(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロッドによる毛髪の加熱温度は55℃以上300℃以下であり、前記ロッドの周辺の加熱温度は61℃以上300℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のパーマネントシステム。
前記頭部冷却器の前記シート形状部と前記囲い部とは、前記シート形状部で前記囲い部の開口底面を塞ぐように、一体的に形成されていることを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか一項に記載のパーマネントシステム。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪のパーマ処理法は、いわゆるコールドパーマおよびホットパーマが代表的なものとして知られている。
【0003】
コールドパーマは、頭部をシャンプーで洗浄した後、顧客の好みのヘアースタイルに合わせて、一定領域の毛髪を少量ずつの毛束に分けて、それぞれの毛束ごとにロットを巻き、アルカリ剤と還元剤を含む第1剤をロットに巻いた毛束に万遍なく行き渡るように塗布し、10〜20分放置して第1剤の毛髪への浸透を図り、毛髪内部の水素結合、イオン結合、シスチン結合を切ることでCMC(Cell membrane complex:細胞膜複合体)を柔らかいゴム状態にし、コルテックスが動ける環境を作った後、ロットを巻いた状態のまま、毛髪に塗布された第1剤を丹念に洗う。その後、第2剤を十分に塗布して5〜20分放置し、毛髪内部のシスチン結合などを再結合させることで、毛髪がウェーブされた状態で固定される。その後、ロットを外し、水洗し、乾燥して仕上げる。
【0004】
この方法では、第1剤塗布から第2剤塗布まで毛髪が濡れた状態での施術のため、毛髪を乾かした状態では、折角のウェーブが伸びてしまうという問題点があった。また、毛髪の第1剤による軟化とロッドによるカールの形成を同時に行うことから、髪の状態に合わせて、ロッド、薬剤、温度、時間の絶妙な設定が必須であるため、施術が困難であり、失敗も多いのが実情であるという問題点があった。また、コールドパーマにおいても、加熱によりカール形成の促進を行うことはあるが、45℃が限界である。毛髪は、80℃以下では熱によるタンパク質変性が起こらないため、コールドパーマではウェーブが長持ちしないという問題があった。
【0005】
これに対してホットパーマは、頭部をシャンプーで洗浄した後、第1剤を塗布し、10〜20分放置して第1剤の毛髪への浸透を図った後に、水洗し、顧客の好みのヘアースタイルに合わせて、一定領域の毛髪を少量ずつの毛束に分けて、それぞれの毛束ごとにロットを巻き、ロッドを所定時間加熱し毛髪を乾燥させる。その後、第2剤を十分に塗布して5〜20分放置し、毛髪内部のシスチン結合などを再結合させることで、毛髪がウェーブされた状態で固定される。その後、ロットを外し、水洗し、乾燥して仕上げる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、第1剤を毛髪に塗布、浸透させ、水洗いした後に、カール用ヘアアイロンのロッド部に所定の毛束の毛髪を巻き付け、加熱乾燥させてヘアアイロンのロッド部から毛髪を外し、次の毛束をヘアアイロンのロッド部に巻き付けて加熱乾燥させることを繰り返し、ウェーブを施したい領域全ての毛髪にヘアアイロンをかけた後に、第2剤を塗布して放置し、水洗いし、乾燥して仕上げることも行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
これらの方法によれは、還元された毛髪を加熱乾燥した後に、毛髪の内部結合を酸化固定するため、処理された毛髪のウェーブは、乾燥させても伸びず、且つ、ウェーブの保持期間も長いという長所がある。
【0008】
しかしながら、ホットパーマでは、通常80〜130 ℃の温度で乾燥処理が行われている。そして、ホットパーマでは、加熱により毛髪を乾燥させる必要があるが、従来の方式では、ロッドに巻かれた毛束のうちロッドから離れて外側に巻かれた毛髪は乾燥しにくいため、外側の毛髪が乾燥するまで、ある程度長い時間(15分〜30分程度)にわたって加熱する必要があるため、毛髪が傷みやすいという問題があった。ヘアアイロンを用いた場合は、加熱温度は160〜180 ℃と高温で、加熱時間は1分〜5分と短いため、ロッド部に巻かれる毛束が多いと、ロッド部から離れて外側に巻かれた毛髪は乾燥しにくく、均一で美しいカールが得られなくなるという問題があった。また、ロッド部に巻く毛束の量を少なくすると、全体の施術時間が長くなるという問題があった。
【0009】
そこで、毛髪の損傷を低減するために、側面に空気吸引口を多数設けたロッドを使用し、ロッドの内側から空気を吸引するとともに、ロッドに巻かれた毛髪の外側から温風をあてることにより、乾燥温度を低く抑えたパーマネント方式が知られている(例えば、特許文献3,4参照)。
【0010】
しかしながら、この方式では、乾燥温度が低いため、乾燥させるのに時間がかかる(10分〜30分程度)という問題があった。さらに、ロッドに巻き付ける毛束の量が多いと、ロッド表面近くに巻かれた内側の毛髪に熱が伝わりにくいので、良好なウェーブが付与されず、ロッドに巻き付ける毛束の量を少なくせざるを得ないため、施術時間が長くなるという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
