特許第6020922号(P6020922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020922
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20161020BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20161020BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20161020BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/30 D
   H01M2/34 B
   H01M2/10 M
   H01M2/10 Y
   H01M2/10 S
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-98285(P2013-98285)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-220103(P2014-220103A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正邦
(72)【発明者】
【氏名】澤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】筒木 正人
(72)【発明者】
【氏名】中川 謙治
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005-285625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電ユニットが積層された蓄電モジュールであって、
前記複数の蓄電ユニットのそれぞれは、扁平な本体部の一端部から突出された一対のリード端子を備えると共に前記一対のリード端子の突出方向を揃えた姿勢で前記突出方向に直交する方向に沿って並べられた複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子に対して前記リード端子の突出方向側の位置に配されると共に前記複数の蓄電素子の前記リード端子に接続されたバスバーと、を備え、
前記複数の蓄電ユニットは、前記バスバーが前記突出方向について交互に反対側に位置するように積層されている蓄電モジュール。
【請求項2】
前記一対のリード端子は、正極端子と負極端子であって、
前記バスバーは、前記正極端子に接続された正極バスバーと、前記負極端子に接続された負極バスバーと、を備え、
前記正極バスバーは、前記蓄電素子に対して前記突出方向と直交する方向の側縁に沿って延びる正極バスバー延長部を有し、
前記負極バスバーは、前記蓄電素子に対して前記突出方向と直交する方向の側縁に沿って延びる負極バスバー延長部を有し、
前記複数の蓄電ユニットのそれぞれに配された前記正極バスバー延長部及び前記負極バスバー延長部は、前記正極端子及び前記負極端子の前記突出方向に直交する方向側の端縁に沿って、互いに反対側に位置して配されている請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記バスバーは絶縁層を介して積層されている請求項1または請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記蓄電素子はラミネート型の電池である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子を備えた蓄電モジュールとして、特許文献1に記載のものが知られている。この蓄電モジュールは、扁平な本体の片側から一対のリード端子を導出させた構造を有する片側端子型の蓄電素子を横並びにして各蓄電素子を直列又は並列に接続し、更にそれを複数層に積み重ねる構成を有する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−151526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の片側端子型の蓄電素子を使用したものでは、端子の導出側において、バスバーによって端子の接続構造を構成する。このため、各蓄電素子の端子側には外部導体が偏在することになり、1層分を平面的に見た場合、重心が端子側に片寄ることになる。
【0005】
