特許第6021046号(P6021046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6021046パージ機能を備えたストッカと、ストッカユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021046
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】パージ機能を備えたストッカと、ストッカユニット
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20161020BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20161020BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B65G1/14 B
   B65G1/00 535
   H01L21/68 T
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-531533(P2014-531533)
(86)(22)【出願日】2013年6月21日
(86)【国際出願番号】JP2013067083
(87)【国際公開番号】WO2014030421
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2012-182191(P2012-182191)
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】村田 正直
(72)【発明者】
【氏名】山路 孝
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−159734(JP,A)
【文献】 特開2010−182747(JP,A)
【文献】 特開平11−168135(JP,A)
【文献】 特開平11−314703(JP,A)
【文献】 特開2000−340641(JP,A)
【文献】 特開2010−241515(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0237609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G1/00−1/133,1/14− 1/20
H01L21/67−21/683
A47B57/44,96/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンガスの供給用ノズルを備えない棚受けを、上下方向に沿って複数取り付け自在なフレームと、
ストッカユニットとから成り、
前記ストッカユニットは、
柱から成り、前記フレームに取り付けられているベースと、
前記ベースに沿って設けられているクリーンガスの供給用のパイプと、
複数個のパージ機能付き棚受けとから成り、
前記パージ機能付き棚受けは、前記ベースに取り付けられて、上下方向に沿って配列され、コンテナを支持自在で、かつコンテナに前記パイプからクリーンガスを供給するノズルを備え、
前記フレームは、コンテナの収容スペース後端に、少なくとも一対の第1の柱を備え、 前記ベースは、コンテナの収容スペース後端の、少なくとも一対の第2の柱から成り、 前記第2の柱の間隔は、前記第1の柱の間隔よりも狭く、
かつコンテナの収容スペース前方から見て、前記第2の柱は前記第1の柱の斜め前に位置して、前記第1の柱に取り付けられ、
前記パージ機能付き棚受けは、前記パイプからクリーンガスを前記ノズルへ供給する分岐ラインと、分岐ラインでのクリーンガスの流量を制御するバルブ、とをさらに備え、
前記パイプと前記バルブは、コンテナの収容スペース前方から見て、前記第2の柱の前端よりも後側で、かつ前記第1の柱の後端よりも前側に設けられている、パージ機能を備えたストッカ。
【請求項2】
前記フレームにクリーンガスの供給用ノズルを備えない棚受けが複数個取り付けられると共に、前記フレームに前記ストッカユニットが取り付けられていることを特徴とする、請求項1のパージ機能を備えたストッカ。
【請求項3】
クリーンガスの供給用ノズルを備えずかつコンテナを支持自在な棚受けを、上下方向に沿って複数取り付け自在で、かつコンテナの収容スペース後端に少なくとも一対の第1の柱を備えているフレームを有するストッカに対して、取り付け自在なストッカユニットであって、
