特許第6021203号(P6021203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンセイアールアンドディの特許一覧

<>
  • 特許6021203-遊技機 図000002
  • 特許6021203-遊技機 図000003
  • 特許6021203-遊技機 図000004
  • 特許6021203-遊技機 図000005
  • 特許6021203-遊技機 図000006
  • 特許6021203-遊技機 図000007
  • 特許6021203-遊技機 図000008
  • 特許6021203-遊技機 図000009
  • 特許6021203-遊技機 図000010
  • 特許6021203-遊技機 図000011
  • 特許6021203-遊技機 図000012
  • 特許6021203-遊技機 図000013
  • 特許6021203-遊技機 図000014
  • 特許6021203-遊技機 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021203
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-104101(P2015-104101)
(22)【出願日】2015年5月22日
(62)【分割の表示】特願2013-225794(P2013-225794)の分割
【原出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-144964(P2015-144964A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】荒井 孝太
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
(72)【発明者】
【氏名】大秋 善幸
【審査官】 大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−046161(JP,A)
【文献】 特開2011−125738(JP,A)
【文献】 特開2004−073610(JP,A)
【文献】 特開2012−183422(JP,A)
【文献】 特開2012−187344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実の実時間を計測する実時間計測手段と、
演出上の仮想時間が表示される表示装置と、
前記仮想時間を更新する仮想時間更新手段と、
遊技者にとって通常遊技状態よりも有利な遊技状態である可能性、または通常遊技状態よりも有利な遊技状態に突入する可能性が、前記実時間と前記仮想時間が一致しているときの方が一致していないときよりも高くなるように構成された時間演出を行う時間演出手段と、
を備え、
前記仮想時間は前記仮想時間更新手段によって段階的に変化するものであり、
前記時間演出の開始時に前記実時間と前記仮想時間が異なるときには、当該時間演出の開始時における前記仮想時間が前記実時間の一つ手前の段階である場合にのみ、当該時間演出において前記仮想時間と前記実時間が一致することがあるように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記時間演出は、前記実時間と前記仮想時間が近づくほど、遊技者にとって通常遊技状態よりも有利な遊技状態である可能性、または通常遊技状態よりも有利な遊技状態に突入する可能性が高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記時間演出は、前記実時間と前記仮想時間が一致したときに、特殊演出が発生する可能性があるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現実の実時間を計測する手段を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、現実の実時間を計測するRTC(リアルタイムクロック)を備えた遊技機が記載されている。かかる遊技機は、RTCによって計測される実時間に応じて、所定の演出が実行されるように構成されたものである。