特許第6020872号(P6020872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6020872
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】分析システム及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20161020BHJP
【FI】
   G06Q30/02 300
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-125114(P2016-125114)
(22)【出願日】2016年6月24日
【審査請求日】2016年6月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510111814
【氏名又は名称】株式会社アドインテ
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】十河 慎治
(72)【発明者】
【氏名】荒川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】稲森 学
(72)【発明者】
【氏名】藤野 真吾
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−238024(JP,A)
【文献】 特開2014−174883(JP,A)
【文献】 特開2015−184376(JP,A)
【文献】 特開2015−188150(JP,A)
【文献】 特開2013−128287(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0287261(US,A1)
【文献】 石川 博康,”無人航空機を利用したユーザ位置検出手法における測位精度の特性評価 Performance Evaluation of Positioning Accuracy for User Position Detection Method using Unmanned Aerial Vehicle”,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.114 No.472 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2015年 2月23日,第114巻,129-134頁
【文献】 前野 誉,”災害時における情報収集・表示システムの構築”,第23回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2015 No.2 [CD−ROM] DPS Workshop 2015,日本,一般社団法人情報処理学会,2015年10月 7日,第2015巻,204-205頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G09F 21/04
G08B 25/00
G05D 1/00
H04W 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と近距離無線通信可能な無線機器を搭載した1台又は複数台の無人飛行機と、当該無人飛行機と無線通信可能なサーバとを備えた分析システムであって、
所定のエリアにおける飛行経路に沿って、前記無人飛行機を飛行させる飛行制御部と、
前記無人飛行機が飛行中に、当該無人飛行機の無線機器が前記ユーザ端末の近距離無線電波を検出すると、電波強度を含む電波情報を取得する電波取得部と、
前記無人飛行機のGPSユニットに基づいて、前記無線機器が前記近距離無線電波を検出した際の無人飛行機のGPS位置情報を前記無人飛行機の飛行位置として取得する飛行位置取得部と、
前記取得された電波情報の電波強度と、前記取得された無人飛行機の飛行位置とに基づいて、前記エリアにおけるユーザ端末の存在位置を算出する端末位置算出部と、
前記算出されたユーザ端末の存在位置を、前記エリアに対応する地図情報に配置し、当該配置された地図情報の場所の特徴を示す場所特徴情報に基づいて、当該ユーザ端末のユーザ属性情報を分析するユーザ属性分析部と、
を備える分析システム。
【請求項2】
前記端末位置算出部は、特定のユーザ端末に対して検出時刻の異なる複数の存在位置を算出した場合、前記複数の存在位置を時系列に関連付けることで、前記特定のユーザ端末の移動形跡を算出し、
前記ユーザ属性分析部は、前記地図情報に、前記算出されたユーザの移動形跡を配置することで、ユーザの生活パターンと、趣味趣向とを含むユーザ属性情報を分析する
請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記端末位置算出部は、複数のユーザ端末の存在位置を算出し、
前記ユーザ属性分析部は、前記複数のユーザ端末の存在位置が集中している地図情報の場所の場所属性情報に基づいて、前記エリアのグループのユーザ属性情報を分析する
請求項1に記載の分析システム。
【請求項4】
前記飛行制御部は、3台の無人飛行機を三角形に隊列させた状態で当該3台の無人飛行機を飛行させ、
前記端末位置算出部は、同一の検出時刻において前記3台の無人飛行機のそれぞれの無線機器から電波情報が取得された場合、当該3台の無人飛行機の飛行位置における3つの電波強度を用いて三角測量を行うことで、前記ユーザ端末の存在位置を算出する
請求項1−3のいずれか一項に記載の分析システム。
【請求項5】
ユーザ端末と近距離無線通信可能な無線機器を搭載した1台又は複数台の無人飛行機と、当該無人飛行機と無線通信可能なサーバとを備えた分析システムの分析方法であって、
所定のエリアにおける飛行経路に沿って、前記無人飛行機を飛行させる飛行制御ステップと、
前記無人飛行機が飛行中に、当該無人飛行機の無線機器が前記ユーザ端末の近距離無線電波を検出すると、電波強度を含む電波情報を取得する電波取得ステップと、
前記無人飛行機のGPSユニットに基づいて、前記無線機器が前記近距離無線電波を検出した際の無人飛行機のGPS位置情報を前記無人飛行機の飛行位置として取得する飛行位置取得ステップと、
前記取得された電波情報の電波強度と、前記取得された無人飛行機の飛行位置とに基づいて、前記エリアにおけるユーザ端末の存在位置を算出する端末位置算出ステップと、
前記算出されたユーザ端末の存在位置を、前記エリアに対応する地図情報に配置し、当該配置された地図情報の場所の特徴を示す場所特徴情報に基づいて、当該ユーザ端末のユーザ属性情報を分析するユーザ属性分析ステップと、
を備える分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析システム及び分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無人飛行機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)を宣伝広告や人の監視に用いた技術が存在する。特開2015−184376号公報(特許文献1)には、有人もしくは無人の自律型飛行船ロボット飛行機、ヘリコプター、バイク、自転車、四足歩行ロボット等の移動物体を制御する移動制御装置が開示されている。この移動物体は、各種広告情報を提供する。これにより、広告効果を高めるとしている。
【0003】
又、特開2015−207149号公報(特許文献2)には、ドローン装置を用いた監視システムが開示されている。この監視システムでは、監視対象となる被監視者の位置を常時確認するとともに、犯罪者に対して抑止を発揮するとしている。
【0004】
一方、本発明者は、特開2016−4336号公報(特許文献3)に示すように、無線機器とユーザ端末との近距離無線通信に基づいてユーザ端末の行動履歴を推定し、ユーザの嗜好性を含むユーザ属性情報を分析するマーケティングシステム及びマーケティング方法を発明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−184376号公報
【特許文献2】特開2015−207149号公報
【特許文献3】特開2016−4336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ユーザの居住エリアに特化した情報をそのユーザに提供し、ユーザにインパクトのある広告宣伝、販売促進を行うジオターゲティング(地域特定技術)が行われている。