そして、これらを複数層に積み重ねれば、蓄電モジュール全体としては、その重心の片寄りがより顕著になり、蓄電モジュールの振動対策や固定構造において不具合を生じかねない。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、重心の片寄りが抑制された蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の蓄電ユニットが積層された蓄電モジュールであって、前記複数の蓄電ユニットのそれぞれは、扁平な本体部の一端部から突出された一対のリード端子を備えると共に前記一対のリード端子の突出方向を揃えた姿勢で前記突出方向に直交する方向に沿って並べられた複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子に対して前記リード端子の突出方向側の位置に配されると共に前記複数の蓄電素子の前記リード端子に接続されたバスバーと、を備え、前記複数の蓄電ユニットは、前記バスバーが前記突出方向について交互に反対側に位置するように積層されている。
【0008】
本発明によれば、積層された各蓄電ユニットに配されたバスバーは、リード端子の突出方向について交互に反対側に位置するように配されているから、全体として蓄電モジュールの重心が片寄ることを抑制することができる。
【0009】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。前記一対のリード端子は、正極端子と負極端子であって、前記バスバーは、前記正極端子に接続された正極バスバーと、前記負極端子に接続された負極バスバーと、を備え、前記正極バスバーは、前記蓄電素子に対して前記突出方向と直交する方向の側縁に沿って延びる正極バスバー延長部を有し、前記負極バスバーは、前記蓄電素子に対して前記突出方向と直交する方向の側縁に沿って延びる負極バスバー延長部を有し、前記複数の蓄電ユニットのそれぞれに配された前記正極バスバー延長部及び前記負極バスバー延長部は、前記正極端子及び前記負極端子の前記突出方向に直交する方向側の端縁に沿って、互いに反対側に位置して配されていることが好ましい。

【0010】
上記の態様によれば、各蓄電ユニットおいて、リード端子の突出方向に直交する方向について重心が片寄ることを抑制することができるので、蓄電モジュールの重心が片寄ることを一層抑制することができる。
【0011】
前記バスバーは絶縁層を介して積層されていてもよい。
【0012】
上記の態様によれば、バスバーが積層されることで各蓄電ユニットの重心が片寄った場合でも、全体として蓄電モジュールの重心が片寄ることを抑制することができる。
【0013】
前記蓄電素子はラミネート型の電池であってもよい。
【0014】
上記の態様によれば、蓄電素子として比較的に軽量であるラミネート型の電池を用いることにより蓄電ユニットの重心がバスバー側に片寄った場合でも、全体として蓄電モジュールの重心が片寄ることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蓄電モジュールの重心が片寄ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係る蓄電モジュールを示す斜視図
図2】積層体を示す斜視図
図3】積層体の最下層の第1蓄電ユニットを示す斜視図
図4】蓄電素子を示す斜視図
図5】ヒートシンクを示す平面図
図6】第1蓄電ユニットの蓄電素子、正極バスバー、及び負極バスバーを示す斜視図
図7】第1蓄電ユニットをY−Z平面で切断した断面図
図8】第1蓄電ユニットの正極バスバーを示す斜視図
図9】第2蓄電ユニットの負極バスバーを示す斜視図
図10】中央セパレータを示す平面図
図11】最下層の左端部側セパレータを示す平面図
図12】最下層の右端部側セパレータを示す平面図
図13】第1蓄電ユニットの上に第2蓄電ユニットを積層した状態を示す斜視図
図14】第1蓄電ユニットの上に第2蓄電ユニットを積層した状態を示す平面図
図15】第2蓄電ユニットの蓄電素子、正極バスバー、及び負極バスバーを示す斜視図
図16図14のA−A線断面図
図17】第1蓄電ユニットと第2蓄電ユニットの積層構造を示す分解斜視図
図18】積層体をY−Z平面で切断した断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図18を参照しつつ説明する。本実施形態に係る蓄電モジュール10は、例えば、例えば自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両のIntegrated Starter Generator(ISG)に用いられる。以下の説明では、X方向を右方とし、Y方向を前方とし、Z方向を上方とする。
【0018】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、ケース11と、ケース11内に収容された複数(本実施形態では6つ)の蓄電ユニット12A,12B,12C,12D,12E,12Fと、を備える。複数の蓄電ユニット12A〜12Fは上下方向に積層されて積層体13を構成する。
