特許第6021188号(P6021188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6021188ストーンウッド複合材基部のエンジニアードフローリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021188
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】ストーンウッド複合材基部のエンジニアードフローリング
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/04 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   E04F15/04 C
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-536909(P2013-536909)
(86)(22)【出願日】2011年10月31日
(65)【公表番号】特表2013-540924(P2013-540924A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】US2011058611
(87)【国際公開番号】WO2012061300
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】2010246330
(32)【優先日】2010年11月19日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】61/456,110
(32)【優先日】2010年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513105225
【氏名又は名称】フィニッシュ システムズ インターナショナル,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FINISH SYSTEMS INTERNATIONAL,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】パロン,モンド
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ホアン,ホン
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−146484(JP,A)
【文献】 特開2008−133717(JP,A)
【文献】 特表2003−520749(JP,A)
【文献】 特表2009−504545(JP,A)
【文献】 特開平10−299232(JP,A)
【文献】 特表2003−529474(JP,A)
【文献】 特開2010−001627(JP,A)
【文献】 特開2010−048004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
E03C 2/04、2/06、2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストーンウッド複合材の基部層と、
前記ストーンウッド複合材の基部層の内部に埋め込まれた少なくとも1つのメッシュ層と、
前記ストーンウッド複合材の基部層の頂面に結合された木材のベニア層と、
を含み、
前記ストーンウッド複合材の基部層が、約40%〜約50%のMgOと、約20%〜約45%のMgClと、約9%の木材粉末と、約2.5%のガラス繊維メッシュ材と、約0.5%のFeと、約0.5%のHPOと、約0.5%のFeSOと、選択的なプラスチック粒子とから構成されていることを特徴とするウッドフローリング。
【請求項2】
請求項1に記載のウッドフローリングにおいて、前記少なくとも1つのメッシュ層がガラス繊維を含む、ことを特徴とするウッドフローリング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウッドフローリングにおいて、前記ストーンウッド複合材の基部層が、約45%のMgOと、約42%のMgClと、約9%の木材粉末と、約2.5%のガラス繊維メッシュ材と、約0.5%のFeと、約0.5%のHPOと、約0.5%のFeSOと、から構成されていることを特徴とするウッドフローリング。