特許第6020916号(P6020916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020916
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】自動二輪車用エンジンの吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 35/00 20060101AFI20161020BHJP
   F02D 9/10 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F02D35/00 364D
   F02D9/10 H
   F02D35/00 364G
   F02D35/00 360F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-57732(P2013-57732)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-181646(P2014-181646A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 大地
(72)【発明者】
【氏名】森田 紳一郎
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−074379(JP,A)
【文献】 特開2007−127091(JP,A)
【文献】 特開平11−064145(JP,A)
【文献】 特開2007−255240(JP,A)
【文献】 特開2005−155515(JP,A)
【文献】 実開平03−122246(JP,U)
【文献】 実開昭60−081234(JP,U)
【文献】 実開昭62−162360(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 35/00
F02D 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に吸気道(2)を有するスロットルボディ(1)と、このスロットルボディ(1)に水平に支承される弁軸(5a)を有し、吸気道(2)を開閉するスロットル弁(5)と、スロットルボディ(1)一側の取り付け面(15)に取り付けられるセンサハウジング(17)に、スロットル弁(5)の弁軸(5a)の軸線(Y)上にあって、その弁軸(5a)の回転をスロットル弁(5)の開度として検出するスロットルセンサ(18)、スロットル弁(5)より上流側の吸気道(2)の吸気温度を検出する吸気温センサ(19)、並びにスロットル弁(5)より下流側の吸気道(2)の吸気負圧を検出する吸気圧センサ(20)を付設してなるセンサユニット(16)とを備え、前記スロットルセンサ(18)、吸気温センサ(19)及び吸気圧センサ(20)を、前記センサハウジング(17)における三角形(35)の頂点に各中心を置くように配置し、且つ吸気圧センサ(20)を、その中心が上記三角形(35)の最上部の頂点に来るように配置し、前記吸気圧センサ(20)のセンサチップ(20b)が臨む受圧室(20a)を、吸気圧伝達通路(38)を介して、スロットル弁(5)より下流側の吸気道(2)に開口する検出孔(37)に連通した自動二輪車用エンジンの吸気装置において、
前記検出孔(37)を、スロットルボディ(1)の、エンジンの吸気管(55)が接合される下流側端面(1a)に沿って延在する縦溝状に形成し、前記吸気圧伝達通路(38)は前記取り付け面(15)に沿って延在する通溝(38c)と、該通溝(38c)及び前記検出孔(37)を連通する横孔(38a,38b)とを備え、前記横孔(38a,38b)が前記通溝(38c)に開口する方向は、前記通溝(38c)が延在する方向から屈曲しており、前記横孔(38a,38b)が前記検出孔(37)に開口する方向は、前記検出孔(37)が延在する方向から屈曲していることを特徴とする、自動二輪車用エンジンの吸気装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動二輪車用エンジンの吸気装置において、
前記横孔(38a,38b)は、延在する向きが互いに屈曲している第1横孔(38a)と第2横孔(38b)とによって構成されていることを特徴とする、自動二輪車用エンジンの吸気装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動二輪車用エンジンの吸気装置において、
