特許第6020910号(P6020910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020910
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/10 20060101AFI20161020BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20161020BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G03B21/10 Z
   B60K35/00 Z
   G03B21/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-280397(P2012-280397)
(22)【出願日】2012年12月24日
(65)【公開番号】特開2014-123083(P2014-123083A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 守
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 寿巳
【審査官】 田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平7−5886(JP,U)
【文献】 特開2006−11237(JP,A)
【文献】 特開2012−113127(JP,A)
【文献】 特開2008−175960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K35/00−37/06
G03B21/00−21/30、33/00−33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示画像を示す表示光を出射する表示光出射手段と、
前記表示光出射手段が出射した表示光を投影するスクリーンと、を備え、
前記スクリーンに投影した表示光により、前記スクリーンの表示面上に前記表示画像を表示する車両用表示装置であって、
前記スクリーンは、その表示面に前記表示光出射手段の焦点深度の範囲内に位置する焦点深度内領域と前記表示光出射手段の焦点深度の範囲外に位置する焦点深度外領域とを有し、前記焦点深度内領域に前記表示画像として文字あるいは数字を含む画像が表示され、前記焦点深度外領域に前記表示画像として文字及び数字を含まない画像が表示されてなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記焦点深度外領域に装飾画像が表示されてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記装飾画像は、前記焦点深度外領域から前記焦点深度内領域に至るように表示されてなることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
所定の表示画像を示す表示光を出射する表示光出射手段と、
前記表示光出射手段が出射した表示光を投影するスクリーンと、を備え、
前記スクリーンに投影した表示光により、前記スクリーンの表示面上に前記表示画像を表示する車両用表示装置であって、
前記スクリーンは、その表示面に前記表示光出射手段の焦点深度の範囲内に位置する焦点深度内領域と前記表示光出射手段の焦点深度の範囲外に位置する焦点深度外領域とを有し、前記焦点深度内領域に前記表示画像として文字あるいは数字を含む画像が表示され、前記焦点深度外領域に文字あるいは数字を含む意匠が形成されてなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項5】
前記スクリーンを含む立体的に設けられる複数のスクリーンを備え、前記複数のスクリーンの各々が視認者の視点から略等距離となるように設けられてなることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示光出射手段から出射される表示光をスクリーンの表示面に投影して表示画像を表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、視認者に向かって凸となる曲面形状を有するスクリーンと、このスクリーンの後方に位置し、スクリーン上に所定画像を投影して映し出すプロジェクタと、を備える車両用表示装置が開示されている。かかる車両用表示装置によれば、スクリーンを曲面形状とすることで画像を立体的に表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−262964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用表示装置に用いられるプロジェクタは、コスト面や車室内に配置可能な容量の制約から焦点深度が比較的狭いものを用いなければならない場合が多い。ここで、焦点深度とは、レンズでスクリーンに物体の像を映すときにレンズとスクリーンとの距離が変わっても像が暈けない範囲を指す。すなわち、スクリーンが焦点深度外に位置する場合はそのスクリーンに投影される像が暈けて表示されることとなる。