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のウッドフローリングにおいて、前記少なくとも1つのメッシュ層が、第1メッシュ層、第2メッシュ層および第3メッシュ層を少なくとも含み、これらのメッシュ層が互いにスペースをあけて、前記ストーンウッド複合材の基部層内に埋め込まれている、ことを特徴とするウッドフローリング。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のウッドフローリングにおいて、前記ストーンウッド複合材の基部層がプラスチック粒子を含む、ことを特徴とするウッドフローリング。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のウッドフローリングにおいて、前記ストーンウッド複合材の基部層がエアポケットを含み、前記エアポケットは湿気、水分および熱を実質的に保持するように形成されていることを特徴とするウッドフローリング。
【請求項7】
請求項1に記載のウッドフローリングにおいて、前記ストーンウッド複合材の基部層が前記ストーンウッド複合材の基部層の第1側面に凸部を含み、前記ストーンウッド複合材の基部層の第2側面に凹部を含むインターロッキング端部を有しており、前記凸部および凹部は、隣接するウッドフローリング片を結合するように形成されていることを特徴とするウッドフローリング。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のウッドフローリングにおいて、前記木材ベニア層と前記ストーンウッド複合材の基部層の頂面との間に接着剤層が設けられており、当該接着剤層が、水および溶剤を実質的に含まないネオプレンベースの接着剤と、湿気硬化型ウレタン接着剤とからなる群から選択されることを特徴とするウッドフローリング。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のウッドフローリングにおいて、頂部の木材ベニア層の全体厚さが約2mmであり、前記ストーンウッド複合材の基部層の厚さが約18mmであり、前記少なくとも1つのメッシュ層の厚さが約0.9mmである、ことを特徴とするウッドフローリング。
【請求項10】
ウッドフローリングの製造方法において、
少なくとも1のメッシュ層を内部に埋め込んだストーンウッド複合材の基部層と、木材ベニア層とを接着して加圧して、ボードを形成するステップと、
前記ボードの表面を一様に研磨するステップと、
前記ボードの第1側面および第2側面に配備される係合端部を形成するように前記ボードをカットするステップと、
前記ボードを24時間除湿するステップと、
前記ボードを研磨しかつ仕上げるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法が更に、
混合物を形成するために型内において水およびストーンウッド複合材の粉末を混合するステップであって、前記ストーンウッド複合材の粉末は、約45%のMgOと、約42%のMgClと、約9%の木材粉末と、約2.5%のガラス繊維メッシュ材と、約0.5%のFeと、約0.5%のHPOと、約0.5%のFeSOとを含む、ステップと、
前記混合物の中に少なくとも1つのメッシュ層を埋め込むステップと、
前記混合物から水を抜くステップと、
ストーン複合材ボードを形成するために前記混合物を所定時間養生するステップと、
前記ストーン複合材ボードを所定時間乾燥するステップと、
前記ストーン複合材ボードを所定サイズにカットするステップと、
前記ストーン複合材ボードの頂面および底面を研磨するステップと、
によって前記ストーンウッド複合材層を調製するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載が更に、
Janka等級が1000より大きい木材ベニアを約3%〜約5%の範囲の湿気含有量に乾燥するステップと、
前記木材ベニアをプラスチックで包装するステップと、
前記木材ベニアを除湿するステップと、
によって前記ベニア層を調製するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法が更に、Janka等級が1000未満の木材ベニアを約6%〜約8%の範囲の湿気含有量に除湿することによって前記ベニア層を調製するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法において、前記接着して加圧するステップが、
前記ストーンウッド複合材の基部層と前記ベニア層の間に接着剤を塗布するステップと、
前記ストーンウッド複合材の基部層および前記ベニア層を24時間加圧するステップと、