前記第1の柱よりも間隔が狭い少なくとも一対の第2の柱から成り、コンテナの収容スペース前方から見て、前記第1の柱の斜め前の位置で前記第1の柱に取り付け自在なベースと、
前記ベースに沿って設けられているクリーンガスの供給用のパイプと、
前記ベースに取り付けられ、上下方向に沿って配列され、かつコンテナを支持自在な、複数のパージ機能付き棚受けとから成り、
前記パージ機能付き棚受けは、コンテナに前記パイプからクリーンガスを供給するノズルと、前記パイプからクリーンガスを前記ノズルへ供給する分岐ラインと、分岐ラインでのクリーンガスの流量を制御するバルブ、とを備え、
前記パイプと前記バルブは、ストッカに取り付けた際に、コンテナの収容スペース前方から見て、前記第2の柱の前端よりも後側で、かつ前記第1の柱の後端よりも前側に位置するように構成されている、パージ機能を備えたストッカユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパージ機能を備えたストッカとストッカユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハー、レチクル等のクリーンルーム内で取り扱うワークは、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、FOUP(Front Opened Unified Pod)等のコンテナに収容されて、搬送と保管とがされる。そしてコンテナのガス注入口から、窒素(N2ガス)、清浄乾燥空気等のクリーンガスを導入することにより、コンテナ内を局所的にクリーンに保つことが提案されている。特に窒素ガスの場合、半導体ウェハー表面に酸化膜が形成されることを防止する役割もある。特許文献1(JP2010-241515A)はコンテナへクリーンガスを供給するノズル付きのストッカを提案し、特許文献2(WO2008/106622)はレチクルを保管するためのガス注入口付きのSMIFポッドを提案している。
【0003】
ところで特許文献1のストッカは、全ての間口がパージ機能に対応し、パージ機能に対応した間口と対応しない間口とを共存させることができない。仮に一部の間口に対してパージ用の配管(パージライン)を設けないようにすると、その間口はパージ用には使用できない。またパージラインを備えない既存のストッカにパージ機能を追加する場合、既存のストッカを新しいストッカで置き換える必要がある。ストッカを置き換える代わりに、ストッカをクリーンルーム内で改造すると、作業時間や作業スペースが制限され、かつ発塵の防止が要求されるため大変である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】JP2010-241515A
【特許文献2】WO2008/106622(JP2010-520625A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、パージ機能を備えた間口と備えない間口とが共存でき、かつパージ機能を備えない間口をパージ機能を備えた間口に容易に変更できる、ストッカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のパージ機能を備えたストッカは、上下方向に沿ってクリーンガスの供給用ノズルを備えない棚受けを複数取り付け自在なフレームと、
ストッカユニットとから成り、
前記ストッカユニットは、
柱から成り、前記フレームに取り付けられているベースと、
前記ベースに沿って設けられているクリーンガスの供給用のパイプと、
複数個のパージ機能付き棚受けとから成り、
前記パージ機能付き棚受けは、前記ベースに取り付けられて、上下方向に沿って配列され、コンテナを支持自在で、かつコンテナに前記パイプからクリーンガスを供給するノズルを備え、
前記フレームは、コンテナの収容スペース後端に、少なくとも一対の第1の柱を備え、 前記ベースは、コンテナの収容スペース後端の、少なくとも一対の第2の柱から成り、 前記第2の柱の間隔は、前記第1の柱の間隔よりも狭く、
かつコンテナの収容スペース前方から見て、前記第2の柱は前記第1の柱の斜め前に位置して、前記第1の柱に取り付けられ、
前記パージ機能付き棚受けは、前記パイプからクリーンガスを前記ノズルへ供給する分岐ラインと、分岐ラインでのクリーンガスの流量を制御するバルブ、とをさらに備え、
前記パイプと前記バルブは、コンテナの収容スペース前方から見て、前記第2の柱の前端よりも後側で、かつ前記第1の柱の後端よりも前側に設けられている。
【0007】