【0019】
(ケース11)
図1に示すように、ケース11は、有底筒状をなして左方に開口するケース本体14と、このケース本体14の開口を閉塞する絶縁性の合成樹脂からなる閉塞部材15と、を備える。ケース本体14は、上方及び左方に開口する金属製のロアケース16と、ロアケース16の上方を覆う金属製のアッパーケース17と、を備える。
【0020】
ロアケース16の底壁の四隅部には、積層体13に上下方向に貫通させたボルト18を貫通させるための留め孔(図示せず)が貫通形成されている。
【0021】
アッパーケース17は略長方形状をなしている。アッパーケース17の四隅部には、ロアケース16と、積層体13と、アッパーケース17と、をボルト18とナット19とで一体に締結するための留め孔(図示せず)が貫通形成されている。
【0022】
閉塞部材15は略長方形状をなしており、ケース11の開口に嵌め入れられて開口を塞ぐようになっている。
【0023】
(積層体13)
図2に示すように、積層体13は、複数の蓄電ユニット12A〜12Fを上下に積層してなる。積層体13の左端部からは、一対の外部接続端子22が左方に突出している。外部接続端子22は、積層体13がケース11内に収容された状態で、閉塞部材15を貫通して左方に導出されている。一対の外部接続端子22の一方は正極であり、他方は負極である。蓄電ユニット12A〜12Fは、下から順に、第1蓄電ユニット12A、第2蓄電ユニット12B、第3蓄電ユニット12C、第4蓄電ユニット12D、第5蓄電ユニット12E、及び第6蓄電ユニット12Fとされる。
【0024】
(蓄電ユニット12A〜12F)
蓄電ユニット12A〜12Fは、複数(本実施形態では3つ)の蓄電素子23と、複数の蓄電素子23に伝熱的に接触するヒートシンク24と、を備える。以下の説明においては、蓄電ユニット12A〜12Fの構成につき、最下層の第1蓄電ユニット12Aと、下から2層目の第2蓄電ユニット12Bを例に説明する。
【0025】
(蓄電素子23)
図3に示すように、第1蓄電ユニット12Aには、3つの蓄電素子23が左右方向に並んで配されている。複数の蓄電素子23は同形同大である。本実施形態に係る蓄電素子23はラミネート型の電池である。それぞれの蓄電素子23は、上方から見て略長方形状をなすと共に、上下に重ねられた一対のラミネートフィルムの側縁部が溶着された本体部25を備える。本体部25の内部には図示しない蓄電要素が収容されている。
【0026】
図4に示すように、本体部25の一対の短辺のうち、一の短辺からは、扁平なタブ状をなすと共に蓄電要素に電気的に接続された正極端子26(リード端子の一例)及び負極端子27(リード端子の一例)が外方に突出している。正極端子26及び負極端子27は、下側のラミネートフィルムの上面に重ねられた状態で、上下のラミネートフィルムの間から本外部の外部に導出されている。
【0027】
第1蓄電ユニット12Aにおいては、3つの蓄電素子23は、正極端子26及び負極端子27の突出方向が前後方向(Y軸に沿う方向)に揃えられた姿勢で、且つ、正極端子26及び負極端子27の突出方向に直交する左右方向(X軸に沿う方向)に沿って並んで配されている。
【0028】
本体部25の下面は扁平な形状をなしており、ヒートシンク24に伝熱的に接触するようになっている。本体部25の一対の長辺においては、両側縁部が上方に曲げられている。
【0029】
本体部25を構成するラミネートフィルムは、アルミニウム箔等を含む金属箔の外側にはポリエチレンテレフタレート、ナイロン等を含む樹脂層(図示せず)が積層されており、金属箔の内側(蓄電要素側)にはポリエチレンまたはポリプロピレン等を含む熱溶着層(図示せず)が設けられている。
【0030】
(ヒートシンク24)
図5に示すように、ヒートシンク24は、板状をなしており、上方から見て略長方形状をなしている。ヒートシンク24は比較的に熱伝導率の高い材料からなる。ヒートシンク24を構成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス等の金属、セラミック等、必要に応じて任意の材料を使用することができる。本実施形態においては、アルミニウム、又はアルミニウム合金が用いられている。
【0031】
ヒートシンク24の表面には絶縁被膜(図示せず)が形成されている。本実施形態に係る絶縁被膜はヒートシンク24の表面に公知のアルマイト処理によって形成されたアルマイト層である。絶縁被膜としては、例えば合成樹脂製の塗膜でもよく、必要に応じて公知の手法により任意の絶縁被膜を形成することができる。
【0032】
ヒートシンク24には、複数の蓄電素子23が左右方向に並べて固定される固定部29が設けられている。蓄電素子23と固定部29とは、図示しない両面テープで固定されている。これにより、蓄電素子23とヒートシンク24とは伝熱的に接触するようになっている。
