(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021168
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】走行台車
(51)【国際特許分類】
B23K 37/02 20060101AFI20161027BHJP
B23K 7/00 20060101ALI20161027BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
B23K37/02 E
B23K7/00 501C
B23K9/12 331A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-89052(P2012-89052)
(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公開番号】特開2013-215779(P2013-215779A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000185374
【氏名又は名称】小池酸素工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 智
(72)【発明者】
【氏名】出津野 清
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 良輝
(72)【発明者】
【氏名】皆原 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】小池 哲夫
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−085989(JP,A)
【文献】
特開2006−046360(JP,A)
【文献】
実開昭54−009276(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 37/02
B23K 7/00
B23K 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガイドローラを第1の板から略垂直に起立した第2の板に圧接させつつ第1の板上を走行する走行台車であって、
走行方向の前後に設けられ先端にガイドローラを配置した複数の支持アームを有し、
少なくとも1つの支持アームの先端に配置されたガイドローラは取付ブラケットに設けた回転軸に回転可能に取り付けられており、該取付ブラケットは支持アームの先端に配置されガイドローラの回転軸と略平行に設けた回動軸に回動可能に取り付けられると共に、支持アーム又は取付ブラケットに設けた固定ピン及び取付ブラケット又は支持アームに設けた前記固定ピンを嵌合する穴を介して回動不能に構成されていることを特徴とする走行台車。
【請求項2】
前記支持アームの先端に支持ブラケットが配置され、該支持ブラケットに回動軸を介して取付ブラケットが回動可能に支持され、且つ該回動軸の中心から所定距離離隔した位置に固定ピン又は取付ブラケットに設けた固定ピンを嵌合する複数の穴が設けられており、
前記取付ブラケットには前記回動軸の中心から所定距離離隔した位置に、前記支持ブラケットに設けた固定ピンを嵌合する複数の穴又は固定ピンが設けられており、
前記支持ブラケット又は取付ブラケットに設けた固定ピンを、取付ブラケット又は支持ブラケットに設けた複数の穴から選択された穴に嵌合して取付ブラケットを回動不能とし、前記穴に対する固定ピンの嵌合を解除して取付ブラケットを回動可能とするように構成したことを特徴とする請求項1に記載した走行台車。
【請求項3】
走行方向の前後に設けた支持アームの間に溶接トーチ又は切断トーチを搭載したことを特徴とする請求項1又は2に記載した走行台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の板から略垂直に起立した第2の板に対してガイドローラを圧接させることで、該第2の板に案内されて走行し得るように構成した走行台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板やステンレス鋼板等からなる被加工材と、プラズマ溶接トーチや炭酸ガス溶接トーチ、或いはプラズマ切断トーチやガス切断トーチ等のトーチを相対的に移動させる過程で、トーチを稼動させて溶接或いは切断する加工が行われている。この加工を、溶接トーチ又は切断トーチを搭載した走行台車を利用して行うことがある。即ち、走行台車を予め設定された溶接線又は切断線に沿って走行させつつ、搭載した溶接トーチ又は切断トーチを稼働させることで、目的の加工を行うことが可能である。
