(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記輝線輻射ガス配置部を複数備えていると共に、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部に向けて前記燃焼熱エネルギを放出させる燃焼ガス輻射対象選択部と、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部から前記光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる輻射切替部とを、さらに備えており、
前記燃焼ガス輻射対象選択部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能であり、
前記輻射切替部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能である、請求項3に記載の熱光起電力発電装置用の輻射ユニット。
前記輝線輻射ガス配置部及び前記光電変換手段を複数備えていると共に、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部に向けて前記燃焼熱エネルギを放出させる燃焼ガス輻射対象選択部と、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部から前記光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させ且つ複数の光電変換手段から選択された1つ以上の光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる受光切替部とを、さらに備えており、
前記燃焼ガス輻射対象選択部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能であり、
前記受光切替部は、選択する輝線輻射ガス配置部及び光電変換手段を変更可能である、請求項3に記載の熱光起電力発電装置用の輻射ユニット。
前記選択輻射性元素は、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、フッ素(F)、ネオン(Ne)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、アルゴン(Ar)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、臭素(Br)、クリプトン(Kr)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ヨウ素(I)、キセノン(Xe)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)のうちの少なくともいずれか一つである、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の熱光起電力発電装置用の輻射ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、エミッタは、高温に長時間晒されるという過酷な条件で使用される部材であるところ、要求される性能のエミッタを製造することは容易でない。また、使用条件が過酷であるため、故障する可能性もあるが、迅速に交換することも必ずしも容易でない。
【0009】
他方、エミッタを用いていない熱光起電力発電装置では、このようなエミッタの性能が問題になることがない。
ところが、エミッタを用いていない熱光起電力発電装置は、選択輻射性が良くない。例えば、上記の燃焼輝力発電装置(特許文献4参照)では、輻射エネルギ源である光輝炎を発生させる燃料について具体的な説明がない。
また、上記の燃焼光発電装置(特許文献5参照)では、実現性や発電効率を評価する際、燃焼炎と光電変換体の間に配置されたガラスフィルタの耐熱性、耐久性及び透光率が重要であるが、実施例や運転データは開示されていない。
また、フォトニック結晶エミッタ(特許文献6参照)は、十分な輻射放射特性が得られていない上に低コストで大面積に微細構造を形成することが難しいため、実用化に至っていない。
さらに、希土類を混入したガラスを用いたエミッタの場合(特許文献7参照)、希土類元素の耐久性が低く高コストであることに加え、波長のチューニングが難しい。
一方、従来から、金属表面に酸化物多層膜による反射防止膜を形成することによって、特定の波長の光の放出効率が向上することが報告されている。しかし、通常の干渉フィルタに用いられる材料では、反射率を低くするために多数の層を積層する必要があり、製造コスト、耐久性の点で問題があった。
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れており、しかも高い選択輻射性を有する輻射源を備えた、熱光起電力発電装置用の輻射ユニットおよびこれを用いた熱光起電力発電装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願に係る発明は、輻射エネルギを発生させる輻射ユニットと、当該輻射ユニットから放出された輻射エネルギを電気エネルギに変換する光電変換手段とを備えており、熱光起電力発電装置で用いられる輻射ユニットであって、加熱対象物に与える熱を発生させる加熱部を備えており、前記加熱対象物は、少なくとも、輝線スペクトルを有する選択輻射性元素又は当該選択輻射性元素を含む化合物を含む輝線輻射ガスであり、加熱された前記輝線輻射ガスから放出される輻射エネルギは、輝線スペクトルの波長の光である輝線輻射エネルギを含んでいる、熱光起電力発電装置用の輻射ユニットである。
前記選択輻射性元素は、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、フッ素(F)、ネオン(Ne)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、アルゴン(Ar)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、臭素(Br)、クリプトン(Kr)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ヨウ素(I)、キセノン(Xe)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)のうちの少なくともいずれか一つである。
前記加熱部は、燃料の燃焼により、前記加熱対象物に与える燃焼熱を発生させるものであり、当該加熱部の下流側に連なる燃焼ガス流路部と、前記輝線輻射ガスを配置するための輝線輻射ガス配置部とを、さらに備えており、前記燃焼ガス流路部からの燃焼熱エネルギによって、前記輝線輻射ガスを加熱するようになっており、前記輝線輻射ガス配置部は、加熱された前記輝線輻射ガスから放出される前記輝線輻射エネルギを前記光電変換手段に向けて放出する輝線輻射エネルギ放出部を備えている。
前記燃焼熱エネルギは、前記燃焼ガス流路部内の燃焼ガスから放出される燃焼ガス輻射エネルギである。
前記輝線輻射ガス配置部は、前記燃焼ガス流路部に対向配置された被加熱部を備えている。
前記輝線輻射ガス配置部は、前記燃焼ガス流路部に接する被加熱部を備えている。
前記輝線輻射ガス配置部の前記被加熱部は、前記燃焼ガス流路部に内包されている。
前記輝線輻射ガス配置部の前記被加熱部は、少なくともその一部として、加熱されたときに輝線輻射ガス内に熱電子を放出する陰極部材を含むものであり、さらに、前記輝線輻射ガス配置部は、前記陰極部材から放出された熱電子が流入する陽極部材を備えている。