前記加圧されたボードを約4日間乾燥させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2010年11月1日に出願された米国仮特許出願第61/456,110号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、住宅用または商業用途用のエンジニアードフローリングに関し、特に、ストーンウッド複合材の基部を有するエンジニアードフローリングであって、木材のベニア層が湿気、水および火炎に対する抵抗力を有するエンジニアードフローリングに関する。
【背景技術】
【0003】
生活水準が改善されると、その結果として室内装飾に対する消費者の要求が増大する。かつては、地面を単にセメントの層またはセメントのスラブで舗装することが唯一の床仕上げであったが、現在では、多様な装飾性床被覆材が利用可能になっており、なかでもウッドフローリングが最も一般的である。いくつかのフローリングは、その広範な装飾的美観にも拘らず、ある種の好ましくない物理的特性または性質を有している。例えば、別名では「ハードウッドフローリング(hardwood flooring)」と呼称される天然木材は、湿気および水に露出されると損傷を受けやすい可燃性の材料である。その結果、天然木フローリングは、耐水性能、耐火性能および耐湿気性能については、たとえあるとしても最低の性能しか備えていない。さらに、従来型のハードウッドフローリングに関連するもう1つの不利な点は、それが、通常、合板の基部構造を有するように製造されることである。このような従来型の構造は、合板の基部との強力な接合を保証するための予備的なステップを必要とする。
【0004】
天然のハードウッドフローリングは、装着の間に、多様な従来型の方法のいずれかによって床(通常コンクリートスラブ)に直接接着される。一般的に、それ自体水から作製されるコンクリートスラブは、フローリングを敷設する前に、湿気が蒸発するのに約18か月を要する。その下に土壌を有するコンクリートスラブは、常に、湿気を高濃度(例えば土壌中の高湿気含有量)から低濃度(例えば、木材床中の低湿気含有量、またはフローリングが装着される空間内の大気中の低湿気含有量)に吸収する傾向を有する。一般的に、液体および湿分は天然木フローリング中に容易に拡散し、これは、天然木フローリングの内部構造に変化をもたらす可能性がある。例えば、天然木フローリングが地面または土壌から湿気を吸収すると、通常、膨潤または「カップ状化(cupping)」のような歪みを生じる。天然木フローリングの歪みは、結果的に、フローリングの構造と全体的な外観とを損なう。
【0005】
さらに、従来型のハードウッドフローリングは3/4インチ以上の厚さを必要とする。エコに目覚めた今日の消費者は、美的な外観を犠牲にする必要なしに環境に対する影響を最小化する製品を追求する。必要な木材の厚さを低減でき、それによって環境への影響を最小化するようなエンジニアードウッドフローリングを設計することが望まれていると言えるであろう。
【0006】
従って、従来型のハードウッドフローリングに関わる前記の問題点を解決するエンジニアードウッドフローリングの開発が望まれる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来型のハードウッドフローリングに関わる前記の不利な点を低減しまたは最小化しまたは取り除くエンジニアードウッドフローリングを対象としている。
【0008】
本発明の一態様は、地面の床および地下の床(地下室)を含む任意のレベルの床に装着することができるエンジニアードウッドフローリングを対象とする。
【0009】
本発明の別の態様は、ハードウッドフローリングに比べて、使用する天然資源の量を最小化することによって環境に親和的なエンジニアードウッドフローリングを対象とする。
【0010】
本発明はストーンウッド複合材の基部を提供し、このストーンウッド複合材の基部が、木材のベニア層から離れたその基部の内部に、湿気、水分および熱を実質的に保持する。その結果、湿気、水分および/または熱による木材ベニア層に対するあらゆる好ましくない影響が最小化される。ストーンウッド複合材の基部が湿気、水分および熱を保持する特性によって、本発明のエンジニアードウッドフローリングは、比較的高い熱、水分、湿度および/または湿気に曝露される部屋、例えば、浴室、台所、洗濯室、脱衣所、温室、サンルームなどのような部屋に特によく適している。
【0011】