本実施形態に係るパーマネントシステム100は、
図1および
図2に示すように、巻き付けられた毛髪を加熱可能なロッド1の周辺を囲うように形成された囲い部2と、温風を発生させ、該温風を囲い部2の内部に送るための温風発生機3とを有しており、ロッド1に毛髪を巻き付けた状態で、ロッド1を加熱するとともに、温風発生機3から囲い部2の内部に温風を送ることによりロッド1の周辺を加熱して、毛髪にウェーブを付与するようになっている。
【0029】
以下、各構成要素について、詳細に説明する。
【0030】
[囲い部2]
本実施形態における囲い部2は、上面および底面が開口され、平面視において丸みを帯びた台形形状の筒状体21を有している。また、筒状体21は、一部の高さ(開口上面から開口底面までの長さ)が低く形成されていることが好ましい(
図9、
図11など参照)。これにより、囲い部2内のロッド1に毛髪を巻き付ける作業がしやすくなる。なお、本実施形態においては、筒状体21は平面視が丸みを帯びた台形形状としたが、これに限定されるものではなく、平面視円形や多角形状であってもよい。また、本実施形態においては、囲い部2は、ロッド1の周囲周辺を一周囲うような筒状体21としたが、後述の実施形態における囲い部2のように、筒状体21の一部を切り欠いた形状としてもよい(
図10参照)。
【0031】
筒状体21の材質としては、特に限定されるものではないが、ステンレスなどの耐腐食性に優れる金属や、耐熱性を有する硬質の合成樹脂を用いることができる。また、筒状体21の大きさは、特に限定されるものではないが、囲い部2内の面積が小さすぎると、ロッド1に毛髪を巻き付ける際の作業性が悪くなり、囲い部2内の面積が大きすぎると、囲い部2内を加熱して毛髪を乾燥させる際の乾燥効率が悪くなるため、平面視における最大幅が7cm〜15cm程度であることがこのましい。
【0032】
筒状体21の両端部、すなわち開口上面および開口下面の周縁部には、囲い部2内が加熱され、筒状体21が熱を帯びた際に触れたときに火傷などをすることのないよう、保護部材22が設けられている。保護部材22は、耐熱性および断熱性を有する耐熱性の高い樹脂やゴム、シリコーン樹脂などにより形成されている。
【0033】
囲い部2の筒状体21の側面には、温風発生機3からの温風を囲い部2の内部に入れるための第一の送風孔23と第二の送風孔24とが設けられている。第一の送風孔23は、筒状体21側面の開口上面近傍に所定の間隔で2つ設けられている。第二の送風孔24は、2つの第一の送風孔23の間の領域の下方、筒状体21側面の開口下面近傍に設けられている。また、第二の送風孔24の側方近傍には、ロッド1に巻き付けられた毛髪をロッド1に対して押圧して、毛髪が巻き付けられた状態を保持させる押圧部4を手元で操作するための操作棒5を挿通させる挿通孔25が設けられている。
【0034】
また、囲い部2は、施術対象者の頭部Hからロッド1までの距離を調整するための調整部材を有していてもよい。調整部材は、筒状体21と同一の平面形状の筒状の形状を有し、筒状体21の下部に着脱自在に取り付けられる。調整部材は、複数の高さのものを備えることで、髪型に応じてきめ細やかに調節することができる。高さは、例えば1.5cm、3cm、5cm、7cm、10cmとすることが好ましい。
【0035】
[ロッド1]
囲い部2の筒状体21に設けられた第二の送風孔24には、囲い部2の側面内側に向けて連通管6が連通して設けられており、連通管6にはロッド1の一端側が連通して一体的に設けられている。連通管6は囲い部2の側面に対して略垂直に設けられており、ロッド1は連通管6に対して略垂直に囲い部2の開口上面へ向けて設けられている。
【0036】
連通管6は、中空の細径管により形成されている。ロッド1は、中空円筒形状を有しており、一端から他端に向けて径が大きくなる先太形状となっている。なお、本実施の形態においては、ロッド1は、一端から他端に向けて径が大きくなる先太形状となっているが、一端から他端まで一定の大きさの径で形成してもよい。ロッド1の大きさは、特に限定されるものではないが、長さが10mm以上400mm以下であることが好ましい。また、径が3mm以上25mm以下であることが好ましく、付け根の細径部の径が4mm以上15mm以下、先端の太径部の径が15mm以上25mm以下であることがさらに好ましい。
【0037】
連通管6の材質としては、特に限定されるものではないが、特に限定されるものではないが、銅や錫、アルミニウム、ステンレスなど熱伝導率の高い金属であることが好ましい。ロッド1の材質としては、特に限定されるものではないが、銅や錫、アルミニウム、ステンレスなど熱伝導率の高い金属であることが好ましい。耐腐食性と強度、熱伝導率に優れたステンレスを用いることが特に好ましい。連通管6とロッド1とは、同じ材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。
【0038】