しかし、下記特許文献1に記載の遊技機は、RTCによって計測される実時間が予め決められた所定の時間となったときに、予め定められた所定の演出が実行されるだけであり、刻々と変化する遊技中の演出と実時間が直接的に関係するわけではないため、遊技者の興味を惹きつける演出とは言い難かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−279351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、実時間を利用した趣向性の高い演出を実行することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、現実の実時間を計測する実時間計測手段と、演出上の仮想時間が表示される表示装置と、前記仮想時間を更新する仮想時間更新手段と、遊技者にとって通常遊技状態よりも有利な遊技状態である可能性、または通常遊技状態よりも有利な遊技状態に突入する可能性が、前記実時間と前記仮想時間が一致しているときの方が一致していないときよりも高くなるように構成された時間演出を行う時間演出手段と、を備え、前記仮想時間は前記仮想時間更新手段によって段階的に変化するものであり、前記時間演出の開始時に前記実時間と前記仮想時間が異なるときには、当該時間演出の開始時における前記仮想時間が前記実時間の一つ手前の段階である場合にのみ、当該時間演出において前記仮想時間と前記実時間が一致することがあるように構成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記時間演出は、前記実時間と前記仮想時間が近づくほど、遊技者にとって通常遊技状態よりも有利な遊技状態である可能性、または通常遊技状態よりも有利な遊技状態に突入する可能性が高くなるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の遊技機において、前記時間演出は、前記実時間と前記仮想時間が一致したときに、特殊演出が発生する可能性があるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、実時間計測手段によって計測される実時間と、演出上の仮想時間が関連した新たな演出となり、趣向性を向上させることが可能である。
また、遊技者にとって有利な遊技状態である、または有利な遊技状態に突入する可能性が、実時間と仮想時間が一致したときの方がそれ以外のときよりも高くなるように構成されているため、仮想時間と実時間が一致することに期待をもたせた演出となり、演出の趣向性を向上させることが可能になる。
また、「仮想時間と実時間の一致」という状況になるのは、演出開始時に実時間と仮想時間が異なっているときには仮想時間が実時間の一つ手前の段階である場合に限られるから、遊技者は仮想時間が実時間の一つ手前の段階に移行することを願うことになる。つまり、仮想時間が実時間の一つ手前の段階に移行することを願い、移行した場合には最終的に両時間が一致することを願うというように、段階的に遊技者の興味を惹きつける趣向性の高い演出とすることが可能である。
【0009】
請求項2に記載の発明のように、遊技者にとって有利な遊技状態である可能性、または有利な遊技状態に突入する可能性が、実時間と仮想時間が近づくほど高くなるように構成されていれば、遊技者は仮想時間が実時間に近づくよう願いながら演出を見守ることになるから、演出の趣向性をさらに高めることが可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明のように、実時間と仮想時間の一致を契機として特殊演出(背景の変化等)が発生する場合があるように構成することで、演出の趣向性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる遊技機の制御ブロック図である。
図3】サブ制御基板が行うメイン処理(サブ制御メイン処理)のフローチャートである。
図4】受信割り込み処理のフローチャートである。
図5】2msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
図6】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
図7】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
図8】変動パターン作成処理のフローチャートである。
図9】時間演出の具体例(演出開始時に実時間と仮想時間が一致しているケース)を示した図である。
図10】時間演出の具体例(演出開始時に実時間と仮想時間が一致していないケース)を示した図である。
図11】第一変形例を説明するための図である。
図12】第二変形例を説明するための図である。
図13】第三変形例を説明するための図である。
図14】第四変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0014】
遊技領域902には、表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置91の表示画面において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
