【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の背後にある基本的な考えは、ガス(空気)は、「一次元」ポケットに、即ち、溝を1つのみ含むポケットに内包されているべきではなく、複数の溝を含む「二次元」ポケットに内包されていて、各ポケット内に、各溝から、隣接する溝の一方または両方に通じるガスのための通路が存在するようになっているべきであるという考えである。
【0009】
このことを試すために、波形フィルム(A)およびフラットフィルム(B)との間の接着を、公知の手順においてのようにライン状接着として生じさせるのではなく、スポット接着として行い、ガスの内包を横方向溶接ラインによってだけではなく、横方向および縦方向溶接ラインの組み合わせにした。こうすると、ガスは、溶接ラインの2つのシステムによって生じた各ポケット内において溝から溝へと自由に移動することができた。
【0010】
このことは、ガスが、圧力を受けている位置から移動するので、印刷品質を相当に改良した。印刷圧力から開放されると、ガスは戻って溝を再構成する。また、製品の取り扱いが改良されることが見出された。さらに、そのようなフィルムから作られるバッグは、例えば、内容物が粗粒子からなる場合に、より良好な積み重ね特性を示すはずであると考えられる。この作用は、印刷の際の上述の作用と同様である。
【0011】
これらの注目すべき結果に従って、本発明の第1の態様は、
本文文末に記載される下記実施の態様の1)に記載されているとおりに企図されており、それを製造する方法は、
下記実施の態様の23)に記載されている。
【0012】
このことに関連して、あるポケット中のガスの体積は、そのポケットを切り出し、製品表面への気泡付着を最小限にするための低レベルの界面活性剤を場合によって含有する水中でのその浮力を測定することによって決定することができる一方で、ポリマー材料の対応する体積は、ポケットの重量をポリマー材料の密度で割ることによって決定する。
【0013】
この構造においては、
下記実施の態様の4)から6)にさらに規定されているとおり、一方のフィルム(A)および場合によっては第2のフィルム(B)も、波形形状を有してよい。しかしながら、一方のフィルム(A)がカップ形状またはトラフ形状の突出部を備えている別の可能性もあり、そのことによって、下記でさらに説明されているとおり、スポット接着は、全てまたは一部の突出部のクラウン部分またはベース部分に局在される。同様の突出部を備えた第3のフィルム(C)が、そのようなラミネートに包含されていてもよい。これらの可能性は、
下記実施の態様の6)から9)および下記実施の態様の15)(請求項1−3)に規定されている。「カップ形状またはトラフ形状の突出部」とは、両表面が同じ側に突出しているフィルム部分を意味する。そのスポットは、一方向に延びていてよい。そのようなエンボスの例は、WO9112125(特許文献3)、米国特許第5205650号(特許文献4)の
図1、2a、2bおよび3ならびにWO2009090208(特許文献5)のマイクロ写真に与えられているかまたは言及されている。
【0014】
「突出部」という用語はまた時には、隣接するフィルム材料よりもかなり厚く、そのことによって、フィルムの両側に対して突出している部分またはラインを示すために使用されることもあるが、これは、本明細書における意味ではない。
【0015】
エンボスドフィルムおよび非エンボスドフィルムからなるクロスラミネートは、「セルクロスラミネート」として特徴付けることができる。上記において、フィルム(B)を、(A)上にある突出部のクラウン部分またはベース部分のいずれかに接着することができることが述べられている。米国特許第5205650号の上述の図面は、一方の面上にある突出部のベースと、他方の面上にあるクラウンとの明瞭な相違を示しており、このエンボスドフィルムの一方の面または他方の面に積層されているフィルム(B)を想像することは容易である。(これらの図面は、フィルムの限られた部分に限定されたエンボスを示しているが、この特許の記載は、エンボスがフィルム全体を占め得ることを教示している)。これらの図面とは逆に、WO2009090208のマイクロ写真は、フィルムの両面にクラウンを有し、突出部のベース部分は有さないエンボスの波形タイプを示しており、このエンボスドフィルムの一方の面または他方の面上にあるクラウン部分に積層されているフィルム(B)を想像することは容易である。
【0016】