またこの発明のストッカユニットは、 クリーンガスの供給用ノズルを備えずかつコンテナを支持自在な棚受けを、上下方向に沿って複数取り付け自在で、かつコンテナの収容スペース後端に少なくとも一対の第1の柱を備えているフレームを有するストッカに対して、取り付け自在なストッカユニットであって、
前記第1の柱よりも間隔が狭い少なくとも一対の第2の柱から成り、コンテナの収容スペース前方から見て、前記第1の柱の斜め前の位置で前記第1の柱に取り付け自在なベースと、
前記ベースに沿って設けられているクリーンガスの供給用のパイプと、
前記ベースに取り付けられ、上下方向に沿って配列され、かつコンテナを支持自在な、複数のパージ機能付き棚受けとから成り、
前記パージ機能付き棚受けは、コンテナに前記パイプからクリーンガスを供給するノズルと、前記パイプからクリーンガスを前記ノズルへ供給する分岐ラインと、分岐ラインでのクリーンガスの流量を制御するバルブ、とを備え、
前記パイプと前記バルブは、ストッカに取り付けた際に、コンテナの収容スペース前方から見て、前記第2の柱の前端よりも後側で、かつ前記第1の柱の後端よりも前側に位置するように構成されている。
【0009】
この発明では、ストッカユニットをストッカのフレームに取り付けることにより、クリーンガスをノズルからコンテナへ供給するパージ機能を追加できる。そしてストッカのフレームには、パージ機能を備えたストッカユニットも、パージ機能を備えない棚受けも取り付けることができる。また既存のストッカに、パージ機能を備えたストッカユニットを組み込むこともできる。なおこの明細書において、ストッカに関する記載はそのままストッカユニットにも当てはまり、ストッカユニットに関する記載はそのままストッカにも当てはまる。
【0011】
ストッカユニットの第2の柱が、ストッカのフレームの第1の柱の斜め前方に位置するように、ストッカユニットをストッカ内に組み込み、第2の柱を第1の柱に取り付けると、ストッカユニットを簡単にストッカに取り付けることができる。
【0013】
第2の柱の前端よりも後側で第1の柱の後端よりも前側のスペースは、コンテナと干渉しない空スペースとなりやすい。このスペースにパイプとバルブを設けることにより、省スペースなストッカユニットとなる。
【0014】
好ましくは、前記フレームにクリーンガスの供給用ノズルを備えない棚受けが複数個取り付けられると共に、前記フレームに前記ストッカユニットが取り付けられている。即ち、同一のストッカ内に、クリーンガスの供給用ノズルを備えない棚受けと、クリーンガスの供給用ノズルを備えたパージ機能付き棚受けとが共存している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例のストッカの要部平面図
図2図1の要部拡大平面図
図3】実施例でのストッカの棚の要部拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0017】
図1図3に、実施例のストッカ2とストッカユニット12とを示す。図1はストッカ2の全体構造を示し、例えば一対の棚4,4の間を搬送装置用スペースとし、図示しないスタッカークレーン等の搬送装置が走行する。また棚4,4の一部に図示しない入出庫用のロードポートが設けられ、図示しない天井走行車等との間で、FOUP,SMIFポッド等のコンテナをやり取りする。搬送装置は、ロードポートと棚4との間、あるいは棚4,4間等で、コンテナをやり取りする。棚4,4について、スペース6側を前方、その反対側を後方とする。
【0018】
棚4,4の後端に柱8が複数設けられ、一対の柱8,8に棚受け10が上下に複数取り付けられている。また一対の柱8,8には、パージ機能を備えるストッカユニット12が取り付けられている。ストッカユニット12はその後端に一対の鉛直な柱14,14を備え、また柱14とほぼ平行な配管から成るパージライン18を備え、工場内に設けられたパイプライン等から乾燥窒素、清浄乾燥空気等のクリーンガスをコンテナ内に供給できるようにされている。一対の柱14,14により支持されるように、棚受け16が上下に複数設けられ、パージライン18は棚受け16を上下に貫通し、クリーンガスをコンテナ内に吹き込むためのノズル19,19とコンテナからクリーンガスを排気するためのノズル20とが、棚受け16に設けられている。なお棚受け16当たりで1個のノズル19を設けても良く、排気用のノズル20を左右に2個設けてもよい。なお、コンテナの本体と蓋との隙間からクリーンガスを自然排気する場合、排気用のノズル20は不要である。22は在荷センサで、棚受け16に支持されているコンテナの有無を検出する。在荷センサ22は棚受け16当たり2個設けたが、3個以上あるいは1個でも良く、また在荷センサ22を設けず、搬送装置が棚受け16へコンテナを出し入れしたデータに基づいてコンテナの有無を判断しても良い。