【0015】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0016】
このような遊技機1では、発射装置を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。以下に特に明示した場合を除き、その他の構成等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、詳細な説明は省略する。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1の制御は、主に、図2に示す主制御基板51およびサブ制御基板52によってなされる。主制御基板51は、大当たり抽選等の遊技機の主要な部分に関する制御を実行する。サブ制御基板52は、主制御基板51によって決定された大当たり抽選結果等に基づき、遊技者に提供する演出の制御を行うものである。以下、サブ制御基板52によってなされる制御について説明する。なお、以下の説明における各種確率は、設定しようとする確率に基づいて乱数の総数および当選となる数値の総数(当選となる数値の総数/乱数の総数)=当選確率となる)等が予め設定されることにより実現されているものである。
【0018】
サブ制御基板52が行うサブ制御メイン処理(S1)では、図3に示すように、まずCPU初期化処理が行われる(S1−1)。詳しくは、スタックの設定、CPUの設定、SIO、CTCの設定等が行われる。そして、電源断信号がONで、かつ、サブ制御基板52のRAMの内容が正常であるか否かの処理が行われる(S1−2)。電源断信号がONでない、または、RAMの内容が正常でない場合には、RAMの初期化を行う(S1−3)。その後、ウォッチドッグタイマカウンタ1(2ms用)ウォッチドッグタイマカウンタ2の初期化を行う(S1−4)。ウォッチドッグタイマカウンタの初期化後、割り込みを禁止した上で(S1−5)、各種演出や各種図柄乱数等の更新処理を行う(乱数シード更新;S1−6)。更新処理後、割り込みを許可して(S1−7)ループ処理が行われる。このループ処理では、ウォッチドッグタイマカウンタ2の初期化や受信割り込み処理(S20)、2msタイマ割り込み処理(S30)、および10msタイマ割り込み処理(S40)が行われる。
【0019】
図4に示す受信割り込み処理(S20)は、主制御基板51からのコマンド(制御信号)を受信するための処理である。受信割り込み処理では、まず上記主制御基板51からのストローブ(STB)信号がONか確認され(S21)、ストローブ信号がON、すなわち外部INT入力部にストローブ信号が入力されると、上記主制御基板51から出力されたコマンド(制御信号)の受信およびRAMへの格納が行われる(S22)。一方、ストローブ信号がONになっていなければ、その時点でこの受信割り込み処理(S20)が終了する。
【0020】
図5に示す2msタイマ割り込み処理(S30)は、10msタイマ割り込み処理より優先して行われる。入出力制御処理(S31)では、外部データ(ランプデータ、操作スイッチデータ等)の入出力制御を行う。入力データ処理(S32)では、操作スイッチや駆動物(役物)を駆動する駆動機構の原点センサの入力データ作成(2ms用)を行う。駆動処理(S33)は、駆動物(役物)を駆動させるための処理である。ウォッチドッグタイマカウンタ1初期化処理(S34)では、ウォッチドッグタイマ1を初期化する。
【0021】
図6に示す10msタイマ割り込み処理(S40)では、まず、入力データ処理(S41)として操作スイッチや駆動物(役物)を駆動する駆動機構の原点センサの入力データ作成(10ms用)を行う。その後、詳細を後述するメインコマンド解析処理(S42)を行う。メインコマンド解析処理の後、ランプや駆動物(役物)等、演出関連の各種制御処理(S43)や、その他の処理(S44)を行う。
【0022】
図7に示すメインコマンド解析処理(S42)は、受信割り込み処理で主制御基板51から受信したコマンド(制御信号)を解析し、コマンドに対応した処理を行うものである。本実施形態において受信するコマンドには、大当たりに関するコマンド(大当たりの実行に関するコマンド等)および変動(演出)に関するコマンドが含まれる。
【0023】
メインコマンド解析処理(S42)では、まず、主制御基板51から受信したコマンドが大当たりに関するコマンドであるかどうかを判断する(S42−1)。大当たりに関するコマンドである場合(S42−1「Yes」)には、表示装置91に大当たりである旨を報知する処理などの大当たり設定処理(S42−2)を行う。S42−1において大当たりに関するコマンドでないと判断された場合(S42−1「No」)には、変動に関するコマンドであるかどうかが判断される(S42−3)。変動に関するコマンドであると判断された場合(S42−3「Yes」)には、詳細を後述する変動パターン作成処理(S42−5)を行う。大当たりに関するコマンドでなく、変動に関するコマンドでもないと判断された場合(S42−3「No」)には、その他のコマンドに対する設定処理を行う(S42−4)。なお、主制御基板51から送信されるコマンドとして、大当たりに関するコマンドおよび変動に関するコマンド以外のものが存在しないのであれば、当該その他のコマンドに対する設定処理は必要ない。