【0003】
走行台車を目的の溶接線又は切断線に沿って走行させる場合、目的の溶接線又は切断線に沿って配置したレールを用い、このレールに走行台車の車輪を載置して走行させる方式と、目的の溶接線又は切断線に沿って起立させたガイド板を用い、このガイド板に走行台車のガイドローラを圧接させて走行させる方式がある。特に、ガイドローラを利用する方式は、走行台車の前後の端部に先端にガイドローラを取り付けた支持アームを略水平に突出させて配置し、各支持アームの出寸法を調整して各ガイドローラのローラトップを結ぶ線を走行台車の車輪の延長線に対し下流側で交叉させるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
上記の如く構成された走行台車では、前後に設けたガイドローラを起立させたガイド板に接触させたとき、車輪の延長線がガイド板に対して交叉することとなる。このため、この状態で走行台車を走行させると、走行台車の走行に伴う力の一部によって各ガイドローラがガイド板に圧接して回転し、この結果、走行台車はガイド板に沿った方向に走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3400290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目的の溶接線又は切断線に沿って立設したガイド板を基準として走行させるようにした走行台車の場合、常にガイドローラをガイド板に圧接させておくことが必要であり、各ガイドローラのローラトップを結ぶ線が走行台車の車輪の延長線に対し走行方向下流側で交叉することが必須である。例えば、走行台車の前側に設けた支持アームの出寸法を後側に設けた支持アームの出寸法よりも小さくした場合、この走行台車の走行方向は例えば前進方向のみに規定されてしまう。このため、例えば後進方向に走行させる際には、各支持アームの走行台車からの出寸法を設定し直すことが必要となる。
【0007】
支持アームの走行台車からの出寸法を調整する場合、該支持アームを走行台車に固定している複数のボルトを緩め、その後、支持アームを走行台車に対して出入りさせて目的の寸法に設定した後、緩めたボルトを再度締結することが行われる。支持アームは2本有しているため、この調整作業が繁雑で容易ではないという問題がある。特に、各ガイドローラのローラトップを結ぶ線と車輪の延長線との交叉角度が変化すると、ガイド板に対するガイドローラの圧接力が変化することとなる。このため、前記交叉角度を大きく変えることは好ましくはなく、この場合、支持アームの調整作業がより煩雑になる虞がある。
【0008】
本発明の目的は、支持アームの走行台車からの出寸法を調整することなく、ガイド板に圧接させる各ガイドローラの出寸法を容易に変更できるようにした走行台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る走行台車は、複数のガイドローラを第1の板から略垂直に起立した第2の板に圧接させつつ第1の板上を走行する走行台車であって、走行方向の前後に設けられ先端にガイドローラを配置した複数の支持アームを有し、少なくとも1つの支持アームの先端に配置されたガイドローラは取付ブラケットに
設けた回転軸に回転可能に取り付けられており、該取付ブラケットは
支持アームの先端に配置されガイドローラの回転軸と略平行に設けた回動軸に回動可能に取り付けられると共に、
支持アーム又は取付ブラケットに設けた固定ピン及び取付ブラケット又は
支持アームに設けた前記固定ピンを嵌合する穴を介して回動不能に構成したものである。
【0010】
上記走行台車に於いて、前記
支持アームの先端に支持ブラケットが配置され、該支持ブラケットに回動軸を介して取付ブラケットが回動可能に支持され、且つ該回動軸の中心から所定距離離隔した位置に固定ピン又は取付ブラケットに設けた固定ピンを嵌合する複数の穴が設けられており、前記取付ブラケットには前記回動軸の中心から所定距離離隔した位置に、前記支持ブラケットに設けた固定ピンを嵌合する複数の穴又は固定ピンが設けられており、前記支持ブラケット又は取付ブラケットに設けた固定ピンを、取付ブラケット又は支持ブラケットに設けた複数の穴から選択された穴に嵌合して取付ブラケットを回動不能とし、前記穴に対する固定ピンの嵌合を解除して取付ブラケットを回動可能とするように構成したことが好ましい。
【0011】