【0007】
このジオターゲティングでは、通常、インターネットに接続中のユーザ端末の基地局又はディスクトップ型端末のIPアドレス等、ネットワーク通信上の識別情報を用いて、ユーザの地理的な現在位置を推定している。そのため、現状のジオターゲティングでは、ユーザの現在位置の推定に限界があり、ユーザの閲覧履歴等、ネットワーク通信上のユーザの操作が主になるという課題がある。
【0008】
又、ユーザの現実の行動情報を収集するために、Wi−FiセンサやBeacon端末等、新規な無線機器が登場してきている。この無線機器では、ユーザ端末と近距離無線通信することで、100m以上の誤差が生じ得るGPSや数cmの範囲内でしか捕捉出来ないICタグと比較して、ユーザの行動情報(存在位置、移動形跡等)を高精度に捕捉することが出来る。このユーザの行動情報に基づいてユーザの属性情報を分析し、マーケティングに活用する。
【0009】
しかしながら、この無線機器は、通常、特定の場所に設置する必要があり、雨・風等の天候を考慮すると、設置場所は、基本的に屋内となり、特定の場所に制限される。更に、無線機器は、基本的に設置型であるため、広範囲でユーザの行動情報を収集するためには、複数の無線機器それぞれを各場所毎に設置する必要がある。より効果的なジオターゲティングを行うためには、屋内に限らず、屋外を含む広範囲でユーザの行動情報を高精度に収集し、ユーザ属性情報を具体的に分析する必要がある。
【0010】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、上空から屋外を含む広範囲のユーザの行動情報を高精度に収集し、ユーザ属性情報を具体的に分析することが可能な分析システム及び分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る分析システムは、ユーザ端末と近距離無線通信可能な無線機器を搭載した1台又は複数台の無人飛行機と、当該無人飛行機と無線通信可能なサーバとを備えた分析システムであって、飛行制御部と、電波取得部と、飛行位置取得部と、端末位置算出部と、ユーザ属性分析部と、を備える。飛行制御部は、所定のエリアにおける飛行経路に沿って、前記無人飛行機を飛行させる。電波取得部は、前記無人飛行機が飛行中に、当該無人飛行機の無線機器が前記ユーザ端末の近距離無線通信電波を検出すると、電波強度を含む電波情報を取得する。飛行位置取得部は、前記無人飛行機のGPSユニットに基づいて、前記無線機器が前記近距離無線電波を検出した際の無人飛行機のGPS位置情報を前記無人飛行機の飛行位置として取得する。端末位置算出部は、前記取得された電波情報の電波強度と、前記取得された無人飛行機の飛行位置とに基づいて、前記エリアにおけるユーザ端末の存在位置を算出する。ユーザ属性分析部は、前記算出されたユーザ端末の存在位置を、前記エリアに対応する地図情報に配置し、当該配置された地図情報の場所の特徴を示す場所特徴情報に基づいて、当該ユーザ端末のユーザ属性情報を分析する。
【0012】
本発明に係る分析方法は、ユーザ端末と近距離無線通信可能な無線機器を搭載した1台又は複数台の無人飛行機と、当該無人飛行機と無線通信可能なサーバとを備えた分析システムの分析方法であって、飛行制御ステップと、電波取得ステップと、飛行位置取得ステップと、端末位置算出ステップと、ユーザ属性分析ステップと、を備える。飛行制御ステップは、所定のエリアにおける飛行経路に沿って、前記無人飛行機を飛行させる。電波取得ステップは、前記無人飛行機が飛行中に、当該無人飛行機の無線機器が前記ユーザ端末の近距離無線通信電波を検出すると、電波強度を含む電波情報を取得する。飛行位置取得ステップは、前記無人飛行機のGPSユニットに基づいて、前記無線機器が前記近距離無線電波を検出した際の無人飛行機のGPS位置情報を前記無人飛行機の飛行位置として取得する。端末位置算出ステップは、前記取得された電波情報の電波強度と、前記取得された無人飛行機の飛行位置とに基づいて、前記エリアにおけるユーザ端末の存在位置を算出する。ユーザ属性分析ステップは、前記算出されたユーザ端末の存在位置を、前記エリアに対応する地図情報に配置し、当該配置された地図情報の場所の特徴を示す場所特徴情報に基づいて、当該ユーザ端末のユーザ属性情報を分析する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上空から屋外を含む広範囲のユーザの行動情報を高精度に収集し、ユーザ属性情報を具体的に分析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る分析システムの一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る分析システムの機能ブロック図である。
図3】本発明に係る分析方法の実行手順を示すためのフローチャートである。
図4】本発明に係る分析システムのエリア及び飛行経路の一例を示す図(図4A)と、本発明に係る無人飛行機とユーザ端末とBeacon端末との関係と無人飛行機の操作方法の一例を示す図(図4B)である。
図5】本発明に係る分析システムにおいて無人飛行機がユーザ端末に接近した場合の一例を示す図(図5A)と、本発明に係る無人飛行機の飛行位置の取得方法の一例を示す図(図5B)である。
図6】本発明に係る情報テーブルの一例を示す図(図6A)と、本発明に係る近距離無線電波の電波強度と受信距離との関係と、無線機器の球状の電波受信圏と円錐状の電波受信圏との関係を示す図(図6B)である。
図7】本発明に係る強度距離テーブルと、エリアにおけるユーザ端末の存在位置の一例を示す図(図7A)と、本発明に係る地図情報の一例を示す図(図7B)である。
図8】本発明に係る場所属性情報テーブルの一例を示す図(図8A)と、本発明に係る分析システムがユーザ属性情報を分析する場合の一例を示す図(図8B)である。
図9】本発明に係る配信情報テーブルの一例を示す図(図9A)と、本発明に係る分析システムがユーザ端末に配信情報を配信した場合の一例を示す図(図9B)である。
図10】本発明に係る無人飛行機が特定のユーザ端末に二回接近した場合の一例を示す図(図10A)と、本発明に係る情報テーブルの一例を示す図(図10B)である。
図11】本発明に係るユーザ端末の存在位置及び移動形跡の一例を示す図(図11A)と、本発明に係るユーザ属性情報テーブルの一例を示す図(図11B)である。
図12】本発明に係る分析システムの飛行経路及び所定の地点で収集される電波情報の一例を示す図(図12A)と、本発明に係る分析システムがグループのユーザ属性情報を分析した場合の一例を示す図(図12B)と、である。
図13】本発明に係る端末情報テーブルの一例を示す図(図13A)と、本発明に係る移動形跡パターンの一例を示す図(図13B)と、である。
図14】本発明に係る広告提示部を設置する前の移動形跡パターンの一例を示す図(図14A)と、本発明に係る広告提示部を設置した後の移動形跡パターンの一例を示す図(図14B)と、である。
図15】本発明に係る無人飛行機が荷物を配達する場合の一例を示す図(図15A)と、本発明に係る無人飛行機が遭難者のユーザ端末に接近した場合の一例を示す図(図15B)と、である。
図16】本発明に係る3台の無人飛行機の飛行及び三角測量によるユーザ端末の存在位置の算出の一例を示す図(図16A)と、本発明に係る3台の無人飛行機の飛行による情報テーブルの一例を示す図(図16B)と、である。
図17】本発明に係る3台の無人飛行機の飛行経路の一例を示す図(図17A)と、本発明に係るグループフィールドの表示及びグループの移動形跡パターンの一例を示す図(図17B)と、である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0016】
本発明に係る分析システム1は、図1に示すように、ユーザ端末10と近距離無線通信可能な無線機器11を搭載した1台又は複数台の無人飛行機12と、ネットワーク13を介して当該無人飛行機12と無線通信可能なサーバ14(分析サーバ)とを備えている。
【0017】
ユーザ端末10は、例えば、タッチパネル付きの携帯端末装置(スマートフォン)、ウェアラブル端末装置、タブレット型端末装置、携帯用のノートパソコン等である。ユーザ端末10は、画面を表示する端末表示部(出力部)と、ユーザの操作により所定の指示の入力を受け付ける端末受付部(入力部)と、近距離無線通信を含む無線通信用の通信部とを備えている。