【0024】
図8に示す変動パターン作成処理(S42−5)は、主制御基板51から送信された変動に関するコマンドに基づいた変動パターン(演出)を実行させるための処理である。変動パターン作成処理では、まず、演出モード(背景画像等)等の各種変動情報の設定を行う(S42−5−1)。続いて、現在の演出モードがAモードかどうか確認される(S42−5−2)。Aモードでない場合(S42−5−2「No」)には、現在のモード、および受信した変動コマンドに応じた予告(演出)が設定される(S42−5−3)。
【0025】
S42−5−2においてAモードであると判断された場合には、通常遊技状態よりも有利な状態(本実施形態では大当たり)となるか否かを報知する一の演出である「時間演出」を実行するための処理を行う(当該時間演出を行う手段(本実施形態ではサブ制御基板52)が本発明における時間演出手段に相当する)。時間演出は、現在の実時間を計測することができる実時間計測手段であるRTC53(リアルタイムクロック)(図2参照。本実施形態ではサブ制御基板52に搭載されている)を用いた演出である。本実施形態では、Aモードである場合、表示装置91に演出上の仮想時間が表示され(表示装置91の表示領域の一部である仮想時間表示部911に表示される)、時間演出は上記実時間と仮想時間の関係により、大当たりの可能性が遊技者に報知されるものである。つまり、大当たり成立の有無に基づき、仮想時間を実時間に一致させたり、異ならせたりする(この仮想時間を(背景変更の選択に伴って)更新(調整)する手段が、本発明における仮想時間更新手段に相当する)。時間演出は、演出の趣向性の向上を図るため、遊技者が実時間と仮想時間の関係から大当たり成立の有無を予想することを狙ったものである。なお、本実施形態では、仮想時間は表示するが実時間は表示しない構成となっている。
【0026】
本実施形態では、実時間は「月」単位で計測する。これに合わせて仮想時間も「月」単位で更新する。なお、時間の単位は「月」に限られない。秒、分、曜日、年、干支等、時の経過によって変化する単位(暦)であればよい。上記S42−5−2においてAモードであると判断された場合(S42−5−2「Yes」)には、まず、実時間と表示装置91に表示されている現状の仮想時間が一致しているかどうかが判断される(S42−5−4)。実時間と仮想時間が一致している場合(S42−5−4「Yes」)には、当該演出を実行する変動が大当たりとなる変動かどうかが判断される(S42−5−5)。大当たりとなる変動である場合(S42−5−5「Yes」)には、第一演出テーブルから実行する時間演出の種類を選択する(S42−5−6)。第一演出テーブルは仮想時間を維持するパターンと更新(背景変更)するパターンを有し、大当たりである場合は、実時間と仮想時間が一致してもしなくてもいいため、第一演出テーブルにより抽選するように構成されている。また、第一演出テーブルを参照した抽選は、実時間と仮想時間が一致している状態となる(一致している状態が維持される)演出が選択される可能性が、実時間と仮想時間が異なる状態となる演出が選択される可能性よりも高くなるように設定した方が実時間と仮想時間が一致による有利な遊技状態になることへの期待感を向上させることが可能となる。上記S42−5−5において大当たりでない、すなわちはずれとなる変動であると判断された場合(S42−5−5「No」)には、第二演出テーブルから実行する時間演出の種類を選択する(S42−5−7)。本実施形態では、第二演出テーブルは仮想時間を更新(背景変更)するパターンにより構成し、第二演出テーブルを参照した抽選によって選択される演出は、全て、最終的には実時間と仮想時間が異なる状態となるものである。つまり、大当たりでない場合は、実時間と仮想時間が一致しない方がいいため、第二演出テーブルにより抽選するように構成されている。
【0027】