前記輝線輻射ガス配置部を複数備えていると共に、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部に向けて前記燃焼熱エネルギを放出させる燃焼ガス輻射対象選択部と、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部から前記光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる輻射切替部とを、さらに備えており、前記燃焼ガス輻射対象選択部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能であり、前記輻射切替部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能である。
前記燃焼ガス輻射対象選択部は、移動可能に設置された選択反射体を備えており、前記輻射切替部は、移動可能に設置された選択反射体を備えている。
前記輝線輻射ガス配置部及び前記光電変換手段を複数備えていると共に、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部に向けて前記燃焼熱エネルギを放出させる燃焼ガス輻射対象選択部と、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部から前記光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させ且つ複数の光電変換手段から選択された1つ以上の光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる受光切替部とを、さらに備えており、前記燃焼ガス輻射対象選択部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能であり、前記受光切替部は、選択する輝線輻射ガス配置部及び光電変換手段を変更可能である。
前記燃焼ガス輻射対象選択部は、移動可能に設置された選択反射体を備えており、前記受光切替部は、移動可能に設置された選択反射体を備えている。
【0011】
前記加熱部は、前記輝線輻射ガスに混在させた燃焼ガスを燃焼させて燃焼熱を得る、混合加熱部であり、当該混合加熱部で得られた燃焼熱によって前記輝線輻射ガスを加熱するようになっており、当該混合加熱部の下流側に連なる燃焼ガス流路部を、さらに備えており、当該燃焼ガス流路部は、加熱された前記輝線輻射ガスから放出される輝線輻射エネルギを前記光電変換手段に向けて放出させる輝線輻射エネルギ放出部を備えている。
【0012】
前記加熱部は、太陽光が集光されており、集光太陽光によって前記加熱対象物に与える熱を発生させるものであり、太陽光を集光する太陽光集光部と、前記集光太陽光を吸収する太陽光吸収体と、前記輝線輻射ガスを配置するための輝線輻射ガス配置部とを、さらに備えており、前記太陽光集光部から放出された前記集光太陽光によって前記太陽光吸収体を加熱するようになっており、加熱された前記太陽光吸収体は、前記輝線輻射ガスに向けて吸収体輻射エネルギを放出して、当該輝線輻射ガスを加熱するものであり、前記輝線輻射ガス配置部は、加熱された前記輝線輻射ガスが放出する輝線輻射エネルギを前記光電変換手段に向けて放出させる輝線輻射エネルギ放出部を備えている。
前記太陽光吸収体は気体であり、当該太陽光吸収体を配置するための太陽光吸収体配置部を、さらに備えている。
前記輝線輻射ガス配置部を複数備えていると共に、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部に向けて前記吸収体輻射エネルギを放出させる吸収体輻射対象選択部と、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部から前記光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる輻射切替部とを、さらに備えており、前記吸収体輻射対象選択部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能であり、前記輻射切替部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能である。
前記吸収体輻射対象選択部は、移動可能に設置された選択反射体を備えており、前記輻射切替部は、移動可能に設置された選択反射体を備えている。
前記輝線輻射ガス配置部及び前記光電変換手段を複数備えていると共に、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部に向けて前記吸収体輻射エネルギを放出させる吸収体輻射対象選択部と、複数の輝線輻射ガス配置部から選択された1つ以上の輝線輻射ガス配置部から前記光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させ且つ複数の光電変換手段から選択された1つ以上の光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる受光切替部とを、さらに備えており、前記吸収体輻射対象選択部は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更可能であり、前記受光切替部は、選択する輝線輻射ガス配置部及び光電変換手段を変更可能である。
前記吸収体輻射対象選択部は、移動可能に設置された選択反射体を備えており、前記受光切替部は、移動可能に設置された選択反射体を備えている。
【0013】
前記光電変換手段を複数備えていると共に、複数の光電変換手段から選択された1つ以上の光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる受光切替部をさらに備えており、前記受光切替部は、選択する光電変換手段を変更可能である。
前記受光切替部は、移動可能に設置された選択反射体を備えている。
【0014】
前記燃焼ガスから放出された前記燃焼熱エネルギのうち前記輝線輻射ガス配置部を通過した前記燃焼熱エネルギを、当該輝線輻射ガス配置部に向けて反射する燃焼熱エネルギ反射体を、さらに備えている。
前記燃焼熱エネルギ反射体は再帰性反射を行う再帰反射体である。
【0015】
前記燃焼ガス流路部と輝線輻射ガス配置部との間に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が大きいほど反射率が高い性質を持つ反射体が配置されており、前記輝線輻射ガス配置部の、前記光電変換セル側に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が大きいほど反射率が高い性質を持つ反射体が前記燃焼ガス輻射反射体の鏡面に対して0度を超え且つ90度以下となる角度で配置されている。
【0016】
前記燃焼ガス流路部と輝線輻射ガス配置部との間に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が大きいほど反射率が高い性質を持つ反射体が配置されており、前記輝線輻射ガス配置部の、前記光電変換セル側に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が小さいほど反射率が高い性質を持つ反射体が前記燃焼ガス輻射反射体の鏡面に対して0度以上且つ90度未満となる角度で配置されている。
【0017】
前記燃焼ガス流路部と輝線輻射ガス配置部との間に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が小さいほど反射率が高い性質を持つ反射体が配置されており、前記輝線輻射ガス配置部の、前記光電変換セル側に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が小さいほど反射率が高い性質を持つ反射体が前記燃焼ガス輻射反射体の鏡面に対して0度を超え且つ90度以下となる角度で配置されている。
【0018】
前記燃焼ガス流路部と輝線輻射ガス配置部との間に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が小さいほど反射率が高い性質を持つ反射体が配置されており、前記輝線輻射ガス配置部の、前記光電変換セル側に、少なくとも入射角の一部の範囲において入射角が大きいほど反射率が高い性質を持つ反射体が前記燃焼ガス輻射反射体の鏡面に対して0度以上且つ90度未満となる角度で配置されている。
