えば航空機産業における航空用のダッシュボードなど、公知の何らかのデバイスであってもよい。例としてここで検討されているこの特定のケースにおいて、当該基準軸は撮像場所と地心とを繋ぐ垂直軸に対応する。当該垂直軸と自身とのアライメントを行うことが出来る小型ジャイロスコープを用いてもよい。
【0067】
図7に示す特定のケースにおいては、グラフィック要素74は、撮像画像の縁が相対的にアライメントされる垂直軸の方向と水平軸の方向とを常に示す1つの水平方向の破線の線分と1つの垂直方向の破線の線分とからなるものと仮定されている。
図7を参照すると、ユーザは、何らかの理由によりフレーミングされた他の被写体に対しミスアライメントされた、フレーミングされたシーンの左側に位置する家に基づいて、撮像された画像のアライメントを所望しているものと仮定する。その後ユーザは、
図7の(b)に示されるようにフレームの縁が当該被写体とアライメントされるように撮像装置を傾け、重ね合わされたグラフィック要素74の構成要素を、水平方向の破線の線分に関しては
図7の(b)に示され、および垂直方向の破線の線分に関しては
図7の(c)に示されるように当該グラフィック要素が被写体のいくつかの輪郭に重なるように、適切なキーまたは他の入力手段により動かす。実際、予め定められた基準軸に対して平行である、または直角な1つの破線の線分でも十分である。しかし、より好ましい解決方法として、互いに直角であり、別々に動かすことが可能な2つの破線の線分が優先される。このことにより、フレーミングされた領域を変更して、要素74の構成要素が、アライメントされるべき対象被写体の輪郭上に位置するようにしなくてもよくなる。実際、ユーザが所望する撮像画像を確実に得るには、破線の線分のうち1つだけが、縁とアライメントされる輪郭のうち1つに対して単に平行でさえあればよく、最初にグラフィック要素74の線分を正確に輪郭上に動かすことなく、これらのより一般的な状況となり次第、ユーザは実際の撮像を開始してもよい。線分と輪郭との間が平行であることをディスプレイ67上で十分な正確さで判断出来ないユーザに対して確実性を提供する目的において、この重ね合わせは有用である。
【0068】
この時点で、対象被写体が要素74とアライメントされた状態でディスクプレイ67に表示されていることを上述したやり方のいずれかで確認した後、ユーザは撮像開始要素6を作動させ、管理ユニット62は、上述したように、撮像デバイス1に当たった際に起こり得る画像の反転を考慮に入れ、
図7の(d)に示される回転と同等の効果を得るべく撮像デバイス1に対して行われる回転を計算することにより、ユーザの選択により得られる予め定められた基準軸に対して光学センサデバイス1をアライメントするためのメカニズムを適用する。この反転は説明を単純にすべく
図7では意図的に省略されている。このように得られる撮像画像は
図7の(e)に示されており、ここで、管理ユニット62は、光学センサデバイス1に対して行われる回転を、撮像画像が、画像の縁に対して平行な、撮像セットアップ段階において指定されるユーザにより所望される基準、つまり、家の輪郭と一致するようなものにする。
【0069】
この変形例は、フレーミングされた被写体に対して相対的に破線の線分をユーザが移動させる必要がなく、ユーザにとって非常に好都合かつ実際的であるので有利である。他方、この変形例は、ディスプレイ67上での可視化を制御する管理ユニット62に対して予め定められた基準軸の方向を示す追加的な傾きセンサを要する。しかし、当該センサは、例えば予め定められた基準軸が重力と一致する場合には重力に基づいて動作するジャイロスコープとして、傾きセンサ60の一構成要素として装置600内に潜在的に存在してもよい。この追加的なセンサは、少なくとも、上述したようにアライメントされる輪郭の選択の間、常に電源が入れられ有効化されなければならない。
【0070】
他の変形例を
図8を参照し説明する。この場合も、ユーザはアライメント方向を示すグラフィック要素74の重ね合わせ、つまり、相対的にアライメントして撮像デバイス1により画像が撮像されるべき予め定められた基準軸の重ね合わせを有効化出来る。実際、ユーザによる入力があると、管理ユニット62は、管理ユニット62が知っている予め定められた軸に沿って最初は方向づけられているグラフィック要素を可視化するよう命令する。しかしこの場合、ユーザは、対象被写体の輪郭に対しグラフィック要素74うちの少なくとも1つの線分が平行になるまで適切な入力手段(キー、ノブ、タッチスクリーン領域など)を操作することによりグラフィック要素74を回転させる。ここで、上述したケースと同じように、