上記何れかの走行台車に於いて、走行方向の前後に設けた支持アームの間に溶接トーチ又は切断トーチを搭載したことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る走行台車では、前後に設けたガイドローラは取付ブラケットに回転可能に取り付けられており、この取付ブラケットの少なくとも1つが、回動軸を介して支持アームの先端で回動させてガイドローラのアームに対する位置を調整し、固定ピンを利用して固定し得るように構成されている。そして、取付ブラケットを支持アームに固定することで、ガイドローラのアーム先端からの出寸法、即ち、ガイドローラの走行台車からの出寸法を設定することができる。従って、支持アームそのものの走行台車からの出寸法を調整する必要がなく、取付ブラケットを回動させると共に固定するという簡単な操作でガイドローラの走行台車からの出寸法を設定することができる。
【0013】
特に、アームの先端に支持ブラケットを配置すると共に該支持ブラケットに回動軸を介して取付ブラケットを回動可能に支持し、支持ブラケット又は取付ブラケットに、回動軸の中心から所定距離離隔した位置に固定ピン又は固定ピンを嵌合する複数の穴が設けられている。このため、ガイドローラを取り付けた取付ブラケットを回動させてガイドローラの走行台車からの距離を選択すると共に対応する穴に固定ピンを挿入して固定することで、容易にガイドローラの走行台車からの出寸法を設定することができる。
【0014】
また、走行台車の前後に設けた支持アームの間に溶接トーチ又は切断トーチを搭載したので、走行台車を溶接装置又は切断装置として構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施例に係る走行台車の全体構成を説明する三面図である。
【
図2】支持アームとガイドローラの構成を説明する図である。
【
図3】第2実施例に係る走行台車の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る走行台車の第1実施例について図を用いて説明する。本実施例に係る走行台車Aは溶接トーチBを搭載し、第1の板となる横板Cと該横板Cから略垂直に起立した第2の板となる立て板Dとの交叉部を隅肉溶接する溶接装置として構成されている。
【0017】
走行台車Aの走行方向の前後には夫々支持アームEが配置されており、
図1に示すように、支持アームEを構成する各ガイドローラ11のローラトップを結ぶ線11a(立て板Dの表面)と、走行台車Aを、ガイドローラ11を立て板Dに圧接させることなく自由な状態で走行させたときの走行予定線(以下「走行基準線」という)1aが走行方向下流側で交叉している。線11aと走行基準線1aとのなす角αは限定するものではなく、走行台車Aの走行に伴って生じるガイドローラ11の立て板Dに対する圧接力や、溶接トーチBの溶接線に対する角度(前進角又は後退角)等の条件に応じて適宜設定することが好ましい。
【0018】
本実施例では、線11aと走行基準線1aとのなす角αは4度に設定されており、溶接トーチBは走行台車Aの走行基準線1aに対し直交して配置されている。従って、溶接トーチBは後退角4度に設定されている。
【0019】
第2の板となる立て板Dは、目的の溶接線又は切断線に平行に沿った位置に配置され、走行台車Aの走行方向を案内するためにガイドローラを圧接させることが可能であれば良く、横板Cに起立して如何なる手段で固定されているか、を問うものではない。例えば、目的の作業が2枚の板を突き合わせ溶接するか、或いは1枚の板を切断するような場合、この板が横板Cとしての機能を有しており、突き合わせ溶接部或いは切断部に平行に起立させて点溶接して固定し、或いは磁石によって固定することで立て板Dとすることが可能である。
【0020】
本実施例のように、目的の加工が2枚の板を略垂直に配置して交叉部分を溶接する隅肉溶接であるような場合、横方向に配置された板を横板Cとし、該横板Cから略垂直に起立した板を立て板Dとして機能させている。
【0021】
走行台車Aは、内部に図示しない駆動モータや磁石を設けたケーシング1を有しており、該ケーシング1の下側に複数の車輪2が配置されている。ケーシング1の上面には電源を接続するコネクタ3、速度を設定するためのダイヤル4、押しボタンスイッチ5等の操作機器類が配置されている。また、ケーシング1の前後の端面には夫々接触センサー6が配置されており、走行台車Aが走行限度に設けたドッグ等に到達したときに信号を発して走行台車Aを停止させることが可能なように構成されている。
【0022】
