(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図参照しながら、この発明の位置検出装置およびその位置指示器の実施の形態として、3つの実施例について具体的に説明する。
【0023】
[第1実施例]
図1は本発明による第1実施例の位置指示器における位置指示部の構造を示した図である。
図1において、11はペン先に加わる圧力を伝達する芯で、プラスチック等の絶縁材により成型されている。12は芯11を介して加えられる筆圧によって容量が変化する可変容量コンデンサで、たとえば特開平04−96212号公報(
文献2)に開示したようなものを用いる。可変容量コンデンサ12は、上記
文献2に開示されたように芯11との結合部を備え、該結合部は芯11に加えられる筆圧に応じて芯11とともに僅かに移動するように構成されている。
【0024】
13および14は電極で、芯11に埋め込まれている。
図2は電極13、14が埋め込まれた芯11を切断したときの断面図である。15はプリント基板で、可変容量コンデンサ12の端子および電極13、14が接続されるとともに後述する回路部品が実装されている。以下、13をL電極、14をR電極と呼んで説明を行う。
【0025】
図3は本発明による第1実施例の位置指示器の回路構成図である。
図3において、
図1と同一のものは同一符号で示す。即ち、12は可変容量コンデンサ、13はL電極、14はR電極である。トランジスタTR1〜TR3は発振回路を構成し、コイルL1およびコンデンサC1、C2による共振周波数で発振する。コイルL2はコイルL1と結合しており、コイルL1に発生する交流電圧を昇圧することにより高い電圧の信号をL電極13およびR電極14に供給している。16はコイルL2に発生した信号(d)をL電極13またはR電極14のどちらか一方のみに供給するためのアナログスイッチである。
【0026】
17は所定のプログラムによって動作するマイクロプロセッサ、18は電池である。マイクロプロセッサ17の端子P1からの出力信号(b)はトランジスタTR4を介して前述した発振回路をオンまたはオフ状態に制御する。端子P2からの出力信号(a)はアナログスイッチ16に供給されている。本実施例では、端子P2からの出力信号(a)がロウレベルの時にはL電極13側を選択し、ハイレベルの時にはR電極14側を選択するようにしている。
【0027】
マイクロプロセッサ17は後述するように、端子P3を所定のプログラムに基づきハイレベル出力または入力状態とすることにより可変容量コンデンサ12を充放電して、芯11に加えられる筆圧値を求める。
【0028】
19は電池18の電圧を昇圧して高い電圧VPの電源を生成するDC/DCコンバータである。電圧VPは、アナログスイッチ16を動作させる電源として用いられ、コイルL2に発生する信号dの振幅よりも高い電圧とする必要がある。コンデンサC3は、コイルL2に発生する信号(d)が、ゼロ〜VPの範囲で振れるようにオフセット電圧を加えるためのものである。
【0029】
図4は、このように構成した第1実施例の位置指示器の動作を示した図で、
図3における信号a、b、c、dの変化の様子を示している。マイクロプロセッサ17は、
端子P2(信号a)をロウレベルとした状態で、
端子P1(信号b)が一定期間ハイレベルを維持するように制御する。これによってL電極13からは一定期間連続して信号(d)を放射する(
図4の、連続送信期間:L)。この連続送信期間中に、マイクロプロセッサ17は端子P3を制御して可変容量コンデンサ12に加えられた筆圧を求める。即ち、マイクロプロセッサ17は端子P3をハイレベル出力とすることにより可変容量コンデンサ12を充電する。
【0030】
次いで、端子P3を入力状態に切替える。このとき、可変容量コンデンサ12に蓄えられた電荷はこれと並列に接続した抵抗によって放電されるため、可変容量コンデンサ12の電圧(c)は徐々に低下する。端子P3を入力状態に切替えてから電圧cがしきい値以下に低下するまでの時間Tpを求める。この時間Tpが求める筆圧に相当するものであり、本実施例では筆圧を10ビットの値として求める。
【0031】
この連続送信期間(L)を終了すると、マイクロプロセッサ17は所定の周期(Td)で端子P1をハイまたはロウレベルに制御することによりASK(amplitude-shift keying)変調を行う。このとき初回は必ずハイレベルとする(
図4の、スタート信号:L)。これは、以降のデータ送出タイミングをタブレット側で正確に判定することができるようにするためである。
【0032】
このスタート信号(L)に続くTdの期間は、ここでは端子P1をロウレベルとする(
図4の、符号:L)。これは後述するように、端子P2(信号a)をハイレベルとした場合との区別をするためである。
【0033】
符号(L)に続いて、前述した動作により求めた10ビットの筆圧データを順次送信する。即ち、送信データが0のときは端子P1をロウレベルとして、送信データが1のときは端子P1をハイレベルとして制御する(
図4の、筆圧データ送信期間:L)。
図4では、送信する筆圧が「0101110101」の場合について示している。
【0034】
10ビットの筆圧データの送信を終了すると、マイクロプロセッサ17は端子P2(信号a)をハイレベルとしてアナログスイッチ16をR側に切替える。これによってR電極14から信号が送信されるようになる。このときも、前述したL電極による送信の場合と全く同様に端子P1およびP3を制御して、連続送信(R)、スタート信号(R)、符号(R)、筆圧データ送信(R)の処理を順次行う。このとき、符号(R)の際には端子P1をハイレベルとする。
【0035】