本実施形態においては、ロッド1は連通管6に連通して一体的に設けるようにしたが、例えば、長さ30mmのものと40mmのものと70mmのものなどのように、複数種類のロッド1を着脱自在に連通管6に取り付けるようにしてもよい。また、交換可能なロッド1の種類は、ロッド1の長さのみに限らず、テーパー形状の有無、テーパーの度合いなどであってもよい。このように複数種類のロッド1を備えることで、顧客の髪型などに応じたロッド1を適宜選択して取り付けることができる。
【0039】
本実施形態においては、ロッド1は連通管6に連通して一体的に設けるようにしたが、ロッド1をベアリングを介して連通管6に取り付けてもよい。このようにすれば、ロッド1に巻き付けられた毛髪を取り外す際に、グリップ部32を持ち上げるだけで、ロッド1が回転して、毛髪が容易にロッド1から外れる。なお、この場合、ロッド1に毛髪を巻きつける際にロッド1が回転しないように連通管6に固定するために、ネジなどのロック機構を設けてもよい。
【0040】
[温風発生機3]
温風発生機3は、温風ノズル31とグリップ部32と空気供給ホースおよび制御線が内挿されたコード33と図示しないコントローラとを有する。
【0041】
温風ノズル31はグリップ部32の先端に設けられており、温風ノズル31内には、セラミックヒータと空気供給ホースと温風ノズル31内の温度を測定する温度センサとが内蔵されている。温風ノズル31の後端から引き出されたセラミックヒータの通電線および温度センサのリード線は制御線として集合され、空気供給ホースとともに、グリップ部32内に収納されている。空気供給ホースおよび制御線は、コード33としてグリップ部32の後端から引き出され、それぞれコントローラに接続されている。なお、温度センサは、温風ノズル31内ではなく、囲い部2内に設置するようにしてもよい。
【0042】
コントローラには、空気流量調整器、空気流量計、ヒーター出力切換器およびエアポンプが内蔵されており、温度センサの信号を入力としてセラミックヒータへの通電量をフィードバック制御するとともにエアポンプからの空気供給量のフィードバック制御をするようになっている。
【0043】
温風発生機3は、エアポンプからの空気を空気供給ホースで温風ノズル31まで供給するとともに、セラミックヒータを加熱することにより、温風ノズル31内で空気を加熱して温風として、温風ノズル31から送り出す。温風ノズル31から送り出される温風の温度や流量は、コントローラで調節可能であり、温風の温度は61℃以上300℃以下、流量は0.1m
3/min以上1.4m
3/min以下に調整可能とされている。
【0044】
温風発生機3の温風ノズル31の先端は、3つに分岐しており、2つは囲い部2の第一の送風孔23に接続されており、1つは囲い部2の第二の送風孔24に接続されている。これにより、ロッド1およびロッド1の周辺を加熱することができる。このとき、温風ノズル31の分岐する管の数や太さ、第一の送風孔23の数や大きさ、第二の送風孔24大きさ、さらには連通管6やロッド1の材質等を選択することにより、ロッド1の加熱温度とロッド1の周辺を加熱温度に差を設けることもできる。
【0045】
ロッド1の加熱温度は55℃以上300℃以下であることが好ましく、ロッド1の周辺の加熱温度は61℃以上300℃以下であることが好ましい。さらに、ロッド1の加熱温度は60℃以上160℃以下であることが好ましく、ロッド1の周辺の加熱温度は70℃以上200℃以下であることが好ましい。加熱温度が低いと、毛髪が熱変性されないため、良好で保持期間の長いウェーブを得ることができない。加熱温度が高すぎると、毛髪が傷んでしまう。また、ロッド1には直接毛髪が触れるため、ロッド1の加熱温度は、ロッド1の周辺の加熱温度よりも低く設定することが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態においては、温風ノズル31は先端のみを分岐し、セラミックヒータで温められた温風を分岐させるようにしたが、第一の送風孔23に接続する温風ノズルと、第二の送風孔24に接続する温風ノズルとを別々に設け、それぞれにセラミックヒータと空気供給ホースを内蔵するようにし、それぞれのセラミックヒータの加熱温度や空気の供給量等を制御するようにしてもよい。このようにすれば、より精度よくロッド1の加熱温度とロッド1周辺の加熱温度を制御することができる。
【0047】
[押圧部4]
本実施形態おけるパーマネントシステム100は、ロッド1に巻き付けられた毛髪をロッド1に対して押圧して、毛髪がロッド1に巻き付けられた状態を保持させる押圧部4を有している。押圧部4は、円筒形状を有しており、耐熱性の高い樹脂やゴム、シリコーン樹脂などにより形成することができる。押圧部4の一端には、押圧部4のロッド1に対する押圧を加えたり解除したりする操作を行うための操作棒5が設けられている。操作棒5は、L字形状を有しており、アルミニウムやスチールなどの金属や、耐熱性を有する硬質の合成樹脂などにより形成することができる。なお、操作棒5の押圧部4側とは反対側の端部は、操作しやすいように折り返された形状となっている。
【0048】
操作棒5は、囲い部2に形成された挿通孔25に挿通されるとともに、グリップ部32に板バネなど弾性体を介して保持されている。操作棒5は、弾性体の弾性力でグリップ部32から離れる方向へ付勢された状態で、取り付けられており、このとき押圧部4は、ロッド1を押圧した状態となっている。そして、操作棒5を弾性体の弾性力に抗してグリップ部32側へ押下することにより、ロッド1に対する押圧部4の押圧が解除されて、ロッド1と押圧部4との間に空隙ができ、操作棒5のグリップ部32側への押下を解除することにより、押圧部4が元の状態へ戻るようになっている。