【0019】
前記光電変換手段を複数備えていると共に、複数の光電変換手段から選択された1つ以上の光電変換手段へ前記輝線輻射エネルギを放出させる受光切替部をさらに備えており、前記受光切替部は、選択する光電変換手段を変更可能である。
前記受光切替部は、移動可能に設置された選択反射体を備えている。
【0020】
前記加熱部の上流側に配置された給気流路部に、圧縮された酸素含有ガスを前記加熱部に供給するための給気用圧縮機が設置されている。
【0021】
前記加熱部に酸素含有ガスを供給する給気流路部に設置された酸素を透過する膜と、当該酸素を透過する膜の上流側の給気流路部に接続された分岐ガス流路部とを、さらに備えている。
前記給気流路部に、前記加熱部に圧縮された酸素含有ガスを供給するための給気用圧縮機が設置されている。
【0022】
前記燃焼ガス流路部の下流側に連なる排気ガス流路部に、排気ガスの排気を促進する排気用圧縮機が設置されている。
前記加熱部に酸素含有ガスを供給する給気流路部に設置された酸素を透過する膜と、当該酸素を透過する膜の上流側の給気流路部に接続された分岐ガス流路部とを、さらに備えている。
【0023】
前記排気ガス流路部に、排気ガスの運動エネルギ及び圧力エネルギのうちの少なくともいずれか一方を回収する排ガス用タービンが設置されている。
【0024】
前記燃焼ガス流路部の下流側に配置された排気ガス流路部内の排気ガスから熱エネルギを回収すると共に、回収した熱エネルギを利用して前記加熱部に供給される酸素含有ガスを加熱する再生熱交換器をさらに備えている。
【0025】
前記分岐ガス流路部に、分岐ガスの運動エネルギ及び圧力エネルギのうちの少なくともいずれか一方を回収する分岐ガス用タービンが設置されている。
【0026】
前記酸素を透過する膜の下流側の給気流路部に、圧縮された酸素含有ガスを前記加熱部に供給するための酸素含有ガス圧縮機が設置されている。
前記酸素含有ガス圧縮機の上流側で酸素含有ガスを冷却して圧縮動力を低減させる。
【0027】
前記排気ガス流路部に、排気ガスの運動エネルギ及び圧力エネルギのうちの少なくともいずれか一方を回収する排ガス用タービンが設置されている。
【0028】
前記燃焼ガス流路部の下流側に配置された排気ガス流路部内の排気ガスから熱エネルギを回収する排気ガス熱回収部と、前記分岐ガス流路部内の分岐ガスから熱エネルギを回収する分岐ガス熱回収部のうちの少なくともいずれか一方の熱回収部を有しており、回収した熱エネルギを利用して前記加熱部に供給される酸素含有ガスを加熱する再生熱交換器を備えている。
【0029】
本出願に係る別の発明は、上述した輻射ユニットを用いた熱光起電力発電装置である。
【発明の効果】
【0030】
本出願に係る発明である輻射ユニットは、エミッタが不要であるので、耐久性に優れており、しかも熱光起電力発電装置で用いたときに高い発電効率を実現することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…熱光起電力発電装置、2…輻射ユニット、
3,3a,3b…光電変換セル(光電変換手段)、4…フィルタ、
10…加熱部、10a…燃焼室、10b…混合加熱部、11…バーナ、12…給気流路部、
20…燃焼ガス流路部、20a…輝線輻射エネルギ放出部、20b…燃焼熱エネルギ放出部、
30…排気ガス流路部、30a…排気口、
40…輝線輻射ガス配置部、40a…被加熱部、40b…輝線輻射エネルギ放出部、
40c,40d…連通部、40m…陰極部材、40p…陽極部材、e…熱電子、
41,42…輝線輻射ガス配置部、
50…燃焼ガス輻射対象選択部、51…選択反射体、51a…回転軸、52…輻射切替部、
53…選択反射体、53a…回転軸、59…受光切替部(輻射切替部の役割を兼ねる)、
40e…長方形外周面、40f…断面円弧形状の外周面、
54…反射体(燃焼熱エネルギ反射体)、54a…再帰反射体、
Eain…入射光、Eaout…反射光、
22…輻射部材、13…分岐ガス流路部、
60…再生熱交換器、61…排気ガス熱回収部、62…再生加熱部、63…分岐ガス熱回収部、
71…給気用圧縮機、73…排気用圧縮機、74…酸素含有ガス圧縮機、
75…排ガス用タービン、81…酸素を透過する膜、
25…太陽光吸収体、55a,55b…斜め反射体、57a,57b…反射体、
58…赤外線反射膜、
A…空気(酸素)、Ao…高酸素空気、C…燃焼ガス、
Ea…燃焼熱エネルギ(燃焼ガス輻射エネルギ、燃焼熱輻射エネルギ、電磁波)、
Eb…輻射エネルギ(輝線輻射エネルギ)、Ec…輻射エネルギ(吸収体輻射エネルギ)
F…燃料、G…加熱対象物(輝線輻射ガス、ナトリウム蒸気)、
G0…燃焼ガス中のナトリウム(ナトリウム原子)、S…集光太陽光。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明に係る熱光起電力発電装置(以下、単に装置と称することがある)およびこれに用いる輻射ユニットの実施例について説明する。
【実施例1】
【0034】
図1に示されるように、熱光起電力発電装置1は、輻射エネルギを発生させる輻射ユニット2と、当該輻射ユニット2からの輻射エネルギを電気エネルギに変換する光電変換セル(光電変換手段)3と、これらの間に設置されたフィルタ4とを備えている。
なお、熱光起電力発電装置の基本構成は周知であるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0035】
図2に示されるように、輻射ユニット2は、加熱部10と、燃料Fが燃焼される加熱部10の下流側に連なる燃焼ガス流路部20と、燃焼ガス流路部20の下流側に連なる排気ガス流路部30と、燃焼ガス流路部20に対向配置された輝線輻射ガス配置部40とを備えている。
【0036】
加熱部10は、その内部に燃焼室10aを有しており、燃焼室10a内で燃料Fを燃焼させるバーナ11と、燃焼室10aに空気(酸素)Aを供給する給気流路部12とを備えている。バーナ11に供給された燃料Fは、燃焼室10a内で燃焼される。この燃焼によって後述の加熱対象物(輝線輻射ガス)Gに与える熱が発生する。つまり、燃焼で生じた燃焼ガスCの燃焼熱によって後述の加熱対象物Gは加熱される。
【0037】
燃焼ガス流路部20は燃焼室10aでの燃焼によって生じた燃焼ガスCが流入する空間であり、排気ガス流路部30は、燃焼ガス流路部20を通過した燃焼ガスCが流入する空間である。また、排気ガス流路部30は、その下流側に配置された排気口30aに燃焼ガスCを案内するものであり、案内された燃焼ガスCは、排気口30aから排気ガスとして輻射ユニット2の外に排出される。
【0038】
輝線輻射ガス配置部40は、加熱対象物である輝線輻射ガスGを配置するための部材である。つまり、輝線輻射ガス配置部40には輝線輻射ガスGが封入されている。本実施例で用いられている輝線輻射ガスGは、ナトリウム蒸気(Na蒸気)である。
輝線輻射ガス配置部40は、燃焼ガス流路部20に隣接する位置に配置されている。したがって、輝線輻射ガス配置部40に封入された輝線輻射ガスGは、燃焼ガス流路部20に流入した燃焼ガスCが放出する燃焼熱エネルギ(燃焼ガス輻射エネルギ、電磁波)Eaによって加熱される。加熱された輝線輻射ガスGは、輝線スペクトルの波長の光を放って輻射エネルギ(輝線輻射エネルギ)Ebを放出する。
【0039】
なお、輝線輻射ガスGとは、少なくとも輝線スペクトルを有する選択輻射性元素及び/又は当該選択輻射性元素を含む化合物を含む気体のことである。
また、ここでは、加熱された輝線輻射ガスGが放出する輻射エネルギのことを輝線輻射エネルギEbと称する。