【0018】
無線機器11は、ユーザ端末10と近距離無線通信用の通信部を備えている。ここで、近距離無線通信とは、近距離無線電波を用いて、数十cm〜百数十mの範囲内に存在するユーザ端末10と無線機器11とがデータの送信又は受信を行うことを意味し、単方向及び双方向を含む。無線機器11は、電波受信圏(受信範囲)に入ったユーザ端末10からの近距離無線電波を受信し、所定の情報を含む近距離無線電波を発信し、ユーザ端末10へ送信する。又、無線機器11は、近距離無線電波の発信のみを行うBeacon端末15aからの近距離無線電波を受信する。
【0019】
無人飛行機12は、例えば、無人のマルチコプター(ドローン)、無人のヘリコプター、無人の飛行船、無人のロボット飛行機を含む。無人飛行機12は、無線機器11と、本体を空中で飛行させる飛行部と、無線通信用の通信部と、本体のGPS位置情報を取得するGPSユニットとを備える。無人飛行機12は、障害物検知センサを備え、飛行中に現れた障害物を検知すると、それを回避して飛行する。又、複数台の無人飛行機12が飛行する場合、各無人飛行機12は、自由に飛行しても良いし、特定の隊列を形成して飛行しても良い。
【0020】
ネットワーク13は、中継機器15b(アクセスポイント)を介したLAN(Local Area Network)、無線基地局15cを介したWAN(Wide Area Networ)、衛星15d及び衛星地球局15eを介した衛星通信網を含む。衛星15dは、イリジウム衛星、インマルサット衛星を含む。無人飛行機12が、ネットワーク13に接続すれば、サーバ14と無線通信出来る。
【0021】
分析サーバ14は、一般的に使用されるコンピュータ等であり、データを蓄積する記憶部と、各種処理する処理部とを備えている。又、分析サーバ14は、ネットワーク13を介して、ユーザ端末10に情報を配信する。
【0022】
ユーザ端末10と、無線機器11と、無人飛行機12と、分析サーバ14とは、図示しないCPU、ROM、RAM等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各部を実現する。
【0023】
次に、図2図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。ここで、理解を容易にするために、1台の無人飛行機12の場合を一例として説明する。先ず、分析者は、ユーザが往来する所定のエリアを指定し、当該エリア内に1台の無人飛行機12(例えば、ドローン)の飛行経路を設定する。
【0024】
エリアは、例えば、商店街、ショッピングモール、住宅街、マンション地帯、工業地帯、観光地、公園、山、川を含み、飛行経路は、ドローンが飛行可能な上空となり、分析者により任意に設定される。例えば、図4Aに示すように、エリア40が商店街の場合、飛行経路41は、ビルの間の道路の上空に設定される。
【0025】
又、飛行経路上のドローン12の飛行形態に特に限定は無いが、例えば、飛行経路を構成する複数の地点Pを順番に巡回する連続飛行形態を含む。連続飛行形態は、ドローン12が、所定の飛行速度で、第一の地点P1に向かって飛行し、第一の地点P1に到着すると、次の第二の地点P2へ向かって飛行することを、順番が付された複数の地点Pで繰り返す形態である。ドローン12は、特定の地点Pへ向かって飛行する場合、飛行中にGPSユニットで取得されるGPS位置情報を、飛行経路の地点Pの位置情報と照合し、GPS位置情報が地点Pの位置情報と一致すれば、当該地点Pに到着したと判定する。ドローン12は、地点Pに到着したと判定すると、次の地点Pへ向かって飛行する。
【0026】
例えば、図4Aに示すように、飛行経路41は、エリア40内に存在する複数のビルBの間の道路の上空であって、飛行開始地点P0から、複数の地点P1、P2、P3(ここでは、3点)を矩形状に順番に設定される。ドローン12は、連続飛行形態で飛行経路41の複数の地点P1、P2、P3を順番に飛行することで、矩形状に飛行し、再度、飛行開始地点P0に戻る。
【0027】
又、図4Bに示すように、ドローン12の飛行高度は、地上から、地上に居るユーザ端末10の近距離無線電波が届く最大受信距離H1(例えば、180m)以内に設定される。ドローン12の飛行による検索対象が、ユーザ端末10に加えて、エリア内のBeacon端末15aも含む場合は、Beacon端末15aの最大受信距離H2は、ユーザ端末10の最大受信距離H1よりも短いため、ドローン12の飛行高度は、地上から、Beacon端末15aの最大受信距離H2(例えば、80m)以内に設定される。
【0028】
ドローン12の飛行経路41を含む飛行条件が設定されると、分析者は、ドローン12を飛行させる(図3:S101)。ここで、ドローン12を飛行させる方法に特に限定は無い。例えば、図4Bに示すように、分析者が、飛行条件をサーバ14へ入力すると、サーバ14が、ネットワーク13を介して、遠隔操作によりドローン12を飛行させる。その他の方法として、分析者が、専用の端末装置42を利用して、ドローン12に飛行条件を入力すると、ドローン12が、入力された飛行条件に従って本体を飛行させる。又、分析者が、専用の携帯操作装置43を現場のエリアに携帯し、当該携帯操作装置43に飛行条件に入力することで、ドローン12を飛行させる。ドローン12の飛行を制御する飛行制御部201は、サーバ14等、ドローン12と異なる場所に搭載されても、ドローン12本体に搭載されても良い。尚、ドローン12が複数台であっても同様である。
【0029】
飛行制御部201がドローン12の飛行を開始すると、サーバ14の電波取得部202は、ネットワーク13を介して、無線機器11にユーザ端末10の近距離無線電波の検出を開始させる(図3:S102)。
【0030】
ここで、電波取得部202が無線機器11に近距離無線電波を検出させる方法に特に限定は無い。例えば、飛行制御部201が連続飛行形態でドローン12を飛行させる場合は、電波取得部202が、無線機器11を常時起動させることで、当該無線機器11が近距離無線電波を常時受信する。
【0031】
さて、図5Aに示すように、飛行制御部201が、ドローン12を飛行開始地点P0から第一の地点P1まで飛行させている最中に、例えば、エリア40内のビルの隙間から、ユーザ端末10を携帯したユーザが現れる。すると、無線機器11は、ユーザ端末10から発信される近距離無線電波を検出する(図3:S102YES)。
【0032】
ここで、ユーザ端末10は、通常、無線LAN通信の中継機器15bを検索するための近距離無線電波(Beacon、無方向性電波)を定期的に発信している。この近距離無線電波には、ユーザ端末10を識別するための端末ID(例えば、「aaa」)が含まれる。この端末IDは、MACアドレス等のユーザ端末10を識別する情報であって、ユーザ個人を識別する情報では無い。
【0033】
例えば、図5Bに示すように、ユーザ端末10が、上空のドローン12の無線機器11の電波受信圏に入ると、無線機器11が、ユーザ端末10からの電波を検出し、電波取得部202は、ネットワーク13を介して、当該無線機器11から、当該電波に含まれる端末ID(「aaa」)と、当該電波の強度(例えば、「Far」)と、当該電波が検出された検出時刻(例えば、「2016/4/5/ 9:00」)とを電波情報として取得する(図3:S103)。
【0034】
又、宣伝広告やマーケティングのために特定の場所に設置されたBeacon端末15aは、MACアドレス等のBeacon端末15aを識別するためのBeaconID(例えば、「zzz」)を含む近距離無線電波を定期的に発信している。そのため、ドローン12の無線機器11が、飛行経路41の下方に存在するBeacon端末15aに接近すると、無線機器11が、Baecon端末15aからの電波を検出し、電波取得部202は、ネットワーク13を介して、当該電波のBeaconIDと、電波強度と、検出時刻とを電波情報として取得する。ここで、端末IDとBeaconIDは、区別され、BeaconIDを含む電波情報は、ユーザ属性情報の分析に直接利用される情報では無いものの、必要に応じて取得される。尚、電波取得部202は、サーバ14に限らず、ドローン12に備えても良い。
【0035】
電波取得部202が電波情報を取得すると、サーバ14の飛行位置取得部203は、ドローン12のGPSユニットに基づいて、無線機器11が前記近距離無線電波を検出した際のドローン12のGPS位置情報をドローン12の飛行位置として取得する(図3:S104)。