【0019】
図2図3に、ストッカユニット12の詳細を示す。棚受け16の後端部は鉛直上向きに折り曲げられて鉛直板24を構成し、ここに制御部26,流量計36及びバルブ38が取り付けられている。パージライン18に棚受け16毎の分岐ライン34がジョイント32により接続され、在荷センサ22の信号により制御部26はバルブ38を開き、流量計36で分岐ライン34の流量を監視して、バルブ38へフィードバックし、分岐ライン34を定流量のクリーンガスが流れるようにする。分岐ライン34はジョイント39で二股に別れ、ノズル19,19から、FOUP44のガス導入孔を介して、クリーンガスをFOUP44内へ導入する。なお45はFOUP44の蓋、46は天井走行車が把持するための取手である。ノズル20から排気された窒素ガスは、排気パイプ47と、柱14とほぼ平行な配管から成る排気ライン48とを介して回収される。また42は棚受け10を柱8に取り付けるための取り付け部材である。
【0020】
柱8は特許請求の範囲での第1の柱に、柱14が第2の柱に対応し、柱8はストッカ2のフレームの主要部である。柱14の前端と柱8の後端との間のスペース、特にFOUP44の後端と柱8の後端との間のスペースは空スペースに成りやすい。そこでこのスペースに、パージライン18,制御部26,流量計36,バルブ38等を収容する。柱14,14は柱8,8の斜め前方に配置され、柱14,14の間隔は柱8,8の間隔よりも狭い。そしてL字部材28と締結部材30とにより、柱14を柱8に締結する。またFOUP44の後側は、平面視して後端にいくほど先細りとなる形状、つまり水平方向の幅が狭くなる形状をなしている。例えば平面視で円弧状でも、左右両側を面取り状に切り欠いた形状でもよい。このような形状のため、柱14をFOUP44と干渉しない位置に設けることができる。なお図2に鎖線29で示すように、L字部材を柱14の後端側に配置してもよく、また図2の下部に拡大して示すように、例えば十字状の取付片31を用いてもよい。ストッカの構成等に応じて適宜の設計変更が可能である。
【0021】
ストッカユニット12の水平方向の幅は棚受け10の幅とほぼ同じで、棚4の柱8,8間にストッカユニット12を設置できる。このため、例えばパージ機能を備えない既存のストッカに、ストッカユニット12を組み込むことにより、パージ機能を追加できる。またストッカ2に、パージ機能を備える棚受け16と備えない棚受け10とを設けることができ、棚受け10を外してストッカユニット12で置き換える、あるいは逆にストッカユニット12を外して棚受け10で置き換えることができる。
【0022】
ストッカユニット12では複数の棚受け16を上下に配列したが、水平に配列しても良い。その場合、柱14,14の代わりに、例えば一対の梁を鉛直方向に重なるように設けて、梁をストッカのフレームの梁等に取り付ける。そして一対の水平な梁に鉛直板24の上下を取り付ける。この場合、棚受け10は梁の長手方向に複数配列される。
【0023】
パージライン18へのクリーンガスの供給は、工場内に設けられたパイプラインによって行われる。なお、可搬式のボンベ等を用いるようにしてもよい。この場合、パージライン18へクリーンガスを供給するボンベ等は、ストッカユニット12の最下部等の適宜の位置に配置する。またストッカユニット12はストッカ2とは別体として製造し、柱8,8を利用してストッカ2に取り付ける。
【0024】
実施例では以下の効果が得られる。
1) パージ機能を備えない既存のストッカを簡単に改造して、パージ機能を備えるストッカ2にできる。
2) ストッカ2では、パージ機能を備える棚受け16と備えない棚受け10とを任意の割合で配置できる。
3) 柱14,14の間隔を柱8,8の間隔よりも狭くすることにより、L字部材28を用いて、簡単にストッカユニット12をストッカ2に組み込むことができる。
4) FOUP44の後端側の空スペースに、パイプ18,制御部26,流量計36,バルブ38等を配置できる。
【符号の説明】
【0025】
2 ストッカ 4 棚 6 搬送装置用スペース 8,14 柱
10,16 棚受け 12 ストッカユニット 18 パージライン
19,20 ノズル 22 在荷センサ 24 鉛直板
26 制御部 28 L字部材 30 締結部材
32,39 ジョイント 34 分岐ライン 36 流量計
38 バルブ 40,42 取り付け部材 44 FOUP
46 取手 47 排気パイプ 48 排気ライン
図1
図2
図3