前記吸気圧伝達通路(38)は、前記通溝(38c)から屈曲して前記受圧室(20a)に開口する第3横孔(38d)を有していることを特徴とする、自動二輪車用エンジンの吸気装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の自動二輪車用エンジンの吸気装置において、
前記吸気圧伝達通路(38)の前記受圧室(20a)への開口部よりも上方に前記センサチップ(20b)をオフセット配置したことを特徴とする、自動二輪車用エンジンの吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心部に水平方向の吸気道を有するスロットルボディと、このスロットルボディに水平に支承される弁軸を有し、吸気道を開閉するスロットル弁と、スロットルボディ一側の取り付け面に取り付けられるセンサハウジングに、スロットル弁の弁軸の軸線上にあって、その弁軸の回転をスロットル弁の開度として検出するスロットルセンサ、スロットル弁より上流側の吸気道の吸気温度を検出する吸気温センサ、並びにスロットル弁より下流側の吸気道の吸気負圧を検出する負圧センサを付設してなるセンサユニットとを備える、自動二輪車用エンジンの吸気装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝるエンジン用吸気装置は、特許文献1に開示されるように、既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−127091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かゝる自動二輪車用エンジンの吸気装置では、その軽量化のために、スロットルボディの軸方向寸法の短縮化の要請がある。しかしながら、従来のかゝる自動二輪車用エンジンの吸気装置では、センサハウジングに付設される吸気圧センサは、スロットル弁より下流側の吸気道の吸気圧を検出する関係から、センサハウジングにおいて、弁軸より吸気道の下流側に配置していたので、その吸気圧センサがスロットルボディの軸方向寸法の短縮化を妨げている。またセンサハウジングにおいて、吸気温センサ及び吸気圧センサを弁軸を境にして吸気道の上流側及び下流側に分散して配置するので、センサハウジングのコンパクト化も困難である。
【0005】
本発明は、かゝる点に鑑みてなされたもので、スロットルボディの軸方向寸法の短縮化を可能にすると共に、センサハウジングのコンパクト化も可能にする前記自動二輪車用エンジンの吸気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、中心部に吸気道を有するスロットルボディと、このスロットルボディに水平に支承される弁軸を有し、吸気道を開閉するスロットル弁と、スロットルボディ一側の取り付け面に取り付けられるセンサハウジングに、スロットル弁の弁軸の軸線上にあって、その弁軸の回転をスロットル弁の開度として検出するスロットルセンサ、スロットル弁より上流側の吸気道の吸気温度を検出する吸気温センサ、並びにスロットル弁より下流側の吸気道の吸気負圧を検出する吸気圧センサを付設してなるセンサユニットとを備え、前記スロットルセンサ、吸気温センサ及び吸気圧センサを、前記センサハウジングにおける三角形の頂点に各中心を置くように配置し、且つ吸気圧センサを、その中心が上記三角形の最上部の頂点に来るように配置し、前記吸気圧センサのセンサチップが臨む受圧室を、吸気圧伝達通路を介して、スロットル弁より下流側の吸気道に開口する検出孔に連通した自動二輪車用エンジンの吸気装置において、前記検出孔を、スロットルボディの、エンジンの吸気管が接合される下流側端面に沿って延在する縦溝状に形成し、前記吸気圧伝達通路は、前記取り付け面に沿って延在する通溝と、該通溝及び前記検出孔を連通する横孔とを備え、前記横孔が前記通溝に開口する方向は、前記通溝が延在する方向から屈曲しており、前記横孔が前記検出孔に開口する方向は、前記検出孔が延在する方向から屈曲していることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1特徴に加えて、前記横孔は、延在する向きが互いに屈曲している第1横孔と第2横孔とによって構成されていることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記吸気圧伝達通路は、前記通溝から屈曲して前記受圧室に開口する第3横孔を有していることを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、第13の何れかの特徴に加えて、前記吸気圧伝達通路の前記受圧室への開口