エンジニアードウッドフローリングの本発明のストーンウッド複合材の基部の別の特徴点は、従来型のハードウッドフローリングに比べて音響遮断特性が高いという点である。
【0012】
従来型の天然木フローリングとは異なって、本発明のエンジニアードウッドフローリングは順化時間を全く必要とせず、従って、装着工程が促進される。
【0013】
さらに、本発明のエンジニアードウッドフローリングの好ましい別の特徴点は、コンクリートへの敷設において、合板の下張り床のような床の下張り材を装着する必要性、コストおよび時間を省略できることである。床の下張り材なしで済ますことができるので、全体的なコストを低減しながら時間を節約できるだけでなく、隣接する部屋と玄関のような部分との間の高さの差異のような複雑さも排除できる。
【0014】
本発明のエンジニアードウッドフローリングのさらに別の好ましい特徴点は、それを、従来型の木材切断工具を用いて装着することができるという点である。
【0015】
本発明のエンジニアードウッドフローリングのもう1つの特徴点は、各片または各板を、好ましくはその少なくとも両側の縦方向の側面に、特に好ましくはすべての外側の端面または側面にさねはぎの形態を有するように製造し得る可能性である。
【0016】
本発明のエンジニアードウッドフローリングの別の特徴点は、その美的な外観に影響を及ぼすことなく、天然木のベニア層の必要な厚さを低減できることである。ベニア木材層の最小厚さは、本発明に従って約2mm〜約6mmの範囲内であるが、従来型のハードウッドフローリングの最小厚さは3/4インチ以上である。従って、同じ平方フィートの面積に対して必要な樹木の量は少なくなる。
【0017】
本発明の一実施態様は、ストーンウッド複合材の基部を有するエンジニアードウッドフローリングを対象としており、そのストーンウッド複合材の基部には、少なくとも1つのメッシュ層が埋め込まれる。基部の層には木材のベニア層が接着される。エンジニアードフローリングの少なくとも2つの側面には、さねはぎのようなインターロッキング構成が設けられる。ストーンウッド複合材の基部は湿気、水分および熱を保持する特性を有し、その特性が、基部および木材ベニア層の間の界面における接着層と共に、木材ベニア層を湿気、水分および熱から実質的に絶縁する。その結果、フローリングの各片が、相互にあるいは床に接合された時に、湿気、水分および/または熱に曝露されることによる接合部の好ましくない歪みが最小化される。
【0018】
本発明の別の特定の実施態様は、MgO、MgCl、木材の粉末、Fe、HPO、FeSOを含有するストーンウッド複合材を含む基部層を有するエンジニアードウッドフローリングを対象としている。基部層の内部には、3層のガラス繊維のメッシュ層が埋め込まれる。基部層には木材ベニア層が接着される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の以上の特徴および他の特徴は、以下の詳細説明と、本発明の実施態様を例示する図面とによってさらに容易に明らかになるであろう。図面においては、同じ参照番号は複数の図面を通して類似の要素を表している。
【0020】
図1図1は、本発明によるエンジニアードウッドフローリングの種々の層の部分断面図である。
図2図2は、本発明によるエンジニアードウッドフローリングの複数片の部分断面図であり、相補的なさねはぎの形態の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるエンジニアードウッドフローリング100の部分的断面図を図1に示す。フローリング100は、ストーンウッド複合材である基部層110を有する。ストーンウッド複合材は、MgO、木材粒子(例えば、削り屑、パルプまたは粉末)、MgCl、Fe、HPO、FeSOを含むことが望ましい。基部層110は、湿気、水分および/または熱をその周囲環境から吸収し、それを、基部層全体に形成されるエアポケット内に保持する。基部層の湿気および水分保持特性にも拘らず、そのストーンクリスタル組成物は、かびが生じたりかび臭を帯びたりすることは決してないであろう。温度および/または環境が変化するにつれて、基部層は、湿気、水分および/または熱を周囲環境に放出し、あるいは周囲環境から吸収する。頂部の木材ベニア層130は、基部層および木材ベニア層の界面に塗布される接着剤層140が絶縁体として作用するので、湿気、水分および/または熱によって実質的に影響を受けることはない。従来型のハードウッドフローリングは、木材繊維製であり、従って湿気を吸収し、それによって、木材の亀裂または萎縮を欠点としてもたらす可能性があるが、このような従来型のハードウッドフローリングと違って、本発明のエンジニアードウッドフローリングのストーンウッド複合材の基部層は、湿気、水分および/または熱を吸収するものの、接着剤層140によって頂部の木材ベニア層130から実質的に絶縁された状態が維持されるのである。