【0049】
なお、本実施の形態においては、押圧部4は円筒形状としたが、ロッド1の周面に沿うような湾曲面を有する板状形状としてもよい。また、本実施の形態においては、押圧部4は、ロッド1の一側方に1つ設けるようにしたが、複数設けてもよい。また、本実施の形態においては、押圧部4を備えるようにしたが、必ずしも備えなくてもよく、この場合は、シングルピンやダブルピンなどで、毛髪が巻き付けられたロッド1の上端部の内側と外側から挟持させることにより、毛髪がロッド1に巻き付けられた状態を保持させてもよい。
【0050】
[上蓋7]
本実施形態おけるパーマネントシステム100は、
図3に示すように、囲い部2の開口上面を覆うための上蓋7を有することが好ましい。上蓋7は、筒状にした耐熱性の高い樹脂シートの一端側を閉じて形成されており、開口部には、上蓋7を囲い部2に対して固定するための、バネばさみ71からなる固定手段が設けられている。
【0051】
上蓋7は、上述のような構成に限らず、耐熱性の高い硬質樹脂を、一端が閉塞された円筒形状や多角筒体、あるいはドーム形状に成形したものであってもよい。この場合、囲い部2の所定の位置に溝を設け、この溝に係止可能な係止片を上蓋7の所定の位置に設けるようにしてもよい。これにより、上蓋7を囲い部2に固定することができる。
【0052】
上蓋7を設けなくても、ロッド1の周辺の加熱温度を高めたり温風の流量を大きくしたりすることにより、短時間で毛髪を乾燥させることができるが、より効率よく毛髪を乾燥させるためには、上蓋7を使用することが好ましい。
【0053】
[頭部冷却器8]
また、本実施形態おけるパーマネントシステム100は、
図4に示すように、施術対象者の頭部H(
図5参照)を冷却する頭部冷却器8を有することが好ましい。頭部冷却器8は、シート状の方形状のシート形状部81と、冷却風を発生させ、該冷却風をシート形状部81へ送るための冷却風発生機(図示しない)と、冷却風発生機からの冷却風を送るための連結管87とを有している。なお、本頭部冷却器8は、本明細書に記載のパーマネントシステム100のみならず、ホットパーマにおいて毛束hごとに毛髪をロッド1に巻き付けて加熱乾燥させる場合であって、施術対象者の頭皮を熱から守る必要がある場合にも、使用することができる。
【0054】
本実施形態においては、シート形状部81は、耐熱性が高い樹脂からなる2枚の耐熱シート82の間に耐熱性が高い樹脂からなる細径の円筒状の細管83が複数挟持されてなる。耐熱シート82および細管83は可撓性を有することが好ましい。これにより、シート形状部81を施術対象者の頭部Hに沿って配置させることができ、施術対象者の頭部Hを効率よく冷却することができる。
【0055】
シート形状部81は、一辺と該一辺に対向する辺の中央部に形成された連結管87の取り付け口の部分を除いて、2枚の耐熱シート82の端部が互いに接着されており、密封されている。シート形状部81の中央部には、ロッド1に巻き付ける毛髪の毛束hを挿通するための毛束挿通孔84が形成されている。また、シート形状部81には、上記一辺、すなわち、連結管87の取り付け口が設けられた辺と対向する辺の中央部から毛束挿通孔84にわたってスリット85が形成されている。スリット85は、温風が直接頭部Hに当たる部分をできるだけ少なくするために、幅が狭い方が好ましい。毛束挿通孔84およびスリット85の部分の2枚の耐熱シート82の端部も、互いに接着されていることが好ましい。
【0056】
細管83は、シート形状部81のスリット85が設けられた側の端部近傍から連結管87の取り付け口側の端部からやや離れた位置までの領域にわたって、スリット85と平行に配置されている。連結管87の取り付け口側の端部近傍には細管83が配置されないことにより、連結管87の取り付け口から流入した冷却風が、シート形状部81の幅方向すなわち送風方向と直行する方向に均一に行き渡るようにするための冷却風拡散部86が形成されている。
【0057】
なお、本実施の形態においては、シート形状部81には、2枚の耐熱シート82を使用したが、3枚以上の耐熱シート82を使用し、各耐熱シート82間に細管83を配置してもよい。また、細管83は円筒状に限られず、多角筒状であってもよい。
【0058】
冷却風発生機としては、コンプレッサ、熱交換器およびファンモータを有し、コンプレッサおよびファンモータの駆動により熱交換器で冷却した空気を送風する冷却風発生機を使用することができる。また、必ずしも空気を積極的に冷却する必要はなく、清涼感が得られる程度の流量で空気を送風できるものを冷却風発生機として使用してもよく、例えば、公知のヘアドライヤーの冷風運転を用いることもできる。また、連結管87をコントローラ内のエアポンプの吸気口に接続し、エアポンプから空気供給ホースに空気を供給する際の吸気により、シート形状部81内の細管83の連結管87とは反対側の端部から大気を吸い込むことで、細管83内に空気を流通させ、頭部Hを冷却するようにしてもよい。
【0059】
[下蓋9]
本実施形態おけるパーマネントシステム100は、
