特許第6021024号(P6021024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6021024表示方法、表示装置、表示システム、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021024
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】表示方法、表示装置、表示システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20161020BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20161020BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G09B29/00 F
   G01C21/26 C
   G09B29/10 A
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-90502(P2014-90502)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-62051(P2015-62051A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】特願2013-173590(P2013-173590)
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504126112
【氏名又は名称】住友電工システムソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】福永 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 正浩
【審査官】 前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−123936(JP,A)
【文献】 特開平08−054245(JP,A)
【文献】 特開2002−357440(JP,A)
【文献】 特開平08−076739(JP,A)
【文献】 特開2000−046566(JP,A)
【文献】 再公表特許第2012/114381(JP,A1)
【文献】 特開2001−201351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B23/00−29/14
G01C21/00−21/36
G01C23/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の第1画像を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する方法であって、
指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定し、
判定結果が低い場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の第2画像夫々の位置及び大きさを、該複数の第2画像が占める領域が前記帯状の第1画像が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定し、
位置及び大きさを特定した第2画像を前記表示部に表示する表示方法。
【請求項2】
前記帯状の第1画像は、長さ方向に異なる表示態様で表示し、
前記第2画像は、該第2画像が占める領域に含まれるべき前記帯状の第1画像の表示態様に基づく表示態様で表示する。
請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記第1画像に係る画像データは、1又は複数の情報が付与されており、
前記第2画像は、前記画像データに付与された1つの情報又は複数の情報から所定の選択基準により選択した情報に基づく表示態様で表示する
請求項1に記載の表示方法。
【請求項4】
前記表示態様は、色又は濃淡において異なっている請求項2に記載の表示方法。
【請求項5】
前記帯状の第1画像は、道路網内における経路であり、
指定された詳細度に応じた地図データ及び道路データを取得し、
取得した道路データに基づいて前記経路を算出し、
算出した経路、又は位置及び大きさを特定した第2画像を、取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する
請求項1から4の何れか1項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記経路は、該経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路である請求項5に記載の表示方法。
【請求項7】
前記判定結果が前記所定の詳細度より低くない場合、前記第1画像を表示せず、
指定された詳細度が前記所定の詳細度より低い第2の詳細度以上であるか否かを判定し、
判定結果が前記所定の詳細度より低く且つ前記第2の詳細度以上である場合、前記第1画像を表示する。
請求項1から6の何れか1項に記載の表示方法。
【請求項8】
前記道路データは、前記経路の属性が付与されており、
取得した道路データに基づいて前記経路の属性が所定の属性であるか否かを判定し、
前記経路の属性が所定の属性ではなく、且つ前記判定結果が前記所定の詳細度より低くない場合、前記経路を表示せず、
前記経路の属性が所定の属性である場合、指定された詳細度が前記所定の詳細度より低い第2の詳細度以上であるか否かを判定し、
判定結果が以上である場合、前記経路を表示する
請求項5又は6に記載の表示方法。
【請求項9】
道路網内における経路を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する方法であって、
指定された詳細度に応じた地図データ及び道路データを取得し、
取得した道路データに基づいて前記経路を算出し、
指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定し、
判定結果が前記所定の詳細度より低くない場合、算出した経路を表示せずに取得した地図データに基づく地図を前記表示部に表示し、
判定結果が前記所定の詳細度より低い場合、複数の第2画像夫々の位置及び大きさを、該複数の第2画像が占める領域が、算出した経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定し、
指定された詳細度が前記所定の詳細度より低い第2の詳細度以上であるか否かを判定し、
判定結果が前記所定の詳細度より低く且つ前記第2の詳細度以上である場合、算出した経路、又は位置及び大きさを特定した第2画像を、取得した地図データに基づく地図上に重畳して前記表示部に表示し、
判定結果が前記第2の詳細度より低い場合、位置及び大きさを特定した第2画像を、取得した地図データに基づく地図上に重畳して前記表示部に表示する表示方法。
【請求項10】
帯状の第1画像を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する方法であって、
同じ大きさの多角形状をなす複数の第2画像夫々の位置及び大きさを、該複数の第2画像が占める領域が前記第1画像が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定し、
位置及び大きさを特定した第2画像を前記表示部に表示する表示方法。
【請求項11】
指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定し、
判定結果が低くない場合、前記第1画像を表示しない
請求項10に記載の表示方法。
【請求項12】
道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて算出し、算出した航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示部に表示する表示装置であって、
前記航続可能経路は、前記余力に応じて長さ方向に異なる表示態様で表示するようにしてあり、
指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部と、
該判定部が低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部と、
該特定部が位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する付与部とを備え、
前記特定部が位置及び大きさを特定した画像を前記付与部が付与した情報に応じた表示態様で前記地図上に重畳して表示するようにしてある表示装置。
【請求項13】