本実施例の位置指示器では、L電極のみを選択する第1のパターンと、R電極のみを選択する第2のパターンとを交互に切替ながら送信を行う。また、第1のパターンで選択した際にはスタート信号に続く「符号」情報を”0”とし、第2のパターンで選択した際にはスタート信号に続く「符号」情報を”1”としている。このような動作は、直前に行われた連続送信がL電極からのものか、R電極からのものかを、タブレット側で識別するためであり、本発明の特徴の一つである。
【0036】
図5は、本実施例におけるタブレットの構成図を示したものである。本実施例はタブレットとして、前述したように構成した位置指示器20の指示位置および回転角度を求めるとともに、指fgによるタッチ位置検出も可能な構成について示す。
【0037】
図5において、20は
図1〜3に示した位置指示器で、位置指示器20から送信する信号の周波数をf1とする。21は透明なガラスを基材とするタブレットセンサーである。タブレットセンサー21の表面にはX方向に配列したX電極群が、裏面にはY方向に配列したY電極群がそれぞれ設けられている。これらのX電極群およびY電極群は、ITO(Indium Tin Oxide)により透明な電極として形成されている。また、タブレットセンサー21は図示しない表示装置の上に配置されており、その表示箇所を位置指示器20またはユーザーの指fg等で直接入力することができるようになっている。
【0038】
22はX電極群の中から1本の電極を選択するX選択回路、23はY電極群の中から1本の電極を選択するY選択回路である。本実施例ではX電極が40本(X1〜X40)、Y電極が30本(Y1〜Y30)として説明する。
【0039】
24は、本実施例をタッチ検出として動作させる際にY電極に駆動信号を供給するための発振器で、発振周波数をf2とする。25は切替回路で、Y選択回路23により選択されたY電極を、発振器24または後述する増幅回路側のどちらに接続するかを切替える。26は、本実施例のタブレットの各部を制御するコントロール回路である。即ち、本装置をタッチ検出として動作させるときはコントロール回路26から切替回路25への制御信号eをハイレベル「1」として発振器24側を選択する。また、本装置が位置指示器20を検出するときは、制御信号eをロウレベル「0」として増幅回路側を選択する。
【0040】
27は切替回路で、X選択回路22により選択されたX電極、または切替回路25を経由してY選択回路23により選択されたY電極、のどちらかを選択して増幅回路28に接続する。即ち、本装置をタッチ検出として動作させるときはコントロール回路26から切替回路27への制御信号fをロウレベル「0」として、X選択回路22側を選択する。また、本装置が位置指示器20を検出する動作とし、位置指示器20のX軸座標を求めるときは、制御信号fをロウレベル「0」として、X選択回路22側を選択する。また、本装置が位置指示器20を検出する動作とし、位置指示器20のY軸座標を求めるときは、制御信号fをハイレベル「1」として、Y選択回路23側を選択する。
【0041】
図5において、28は増幅回路であり、29はゲインコントロール回路である。増幅回路28の出力は、ゲインコントロール回路29に接続され、コントロール回路26からの制御信号gによって適切なレベルの出力信号となるように設定される。
【0042】
30は周波数f1または周波数f2を中心とした所定の帯域幅を有するバンドパスフィルター回路である。この中心周波数はコントロール回路26からの制御信号hによって切替えられ、本装置が位置指示器20を検出する動作を行うときには周波数をf1とし、タッチ検出動作を行うときは周波数がf2となるように切替える。
【0043】
また、
図5において、31は検波回路、32はAD(analog/Digital)変換器、33はマイクロプロセッサである。そして、バンドパスフィルター回路30の出力信号は検波回路31によって検波され、コントロール回路26からの制御信号jに基づきAD変換回路32によってデジタル値に変換される。このデジタルデータkはマイクロプロセッサ33によって読み取られ処理される。
【0044】
コントロール回路26は、制御信号mをX選択回路22に、制御信号nをY選択回路23に、それぞれ供給することによりX電極群およびY電極群の中からそれぞれ1本の電極を選択する。
【0045】
マイクロプロセッサ33は、内部にROMおよびRAMを備えるとともにROMに格納されたプログラムによって動作する。そして、マイクロプロセッサ33は、コントロール回路26が所定のタイミングに制御信号e〜jおよびm、nを出力するように、制御信号pを出力してコントロール回路26を制御する。
【0046】
このように構成した本実施例のタブレットがタッチ検出を行うときの動作について簡単に説明する。前述したように、タッチ検出の際には、切替回路25を発振回路24側に接続して、Y選択回路23により選択されたY電極に駆動信号を供給する。また、X選択回路22により選択されたX電極は、切替回路27を経由して増幅回路28に接続され、増幅回路28からの信号レベルは、ゲインコントロール回路29、バンドパスフィルター回路30、検波回路31を経由してAD変換回路32によってデジタル値に変換される。
【0047】
このとき、X選択回路22およびY選択回路23によって選択された各電極の交点に指がタッチされていると、前記検出される信号レベルは指が無いときのレベルよりも低下する。従って、X電極とY電極の全ての交点について指が無いときの信号レベルを予め求めておけば、信号レベルが低下した位置よりタッチ位置を求めることができる。
【0048】