【0036】
ここで、飛行位置取得部203が飛行位置を取得する方法に特に限定は無い。例えば、図5Bに示すように、ドローン12のGPSユニット50は、GPS衛星51からのGPS衛星信号を受信することで、GPS位置情報を取得する。飛行位置取得部203は、無線機器11が近距離無線電波を検出した際に、ネットワーク13を介して、ドローン12のGPSユニット50からGPS位置情報を飛行位置として取得する。尚、飛行位置取得部203は、サーバ14に限らず、ドローン12に備えても良い。
【0037】
さて、飛行位置取得部203が飛行位置を取得すると、サーバ14の端末位置算出部204は、前記取得された電波情報の電波強度と、前記取得された飛行位置とに基づいて、前記エリアにおけるユーザ端末10の存在位置を算出する(図3:S105)。
【0038】
ここで、端末位置算出部204が存在位置を算出する方法に特に限定は無い。先ず、図6Aに示すように、端末位置算出部204が、情報テーブル600に、ドローン12の無線機器11を識別するための機器ID(例えば、「111」)601と、電波情報602と、飛行位置603(「X1、Y1」)とを関連付けて記憶させる。無線機器11の機器IDは、複数台のドローン12を飛行させる場合に、ドローン12を識別するための情報となる。電波情報602は、端末ID(「aaa」)602aと、電波強度(「Far」)602bと、検出時刻(「2016/4/5 9:00」)602cとを含む。これにより、ユーザ端末10の存在位置を算出するための情報をデータベース化することが出来る。
【0039】
電波情報602の電波強度602bは、ユーザ端末10と無線機器11との間の受信距離(相対距離)を意味し、受信距離が短い程、強くなる。ここで、電波強度602bは、近距離無線電波において、受信距離に応じて複数(例えば、4つ)の段階に区分された近接度を意味している。例えば、電波強度602bが強い順番に、「Immediate」(すぐ近く)、「Near」(近い)、「Far」(遠い)、「Unknown」(不明)を示し、電波強度602bの種類に応じて所定の受信距離を対応付けることが出来る。
【0040】
図6Bに示すように、電波強度「Immediate」、「Near」、「Far」における受信距離r1は、順番に、「数cm」、「数m」、「数十m」である。一方、「Unknown」の電波強度における受信距離r1は、「数十m」を超え、電波を検出することが出来ない。そのため、この場合の近距離無線電波の最大受信距離は、電波強度「Far」における「数十m」となる。尚、この電波強度の種類と受信距離r1との関係は、電波の周波数等に応じて、適宜設計される。
【0041】
無線機器11は、地上から飛行高度Hのドローン12に存在することから、図6Bに示すように、ドローン12の飛行高度Hが無線機器11の上空高さHとなり、無線機器11は、当該無線機器11を中心として、電波強度に対応する受信距離r1を半径とした球状の電波受信圏60を形成している。そして、無線機器11は、地上に存在するユーザ端末10の電波を受信することから、球状の電波受信圏60のうち、地上に接近している下方面Sを底面とする円錐状の電波受信圏61が、実質的に、ユーザ端末10の電波を受信出来る範囲となる。
【0042】
そこで、例えば、図7Aに示すように、強度距離テーブル700に、電波強度701(例えば、「Far」)と、円錐状の電波受信圏61における底面の半径を意味する下方受信距離702(例えば、「r2」)とを予め関連付けて記憶させておく。そして、端末位置取得部204は、強度距離テーブル700から、取得された電波情報の電波強度701に対応する下方受信距離702を取得し、飛行位置(「X1、Y1」)を中心とし、取得した下方受信距離(「r2」)を半径とする円領域70を、端末ID(「aaa」)のユーザ端末10の存在位置として算出する。この円領域70内にユーザ端末10(つまり、ユーザ)が存在することになる。尚、下方受信距離r2は、電波強度の受信距離r1と無線機器11の上空高度Hに依存するため、ドローン12の飛行条件に応じて適宜設定される。電波強度「Immediate」の受信距離r1は数cm以内であることから、この電波強度でのユーザ端末10の電波の受信は有り得ないので、削除しても良い。又、強度距離テーブル700の代わりに所定の演算式を予め用意し、当該演算式に電波強度を代入することで出力される受信距離を用いても良い。又、簡易的に、例えば、端末位置取得部204は、電波強度701に対応する受信距離r1をそのまま利用し、飛行位置(「X1、Y1」)を中心とし、受信距離r1を半径とする円領域70をユーザ端末10の存在位置として算出しても良い。
【0043】
このように、近距離無線通信における電波強度を用いてユーザ端末10の存在位置を具体的に限定することで、ユーザ端末10の存在位置の精度を向上させることが出来る。例えば、GPSのみを搭載したユーザ端末でユーザの存在位置を算出する場合、ユーザ端末がGPS衛星と直接通信する必要があるため、GPS衛星信号等の電波の受信が難しいエリア(例えば、陰影地域、ビル間地域)では、GPS位置情報の誤差は100m以上となったり、GPS位置情報を取得することが出来なかったりする。一方、本発明では、上空のドローン12がGPS衛星信号を受信するため、電波受信困難エリアと比較して、GPS位置情報の誤差は数mまで抑えられる。例えば、見晴らしの良い上空のエリアにおけるGPS位置情報の誤差は数m以下である。更に、ドローン12は、上空から、ユーザ端末10と近距離無線通信をするため、従来、電波の受信が難しいとされるエリアであっても、ドローン12はユーザ端末10からの近距離無線電波を数十m以内の範囲で確実に受信出来る。つまり、GPS位置情報と近距離無線電波とを組み合わせることで、ユーザ端末10の存在位置の誤差を数mまで抑え、且つ、ユーザ端末10の存在位置を数十m以下まで詳細に算出することが出来る。
【0044】
さて、端末位置算出部204がユーザ端末10の存在位置を算出すると、サーバ14のユーザ属性分析部205は、前記算出されたユーザ端末10の存在位置を、前記エリア40に対応する地図情報に配置し、当該配置された地図情報の場所の特徴を示す場所特徴情報に基づいて、当該ユーザ端末10のユーザ属性情報を分析する(図3:S106)。
【0045】
ここで、ユーザ属性分析部205がユーザ属性情報を分析する方法に特に限定は無い。例えば、ユーザ属性分析部205が、サーバ14のデータベースに予め記憶されているエリア40の地図情報を取得する。地図情報には、建物の名称、山の名称、川の名称等、地図の基本情報が予め登録されている。
【0046】
前記エリア40が商店街である地図情報71には、例えば、図7Bに示すように、エリア40内の各場所毎に設置された建物の名称72(例えば、「Department Store A」等)が登録されている。
【0047】
ここで、地図情報71内の基本情報に応じて、エリア40内の特定の場所に、当該場所の特徴を示す場所属性情報(カテゴリ)が予め設定されている。例えば、図7Bに示すように、建物の「Department Store A」と「Shop」等が集まっている区画73の場所には、場所属性情報の「Shopping」が設定され、建物の「Cafe」と「Restaurant」等が集まっている区画74の場所には、場所属性情報の「Food and Drink」が設定され、建物の「Office」と「Book」等が集まっている区画75の場所には、場所属性情報の「Job」が設定される。場所を規定する区画や場所属性情報は、分析者により適宜設定される。
【0048】
そして、ユーザ属性分析部205が、場所属性情報が既に設定された地図情報71に、前記算出されたユーザ端末10の存在位置70を配置し、地図情報71において、ユーザ端末10の存在位置70と近接する場所の場所属性情報をユーザ属性情報として分析する。
【0049】
図7Bに示す地図情報71であれば、場所属性情報が広範囲の区画(場所)に設定されているため、ユーザ端末10の存在位置70が含まれる区画73の場所の場所属性情報「Shopping」が、ユーザ属性情報に関係すると分析され、ユーザ端末10のユーザは、「Shopping」に興味があると推定される。
【0050】