道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、表示装置から指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて算出する情報処理装置と、該情報処理装置と通信可能に接続されており、前記情報処理装置が算出した航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示部に表示する表示装置とを含む表示システムであって、
前記情報処理装置は、
前記航続可能経路に係る画像データに、前記余力に応じた情報を付与する第1付与部と、
指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部と、
該判定部が低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部と、
該特定部が位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する第2付与部と
を備え、
前記表示装置は、
前記情報処理装置が算出した航続可能経路、並びに前記特定部が位置及び大きさを特定した画像の夫々を、前記第1及び第2付与部が付与した情報に応じた表示態様で前記地図上に重畳して表示するようにしてある表示システム。
【請求項14】
コンピュータを、道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得された道路データに基づいて算出するように機能させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記航続可能経路に係る画像データに、前記余力に応じた情報を付与する第1付与部、
指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部、
判定部で低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部、並びに
該特定部で位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路上の前記余力に基づく情報を付与する第2付与部
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の画像を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する表示方法、該表示方法を実施する表示装置、表示システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリに蓄電された電力にてモータを駆動することによって走行する電気自動車(EV:Electric Vehicle)が普及し始めている。エンジンを搭載していない電気自動車では、バッテリに蓄電された電力を全て消費してしまうと走行不能となるため、電気自動車のユーザはバッテリに蓄電された電力の残量に注意して走行を行う必要がある。
【0003】
一方、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)は、モータの他にエンジン及び該エンジンによって駆動される発電機を備え、エンジンを駆動するための燃料、又は発電機によってバッテリに蓄電された電力が残されている限り走行が可能である。このため、ハイブリッド車のユーザはバッテリ及び燃料の残量に注意を払わねばならない。
【0004】
これに対し、特許文献1には、距離当たり消費エネルギーに基づいて走行可能時間を算出し、該走行可能時間及び平均車速に基づいて走行可能距離を算出し、該走行可能距離及び探索した走行可能経路に基づいて電動駆動車両を走行させることができる走行可能範囲を算出して走行可能経路と共に表示部に表示する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、現在位置と目的地の両地点を表示可能な詳細度の細街路(経路又は道路)を含む両地点表示細街路地図をディスプレイ(表示部)に表示し、車両が目的地に近づくにしたがって、高い詳細度の両地点表示細街路地図に切り替えて表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−075562号公報
【特許文献2】特開2001−074480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に開示された技術では、道路毎の表示データに基づいて経路又は道路を表示する場合に、詳細度が低いほど扱うデータ量が大きくなるため、表示速度が低下する問題があった。また、その問題を回避するために経路又は道路を間引いて表示した場合は、視認性が低下する虞があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、詳細度の低い画像を表示する場合であっても、扱うデータ量の増大を抑制しつつ良好な視認性を確保することが可能な表示方法、該表示方法を実施する表示装置、表示システム、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る表示方法は、帯状の第1画像を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する方法であって、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定し、判定結果が低い場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の第2画像夫々の位置及び大きさを、該複数の第2画像が占める領域が前記帯状の第1画像が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定し、位置及び大きさを特定した第2画像を前記表示部に表示する。
【0010】
本発明に係る表示装置は、道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて算出し、算出した航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示部に表示する表示装置であって、前記航続可能経路は、前記余力に応じて長さ方向に異なる表示態様で表示するようにしてあり、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部と、該判定部が低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部と、該特定部が位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する付与部とを備え、前記特定部が位置及び大きさを特定した画像を前記付与部が付与した情報に応じた表示態様で前記地図上に重畳して表示するようにしてある。
【0011】
本発明に係る表示システムは、道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、表示装置から指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて算出する情報処理装置と、該情報処理装置と通信可能に接続されており、前記情報処理装置が算出した航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示部に表示する表示装置とを含む表示システムであって、前記情報処理装置は、前記航続可能経路に係る画像データに、前記余力に応じた情報を付与する第1付与部と、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部と、該判定部が低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部と、該特定部が位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する第2付与部とを備え、前記表示装置は、前記情報処理装置が算出した航続可能経路、並びに前記特定部が位置及び大きさを特定した画像の夫々を、前記第1及び第2付与部が付与した情報に応じた表示態様で前記地図上に重畳して表示するようにしてある。
【0012】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得された道路データに基づいて算出するように機能させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記航続可能経路に係る画像データに、前記余力に応じた情報を付与する第1付与部、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部、該判定部で低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部、並びに該特定部で位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路上の前記余力に基づく情報を付与する第2付与部として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像を表示する詳細度が低いために画像の表示範囲が広がって帯状の第1画像に係る画像データが増大すると共に、第1画像の表示幅が狭くなって視認度が低下する場合、第1画像に代えて第2画像が表示される。この場合、第2画像の大きさを適当に特定した場合は、第2画像に係る画像データの大きさが低減され、且つ第2画像の視認度が向上する。