上記S42−5−4において実時間と表示装置91に表示されている現状の仮想時間が一致していないと判断された場合(S42−5−4「No」)には、仮想時間が実時間の一つ手前の月かどうかが判断される(S42−5−8)。仮想時間が実時間の一つ手前の月であると判断された場合(S42−5−8「Yes」)には、当該演出を実行する変動が大当たりとなる変動かどうかが判断される(S42−5−9)。大当たりとなる変動である場合(S42−5−9「Yes」)には、第一演出テーブルから実行する時間演出の種類を選択する(S42−5−10)。つまり、大当たりである場合は、実時間と仮想時間が一致してもしなくてもいいため、第一演出テーブルにより抽選するように構成されている。また、実時間と仮想時間が一致している状態となる(仮想時間が一月進行して両時間が一致する)演出が選択される可能性が、実時間と仮想時間が異なる状態(そのまま一月異なっている状態が維持される状態)となる演出が選択される可能性よりも高くした方が実時間と仮想時間が一致による有利な遊技状態になることへの期待感を向上させることが可能となる。上記S42−5−9において大当たりでない、すなわちはずれとなる変動であると判断された場合(S42−5−9「No」)には、第三演出テーブルから実行する時間演出の種類を選択する(S42−5−11)。本実施形態では、第三演出テーブルは仮想時間を維持するパターンにより構成し、第三演出テーブルを参照した抽選によって選択される演出は、全て、最終的には実時間と仮想時間が異なる状態となる(そのまま一月異なっている状態が維持される)ものである。つまり、大当たりでない場合は、実時間と仮想時間が一致しない方がいいため、第三演出テーブルにより抽選するように構成されている。なお、本実施形態では、演出開始時の仮想時間と実時間の差が、一段階(一月)であり、当否判定結果がはずれの場合は、そのまま一段階(一月)異なっている状態が維持されるように構成しているが、実時間と仮想時間が異なる状態となる状態になればよく、仮想時間を変更して二段階(二月)以上異なっている状態となるようにしてもよい。
【0028】
上記S42−5−8において仮想時間が実時間の一つ手前の月でないと判断された場合(S42−5−8「No」)には、当該変動が大当たりとなる変動であるか否かに拘わらず、第四演出テーブルから実行する時間演出の種類を選択する(S42−5−12)。本実施形態では、第四演出テーブルは仮想時間を維持するパターンと更新(背景変更)するパターンを有している。つまり、仮想時間が実時間の一つ手前の月でない場合は、仮想時間が更新(背景変更)するパターンを選択しても実時間と仮想時間が一致しない構成のため、第四演出テーブルにより抽選するように構成されている。よって第四演出テーブルを参照した抽選によって選択される演出は、全て、最終的には実時間と仮想時間が異なる状態となるものである。なお、第四演出テーブルは第一演出テーブルと同じテーブルで構成してもよいし、仮想時間を維持するパターンと更新(背景変更)するパターンの選択率が異なる違うテーブルで構成しても良いとする。よって、本実施形態では、時間演出の開始時において、仮想時間と実時間が一致している場合や、仮想時間が実時間の一つ手前の月であると判断された場合に、演出時に実時間と仮想時間が一致する可能性があるように設定されている。
【0029】
当該時間演出の具体例を図9および図10に示す。図10に示したものは、演出開始時に実時間(七月)と仮想時間が一致している場合の例(上記S42−5−4〜S42−5−7の演出例)である。演出が開始すると、最終的に同じ図柄(数字)で三つ揃ったときに大当たりとなる識別図柄が変動を開始する。本実施形態では、表示装置91の表示部の右上の仮想時間表示部911に仮想時間が表示されている。本実施形態の演出開始時の仮想時間は実時間と同じ七月である。
【0030】
大当たりとなる変動であり、第一演出テーブルを参照して決定された演出が仮想時間を維持するパターンで、最終的に実時間と仮想時間が一致している状態となるものである場合、そのまま仮想時間を変更させず、実時間と仮想時間が一致した状態を維持する。その後、所定のリーチ演出等を経て、最終的には識別図柄が三つ揃った状態となって大当たりが報知される(図9(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順で演出が進行する)。一方、大当たりとなる変動であり、第一演出テーブルを参照して決定された演出が仮想時間を更新(背景変更)するパターンで、最終的に実時間と仮想時間が一致していない状態となるものである場合、仮想時間を進行させて表示を次月(八月)とする。その後、所定のリーチ演出等を経て、最終的には識別図柄が三つ揃った状態となって大当たりが報知される(図9(a)、(b)、(g)、(h)、(i)、(j)の順で演出が進行する)。
【0031】
はずれとなる変動である場合、第二演出テーブルを参照して決定された演出は仮想時間を更新(背景変更)するパターンにより構成されているため、最終的に実時間と仮想時間が異なる状態となる。したがって、仮想時間を進行させて表示を次月(八月)とする。その後、最終的には、識別図柄が三つ揃った状態とならず、はずれが報知される。なお、そのまま(所定のリーチ演出等を経ずに)はずれが報知されてもよいし、所定のリーチ演出等を経てはずれが報知されてもよい(図9(a)、(b)、(g)、(k)または(a)、(b)、(g)、(h)、(i)、(l)の順で演出が進行する)。