一方、本実施例のタブレットが位置指示器20の指示位置および回転角を検出するときの動作について以下に説明する。マイクロプロセッサ33は、制御信号eをロウレベル「0」として切替回路25を増幅回路側に選択し、制御信号fをロウレベル「0」として切替回路27をX電極側に選択、するようにコントロール回路26に対して制御信号pを出力する。この状態では、選択回路22によって選択されたX電極のみが増幅回路28に接続されて、Y電極は増幅回路28と発振回路24のどちらにも接続されない。
【0049】
図6は、タブレットセンサー21上において、位置指示器20のおよそのX方向位置を求めるためのX軸全面スキャン動作について示したものである。マイクロプロセッサ33はコントロール回路26に対して、選択回路22が電極X1を選択するような制御信号mを出力させ、そのときの信号レベル(k)を読み取る。マイクロプロセッサ33はコントロール回路26に対して、選択回路22を電極X2、X3、X4・・と順次切替ながら信号レベル(k)を読み取る。
【0050】
このとき、X1〜X40の全ての電極で検出される信号レベルが所定値に達していなければ、位置指示器20はタブレットセンサー21上に無いものと判断して、
図6の動作を繰り返す。X1〜X40のいずれかの電極から所定値以上のレベルの信号が検出された場合には、マイクロプロセッサ33は、最も高い信号レベルが検出されたX電極の番号(
図6ではX11)を記憶する。
【0051】
位置指示器20が電極X11付近にあることが判ったら、マイクロプロセッサ33は部分スキャンへの移行動作を行う。
図7は、タブレットにおける部分スキャンへの移行動作を説明するための図である。この部分スキャンへの移行動作は、位置指示器20が
図4に示すような動作を繰り返すときに、位置指示器20からの連続送信期間の開始時刻を検出することにより、マイクロプロセッサ33が、位置指示器20の動作とタイミングを合わせるとともに、Y軸についておよその位置を求めるための動作である。
【0052】
図7において、マイクロプロセッサ33は選択回路22が、前述したX軸全面スキャン動作において求まった電極X11を選択するようにコントロール回路26を制御する。このとき、位置指示器20から送信される信号に対応した信号が電極X11に誘導され、検波回路
31にはその信号レベルに対応した電圧が発生する。マイクロプロセッサ33は一定の周期でAD変換回路32を動作させて、その信号レベル(k)を読み取る。この、AD変換回路32を動作させる周期は、位置指示器20が筆圧データ送信期間に送信する周期よりも十分に短い時間とする。
【0053】
マイクロプロセッサ33は、AD変換回路32により出力される信号レベルが一定時間(Ts)継続して所定値以上であったときに、位置指示器20の連続送信期間が開始されたと判断して、Y軸全面スキャン動作へ移行する(
図7)。この時間Tsは、位置指示器20が筆圧データ送信期間に送信する周期よりも十分に長い時間とする。
【0054】
マイクロプロセッサ33は、制御信号fをハイレベル「1」として切替回路27をY電極側に選択するようにコントロール回路26を制御する。また、選択回路23がY1からY30までを順次選択して、AD変換回路32を動作させて信号レベル(k)を読み取る。このときマイクロプロセッサ33は、最も大きい信号レベルが検出された電極を記憶しておく。本実施例では、電極Y20から最も大きい信号レベルが検出されたものとして説明を行う。
【0055】
選択回路23が最後の電極Y30を選択して信号レベルの検出を終了したら、マイクロプロセッサ33は位置指示器20からの連続送信期間の終了を待つための動作を行う。マイクロプロセッサ33は、制御信号fをロウレベル「0」として切替回路27をX電極側に選択するようにコントロール回路26を制御する。また、選択回路22が電極X11を選択するように制御を行う。このとき、位置指示器20からの送信が継続していれば前述した所定値以上のレベルの信号が検出される。受信信号レベルが所定値に達しなくなった時刻が位置指示器20からの連続送信の終了時刻となる。続いて、位置指示器20は筆圧データ送信期間となるが、このとき位置指示器20の詳細な位置が求まっていないため、ここでは筆圧データは読まずに
図8に示す部分スキャン動作へ移行する。
【0056】
図8は、本実施例のタブレットにおける部分スキャン動作を説明するための図である。マイクロプロセッサ33は、電極X11を選択した状態で、AD変換回路32により出力される信号レベルが一定時間(Ts)継続して所定値以上であったときに、位置指示器20の連続送信期間が開始されたと判断して、座標検出動作へ移行する(
図8のステップ1)。この時間Tsは
図7で説明したのと同様で、位置指示器20が筆圧データ送信期間に送信する周期よりも十分に長い時間とする。
【0057】
マイクロプロセッサ33は、位置指示器20からの信号のX座標を求めるため、制御信号fをロウレベル「0」としたまま、選択回路22がX11を中心とする5本の電極(X9〜X13)を順次選択して、AD変換回路32を動作させて信号レベルを読み取る(ステップ1)。このとき、最も高い信号レベルが検出された電極の番号(ここではX11)、およびその信号レベル(Vpx0)、またその両隣の電極により検出されたレベルをVax0、Vbx0として保存する(ステップ1)。
【0058】
次にマイクロプロセッサ33は、位置指示器20からの信号のY座標を求めるため、制御信号fをハイレベル「1」として、選択回路23がY20を中心とする5本の電極(Y18〜Y22)を順次選択して、信号レベルを読み取る(ステップ1)。このとき、最も高い信号レベルが検出された電極の番号(ここではY20)、およびその信号レベル(Vpy0)、またその両隣の電極により検出されたレベルをVay0、Vby0として保存する(ステップ1)。ここで求まった信号レベルVpx0、Vax0、Vbx0、Vpy0、Vay0、Vby0、は後述する計算式による座標値の計算に用いられる。