ケーシング1の上部にはスタンド7が設けられており、該スタンド7に溶接トーチBを保持するトーチホルダー8が取り付けられている。トーチホルダー8は、スタンド7に設けた摘み7a、7bによって上下方向の位置、及び立て板Dに対し離隔又は接近する方向(出入り方向)の位置を調整し得るように構成されている。従って、スタンド7の摘み7a、7bを操作することによって、トーチホルダー8に保持した溶接トーチBを上下方向及びケーシング1の側面からの出入り方向に調整して所望の位置に設定することが可能である。
【0023】
本実施例に於いて、スタンド7は、溶接トーチBを走行台車Aの走行方向下流側(本実施例では矢印a方向、以下前進方向とも言う)に向かって左側(ケーシング1の左側)に配置するように構成されている。また、9はハンドルであり、作業員が走行台車Aを移動させる際に利用するものである。
【0024】
ケーシング1の走行方向の前後には夫々支持アームEが配置されている。支持アームEは、一方の端部10aがケーシング1に固定されたアーム10と、アーム10の他方の端部10b側に配置されたガイドローラ11と、を有して構成されている。
【0025】
アーム10は略L字型に形成されており、一方側の端部10aがボルト12によってケーシング1に固定されることで、他方の端部10bがケーシング1の左側に略水平に突出している。アーム10の端部10aをケーシング1に固定したとき、夫々の端部10bを結ぶ線は走行台車Aの走行基準線1aと平行になるように構成されている。アーム10の端部10bには支持ブラケット13が配置されている。
【0026】
支持ブラケット13は、アーム10に対し互いに対向するようにケーシング1に向けて配置されている。アーム10に対する支持ブラケット13のこのような配置により、走行台車Aの前後に設けた支持アームEは互いに勝手違いに構成されている。このため、一方(
図1の矢印a側)の支持アームEの構成について説明し、他方(
図1の矢印b側)の支持アームEについての説明は省略する。
【0027】
支持ブラケット13には回動軸14を介して取付ブラケット15が取り付けられており、該取付ブラケット15に設けた回転軸16にガイドローラ11が回転可能に取り付けられている。支持ブラケット13には、回動軸14を中心とし、予め設定された寸法を有する円周上に穴13a、13bが形成されている。
【0028】
取付ブラケット15は回動軸14を介して支持ブラケット13に回動可能に支持されており、回動軸4の中心から予め設定された寸法(支持ブラケット13に於ける回動軸14から穴13a、13bまでの距離)離隔した位置に固定ピン17が配置されている。この取付ブラケット15には厚みを持った肉厚部15aと、肉厚部15aよりも薄い肉薄部15bが形成されており、肉厚部15aに回動軸14が配置されると共に固定ピン17が配置され、肉薄部15bにガイドローラ11を取り付けた回転軸16が配置されている。
【0029】
固定ピン17は支持ブラケット13に形成した穴13a、13bに嵌合して取付ブラケット15を回動不能とするものである。この固定ピン17には、支持ブラケット13の穴13a、13bに嵌合する突起17aと、フランジ17bと、ボス17cと、レバー17dと、が形成されている。そして、固定ピン17は取付ブラケット15の肉厚部15aに形成した凹部15cに収容され、該凹部15cに収容されたバネ18によって常に突起17aが突出する方向に付勢されている。また、凹部15cの側面にはレバー17dを受け入れる溝(図示せず)が形成されている。
【0030】
取付ブラケット15を支持ブラケット13に対して回動させて、固定ピン17の突起17aが穴13a又は13bに対向したとき、バネ18に付勢されて対向した穴13a又は13bに嵌合し、これにより、取付ブラケット15は支持ブラケット13に対し回動不能となる。また、レバー17dをバネ18の付勢に抗して凹部15cの側面に形成した図示しない溝に沿って移動させて突起17aを凹部15cに引き込むことで、取付ブラケット15は支持ブラケット13に対して回動可能となる。
【0031】
従って、取付ブラケット15の固定ピン17を支持ブラケット13に形成された穴13a、13bの何れに嵌合させるかによって、ガイドローラ11の支持ブラケット13からの出寸法(ガイドローラ11のケーシング1からの出寸法)が変化することになる。即ち、固定ピン17の操作と、取付ブラケット15を支持ブラケット13に対して回動させる操作と、を行うことによってガイドローラ11のケーシング1からの出入りを調整することが可能となり、簡単な操作で確実に出入り寸法の設定を行うことが可能となる。