【0032】
図10に示したものは、演出開始時に実時間(八月)と仮想時間が一致しておらず、仮想時間が実時間の一つ手前の段階である場合の例(上記S42−5−8〜S42−5−11の演出例)である。つまり、演出開始時の仮想時間は実時間の一つ手前の段階である七月である。
【0033】
大当たりとなる変動であり、第一演出テーブルを参照して決定された演出が仮想時間を更新(背景変更)するパターンで、最終的に実時間と仮想時間が一致している状態となるものである場合、そのまま仮想時間を変更させ、実時間と仮想時間を次月(八月)で一致させる。その後、所定のリーチ演出等を経て、最終的には識別図柄が三つ揃った状態となって大当たりが報知される(図10(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順で演出が進行する)。一方、大当たりとなる変動であり、第一演出テーブルを参照して決定された演出が仮想時間を維持するパターンで、最終的に実時間と仮想時間が一致していない状態となるものである場合、仮想時間を七月のまま維持し、仮想時間を実時間と一致させない。その後、所定のリーチ演出等を経て、最終的には識別図柄が三つ揃った状態となって大当たりが報知される(図10(a)、(b)、(g)、(h)、(i)、(j)の順で演出が進行する)。
【0034】
はずれとなる変動である場合、第三演出テーブルを参照して決定された演出は仮想時間を維持するパターンで構成されているため、最終的に実時間と仮想時間が異なる状態となる。したがって、仮想時間を七月のまま維持する。その後、最終的には、識別図柄が三つ揃った状態とならず、はずれが報知される。なお、そのまま(所定のリーチ演出等を経ずに)はずれが報知されてもよいし、所定のリーチ演出等を経てはずれが報知されてもよい(図10(a)、(b)、(g)、(k)または(a)、(b)、(g)、(h)、(i)、(l)の順で演出が進行する)。
【0035】
このように、時間演出では、最終的に実時間と仮想時間が一致する場合、実時間と仮想時間が一致しない場合のいずれかの状態になる。大当たりが成立している場合に実時間と仮想時間が一致する可能性は、大当たりが成立していない場合に実時間と仮想時間が一致する可能性よりも高く設定される。このような関係であれば、上記フロー(演出テーブルの内容(抽選確率))は適宜変更可能である。本実施形態では実時間と仮想時間が一致すれば必ず大当たりとなり、一致しない場合ははずれとなることがあるように設定しているが、実時間と仮想時間が一致している方が一致していない場合よりも大当たりになる可能性が高くなるように構成していればよい。例えば時間と仮想時間が一致すれば必ず大当たりとなり、一致しない場合は必ずはずれとなるようにしてもよい。また、例えば、実時間と仮想時間の一致が、大当たりの可能性が高いリーチ演出に発展する契機として設定することで、トータルで見て上記関係が成立するような構成としてもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、最終的な仮想時間が実時間を超えることがないように設定されているが、演出開始時の仮想時間が実時間の一つ手前の段階(一月前)である場合において、最終的に仮想時間と実時間を一致させたくないけど仮想時間を変更したいときには、最終的な仮想時間が実時間を超えるようにしてもよいとする。
【0037】
時間演出の内容を決定した後、その他の演出の内容を決定する抽選を行い(S42−5−1)、変動パターン作成処理は終了する。
【0038】
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1によれば、次のような効果が奏される。本実施形態にかかる遊技機1によれば、RTC53によって計測される実時間と、演出上の仮想時間の関係によって、有利な遊技状態(大当たり)に突入する可能性が示唆されるため、遊技者が実時間および仮想時間に注目する趣向性の高い演出とすることが可能である。特に、本実施形態のように、実時間と仮想時間が一致したときの方がそれ以外のときよりも有利な遊技状態(大当たり)になる可能性が高くなるように構成されていれば、遊技者は仮想時間が実時間に一致するよう願いながら演出を見守ることになる。
【0039】
また、本実施形態では、有利な遊技状態(大当たり)となる可能性が高い「仮想時間と実時間の一致」という状況になるのは、演出開始時に実時間と仮想時間が異なっているときには仮想時間が実時間の一つ手前の段階である場合に限られるから、遊技者は時間演出の開始時に仮想時間が実時間の一つ手前の段階に移行することを願うことになる。つまり、時間演出開始時に仮想時間が実時間の一つ手前の段階に移行することを期待し、移行した場合には最終的に両時間が一致することを願うというように、段階的に遊技者の興味を惹きつける趣向性の高い演出とすることが可能である。かかる設定は、いわゆる保留先読み演出としても利用することが可能である。つまり、ある当否判定結果を報知するに際し、それより前の当否判定結果を報知する変動を利用して、仮想時間を徐々に実時間に近づけていく演出として適用することもできる。