従って、詳細度の低い画像を表示する場合であっても、扱うデータ量の増大を抑制しつつ良好な視認性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
図2】航続可能経路に濃淡を付けて表示した画面の一例を示す説明図である。
図3】道路の画像に置き換えて表示される複数の矩形の画像を説明する説明図である。
図4】一の矩形の画像が占める領域に高速道路の上り,下りの車線の画像が含まれ得る場合を示す説明図である。
図5】航続可能経路に代えて複数の矩形の画像を表示した画面の一例を示す説明図である。
図6】本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で航続可能経路を地図上に重畳表示するCPUの処理手順を示すメインルーチンのフローチャートである。
図7】航続余力算出のサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
図9】本発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムで航続可能経路を地図上に重畳表示するCPU及び制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施の形態2の変形例に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
図11】本発明の実施の形態3に係るナビゲーションシステムで航続可能経路を地図上に重畳表示するCPU及び制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0016】
本発明に係る表示方法は、帯状の第1画像を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する方法であって、同じ大きさの多角形状をなす複数の第2画像夫々の位置及び大きさを、該複数の第2画像が占める領域が前記第1画像が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定し、位置及び大きさを特定した第2画像を前記表示部に表示する。
【0017】
本発明に係る表示方法は、前記帯状の第1画像は、長さ方向に異なる表示態様で表示し、前記第2画像は、該第2画像が占める領域に含まれるべき前記帯状の第1画像の表示態様に基づく表示態様で表示する。
本発明に係る表示方法は、前記第1画像に係る画像データは、1又は複数の情報が付与されており、前記第2画像は、前記画像データに付与された1つの情報又は複数の情報から所定の選択基準により選択した情報に基づく表示態様で表示する。
【0018】
本発明に係る表示方法は、前記表示態様は、色又は濃淡において異なっている。
【0020】
本発明に係る表示方法は、前記帯状の第1画像は、道路網内における経路であり、指定された詳細度に応じた地図データ及び道路データを取得し、取得した道路データに基づいて前記経路を算出し、算出した経路、又は位置及び大きさを特定した第2画像を、取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する。
【0021】
本発明に係る表示方法は、前記経路は、該経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路である。
【0022】
本発明に係る表示方法は、前記判定結果が前記所定の詳細度より低くない場合、前記第1画像を表示せず、指定された詳細度が前記所定の詳細度より低い第2の詳細度以上であるか否かを判定し、判定結果が前記所定の詳細度より低く且つ前記第2の詳細度以上である場合、前記第1画像を表示する。
本発明に係る表示方法は、前記道路データは、前記経路の属性が付与されており、取得した道路データに基づいて前記経路の属性が所定の属性であるか否かを判定し、前記経路の属性が所定の属性ではなく、且つ前記判定結果が前記所定の詳細度より低くない場合、前記経路を表示せず、前記経路の属性が所定の属性である場合、指定された詳細度が前記所定の詳細度より低い第2の詳細度以上であるか否かを判定し、判定結果が以上である場合、前記経路を表示する。
本発明に係る表示方法は、道路網内における経路を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する方法であって、指定された詳細度に応じた地図データ及び道路データを取得し、取得した道路データに基づいて前記経路を算出し、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定し、判定結果が前記所定の詳細度より低くない場合、算出した経路を表示せずに取得した地図データに基づく地図を前記表示部に表示し、判定結果が前記所定の詳細度より低い場合、複数の第2画像夫々の位置及び大きさを、該複数の第2画像が占める領域が、算出した経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定し、指定された詳細度が前記所定の詳細度より低い第2の詳細度以上であるか否かを判定し、判定結果が前記所定の詳細度より低く且つ前記第2の詳細度以上である場合、算出した経路、又は位置及び大きさを特定した第2画像を、取得した地図データに基づく地図上に重畳して前記表示部に表示し、判定結果が前記第2の詳細度より低い場合、位置及び大きさを特定した第2画像を、取得した地図データに基づく地図上に重畳して前記表示部に表示する。
【0023】
本発明に係る表示方法は、帯状の第1画像を指定された詳細度で表示装置の表示部に表示する方法であって、同じ大きさの多角形状をなす複数の第2画像夫々の位置及び大きさを、該複数の第2画像が占める領域が前記第1画像が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定し、位置及び大きさを特定した第2画像を前記表示部に表示する。
【0024】
本発明に係る表示方法は、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定し、判定結果が低くない場合、前記第1画像を表示しない。
【0025】
本発明に係る表示装置は、道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて算出し、算出した航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示部に表示する表示装置であって、前記航続可能経路は、前記余力に応じて長さ方向に異なる表示態様で表示するようにしてあり、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部と、該判定部が低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部と、該特定部が位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する付与部とを備え、前記特定部が位置及び大きさを特定した画像を前記付与部が付与した情報に応じた表示態様で前記地図上に重畳して表示するようにしてある。
【0026】
本発明に係る表示システムは、道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、表示装置から指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて算出する情報処理装置と、該情報処理装置と通信可能に接続されており、前記情報処理装置が算出した航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示部に表示する表示装置とを含む表示システムであって、前記情報処理装置は、前記航続可能経路に係る画像データに、前記余力に応じた情報を付与する第1付与部と、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部と、該判定部が低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部と、該特定部が位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する第2付与部とを備え、前記表示装置は、前記情報処理装置が算出した航続可能経路、並びに前記特定部が位置及び大きさを特定した画像の夫々を、前記第1及び第2付与部が付与した情報に応じた表示態様で前記地図上に重畳して表示するようにしてある。