エンボスドフィルム(A)に積層されるフィルム(B)は、積層される前はフラットフィルムであるが、ラミネート力および引き続く収縮傾向によって、フィルム(B)は、最終的なラミネートにおいては、その平坦性を失っている。
【0017】
カップ形状またはトラフ形状の突出部を備えたフィルム(A)と、押出コーティングによって形成され、そのことによって、フィルム(A)にちょうど「キス」しているようになり、スポット接着を形成している非エンボスドフィルム(B)とを含む低重量のクロスラミネート構造は本質的に、ガスを封入するためのポケットの形成とは発明的に独立していると考えられることに留意されたい。本発明のこの第2の態様は、
下記実施の態様の15)(請求項1−3)において請求されている。本発明のこの第2の態様の目的は、改良された剛性、質感およびテキスタイル様の取り扱い性を備えた低重量のクロスラミネートを提供することである。クロスラミネートを製造する方法は、
下記実施の態様の24)において請求されている。
【0018】
ラミネートの引裂伝播抵抗および剥離強度を向上させるために、複数のフィルムを一緒に、曲線または直線接着によって接着することができるが、この目的のために、気密なポケットを形成する必要はない。
【0019】
カップまたはトラフ形状の突出部を生じさせるための大抵の方法は、これらの突出部のフィルムを周囲のフィルムよりも薄くするはずである。しかしながら、下記の構造においては、突出部のフィルム部分の多くは、隣接するフィルム部分よりも厚く、このことは、構造の安定性に関して有利である。
【0020】
既に述べたとおり、本発明の両方の態様の主な目的は、接着および特に質感に関して良好な剛性を得つつも、クロスラミネートの平方メートル重量を減らすことである。したがって、
下記実施の態様の1)および下記実施の態様の15)(請求項1−3)は、クロスラミネートにおいてフィルムが有する形態において、フィルム(A)および(B)のそれぞれのゲージに関して30
gm2の限界を設定している。しかしながら、このゲージは有利には、最高で20
gm2またはさらには15
gm2以下であってもよい。
【0021】
下記実施の態様の4)および5)に定義されているとおり、溝形形状を示すこれらのクロスラミネートを製造するプロセスステップは、上述の公開物、RasmussenのWO02/102592およびRasmussenのWO04/54793から明らかであるが、本発明の第1の態様では、これらの周知のステップに対して、公知のステップによって形成された少なくとも5個のスポット接着をそれぞれ取り囲むガス封入ポケットを形成するように組み合わされた直線または曲線のパターン(1)で、複数のフィルムを一緒にさらにシーリングするステップを加えなければならない。各ポケットの最も長い伸張はいずれの方向でも、最高で50mm、好ましくは最高30mm、好ましくは少なくとも6mmである。
【0022】
上記の理由で、
下記実施の態様の6)から10)および下記実施の態様の15)(請求項1―3)に記載されている製品を製造するために特に適しているエンボスドフィルムは、WO2009090208に開示されている。これは、本出願に関して優先権を形成する特許出願が出願された時点では公開されていなかった。そのようなフィルムは、熱可塑性ポリマー材料から形成されていて、平行なバンド形状で直線状に延びる領域の配列(a)と、それらとは別の、前記の領域を一体接続する直線状に延びるウェブ(b)とを含む。各ウェブ(b)は、その直線状の伸張部の各位置においては、領域(a)の隣接部分よりも薄い。
【0023】
このフィルムでは、(a)および(b)は両方とも、それぞれの位置において、優位な延伸方向を有して延伸されている。このフィルムは、領域(a)における優位な延伸方向が、(a)が伸張する方向に対して0よりは高いが80°未満である角度(v)を成していて、前記ウェブ(b)が、局部絞り帯域であるライン状の溝からなるアレイ(c)を含み、その際、前記溝は、(a)が伸張する方向に対して(v)よりも高い角度(u)を成していることにおいて特徴付けられる。本発明で使用するためのフィルムはさらに、領域が波形であり、波がそれぞれ、そのような領域の幅よりも長く、ウェブが、領域(a)の隣接部分よりも短いので、(a)を波形にしていることを特徴とする。この波加工こそが、カップまたはトラフ形状の突出部を形成する。
【0024】
そのようなフィルムを製造する方法を、優位な延伸方向を有するフィルムで開始する。フィルムを、一対の相互にかみ合う第1の溝付ローラによって、フィルムの元々の優位な延伸方向とは異なるが、最高でも80°異なる方向に伸ばす。方法は、対になっている溝付ローラの少なくとも一方が
頂点を有し、その