図8内でフレーミングされているシーンの傾いた、シーン内の他の被写体に対して依然としてミスアライメントされている家が対象被写体であるものと仮定している。
図8の(c)の特定のケースにおいては、ユーザが窓の縁上に短い方の破線の線分を動かしたものと仮定しており、
図8の(d)のケースにおいては、ユーザが上の外壁上に長い方の破線の線分を動かしたものと仮定している。
【0071】
この時点でユーザは、破線の線分が所望される被写体の輪郭にアライメントされた状態としたので、撮像開始要素6を作動させられる。処理制御ユニット62は、ユーザにより発せられる命令と予め定められた基準軸の最初の方向についての情報とに基づき予め定められた基準軸を取得し、上述したように、グラフィック要素74によって定められる予め定められた基準軸に対する画像の縁の相対的な傾きを補正するためのメカニズムを実行する。当該ユニット62はモータデバイス64を介して撮像デバイス1に作用し、
図8の(f)に示される、グラフィック要素74の構成要素を回転並進させることによりユーザによって指定されるアライメントが行われた撮像画像を得るべく
図8の(e)に示される回転の効果と同等の効果を達成する。またこの場合、光学センサデバイス1上で起こり得る画像の反転は意図的に省略されている。管理ユニット62はそのような反転が発生したかどうかを知っており、上述したように、得られる画像が、当該反転に関わらず指定された通りのもととなるよう、撮像デバイスアライメントメカニズムを実行することが出来る。
【0072】
なおこの場合、ユーザは、前述のケースとは異なり撮像装置(よって、この段階においては装置の本体に堅固に固定されているはずである光学センサデバイス1)ではなくグラフィック要素を回転させており、また前述のケースと異なり、追加のセンサは必要とされない。主な欠点は、グラフィック要素74がディスプレイ上で回転させられなければならなく、この操作は経験のあるユーザでなければ容易には行われ得ないということである。
【0073】
一変形例において、傾きセンサはモータデバイス64に搭載される。実際、装置600内での利用に適した、エンコーダ、つまり、モータデバイス64の回転軸の角度位置を検出できる要素を含むデバイスが存在する。モータデバイス64には、少なくとも画像撮像セットアップ段階の一部の間、センサデバイス1が堅固に固定される。このような場合、適切なやり方を用いることにより、モータデバイス64は少なくとも部分的に、本願発明において傾きセンサ60によって実行される機能を実現することが出来る。統合のための更なる段階として、本明細書で説明されるセンサデバイスアライメントメカニズムを部分的または全体的に管理する処理制御ユニット62は、傾斜計60とモータデバイス64との全ての相互作用を実行することが出来る単一の電気機械集積回路ブロックとして設けられてもよい。この場合、上述したアライメントメカニズムは、装置600の部材の動作を管理する高位の階層レベルのマイクロプロセッサまたはコンピューティングユニットの制御下で実装される。
【0074】
特定のケースにおいて、ユーザは、装置600を用いる際に本願発明のアライメント機能を自動的に有効化したくないかもしれない。よって、例えば、通常は装置の動作モードを設定するのに用いられるインタラクティブな制御メニューのアイテムを用い、ユーザが自分の意思で本願発明の機能を何らかの手段により無効化出来るのが有利である。加えて、または代替的に、本願発明に係る自動再アライメント機能および撮像画像傾き管理機能を有効化または無効化するための専用のクイックオン/オフキーを設けることも考えられ得る。このことは、自動的にミスアライメントをなくせる、またはフレーミングされた被写体に対する画像の縁のアライメントを手動で制御出来ることからユーザが恩恵を受けられるのが非常に重要であるタイプの装置の場合、特に有利である。
【0075】
多くの場合において、予め定められた基準軸は重力の方向と一致する。よって、例えば、ジャイロ作用を利用する傾斜計など重力の存在を活用するデバイスを用いることも可能である。
【0076】
予め定められた基準軸は、撮像装置600を製造する際に設定されてもよく、そのような出荷時の設定は、上述した方法のいずれかに従ってユーザが方向を再設定しない限り、有効なデフォルトの設定として記憶されてもよい。
【0077】