しかしながら、特許文献1に係る技術のようにスクリーンを曲面状とする場合や、スクリーンの表示面を立体的に設ける場合のように、スクリーンの形状や配置によって立体的な表示を行う場合には、焦点深度が比較的狭いプロジェクタを用いるとスクリーンの表示面に焦点深度外の領域が生じて画像の一部が暈けて表示され、視認性が低下するという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題に着目してなされたものであり、スクリーンに立体的な表示を行う場合であっても、視認性を向上させることが可能な車両用表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、所定の表示画像を示す表示光を出射する表示光出射手段と、前記表示光出射手段が出射した表示光を投影するスクリーンと、を備え、前記スクリーンに投影した表示光により、前記スクリーンの表示面上に前記表示画像を表示する車両用表示装置であって、前記スクリーンは、その表示面に前記表示光出射手段の焦点深度の範囲内に位置する焦点深度内領域と前記表示光出射手段の焦点深度の範囲外に位置する焦点深度外領域とを有し、前記焦点深度内領域に前記表示画像として文字あるいは数字を含む画像が表示され、前記焦点深度外領域に前記表示画像として文字及び数字を含まない画像が表示されてなることを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、所定の表示画像を示す表示光を出射する表示光出射手段と、前記表示光出射手段が出射した表示光を投影するスクリーンと、を備え、前記スクリーンに投影した表示光により、前記スクリーンの表示面上に前記表示画像を表示する車両用表示装置であって、前記スクリーンは、その表示面に前記表示光出射手段の焦点深度の範囲内に位置する焦点深度内領域と前記表示光出射手段の焦点深度の範囲外に位置する焦点深度外領域とを有し、前記焦点深度内領域に前記表示画像として文字あるいは数字を含む画像が表示され、前記焦点深度外領域に文字あるいは数字を含む意匠が形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スクリーンに立体的な表示を行う場合であっても、視認性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る車両用表示装置の搭載態様を説明するための図である。
図2】同上の車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】同上の車両用表示装置が備える表示手段の概略斜視図である。
図4】同上の車両用表示装置が備える表示手段の概略上面図である。
図5】同上の車両用表示装置が備える表示手段の概略上面図である。
図6】同上の車両用表示装置の表示例を示す図である。
図7】同上の車両用表示装置の表示例を示す図である。
図8】同上の車両用表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用表示装置を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明の実施形態に係る車両用表示装置100は、図1に示す車両1に搭載される。
また、車両用表示装置100は、図2に示すように、操作部10と、車載機器20と、制御部30と、記憶部40と、表示手段50と、を備える。
【0012】
操作部10は、図1に示すように、車両1のステアリング2に搭載されている。ステアリング2は、車両1の操舵装置の一部であり、本体部2aと、本体部2aに取り付けられるステアリングホイール2bとから構成されている。本体部2aは、車両1のステアリングシャフト(図示せず)と接続されるスポーク部である。図1に示すように、操作部10は、ユーザから見て本体部2aの右側に搭載されている。
操作部10は、複数のスイッチ群や、タッチパネル等から構成され、ユーザの入力操作に応じて、操作内容を示す操作情報を制御部30へ伝送する。
【0013】
車載機器20は、車両1のインパネに嵌め込まれるオーディオ装置、カーナビゲーション装置等である。なお、車載機器20は、車両1のダッシュボード上に載置されるクレイドルによって車両1内に着脱自在に配設されるものであってもよい。また、車載機器20は、車両1内に持ち込まれ、車両1内で使用される高機能携帯電話(所謂スマートフォン)であってもよい。
車両用表示装置100では、操作部10に対して所定の入力操作が行われると、制御部30の制御によって、車載機器20の動作に対応した画像が表示手段50に表示されるように構成されている。
【0014】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、記憶部40に格納されている動作プログラムを実行して、各種の処理や制御を行う。制御部30は、操作部10、車載機器20、記憶部40、及び、表示手段50(具体的には後述のプロジェクタ51)の各々と電気的に接続されている。また、制御部30は、車両ECU(Electronic Control Unit)等の外部装置(図示せず)から通信ラインにより伝送される車速やエンジン回転数等の車両の状態情報を取得する。なお、制御部30は、その少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の各種専用回路によって構成されていてもよい。