【0033】
図5に示すように、ヒートシンク24には、固定部29の前端縁から前方に延出されると共に、固定部29から下方に2回、直角曲げ加工されることにより、左右方向から見てクランク状に形成されることにより、蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27との干渉を避ける退避部31が設けられている。退避部31には、蓄電素子23が固定部29に固定された状態で、正極端子26及び負極端子27に対応する位置に、正極端子26及び負極端子27を後述する正極バスバー36A及び負極バスバー37Aと溶接するための冶具が挿入される複数の溶接窓部32Aが開口されている。
【0034】
図5に示すように、ヒートシンク24には、固定部29の後端縁から後方に延出された延出部33が設けられている。延出部33は、固定部29から下方に2回、直角曲げ加工されることにより、左右方向から見てクランク状に形成されている。この延出部33と、上記した退避部31とは、上下方向の高さ位置が略同じに設定されている(図7参照)。
【0035】
図5に示すように、ヒートシンク24の前端縁及び後端縁には、外方に突出する複数の伝熱部34が形成されている。伝熱部34の先端部は上方に曲げ加工されている。伝熱部34は、積層体13がケース11内に収容された状態で、ケース11側に突出してケース11の内面に弾性的に接触するようになっている。この結果、伝熱部34とケース11とが伝熱的に接触するようになっている。伝熱部34は、ヒートシンク24の前端縁及び後端縁に、左右方向に間隔を空けて並んで配されている。本実施形態では、伝熱部34は、ヒートシンク24の前端縁及び後端縁に、それぞれ4つずつ設けられている。
【0036】
(正極バスバー36A〜36F,負極バスバー37A〜37F)
図6に示すように、複数(本実施形態では3つ)の蓄電素子23のそれぞれの正極端子26には正極バスバー36Aが接続されており、複数の蓄電素子23のそれぞれの負極端子27には負極バスバー37Aが接続されている。これにより、正極バスバー36A、複数の蓄電素子23、及び負極バスバー37Aにより、複数の蓄電素子23が並列接続された並列回路が構成されるようになっている。正極バスバー36A及び負極バスバー37Aは金属板材を所定形状にプレス加工してなる。上記の金属板材を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択しうる。正極バスバー36Aを構成する金属と、負極バスバー37Aを構成する金属は、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。本実施形態においては、正極バスバー36A及び負極バスバー37Aは共に銅又は銅合金からなる。
【0037】
なお、第1蓄電ユニット12A〜第6蓄電ユニット12Fには、それぞれ、正極バスバー36A〜36F と、負極バスバー37A〜37Fとが配されている。
【0038】
図7に示すように、ヒートシンク24の退避部31の上には、絶縁性の合成樹脂からなる中央セパレータ38を介して負極バスバー37A(負極バスバー本体部43)が重ねられている。この負極バスバー37Aの上には、絶縁性の合成樹脂材からなる絶縁シート39A(絶縁層に相当する)を介して正極バスバー36A(正極バスバー本体部42)が重ねられている。正極バスバー36Aの上には、更に、絶縁性の合成樹脂材からなる絶縁シート39Bが重ねられている。
【0039】
図8に示すように、正極バスバー36Aは、正極バスバー本体部42と、正極バスバー本体部42から分岐されて複数の蓄電素子23の正極端子26に、溶接等の公知の手法により接続される複数(本実施形態では3つ)の正極分岐部40と、正極バスバー本体部42から延出されて外部回路と接続される第1端子部41と、が設けられている。第1蓄電ユニット12Aにおいては、第1端子部41は、上述した一対の外部接続端子22の一方(正極)とされる。
【0040】
正極分岐部40は、正極バスバー本体部42から僅かに下方にクランク状に曲げられている。これにより、蓄電素子23の正極端子26と正極分岐部40の上下方向の高さを整合させるようになっている。
【0041】
図9に示すように、負極バスバー37Aは、負極バスバー本体部43と、負極バスバー本体部43の端部から直角に曲がって延びる負極バスバー延長部57(延長部の一例)と、負極バスバー本体部43から分岐されて複数の蓄電素子23の負極端子27に溶接等の公知の手法により接続される複数(本実施形態では3つ)の負極分岐部44と、負極バスバー延長部57から延出されて、外部回路に接続される接続される第2端子部45と、を備える。第1蓄電ユニット12Aにおいては、第2端子部45は、第1蓄電ユニット12Aの上に積層された第2蓄電ユニット12Bに電気的に接続されるようになっている。