頂点が備えているエッジは、2つの第1の溝付ローラの
頂点の間で冷延伸されているフィルム材料からなる平行に線状に延びるウェブ(b)と、鋭角の
頂点の上に置かれていて、伸ばされていないか、または前記溝付ローラの間でより僅かな程度で伸ばされている、間に位置する線状に延びるバンド形状の領域(a)とを明確に区分するのに十分なほど鋭角であることを特徴とする。(a)の波加工およびそれによる突出部をもたらす収縮は、妨害されることがなければ、自然と生じる。
【0025】
本発明の第1の態様では、空気を内包するためのパターン接着ラインは、その最も単純な形態、即ち、相互に十字型に交差している2つのアレイはそれぞれ、平行でまっすぐなラインにある。これは、一方の対が他方の対に連続して作動し、それぞれの対が熱いシリコーンゴムコーティングされたローラに対して作動する熱い鋼ローラからなる2対のシーリングローラによって行うことができる。鋼ローラのうちの一方は、例えば0.5mm幅の円形
頂点のパターンを、かつ他方は、例えばその場合も0.5mm幅の軸歯を備えていてよい。別法では、これらは両方とも、一方が右巻きで、他方が左巻きのらせん状の
頂点のパターンを備えていてもよい。
【0026】
より進んだ形態では、このパターンは、ハニカムパターンである。これは、より良好な剛性をもたらすが、より高価なシーリングローラを必要とする。一方のローラは、熱いシリコーンゴムコーティングされたローラに対して作動する熱いパターン化された鋼ローラであってよい。
【0027】
これら2つのパターンは、ポケットの形状の単なる例である。ここで留意すべきは、空気を封入するためのポケットを形成する接着ラインのパターン(4)は追加的に、ラミネートの引裂伝播抵抗および剥離強度を向上させる機能を有する、ことである。
【0028】
ポケットを形成し、ガス(通常は空気)を封入するためのシーリングプロセスの間、周囲圧力を常気圧よりもやや高く維持すると、最終的なラミネートにおいて適切な内部張力を達成することができる。
【0029】
フィルム(A)、(B)および場合によって(C)の間の接着をそれぞれ好ましくは、1つまたは複数の共押出積層層を介して生じさせる。
【0030】
最も簡便には、フィルム(A)および(B)それぞれの50%超が、HDPE、LLDPE、結晶質のPPまたはポリエチレンもしくはポリプロピレンをベースとするブレンドもしくはコポリマーからなる。
【0031】
本発明の第1および第2の態様は主に、防水性の包装用フィルムに関して企図されているが、これらはまた、例えば衛生目的用の通気性フィルムに適用することもできる。この目的のために、空気封入ポケットが点在しているのとは別個の区域に集められた穿孔部があってよい。
【0032】
2枚の固体フィルムの慣用の押出積層では、または予め形成された固体フィルムに直接押し出されたフィルムを積層させることからなる押出コーティングでは、積層をローラの間で行い、比較的高い積層圧力を施与する。それというのも、そうしないと、空気を封入してしまうことがあるためである。しかしながら、本発明では、大きな体積の空気を捕捉させて、セル様の製品を形成することが目的である。これを達成するために、
下記実施の態様の28)に定義されている方法および
その従属項と共に
下記実施の態様の29)に記載されている装置は極めて好ましい。空気流がそれを介してプレスされるダイの微孔壁が通常は使用される加圧空気フィルム(加圧された
空気膜)の作成は一般に、多くの種々の目的のために「空気潤滑」として使用される。本発明では、これはまた、少なくとも一方の面では接触してなく、空気の捕捉を増大させる容易に調節可能で、低い積層圧力を設定するための手段としても使用される。これは
図3とそれに関する記載を参照すればより理解できる。このことに関連して、全ての場合に必要ではないが、固体フィルムを積層の前にエンボスしておくことが有利である。
【0033】
加圧空気フィルムは通常、上記で説明したとおり、微孔性材料からなるダイ壁を介して空気をプレスすることによって生じさせる。これは通常、焼結によって形成される。別法では、ダイ壁は、例えばレーザー処理によって形成された多数の微細な穴を備えていてよい。本発明では、加圧空気フィルムを、レーザー処理または放電加工によって形成された例えば0.1〜0.2mmのギャップの、フィルムアセンブリの全体幅を横断する単一のスロットによって形成することもできる。
【0034】
空気フィルム(複数可)の間隔を調節することによって、かつ/または空気流を調節することによって、積層圧力を調節することができる。
【0035】
本発明を、添付の図面で説明する。