【0059】
次いで、マイクロプロセッサ33は位置指示器20からの連続送信期間の終了を待つための動作を行う。マイクロプロセッサ33は、制御信号fをロウレベル「0」として、選択回路22が前述した座標検出動作においてピークが検出された電極X11を選択するように制御を行う。このとき、受信される信号レベルが所定値に達しなくなった時刻が位置指示器20からの連続送信の終了時刻となる(ステップ1)。
【0060】
マイクロプロセッサ33は、位置指示器20からの連続送信の終了を検出すると、筆圧データに先立って送信されるスタート信号のタイミングを検出する動作に入る(ステップ2)。マイクロプロセッサ33は、電極X11を選択した状態でAD変換回路32を繰り返し起動するように制御して、信号レベルが前述した所定値以上となった時刻をt1として記憶する。マイクロプロセッサ33は、時刻 t1から一定時間Twだけ待った時刻より位置指示器からのデータ受信動作を開始する(ステップ2)。この時間Twは、位置指示器20からのスタート信号の送信を終了した後、タブレットで受信される信号レベルがほぼ無くなるまでとし、予め求めておいた時間とする。
【0061】
マイクロプロセッサ33は、前述した待ち時間がTwに達すると同時に、図示しないタイマーを起動する。このタイマーはゼロから前述したTdの時間(位置指示器
20からのデータ送信周期)に一致する値までを繰り返しカウントする(ステップ2)。タイマーの1周期の動作期間中、マイクロプロセッサ33はAD変換回路32を繰り返し起動して信号レベルを読み取る。この間の信号レベルが一度も前述した所定値に達しなければ位置指示器
20からの送信が無かったものと判断してその回のデータを「0」として保存し、その間に所定値以上の信号レベルが検出された場合には位置指示器
20からの送信が有ったものと判断してその回のデータを「1」として保存する(ステップ2)。
【0062】
前述したタイマーのカウントを11回行い、11ビットのデータが保存される。このとき初回のデータが
図4で示した「符号」に相当する。
図8のステップ2ではこの符号が0であるから、ステップ1で求めた信号レベルVpx0、Vax0、Vbx0、Vpy0、Vay0、Vby0、より計算される座標は位置指示器
20の
L電極に相当する座標位置であることが判る。残りの10ビットデータはステップ1の期間に位置指示器20で計測された筆圧値を現している。
【0063】
なお、ステップ2ではX軸電極の中から最大レベルが検出された電極(X11)を選択してデータの受信を行ったが、これをY軸電極の中で最大レベルが検出された電極(Y20)を選択して行っても良い。
【0064】
ステップ2において11ビットのデータ受信を終了すると、位置指示器
20からの連続送信期間の開始を検出する動作へ移行する。マイクロプロセッサ33は、電極X11を選択した状態で受信される信号レベルを繰り返し検出する。この受信レベルが一定時間(Ts)継続して所定値以上であったときに、位置指示器20の連続送信期間が開始されたと判断して、座標検出動作へ移行する(
図8のステップ3)。
【0065】
マイクロプロセッサ33は、位置指示器20からの信号のX座標を求めるため、制御信号fをロウレベル「0」としたまま、選択回路22がX11を中心とする5本の電極(X9〜X13)を順次選択して、AD変換回路32を動作させて信号レベルを読み取る(ステップ
3)。このとき、最も高い信号レベルが検出された電極の番号(ここではX11)、およびその信号レベル(Vpx1)、またその両隣の電極により検出されたレベルをVax1、Vbx1 として保存する(ステップ3)。
【0066】
次にマイクロプロセッサ33は、位置指示器20からの信号のY座標を求めるため、制御信号fをハイレベル「1」として、選択回路23がY20を中心とする5本の電極(Y18〜Y22)を順次選択して、信号レベルを読み取る(ステップ3)。このとき、最も高い信号レベルが検出された電極の番号(ここではY20)、およびその信号レベル(Vpy1)、またその両隣の電極により検出されたレベルをVay1、Vby1として保存する(ステップ3)。ここで求まった信号レベルVpx1、Vax1、
Vbx1、Vpy1、Vay1、
Vby1、は後述する計算式による座標値の計算に用いられる。
【0067】
次いで、マイクロプロセッサ33は位置指示器20からの連続送信期間の終了を待つための動作を行う。マイクロプロセッサ33は、制御信号fをロウレベル「0」として、選択回路22が前述した座標検出動作においてピークが検出された電極X11を選択するように制御を行う。このとき、受信される信号レベルが所定値に達しなくなった時刻が位置指示器20からの連続送信の終了時刻となる(ステップ3)。
【0068】
マイクロプロセッサ33は、位置指示器20からの連続送信の終了を検出すると、筆圧データに先立って送信されるスタート信号のタイミングを検出する動作に入る(ステップ4)。マイクロプロセッサ33は、電極X11を選択した状態でAD変換回路32を繰り返し起動するように制御して、信号レベルが前述した所定値以上となった時刻をt2として記憶する。マイクロプロセッサ33は、時刻t2から一定時間Twだけ待った時刻より位置指示器
20からのデータ受信動作を開始する(ステップ4)。このTwはステップ2のときと同じ時間とする。
【0069】
マイクロプロセッサ33は、前述した待ち時間がTwに達すると同時に、タイマーを起動し、前述したステップ2のときと全く同様にして位置指示器