【0042】
(セパレータ38,46A,46B)
図3に示すように、第1蓄電ユニット12Aは、ヒートシンク24の上に配された中央セパレータ38と、ヒートシンク24の左右両側部に配された端部セパレータ46と、を備える。
【0043】
図10に示すように、中央セパレータ38は、各蓄電素子23を内側に嵌め入れた保持するために矩形に区画された複数(本実施形態では3つ)の区画部47を備える。各区画部47は、蓄電素子23の外形状をほぼ同じかやや大きく設定されており、蓄電素子23を左右に並べて嵌め入れることが可能である。蓄電素子23が区画部47に嵌め入れられることにより、左右方向に並ぶ複数の蓄電素子23は、互いに間隔を空けて配置されるようになっている。
【0044】
区画部47の前方には、正極バスバー36A及び負極バスバー37Aが載置されるバスバー保持部48が形成されている。バスバー保持部48には、ヒートシンク24に中央セパレータ38が取り付けられた状態で、ヒートシンク24の溶接窓部32Aに対応する位置に、溶接用の冶具を挿入するための複数の溶接窓部32Bが形成されている。
【0045】
中央セパレータ38には、ヒートシンク24に向かって突出するロック部51Cが形成されている。このロック部51Cが、ヒートシンク24に形成されたロック受け部50Cに弾性的に係止することにより、中央セパレータ38とヒートシンク24とは一体に組み付けられる。
【0046】
図2に示すように、中央セパレータ38には、左右方向に細長い形状に形成されると共に、蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27を上方から覆うカバー49が組み付けられている。
【0047】
端部セパレータ46は、ヒートシンク24の左方に取り付けられる左端部セパレータ46Aと、ヒートシンク24の右方に取り付けられる右端部セパレータ46Bと、からなる。
【0048】
図11に示すように、左端部セパレータ46Aには、ヒートシンク24に形成されたロック受け部50Aに係止する弾性変形可能なロック部51Aが形成されている。このロック部51Aがロック受け部50Aに弾性的に係止することにより、左端部セパレータ46Aとヒートシンク24とが一体に組み付けられる。また、左端部セパレータ46Aには上方に突出するピン52Aが形成されており、このピン52Aが、中央セパレータ38に形成された貫通孔53A内に貫通されることにより、左端部セパレータ46Aと中央セパレータ38とが一体に組み付けられる。正極バスバー36Aは、左端部セパレータ46A及び中央セパレータ38の上に跨って載置される。
【0049】
図12に示すように、右端部セパレータ46Bには、ヒートシンク24に形成されたロック受け部50Bに係止する弾性変形可能なロック部51Bが形成されている。このロック部51Bがロック受け部50Bに弾性的に係止することにより、右端部セパレータ46Bとヒートシンク24とが一体に組み付けられる。また、右端部セパレータ46Bには上方に突出するピン52Bが形成されており、このピン52Bが、中央セパレータ38に形成された貫通孔53B内に貫通されることにより、右端部セパレータ46Bと中央セパレータ38とが一体に組み付けられる。負極バスバー37Aは、右端部セパレータ46B及び中央セパレータ38の上に跨って載置される。
【0050】
正極バスバー本体部42と、負極バスバー本体部43は、蓄電素子23の端縁のうち、正極端子26及び負極端子27が突出する側の端縁に沿って配されている。また、負極バスバー延長部57は、蓄電素子23の端縁のうち、正極端子26及び負極端子27の突出方向に直交する方向側の端縁に沿って配されている。
【0051】
(第2蓄電ユニット12B)
続いて、下から2層目に配された第2蓄電ユニット12Bについて説明する。なお、第1蓄電ユニット12Aと同様の構成については説明を省略する。
【0052】
図13及び図14に示すように、第2蓄電ユニット12Bは第1蓄電ユニット12Aの上に積層される。このとき、第2蓄電ユニット12Bに配された蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27の突出方向は、第1蓄電ユニット12Aに配された蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27の突出方向と反対側を向くようになっている。これにより、第2蓄電ユニット12Bの正極バスバー本体部42及び負極バスバー本体部43は、第1蓄電ユニット12Aに配された蓄電素子23の正極バスバー本体部42及び負極バスバー本体部43と、正極端子26及び負極端子27の突出方向について反対側に配置されるようになっている。
【0053】