尚、上述では、場所の区画を規定して、その区画に場所属性情報を設定したが、地図情報71の基本情報毎に場所属性情報を設定しても良い。例えば、地図情報71から、場所属性情報を設定することが出来る基本情報(例えば、建物の名称)を抽出し、図8Aに示すように、場所属性情報テーブル800に、抽出した基本情報の建物の名称801(例えば、「Department Store A」等)と、当該建物の特徴を示す場所属性情報802(例えば、「Ladies‘ fashion」等)とを予め関連付けて記憶させる。これにより、各場所毎に具体的に場所属性情報を割り付けることが出来る。
【0051】
そして、図8Bに示すように、ユーザ属性分析部205が、地図情報71にユーザ端末10の存在位置70を配置する。ユーザ端末10の存在位置70は円領域で示されるため、ユーザ属性分析部205は、この円領域70に重複する建物を選択する。ここで、重複する建物が複数の場合は、例えば、ユーザ属性分析部205は、この円領域70に重複する建物(例えば、「Department Store A」、「Department Store B」)の面積を算出し、最も大きい面積を有する建物(「Department Store A」)を、ユーザ端末10のユーザが最も近接した建物として選択する。他の方法により選択しても良い。そして、ユーザ属性分析部205は、場所属性情報テーブル800を参照して、選択した建物に対応する場所属性情報をユーザ属性情報として分析する。
【0052】
このように、高精度なユーザ端末10の存在位置70を用いることで、当該存在位置70に関係する地図情報71の場所を具体的に特定し易くなり、地図情報71の場所毎に分類された場所属性情報でユーザ属性情報を具体的に分析することが可能となる。
【0053】
さて、ユーザ属性分析部205がユーザ属性情報を分析すると、ドローン12の飛行経路41が終了しない限り(図3:S107NO)、飛行制御部201は、引き続き、ドローン12の飛行を継続し(図3:S101)、電波取得部202は、近距離無線電波の検出を再開する(図3:S102)。このように、ドローン12の飛行により無線機器11を移動させて複数のユーザ端末10をモニタリングすることが出来るため、複数の無線機器11を必要とせず、広範囲で複数のユーザの行動情報を収集することが出来る。
【0054】
ところで、ユーザ属性分析部205がユーザ属性情報を分析した時点で、このユーザのユーザ端末10に、ユーザ属性情報に対応する配信情報を配信しても良い。例えば、サーバ14の情報配信部206は、配信情報テーブルを参照する。図9Aに示すように、配信情報テーブル900には、ユーザ属性情報901と、当該ユーザ属性情報901(例えば、「Ladies‘ fashion」)を有するユーザに好まれると思われる配信情報902(例えば、「abc」)とが関連付けて記憶されている。配信情報902は、例えば、ユーザ端末10の存在位置を含む場所に関係する宣伝広告情報、観光案内情報、その場所の建物に関係する宣伝広告情報、その場所の緊急情報を含む。情報配信部206は、配信情報テーブル900に基づいて、ユーザ属性情報901に対応する配信情報902を取得する。ユーザ属性情報は、ユーザ端末10の存在位置70に応じて異なることから、各ユーザ端末10毎に、ユーザ端末10を所有するユーザに適した配信情報902を配信することが出来る。
【0055】
ここで、一つのユーザ属性情報901に対して複数の配信情報902を関連付けることが可能であるため、例えば、一つの配信情報902に対して、前記エリア40内の特定の区画を規定する存在領域903を関連付けて記憶させておく。そして、情報配信部206は、一つのユーザ属性情報901に対して複数の配信情報902が存在する場合に、ユーザ端末10の存在位置70に重複又は近接する存在領域903を指定し、指定した存在領域903に対応する配信情報902を取得しても良い。ユーザ属性情報901が分析された時点と、配信情報902が配信される時点が異なる場合、存在領域903に応じて異なる配信情報902を配信することは、最適な配信情報902の配信の観点から、特に有効である。又、複数の配信情報902のそれぞれに対して優先度904を関連付けて記憶させておき、情報配信部206は、優先度904が最も高い配信情報902を取得しても良い。優先度904は、時期等に応じて適宜変更される。このように、存在領域903や優先度904を考慮して配信情報902を切り替えることで、ユーザに適した配信情報902をタイミングよく配信することが出来る。尚、存在領域903及び優先度904の組み合わせに基づいて、特定のユーザ端末10に対して、複数の配信情報902のうち、最適な配信情報902を限定しても良い。
【0056】
そして、情報配信部206は、図9Bに示すように、ユーザ端末10の端末ID(「aaa」)を用いて、取得した配信情報902を、ドローン12の無線機器11又はネットワーク13を介して、ユーザ属性情報901を有するユーザのユーザ端末10に配信する(図3:S108)。配信形態に特に限定は無いが、例えば、プッシュ型配信である。
【0057】
ここで、配信情報902を受信したユーザ端末10は、配信画面を表示する。配信画面905は、図9Bに示すように、情報を受信したことを示すシンボル「!」906と、配信情報902の内容(例えば、「Fashion Sale」)907と、「OPEN」キー908と、「CLOSE」キー909とが表示される。表示形態は、ダイアログ表示、バナー表示、バッジ表示を含む。
【0058】
ユーザが、「OPEN」キー908をタッチすると、ユーザ端末10は、配信情報902の提供者のリンク先を参照し、リンク先の詳細情報(例えば、クーポン情報)を表示する。これにより、ユーザに、興味を示す可能性がある情報を直ぐに提供することが出来る。リンク先は、店舗情報、地域情報、リニューアル情報、お勧め情報等を含む。又、ユーザが、「CLOSE」キー909をタッチすると、ユーザ端末10は、配信画面905を消去する。配信情報902がプッシュ通知の場合、プッシュ通知の開封は、ネットワーク13を介してサーバ14へ通知されるため、配信情報902のプッシュ通知の開封率を検討することで、配信情報902の見直しを図ることが出来る。
【0059】
又、上述では、情報配信部206は、ユーザ属性情報を分析したユーザ端末10の全てに、各ユーザ端末10毎に適した配信情報902を配信するが、専用のアプリケーションをダウンロードした特定のユーザ端末10に限定して配信情報902を配信しても良い。又、ユーザ端末10にダウンロードされるアプリケーションに、無線機器11のSDK(ソフトウェア開発キット)を任意のアプリケーションに組み込むことで、当該アプリケーションを有するユーザ端末10に配信情報902を配信しても良い。
【0060】
ところで、端末位置算出部204が、特定の(同一の)ユーザ端末10に対して検出時刻が異なる複数の存在位置を算出した場合、当該検出時刻を用いて、前記複数の存在位置を時系列に関連付けることで、前記特定のユーザ端末10の移動形跡を算出し、ユーザ属性分析部205は、前記地図情報に、前記算出されたユーザ端末10の移動形跡を配置することで、ユーザの生活パターン、趣味趣向を含むユーザ属性情報を分析しても良い。
【0061】
例えば、図10Aに示すように、飛行制御部201が、ドローン12を第一の地点P1から、第二の地点P2を通過させ、第三の地点P3へ向かっている最中に、先ほど存在位置を算出されたユーザ端末10のユーザが、当該ドローン12の無線機器11の下方に接近したとする。すると、無線機器11が、上述と同様に、ユーザ端末10からの電波を検出し、電波取得部202は、当該電波の端末ID(「aaa」)と、電波強度(「Far」)と、検出時刻(例えば、「2016/4/5/ 9:30」)とを電波情報として取得する(図3:S103)。更に、飛行位置取得部203は、ドローン12のGPSユニット50に基づいて、無線機器11が前記電波を検出した際のドローン12のGPS位置情報をドローン12の飛行位置として取得する(図3:S104)。
【0062】
そして、端末位置算出部204が、図10Bに示すように、情報テーブル600において、ドローン12の機器ID(「111」)601に対して、新たに取得された電波情報602と、飛行位置603(「X2、Y2」)とを関連付けて記憶させる。
【0063】
図11Aに示すように、端末位置算出部204は、例えば、新規の飛行位置603(「X2、Y2」)を中心とし、新規の電波情報602の電波強度603bに対応する受信半径(「r2」)を半径とする円領域110を、端末ID(「aaa」)のユーザ端末10の存在位置として算出する。
【0064】