【0027】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、道路網内における経路に含まれる道路を基準地点から走行する車両が、該車両の航続距離の余力が所定量になるまで走行し得る航続可能経路を、指定された詳細度に応じて取得された道路データに基づいて算出するように機能させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記航続可能経路に係る画像データに、前記余力に応じた情報を付与する第1付与部、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する判定部、該判定部で低いと判定した場合、同じ大きさの多角形状をなす複数の画像夫々の位置及び大きさを、該複数の画像が占める領域が、前記航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように特定する特定部、並びに該特定部で位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき前記航続可能経路上の前記余力に基づく情報を付与する第2付与部として機能させる。
【0028】
本発明にあっては、画面の表示について指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合、複数の第2画像が占める領域が帯状の第1画像が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の第2画像夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した第2画像を表示装置の表示部に表示する。
これにより、画像を表示する詳細度が低いために画像の表示範囲が広がって第1画像に係る画像データが増大すると共に、第1画像の表示幅が狭くなって視認度が低下する場合、第1画像に代えて第2画像が表示される。その際、第2画像の大きさを適当に特定した場合は、第2画像に係る画像データの大きさが低減され、且つ第2画像の視認度が向上する。
【0029】
本発明にあっては、帯状の第1画像は、長さ方向に異なる表示態様で表示する。一方、第1画像に代えて表示する第2画像は、該第2画像が占める領域に含まれるべき第1画像の表示態様に応じた表示態様で表示する。
これにより、各第2画像が占める領域に含まれるべき第1画像の表示態様が複数に分かれる場合、夫々の第2画像の表示態様が一義的に特定される。
【0030】
本発明にあっては、第1画像及び第2画像を色又は濃淡を異ならせて表示する。
これにより、表示態様の違いによって表される内容が、直感的に且つ正確に把握される。
【0031】
本発明にあっては、複数の第2画像夫々の大きさが同一であり、形状が矩形に統一されている。
これにより、第2画像を表示するための処理負荷が低減される上、視覚的にも整って表示される。
【0032】
本発明にあっては、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて道路網内における経路を算出し、算出した経路又は第2画像を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する。
これにより、詳細度(つまり縮尺)の指定に応じて、道路網内における経路又はそれに代わる第2画像が地図上に重畳表示される。
【0033】
本発明にあっては、道路上の基準地点から走行を開始して航続距離の余力が所定量になるまで車両が走行し得る航続可能経路、又はそれに代わる第2画像を、地図上に重畳して表示する。
これにより、詳細度(縮尺)の指定に応じて、例えば燃料及びバッテリの残量が反映された航続可能経路又はそれに代わる第2画像が、地図上に重畳表示される。
【0034】
本発明にあっては、指定された詳細度が所定の詳細度より低くない場合、第1画像を表示しない。また、指定された詳細度が所定の詳細度より低い第2の詳細度以上の場合、第2画像を表示せずに元の第1画像を表示する。
これにより、指定の詳細度が所定の詳細度以上の場合は、第1画像も第2画像も表示されず、指定の詳細度が所定の詳細度より低く且つ第2の詳細度以上の場合は、第1画像が表示され、指定の詳細度が第2の詳細度より低い場合は、第2画像が表示される。
【0035】
本発明にあっては、複数の第2画像が占める領域が帯状の第1画像が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の第2画像夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した第2画像を表示装置の表示部に表示する。
これにより、第1画像に代えて無条件に第2画像が表示される。その際、第2画像の大きさを適当に特定した場合は、第2画像に係る画像データの大きさが低減され、且つ第2画像の視認度が向上する。
【0036】
本発明にあっては、指定された詳細度が所定の詳細度以上の場合、第1画像を表示しないため、第1画像も第2画像も表示されない。
【0037】
本発明にあっては、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて航続可能経路を算出し、算出した航続可能経路を車両の航続距離の余力に応じて長さ方向に異なる表示態様で、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する。航続可能経路の表示について指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合、複数の画像が占める領域が、航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の画像夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与しておく。そして、画像データに前記情報が付与された画像を表示部に表示する場合は、付与された情報に応じた表示態様で前記地図上に重畳して表示する。
これにより、航続可能経路を表示する詳細度が低いために表示範囲が広がって航続可能経路に係る画像データが増大すると共に、航続可能経路の表示幅が狭くなって航続可能経路の視認度が低下する場合、航続可能経路に代えて代替画像が表示される。その際、代替画像の大きさが適当である場合は、航続可能経路よりも代替画像の視認度が高まると共に、代替画像に係る画像データの大きさが低減されて表示速度が向上する。また、代替画像に係る画像データには、該代替画像が占める領域に含まれるべき航続可能経路における余力を代表する情報が付与されているため、代替画像の表示態様が一義的に特定される。
【0038】
本発明にあっては、情報処理装置は、表示装置から指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて航続可能経路を算出し、算出した航続可能経路に係る画像データに、車両の航続距離の余力に応じた情報を付与する。航続可能経路の表示について指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合、複数の画像が占める領域が、航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の画像夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する。一方の表示装置は、情報処置装置で算出された航続可能経路、並びに情報処理装置で位置及び大きさが特定された画像を、夫々に係る画像データに付与された情報に応じた表示態様で、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する。
これにより、航続可能経路を表示する詳細度が低いために表示範囲が広がって航続可能経路に係る画像データが増大すると共に、航続可能経路の表示幅が狭くなって航続可能経路の視認度が低下する場合、航続可能経路に代えて表示すべき代替画像が表示装置に表示される。その際、代替画像の大きさが適当である場合は、航続可能経路よりも代替画像の視認度が高まると共に、代替画像に係る画像データの大きさが低減されて表示速度が向上する。また、代替画像に係る画像データには、該代替画像が占める領域に含まれるべき航続可能経路における余力に基づく情報が付与されているため、代替画像の表示態様が一義的に特定される。
【0039】
本発明にあっては、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて算出した航続可能経路に係る画像データに、車両の航続距離の余力に応じた情報を付与する。航続可能経路の表示について指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合、複数の画像が占める領域が、航続可能経路が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の画像夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した画像に係る画像データに、該画像が占める領域に含まれるべき航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する。