さらに、選択輻射性原子(元素)としては、例えば、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、フッ素(F)、ネオン(Ne)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、アルゴン(Ar)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、臭素(Br)、クリプトン(Kr)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ヨウ素(I)、キセノン(Xe)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)を挙げることができる。
【0040】
また、輝線輻射ガス配置部40(
図2参照)は、燃焼ガス流路部20に対向配置された被加熱部40aを備えており、この被加熱部40aで燃焼ガスCの燃焼熱エネルギEaを受けることができるようなっており、輝線輻射ガス配置部40内の輝線輻射ガスGは、この燃焼熱エネルギEaで加熱される。
さらに、輝線輻射ガス配置部40は、光電変換セル3に対抗配置された輝線輻射エネルギ放出部40bを備えている。輝線輻射ガス配置部40内の加熱された輝線輻射ガスGの輝線輻射エネルギEbは、輝線輻射エネルギ放出部40bから光電変換セル3に向けて放出される。
【0041】
このような構成にすると、燃焼ガス流路部20の高温気体である燃焼ガスC自体の発光で生じた燃焼熱エネルギEaを輝線輻射ガス配置部40のナトリウム蒸気(加熱対象物)Gに効率よく吸収させることができ、ナトリウム蒸気Gを加熱することができる。ナトリウム蒸気Gを効率良く加熱できれば、ナトリウム蒸気Gから効率良く輝線輻射エネルギEbを放出でき、延いては、光電変換セル3での発電効率を向上させることができる。
輝線ガス配置部40内にナトリウム蒸気Gを封入する構成にすると、加熱対象物中における窒素や酸素や二酸化炭素や水蒸気など輝線輻射ガス以外の成分の含有量を可及的少量にすることができる。輝線輻射ガス配置部40内のガスが不純物が含まないナトリウム蒸気Gや不純物が少ないナトリウム蒸気Gであると、輝線ガス配置部40から光電変換セル3に放出される輝線輻射エネルギEbの選択輻射性が極めて高い状態を達成でき、発電効率の向上に寄与する。
【0042】
なお、加熱部10内の燃焼室10aで燃焼させる燃料Fとしては、ナトリウム含有化合物(以下、ナトリウム化合物)が混在するもの(ナトリウム混合燃料)を用いることができる。これを用いる場合は、燃料Fを燃焼させると、燃焼ガスC中のナトリウム(ナトリウム原子)G0が加熱される。そして当該ナトリウム(ナトリウム原子)G0から放出される輝線輻射エネルギEbによって、輝線輻射ガス配置部40内のナトリウム蒸気Gを効率良く加熱することができる。
なお、上述したナトリウム化合物としては、例えば、メチルナトリウム(NaCH3)やエチルナトリウム(NaC2H5)等の有機金属化合物やナトリウムメトキシド(CH3ONa)、ナトリウムエトキシド(C2H5ONa)等を挙げることができる。
【0043】
光電変換セル(PVセル)3は、3接合型であって、トップセルがInGaP、ミドルセルがGaAs、ボトムセルがInGaAsで構成されたものである。
上述したように、本実施例の装置の輝線輻射ガスGはNa蒸気である。Na蒸気(Na原子)は、輝線スペクトルであるD線(D1:589.6nm、D2:589.0nm)を有し、当該波長の光を放出するものであり、当該波長(D線)の光のエネルギは約2.12eVである。
そこで、光電変換セル3は、トップセルの禁制帯幅が2.12eV以下(例えば、2eV以上かつ2.12eV未満) になるように、InP(禁制帯幅=1.35eV)とGaP(禁制帯幅=2,26eV)の成分比率が調整されたものである。禁制帯幅の調整については、発電装置使用時の光電変換セル温度における禁制帯幅が2.12eVになる調整がより好ましい。なお、光電変換セルの構成については周知であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0044】
フィルタ4は、選択輻射性元素の輝線スペクトルのうち、目的とする波長の光以外を極力反射して選択輻射性元素にもどすように作用するものであり、選択輻射性元素の熱エネルギをより効率よく目的とする波長の光に変換させるためのものである。
より具体的に説明すると、フィルタ4は、その内側に赤外線反射膜の塗膜を有する。この反射膜により、ナトリウム蒸気Gから発生する赤外線の一部が反射し、ナトリウム蒸気Gにもどすことでナトリウム蒸気Gの輝線スペクトルであるD線の割合を増加させることができる。
【0045】
なお、フィルタは、必要に応じて設置することができるものであり、設置しない構成も考えられる。フィルタは、周知のものであるのでここではその詳細な説明を省略する。
【実施例2】
【0046】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2aは、実施例1(
図2参照)とは異なり、
図3に示されるように輝線輻射ガス配置部40の被加熱部40aが燃焼ガス流路部20に接している。
具体的に説明すると、
図3に示されるように、輝線輻射ガス配置部40は、燃焼ガス流路部20に内包された被加熱部40aと、燃焼ガス流路部20の外側であって、光電変換セル3と対向する位置に配置された輝線輻射エネルギ放出部40bとを備えている。そして、被加熱部40aと輝線輻射エネルギ放出部40bは、連通部40c,40dを介して連通している。
これ以外の構成は、実施例1と同様であるので、ここではその説明を省略することがある。
【0047】
このような構成であると、輝線輻射ガス配置部40内のナトリウム蒸気Gは、被加熱部40aで加熱されて輝線輻射エネルギ放出部40bに流動し、この輝線輻射エネルギ放出部40bで輝線輻射エネルギEbを放出する。そして、ここで輝線輻射エネルギEbを放出したナトリウム蒸気Gは、再び被加熱部40aに流動する。本実施例の装置では、2つの連通部40c,40dが用いられており、被加熱部40a、第1連通部40c、輝線輻射エネルギ放出部40b及び第2連通部40dで環状のナトリウム蒸気流動路を形成している。したがって、被加熱部40aと輝線輻射エネルギ放出部40bとの間でナトリウム蒸気Gを循環で移動させることができ、効率よく流動させることができる。
【0048】
なお、輝線輻射ガス配置部40の被加熱部40aを燃焼ガス流路部20に接触させる構成としては、被加熱部40aを燃焼ガス流路部20に内包させる構成以外の構成を採用することができる。具体的には、
図4に示される輻射ユニット2bのように、輝線輻射ガス配置部40の外周面を燃焼ガス流路部20の外周面に接触させる構成を挙げることができる。この構成は、構造が簡単であり、装置の製造及びメインテナンスがより容易という利点がある。他方、被加熱部40aを燃焼ガス流路部20に内包させる構成は、燃焼ガスCの燃焼熱エネルギEaをより効率良く利用可能であるという利点がある。
【実施例3】
【0049】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2cは、実施例2とは異なり、
図5に示されるように、輝線輻射ガス配置部40の被加熱部40aは、少なくともその一部として、加熱されたときに輝線輻射ガス配置部40内に熱電子eを放出する陰極部材40mを備えている。そして、輝線輻射ガス配置部40は、陰極部材40mから放出された熱電子eが流入する陽極部材40pを備えている。
この構成以外の構成は、実施例2と同様であるので、ここではその説明を省略することがある。
【0050】
輝線輻射ガス配置部40の被加熱部40aは、燃焼ガス流路部20に対向配置されている。本実施例では、被加熱部(陰極部材)40aは、その外周面において燃焼ガス流路部20の外周面に接している。そして、被加熱部40aは、熱電子発電の陰極として用いられる陰極部材40mで構成されている。陰極部材40mの材質としては、タングステン(W)、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)などの高融点金属を用いる。なお、被加熱部40aは、少なくともその一部が陰極部材40mで構成されていればよい。