図7に示すように、囲い部2の開口下面を覆うための下蓋9を有することが好ましい。下蓋9は、筒状にした耐熱性の高い樹脂シートからなり、筒状の樹脂シートの第一の開口部は、下蓋9を囲い部2に取り付けるための取付口とされており、取付口には、下蓋9を囲い部2に対して固定するための、バネばさみ91からなる固定手段が設けられている。筒状の樹脂シートの第二の開口部の内側には挟持部92とコイルばね(図示しない)とつまみ部93とからなるクリップ94が設けられ、クリップ94の挟持部92が閉じられた状態では、樹脂シートの第二の開口部が閉じられた状態になるようになっており、これにより、ロッド1に巻き付ける毛髪の毛束hを挿通するための毛束挿通口が形成されている。すなわち、クリップ94のつまみ部93をコイルばねの弾性力に抗して押すことにより挟持部92が開き、これに伴って樹脂シートの第二の開口部が開き、開いた第二の開口部からロッド1に巻き付ける毛束hを引き入れることができるようになっている。
【0060】
[変形例]
本実施形態においては、囲い部2の筒状体21は一重構造としたが、囲い部2の筒状体21を二重構造とし、内側の筒状体の周面全域に複数の通風孔を設け、外側の筒状体のみに温風発生機3からの温風を囲い部2の内部に入れるための第一の送風孔23を設け、温風発生機3からの温風を外側の筒状体と内側の筒状体との間に送るようにしてもよい。これにより、外側の筒状体と内側の筒状体との間に送られた温風が、内側の筒状体の周面全域の通風孔から内側の筒状体内へ入るため、ロッド1に巻き付けられた毛髪により均一に温風を当てることができる。
【0061】
本実施形態においては、ロッド1は中空円筒形状としたが、ロッド1の側周面に複数の通風孔を設けるとともにロッド1の先端を閉塞面としてもよい。これにより、ロッド1に巻かれた状態の毛髪に対して、温風を内側からも外側からも当てることができるため、毛髪をより効率よく乾燥させることができる。また、ロッド1に巻かれた状態の毛髪の内側も温風を当てるので、加熱されたロッド1自体の熱で乾燥させる必要がないため、熱伝導率がそれほど高くない材質で形成することもできる。
【0062】
パーマネントシステム100は、蒸気発生装置やミスト発生装置をさらに備え、囲い部2内および/またはロッド1へ蒸気やミストを供給するようにしてもよい。さらに、囲い部2内に湿度センサを設け、囲い部2内の湿度に応じて上記やミストを供給するように蒸気発生装置やミスト発生装置を制御してもよい。また、ロッド1や囲い部2内を加熱して所定の時間が経過し、湿度が0〜5%以下となったときに、毛髪の乾燥を報知するブザーや点灯ライトを備えるようにしてもよく、さらに温風の供給を自動的に停止させるようにしてもよい。また、湿度センサを湿度計とし、目視で湿度を確認できるようにすることも好ましい。
【0063】
また、本実施形態においては、ロッド1内へ温風を送ることによりロッド1を加熱するようにしたが、ロッド1内にヒーターを設け、ヒーターに電流を流すことにより、ロッド1を加熱するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、温風発生機3として、温風ノズル31とグリップ部32と空気供給ホースおよび制御線が内挿されたコード33とコントローラとを有する温風発生機3を用い、温風ノズル31内のセラミックヒータでコントローラから供給された空気を加熱するようにしたが、コントローラで予め加熱された温風を空気供給ホース、グリップ部32および温風ノズル31を介して囲い部2内へ送るようにしてもよい。この場合、温風ノズル31内にはセラミックヒータを設ける必要はなく、通電線も必要ない。また、この場合、コントローラに換えて、公知のヘアドライヤーを用いることができ、ヘアドライヤーの吹き出し口を空気供給ホースに接続し、ヘアドライヤーの温風運転により温風を供給するとよい。さらなる変形例としては、グリップ内に、モーターやファン、ヒーターといった公知のヘアドライヤーの構成を備えるようにしてもよい。
【0065】
[使用方法]
次に、本実施形態によるパーマネントシステム100の使用方法について説明する。まず、施術対象者の頭部Hをシャンプーで洗浄した後、第1剤を塗布し、10〜20分放置して第1剤の毛髪への浸透を図り、毛髪内部の水素結合、イオン結合、シスチン結合を切ることでCMC(Cell membrane complex:細胞膜複合体)を柔らかいゴム状態にし、コルテックスが動ける環境を作った後、毛髪に塗布された第1剤を丹念に洗う。
【0066】
その後、
図5(A)に示すように、ロッド1に巻き付ける毛束hを取り、頭部冷却器8のスリット85に沿って毛束hを毛束挿通孔84に導くように、頭部冷却器8を移動させ、毛束hを頭部冷却器8の毛束挿通孔84に挿通させる。
【0067】
次に、
図5(B)に示すように、囲い部2の下方から上方へ毛束hを引き入れる。そして、押圧部4の操作棒5をグリップ部32側へ押下することにより、押圧部4のロッド1に対する押圧を解除し、ロッド1と押圧部4との間に空隙を作る。そして、毛髪をロッド1の周囲に、ロッド1の下方から上方へ向けて巻き付けていく。
【0068】
このとき、
図6に示すような毛束把持具Gを用いて、毛束hをロッド1に巻き付けると、毛髪に均一にテンションがかかり、毛髪をロッド1に上手く巻きつけることができる。毛束把持具Gは、