部より上方に前記センサチップをオフセット配置したことを第の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、前記スロットルセンサ、吸気温センサ及び吸気圧センサを、前記センサハウジングにおける三角形の頂点に各中心を置くように配置したので、センサハウジングにおいて、スロットルセンサ、吸気温センサ及び吸気圧センサを集中的に配置することになり、したがって特に吸気圧センサに干渉されることなくスロットルボディの軸方向長さの短縮化が可能となり、スロットルボディのコンパクト化及び軽量化を図ることができ、同時にセンサハウジングのコンパクト化をも図ることができる。
【0011】
しかも、吸気圧センサを、その中心が上記三角形の最上部の頂点に来るように配置し、前記吸気圧センサのセンサチップが臨む受圧室を、吸気圧伝達通路を介して、スロットル弁より下流側の吸気道に開口する検出孔に連通したので、エンジンのバックファイヤ時、吹き返しガスに含まれる煤や水分等の異物は、それに作用する重力と、長い吸気圧伝達通路の流路抵抗により、吸気圧センサ20の受圧室に侵入し難く、吸気圧センサ20のセンサチップ20bへの異物の接触を防ぐことができる。
【0012】
また、前記検出孔を、スロットルボディの、エンジンの吸気管が接合される下流側端面に開口する縦溝状に形成し、前記吸気圧伝達通路は、前記取り付け面に沿って延在する通溝と、該通溝及び前記検出孔を連通する横孔とを備え、前記横孔が前記通溝に開口する方向は、前記通溝が延在する方向から屈曲しており、前記横孔が前記検出孔に開口する方向は、前記検出孔が延在する方向から屈曲しているので、エンジンの吹き返しガスに含まれる煤や水分等の異物は、検出孔に侵入し難く、また万一、その異物が吹き返しガスと共に侵入しても、その吹き返しガスが吸気圧センサの受圧室に達するまでに、長い吸気圧伝達通路を通過しながら複数の曲がり角に衝突することにより、エネルギを効果的に減衰され、その結果、吹き返しガスから異物は途中で分離され、その異物の受圧室への侵入を防ぐことができる。
【0013】
本発明の第の特徴によれば、前記吸気圧伝達通路の前記受圧室への開口部より上方に前記センサチップをオフセット配置したので、万一、上記異物が吸気圧伝達通路から受圧室に侵入しても、受圧室に臨むセンサチップは、第3横孔からその上方にオフセット配置されているから、吸気圧伝達通路から受圧室に落下した異物がセンサチップに接触するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る自動二輪車用エンジンの吸気装置の縦断平面図。
図2図1の2矢視図。
図3図2の3−3線断面図。
図4図1の4−4線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて以下に説明する。
【0016】
先ず図1において、本発明の自動二輪車用エンジンの吸気装置は、そのエンジンの吸気管55に接続されるスロットルボディ1を備えており、このスロットルボディ1の中心部には、車両の前後方向に延びて吸気管55内に連なる水平方向の吸気道2が形成される。このスロットルボディ1の周壁には、吸気道2を挟んで水平方向に並ぶ一対の軸受孔3、4が形成されており、これら軸受孔3、4により、吸気道2を開閉するバタフライ型スロットル弁5の弁軸5aが回転自在に支承され、この弁軸5aは車両の左右方向に延びるよう水平に配置される。軸受孔3から外方に突出する弁軸5aの一端部には、操縦者によりスロットルワイヤを介して操作されるスロットルドラム8が固着される。
【0017】
上記スロットルドラム8と反対側のスロットルボディ1の側面には、他の側面より一段高い取り付け面15が形成されており、この取り付け面15にセンサユニット16が取り付けられる。
【0018】
図1図3及び図4において、センサユニット16は、上記取り付け面15に接合されるセンサハウジング17に、スロットルセンサ18、吸気温センサ19、吸気圧センサ20及び信号処理装置21を取り付けて構成されるもので、これら構成要素について順次説明する。
【0019】
先ず、センサハウジング17は、その外周の相対向する角部に一対の取り付けボス25、25を一体に有しており、これら取り付けボス25、25に対応するねじ孔26、26…が取り付け面15に設けられ、各取り付けボス25に挿通されるボルト27を対応するねじ孔26に螺合緊締することにより、センサハウジング17は取り付け面15に締結される。
【0020】