20からの11ビットのデータを受信する(ステップ4)。この初回のデータが
図4で示した「符号」に相当する。
図8のステップ4ではこの符号が1であるから、ステップ3で求めた信号レベルVpx1、Vax1、
Vbx1、Vpy1、Vay1、
Vby1、より計算される座標は位置指示器
20の
R電極に相当する座標位置であることが判る。残りの10ビットデータはステップ3の期間に位置指示器20で計測された筆圧値を現している。このように位置指示器
20からの特定のデータ値によって位置指示器のどの電極からの送信であるかを識別するようにしているのは本発明の特徴の一つである。
【0070】
なお、ステップ4でもX軸電極の中から最大レベルが検出された電極(X11)を選択してデータの受信を行ったが、これをY軸電極の中で最大レベルが検出された電極(Y20)を選択して行っても良い。
【0071】
本実施例では、位置指示器20からの送信がL電極とR電極により交互に繰り返されるため、タブレット側の動作としては
図8のステップ1〜ステップ4を繰り返し行うことにより、位置指示器20の座標と回転角および筆圧を継続して求めることができる。
【0072】
それでは、前述したステップ1およびステップ3において求められた受信レベルより位置指示器20の座標位置および回転角度を求める方法について説明する。
【0073】
ステップ1で求められた受信レベルVpx0、Vax0、Vbx0、Vpy0、Vay0、Vby0、より位置指示器のL電極による座標値(X0、Y0)は次の(1)式、(2)式によりそれぞれ計算される。
【数1】
【0074】
但し、Px0はX軸で最大レベルが検出された電極(ここではX11)の座標位置とし、DxはX軸電極間の配列ピッチ、とする。
【数2】
【0075】
但し、Py0はY軸で最大レベルが検出された電極(ここではY20)の座標位置とし、DyはY軸電極間の配列ピッチ、とする。
【0076】
同様にしてステップ3で求められた受信レベルVpx1、Vax1、Vbx1、Vpy1、Vay1、Vby1、より位置指示器のR電極による座標値(X1、Y1)は次の(3)式、(4)式によりそれぞれ計算される。
【数3】
【0077】
但し、Px1はX軸で最大レベルが検出された電極(ここではX11)の座標位置とし、DxはX軸電極間の配列ピッチ、とする。
【数4】
【0078】
但し、Py1はY軸で最大レベルが検出された電極(ここではY20)の座標位置とし、DyはY軸電極間の配列ピッチ、とする。
【0079】
図9は、2つの座標値(X0、Y0)および(X1、Y1)より位置指示器
20のタブレット面に垂直方向を軸とした回転角度θを計算するための原理図である。この図では、Y軸の正方向を基準(θ=0)とし、θの範囲を−180°<θ≦+180°として、座標値(X1、Y1)に対応するR電極の向きを定義するものである。このとき、位置指示器
20の回転角θは、X0、Y0、X1、Y1、より次の(5)式〜(9)式ように計算される。
【0080】
本実施例では、回転角の基準をY軸正方向としてR電極の向きを角度として求めるようにしたが、X軸を基準として定義しても良いし、L電極の向きを求めるようにしても良い。
【0081】
本実施例では、位置指示器
20のL電極によるデータ送信時とR電極によるデータ送信時とで同一の情報(筆圧)を送っているが、一方を他の情報としても良いし、一方のデータは符号情報のみとして時間を短縮するようにしても良い。また、データの送信はL電極またはR電極の一方のみとして、タブレットは位置指示器
20からのデータの送信が有ったかどうかによって直前の連続送信が行われた電極を判定するようにしても良い。また、L電極からの送信とR電極からの送信とで送信する周波数を変えて識別するようにしても良いし、連続送信の長さを変えて識別するようにしても良い。
【0082】
本実施例では、位置指示器の電極が芯11の先端部に露出するようにしているが、芯11を構成するプラスチック等の材料で覆うようにしても良い。
【0083】
[第2実施例]
図10は本発明による第2実施例の位置指示器における位置指示部の構造を示した図である。
図10において
図1と同様に構成される部分には同じ参照符号を付す。即ち、12は筆圧によって容量が変化する可変容量コンデンサ、15はプリント基板である。可変容量コンデンサ12には芯35が結合され、芯35の先端に加わる筆圧が検出されるようになっている。36は筐体で、その先端部には芯35が通り抜ける穴が空けられている。
【0084】
筐体36の先端部には2つの電極37および38が設けられており、
図11はその配置を示した図である。ここで、37をL電極、38をR電極と呼んで説明を行う。
【0085】
図12は本発明による第2実施例の位置指示器の回路構成図である。
図12において、
図3または
図10と同様に構成される部分には同じ参照符号を付す。即ち、12は可変容量コンデンサ、37はL電極、38はR電極、17はマイクロプロセッサ、18は電池、19はDC/DCコンバータである。
【0086】
図12に示した第2実施例の位置指示器
20の構成と
図3に示した第1実施例の位置指示器の構成とで異なる点は、第1実施例では2つの電極を交互に切替えてコイルL2に接続していたのに対して、本実施例では、電極37(L電極)は常時コイルL2と接続されており、電極38(R電極)とコイルL2間にはアナログスイッチ39が設けられてオンまたはオフに制御される点である。
【0087】
即ち、マイクロプロセッサ17の端子P2(信号a)をハイレベルとしたときは、アナログスイッチ39はオン状態となるため、コイルL2に発生した信号(d)はL電極とR電極の両方に加えられる。また、マイクロプロセッサ17の端子P2(信号a)をロウレベルとしたときは、アナログスイッチ39はオフ状態となるため、コイルL2に発生した信号(d)はL電極のみに加えられる。