図6に示すように、把持部g1と把持部g1の先端に突出形成された棒状部g2とを有し、棒状部g2の先端には目玉クリップg3が設けられている。目玉クリップg3の挟持部g4には、連結部g5を介してブラシg6がそれぞれ設けられている。これにより、毛束把持具Gは、
図6(A)に示すように、目玉クリップg3のつまみを押すことにより、2つのブラシg6間が開き、
図6(B)に示すように、この間に毛髪を配置して目玉クリップg3のつまみを放せば、ブラシg6間に毛髪が挟持される。その後、把持部g1を操作して、ブラシg6を滑らせるように毛髪の先端方向へ移動させながら、ロッド1に毛髪を巻き付ければ、毛髪がきれいに整えられながらロッド1に巻き付けられる。なお、本例では、目玉クリップg3を用いてブラシg6間に毛髪を挟持させるようにしたが、これに限らず、手元で操作することによりブラシg6間の開閉を可能とする機構を用いてもよい。このような機構としては、洋鋏のように2枚の細長い金属板が支点を中心軸として重なり合う構造を用いることができ、2枚の金属板の一端部にそれぞれブラシを設け、他端部には操作者の指を掛けるためのリング形状部を形成するとよい。
【0069】
毛髪をロッド1に巻き付け終えたら、
図5(C)に示すように、操作棒5のグリップ部32側への押下を解除することにより、押圧部4をロッド1に対して押圧させて、毛髪がロッド1に巻き付けられた状態を保持させる。そして、上蓋7のバネばさみ71をつまんで開口部を拡張させ、上蓋7で囲い部2の開口上面を覆うようにして配置し、上蓋7のバネばさみ71を囲い部2の上縁部で固定する。
【0070】
この状態で、温風発生機3のコントローラのヒーター出力切換器や空気流量調整器を操作することにより、所望の流量の空気をエアポンプから排出させ、空気供給ホースを介して温風ノズル31へ供給させる。空気は温風ノズル31内のセラミックヒータで所望の温度に温められ温風となって、第一の送風孔23から囲い部2内に供給され、第二の送風孔24からロッド1内へ供給される。これにより、ロッド1が加熱されるとともに、ロッド1の周辺も加熱されるため、ロッド1に巻き付けられた毛髪の内側すなわちロッド1に近い側と、ロッド1に巻き付けられた毛髪の外側すなわちロッド1から離れた側との両側から、毛髪が温められ乾燥される。
【0071】
コントローラでの温度設定は、ロッド1の加熱温度が、施術対象者の毛髪の質に応じて、55℃以上300℃以下となるように設定することが好ましく、ロッド1の周辺の加熱温度すなわち囲い部2内の温度が61℃以上300℃以下となるように設定することが好ましい。また、加熱時間は、3秒〜180秒であることが好ましい。空気の供給量は、ロッド1の周辺への温風の流量が0.1m
3/min以上1.4m
3/min以下となるように設定することが好ましい。この際、より毛髪の痛みを低減し、再現性の高い、艶のある美しいウエーブを形成するには、必要最小限加温で毛髪を乾燥させることが肝要であり、髪質により温度を低く設定せざるを得ないときは、温風の流量を上げて所定の時間内に毛髪が乾燥するように設定するとよい。さらに、より早く毛髪を加熱するため、あるいは、コルテックス内部のSS結合の切断、タンパク質移動、タンパク質変性を固定するためには、加熱前または加熱初期に毛髪が必要最低限の水分量を含んで濡れている状態から乾燥させる必要があり、必要に応じて蒸気やミストを供給するとよい。
【0072】
上述のようにして加熱乾燥させることにより、ロッド1に巻き付けることにより形成されたウェーブが付与された状態で、毛髪のタンパク質が熱により変性して固まる。このとき、毛髪が巻き付けられたロッド1の内側と外側の両方から加熱され、毛髪が短時間で均一に加熱されるため、毛髪を痛めることなく、均一で良好なウェーブが付与される。
【0073】
なお、髪質などにより温風の温度を高くできる場合や、温風の流量を高くできる場合等、囲い部2の開口上面が開放されていても、所定の時間内に毛髪を十分に乾燥させることができれば、上蓋7を用いる必要はない。
【0074】
ロッド1およびロッド1の周辺が加熱されているとき、頭部冷却器8の冷却風発生機で冷却風を発生させ、連結管87を介してシート形状部81内の細管83へ供給する。冷却風は、細管83の連結管87側の端部から他方の端部へ流通し、シート形状部81の連結管87とは反対側の端部から排出されるため、細管83には常に新しい冷却風が流通しており、これにより頭部冷却器8近傍の頭部Hが冷却される。その結果、囲い部2内に高温の温風が供給されていても、施術対象者が頭部Hに火傷をしたり、熱さで不快な思いをしたりすることを防止できる。
【0075】
毛髪が乾燥した後に、上蓋7のバネばさみ71をつまんで開口部を拡張させ、上蓋7を囲い部2から取外す。その後、毛髪を完全に乾燥させるため、あるいは、コルテックス内部のSS結合の切断、タンパク質移動、タンパク質変性を必要以上に進ませないために、ヘアドライヤーの冷風運転などを用いて、ロッド1に巻き付けられて毛髪を冷却する。なお、温風発生機3は、セラミックヒータを加熱せずに、エアポンプから空気を供給できるようにしてもよく、この場合、ヘアドライヤーを用いなくても、エアポンプから空気を供給することにより、ロッド1内および囲い部2内に冷却風が供給されて、毛髪が冷却される。また、上述の変形例のように、グリップ内にモーターやファン、ヒーターといった公知のヘアドライヤーの構成を備えるようにした場合、手元のスイッチでヒーターによる加熱を行わない冷風運転に切り替えられるようにしておけば、手元でスイッチを切り替えるのみでロッド1に巻き付けられて毛髪を冷却することができる。