これにより、航続可能経路を表示する詳細度が低いために表示範囲が広がって航続可能経路に係る画像データが増大すると共に、航続可能経路の表示幅が狭くなって航続可能経路の視認度が低下する場合、航続可能経路に代えて表示すべき代替画像が特定される。その際、代替画像の大きさが適当である場合は、航続可能経路よりも代替画像の視認度が高まると共に、代替画像に係る画像データの大きさが低減される。また、代替画像に係る画像データには、該代替画像が占める領域に含まれるべき航続可能経路における余力に基づく情報が付与されているため、代替画像を表示する際の表示態様が一義的に特定される。
【0040】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る表示装置及び表示システム夫々の実施例であるナビゲーション装置及びナビゲーションシステムを、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【0041】
ナビゲーション装置1は、ナビゲート対象の車両に搭載されており、道路網内における車両の位置を検出しながら目的地点までの適切な経路を案内するナビゲーションを行う。ナビゲーション装置1は、各種の処理及び演算を行うためのCPU11を備え、CPU11には、処理及び演算に伴う一時的な情報を記憶するRAM12、及び本発明に係るコンピュータプログラム10を記憶するROM13がバス接続されている。コンピュータプログラム10は、ナビゲーション装置1を制御するための制御プログラムの一部であり、CPU11は、コンピュータプログラム10を含む制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の動作を制御する処理を実行する。
【0042】
またCPU11には、液晶ディスプレイ等の表示部15と、ユーザの操作により各種の指示が入力される入力部16とが接続されている。表示部15は、ナビゲーションを行うために必要な地図、画像及び文字を表示する。入力部16は、表示部15と組み合わせたタッチパネル、各種のスイッチ、音声認識手段等を用いて構成されている。
【0043】
またCPU11には、ハードディスク又は不揮発性の半導体メモリ等から構成される記憶部14が接続されており、記憶部14は地図データ及び道路データを記憶している。地図データは、例えば河川及び海岸線等の水系、標高、都府県界等の行政界、鉄道、各種の施設、並びに地名等に関する情報を収録するものである。道路データは、道路ネットワークに関するメタデータを収録するものである。
【0044】
またCPU11には、GPS衛星から送信されるGPS信号、車両の加速度データ、車両の方位データ、車速パルス等の、車両の位置を推定するために必要な位置情報を取得する位置情報取得部17が接続されている。CPU11は、位置情報取得部17によって取得した信号及びデータに基づいて車両の位置を推定する処理を行う。
【0045】
またCPU11には、CANバス(不図示)を介して車両内の各ECU(不図示)と通信するCAN通信部18が接続されている。CAN通信部18は、例えば燃料の残量、バッテリの残量等の、航続距離の余力を算出するための余力情報を各ECUから取得する。
【0046】
上述の構成において、表示部15には、車両の現在地(基準地点に相当)から車両の航続距離の余力が一定量になる地点までの航続可能経路が地図上に重畳して表示される。表示される航続可能経路及び地図の詳細度(例えば縮尺)は、ユーザによって入力部16から指定される。地図の表示に係る地図データ及び航続可能経路の算出に必要な道路データは、推定した車両の位置及びユーザから指定された詳細度に応じて、記憶部14から取得される。
【0047】
航続距離とは、1回の燃料補給及び1回のバッテリの充電によって、基準地点を中心とする経路に含まれる道路を車両が走行し得る距離であり、例えば燃料及びバッテリの残量を残存エネルギーで表した場合、刻一刻変化する残存エネルギーの単位消費量当たりの走行距離を積算したものとなる。
【0048】
道路上のある地点における航続距離の余力は、基準地点における残存エネルギーに対する、その地点における残存エネルギーの比(%値)で表されるが、燃料の残量の絶対値で表してもよいし、電気自動車の場合はバッテリのSOC(State Of Charge)で表してもよい。
【0049】
航続距離の余力は、CAN通信部18が取得した車両情報、図示しない補機の使用電力、及び乗車人数等に基づいて算出される。本実施の形態1では、取得された道路データから抽出された各道路について、順次所定距離を隔てた各点における航続距離の余力が算出される。各道路に係る画像データには、算出された航続力の余力に応じた情報が付与される。このようにして航続距離の余力が算出された道路の集合が航続可能経路となる。つまり、航続距離の余力が少なくなるほど航続可能経路が広がる。
【0050】
航続可能経路は、航続距離の余力に応じた表示態様で(例えば長さ方向に異なる色又は濃淡を付けて)表示部15に表示される。
図2は、航続可能経路に濃淡を付けて表示した画面の一例を示す説明図である。図2では、画面の縦幅又は横幅に対応する距離が50km程度の距離となるような縮尺で、地図上に航続可能経路が重畳表示されている。基準地点は、表示画面の中央部と左端部との中程に位置している。航続可能経路に含まれる各道路は、夫々に係る画像データに付与された情報に応じた表示態様で表示される。これにより、各道路は、長さ方向に濃淡(図2では斜線の密度)が異なるように表示される。
【0051】
ここで、一画面で表示される範囲の縦横の距離が概ね50kmを越える場合、航続可能経路に含まれる道路を表示するためのデータ量が増大して表示速度が極端に低下することがある。また、そのような場合は、道路が細く表示されるため、色又は濃淡の識別が困難になって視認性が低下する。そこで、本実施の形態1では、ユーザから指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合(具体的には、例えば縦横の表示幅が50kmを越える場合)、航続可能経路に含まれる道路の画像(第1画像に相当)を矩形の画像(第2画像に相当)に置き換えて表示する。道路の画像を矩形とは異なる他の形状(例えば六角形)の画像に置き換えて表示してもよい。
【0052】
図3は、道路の画像5に置き換えて表示される複数の矩形の画像6を説明する説明図である。複数の矩形の画像6は、自身が占める領域が、道路の画像5が占めるべき領域の一部又は全部を包含するように、夫々の位置及び大きさが特定される。置き換えられる前の道路の画像5との重なりを有しない矩形の画像6が存在してもよいし、置き換えられる前の道路の画像5の一部に矩形の画像6が重ならなくてもよい。各矩形の画像6は、大きさが同一で中心位置が画面の縦横に規則正しく並ぶようにして位置及び大きさを特定することにより、夫々の矩形の画像6について表示位置の指定が容易になると共に視認性が良好となるが、これに限定されるものではない。
【0053】
矩形の画像6の大きさが大きいほど、その矩形の画像6に係る画像データの量が低減されるが、道路の画像5に置き換わるものとして視認性が確保される限り、ある程度小さくすることも必要である。例えば、画面の縦幅又は横幅に対応する距離が100km程度の距離となるような縮尺で地図及び航続可能経路が表示される場合、矩形の画像6の一辺の大きさが1〜2km程度となるようにすることが好ましい。矩形の画像6の大きさがユーザによって選択されるようにしてもよい。
【0054】
各矩形の画像6は、夫々が占める領域に含まれる道路の画像5の表示態様(例えば長さ方向に異なる色又は濃淡を付けた表示)に基づく表示態様で表示部15に表示される。具体的には、各矩形の画像6に係る画像データには、夫々の矩形の画像6が占める領域に含まれる道路の画像5に係る画像データに付与された情報に基づく情報が付与される。そして、各矩形の画像6が表示されるときに、夫々の矩形の画像6に係る画像データに付与された情報に応じた表示態様で表示される。
【0055】
一の矩形の画像6が占める領域に含まれる道路の画像5に係る画像データに、相異なる2つ以上の情報が付与されている場合、何れの情報に基づく情報を一の矩形の画像6に係る画像データに付与するかの基準を予め定めておくことにより、各矩形の画像6の表示態様(連なる方向に異なる色又は濃淡を付けた表示)が一義的に特定される。一方、一の矩形の画像6が占める領域に含まれる道路の画像5に係る画像データに付与されている2つ以上の情報を、そのまま一の矩形の画像6に係る画像データに付与しておくことにより、一の矩形の画像6の表示態様を表示の際に決定することも可能である。
【0056】