図15に示すように、蓄電素子23の正極端子26には正極バスバー36Bの正極分岐部40が接続されている。第2蓄電ユニット12Bに配された正極バスバー36Bは、正極バスバー本体部42の端部から直角に曲がって延びる正極バスバー延長部56(延長部の一例)を備える。
【0054】
また、蓄電素子23の負極端子27には負極バスバー37Bの負極分岐部44が接続されている。
【0055】
第2蓄電ユニット12Bにおいては、蓄電素子23の端縁のうち、正極端子26及び負極端子27の突出方向に直交する方向(左右方向)側の端縁に沿って、正極バスバー延長部56と、負極バスバー延長部57とが、反対側に位置して配されている。
【0056】
図16に示すように、第1蓄電ユニット12Aに配された負極バスバー37Aの第2端子部45と、第1蓄電ユニット12Aの上に重ねられた第2蓄電ユニット12Bの正極バスバー36Bとは、金属板材をクランク状にプレス加工してなる接続部材55によって電気的に接続されている。接続部材55は、異なる層の正極バスバー36B及び負極バスバー37Aに、超音波溶接、レーザー溶接、ろう付け、はんだ付け等の公知の手法により接続されている。これにより、第1蓄電ユニット12Aの複数の蓄電素子23を含む並列回路と、第2蓄電ユニット12Bの複数の蓄電素子23を含む並列回路と、が直列接続される。同様にして、第1蓄電ユニット12Aの並列回路から第6蓄電ユニット12Fの並列回路までが、直列接続される。
【0057】
(積層構造)
図2に示すように、各蓄電ユニット12A〜12Fには、上下に重ねられた他の蓄電ユニット12A〜12Fに弾性的に係止するロック爪54が形成されている。このロック爪54が、他の蓄電ユニット12A〜12Fに弾性的に係止することにより、各蓄電ユニット12A〜12Fは積層状態に保持される。
【0058】
図17に、第1蓄電ユニット12Aと、下から第2蓄電ユニット12Bの分解斜視図を示す。第1蓄電ユニット12Aの正極バスバー36Aと、負極バスバー37Aは、第1蓄電ユニット12Aの前端寄りの位置に配されている。これに対して、第2蓄電ユニット12Bの正極バスバー36Bと、負極バスバー37Bは、第2蓄電ユニット12Bの後端寄りの位置に配されている。このように、第1蓄電ユニット12Aの正極バスバー36A及び負極バスバー37Aと、第2蓄電ユニット12Bの正極バスバー36B及び負極バスバー37Bとは、蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27の突出方向(前後方向)について交互に反対側に位置するように配されている。
【0059】
図18に積層体をX−Z平面で切断した断面図を示す。上記したように、第1蓄電ユニット12Aの正極バスバー36A及び負極バスバー37Aと、第2蓄電ユニット12Bの正極バスバー36B及び負極バスバー37Bとは、蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27の突出方向(前後方向)について交互に反対側に位置するように配されている。
【0060】
そして、第1蓄電ユニット12Aから第6蓄電ユニット12Fが積層された積層体13において、各蓄電ユニット12A〜12Fに配された正極バスバー36A〜36Fおよび負極バスバー37A〜37Fは、蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27の突出方向(前後方向)について交互に反対側に位置するように配されている。
【0061】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態は、複数の蓄電ユニット23A〜23Fが積層された蓄電モジュール10であって、複数の蓄電ユニット23A〜23Fのそれぞれは、扁平な本体部25の一端部から突出された一対の正極端子26及び負極端子27を備えると共に一対の正極端子26及び負極端子27の突出方向を揃えた姿勢で突出方向に直交する方向に沿って並べられた複数の蓄電素子23と、複数の蓄電素子23に対して正極端子26及び負極端子27の突出方向側の位置に配されると共に複数の蓄電素子23の正極端子26に接続された正極バスバー36A〜36F及び負極端子27に接続された負極バスバー37A〜37Fと、を備え、複数の蓄電ユニット12A〜12Fは、正極バスバー36A〜36Fの正極バスバー本体部42及び負極バスバー37A〜37Fの負極バスバー本体部43が正極端子26及び負極端子27の突出方向について交互に反対側に位置するように積層されている。
【0062】
本体部25の一端部から正極端子26及び負極端子27が突出する片側端子型の蓄電素子23に正極バスバー36A〜36F及び負極バスバー37A〜37Fを接続すると、各蓄電ユニット23A〜23Fの重心が片寄ることが懸念される。各蓄電ユニット23A〜23Fの重心が片寄った状態で各蓄電ユニット23A〜23Fを積層すると、蓄電モジュール10の重心が片寄ることが懸念される。