サーボモータをモータデバイス64として用いる場合、モータシャフトに対し機械的に結合されているセンサデバイス1を機械本体1に対して相対的に保持するのにサーボモータを用いられる点で有利である。しかし、撮像デバイス1が装置の本体1に一体的に固定され続けなければならなく、共に移動しなければならない間、サーボモータが電力を消費し続けるという欠点がある。そのような時間は装置600の動作時間のうち殆どの時間であるので、装置が無効状態である予め定められた期間の後、つまり、直近の画像撮像の試みから、或いは代替的にユーザによる入力要素の直近の作動から、並びに/或いは、何らかの動き検出手段(例えば加速度計)により検出される装置600の直近の動きから予め定められた閾値よりも長い時間が経過すると、管理ユニット62が自動的に機械アクチュエータデバイス69を有効化し、光学センサデバイス1が装置600の本体に堅固に固定された状態にするのが有利である。
【0078】
当然ながら、例えばユーザが何らかの予め定められた入力要素を作動させた時、または、一定の静止時間後、装置600の動きが検出された時など、光学センサデバイス1の補正またはアライメント回転のための準備を行うのが適切であると検出されると直ぐに、管理ユニット62は、当該機械アクチュエータデバイス69に光学センサデバイス1を機械本体から開放させてもよい。装置600のインタラクティブな制御メニューに専用のオプションが存在する場合、または上述したようなタイプの専用のクイックオン/オフキーが存在する場合には、自動アライメント機能または傾き管理機能を無効化または有効化するために同じ動作が行われてもよい。
【0079】
本願発明は、入射する光線を何らかのタイプの物理媒体に格納され得る携帯に変換することが出来るあらゆる光学センサデバイスに適用することが可能である。当該媒体は光学センサデバイスの外部にあっても内部にあってもよく、半導体メモリであっても、光学媒体または化学媒体であってもよい。よって、本願発明はCCDセンサまたはCMOSセンサを含む光学センサデバイスにも適用可能であり、その表面に存在する特定の物質の電気化学的変換を活用することにより入射光線を格納することが出来る従来の写真用フィルムにも適用可能である。画像を撮像するために照射される媒体部分を収容する筐体は機械本体に結合され、本願発明に関して説明されたように回転可能でさえあればよい。このことは、本願発明の利用により適した現在の、および将来の電子光学センサにも好都合に適用され得る。装置600の限られた領域内に収容され得る入射光線を変換するための少量の物理媒体を用いることによる恩恵を受けるのが有利である。電子技術を用いずに作成された光学センサに関しても同じことが当てはまる。
【0080】
本明細書において、本願発明のいくつかの好ましい実施形態を示し説明してきた。当然ながら本願発明には、本明細書で示されてきた特徴と機能的に同等である多くの様々な変更および修正を加えることが出来ることが当業者には理解されよう。それら変更および修正は、本明細書の主要な部分を成す添付の請求項に示されたものとして本願発明の範囲に含まれる。
[項目1]
1以上の画像を撮像する装置であり、
前記装置に対して固定された回転軸周りに回転することにより、予め定められた基準軸に対して相対的に傾き自在である本体と、
前記回転軸周りで制御回転可能となるよう前記装置の前記本体に機械的に結合され、入射する光放射を捕捉可能であり、かつ、前記入射する光放射を撮像画像として物理媒体に格納可能なように変換可能な光学センサデバイスと、
前記予め定められた基準軸に対する前記光学センサデバイスの角度オフセットを検出する傾きセンサ手段と、
モータ手段であり、前記回転軸周りで前記光学センサデバイスが前記モータ手段によって制御回転可能となった際に、前記回転軸周りで前記光学センサデバイスを回転させる前記モータ手段と、
前記傾きセンサ手段と前記モータ手段とに関連付けられ、前記傾きセンサ手段により検出される前記予め定められた基準軸に対する前記角度オフセットに応じて、前記モータ手段を介して前記光学センサデバイスの傾きの変化を引き起こす処理制御手段と
を備える装置。
[項目2]
前記処理制御手段は、前記傾きセンサ手段により検出される前記予め定められた基準軸に対する前記角度オフセットを実質的に相殺するための前記光学センサデバイスの前記傾きの前記変化を判断する、請求項1に記載の装置。
[項目3]
前記処理制御手段は、前記光学センサデバイスによる撮像を開始するアクチュエータ要素の作動に続き前記光学センサデバイスの前記傾きの前記変化を引き起こし、
前記光学センサデバイスは、前記作動の前に前記装置の前記本体に機械的かつ堅固に結合され、前記作動に続き前記回転軸に対し相対的に回転出来、
前記1以上の画像は、前記処理制御手段が引き起こす前記傾きの前記変化を前記光学センサデバイスが達成してから撮像される、請求項1または2に記載の装置。