【0015】
記憶部40は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成されている。記憶部40は、制御部30を構成するCPUのワークエリア、CPUが実行する動作プログラムを記憶するプログラムエリア、データエリア等として機能する。プログラムエリアには、車載機器20と表示手段50の動作を制御するための動作プログラムが記憶されている。
【0016】
記憶部40のデータエリアには、実行条件、対応動作データ、画像データ等が記憶されている。(i)実行条件は、制御部30が制御信号を車載機器20に送信するトリガの役割となるデータである。車載機器20に制御信号が送信されると、制御部30は、車載機器20の動作に対応した画像を表示手段50に表示させる。実行条件は複数あり、各条件が、表示画像の種々の表示態様(表示モード)の各々と対応付けられている。(ii)対応動作データは、車載機器20に所定の動作を実行させる制御信号のデータである。対応動作データは複数あり、各々が実行条件及び表示モードと対応付けられている。(iii)画像データは、表示手段50に表示画像を表示させる画像信号のデータである。ここで、表示手段50に表示される表示画像は、車両1に関する情報を含む画像であり、車両1に関する情報として、例えば車速、エンジン回転数、残燃料、電力量、走行距離やカーナビゲーション情報等を表す。また、表示画像は、オーディオ情報を表すものであってもよい。なお、カーナビゲーション情報やオーディオ情報を表す画像は、車載機器20の動作に対応した画像である。
【0017】
操作部10に対して所定の入力操作が行われると、操作部10は、操作内容を示す操作情報を制御部30へ伝送する。操作情報を取得した制御部30は、記憶部40のデータエリアに格納されている各種データに基づいて、車載機器20の動作を制御すると共に、車載機器20の動作に対応した表示画像を表示手段50に表示させる。また、制御部30は、外部機器からの状態信号や操作部10からの操作情報や車載機器20の動作情報に基づいて、表示画像の情報を更新したり、表示されている表示画像を他の表示画像に変更したりする。
【0018】
表示手段50は、ユーザである視認者3の正面であってステアリング2の上方に位置する(図1及び図4参照)。表示手段50は、図3に示すように、プロジェクタ51と、反射部材52と、第一のスクリーン53と、第二のスクリーン54と、第三のスクリーン55と、を備える。
【0019】
プロジェクタ(投影機)51は、制御部30の制御によって、車載機器20の動作に対応した表示画像を示す表示光Lを反射部材52に向けて出射する。すなわち、プロジェクタ51は、本発明の表示光出射手段として機能する。プロジェクタ51は、例えば、光源からの光を、液晶パネルを透過させて表示光Lを形成する液晶プロジェクタからなる。なお、プロジェクタ51は複数あってもよい。
【0020】
反射部材52は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂性基板に、アルミニウム等の金属を蒸着させて反射面を形成してなるミラー板である。プロジェクタ51から出射された表示光Lは、反射部材52で反射し、第一〜第三のスクリーン53〜55に入射する。
【0021】
第一〜第三のスクリーン53〜55は、それぞれ反射型のスクリーンである。具体的には、第一〜第三のスクリーン53〜55は、板状であり、視認者3側の面が反射面(表示面)53a〜55aとなっている。また、第一〜第三のスクリーン53〜55は、平面,曲面,球面あるいはこれらの組み合わせからなる立体形状に形成されてもよい。第一〜第三のスクリーン53〜55は、例えば、合成樹脂からなるホルダ(図示せず)によって、熱収縮が起こらない粘着剤を介して保持されている。第一〜第三のスクリーン53〜55は、ベゼル等の枠状部材によって固定されていてもよい。プロジェクタ51が出射した表示光Lは、反射部材52で反射し、第一〜第三のスクリーン53〜55の反射面53a〜55aに入射する。第一〜第三のスクリーン53〜55は、入射した表示光Lを視認者3に向けて反射させる。車両用表示装置100は、第一〜第三のスクリーン53〜55で反射した表示光Lにより、第一〜第三のスクリーン53〜55の反射面53a〜55a上に投影された報知画像を表示する。
【0022】
ここで、第一〜第三のスクリーン53〜55は、図3及び図4に示すようにそれぞれ反射面53a〜55aの向き(視認者3に対する角度)が異なるように配置することで、中央の第二のスクリーン54の反射面54aと左右側方の第一のスクリーン53の反射面53a及び第三のスクリーン55の反射面55aとの奥行き方向の位置を異ならせて立体的に設けられている。なお、第一〜第三のスクリーン53〜55は段差を伴って配置されて立体的に設けられてもよい。また、第一〜第三のスクリーン53〜55は、図4に示すようにそれぞれ反射面53a〜55aの向き(視認者3に対する角度)が異なるように配置することで、視認者3の視点からの距離(図4では視認者3の左右視点の中点Eから第一〜第三のスクリーン53〜55の中心点M1〜M3までの距離)d1〜d3が略等距離となるように配置されている。これによれば、外側の第一,第三のスクリーン53,55についても視認者3からの視点距離が遠のくことを抑制でき、外側の第一,第三のスクリーン53,55に表示される表示画像の視認性を向上させることができる。