【0051】
また、輝線輻射ガス配置部40は、その内部に、陰極部材40mから離間した位置に配置された陽極部材40pを備えている。陽極部材40pとしては、ニッケル(Ni)などの金属の純金属やモリブデン(Mo)、ニオブ(Nd)等の高融点金属を用いる。
このような構成では、燃焼ガス流路部20内の燃焼ガスCの熱で陰極部材40mが加熱されると、加熱された陰極部材40mから、ナトリウム蒸気Gが封入されている輝線輻射ガス配置部40内に、熱電子eが放出され、放出された熱電子eが陽極部材40pに流入し、陽極部材40pが加熱される。したがって、加熱された陰極部材40m及び陽極部材40pによって、輝線ガス配置部40内のナトリウム蒸気Gが加熱され、加熱されたナトリウム蒸気Gから放出される輝線輻射エネルギEbによって、光電変換セル3により発電をすることができる。
また、本実施例の場合、熱電子eの移動(電流)によって生じる抵抗発熱によって電極から離れた位置のナトリウム蒸気Gをも加熱できるという利点がある。
【実施例4】
【0052】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2dは、実施例1と異なり、
図6に示されるように、実施例1の加熱部10の位置に、輝線輻射ガスGに混在させた燃焼ガスCの燃焼熱によって当該輝線輻射ガスGを加熱する混合加熱部10bを備えている。そして、混合加熱部10bの下流側に燃焼ガス流路部20が連なっており、この燃焼ガス流路部20に、加熱された輝線輻射ガスGの輝線輻射エネルギEbを光電変換セル3に向けて放出させる輝線輻射エネルギ放出部20aが設けられている。
これらの構成以外の構成は、実施例1と同様であり、ここではその説明を省略することがある。
【0053】
このような構成の場合、高温気体である燃焼ガスCとナトリウム化合物とが混在する状態であるので、燃焼ガスC自体の発光で生じた電磁波のエネルギを、燃焼ガスC中のナトリウムG0に極めて効率よく吸収させてナトリウムG0を加熱することができる。しかも、光電変換セル3は、このようにして効率よく加熱されたナトリウムG0から放出された輝線輻射エネルギEbを直接受ける構成であるので、エネルギ損失を最小限に抑制することができ、より高効率の発電を実現することができる。
また、実施例1で用いている輝線輻射ガス配置部40(
図2参照)が不要であるので、高温になる部材(領域)を輻射ユニット2d側(加熱部や燃焼ガス流路部)に限定することが容易な構造であり、より耐久性に優れた装置にすることができる。
【実施例5】
【0054】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2eは、実施例1と異なり、
図7に示されるように、輝線輻射ガス配置部41,42を複数備えている。
さらに、本実施例の装置は、複数の輝線輻射ガス配置部41,42から選択された1つ以上の輻射ガス配置部に向けて燃焼熱エネルギEaを放出させる燃焼ガス輻射対象選択部50と、複数の輻射ガス配置部41,42から選択された1つ以上の輻射ガス配置部から光電変換セル3に向けて輝線輻射エネルギEbを放出させる輻射切替部52とを備えている。これらの構成以外の構成は、実施例1と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0055】
図7に示されるように、2つの輝線輻射ガス配置部41,42は、光電変換手段3と燃焼ガス流路部20の燃焼熱エネルギ放出部20bとの間に挟まれた状態で直列に配置されている。つまり、各輝線輻射ガス配置部41,42は、光電変換手段3及び燃焼熱エネルギ放出部20bのいずれにも対向する配置になっている。
【0056】
燃焼ガス輻射対象選択部50は、選択する輝線輻射ガス配置部を変更するためのものであり、移動可能に設置された板状の選択反射体51を備えている。
選択反射体51は、輝線輻射ガス配置部41,42に隣接する位置であって、燃焼ガス流路部20側に配置されている。また、選択反射体51は、両面反射体であり、一方の反射面が燃焼ガス流路部20に対向する状態に向けられていると共に他方の反射面が輝線輻射ガス配置部41,42に対向する状態に向けられている。したがって、燃焼ガス流路部20から放出された燃焼熱エネルギEaのうち、一方の反射面に向けて放出された燃焼熱エネルギEaは燃焼ガス流路部20側に反射される。また、輝線輻射ガス配置部41,42から他方の反射面に向けて放出された輝線輻射エネルギEbを輝線輻射ガス配置部41,42に反射させることができる。
そして、選択反射体51は、燃焼ガス流路部20から放出された燃焼熱エネルギEaを一方の輝線輻射ガス配置部41に向けて放出させる第1位置(
図7(a)参照)と、他方の輝線輻射ガス配置部42に向けて放出させる第2位置(
図7(b)参照)とに移動可能に取り付けられている。
したがって、選択反射体51を第1位置に位置させると、燃焼ガス流路部20からの燃焼熱エネルギEaは、一方の輝線輻射ガス配置部41に向けて効率よく放出される(
図7(a)参照)。他方、選択反射体51を第2位置に位置させると、燃焼ガス流路部20からの燃焼熱エネルギEaは、他方の輝線輻射ガス配置部42に向けて効率よく放出される(
図7(b)参照)。
なお、選択反射体51の移動可能に設置する構造としては、周知の構造を用いることができるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0057】
選択反射体51及び次に説明する選択反射体53(
図7参照)としては、反射効率の良い素材で構成された鏡面を有する部材を用いることが好ましい。本実施例の選択反射体51,53の素材としては、例えばアルミ(Al)や銀(Ag)を挙げることができる。
【0058】
輻射切替部52は、輝線輻射エネルギEbを光電変換手段3へ放出する輝線輻射ガス配置部を変更するためのものであり、移動可能に設置された板状の選択反射体53を備えている。
選択反射体53は、輝線輻射ガス配置部41,42に隣接する位置であって、光電変換セル3側に配置されており、輝線輻射ガス配置部41,42と対向する面が反射面になっている。したがって、輝線輻射ガス配置部41,42から放出された輝線輻射エネルギEbのうち選択反射体53に向けて放出された輝線輻射エネルギEbは、輝線輻射ガス配置部側に反射される。
そして、選択反射体53は、一方の輝線輻射ガス配置部41から放出された輝線輻射エネルギEbを光電変換セル3に向けて放出させる第1位置(
図7(b)参照)と、他方の輝線輻射ガス配置部42から放出された輝線輻射エネルギEbを光電変換セル3に向けて放出させる第2位置(
図7(a)参照)とに移動可能に取り付けられている。
したがって、選択反射体53を第1位置に位置させると、一方の輝線輻射ガス配置部41から放出の輝線輻射エネルギEbを光電変換セル3に向けて効率よく放出することができる。他方、選択反射体53を第2位置に位置させると、他方の輝線輻射ガス配置部42からの輝線輻射エネルギEbを光電変換セル3に向けて効率よく放出することができる。
選択反射体53としては両面が反射面であるものを用いてもよい。また、選択反射体53の移動可能に設置する構造としては、周知の構造を用いることができるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0059】
なお、選択反射体51が第1位置に位置するときに選択反射体53を第2位置に位置させる(選択反射体51が第2位置に位置するときに選択反射体53を第1位置に位置させる)ように動作制御すると、燃焼熱エネルギEaが輻射ガスを通過して、光電変換セル3に届くのを抑制することができ、より選択輻射性の高い輝線輻射エネルギEbのみが光電変換セル3に届くようにできるので発電効率の向上が期待できる。より具体的に説明すると、燃焼熱エネルギEaが輻射ガスに向けて放出されているとき、輻射ガスを通過した燃焼熱エネルギEaは、輻射ガスと光電変換セル3の間に配置されてある選択反射体53により反射され、輻射ガスに戻る。他方、燃焼熱エネルギEaが輻射ガスに向けて放出されていないときには、輻射ガスからの輝線輻射エネルギEbのみが光電変換セル3に放出されるので、発電効率の向上が期待できる。