次に、図11Aに示すように、端末位置算出部204が、同一の端末IDにおける複数の存在位置70、110を時系列に関連付けることで、当該ユーザ端末10の移動形跡111を算出することが出来る。そして、ユーザ属性分析部205は、ユーザ端末10の移動形跡111を地図情報71に配置し、当該地図情報71において、ユーザ端末10の移動形跡111の存在位置70、110に近接する場所の場所属性情報を時系列の順番に各存在位置70、110毎に取得する。ここでは、場所属性情報として、例えば、「Shopping」と「Job」とが順番に取得される。
【0065】
図11Bに示すように、ユーザ属性情報テーブル1100に、複数の場所属性情報1101と、当該複数の場所属性情報1101(組み合わせ)により推定されるユーザ属性情報1102とが関連付けて記憶される。ここでの場所属性情報1101は、種類に加えて順番を含む。又、ユーザ属性情報1102は、性別、年齢層、趣味趣向、生活パターンを含む。そして、ユーザ属性分析部205は、ユーザ属性情報テーブル1100の場所属性情報1101に対して、複数の場所属性情報(「Shopping」、「Job」)を順番に比較し、一致した複数の場所属性情報1101(「Shopping」、「Job」)に対応するユーザ属性情報1102(「Office Lady」)を当該ユーザ端末10のユーザ属性情報として取得する。このように、複数の場所属性情報の種類と順番を考慮することで、ユーザ属性情報を具体的に分析・解析することが出来る。尚、取得した複数の場所属性情報の順番を考慮せず、複数の場所属性情報の種類から、ユーザ属性情報をラフに分析・解析しても良い。
【0066】
尚、上述では、二つの異なる飛行位置により、検出時刻の異なる二つの存在位置を算出し、一つの移動形跡を算出したが、同一の飛行位置であっても、電波強度が異なることで、検出時刻の異なる二つの存在位置を算出することが出来る。そのため、この場合であっても、電波強度が切り替わる毎に(例えば、「Far」 −> 「Near」)、検出時刻の異なる二つの存在位置から一つの移動形跡を算出して、ユーザ属性情報の分析に繋げても良い。更に、同一のユーザ端末10において検出時刻の異なる二つ以上の存在位置が算出された場合であっても、同様である。
【0067】
又、端末位置算出部204が、検出時刻の異なる二つ以上の存在位置を時系列に関連付ける場合に、時系列で隣接する二つの存在位置の二つの検出時刻の間隔が所定時間(例えば、1時間等)以内であれば、当該二つの存在位置を時系列に関連付け、前記二つの検出時刻の間隔が所定時間を超過すれば、当該二つの存在位置を時系列に関連付けずに、別の移動形跡の一部と判断しても良い。これにより、時間的に近接する二つの存在位置で移動形跡を算出することが可能となり、現実のユーザの移動形跡に近づけることが出来る。
【0068】
又、特定のユーザ端末10のユーザが、前記エリア40において、異なる時刻で繰り返し出現し、ドローン12の無線機器11が当該特定のユーザ端末10の電波を繰り返し検出すれば、特定のユーザ端末10に対して複数のユーザ属性情報が分析結果として生成される。この場合に、ユーザ属性分析部205は、複数のユーザ属性情報のうち、出現頻度が高いユーザ属性情報、又は現時点から所定期間(例えば、数日)前までに分析されたユーザ属性情報を優先的に抽出することで、現実のユーザ属性情報に近づけることが出来る。
【0069】
ところで、メインストリート等、大量のユーザ端末10が存在するエリア40では、端末位置算出部204は、大量のユーザ端末10の存在位置を算出することが出来る。そこで、ユーザ属性分析部205は、大量のユーザ端末10の存在位置が集中している地図情報71の場所の場所属性情報に基づいて、前記エリア40におけるグループ(群衆)のユーザ属性情報を分析しても良い。
【0070】
例えば、図12Aに示すように、分析者は、飛行開始地点P0から、行き方向で、複数の地点P1、P2、P3を通過して、飛行開始地点P0へ到着し、更に、飛行開始地点P0から、帰り方向で、複数の地点P3、P2、P1を通過して、飛行開始地点P0へ戻る飛行経路41を設定する。次に、飛行制御部201が、ドローン12を各地点P1、、、P3毎に向かって飛行させる。ここでは、理解を容易にするために、電波取得部202が、各地点P1、、、P3毎に、無線機器11で複数のユーザ端末10のそれぞれから近距離無線電波を検出し、各ユーザ端末10毎の電波情報を取得する。そして、飛行位置取得部203は、ドローン12の地点PのGPS位置情報をドローン12の飛行位置として取得する。
【0071】
ここで、ユーザ端末10の数が膨大であることから、例えば、端末位置算出部204は、各ユーザ端末10毎の電波情報の電波強度を一律にし、取得された飛行位置Pの真下をユーザ端末10の存在位置として算出し、算出した存在位置Pに、複数のユーザ端末10(電波情報の端末ID)を関連付ける。そして、ユーザ属性分析部205が、地図情報71に、存在位置P0、P1、、、P3を配置し、存在位置Pに関連付けられたユーザ端末10(ユニーク(一意な)端末ID)の数をカウントし、カウントした数に対応するサイズの円を、各存在位置P毎に表示する。
【0072】
ここで、飛行経路41は、一つの地点Pにおいて行き方向と帰り方向でのユーザ端末10の電波情報を収集する機会があるため、特定の存在位置Pに対して行き方向及び帰り方向で関連付けられた端末IDを全て合算して、合算した端末IDの数をカウントしても良いし、行き方向と帰り方向とで区別して端末IDの数をカウントしても良い。
【0073】
図12Bに示すように、ユーザ属性分析部205が、地図情報71における各存在位置P毎に、端末IDの数を示す円120をそれぞれ表示すると、この円120のサイズがユーザの数に対応するため、どの場所にユーザが集中しているか一見して理解することが出来る。そして、ユーザ属性分析部205が、最もサイズの大きい円120aに近接する場所の場所属性情報(例えば、「Food and Drink」)を利用して、このエリア40におけるグループのユーザ属性情報として分析する。このように、ドローン12の飛行により、広範囲のエリア40におけるユーザの集中具合をモニタニングすることが可能となり、このエリアのグループのユーザ属性情報(趣味趣向等)を具体的に分析することが出来る。尚、上述では、円120のサイズを端末IDの数に対応させたが、例えば、所定のサイズを有する円の色の濃淡を端末IDの数に対応させても良い。
【0074】
又、飛行経路41を行き方向だけでなく帰り方向を含めることで、複数の存在位置のうち、二つの存在位置の二点間リンク強度を算出し易くなる。即ち、ドローン12が飛行経路41の飛行を完了すると、図13Aに示すように、端末情報テーブル1300に、存在位置(例えば、「P0」等)1301と、電波情報(端末ID)が収集された際の飛行方向(例えば、「行き方向」、「帰り方向」)1302と、電波情報の端末ID(例えば、「aaa」等)1303と、当該電波情報の検出時刻1304とが関連付けて記憶される。
【0075】
一方、二つの存在位置の組み合わせ(例えば、「P0 −> P1」、「P0 −> P1」等)を移動形跡パターン1305として定義し、ユーザ属性分析部205が、各存在位置1301毎に特定の端末ID1303を検索し、特定の端末ID1303が二つ以上存在する場合には、特定の端末ID1303の電波情報の検出時刻1304を用いて、特定の端末IDにおける二つ以上の存在位置を時系列に関連付けて、特定の端末IDの移動形跡として算出する。そして、ユーザ属性分析部205は、特定の端末IDの移動形跡と、定義した移動形跡パターン1305とを各端末ID毎に比較し、両者が一致した移動形跡パターンの数をカウントする。そして、ユーザ属性分析部205が、最も数の多い移動形跡パターンをグループの移動形跡パターン(生活パターン)として分析しても良い。
【0076】
図13Bに示すように、ユーザ属性分析部205が、地図情報71においる各存在位置P毎に、端末IDの数に対応する円120を表示するとともに、移動形跡パターンの数に対応する幅で、且つ、移動形跡パターンの始点の存在位置から終点の存在位置までを指す矢印130を表示すると、グループの大きさとグループの移動方向が一見して理解することが出来る。図13Bには、最も数の多い移動形跡パターン(「P1 −> P2」)から三番目に数の多い移動形跡パターン(「P3 −> P1」)までの矢印130を示している。そして、ユーザ属性分析部205が、最も数の多い移動形跡パターン(「P1 −> P2」)の始点の存在位置P1と終点の存在位置P2のそれぞれに近接する場所の場所属性情報(例えば、「Food and Drink」と「Job」)を順番に取得する。ユーザ属性分析部205が、上述のように、ユーザ属性情報テーブル1100を利用することで、複数の場所属性情報(「Food and Drink」、「Job」)に基づいてグループのユーザ属性情報(「Worker」)を具体的に分析することが出来る。