【0023】
また、プロジェクタ51は、第一〜第三のスクリーン53〜55のうち中央に配置された第二のスクリーン54に焦点Pが合うように配置されている。すなわち、第二のスクリーン54の反射面54aの全ての領域が、焦点深度Q’の範囲内に含まれるように、プロジェクタ51及び反射部材52が配置されている。焦点深度Q’は、プロジェクタ51の焦点Pから光軸に沿って像を前後に移動しても焦点Pが合っているように見える(像が暈けない)範囲を指し、焦点Pを中心として光軸に沿って前後に所定距離Qの奥行きを有する。なお、本実施形態の場合、プロジェクタ51の焦点P及び焦点深度Q’は表示光Lを反射する反射部材52の反射面52aの中心点M4を中心とした略円弧状の軌跡で表すことができ、図5では、焦点Pを示す鎖線を中心とした2本の一点鎖線の間の範囲で表されている。そして、前述したように、中央に配置される第二のスクリーン54についてはその反射面54aは全ての領域が焦点深度Q’の範囲内に含まれているため、第二のスクリーン54の反射面54aで結像される表示画像は暈けずに表示される。これに対し、外側に配置される第一,第三のスクリーン53,55についてはその反射面53a,55aは、一部の領域(第二のスクリーン54寄りの領域)は焦点深度Q’の範囲内に含まれるものの、他の領域(外側寄りの領域)は焦点深度Q’の範囲外となっている。ここで、反射面53a,55aのうち焦点深度Q’の範囲内の領域で結像される表示画像は暈けずに表示されるものの、焦点深度Q’の範囲外の領域で結像される表示画像は焦点深度Q’から距離が開くほど暈けて表示される。以下、第一〜第三のスクリーン53〜55の各反射面53a〜55aのうち焦点深度Q’の範囲内に含まれる領域を「焦点深度内領域」とし、焦点深度Q’の範囲外の領域を「焦点深度外領域」として、焦点深度Q’の範囲に応じた表示画像の表示について説明する。
【0024】
視認者3から見て左側に配置される第一のスクリーン53は、その反射面53aの一部は焦点深度内領域S11となり、他の一部は焦点深度外領域S21となっている。焦点深度内領域S11は、図6に示すように、反射面53aの右端部から中央部左寄りに渡っている。また、焦点深度外領域S21は、図6に示すように、反射面53aの中央部左寄りから左端部に渡っている。焦点深度内領域S11に表示される第一の表示画像N1は、車両1に関する情報としてオーディオ情報を示す文字、数字及び記号と後述する装飾画像の一部を含む。これに対し、焦点深度外領域S21に表示される第二の表示画像N2は植物を模した装飾画像であり、文字及び数字を含まない。装飾画像は、焦点深度外領域S21から焦点深度内領域S11に至るように表示される。なお、第二の表示画像N2は文字及び数字を含まない画像であればよく、例えばグラデーション画像であってもよい。視認者3が画像の暈けによって視認性が低い(見えづらい)と感じるのは主に正確に形状を把握する必要がある文字あるいは数字が読み取れない場合である。本願発明者はこの点に着目し、詳細な読み取りを必要とする文字あるいは数字については焦点深度内領域S11に表示し、装飾のような詳細な読み取りを必要としない画像を焦点深度外領域S21に表示させることに至った。これによれば、第一〜第三のスクリーン53〜55を立体的に配置して立体的な表示を行う場合であっても、視認者3は画像の暈けを認識しにくく、視認性を向上させることが可能となる。
【0025】
視認者から見て中央に配置される第二のスクリーン54は、その反射面54aの全てが焦点深度内領域S12となっている。焦点深度内領域S12に表示される第三の表示画像N3は、図7に示すように、車両1に関する情報として車速、残燃料及び電力量を示す文字及び数字及び指標(バー)を含む。
【0026】
視認者3から見て右側に配置される第三のスクリーン55は、その反射面55aの一部は焦点深度内領域S13となり、他の一部は焦点深度外領域S23となっている。焦点深度内領域S13は、図8に示すように、反射面55aの左端部から中央部右寄りに渡っている。また、焦点深度外領域S23は、図8に示すように、反射面55aの中央部右寄りから右端部に渡っている。焦点深度内領域S13に表示される第四の表示画像N4は、車両1に関する情報として外気温、走行可能距離、総走行距離(オド値)及び走行距離(トリップ値)を示す文字、数字及び図形を含む。これに対し、焦点深度外領域S23には、印刷によって外気温、走行可能距離、総走行距離及び走行距離の単位を示す文字を含む意匠D1が形成されている。なお、意匠D1は数字を含むものであっても良い。また、意匠D1を絞り加工等の加工によって形成しても良い。視認者3が画像の暈けによって視認性が低い(見えづらい)と感じるのは主に正確に形状を把握する必要がある文字あるいは数字が読み取れない場合である。本願発明者はこの点に着目し、詳細な読み取りを必要とする文字あるいは数字を焦点深度内領域S11においては画像で表示し、画像が暈けて表示される焦点深度外領域S23においては意匠を形成して表示することに至った。これによれば、第一〜第三のスクリーン53〜55を立体的に配置して立体的な表示を行う場合であっても、視認者3は画像の暈けを認識しにくく、視認性を向上させることが可能となる。