【0032】
上記構成に於いて、支持ブラケット13に於ける回動軸14の中心から穴13a、13bまでの距離及び穴13a、13b間の距離、取付ブラケット15に於ける回動軸14から回転軸16までの距離及び方向、等は、予め設定された
図1に示す線11aと走行基準線1aのなす角αや、ガイドローラ11間の距離、支持アームEの数、等の条件に対応して設定されている。
【0033】
本実施例では、支持アームEは走行台車Aの走行方向前後に夫々配置されており、前述したように、線11aと走行基準線1aのなす角αは4度に設定されている。このため、例えば、矢印a側の支持アームEに於いて穴13aを選択し、矢印b側の支持アームEに於いて穴13bを選択して夫々固定ピン17を嵌合して回動不能とした状態で、各ガイドローラ11を立て板Dに接触させることで、走行台車Aの走行基準線1aは立て板Dに対し、矢印a方向に4度で交叉する。また、矢印a側の支持アームEに於いて穴13bを選択し、矢印b側の支持アームEに於いて穴13aを選択し、この状態で、各ガイドローラ11を立て板Dに接触させると、走行台車Aの走行基準線1aは立て板Dに対し、矢印b方向に4度で交叉する。
【0034】
即ち、支持アームEの支持ブラケット13に形成した穴13a、13bの間隔は、線11aに対して走行台車Aの走行基準線1aが交叉する角度の差が4度となるような寸法を有している。
【0035】
上記の如く、本実施例に係る走行台車Aでは、走行台車Aを矢印a方向に走行させて目的の溶接線に対して溶接した後、矢印b方向に走行させて新たな溶接線に対して溶接させる際に、簡単な操作で各ガイドローラ11のケーシング1からの出寸法を容易に調整することが可能である。
【0036】
次に、
図3により第2実施例に係る走行台車Aの構成について説明する。本実施例では、走行台車Aの矢印a側には前述の実施例に係る走行台車Aに配置した支持アームFが配置され、矢印b側には従来の支持アーム20が配置されている。
【0037】
支持アーム20は、一方の端部21aがケーシング1に固定されたアーム21と、該アーム21の他方の端部21bに回転可能に取り付けたガイドローラ11と、を有して構成されており、ガイドローラ11は、アーム21の端部21bに取り付けたブラケット22に配置された回転軸23に回転可能に取り付けられている。このため、アーム21の端部21aをボルトによってケーシング1に固定すると、ガイドローラ11のケーシング1からの出寸法は一義的に設定されることになる。
【0038】
本実施例に於いて、支持アームFの基本的な構成は支持アームEと同じであるが、支持ブラケット13に設けた穴13a、13bの間隔が支持アームEに於ける間隔よりも大きい寸法をもって形成されている。即ち、穴13a、13bの間隔は、線11aに対して走行基準線1aが交叉する角度の差が8度になるような寸法に設定されている。
【0039】
従って、前述の第1実施例では、走行台車Aの前後に設けた夫々の支持アームEの取付ブラケット15の支持ブラケット13に対する回動位置を調整することが必要であったのに対し、第2実施例では支持アームFの取付ブラケット15の支持ブラケット13に対する回動位置を調整することで良い。即ち、より簡単にガイドローラ11の出寸法を設定することが可能である。
【0040】
第1、第2実施例では、走行台車Aに溶接トーチBを搭載した溶接装置として構成した場合について説明したが、搭載するトーチは溶接トーチのみに限定するものではなく、ガス切断トーチを含む切断トーチを搭載して切断装置として構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る走行台車Aは、溶接装置又は切断装置として利用して有利である。
【符号の説明】
【0042】
A 走行台車
B 溶接トーチ
C 横板
D 立て板
E、F 支持アーム
1 ケーシング
1a 走行基準線
2 車輪
3 コネクタ
4 ダイヤル
5 押しボタンスイッチ
6 接触センサー
7 スタンド
7a、7b 摘み
8 トーチホルダー
9 ハンドル
10 アーム
10a、10b 端部
11 ガイドローラ
11a 線、ガイドローラのローラトップを結ぶ線
12 ボルト
13 支持ブラケット
13a、13b 穴
14 回動軸
15 取付ブラケット
15a 肉厚部
15b 肉薄部
15c 凹部
16 回転軸
17 固定ピン
17a 突起
17b フランジ
17c ボス
17d レバー
18 バネ
20 支持アーム
21 アーム
21a、21b 端部
22 ブラケット
23 回転軸