【0040】
なお、上記実施形態における時間演出は、有利な遊技状態(大当たり)となる可能性を示唆するものであることを説明したが、時間演出によって示唆される対象は大当たりに限られず、遊技者にとって有利な遊技状態に突入するか否かを示唆するものであればよい。例えば、大当たりになった場合にその後の遊技状態が低確率状態(通常状態)よりも遊技者に有利な高確率状態(確率変動(確変)状態)になるか否かを示唆してもよいとする。また、現在の遊技状態が遊技者にとって有利な状態である可能性を示唆するものであってもよい。例えば、現在の遊技状態が高確率状態(確率変動(確変)状態)であるか低確率状態(通常状態)であるかがはっきりとは分からない状況になりうる遊技機(いわゆる潜伏確変状態になりうる遊技機)において、遊技者にとって有利な高確率状態である可能性を、上記時間演出によって示唆するようにしてもよい。つまり、高確率状態である場合に実時間と仮想時間が一致する可能性は、高確率状態でない場合に実時間と仮想時間が一致する可能性よりも高くなるように構成されていてもよい。このように構成することにより、実時間と仮想時間が一致することへの期待感を持たせることが可能となる。よって、実時間とランダムに更新される仮想時間とを関連させた演出を行うことが可能となる。
【0041】
以上説明した上記実施形態にかかる遊技機1の変形例として以下のような構成が考えられる。上記実施形態では、有利な遊技状態(例:大当たり)となることが成立している場合に実時間と仮想時間が一致する可能性は、有利な遊技状態(例:大当たり)となることが成立していない場合に実時間と仮想時間が一致する可能性よりも高く設定されていることを説明したが、「実時間と仮想時間の近さ」によって有利な遊技状態(例:大当たり)になる可能性を示唆するようにしてもよい。その具体例(第一変形例)としては、図11に示すような構成が挙げられる。
【0042】
第一変形例は、一時間単位で時間が変化するものとする。実時間が12時台であるとき、仮想時間が12時台に近い場合ほど有利な遊技状態(例:大当たり)となる可能性が高くなる。例えば、仮想時間が12時台である(一致した)場合には、有利な遊技状態(例:大当たり)の可能性が80%に設定され(図11(a)参照)、仮想時間が11時台(一つ手前の段階である)場合には、有利な遊技状態(例:大当たり)の可能性が50%に設定され(図11(b)参照)、仮想時間が10時台(二つ手前の段階である)場合には、有利な遊技状態(例:大当たり)の可能性が30%に設定され(図11(c)参照)、仮想時間が9時台(三つ手前の段階である)場合には、有利な遊技状態(例:大当たり)の可能性が10%に設定される(図11(d)参照)、といった構成が例示できる。
【0043】
また、上記実施形態では、演出開始時に実時間と仮想時間が異なっているときには、仮想時間が実時間の一つ手前の段階である場合にのみ、当該演出において実時間と仮想時間が一致する可能性があることを説明したが、それ以外の場合でも一致する可能性があるように設定してもよい。例えば、図12に示すように時間演出の開始時における仮想時間が実時間に近いほど、当該時間演出において仮想時間と実時間が一致する可能性が高くなるように設定するとよい(第二変形例)。具体的には、実時間が12時台であるとき、演出開始時における仮想時間が11時台(一つ手前の段階である)場合には、当該演出において実時間と仮想時間が一致する可能性が50%に設定され(図12(a)参照)、仮想時間が10時台(二つ手前の段階である)場合には、当該演出において実時間と仮想時間が一致する可能性が30%に設定され(図12(b)参照)、仮想時間が9時台(三つ手前の段階である)場合には、当該演出において実時間と仮想時間が一致する可能性が10%に設定される(図12(c)参照)、といった構成が例示できる。かかる構成も、いわゆる保留先読み演出として適用可能である。
【0044】