【0076】
その後、操作棒5をグリップ部32側へ押下することにより、押圧部4のロッド1に対する押圧を解除し、グリップウ32を引き上げることにより毛髪をロッド1から外す。そして、頭部冷却器8を引き上げて毛髪を毛束挿通孔84から出すか、スリット85から出して、頭部冷却器8を外す。
【0077】
その後、次の毛束hについて、上記工程を繰り返して、所定範囲の毛髪すべてにウェーブを付与した後、第2剤を十分に塗布して5〜20分放置し、毛髪内部のシスチン結合などを再結合させることで、毛髪がウェーブされた状態で固定される。
【0078】
上述の使用方法の例では、毛髪を根元近傍までロッド1に巻き付ける場合について説明したが、
図7に示すように、毛髪が長い場合など、頭皮から離れた位置までしか毛髪をロッド1に巻き付けない場合は、頭部冷却器8を用いる必要はない。ただし、この場合は、
図7に示すように、下蓋9を用いることが好ましい。下蓋9は、第二の開口部の内側に設けられたクリップ94のつまみ部93を樹脂シートの上からつまんでクリップ94の挟持部92を開くことにより第二の開口部を開き、毛髪を下蓋9内へ引き入れ、つまみ部93を放すことによりクリップ94の挟持部92を閉じて第二の開口部を閉じる。そして、第一の開口部のバネばさみ91をつまんで第一の開口部を拡張させ、下蓋9で囲い部2の開口下面を覆うようにして配置し、下蓋9のバネばさみ91を囲い部2の下縁部で固定する。その後、毛髪を下蓋9側から囲い部2内へ引き入れ、上述の使用例と同様にして、ロッド1に巻き付け上蓋7をし、温風を送って、ロッド1およびロッド1の周辺を加熱する。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、本発明によるパーマネントシステムの他の実施の形態について、
図8を参照して説明する。なお、
図8において上記第1の実施形態と同じ符号を付した部材については、第1の実施形態と同様に構成することができる。
【0080】
本実施形態に係るパーマネントシステム200は、
図8に示すように、囲い部202が、上面および底面が開口され、平面視において丸みを帯びた台形形状の筒状体を上面から底面に向かって切り分けたような第一の半筒状部212と第二の半筒状部222とを有している。第一の半筒状部212と第二の半筒状部222とは、それぞれの一端同士がヒンジ203を介して接続されており、第一の半筒状部212と第二の半筒状部222の他端側が開閉自在となっている。
【0081】
第一の送風孔23、第二の送風孔24および挿通孔は、ヒンジ203の近傍を避けるため、第一の半筒状部212の中央部に設けられている。
【0082】
囲い部202の下縁部には、頭部冷却器280のシート形状部281が、囲い部の開口下面を塞ぐように、設けられている。シート形状部281は、囲い部202を閉じた状態の平面形状と同様の形状を有しており、囲い部202を開いたときに、第一の半筒状部212側と第二の半筒状部222側とに分かれるように、2つのパーツにより形成されている。シート形状部281には、囲い部を閉じた状態において、シート形状部281の中央部に毛束挿通孔が形成されるように、切り欠き部284が設けられている。シート形状部201を構成する耐熱シート82間には、細管83がシート形状部281の開閉ラインと平行に、耐熱シート82の一端部近傍から他端部近傍にわたって設けられている。ヒンジ203の近傍両側の耐熱シート82間には、2つに分岐された連結管287の先端部がそれぞれ接続されている。連結管287が接続されていない側の耐熱シート82の縁部は互いに接着されておらず、細管83の一端側から送風された冷却風が他端側から排出されるようになっている。
【0083】
なお、上記の例では、細管83をシート形状部281の開閉ラインと平行に設けるようにしたが、開閉ラインと直行するように設けてもよい。この場合、囲い部202を閉じたときに、開閉ラインの両側で向かい合う細管83同士が1本につながり、冷却風が開閉ラインで漏れ出ることのないように、耐熱シート82および細管83をある程度剛性のある材料で形成することが好ましい。そして、この場合、先端が分岐していない連結管87を、細管83端側の耐熱シート82間中央部に設けることが好ましく、第二の送風孔24の下方の耐熱シート82間に設けることが好ましい。
【0084】
なお、本実施形態においては、シート形状部281の形状は、囲い部202を閉じた状態の平面形状と同様の形状としたが、囲い部202の外側にはみ出すように大きくしてもよい。特に、連結管87(287)を取り付ける側を囲い部の外側にはみ出すようにすれば、第一の実施形態におけるシート形状部81と同様に、冷却風拡散部86を設けることができる。
【0085】
本実施形態に係るパーマネントシステム200によれば、囲い部202が開閉自在とされているため、囲い部202を開くことにより、毛束hを囲い部202内へ引き入れる作業が容易になる。また、頭部冷却器280のシート形状部281が囲い部202に設けられており、囲い部202と連動してシート形状部281を開閉できるため、頭部冷却器280の頭部Hへの装着と毛束hの囲い部202内への引き込みを同時に行うことができ、作業を効率化できる。さらに、囲い部202の開口下面がシート形状部281で塞がれているため、