【0022】
本発明の環境親和的な立場に適合するという点で、基部層110においてはリサイクルされた木材粒子を用いることが望ましい。木材粒子は、フローリングを軽量化し、軟質化し、かつ柔軟化する。木材粒子の代わりに、あるいはそれに追加して、プラスチックの粒子を用いることができる。ストーンウッド複合材の基部層110の中には、少なくとも1つのメッシュ層120が埋め込まれる。このメッシュ層120はガラス繊維製であることが望ましく、それは、製造の間に、ストーンウッド複合材の基部層がまだ湿潤な状態において、その基部層の中に浸漬される。湿気または水分に曝露されても影響を受けない他のメッシュ材料を用いることができる。メッシュ層120は、フローリングの端部まで全面的に延びることが望ましい。図1および図2に表現される実施態様においては、3層のメッシュ層が示されている。すなわち、基部層の底面に近接しているが、それと同一平面ではない第1メッシュ層と、基部層の実質的に中心に配置された第2メッシュ層と、基部層の頂面に近接しているが、それと同一平面ではない第3メッシュ層とである。メッシュ層の層数および基部層内部におけるその配置は、所望により変更することができる。メッシュ層の層数および深さを変えることによって、得られる強度および支持力が適宜変化するであろう。
【0023】
メッシュ層120は、その中に画定されまたは形成される孔であって、ストーンウッド複合材がそれを通って流れるような孔、但し半固体の核を生成しながら流れるような孔を有する。製造を容易にするため、メッシュ120は、実質的に正方形の孔を形成する単純織りの織物である。他の形状または幾何学的形態の孔も考えられ、それも本発明の意図する範囲内である。実質的に正方形の孔の場合は、その好ましい寸法は約3/16インチ×約3/16インチである。所望により他の寸法も、2つの競合する因子を勘案しながら用いることができる。すなわち、一方では、孔の寸法は、ストーンウッド複合材が通過し得る程十分に大きくなければならず、他方では、孔の寸法は、基部層に十分な強度および支持力を付与する程度に小さくなければならない。一例として、図1に示すような3層のメッシュ層120を有するエンジニアードウッドフローリングの場合、次のような寸法が好ましい。すなわち、フローリングの全体厚さT4が約20mm、頂部の木材ベニア層110の厚さT3が約2mm、基部層の厚さT2が約18mm、各メッシュ層の厚さT1は、好ましくは約0.9mmである。
【0024】
前記のように、木材ベニア層130が、接着剤層140によって基部層110の上部表面に装着または接合または接着される。一実施態様においては、接着剤層140がネオプレンベースの接着剤であり、接着されたベニアを室温において所定時間(例えば約24時間)加圧する。別の実施態様においては、接着剤層140が湿気硬化型ウレタンベースの接着剤であり、接着されたベニアを室温において所定時間(例えば約2時間)加圧する。製品の環境親和的な性質に適合するという点で、仮にあっても最低のVOCを有する接着剤が望ましい。さらに、選択された接着剤は水または溶剤を含まないことが望ましい。これらは頂部の木材ベニア層を損傷する可能性があるからである。接着剤の一例はStauf Co.社が製造しているMagneglue(商標)である。木材ベニア層130は約2mm〜約6mmの範囲の厚さを有する。この厚さの範囲は、合板の基部を有する従来型のハードウッドフローリングの場合の必要厚さの3/4インチより大幅に小さく、これによって必要な樹木の本数を最少化できる。
【0025】
装着を容易にするため、当接するフローリング片に相補的なインターロッキング端部が設けられる。図解例として、凸部または隆起210が、エンジニアードフローリングの基部層110の一方の側面から突き出ている。図2に示すように、この凸部および凹部は木材ベニア層130の中には延び込んでいない。相補的な形状の凹部220は、エンジニアードフローリングの基部層110の反対側の側面に画定され、それによって、本発明によるエンジニアードウッドフローリングの1片の隆起210を、同様のフローリングのもう1片の相補的形状の凹部220に受け入れることができる。隆起210および相補的な凹部220は、エンジニアードウッドフローリングの各片の少なくとも2つの平行な側面に配置することが望ましく、さらに、装着時にフローリングが実質的に平坦な状態を確実に維持するように、すべての側面に配置することが最も望ましい。