当該第二変形例の内容は、有利な遊技状態となる(例:大当たり)場合に限り成立するような設定にしてもよいし、有利な遊技状態となる(例:大当たり)か否かに拘わらず成立するような設定にしてもよい。有利な遊技状態となる場合に限り成立する設定とすれば、演出開始時に実時間と仮想時間が近いほど当該演出において実時間と仮想時間が一致し、それを経て有利な遊技状態となる可能性が高まるから、演出開始時における「実時間と仮想時間の近さ」への注目をより高めることが可能である。当否判定結果が有利な遊技状態となるか否かに拘わらず成立するような設定であっても、最終的に実時間と仮想時間が一致した場合の有利な遊技状態となる可能性がそれ以外の場合よりも高く設定されているのであるから、演出開始時に実時間と仮想時間が近いほど当該演出において実時間と仮想時間が一致する可能性、すなわち有利な遊技状態となる可能性が高まることになる。ただし、当否判定結果が有利な遊技状態となる場合に限り成立するような設定とした場合の方が、演出開始時の「実時間と仮想時間の近さ」への注目が高まる。
【0045】
また、上記実施形態では、時間が段階的に進行していくものであることを説明したが、このような段階が存在しなくてもよい。つまり、図13に示す第三変形例ように、仮想時間が無段階(見た目上は秒単位)で進行していき、演出開始から所定時間経過後のある時点における実時間と仮想時間が近ければ近いほど、有利な遊技状態(例:大当たり)となる可能性が高くなるように設定してもよい。図13に示した例では、図13(a)から(b)に至ったケースの方が、図13(a)から(c)に至ったケースよりも有利な遊技状態(例:大当たり)となる可能性が高くなる。なお、上記第二変形例における演出開始時の「実時間と仮想時間の近さ」を無段階で具現化した構成としてもよい。
【0046】
図14に示す第四変形例は、実時間と仮想時間の関係に基づいた時間演出によって、特殊演出が発生する可能性がある例である。なお、ここでいう「特殊演出」とは、通常時には出現しにくい特定の演出(特殊なモード)のことをいう。表示装置91に表示される背景(変動する識別図柄の背景画像)が通常時の背景とは異なる背景となったり、通常時には表示されない文字やキャラクタが表示されたり、遊技中のBGMが通常時とは異なるものに変化したりすること等が、特殊演出の具体例として挙げられる。
【0047】
具体的には、図14(a)〜(c)に示すように、実時間が水曜日である場合において、仮想時間が火曜日から水曜日に変化し、実時間と仮想時間が一致したとする(図14(a)、(b))。この場合、背景として「太陽」が表示されたAモード(通常モード)であったモードが、背景として「月」が表示されたBモード(特殊モード)に変化する(図14(c))。つまり、実時間と仮想時間が一致することを契機として、通常時のモードとは異なる特殊なモードに移行する。すなわち、実時間と仮想時間が一致することを契機として、特殊演出が発生する。なお、実時間と仮想時間が一致した場合、必ずモードが変化する設定としてもよいし、モードが変化する可能性がある設定としてもよい。
【0048】
一方、図14(d)〜(f)に示すように、実時間が日曜日である場合において、仮想時間が土曜日のまま変化せず、実時間と仮想時間が一致しなかったとする(図14(d)、(e))。この場合、背景として「太陽」が表示されたAモード(通常モード)が維持される(図14(f))。
【0049】
このように、本変形例では、実時間と仮想時間が一致することを契機として特殊演出が発生する可能性がある。なお、特殊演出の発生が、大当たりの成否等、遊技者の直接的な利益に全く関係がないものであってもよいし、関係があるものであってもよい。関係がないものであっても、実時間と仮想時間の一致と特殊演出の発生が対応した趣向性の高い演出となる。関係があるものであれば、実時間と仮想時間が一致するということは、特殊演出を経て、利益が得られる可能性が高まるのであるから、演出に対する遊技者の興味をより一層高めることが可能となる。
【0050】
本変形例のように、時間演出によって特殊演出が発生する可能性ある構成は、時間演出によって遊技者の直接的な利益に関する情報を示唆する構成(上記実施形態および第一〜第三変形例で説明した構成)とともに用いてもよい。例えば、時間演出によって特殊演出の発生することもあれば、大当たりの成否が示唆(報知)されることがあるような構成としてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、実時間と仮想時間を関連させた演出を行う構成であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態では、仮想時間は表示する一方、実時間は表示しない構成となっているが、表示してもよいとする。また仮想時間の更新は背景変更の選択に伴って更新しているが、背景変更とは別に抽選・選択してもよいとする。また演出テーブル内に設けられた仮想時間を維持するパターンや更新(背景変更)するパターンは、一つであってもよいし複数であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 遊技機
52 サブ制御基板
53 RTC
91 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14