【0088】
DC/DCコンバータ19により得られる電圧VPは、第1実施例と同様にアナログスイッチ39を動作させる電源として用いられる。
【0089】
図13は、第2実施例による位置指示器の動作を示した図で、
図12における信号a、b、c、dの変化の様子を示している。マイクロプロセッサ17は、
端子P2(信号a)をハイレベルとした状態で、
端子P1(信号b)が一定期間ハイレベルを維持するように制御する。これによってL電極とR電極から一定期間連続して信号(d)を放射する(
図13の、連続送信期間:L+R)。この連続送信期間中に、マイクロプロセッサ17は第1実施例と同様にして可変容量コンデンサ12に加えられた筆圧を求める。
【0090】
この連続送信期間を終了すると、マイクロプロセッサ17は第1実施例のときと全く同様にして周期Tdで端子P1を制御することによりASK変調を行う。このときのスタート信号に続く符号(L+R)は、直前の連続送信が2つの電極によるものであったことを示す”0”とする。この符号送信に続いて、前述した連続送信期間に求めた10ビットの筆圧データを第1実施例と同様に送信する。
【0091】
筆圧データの送信を終了すると、マイクロプロセッサ17は端子P2(信号a)をロウレベルとしてアナログスイッチ39をオフとする。これによってL電極37からのみ信号が送信されるようになる。このときも、同様に端子P1を制御して連続送信(L)を行うと共に筆圧検出を行う。
【0092】
この連続送信期間を終了すると、マイクロプロセッサ17は端子P2(信号a)をハイレベルとして、以後のデータ送信が2つの電極によって行われるようにする。これは、2つの電極で送信することにより、筆圧などのデータがタブレットで確実に検出できるようにするためである。マイクロプロセッサ17は前述したのと同様に、周期Tdで端子P1を制御することによりASK変調を行う。このときのスタート信号に続く符号(L)は、直前の連続送信がL電極のみによるものであったことを示す”1”とする。この符号送信に続いて、前述した連続送信期間に求めた10ビットの筆圧データを順次送信する。
【0093】
本実施例の位置指示器では、L電極とR電極の両方を選択する第1のパターンと、L電極のみを選択する第2のパターンとを交互に切替ながら送信を行う。また、第1のパターンで選択した際にはスタート信号に続く「符号」情報を”0”とし、第2のパターンで選択した際にはスタート信号に続く「符号」情報を”1”としている。このような動作は、直前に行われた連続送信が2つの電極からのものか、L電極のみによるものかを、タブレット側で識別するためであり、本発明の特徴の一つである。
【0094】
本実施例でもタブレットは第1実施例と同じ構成のもの(
図5)を用いる。以下、
図5のタブレット上に本実施例の位置指示器が置かれたときの指示位置および回転角を検出する動作について説明する。
【0095】
本実施例でも、位置指示器のおよその位置を求めるための動作は第1実施例と同様にして、
図6および
図7で示したように行われる。なお、
図7において、位置指示器からの連続送信を検出した後のY軸全面スキャン動作は、位置指示器からの送信が2つの電極による連続送信期間であっても良いし、L電極のみによる連続送信期間であっても良い。本実施例でも、
図6のX軸全面スキャン動作において電極X11から最大レベルの信号が検出され、
図7のY軸全面スキャン動作において電極Y20から最大レベルの信号が検出されたものとして説明を行う。
【0096】
図14は、第2実施例の部分スキャン動作について示したものである。本実施例による部分スキャン動作が、第1実施例の部分スキャン動作(
図8)と異なるのは次の点である。本実施例では、位置指示器からの「符号」データが”0”として送信された直前の座標検出動作(
図14のステップ1)によって求められる座標がL電極とR電極との中間位置(即ち、芯35の位置)を示しており、位置指示器からの「符号」データが”1”として送信された直前の座標検出動作(
図14のステップ3)によって求められる座標がL電極に対応した位置を示している。その他の動作は第1実施例のときと同様である。
【0097】
本実施例でも、ステップ1で求められた受信レベルVpx0、Vax0、Vbx0、Vpy0、Vay0、Vby0、より、前述した(1)式および(2)式を用いて、位置指示器のL電極とR電極の中間位置を示す座標値が(X0、Y0)として計算される。
【0098】
また、ステップ3で求められた受信レベルVpx1、Vax1、Vbx1、Vpy1、Vay1、Vby1、より、前述した(3)式および(4)式を用いて、位置指示器のL電極の位置に対応した座標値が(X1、Y1)として計算される。
【0099】
本実施例においても
図9の原理図を適用して、Y軸の正方向を基準(θ=0)とし、θの範囲を−180°<θ≦+180°として、座標値(X1、Y1)に対応するL電極の向きを定義する。このとき、位置指示器の回転角θは、X0、Y0、X1、Y1、を用いて、前述した(5)式〜(9)式により全く同様に計算される。
【0100】
本実施例では、位置指示器の2つの電極によるデータ送信時とL電極のみによるデータ送信時とで同一の情報(筆圧)を送っている。しかし、一方を他の情報としても良いし、一方のデータは符号情報のみとして時間を短縮するようにしても良い。また、データの送信は2つの電極による送信時のみとして、タブレットは位置指示器からのデータの送信が有ったかどうかによって判定するようにしても良いし、連続送信の長さを変えて識別するようにしても良い。