前者の方法の例として、道路の画像5に係る画像データに航続距離の余力に応じた異なる情報が付与されている場合、航続距離の余力が小さい方に対応する情報を、その道路の画像5が含まれる領域を占める矩形の画像6に係る画像データに付与しておくことにより、矩形の画像6が、航続距離の余力に関して安全サイドの表示態様(余力が小さいことを示す色又は濃淡)で表示される。また後者の方法の変形例として、2つ以上の矩形の画像をまとめて(例えば4つの矩形の画像を面積が4倍の1つの画像にまとめて)1つの表示態様で表示することも可能である。
【0057】
次に、一の矩形の画像6が占める領域に複数の道路の画像5が含まれ得る場合について説明する。
図4は、一の矩形の画像6が占める領域に高速道路の上り,下りの車線の画像51,52が含まれ得る場合を示す説明図である。例えば高速道路の下り車線側にのみサービスエリアが設けられている場合、上り車線から、その先のインターチェンジを経て下り車線に折り返す経路において、上り,下りの車線の画像51,52に係る画像データに、夫々異なる余力を示す情報が付与される場合がある。これは、上り車線から下り車線に折り返す経路の途中で航続距離の余力が変化することを示している。このような場合については、一の矩形の画像6が占める領域に、画像データに2つ以上の情報が付与されている道路の画像5が含まれ得る場合と同様に処理すればよい。
【0058】
図5は、航続可能経路に代えて複数の矩形の画像6を表示した画面の一例を示す説明図である。航続可能経路に含まれる道路が密集している領域では、複数の矩形の画像6がほぼ隙間なく表示されており、画面の中心に位置する基準地点から遠ざかるに連れて、矩形の画像6の濃淡が薄く表示されている。これにより、複数の矩形の画像6の濃淡(図5では斜線の密度)によって表される航続距離の余力が一目で把握される。
【0059】
以下では、上述したCPU11の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM13に予め格納されているコンピュータプログラム10及びその他の制御プログラムに従ってCPU11により実行される。以下のフローチャートでは、航続可能経路の一部を経路と言い、経路と道路を特に区別せずに言う場合がある。また、矩形の画像6を矩形画像と言う。
【0060】
図6は、本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置1で航続可能経路を地図上に重畳表示するCPU11の処理手順を示すメインルーチンのフローチャートであり、図7は、航続余力算出のサブルーチンに係るCPU11の処理手順を示すフローチャートである。図6の処理は、例えば、入力部16から航続可能経路の表示に係る詳細度を指示する操作があった場合に起動される。
【0061】
図6の処理が起動された場合、CPU11は、位置情報取得部17によって車両の位置を推定する(S11)と共に、航続距離の余力(以下、航続余力と言う)を算出するための車両の余力情報をCAN通信部18によって取得する(S12)。
【0062】
その後、CPU11は、推定した車両の位置及び指定された詳細度に応じた地図データを記憶部14から取得する(S13)と共に、推定した車両の位置及び指定された詳細度に応じた道路データを記憶部14から取得し(S14:取得部に相当)、推定した車両の位置及び取得した余力情報を引数として航続余力算出のサブルーチンを呼び出す(S15)。
【0063】
図7に移って、航続余力算出のサブルーチンが呼び出された場合、CPU11は、メインルーチンで取得された道路データ、即ち道路のメタデータから、基準地点を中心にして順次延びる一の道路を抽出し(S31:算出部に相当)、抽出した道路上で順次所定距離を隔てた各点における航続余力を算出する(S32:第1付与部に相当)。その後、CPU11は、全道路の抽出を完了したか否かを判定し(S33)、完了していない場合(S33:NO)に処理をステップS31へ移すのに対して、完了した場合(S33:YES)にメインルーチンへリターンする。サブルーチンで算出された航続余力のデータには、例えば、地域を表すメッシュ、リンク(道路種別、リンク種別、リンク属性を含む)、座標及び航続余力値が含まれている。
【0064】
図6に戻って、航続余力算出のサブルーチンからリターンした場合、CPU11は、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する(S16:判定部に相当)。低くない場合(S16:NO)、CPU11は、経路(道路)上の各点における航続余力に応じて経路の長さ方向に異なる情報を、経路に係る画像データに付与して(S17)、後のステップで表示する表示画像を経路とする(S18)。
【0065】
なお、指定された詳細度が所定の詳細度より低くない場合(S16:NO)、ステップS17をスキップし、ステップS18で表示画像をヌル画像(何も表示されない画像)としてもよい。この場合は、ステップS19で、地図データに基づく地図そのものが道路を含めて表示される。これにより、経路に代えて矩形画像を表示する必要がないほど表示に係る詳細度が高い場合、道路が含まれる地図そのものが表示される。
【0066】
次いで、CPU11は、表示画像(場合により経路又は矩形の画像の何れか)に係る画像データと、取得した地図データとをマッシュアップし、地図上に表示画像を重畳して表示部15に表示する(S19)。この場合、CPU11は、表示画像に係る画像データに付与された情報に応じて、表示画像に色又は濃淡を付けて表示する。その後、CPU11は、図6の処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS16で、指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合(S16:YES)、CPU11は、経路(各道路)が占める領域を包含する所定の大きさの複数の矩形画像の位置を特定する(S20:特定部に相当)。位置を特定する処理の内容は、図3を用いて説明したものであり、各矩形画像は一定の大きさに特定される。
【0068】
なお、上述のステップS16の判定処理そのものをスキップし、ステップS15の処理を終えた後に、ステップS20に処理を移してもよい。この場合は、ステップS15で算出された経路(道路)に対して無条件に複数の矩形画像の位置及び大きさが特定される。これにより、最終的には詳細度の指定によらずに(つまり全ての縮尺について)地図上に矩形画像が重畳表示される。
【0069】
次いで、CPU11は、各矩形画像が占める領域に含まれる経路(道路)における航続余力の代表値を示す情報を、各矩形画像に係る画像データに付与する(S21:付与部及び第2付与部に相当)。ここでの航続余力は、航続余力算出のサブルーチンで算出された値であり、代表値(例えば航続距離の余力が小さい方の値)を特定する処理の内容は、図3及び4を用いて説明したものである。
【0070】
その後、CPU11は、後のステップで表示する表示画像を矩形画像とし(S22)、処理をステップS19へ移す。これにより、地図上に各矩形画像が重畳表示される。
【0071】
なお、図6に示す処理のうち、ステップS16,S17,S20,S21が、本発明に係るコンピュータプログラム10に該当する。
【0072】
以上のように本実施の形態1によれば、画面の表示について指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合、複数の矩形の画像6が占める領域が道路の画像5が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の矩形の画像6夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した矩形の画像6を表示部15に表示する。
これにより、画像を表示する詳細度が低いために画像の表示範囲が広がって道路の画像5に係る画像データが増大すると共に、道路の画像5の表示幅が狭くなって視認度が低下する場合、道路の画像5に代えて矩形の画像6が表示される。その際、矩形の画像6の大きさが適当に特定されるため、矩形の画像6に係る画像データの大きさが低減され、且つ矩形の画像6の視認度が向上する。
従って、詳細度の低い画像を表示する場合であっても、扱うデータ量の増大を抑制しつつ良好な視認性を確保することが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態1によれば、道路の画像5は、長さ方向に異なる色又は濃淡をつけて表示する。一方、道路の画像5に代えて表示する矩形の画像6は、該矩形の画像6が占める領域に含まれるべき道路の画像5の表示態様に応じた表示態様で表示する。
従って、各矩形の画像6が占める領域に含まれるべき道路の画像5の表示態様が複数に分かれる場合、夫々の矩形の画像6の表示態様を一義的に特定することが可能となる。
【0074】
更に、本実施の形態1によれば、道路の画像5及び矩形の画像6を色又は濃淡を異ならせて表示する。
従って、表示態様の違いによって表される内容を、直感的に且つ正確に把握することが可能となる。
【0075】
更にまた、本実施の形態1によれば、複数の矩形の画像6夫々の大きさが同一であり、形状が統一されている。