【0063】
本実施形態によれば、積層された各蓄電ユニット23A〜23Fに配された正極バスバー36A〜36Fの正極バスバー本体部42及び負極バスバー37A〜37Fの負極バスバー本体部43は、正極端子26及び負極端子27の突出方向について交互に反対側に位置するように配されているから、全体として蓄電モジュール10の重心が片寄ることを抑制することができる。この結果、蓄電モジュール10の振動対策や固定構造において不具合を生じることを抑制することができる。
【0064】
また、正極バスバー36A〜36F及び負極バスバー37A〜37Fは、それぞれ、蓄電素子23に対して突出方向と直交する方向の側縁に沿って延びる正極バスバー延長部56及び負極バスバー延長部57を備え、複数の蓄電ユニッ12A〜12Fのそれぞれに配された正極バスバー延長部56及び負極バスバー延長部57は、正極端子26及び負極端子27の突出方向に直交する方向について反対側に位置するように配されている。
【0065】
これにより、各蓄電ユニット12A〜12Fにおいて、正極端子26及び負極端子27の突出方向に直交する方向について重心が片寄ることを抑制することができるので、蓄電モジュール10の重心が片寄ることを一層抑制することができる。
【0066】
更に、正極バスバー36A〜36Fの正極バスバー本体部42と、負極バスバー37A〜37Fの負極バスバー本体部43とは、絶縁シート39Aを介して積層されている。これにより、正極バスバー36A〜36Fと、負極バスバー37A〜37Fとが積層されることで各蓄電ユニット12A〜12Fの重心が片寄った場合でも、全体として蓄電モジュール10の重心が片寄ることを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る蓄電素子23はラミネート型の電池である。蓄電素子23として比較的に軽量であるラミネート型の電池を用いることにより蓄電ユニット23A〜23Fの重心が正極バスバー36A〜36F及び負極バスバー37A〜37Fに片寄った場合でも、全体として蓄電モジュール10の重心が片寄ることを抑制することができる。
【0068】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
(1)本実施形態に係る蓄電素子23はラミネート型の電池としたが、蓄電素子23は金属製の筐体に蓄電要素を収容してなる電池でもよい。また、蓄電素子23は円筒状、角筒状、ボタン状等、任意の形状を採用できる。また、蓄電素子23は、外形の一部に平面を形成し、この平面とヒートシンク24とを接触させる構成としてもよい。
【0070】
(2)蓄電ユニット23A〜23Fに配された正極バスバー36A〜36Fと負極バスバー37A〜37Fとは積層される構成としたが、これに限られず、正極バスバー36A〜36Fと負極バスバー36A〜36Fは積層されていなくてもいい。
【0071】
(3)本実施形態では、1つの蓄電ユニットには3つの蓄電素子23が並列接続される構成としたが、1つの蓄電ユニットに、2つ、又は4つ以上の複数の蓄電素子23が並列接続される構成としてもよい
【0072】
(4)本実施形態においては、ケース11内には6つの蓄電ユニットが収容される構成としたが、これに限られず、ケース11内に2つ〜5つ、又は7つ以上の蓄電ユニットが収容される構成としてもよい。
【0073】
(5)本実施形態においては、蓄電素子23として電池を用いたが、これに限られず、コンデンサ、キャパシタ等、必要に応じて任意の蓄電素子23を用いてもよい。
【0074】
(6)本実施形態に係る蓄電モジュール10はISG用としたが、これに限られず、電気自動車又はハイブリッド車の動力源等、他の用途に用いる構成としてもよい。
【0075】
(7)本実施形態に係る絶縁層は合成樹脂製の絶縁シート39Aであったが、これに限られず、バスバーに絶縁性の合成樹脂からなる被膜を形成してもよい。また、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁板としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10:蓄電モジュール
12A,12B,12C,12D,12E,12F:蓄電ユニット
23:蓄電素子
25:本体部
26:正極端子(リード端子)
27:負極端子(リード端子)
36A,36B,36C,36D,36E,36F:正極バスバー(バスバー)
37A,37B,37C,37D,37E,37F:負極バスバー(バスバー)
39A:絶縁シート(絶縁層)
56:正極バスバー延長部(延長部)
57:負極バスバー延長部(延長部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16
図17
図18