【0060】
なお、燃焼ガス輻射対象選択部50の選択反射体51の選択動作としては、種々の動作を用いることができる。
図7に示される装置の選択反射体51は、輝線輻射ガス配置部41,42と燃焼ガス流路部20の間に配置された状態で、相互に対向する輝線輻射ガス配置部41,42及び燃焼ガス流路部20の対向面と平行の方向にスライド移動するものであるが、例えば、
図8に示されるような回転動作をする選択反射体51や揺動動作をする選択反射体(不図示)を用いてもよい。
図8(a)及び(b)に示される輻射ユニット2fの選択反射体51は、相互に対向する輝線輻射ガス配置部41,42及び燃焼ガス流路部20の対向面と直交する方向の回転軸51aまわりに回転可能に設置されている。また、選択反射体51は、半円形の板状部材であり、回転動作によって第1位置(
図8(a)参照)と第2位置(
図8(b)参照)とに移動されるようになっている。したがって、選択反射体51を回転させることにより、選択反射体51を、第1位置及び第2位置に移動させることができる。
同様に、輻射切替部52の選択反射体53として、相互に対向する輝線輻射ガス配置部41,42及び光電変換セル3の対向面と直交する方向の回転軸53aまわりに回転可能に設置された半円形で板状の選択反射体53を設置し、回転動作によって第1位置(
図8(b)参照)及び第2位置(
図8(a)参照)に移動させてもよい。
【0061】
また、光電変換セル(光電変換手段)3を複数備える構成であってもよい(
図9参照)。この場合、輻射切替部の代わりに、複数の光電変換セル3a,3bから選択された1つ以上の光電変換手段に輝線輻射エネルギEbを放出させる受光切替部59を備えていることが好ましい。この受光切替部59は輻射切替部52の役割も兼ねており、燃焼ガス輻射対象選択部50と連動させる。
このような構成であれば、受光切替部59の位置を切り替えて、輝線輻射エネルギEbを受ける光電変換セル3を切替え、各光電変換セル3に対して光を当てたり当てなかったりすることで、電流のON/OFFを繰り返させ、それにより交流電流を容易に作ることができる。そして、切替の速度を調整制御することで所望の周波数に設定することも可能である。また、変圧器等を用いれば電圧の変換も可能である。なお、受光切替部59の動作は、輻射切替部52の選択反射体53と同様、スライド移動動作であってもよいし、回転動作や揺動動作であってもよい。
また、輻射切替部と受光切替部59を併用する構成(不図示)を用いてもよい。この場合、受光切替部59の動きを燃焼ガス輻射対象選択部50と連動させずに独立させることができるので、より簡単に切替の速度を調整することができるという利点がある。他方、輻射切替部を用いない構成では構造を簡単にできるという利点がある。
【実施例6】
【0062】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2gは、実施例5とは反射体の構成が異なり、
図10(a)に示されるように、燃焼ガス流路部20の燃焼熱エネルギ放出部20bから放出された燃焼熱エネルギEaを、輝線輻射ガス配置部40に向けて反射する反射体(燃焼熱エネルギ反射体)54を備えている。
【0063】
本実施例の装置の輝線輻射ガス配置部40は半円柱形状であり、平面形状の長方形外周面40eの部分と、断面円弧形状の外周面40fの部分とを備えている。そして、燃焼ガス流路部20は、輝線輻射ガス配置部40の平面状の長方形外周面40eに隣接する位置に配置されている。さらに、燃焼ガス流路部20は、長方形外周面40eの中央付近(より具体的には中央部)に対向する状態で、半円柱形状の輝線輻射ガス配置部40の柱延在方向に延在する状態で配置されている。したがって、長方形外周面40eのうち燃焼ガス流路部20に対向しているのはその中央付近(より具体的には中央部)である。そして、燃焼ガス流路部20と対向していない長方形外周面40eの外周部分に対向する位置に光電変換セル3が配置されている。
反射体54は、半円柱形状の輝線輻射ガス配置部40の断面円弧形状の外周面40fを取り囲むように配置されている。したがって、反射体54は、輝線輻射ガス配置部40を燃焼ガス流路部20と当該反射体54とで挟む位置に配置されているということができる。
これ以外の構成は、実施例1と同様であるので、ここではその説明を省略することがある。なお、
図10(a)は、本実施例の装置の燃焼ガス流路部20、輝線輻射ガス配置部40及び光電変換セル3を燃焼ガスCの流動方向(
図2の矢印Bの方向)から見た状態を示す断面図である。
【0064】
このように、燃焼ガス流路部20を輝線輻射ガス配置部40に隣接する位置に配置すると、燃焼ガス流路部20から輝線輻射ガス配置部40に放出された燃焼熱エネルギEaによって、輝線輻射ガス配置部40内のナトリウム蒸気Gを効率よく加熱することができる。
また、一部の燃焼熱エネルギEaは、輝線輻射ガス配置部40を通過するが、通過した燃焼熱エネルギEaは、反射体54によって輝線輻射ガス配置部40に向けて反射される。つまり、輝線輻射ガス配置部40を一度通過した燃焼熱エネルギEaは、反射体54で反射されて、再度、輝線輻射ガス配置部40を通過して、ナトリウム蒸気Gの加熱に再利用される。また、輝線輻射ガス配置部40を再通過した燃焼熱エネルギEaは、燃焼ガス流路部20に向かうため、燃焼ガス流路部20の温度維持に貢献する。つまり、本実施例の反射体54を設置すると、輝線輻射ガス配置部40内のナトリウム蒸気Gをより効率よく加熱することができ、しかも燃焼ガス流路部20をより高温に維持することができる。燃焼ガス流路部20をより高温に維持できれば、輝線輻射ガス配置部40内のナトリウム蒸気Gの加熱効率がより向上する。
【0065】
また、このような構成にすると、燃焼熱エネルギEaが輻射ガスを通過して光電変換セル3に届くことが抑制され、より選択輻射性の高い輝線輻射エネルギEbのみが光電変換セル3に届くようにすることができる。そして、輝線輻射ガス配置部40内のナトリウム蒸気Gを効率よく加熱できれば、ナトリウム蒸気Gから光電変換セル3に効率よく輝線輻射エネルギEbを放出させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0066】
燃焼ガス流路部20については、本実施例のように、輝線輻射ガス配置部40と対向している側面以外の外周部を内側が鏡面であるカバー部材21で覆う構成が好ましい。カバー部材21の鏡面部の素材としては、反射効率の良い素材で構成されたものが好ましい。本実施例の場合、例えばアルミ(Al)や銀(Ag)を挙げることができる。
【0067】
なお、上記実施例の反射体54としては、再帰反射体54a(
図10(b)参照)を用いることができる。再帰反射体54aとは、入射光Eainの方向と平行の方向に向けて反射光Eaoutを反射させる反射体のことである。本実施例で用いられている再帰反射体54aは、燃焼熱エネルギ放出部20bから放出されて輝線輻射ガス配置部40を通過した燃焼熱エネルギEaを輝線輻射ガス配置部40に、入射方向と平行の方向に反射させる。このような再帰反射体54aは、燃焼熱エネルギEaの反射方向の指向性に優れており、熱の利用効率をより容易に向上させることができるという利点がある。他方、表面が球面などの平滑面で構成された反射体54(
図10(a)参照)にすると、例えばメインテナンスが容易であるという利点がある。
なお、反射体54,54aを設けない構成も可能である。例えば、装置を小型化するのであれば、反射体を用いない構成が有利である。他方、本実施例のように、反射体54,54aを設置すれば、熱の利用効率を向上させることがより容易であるという利点がある。
【0068】
また、