【0101】
本実施例では、位置指示器の電極を筐体36の先端部に設けたが、第1実施例と同様に芯35に設けても良い。
【0102】
[第3実施例]
図15は本発明による第3実施例の位置指示器における位置指示部の構造を示した図である。本実施例では位置指示部に3つの電極を配置して、位置指示器の回転角と合わせてタブレットに対する傾きを求める例について示す。
【0103】
図15において
図10と同様に構成される部分には同じ参照符号を付す。即ち、12は筆圧によって容量が変化する可変容量コンデンサ、15はプリント基板、35は芯、36は筐体である。
【0104】
筐体36の先端部には3つの電極40、41および42が設けられており、
図16はその配置を示した図である。これらの3つの電極は、図示しない結線によってプリント基板15に接続されている。
【0105】
図17は本発明による第3実施例の位置指示器の回路構成図である。
図17において、
図15または
図3と同様に構成される部分には同じ参照符号を付す。即ち、12は可変容量コンデンサ、40〜42は電極、17はマイクロプロセッサ、18は電池、19はDC/DCコンバータである。
【0106】
図17に示した構成が第1実施例(
図3)と異なるのは、第1実施例では2つの電極を交互に切替えてコイルL2に接続していたのに対して、本実施例では、3つの電極40〜42を順次切替えてコイルL2に接続する点である。電極40〜42とコイルL2間にはアナログマルチプレクサ43が設けられて、マイクロプロセッサ17の2つの端子(P2およびP4)の設定により、電極40、電極41、電極42の中から1つが選択される。マイクロプロセッサ17の2つの端子(P2およびP4)による信号を、ここでは総称して”信号a”と呼ぶ。
【0107】
DC/DCコンバータ19により得られる電圧VPは、第1実施例と同様にアナログマルチプレクサ43を動作させる電源として用いられる。
【0108】
図18は、第3実施例による位置指示器の動作を示した図で、
図17における信号a、b、c、dの変化の様子を示している。マイクロプロセッサ17は、信号aによる設定が電極40を選択するようにした状態で、
端子P1(信号b)が一定期間ハイレベルを維持するように制御する。これによって電極40から一定期間連続して信号(d)を放射する(
図18の、連続送信期間1)。この連続送信期間中に、マイクロプロセッサ17は第1実施例と同様にして可変容量コンデンサ12に加えられた筆圧を求める。
【0109】
この連続送信期間を終了すると、マイクロプロセッサ17は第1実施例のときと全く同様にして周期Tdで端子P1を制御することによりASK変調を行う。このときの”スタート信号”に続く”符号”は、直前の連続送信が電極40によるものであったことを示す”0”とする。この符号送信に続いて、前述した連続送信期間1に求めた10ビットの筆圧データを第1実施例と同様に送信する。
【0110】
筆圧データの送信を終了すると、マイクロプロセッサ17は、信号aによる設定を、電極41を選択するよう切替えて、同様に端子P1を制御して連続送信を行う(
図18の、連続送信期間2)。このとき、本実施例では連続送信期間1のときに行ったような筆圧検出は行わないものとする。
【0111】
この連続送信期間
2を終了すると、マイクロプロセッサ17は、信号aによる設定が電極41を選択したままの状態で、周期Tdで端子P1を制御することによりASK変調を行う。このときのスタート信号に続く”符号”を”1”として送信する。
【0112】
この符号送信を終えると、マイクロプロセッサ17は、信号aによる設定を、電極42を選択するよう切替えて、同様に端子P1を制御して連続送信を行う(
図18の、連続送信期間3)。このときも、連続送信期間1のときに行ったような筆圧検出は行わないものとする。
【0113】
この連続送信期間を終了すると、マイクロプロセッサ17は、信号aによる設定が電極42を選択したままの状態で、周期Tdで端子P1を制御することによりASK変調を行う。このときも、スタート信号に続く”符号”を”1”として送信する。
【0114】
本実施例の位置指示器では、電極40のみを選択する第1のパターンと、電極41のみを選択する第2のパターンと、電極42のみを選択する第3のパターンとを設け、第1のパターンに続いて第2のパターン、第2のパターンに続いて第3のパターン、第3のパターンに続いて第1のパターン、のように順次繰り返して送信を行う。また、第1のパターンで選択した際にはスタート信号に続く「符号」情報を”0”とし、第2のパターンおよび第3のパターンで選択した際にはスタート信号に続く「符号」情報を”1”としている。このため、タブレット側では前述した送信の順番を考慮して、位置指示器のどの電極から送信された信号であるかを識別することができるのである。これらの動作は本発明の特徴の一つである。
【0115】
本実施例でもタブレットは第1実施例と同じ構成のもの(
図5)を用いる。以下、
図5のタブレット上に本実施例の位置指示器が置かれたときの指示位置、回転角およびタブレット面に対する傾きを検出する動作について説明する。
【0116】
本実施例でも、位置指示器のおよその位置を求めるための動作は第1実施例と同様にして、
図6および
図7で示したように行われる。なお、
図7において、位置指示器からの連続送信を検出した後のY軸全面スキャン動作は、位置指示器からの送信がどの電極による連続送信期間であっても良い。本実施例でも、
図6のX軸全面スキャン動作において電極X11から最大レベルの信号が検出され、
図7のY軸全面スキャン動作において電極Y20から最大レベルの信号が検出されたものとして説明を行う。
【0117】