【0026】
本発明によるエンジニアードウッドフローリングは安定性が改善されているので、床の下張り材は不要である。従って、エンジニアードウッドフローリングは、各片を相互に接合することによって、被覆されるべき床の上部に「浮かす(be floated)」ことができる。このような浮かし用途の場合には、フローリングの当接片の相補的な凸部および凹部を、凸部および凹部の界面における接着剤によって一緒に接合することが望ましい。従来型のさねはぎ用接着剤を用いることができる。必要であれば、エンジニアードウッドフローリングを既存のフローリング(例えば、積層板、ビニルタイル、セラミックタイル、低パイルカーペット)の上部に浮かすことができる。代わりの方式として、エンジニアードウッドフローリングを、例えばウレタンまたはポリマーベースの接着剤を用いて、被覆されるべき床に直接接着することができる。
【0027】
接着剤層140の界面の存在と共に、ストーンウッド複合材の基部層が水分、湿気および熱を保持する特性を有することによって、本発明のエンジニアードウッドフローリングの木材ベニア層130は、耐湿気性、耐水性および耐火性の特性を、従来型のハードウッドフローリングに比べて強化している。本発明のフローリングについて、耐湿気性および耐火性の試験を行って以下の結果を得た。
【実施例】
【0028】
湿気試験結果
本発明のエンジニアードウッドフローリングについて実施した試験法は、ASTM D3459「木材に対する環境循環(Cycled Environments on Wood)」であった。提供されたサンプルを立体的に試験して、外観をデジタル的に記録した。続いて、試験片を、実験室条件において、70°Fおよび50%相対湿度で48時間順化させ、引き続いて測定した。当初長さおよび幅の測定値を記録した。試験片を、100°Fにおいて95%湿度条件に48時間曝露し、サンプルを取り出して直ちに再測定した。続いて試験片を、0%湿度および120°Fの条件に48時間曝露し、サンプルを取り出して直ちに再測定した。このサイクルを1つのサンプルに対して実施し、各条件において測定した。木材層および摩耗層の外観を検査して、当初の状態に対して比較した。すべての段階の結果を以下に示す。

【0029】
有意の面亀裂が観察されたが、層の分離または平面的変化はなかった。
【0030】
耐火試験結果
本発明のエンジニアードウッドフローリングに対して実施された試験法は次のとおりである。
試験の必要条件:GB 8624−1997「建築材料に関する燃焼挙動についての分類(Classification on burning behavior)」
試験項目:臨界放射束試験(Critical Radiant Flux Test)
試験の概要:GB 8624−1997規格(表面燃焼性能(surfaces combustion performance)B1等級)の要件に準拠している。
【0031】
本発明によるエンジニアードウッドフローリングを構成するそれぞれの層の製造において準拠した好ましい方法を以下に簡潔に述べる。
【0032】
基部層は、ストーンウッド複合材の粉末に水を加えて型の中で調合し、続いて実質的に一様になるまで完全に混合する。ストーンウッド複合材における各成分の好ましい比率は次のとおりである。

この場合、3層のガラス繊維メッシュ材を混合物の中に埋め込むことが望ましい。各メッシュ層の配置および位置決めは所望に応じて変更することができるが、好ましくは次のとおりである。すなわち、第1メッシュ層を、底面に近接しているがそれと同一平面ではないように埋め込み、第2メッシュ層を基部層の実質的に中心に位置するように埋め込み、第3メッシュ層を、基部層の頂面に近接しているがそれと同一平面ではないように埋め込むのである。続いて、水を抜いて、混合物を、型内に保持したまま、所定時間、好ましくは約24時間養生する。次にボードを型から取り外して、空気中で、少なくとも約30日間再乾燥させ、続いて、乾燥したボードを所定寸法にカットする。次に、カットされたボードの頂面および底面を、約13mmの実質的に一様な厚さになるまで平坦に研磨する。
【0033】