【0027】
本実施形態である車両用表示装置100は、所定の表示画像N1〜N4を示す表示光Lを出射するプロジェクタ51と、プロジェクタ51が出射した表示光Lを投影する第一〜第三のスクリーン53〜55と、を備え、第一〜第三のスクリーン53〜55に投影した表示光Lにより、第一〜第三のスクリーン53〜55の反射面53a〜55a上に表示画像N1〜N4を表示する車両用表示装置であって、第一のスクリーン53は、その反射面53aにプロジェクタ51の焦点深度Q’の範囲内に位置する焦点深度内領域S11とプロジェクタ51の焦点深度Q’の範囲外に位置する焦点深度外領域S21とを有し、焦点深度内領域S11に表示画像として文字あるいは数字を含む画像N1が表示され、焦点深度外領域S21に表示画像として文字及び数字を含まない画像N2が表示されてなることを特徴とする。
これによれば、第一〜第三のスクリーン53〜55に立体的な表示を行う場合であっても、視認性を向上させることができる。
【0028】
また、焦点深度外領域S21に装飾画像が表示されてなることを特徴とする。
これによれば、本来は画像が暈ける焦点深度外領域S21を利用して装飾性を高め、商品性を向上させることができる。
【0029】
また、前記装飾画像は、焦点深度外領域S21から焦点深度内領域S11に至るように表示されてなることを特徴とする。
これによれば、焦点深度Q’の不足を視認者3に感じさせることなく、第一のスクリーン53に一体感のある表示を行うことができる。
【0030】
本実施形態である車両用表示装置100は、所定の表示画像N1〜N4を示す表示光Lを出射するプロジェクタ51と、プロジェクタ51が出射した表示光Lを投影する第一〜第三のスクリーン53〜55と、を備え、第一〜第三のスクリーン53〜55に投影した表示光Lにより、第一〜第三のスクリーン55〜53の反射面53a〜55a上に表示画像N1〜N4を表示する車両用表示装置であって、第三のスクリーン55は、その反射面55aにプロジェクタ51の焦点深度Q’の範囲内に位置する焦点深度内領域S13とプロジェクタ51の焦点深度Q’の範囲外に位置する焦点深度外領域S23とを有し、焦点深度内領域S13に表示画像として文字あるいは数字を含む画像N4が表示され、焦点深度外領域S23に文字あるいは数字を含む意匠D1が形成されてなることを特徴とする。
これによれば、第一〜第三のスクリーン53〜55に立体的な表示を行う場合であっても、視認性を向上させることができる。
【0031】
また、第一,第三のスクリーン53,55を含む立体的に設けられる複数のスクリーン53〜55を備え、前記複数のスクリーンの各々が視認者の視点から略等距離となるように設けられてなることを特徴とする。
これによれば、外側の第一,第三のスクリーン53,55に表示される表示画像N1,N2及びN4の視認性を向上させることができる。
【0032】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、適宜、変更(構成要素の削除を含む)が可能であることはもちろんである。
【0033】
以上の説明では、プロジェクタ51からの表示光Lを、反射部材52を介して第一〜第三のスクリーン53〜55に入射させる例を示したが、プロジェクタ51からの表示光Lを直接第一〜第三のスクリーン53〜55に入射させても良い。
【0034】
また、本実施形態では、第一〜第三のスクリーン53〜55を別体で設けるものであったが、一体的に設けるものであってもよい。またスクリーンは1つであってもよい。また、スクリーンを曲面状に形成して立体的な表示を行うものであってもよい。また、本発明のスクリーンは反射スクリーンに限定されず、透過スクリーンであってもよい。この場合スクリーンを透過した表示光Lによって表示面に表示画像が表示される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、表示光出射手段から出射される表示光をスクリーンの表示面に投影して表示画像を表示する車両用表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
100 車両用表示装置
1 車両
3 視認者
10 操作部
20 車載機器
30 制御部
40 記憶部
50 表示手段
51 プロジェクタ(表示光出射手段)
52 反射部材
53 第一のスクリーン
53a 反射面(表示面)
54 第二のスクリーン
54a 反射面(表示面)
55 第三のスクリーン
55a 反射面(表示面)
S11 焦点深度内領域
S12 焦点深度内領域
S13 焦点深度内領域
S21 焦点深度外領域
S23 焦点深度外領域
N1 第一の表示画像
N2 第二の表示画像
N3 第三の表示画像
N4 第四の表示画像
D1 意匠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8