[項目4]
前記処理制御手段は、前記傾きの前記変化の前に前記光学センサデバイスが前記予め定められた基準軸に対して相対的に有していた前記傾きを、前記傾きの前記変化の終了時に再現するよう前記光学センサデバイスを制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
[項目5]
前記処理制御手段と関連付けられた機械的結合手段が、前記処理制御手段の制御の下、前記光学センサデバイスを堅固に、または回転可能に、前記装置の前記本体に機械的に結合する、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
[項目6]
前記処理制御手段は、前記傾きの前記変化の終了時に、前記光学センサデバイスが前記装置の前記本体に堅固に結合されるよう前記機械的結合手段を制御する、請求項5に記載の装置。
[項目7]
前記処理制御手段は、前記傾きの前記変化の前に前記光学センサデバイスが有していた前記傾きを、前記傾きの前記変化の終了時に再現するよう前記モータ手段を制御する、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
[項目8]
前記傾きの前記変化の前に前記光学センサデバイスが有する前記傾きは、前記予め定められた基準軸の方向に対応する、請求項7に記載の装置。
[項目9]
前記光学センサデバイスは、前記回転軸に対して垂直な面で切り取った断面が、実質的に長方形であり、
前記光学センサデバイスの前記傾きの前記変化が引き起こされていない時点において、前記回転軸に対して垂直な面で切り取った前記装置の外部筐体の断面の縁のうち少なくとも1つの少なくとも一部が、前記光学センサデバイスの前記実質的に長方形である前記断面の少なくとも1つの辺と実質的に平行である、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
[項目10]
前記回転軸は、前記光学センサデバイスに入射する前記光放射の入射光軸と一致し、
前記光学センサデバイスは、前記回転軸と実質的に直交して位置付けられる、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
[項目11]
前記予め定められた基準軸は、
a)前記装置の製造の際に予め設定される、
b)前記装置のユーザにより定められる、または改めて定められ得る、
c)前記光学センサデバイスの重心と地心とを繋ぐ線の方向に対応する、および
d)c)で定められる前記方向に直交する方向に対応する、
という特徴のうち少なくとも1つを有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
[項目12]
前記予め定められた基準軸の方向を検出する追加のセンサ手段が設けられ、
前記処理制御手段は、前記追加のセンサ手段により検出される前記方向をモニタリングし、
少なくとも前記光学センサデバイスの前記傾きの前記変化の間、前記方向と、前記追加のセンサ手段とが関連付けられる、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
[項目13]
前記処理制御手段は、前記予め定められた基準軸の方向を示すグラフィック要素を、前記光学センサデバイスにより撮像され得る前記1以上の画像を少なくとも部分的に表示する表示デバイスに表示させる、請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
[項目14]
前記グラフィック要素は、前記装置に設けられた適切な入力要素を作動させることにより、回転操作と並進操作との少なくとも一方を介してユーザにより再位置付けされ得る、請求項13に記載の装置。
[項目15]
前記予め定められた基準軸は、前記表示デバイスに表示される前記グラフィック要素を回転させることにより前記装置のユーザによって定められ得る、または改めて定められ得る、請求項13に記載の装置。
[項目16]
動画像シーケンスの撮像を指示する適切な命令の取得に続き一定の間隔を置いて連続して、前記装置の前記本体の前記角度オフセットの前記検出が行われ、かつ、前記処理制御手段による前記光学センサデバイスの前記傾きの前記変化が引き起こされる、請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
[項目17]
ユーザは、前記処理制御手段により前記モータ手段を介して行われる前記光学センサデバイスの前記傾きの前記変化が引き起こされないように出来る、請求項1から16のいずれか1項に記載の装置。