【0077】
このような分析手法は、例えば、宣伝広告の有効性を検討する上で利用される。図14Aに示すように、ドローン12の飛行により、最も数の多い移動形跡パターン130aは「P1 −> P2」であった場合、グループの移動方向を変えるために、この移動形跡パターン130aの始点の存在位置P1と終点の存在位置P2との間に、グループが集中して欲しい場所の場所属性情報(例えば、「Shopping」)に関係する広告提示部140を設置する。広告提示部140の種類に特に限定は無く、例えば、ポスター、ボード、看板、掲示板、デジタルサイネージ、ホログラム表示装置、音声放送のスピーカー、チラシの配布等を含む。そして、広告提示部140が設置された後に、再度、ドローン12の飛行により、広範囲のエリアにおけるグループの大きさ及びグループの移動方向をモニタニングする。
【0078】
例えば、広告提示部140が設置された後において、図14Bに示すように、最も数の多い移動形跡パターン130aが「P1 −> P0」に変化したとする。ここで、終点の存在位置P0における場所の場所属性情報が「Shopping」である場合、広告提示部140が通行人に有効に機能して、場所属性情報が「Shopping」の場所に誘導したと判断することが出来る。一方、最も数の多い移動形跡パターン130aが「P1 −> P2」と同じであれば、広告提示部140が機能していないと判断することが出来る。
【0079】
尚、上述では、ドローン12が飛行した所定の時間帯におけるユーザ端末10の存在位置を算出し、ユーザのユーザ属性情報を分析したが、一日の時間帯(朝、昼、夜)、季節(春夏秋冬)等のうち、複数の時間帯を予め設定しておき、各時間帯毎にユーザ端末10の存在位置を算出し、各時間帯毎にユーザのユーザ属性情報を分析しても良い。更に、各時間帯毎のユーザ端末10の存在位置及びユーザ属性情報を比較することで、エリア40におけるユーザの移動方向の変動やユーザの趣味趣向の移り変わりを解析することが出来る。複数のユーザ端末10で構成されるグループのユーザ属性情報であっても同様である。
【0080】
又、ドローン12の無線機器11は、Beacon端末15aの電波も検出することが出来るため、エリア40内において、どこの場所にBeacon端末15aが存在するか算出することが出来る。ユーザ属性情報の分析とともに、宣伝広告やマーケティングのために利用されているBeacon端末15aの存在もモニタリングして、Beacon端末15aの有効性を評価しても良い。
【0081】
ところで、上述では、商店街を往来するユーザのユーザ属性情報を分析したが、地図情報の場所に、特定のユーザを示す場所属性情報を設定することで、特定のユーザを判別することが出来る。例えば、配達の依頼人が、配達人に荷物の配達を依頼する場合、配達人が、地図情報71の配達場所に「配達先」を場所属性情報として予め設定する。そして、配達人が、配達元から配達先までの飛行経路41をドローン12に入力し、ドローン12で荷物を配達させる。飛行制御部201は、飛行経路41に基づいて、ドローン12を配達先まで飛行させ、ドローン12の無線機器11は、ドローン12の飛行中、ユーザ端末10からの近距離無線電波を検出する。
【0082】
図15Aに示すように、ドローン12が配達場所に接近し、無線機器11が、配達場所に存在する依頼人のユーザ端末10から近距離無線電波を検出すると、電波取得部202が、依頼人のユーザ端末10の端末ID(「bbb」)を含む電波情報を取得し、飛行位置取得部203が、ドローン12の飛行位置を取得する。そして、端末位置算出部204は、配達場所を含むユーザ端末10の存在位置を算出する。
【0083】
ここで、ユーザ属性分析部205は、地図情報71に、配達場所を含むユーザ端末10の存在位置を配置することで、当該配達場所の場所属性情報「配達先」に基づいて、当該ユーザ端末10のユーザ属性情報を「依頼人」として分析する。この分析結果を受けて、例えば、情報配信部206は、ユーザ端末10の端末ID(「bbb」)を用いて、ユーザ属性情報の「依頼人」に対応する配信情報(「xyz」)を、当該ユーザ端末10に配信する。
【0084】
配信情報(「xyz」)に対応する配信画面1500は、図15Aに示すように、シンボル「!」1501と、配信情報の内容1502(例えば、「Drone will deliver products soon!」、「Drone will arrive in 1 minute.」等)と、OKキー1503とが表示される。配信画面1500は適宜設計される。これにより、依頼人に対して荷物の配達を案内することが可能となる。このような案内型の配信情報は、上述した専用のアプリケーションやSDKを組み込んだアプリケーションを利用すると、依頼人を限定して配信出来るため、好ましい。
【0085】
又、本発明では、ドローン12の飛行によるユーザ端末10のモニタリングを実現するため、例えば、人が行き難いエリアや携帯端末の通話用電波が圏外のエリア(例えば、雪山等)で遭難した遭難者を検索することが出来る。
【0086】
例えば、検索人が遭難者を捜索する場合、遭難者は自己のユーザ端末10からの近距離無線電波を発信させ、捜索人は、地図情報71のうち、遭難したと考えられる遭難場所(例えば、山奥全般)に「遭難先」を場所属性情報として予め設定する。そして、捜索人が、遭難場所を含むエリアの飛行経路41をドローン12に入力し、飛行制御部201は、飛行経路41に基づいてドローン12を飛行させる。無線機器11は、ドローン12の飛行中、ユーザ端末10からの近距離無線電波を検出する。
【0087】
図15Bに示すように、ドローン12が山奥の上空を飛行中に、無線機器11が、遭難者のユーザ端末10に接近し、このユーザ端末10からの近距離無線電波を検出すると、電波取得部202が、ユーザ端末10の端末ID(「ccc」)を含む電波情報を取得し、飛行位置取得部203が、ドローン12の飛行位置を取得する。そして、端末位置算出部204は、遭難場所を含むユーザ端末10の存在位置を算出する。
【0088】
ここで、ユーザ属性分析部205は、地図情報71に、遭難場所を含むユーザ端末10の存在位置を配置することで、当該遭難場所の場所属性情報「遭難先」に基づいて、当該ユーザ端末10のユーザ属性情報を「遭難先」として分析する。この分析結果を受けて、例えば、情報配信部206は、ユーザ端末10の端末ID(「ccc」)を用いて、ユーザ属性情報の「遭難先」に対応する配信情報(「uvw」)を、当該ユーザ端末10に配信する。
【0089】
配信情報(「uvw」)に対応する配信画面1504は、図15Bに示すように、シンボル「!」1505と、配信情報の内容1506(例えば、「Drone was discovered you. Rescue assistance!」等)と、OKキー1507とが表示される。配信画面1504は適宜設計される。これにより、遭難者を素早く発見することが出来るとともに、遭難者に対して救助の案内や避難勧告等の情報を配信することが可能となる。尚、ネットワーク13は、衛星通信網を含むため、通話用の電波が圏外であっても、サーバ14からネットワーク13を介して情報を配信出来る。又、上述では、遭難者を対象としたが、例えば、災害(震災等)の後の倒壊家屋に閉じ込められた被災者を対象としても良い。
【0090】