スロットルボディ1の取り付け面15には、弁軸5aを同心上で囲繞する円形の位置決め凹部50(図1参照)と、この位置決め凹部50から半径方向に離間した位置決め孔52(図3参照)が設けられる。一方、センサハウジング17は合成樹脂製であって、上記位置決め凹部50に嵌合する位置決め筒51(図1参照)と、上記位置決め孔52に嵌合する位置決めピン53(図3参照)とが前記取り付けボス25、25…と共に、センサハウジング17の成形時に形成される。
【0021】
またセンサハウジング17には、図1に示すように、前記軸受孔4と同軸上に配置されるロータ支持孔28が設けられ、このロータ支持孔28に、前記弁軸5aの端部に連結するロータ18aが回転自在に支承され、このロータ18aと協働してスロットルセンサ18を構成するステータ18bがセンサハウジング17に固定される。而して、スロットルセンサ18は、弁軸5aの回転をスロットル弁5の開度としてロータ18aで検出し、それに対応した電気信号をステータ18bから出力するようになっている。
【0022】
スロットルボディ1には、取り付け面15からスロットル弁5より上流の吸気道2に達する透孔29が形成されており、この透孔29を貫通して先端を吸気道2に臨ませるセンサ保持筒30がセンサハウジング17に一体に形成され、このセンサ保持筒30に吸気道2上流の吸気温度を検知する吸気温センサ19のセンサチップ19aが装着される。
【0023】
またセンサハウジング17の外側面にセンサ保持凹部31が形成され、このセンサ保持凹部31に吸気圧センサ20が装着される。
【0024】
図4に示すように、以上において、吸気温センサ19は、スロットルセンサ18より吸気道2の上流側に配置され、また吸気圧センサ20は、スロットルセンサ18より吸気道2の上流側に且つ吸気温センサ19の上方に配置される。而して、スロットルセンサ18、吸気温センサ19及び吸気圧センサ20は、センサハウジング17の弁軸5aの軸線Yより吸気道2の上流側で、三角形35の頂点に各中心を置くように配置され、且つ吸気圧センサ20は、その中心が最上部の頂点に来るように配置される。その最上部の頂点は、吸気道2の軸線よりも上方に配置される。
【0025】
図2図4に示すように、この吸気圧センサ20のセンサチップ20bが臨む受圧室20aには、スロットル弁5より下流側の吸気道2に下向きに開口する検出孔37が吸気圧伝達通路38を介して連通される。検出孔37の吸気道2への開口部は、吸気道2の軸線よりも上方に配置される。
【0026】
検出孔37は、スロットルボディ1の、吸気管55が接合される下流側端面に縦溝状に形成され、吸気圧伝達通路は、上記検出孔37の上端から屈曲して吸気道2の上流側方向(即ち後方)に延びる第1横孔38aと、この第1横孔38aから屈曲して前記取り付け面15に向かう第2横孔38bと、この第2横孔38bから屈曲して吸気道2の軸線よりも上方の場所を通るように延びる、前記取り付け面15上の通溝38cと、この通溝38cから屈曲して前記受圧室20aに開口する第3横孔38dとで構成され、第3横孔38dには、吸気圧の脈動を減衰するオリフィス39が設けられる。前記受圧室20aに臨むセンサチップ20bは、上記第3横孔38dより上方にオフセット配置される(図4参照)。上記検出孔37、第1、第2横孔38a、38b及び通溝38cは、スロットルボディ1に設けられ、第3横孔38dはセンサハウジング17に設けられる。こうして、吸気圧伝達通路38の受圧室20aへの開口部は、検出孔37の吸気道2への開口部よりも上方に配置される。
【0027】
スロットルボディ1の下流側端面には、吸気道2及び検出孔37を囲繞して吸気管55に密接するOリング40が装着され、また前記取り付け面15には、スロットルセンサ18及び通溝38cを囲繞してセンサハウジング17に密接するOリング41が装着される。
【0028】
センサハウジング17の外端部には、信号処理装置21の基板45が設置される。その際、基板45には前記スロットルセンサ18、吸気温センサ19及び吸気圧センサ20の端子が接続される。またセンサハウジング17の一側には、信号処理装置21を介して上記各種センサ18〜20の出力信号を外部に引き出すカプラ47が一体に形成される。センサハウジング17には、その開放した外側面を覆うカバー48が取り付けられる。
【0029】
次に、この実施形態の作用について説明する。
【0030】
エンジンの運転中、スロットルセンサ18、吸気温センサ19及び吸気圧センサ20の各出力信号は、エンジンにおける燃料噴射量、点火時期、ファーストアイドル吸気量等の制御に使用される。
【0031】