図19は、第3実施例の部分スキャン動作について示したものである。本実施例でも、位置指示器からの一定時間(Ts)以上継続した信号を検出した後、X軸およびY軸の座標検出動作を行い、位置指示器からの連続送信に続いて送られるデータを受信する。このデータは、
図18でも示したように、”スタート信号”に続いて送信されるものである。本実施例では、”スタート信号”の直後に続く”符号”として”0”を受信した場合には継続してデータの受信動作を行い、10ビットの筆圧データを受信するが、”符号”として”1”を受信した場合にはデータ受信動作は終了して、位置指示器からの連続送信を検出するための動作に移行する。
【0118】
図19では、ステップ2において、符号として”0”が受信されたので、その直前の座標検出動作(ステップ1)では位置指示器の電極40から送信された信号によるレベルと座標位置が求められ、これに続く座標検出動作(
ステップ3)では位置指示器の電極41から送信された信号によるレベルと座標位置が求められ、さらに続いて行われる座標検出動作(ステップ5)では位置指示器の電極42から送信された信号によるレベルと座標位置が求められる。
【0119】
なお、本実施例では、ステップ1、ステップ3、ステップ5の各座標検出動作において得られた受信レベルを用いて位置指示器の傾きを求めるため、これらの各座標検出動作において、タブレット回路(
図5)のゲインコントロール回路29に設定されるゲイン値を共通とする。
【0120】
ステップ1で求められた受信レベルVpx1、Vax1、Vbx1、Vpy1、Vay1、Vby1、より位置指示器の電極40による座標値(X1、Y1)は前述の(3)式および(4)式により計算される。
【0121】
また、ステップ3で求められた受信レベルVpx2、Vax2、Vbx2、Vpy2、Vay2、Vby2、より位置指示器の電極41による座標値(X2、Y2)は次の(10)式、(11)式により求められる。
【数6】
【0122】
但し、Px2はX軸で最大レベルが検出された電極(ここではX11)の座標位置とし、DxはX軸電極間の配列ピッチ、とする。
【数7】
【0123】
但し、Py2はY軸で最大レベルが検出された電極(ここではY20)の座標位置とし、DyはY軸電極間の配列ピッチ、とする。
【0124】
また、ステップ5で求められた受信レベルVpx3、Vax3、Vbx3、Vpy3、Vay3、Vby3、より位置指示器の電極42による座標値(X3、Y3)は次の(12)式、(13)式により求められる。
【数8】
【0125】
但し、Px3はX軸で最大レベルが検出された電極(ここではX11)の座標位置とし、DxはX軸電極間の配列ピッチ、とする。
【数9】
【0126】
但し、Py3はY軸で最大レベルが検出された電極(ここではY20)の座標位置とし、DyはY軸電極間の配列ピッチ、とする。
【0127】
位置指示器の芯35に相当する座標値(X0、Y0)は、求まった3つの座標値(X1、Y1)、(X2、Y2)、(X3、Y3)の中心点として以下の(14)式、(15)式で求めることができる。
【数10】
【0128】
本実施例においても
図9の原理図を適用して、Y軸の正方向を基準(θ=0)とし、θの範囲を−180°<θ≦+180°として、座標値(X1、Y1)に対応する電極40の向きを定義することにする。このとき、位置指示器の回転角θは、X0、Y0、X1、Y1、を用いて、前述した(5)式〜(9)式により全く同様に計算される。
【0129】
本実施例では、位置指示器の3つの電極からの各受信信号強度により、位置指示器の傾きを求めることができる。受信信号強度として、X軸座標検出の際のレベルを用いても良いし、Y軸座標検出の際のレベルを用いても良いが、ここでは、X軸座標検出の際のレベルを用いることにする。
【0130】
電極40による受信信号強度(V1)は、タブレットのX電極位置による下記の(16)式の補正計算により求められる。
【数11】
【0131】
また、電極41による受信信号強度(V2)は、次の(17)式により求められる。
【数12】
【0132】
また、電極42による受信信号強度(V3)は、次の(18)式により求められる。
【数13】
【0133】
図20は、3つの電極からの受信信号強度、V1, V2, V3を用いて位置指示器の傾きを求めるための原理図である。
図20は、タブレットのセンサー面(
図5の21)からの高さ方向をz軸に取り、位置指示器の電極40、41、42の先端に相当する点をそれぞれ、A、B、Cとして構成される正三角形の中心Gがyz面上に、また電極40の先端に相当する点Aがz軸上にくるように座標軸を設定している。このときの各点の座標を、A点(0、0、z1)、B点(x2、y2、z2)、C点(x3、y3、z3)、G点(0、yg、zg)として表すと、位置指示器の傾き(θx、θy)は次の(19)式、(20)式に示すように求められる。
【数14】
【0134】
ここで、位置指示器の3つの電極の先端位置であるA点、B点、C点とタブレットセンサー面からの距離(z1、z2、z3)は受信信号強度、V1, V2, V3にほぼ反比例するので、αを比例係数として以下の(21)式、(22)式のように表す。
【数15】
【0135】
ここで、α/rは定数であるからこの値をあらかじめ求めておけば前記関係式よりθx、θyを求めることができる。
【0136】
本実施例では、位置指示器の3つの電極を筐体36の先端部に設けたが、第1実施例のように芯に設けても良い。
【0137】
本実施例では、位置指示器の回転角と傾きの検出ができるので、先端部の形状を、たとえば
図21に示すような非対称として、ソフトウェアにおいて、求められた回転角や傾きに応じた描画を行うようにしても良い。