図7のように、下蓋9を用いる必要がない。
【0086】
(第3の実施形態)
次に、本発明によるパーマネントシステムの他の実施の形態について、
図9を参照して説明する。なお、
図9において上記第1の実施形態と同じ符号を付した部材については、第1の実施形態と同様に構成することができる。
【0087】
本実施形態に係るパーマネントシステム300は、
図9に示すように、上蓋部370が、囲い部21の上縁部の一部に、ヒンジ303を介して、開閉自在に取り付けられている。上蓋370は、囲い部2の開口上面縁部と対応した形状の開口を有する有底筒形状である。本実施形態においては、上蓋370は、囲い部2と同様の材料で構成することが好ましい。
【0088】
(第4の実施形態)
次に、本発明によるパーマネントシステムの他の実施の形態について、
図10を参照して説明する。なお、
図10において上記第1の実施形態と同じ符号を付した部材については、第1の実施形態と同様に構成することができる。
【0089】
本実施形態に係るパーマネントシステム400は、
図10に示すように、囲い部420の筒状体421の側周面の一部に、毛束hを囲い部内420へ引き入れるための切り欠き部422が設けられている。切り欠き部422を設ける位置は、特に限定されるものではないが、グリップ部32と対向する位置に設けることが、操作性をよくする観点から好ましい。
【0090】
囲い部420の下縁部には、頭部冷却器480のシート形状部481が、囲い部420の開口下面を塞ぐように、設けられている。シート形状部481は、囲い部420の切り欠き部422がない状態の平面形状と同様の形状を有している。シート形状部481の中央部には毛束挿通孔84が設けられており、シート形状部481端部における囲い部420の切り欠き部に対応する位置中央部から毛束挿通孔84にわたって、スリット85が設けられている。細管83はスリット85と平行に配置されている。スリット85は、できるだけ幅が狭いほうが好ましい。ただ、スリット85の幅を狭くすると、毛束hを毛束挿通孔85へ引き入れにくくなるため、耐熱シート82および細管83は、可撓性の高い材料で構成することが好ましい。
【0091】
スリット85が設けられていない側の細管83の端部の耐熱シート82間中央部、すなわち第二の送風孔24の下方の耐熱シート82間には連結管87が取り付けられている。
【0092】
本実施の形態においては、ロッド1およびロッド1の周辺を加熱する際には、上蓋7で切り欠き部も覆うようにするとよい。
【0093】
(第5の実施形態)
次に、本発明によるパーマネントシステムの他の実施の形態について、
図11を参照して説明する。なお、
図11において上記第1,第4の実施形態と同じ符号を付した部材については、第1,第4の実施形態と同様に構成することができる。
【0094】
本実施形態に係るパーマネントシステム500は、
図11に示すように、連結管587がグリップ部内532を通って、グリップ部532の後端部から引き出され、空気供給ホースおよび制御線とともにコード533に内挿されている。連結管587は、コントローラ内のエアポンプと接続されており、エアポンプから連結管587へ清涼感が得られる程度の流量で空気を送風することにより、冷却風が細管83へ送られる。
【0095】
なお、連結管587をコントローラ内のエアポンプの吸気口に接続し、エアポンプから空気供給ホースに空気を供給する際の吸気により、シート形状部481内の細管83の連結管587とは反対側の端部から大気を吸い込むことで、細管内83に空気を流通させ、頭部Hを冷却するようにしてもよい。
【0096】
(頭部冷却器の変形例)
次に、本発明によるパーマネントシステムの頭部冷却器の変形例について、
図12を用いて説明する。本変形例においては、短い細管683が耐熱シート82間にランダムに配置されている。本変形例においては、耐熱シート82の外周縁を全て密封しないこともできるし、連結管87の取り付け部分を除いて全て密封することもできる。全て密封した場合は、毛束挿通孔84の周囲やスリット85部分を密封しないことにより、これらの部分から排気または吸気するようにするとよい。
【0097】
本発明によるパーマネントシステムは、上記実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の構成や変形例の構成を適宜組み合わせたものであってもよい。
【解決手段】毛髪を加熱可能なロッド1の周辺の、少なくとも一部を囲うように形成された囲い部2と、温風を発生させ、囲い部2内に送るための温風発生機3とを有し、ロッド1により毛髪を加熱するとともに、温風発生機3から囲い部2の内部に温風を送ることによりロッド1の周辺を加熱して、毛髪にウェーブを付与するパーマネントシステム100であって、施術対象者の頭部を冷却する頭部冷却器8を有し、頭部冷却器8は、シート形状部81を有しており、シート形状部81には、ロッド1に巻き付ける毛髪の毛束を挿通するための毛束挿通孔84と、シート形状部81の少なくとも一端から毛束挿通孔84にわたって形成され、毛束挿通孔84に毛束を引き入れるためのスリットと85が設けられている。