従って、矩形の画像6を表示するための処理負荷を低減することが可能であり、且つ視覚的にも整って表示することが可能となる。
【0076】
更にまた、本実施の形態1によれば、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて道路網内における経路を算出し、算出した経路又は矩形の画像6を、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する。
従って、詳細度(縮尺)の指定に応じて、道路網内における経路又はそれに代わる矩形の画像6を地図上に重畳表示することが可能となる。
【0077】
更にまた、本実施の形態1によれば、道路上の基準地点から走行を開始して航続距離の余力が所定量になるまで車両が走行し得る航続可能経路、又はそれに代わる矩形の画像6を、地図上に重畳して表示する。
従って、詳細度(縮尺)の指定に応じて、例えば燃料及びバッテリの残量が反映された航続可能経路又はそれに代わる矩形の画像6を、地図上に重畳表示することが可能となる。
【0078】
更にまた、本実施の形態1によれば、複数の矩形の画像6が占める領域が道路の画像5が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の矩形の画像6夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した矩形の画像6を表示部15に表示してもよい。
これにより、道路の画像5に代えて無条件に矩形の画像6が表示される。その際、矩形の画像6の大きさが適当に特定されるため、矩形の画像6に係る画像データの大きさが低減され、且つ矩形の画像6の視認度が向上する。
従って、詳細度の低い画像を表示する場合であっても、扱うデータ量の増大を抑制しつつ良好な視認性を確保することが可能となる。
【0079】
更にまた、本実施の形態1によれば、指定された詳細度が所定の詳細度より低くない場合、第1画像を表示せずに、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図を表示してもよい。
従って、詳細度が比較的高い(つまり縮尺が比較的大きい)場合は、第1画像としての経路を表示せずに道路が含まれる地図そのものを表示することが可能となる。
【0080】
更にまた、本実施の形態1によれば、指定された詳細度に応じて取得した道路データに基づいて航続可能経路を算出し、算出した航続可能経路に係る画像データに、車両の航続距離の余力に応じて経路の長さ方向に異なる情報を付与する。航続可能経路の表示について指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合、複数の矩形の画像6が占める領域が、航続可能経路に含まれる道路の画像5が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の矩形の画像6夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した矩形の画像6に係る画像データに、該矩形の画像6が占める領域に含まれるべき航続可能経路における余力に基づく情報を付与する。そして、算出された航続可能経路、並びに位置及び大きさが特定された矩形の画像6を、夫々に係る画像データに付与された情報に応じた表示態様で、指定された詳細度に応じて取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する。
従って、航続可能経路を表示する詳細度が低いために表示範囲が広がって航続可能経路に係る画像データが増大すると共に、航続可能経路の表示幅が狭くなって航続可能経路の視認度が低下する場合、航続可能経路に代えて表示すべき矩形の画像6を特定することが可能となる。そして、矩形の画像6の大きさが適当であるため、航続可能経路よりも矩形の画像6の視認度を高めることができ、矩形の画像6に係る画像データの大きさを低減することができる。また、矩形の画像6に係る画像データには、該矩形の画像6が占める領域に含まれるべき航続可能経路における余力に基づく情報が付与されているため、矩形の画像を表示する際の表示態様を一義的に特定することが可能となる。
【0081】
なお、本実施の形態1にあっては、図6に示すステップS16で、経路に含まれる道路の種類に拘わらず、指定された詳細度の判定処理を行ったが、道路の種類に応じて異なる判定処理を行うようにしてもよい。具体的には、航続余力のデータに含まれる道路種別によって一般道及び高速道を識別し、高速道については、一般道について比較判定される所定の詳細度より低い第2の詳細度と、指定された詳細度とを比較判定する。これにより、指定された詳細度が、例えば所定の詳細度より低く且つ第2の詳細度以上の場合、一般道については航続可能経路に代えて矩形画像を地図上に重畳表示し、高速道については航続可能経路を地図上に重畳表示することが可能となる。
【0082】
(実施の形態2)
実施の形態1が、ナビゲーション装置1に地図データ及び道路データを記憶してあり、ナビゲーション装置1にて航続余力を算出する形態であるのに対し、実施の形態2は、外部の道路データサーバ及び地図データサーバの夫々に道路データ及び地図データを記憶してあり、道路データサーバにて航続余力を算出する形態である。
【0083】
図8は、本発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態2におけるナビゲーション装置1は、図1に示す実施の形態1におけるナビゲーション装置1に対して、無線キャリア(不図示)を介してインターネット2に接続するための無線通信部19がCPU11にバス接続されている。CPU11には、記憶部14はバス接続されていない。インターネット2には、道路データを記憶する道路データサーバ(情報処理装置に相当)3と、地図データを記憶する地図データサーバ4とが接続されている。
【0084】
道路データサーバ3は制御部31を備え、該制御部31は、インターネット2に接続するための通信部39と、道路データを記録した道路データベース及び本発明に係るコンピュータプログラム10が記憶されている記憶装置32とに接続されている。制御部31は、記憶装置32からコンピュータプログラム10を含む制御プログラムを自身の記憶部(不図示)にロードしてこれを実行する。
【0085】
地図データサーバ4は制御部41を備え、該制御部41は、インターネット2に接続するための通信部49と、地図データを記録した地図データベースが記憶されている記憶装置42とに接続されている。このような地図データベースの一例として、グーグルマップやノキアマップが利用可能である。
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0086】
本実施の形態2にあっては、実施の形態1におけるナビゲーション装置1の機能の一部を道路データサーバ3が担っており、全体的な処理内容には大きな違いがないため、以下ではフローチャートを用いて説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムで航続可能経路を地図上に重畳表示するCPU11及び制御部31の処理手順を示すフローチャートである。
【0087】
図9に示す処理のうち、ナビゲーション装置1側のステップS41,S42の処理は、実施の形態1の図6におけるステップS11,S12の処理と同一である。また、道路データサーバ3側のステップS56,S57,S60,S61の処理は、実行する主体が異なる点を除いて実施の形態1の図6におけるステップS16,S17,S20,S21の処理と同様である。よってこれらのステップについての説明の大部分を省略する。
なお、図9に示す処理のうち、ステップS56,S57,S60,S61が、本発明に係るコンピュータプログラム10に該当する。
【0088】
図9の処理が起動されてステップS41及びS42の処理を実行した場合、CPU11は、指定された詳細度、推定した車両の位置、及び取得した余力情報を、無線通信部19によってインターネット2経由で道路データサーバ3に送信する(S43)。その後、CPU11は、推定した車両の位置及び指定された詳細度に応じた地図データを、無線通信部19によってインターネット2経由で地図データサーバ4の地図データベースから取得する(S44)。
【0089】
一方の道路データサーバ3では、制御部31が、通信部39によって詳細度、車両の位置及び余力情報を受信したか否かを判定しており(S51)、受信していない場合(S51:NO)、受信するまで待機する。
【0090】
これらの情報を受信した場合(S51:YES)、制御部31は、受信した車両の位置及び詳細度に応じた道路データを記憶装置32の道路データベースから取得し(S53)、受信した車両の位置及び余力情報を引数として航続余力検出のサブルーチンを呼び出す(S54)。航続余力検出のサブルーチンは、実施の形態1の図7に示すものである。
【0091】