図10(a)に示される装置の輝線輻射ガス配置部40としては、半球形状のものを用いることも可能である。この場合、燃焼輻射ガス流路部20は、輝線輻射ガス配置部40の平面状の円形外周面に隣接する状態で、円形外周面の中央付近(より具体的には中央部)に配置されている。また、光電変換セル3は、輝線輻射ガス配置部40の平面状の円形外周面に隣接する位置であって、燃焼ガス流路部20を取り囲む位置に配置されている。そして、反射体54を、半球形状の輝線輻射ガス配置部40の半球形状の外周面を取り囲むように配置する。
【実施例7】
【0069】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2hは、実施例1とは異なり、
図11に示されるように、燃焼ガス流路部20の一部として、加熱されたときに輻射エネルギを発生させる輻射部材22が用いられている。そして、輻射部材22は、輝線輻射ガス配置部40の被加熱部40aに対向する位置に配置されている。なお、輻射部材22としては、周知の素材を用いることが可能であるが、好ましい材料としては、例えば、タングステン材などの耐熱性材料を挙げることができる。これ以外の構成は、実施例1と同様であるので、ここではその説明を省略する。
このような構成の装置では、燃焼ガス流路部20の燃焼ガスCが発生する燃焼熱によって輻射部材22が加熱される。加熱された輻射部材22は燃焼熱輻射エネルギEaを放出し、放出された燃焼熱輻射エネルギEaによって、輝線輻射ガス配置部40の輝線輻射ガスGを加熱する。
【0070】
なお、輻射部材22から放出した燃焼熱輻射エネルギEaは、輝線輻射ガスGなどの被加熱対象物を加熱するものであり、光電変換セル3に照射されるものではないことから、輻射部材22は、必ずしも選択輻射性を有する材料で構成されていなくてもよく、種々の材料で構成可能である。つまり、輻射部材22の材料の選択の幅は、通常の熱光起電力発電のエミッタよりもはるかに幅広い。したがって、輻射部材22の材料としては、例えば、極めて耐熱性のある材料又はコストの低い材料、若しくはその両方の特徴を満たす材料を用いることができる。
また、輝線輻射ガス配置部40の被加熱部40aの構造や、輝線輻射ガス配置部40の構成などについては、上述した実施例の構成と同じ構成であってもよい。
【実施例8】
【0071】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2iは、実施例1(
図2参照)の装置と異なり、
図12に示されるように、再生熱交換器60と、加熱部10に圧縮された空気(酸素含有ガス)Aを供給するための給気用圧縮機71と、排気ガスの運動エネルギ及び圧力エネルギのうちの少なくともいずれか一方を回収する排ガス用タービン75とを備えている。これらの構成以外の構成は、実施例1と同様であるので、ここではその説明を省略することがある。
【0072】
再生熱交換器60は、排気ガス流路部30内の排気ガスから熱エネルギを回収する排気ガス熱回収部61と、回収した熱エネルギを加熱部10の上流側の給気流路部12を通過する空気(酸素含有ガス)Aに付与する再生加熱部62とを備えている。再生熱交換器60としては、例えばプレート式熱交換器、多管式熱交換器、渦巻き式熱交換器など周知の装置を用いることができる。
このような再生熱交換器60を設置すると、燃焼ガスCの熱エネルギの利用効率を向上させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0073】
給気用圧縮機71は、供給する空気Aを圧縮するものであり、再生加熱部62よりも上流側の給気流路部12に設置されている。この給気用圧縮機71を設置すると、燃料Fの燃焼量を増加させることができ、より多くの燃焼熱エネルギEaを燃焼ガスCから放出させることができる。これにより、発電出力を向上させることができる。
【0074】
排ガス用タービン75は、排気ガスの運動エネルギ及び圧力エネルギのうちの少なくともいずれか一方を回収するものであり、排気ガス熱回収部61の下流側の排気ガス流路部30に設置されている。このタービンで回収されたエネルギを利用することで、装置全体のエネルギ利用効率を向上させることができる。例えば、このタービンで回収したエネルギを給気用圧縮機71の運転に利用することで発電効率を向上させることが考えられる。
【0075】
なお、排ガス用タービン75又は当該排ガス用タービン75及び給気用圧縮機71を用いない構成も可能である。例えば、装置を小型化するのであれば、給気用圧縮機71と排ガス用タービン75を用いない構成が有利である。他方、本実施例のように、給気用圧縮機71や排ガス用タービン75を設置すれば、発電出力の向上がより容易であるという利点がある。
【実施例9】
【0076】
次に別の実施例について説明する。
本実施例の装置の輻射ユニット2jは、実施例1(
図2参照)の装置と異なり、
図13に示されるように、加熱部10に圧縮された空気(酸素含有ガス)Aを供給するための給気用圧縮機71と、再生熱交換器60と、加熱部10に空気Aを供給する給気流路部12に設置された酸素を透過する膜81と、酸素を透過する膜81の上流側の給気流路部12に接続された分岐ガス流路部13と、後述の排気ガス熱回収部61よりも下流側の排気ガス流路部30に設置された排気用圧縮機73と、酸素を透過する膜81より下流側であってバーナ11よりも上流側に設置された酸素含有ガス圧縮機74とを備えている。これらの構成以外の構成は、実施例1と同様であるので、ここではその説明を省略することがある。
【0077】
再生熱交換器60は、次に説明する熱回収部を備えている。本実施例の装置に設置されている熱回収部とは、具体的には、燃焼ガス流路部20の下流側に配置された排気ガス流路部30内の排気ガスから熱エネルギを回収する排気ガス熱回収部61と、分岐ガス流路部13内の分岐ガスから熱エネルギを回収する分岐ガス熱回収部63である。このような熱回収部61,63を備えた再生熱交換器60を設置すると、燃焼ガスCの熱エネルギの利用効率を向上させることができ、発電効率を向上させることができる。
なお、再生熱交換器60は、実施例8と同様、回収した熱エネルギを加熱部10の上流側の給気流路部12を通過する空気(酸素含有ガス)Aに付与する再生加熱部62を備えている。
【0078】
また、熱回収部61,63のいずれか一方又は両方を設置しない構成も可能である。例えば、装置を小型化するのであれば、熱回収部を用いない構成が有利である。また、排気ガス熱回収部61と分岐ガス熱回収部63のうちのいずれか一つでも設置すれば、熱利用効率をより容易に向上させることができ有利である。そして、本実施例のように、両熱回収部61,63を設置すると、熱の利用効率をさらに向上させることが容易であるという利点がある。
【0079】
給気用圧縮機71は、供給する空気Aを圧縮するものであり、再生熱交換器60の再生加熱部62の位置、給気流路部12と分岐ガス流路部13との接続位置(分岐位置)及び酸素を透過する膜81の位置のいずれの位置よりも上流側に設置されている。この給気用圧縮機71を設置すると、燃料Fの燃焼量を増加させることができ、より多くの燃焼熱エネルギEaを燃焼ガスCから放出させることができる。これにより、発電出力を向上させることができる。
【0080】
酸素を透過する膜(酸素透過膜、酸素富化膜)81は、酸素を優先的に通過させるフィルタリング効果を有するものである。したがって、給気用圧縮機71の下流側に酸素を透過する膜81を設置することで、燃料Fを燃焼させる燃焼室10aに供給される空気Aの酸素濃度を高めることができ、燃焼効率を向上させることができる。酸素を透過する膜としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、セリア系酸素透過性セラミックス、ジルコニア等を挙げることができる。
【0081】