ところで、ドローン12の無線機器11が上空でユーザ端末10をモニタリングしている最中に、ドローン12が、電力切れ等の理由により墜落する可能性がある。これを防止するために、ユーザ端末10が集中している飛行経路41では、緊急用バッテリーを利用しても良い。例えば、電波取得部202が、複数のユーザ端末10から電波情報を取得すると、サーバ14の端末数判定部207が、取得された電波情報の端末ID(ユーザ端末10)の数をカウントし、当該カウント数が所定の閾値(例えば、10)以上か否かを判定する。判定の結果、カウント数が閾値未満の場合は、サーバ14のバッテリー切替部208は、特に何もしない。一方、判定の結果、カウント数が閾値以上の場合は、バッテリー切替部208は、ネットワーク13を介して、ドローン12を飛行させるための通常用バッテリーから、通常用バッテリーの電力量よりも高い電力量を有する緊急用バッテリーに切り替える。これにより、ドローン12の下方に複数のユーザ端末10が集中している場所では、電力切れ等の理由によるドローン12の墜落を確実に防止する。又、バッテリー切替部208が緊急用バッテリーに切り替えた後、ドローン12が飛行中に、電波取得部202が、新たに電波情報を取得すると、端末数判定部207は、取得された電波情報の端末IDの数をカウントし、カウント数が閾値以上か否かを判定する。判定の結果、カウント数が閾値以上の場合は、バッテリー切替部208は、特に何もしない。一方、判定の結果、カウント数が閾値未満の場合は、バッテリー切替部208は、緊急用バッテリーから通常用バッテリーに切り替える。これにより、ユーザ端末10が集中しない場所では、通常用バッテリーの使用となり、緊急用バッテリーの電力を無駄に消費しなくて済む。尚、端末数判定部207と、バッテリー切替部208とは、サーバ14に限らず、ドローン12に備えても良い。
【0091】
又、上述では、1台のドローン12の場合を説明したが、複数台のドローン12の場合であれば、ユーザ端末10の存在位置を高精度に算出することが出来る。例えば、図16Aに示すように、飛行制御部201は、3台のドローン12を三角形に隊列させた状態で3台のドローン12を飛行させる。尚、隊列の形状は、厳密な三角形である必要はない。この状態で3台のドローン12がユーザ端末10に接近すると、同一の検出時刻において3台のドローン12のそれぞれの無線機器11から電波情報が取得される。例えば、3台のドローン12が上空でユーザ端末10を囲むことで、3つの電波情報が得られる。そこで、端末位置算出部204は、3台のドローン12の飛行位置(例えば、「Xa、Ya」、「Xb、Yb」、「Xc、Yc」)における3つの電波強度(例えば、「Far」)を用いて三角測量を行うことで、ユーザ端末10の存在位置を算出する。
【0092】
具体的には、端末位置算出部204は、それぞれの飛行位置を中心に、それぞれの電波強度に対応する受信距離を半径とする3つの円領域を算出し、3つの円領域が重複する部分の重心位置をユーザ端末10の存在位置として算出する。これにより、3つの円領域の重複による重心位置は一か所に限定されるため、ユーザ端末10の存在位置を高精度に求めることが出来る。例えば、近距離無線通信における三角測量では、ユーザ端末10の存在位置の誤差は、電波受信状況に応じて、1m以下になり得る。GPS位置情報と組み合わせることで、更に、ユーザ端末10の存在位置を高精度に求めることが出来る。尚、3台以上のドローン12を所定の隊列状態で飛行させると、更に、ユーザ端末10の存在合位置を高精度に算出することが出来る。
【0093】
データベース上では、図16Bに示すように、情報テーブル1600に、機器ID1601と、電波情報1602(端末ID1602a、電波強度1602b、検出時刻1602c)と、飛行位置1603とが関連付けて記憶される。ここで、同一の端末ID1602aで、且つ、同一の検出時刻1602cにおいて、3つ以上の機器ID1601が存在する場合には、3台のドローン12のそれぞれの無線機器11から電波情報が取得されたことになる。端末位置算出部204は、3つの電波情報が得られたと判断し、3つの飛行位置1603と、3つの電波強度1602bとに基づいてユーザ端末10の存在位置を算出する。
【0094】
ここで、3台のドローン12を所定のエリアで飛行させると、大量のユーザ端末10の存在位置が精度高く得られる。例えば、図17Aに示すように、3台のドローン12を所定の隊列でエリア1700の飛行開始地点P0から飛行させて、複数の地点P1、P2、P3を通過して、飛行開始地点P0へ帰還させる飛行経路1701を設定する。すると、図17Bに示すように、エリア1700において複数のユーザ端末10の存在位置が精度高く算出される。この場合、ユーザ属性分析部205は、エリア1700の各場所毎に、複数のユーザ端末10の存在位置が集まっているフィールドをグループフィールド1702として区分する。グループフィールド1702の区分方法に特に限定は無く、例えば、区分するグループフィールド1702の最大範囲を予め設定し、ユーザ属性分析部205は、所定の場所に集まっている複数のユーザ端末10を全て含むフィールドで、且つ、設定された最大範囲以内のフィールドを円形で囲んで、グループフィールド1702を形成する。そして、ユーザ属性分析部205は、区分したグループフィールド1702に含まれる端末IDの数をカウントし、端末IDの数が多い程、濃くなる色でグループフィールド1702を表示する。そして、ユーザ属性分析部205は、最も端末IDの数が多いグループフィールド1702aに近接する場所の場所属性情報から、エリア1700のグループのユーザ属性情報を具体的に分析する。
【0095】
又、ユーザ属性分析部205は、上述の飛行経路1701において、3台のドローン12を行き方向から帰り方向まで往復で飛行させることで、二つのグループフィールド1702の二点間リンク強度を算出出来る。例えば、ユーザ属性分析部205は、特定の端末IDにおける検出時刻を用いて、特定の端末IDにおける二つ以上のグループフィールド1702を時系列に関連付けて、特定の端末IDの移動軌跡を算出し、当該移動形跡と、二つのグループフィールド1702の組み合わせで構成される移動形跡パターンとを比較して、移動形成パターンの数をカウントし、最も数が多い移動形跡パターンをグループの移動形跡パターンとして分析すれば良い。グループの移動形跡パターンは、図17Bに示すように、始点のグループフィールドから終点のグループフィールドまでを指す矢印1703で表示される。宣伝広告の有効性についても、上述と同様に行われる。又、二点間リンク強度は、グループフィールド1702を単位とせず、ユーザ端末10の移動形跡を単位とし、複数のユーザ端末10の移動形跡を平均化することで求めても良い。
【0096】
又、3台のドローン12を1つのドローングループとして構成し、複数のドローングループを所定の飛行経路に順次飛行させることで、ユーザ端末10の存在位置及び移動形跡をリアルタイムにモニタリングすることが出来る。
【0097】
又、本発明の実施形態では、分析システム1が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを装置に読み出させ、当該装置が前記各部を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各部が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明に係る分析システム及び分析方法は、ビル、マンション、店舗、通路、駅、ショッピングモール、山、川等の広範囲なエリアに有用であり、上空から屋外を含む広範囲のユーザの行動情報を高精度に収集し、ユーザ属性情報を具体的に分析することが可能な分析システム及び分析方法として有効である。
【符号の説明】
【0099】
1 分析システム
10 ユーザ端末
11 無線機器
12 ドローン
13 ネットワーク
14 サーバ
201 飛行制御部
202 電波取得部
203 飛行位置取得部
204 端末位置算出部
205 ユーザ属性分析部
206 情報配信部
207 端末数判定部
208 バッテリー切替部
【要約】
【解決手段】飛行制御部201は、エリアにおける飛行経路に沿って、1台又は複数台の無人飛行機12を飛行させる。電波取得部202は、無人飛行機12の無線機器11がユーザ端末10の近距離無線電波を検出すると、電波強度を含む電波情報を取得する。飛行位置取得部203は、前記無人飛行機のGPSユニットに基づいて、前記無線機器11が前記近距離無線電波を検出した際の無人飛行機12のGPS位置情報を前記無人飛行機12の飛行位置として取得する。端末位置算出部204は、前記取得された電波情報の電波強度と、前記取得された無人飛行機12の飛行位置とに基づいて、前記エリアにおけるユーザ端末10の存在位置を算出する。ユーザ属性分析部205は、前記算出されたユーザ端末10の存在位置を、前記エリアに対応する地図情報に配置し、当該配置された場所の場所特徴情報に基づいて、当該ユーザ端末10のユーザ属性情報を分析する。
【選択図】図2
図1
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図17