航続余力算出のサブルーチンからリターンした場合、制御部31は、指定された詳細度が所定の詳細度より低いか否かを判定する(S56)。低くない場合(S56:NO)、制御部31は、図6のステップS17と同様の処理により、経路(道路)上の各点における航続余力に応じて経路の長さ方向に異なる情報を、経路に係る画像データに付与する(S57)。その後、制御部31は、経路に係る画像データをインターネット2経由でナビゲーション装置1に送信し(S59)、図9の処理を終了する。
【0092】
ステップS56で、指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合(S56:YES)、制御部31は、図6のステップS20,S21と同様の処理により、複数の矩形画像の位置を特定し(S60)、各矩形画像が占める領域に含まれる経路(道路)における航続余力の代表値を示す情報を、各矩形画像に係る画像データに付与する(S61)。その後、制御部31は、矩形画像に係る画像データをインターネット2経由でナビゲーション装置1に送信し(S63)、図9の処理を終了する。
【0093】
他方のナビゲーション装置1では、CPU11が画像データを受信したか否かを判定しており(S45)、受信していない場合(S45:NO)、受信するまで待機する。画像データを受信した場合(S45:YES)、CPU11は、受信した画像データと、取得した地図データとをマッシュアップし、地図上に表示画像(航続可能経路又は矩形の画像6)を重畳して表示部15に表示する(S46)。この場合、CPU11は、受信した画像データに付与された情報に応じて、表示画像に色又は濃淡を付けて表示する。その後、CPU11は、図9の処理を終了する。
【0094】
以上のように本実施の形態2によれば、道路データサーバ3は、ナビゲーション装置1から指定された詳細度に応じて自身から取得した道路データに基づいて航続可能経路を算出し、算出した航続可能経路に係る画像データに、車両の航続距離の余力に応じて経路の長さ方向に異なる情報を付与する。航続可能経路の表示について指定された詳細度が所定の詳細度より低い場合、複数の矩形の画像6が占める領域が、航続可能経路に含まれる道路の画像5が占めるべき領域の一部又は全部を包含するようにして、複数の矩形の画像6夫々の位置及び大きさを特定し、位置及び大きさを特定した矩形の画像6に係る画像データに、該矩形の画像6が占める領域に含まれるべき航続可能経路における前記余力に基づく情報を付与する。一方のナビゲーション装置1は、道路データサーバ3で算出された航続可能経路、並びに道路データサーバ3で位置及び大きさが特定された矩形の画像6を、夫々に係る画像データに付与された情報に応じた表示態様で、指定された詳細度に応じて地図データサーバ4から取得した地図データに基づく地図上に重畳して表示する。
従って、航続可能経路を表示する詳細度が低いために表示範囲が広がって航続可能経路に係る画像データが増大すると共に、航続可能経路の表示幅が狭くなって航続可能経路の視認度が低下する場合、航続可能経路に代えて表示すべき矩形の画像6がナビゲーション装置1に表示される。そして、矩形の画像6の大きさが適当であるため、航続可能経路よりも矩形の画像6の視認度を高めることができ、矩形の画像6に係る画像データの大きさを低減して表示速度を向上させることができる。また、矩形の画像6に係る画像データには、該矩形の画像6が占める領域に含まれるべき航続可能経路における余力に基づく情報が付与されているため、矩形の画像の表示態様を一義的に特定することが可能となる。
【0095】
(変形例)
実施の形態2が、ナビゲーション装置1が地図データサーバ4から地図データを取得する形態であるのに対し、実施の形態2の変形例は、ナビゲーション装置1が自身の記憶部14から地図データを取得する形態である。
図10は、本発明の実施の形態2の変形例に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
【0096】
ナビゲーション装置1が備えるCPU11には、記憶部14が接続されており、記憶部14は地図データを記憶している。地図データサーバ4は、本変形例では使用しないので図示していない。
その他、実施の形態2に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0097】
本変形例におけるナビゲーション装置1及び道路データサーバ3の機能分担は、実施の形態2の場合と同様であり、システム全体のフローチャートも実施の形態2における図9と同様になる。但し、図9に示すステップS44で、地図データの取得先が地図データサーバ4ではなく、記憶部14となる点が実施の形態2の場合と異なる。
【0098】
以上のように本実施の形態2の変形例によれば、実施の形態2の場合と同様の効果を奏することが可能となる。
【0099】
(実施の形態3)
実施の形態2が、ナビゲーション装置1が地図データサーバ4から地図データを取得して航続可能経路又は矩形画像に係る画像データとマッシュアップする形態であるのに対し、実施の形態3は、道路データサーバ3が地図データサーバ4から地図データを取得して航続可能経路又は矩形画像に係る画像データとマッシュアップする形態である。
【0100】
実施の形態3に係るナビゲーションシステムの接続構成は、実施の形態2に係るナビゲーションシステムの接続構成と同様であるため、システム構成の図示を省略して図8を援用する。以下ではフローチャートを用いて説明する。
図11は、本発明の実施の形態3に係るナビゲーションシステムで航続可能経路を地図上に重畳表示するCPU11及び制御部31の処理手順を示すフローチャートである。
【0101】
図11に示す処理のうち、ナビゲーション装置1側のステップS71からS73までの処理は、実施の形態2の図9におけるステップS41からS43までの処理と同一である。また、道路データサーバ3側のステップS81,S83〜S87,S90,S91の処理は、実施の形態2の図9におけるステップS51,S53〜S57,S60,S61の処理と同様である。よってこれらのステップについての説明の大部分を省略する。
なお、図11に示す処理のうち、ステップS86,S87,S90,S91が、本発明に係るコンピュータプログラム10に該当する。
【0102】
図11の処理が起動されてステップS71及びS72の処理を実行した場合、CPU11は、指定された詳細度、推定した車両の位置、及び取得した余力情報を道路データサーバ3に送信する(S73)。
【0103】
一方の道路データサーバ3では、詳細度、車両の位置及び余力情報を受信した制御部31が、受信した車両の位置及び詳細度に応じた地図データを地図データサーバ4の地図データベースから取得する(S82)。
【0104】
その後、制御部31がステップS83,S84,S86,S87の処理を実行した場合、制御部31は、取得した地図データと、ステップS87で情報を付与した経路に係る画像データとをマージして(S88)マッシュアップする。マッシュアップによって生成されるデータの形式の一例としてKML(Keyhole Markup Language)が挙られるが、これに限定されず、ビットマップ等の他の形式であってもよい。更に制御部31は、マージした画像データをインターネット2経由でナビゲーション装置1に送信し(S89)、図11の処理を終了する。
【0105】
また、制御部31がステップS83,S84,S86,S90,S91の処理を実行した場合、制御部31は、取得した地図データと、ステップS91で情報を付与した各矩形画像に係る画像データとをマージして(S92)マッシュアップする。更に制御部31は、マージした画像データをインターネット2経由でナビゲーション装置1に送信し(S93)、図11の処理を終了する。
【0106】
他方のナビゲーション装置1では、CPU11がマージされた画像データを受信したか否かを判定しており(S75)、受信していない場合(S75:NO)、受信するまで待機する。マージされた画像データを受信した場合(S75:YES)、CPU11は、受信した画像データ(即ちマッシュアップされた画像データ)に基づいて、地図上に表示画像(航続可能経路又は矩形の画像6)を重畳して表示部15に表示する(S76)。この場合、CPU11は、受信した画像データに付与された情報に応じて、表示画像に色又は濃淡を付けて表示する。その後、CPU11は、図11の処理を終了する。
【0107】
以上のように本実施の形態3によれば、システム全体として、実施の形態2の場合と同様の効果を奏することが可能となる。
【0108】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 ナビゲーション装置
10 コンピュータプログラム
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 記憶部
15 表示部
16 入力部
17 位置情報取得部
19 無線通信部
2 インターネット
3 道路データサーバ
31 制御部
32 記憶装置
39 通信部
4 地図データサーバ
41 制御部
42 記憶装置
49 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11