分岐ガス熱回収部63として、例えば、分岐ガスの運動エネルギ及び圧力エネルギのうちの少なくともいずれか一方を回収する分岐ガス用タービンを分岐ガス流路部13に設置することができる。このタービンで回収されたエネルギを利用することで、装置全体のエネルギ利用効率を向上させることができる。例えば、このタービンで回収したエネルギを給気用圧縮機71の運転に利用することで発電効率を向上させることが考えられる。
【0082】
排気用圧縮機73は、排気ガスの排気を促進するものである。これにより、燃焼ガス流路部20における燃焼ガスCの滞留を防止することができ、燃焼室10aでの燃焼により生じた燃焼ガスCを迅速かつ安定的に燃焼ガス流路部20に流入させることができる。これにより、燃焼ガス流路部20内の燃焼ガスCの熱エネルギによって効率よく輝線輻射ガス配置部40内の輝線輻射ガス(ナトリウム蒸気)Gを加熱することができ、輝線輻射エネルギEbを効率よく光電変換セル3に向けて放出させることができる。
酸素含有ガス圧縮機74は、酸素を透過する膜81を通過して酸素濃度が高められた高酸素空気Aoを燃焼室10a内に効率よく供給するものである。これにより、燃焼室10aにおいて燃料Fを効率良く燃焼させることができる。なお、酸素含有ガス圧縮機74の上流側(特に、酸素を透過する膜81の下流側)に、酸素含有ガスを冷却する冷却部を設置すると、冷却により酸素含有ガスの容積を縮少させることができるので、圧縮動力を低減させることができ好ましい。
【0083】
なお、酸素含有ガス圧縮機74、排気用圧縮機73のうちの少なくともいずれか一つを設置しない構成も可能である。これらを設置しなければ、装置の小型化に有利である。
【0084】
なお、本発明に係る熱光起電力発電装置及びこれに用いられる輻射ユニットは、上記実施例のものに限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変されたものは、本発明の範囲に含まれる。
【0085】
例えば、加熱部は、太陽光エネルギで加熱対象物を加熱するものでもよい(
図14参照)。この場合、太陽光を集光する太陽光集光部(不図示)を備えているものが好ましく、集光太陽光Sによって加熱対象物を加熱するものが好ましい。
そして、集光太陽光Sを吸収する太陽光吸収体25と、輝線輻射ガスを配置するための輝線輻射ガス配置部40とを用いる構成がより好ましい。この場合、太陽光集光部から放出された集光太陽光Sによって太陽光吸収体25を加熱する。加熱された太陽光吸収体25は、輻射エネルギ(吸収体輻射エネルギ)Ecを放出する。この輻射エネルギEcによって、輝線輻射ガス配置部40内の輝線輻射ガスGを加熱する。加熱された輝線輻射ガスGから放出される輝線輻射エネルギEbは、輝線ガス配置部40の輝線輻射エネルギ放出部40bから光電変換セル3に向けて放出される。
太陽光吸収体としては、耐熱性の問題がほぼ生じることがないことから、気体が好ましい。この場合、太陽光吸収体を封入するなどして配置するための太陽光吸収体配置部を用いる構成が好ましい。また、太陽光吸収体として用いる気体としては、幅広い波長の光エネルギ(輻射エネルギ)を吸収できるものが好ましいことから、多様な吸収スペクトルを有する多種類(複数種類)の物質の気体が混合された混合気体が好ましい。具体的に挙げると、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガス、ナトリウム蒸気、水銀蒸気のうちの複数が混合された混合気体が好ましく、混合される気体中に輝線輻射ガス配置部内に封入された輝線輻射ガスと同じ気体が含まれた混合気体がより好ましい。太陽光吸収体に輝線輻射ガスと同じ気体が含まれていれば、太陽光吸収体から放出される吸収体輻射エネルギに、輝線輻射ガスが吸収しやすい波長のエネルギがふくまれていることになるからである。さらに、輝線輻射ガス配置部を複数備えている構成(
図7に示される輝線輻射ガス配置部41,42の構成及び配置を参照)でもよい。
【0086】
また、入射角が大きいほど反射率が高い半反射体(以下、この段落では斜め反射体55と称する)や、いわゆる鏡などの反射体57を用いた構成を採用することも可能である。
図15(a)は、本実施例の装置の燃焼ガス流路部20、輝線輻射ガス配置部40及び光電変換セル3を燃焼ガスCの流動方向(
図2の矢印Bの方向)から見た状態を示す断面図であり、
図15(a)における上方の位置に輝線輻射ガス配置部40、下方に反射体57a、左方に斜め反射体55b、右方に反射体57bが四角形を取り囲む形で配置されている。さらに輝線輻射ガス配置部40と斜め反射体55bが直角に、そして輝線輻射ガス配置部40と反射体57aが平行に、尚且つ斜め反射体55bと反射体57bが平行に配置されている。つまり、輝線輻射ガス配置部40、反射体57a、斜め反射体55b、反射体57bは長方形を取り囲む形で配置されている。
さらに輝線輻射ガス配置部40に対して上方向に斜め反射体55a及び当該燃焼ガス流路部20が平行に配置されており、尚且つ斜め反射体55aは輝線輻射ガス配置部40と燃焼ガス流路部20の間に配置されている。また、斜め反射体55bに対して左方向に赤外線反射膜58と当該光電変換セル3が平行に配置されており、尚且つ赤外線反射膜58は斜め反射体55bと光電変換セル3の間に配置されている。
このような構成にすると、燃焼輻射エネルギEaが光電変換セル3に照射される割合を減少し、輝線輻射ガス配置部40からの輝線輻射エネルギEbが光電変換セル3に照射される割合を増加させることができる。なお、入射角が大きいほど反射率が高くなる反射体としては、例えばガラス等の高屈折率材料を挙げることができる。
【0087】
さらに、
図15(a)に示される構成に、次に説明する変更を加えた構成であってもよい。
つまり、
図15(b)に示されるように、反射体57aの代わりに輝線輻射ガス配置部40を設置し、当該輝線輻射ガス配置部40に対して下方向に斜め反射体55a及び燃焼ガス流路部20を平行に配置し、尚且つ斜め反射体55aは輝線輻射ガス配置部40と燃焼ガス流路部20の間に配置する。さらに、反射体57bの代わりに斜め反射体55bを設置し、当該斜め反射体55bに対して右方向に赤外線反射膜58と光電変換セル3が平行に配置されており、尚且つ当該赤外線反射膜58は斜め反射体55bと光電変換セル3の間に配置する。このような構成にすることで、発電ユニットの大きさはほとんど変えないまま、燃焼ガスCからの燃焼輻射エネルギEaと輝線輻射ガスGからの輝線輻射エネルギEbと光電変換セル3の面積をそれぞれ2倍に出来るので、出力密度の向上が期待できる。また、
図15(a)の構成であれば、メインテナンスの手間や製造コストを低減できるという利点がある。
【0088】
また、光電変換セルは、上記実施例で用いられているものに限られない。種々の光電変換セルを本発明に係る発電装置の光電変換セル3として使用可能である。その際、光電変換セルのトップセルの禁制帯幅を、用いられる輝線輻射ガスの種類に応じて調整すると、発電効率をより向上させることができ好ましい。
【0089】
また、光電変換セルとしては、裏面側に反射体が配置されているものがより好ましい。光電変換セルの禁制帯幅未満のエネルギの光は光電変換セルを透過するが、上述した反射体を裏面側に備えていれば、これにより透過した光を反射して輻射ガス等にもどすことができエネルギー効率を向上させることができる。
【0090】
また、フィルタが十分に機能しない場合がある。このような場合を考慮して、光電変換セルのボトムセルの下に、さらに赤外線用の光電変換セルを重ねて配置してもよい。このような構成にすると、フィルタを通過した赤外線も発電に利用する事ができる為、発電効率を向上させることができる。
【解決手段】輻射エネルギを発生させる輻射ユニット2と、輻射ユニット2から放出された輻射エネルギを電気エネルギに変換する光電変換セル3とを備えており、熱光起電力発電装置1で用いられる輻射ユニット2であって、加熱対象物である輝線輻射ガスGに与える熱を発生させる加熱部10を備え、加熱された輝線輻射ガスGから放出される輻射エネルギEbは、輝線スペクトルの波長の光である輝線輻射エネルギを含んでいる、熱光起電力発電装置用の輻射ユニット2である。