ところで、スロットルセンサ18、吸気温センサ19及び吸気圧センサ20は、スロットル弁5の弁軸5aの軸線Yより吸気道2の上流側のセンサハウジング17における三角形35の頂点に各中心を置くように配置されるので、センサハウジング17において、弁軸5aの軸線Yより吸気道2の上流側にスロットルセンサ18、吸気温センサ19及び吸気圧センサ20を集中的に配置することになり、したがって特に吸気圧センサ20に干渉されることなく弁軸5aより吸気道2の下流側のスロットルボディ1の軸方向長さの短縮化が可能となり、スロットルボディ1のコンパクト化及び軽量化を図ることができ、同時にセンサハウジング17のコンパクト化をも図ることができる。
【0032】
しかも、吸気圧センサ20は、その中心が上記三角形の最上部の頂点に来るように配置され、吸気圧センサ20のセンサチップ20bが臨む受圧室20aは、一部が吸気道2の軸線よりも上方の位置を通る吸気圧伝達通路38を介して、スロットル弁5より下流側の吸気道2に開口する検出孔37に連通され、吸気圧伝達通路38の受圧室20aへの開口部は、検出孔37の吸気道2への開口部よりも上方に配置され、また検出孔37の吸気道2への開口部は、吸気道2の軸線よりも上方に配置されるので、吸気圧伝達通路38の受圧室20aへの開口部が検出孔の吸気道2への開口部よりも上方位置を占めること、検出孔37の吸気道2への開口部が吸気道2の軸線よりも上方位置を占めること、並びに検出孔37から吸気圧センサ20の受圧室20aに至る吸気圧伝達通路38の一部が吸気道2の軸線よりも上方の場所を通る長いものとなることにより、エンジンのバックファイヤ時、吹き返しガスに含まれる煤や水分等の異物は、それに作用する重力と、長い吸気圧伝達通路38の流路抵抗により、吸気圧センサ20の受圧室20aに侵入し難く、吸気圧センサ20のセンサチップ20bへの異物の付着を防ぐことができる。
【0033】
特に、検出孔37は、スロットルボディ1の、エンジンの吸気管55が接合される下流側端面に開口する縦溝状に形成され、吸気圧伝達通路38は、その検出孔37の上端から屈曲して吸気道2の上流側方向に延びる第1横孔38aと、この第1横孔38aから屈曲して前記取り付け面15に向かう第2横孔38bと、この第2横孔38bから屈曲して前記弁軸5aの上方を横切るように延びる、前記取り付け面15上の通溝38cと、この通溝38cから屈曲して前記受圧室20aに開口する第3横孔38dとで構成されるので、エンジンの吹き返しガスに含まれる煤や水分等の異物は、検出孔37に侵入し難く、また万一、その異物が吹き返しガスと共に侵入しても、その吹き返しガスが吸気圧センサ20の受圧室20aに達するまでに、長い吸気圧伝達通路を通過しながら複数の曲がり角に衝突することにより、エネルギを効果的に減衰され、その結果、吹き返しガスに含まれる煤等の異物は途中で分離され、その異物の受圧室20aへの侵入を防ぐことができる。
【0034】
また万一、上記異物が吸気圧伝達通路38の最後の第3横孔38dから受圧室20aに侵入しても、受圧室20aに臨むセンサチップ20bは、第3横孔38dからその上方にオフセット配置されているから、第3横孔38dから受圧室20aに落下した異物がセンサチップ20bに付着するのを防ぐことができる。
【0035】
以上により吸気圧センサ20は、常に吸気道2の下流側の吸気圧を的確に検出することができる。
【0036】
また縦溝状の検出孔37及び通溝38cは、スロットルボディ1の鋳造時、同時に型成形が可能であり、その上、縦溝状の検出孔37は、弁軸5aより吸気道2の下流側のスロットルボディ1の軸方向長さの短縮化に寄与する。
【0037】
図4に示すように、吸気道2を弁軸5aの軸方向から見て、検出孔37の吸気道2への開口部は、弁軸5aに比較的近接して配置されるので、スロットル弁5に対してスロットルボディ1の下流側端部を特に延長させずとも、スロットル弁5のアイドル開度時には、検出孔37をスロットル弁5から下流側へ充分に離隔することができて、エンジンのブースト圧を的確に検出することができる。
【0038】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・・スロットルボディ
1a・・・・下流側端面
2・・・・・吸気道
5・・・・・スロットル弁
5a・・・・弁軸
15・・・・取り付け面
16・・・・センサユニット
17・・・・センサハウジング
18・・・・スロットルセンサ
19・・・・吸気温センサ
20・・・・吸気圧センサ
20a・・・受圧室
20b・・・センサチップ
35・・・・三角形
37・・・・検出孔
38・・・・吸気圧伝達通路
38a・・・第1横孔
38b・・・第2横孔
38c・・・通溝
38d・・・第3横孔
55・・・・吸気管
Y・・・・・軸線
図1
図2
図3
図4