ここで、木材ベニア層の調製について述べる。ベニアはJanka硬度スケールによって測定または等級化される。好ましい重要指標硬度数は約1000である。1000を超えるJanka硬度等級を有する木材は、木材から実質的にすべての湿気を除去するために乾燥蒸気法を用いる。加圧前またはボードに糊付けする前のベニアに湿気が多すぎると、亀裂または木材ベニアの欠陥を生じることがある。エンジニアードウッドフローリングの適正な生産のために、基部層と共に、強力なベニアの湿気の制御が望ましい。
【0034】
木材ベニア層の調製において取られるステップはJanka等級に応じて変化する。最初に、1000を超えるJanka等級のベニアについて述べる。約10%〜約13%の標準的な乾燥キルンの湿気含有量を有するベニアの場合、乾燥蒸気法によって湿気を除去する。この蒸気炉内における時間に関する限り各木材は異なるが、この乾燥蒸気法の目的は、湿気含有量を約3%〜約5%の範囲に低減することにある。通常、木材を、約10日〜約14日間乾燥蒸気に曝露する。続いて、乾燥したベニアをプラスチックで包装し、除湿乾燥室内で保管する。
【0035】
1000未満のJanka等級のベニアの場合は、約10%〜約13%の標準的なキルン乾燥の乾燥度を有するベニアを、ベニア中の湿気が約6%〜約8%に低下するまで除湿室内に置く。
【0036】
Janka等級に関係なく、適切な湿気含有量範囲内に達すると、ベニアを基部層に接着して、室温において所定時間加圧する。一実施態様においては、ベニアを、ネオプレン接着剤を用いて基部層に接着して、室温において24時間加圧する。別の実施態様においては、ベニアを、湿気硬化型のウレタン接着剤を用いて基部層に接着して、室温において2時間加圧する。ベニアの加圧が完了すると、以後のプロセスは全く同じである。
【0037】
加圧されたボードは、ベニアにおける乾燥度および基部層に対するボードの引張のような因子のために、長手方向に歪み、または曲がる。このような歪みを最小化または除去するために、加圧されたボードを、乾燥室に約4日間戻して、湿気が基部からベニアまで実質的に均等になるように、および/または、ボードが自然に実質的に平坦になるまで乾燥室内処理する。続いて、乾燥室から取り出してボードの表面を実質的に一様に研磨する。その後、ボードをカットして相補的なさねはぎを形成し、続いて、ボードを再度除湿室内に約24時間戻してから、最終的な研磨および仕上げのために取り出す。この時点で、仕上げられたボードを梱包し、装着に使用するために発送することができる。
【0038】
フローリングを装着するには、フローリングが被覆されるべき床が、清浄で、乾燥しており、実質的に平滑で、かつ実質的に平坦でなければならない。前記のように、本発明によるエンジニアードウッドフローリングは環境に順化させる必要はない。エンジニアードウッドフローリングで被覆されるべき床の露出表面に、接着剤を、その製造メーカによって推奨された工具または器具を用いて塗布する。通常、従来型のノッチこてを用いて、接着剤を塗布する。エンジニアードウッドフローリングの各片は、好ましくはランダムなパターンにおいて一緒にインターロックされたさねはぎを堅く押し付けながら、塗布された接着剤の上面に配置される。その短い接合部は、最も好ましくは、約6インチより近くなることなく相互に離れて配備される。エンジニアードウッドフローリングの各片は、従来型の切断工具(例えばチョップソー、テーブルソー)および従来型の切断ブレードを用いて所定サイズに切断される。浮かし床の場合には、接着剤は、被覆されるべき床ではなく、凸部および凹部の露出表面に塗布される。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施態様に適用された本発明の基本的に新規な特徴を提示し、記述し、指摘したが、図解された装置の型式および詳細とその運転とにおける種々の省略、取換えおよび変更が、本発明の本質および範囲から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるであろう。例えば、同じ結果を達成するために実質的に同じ機能を実質的に同じ方法において実現する要素および/またはステップのすべての組合せは、本発明の範囲内であることが明白に意図されている。記述された1つの実施態様から別の実施態様への要素の取換えも完全に意図されかつ考慮されている。図面は、必ずしも一定の縮尺どおりには描かれておらず、本質的に単に概念的なものであることも理解されるべきである。従って、添付の特許請求の範囲によって指示されるようにのみ限定されることが意図されている。
【0040】
本明細書において引用されたあらゆる刊行特許、係属中の特許出願、公刊文献、雑誌の論文、書籍または他の任意の参考文献は、それぞれ、その全体が参照により本願に組み込まれる。
図1
図2