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特許6021209等速ジョイントのためのシャフト・アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021209
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】等速ジョイントのためのシャフト・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/84 20060101AFI20161027BHJP
   F16D 3/20 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   F16D3/84 R
   F16D3/20 Z
   F16D3/84 M
   F16D3/84 U
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-500544(P2015-500544)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-510096(P2015-510096A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】US2013030746
(87)【国際公開番号】WO2013138429
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/610,676
(32)【優先日】2012年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511310568
【氏名又は名称】ダナ オートモーティブ システムズ グループ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】オー、スン、ターク
【審査官】 岩谷 一臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−349010(JP,A)
【文献】 特開2006−275259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D3/20
F16D3/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の環状頂上部および第2の環状頂上部を有する第1のシャフトと、
前記第1のシャフトに固定されたブーツと
を備え、
前記第1の環状頂上部及び前記第2の環状頂上部が傾斜面によって分離され、前記第2の環状頂上部が前記傾斜面の端に取り付けられた、軸方向に伸びる表面を有し、
前記ブーツは、当該ブーツの内面に形成された入口部、一部螺旋部、及び、排出部を有するチャネルと、前記チャネルの端に隣接して配置されたダイアフラム部とを備え、
前記ダイアフラム部は、前記傾斜面を越えて設けられ、かつ、前記第2の環状頂上部の周りに前記第2の環状頂上部と連続的に接触するへりを有する、シャフト・アセンブリ。
【請求項2】
前記傾斜面と前記ダイアフラムとの間に設けられた間隙を更に備え、
前記間隙は、前記チャネルの端に設けられた排出開口と流体連結する、請求項1に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の環状頂上部と、前記傾斜面の一端に取り付けられた前記第2の環状頂上部との間に設けられた第1の軸表面を更に備える、請求項1または2に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項4】
前記へりの直径が、適合部の直径よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項5】
前記チャネルは、前記ブーツの長軸の周りをまわる、請求項1からのいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項6】
前記ダイアフラム部は、前記ブーツの適合部に取り付けられたフィレット部を更に有する、請求項1からのいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項7】
前記チャネルは、前記ブーツの長軸の周りを1回転未満まわる、請求項1からのいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項8】
前記チャネルは、前記ブーツの長軸の周りを少なくとも半回転まわる、請求項1からのいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項9】
前記チャネルは、前記ブーツの長軸の周りを約半回転まわる、請求項1からのいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項10】
前記チャネルは、前記ブーツの長軸の周りを半回転未満まわる、請求項1からのいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項11】
前記入口部は、前記ブーツの長軸に対して傾斜している、請求項1から10のいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項12】
前記排出部は、前記ブーツの長軸に対して傾斜している、請求項1から11のいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項13】
前記チャネルは、前記ブーツの適合部を通って延びる、請求項1から12のいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項14】
前記ブーツは、ブーツバンドアセンブリによって、前記第1の環状頂上部と前記第2の環状頂上部との間の前記第1のシャフトに固定される、請求項1から13のいずれか1項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項15】
第1の環状頂上部および第2の環状頂上部を有する第1のシャフトと、
前記第1のシャフトに固定されたブーツと
を備え、
前記第1の環状頂上部及び前記第2の環状頂上部が傾斜面によって分離され、前記第2の環状頂上部が前記傾斜面の端に取り付けられた、軸方向に伸びる表面を有し、
前記ブーツは、当該ブーツの内面に形成された入口部、一部螺旋部、及び、排出部を有するチャネルと、前記チャネルの端に隣接して配置されたダイアフラム部とを備え、
前記ダイアフラム部は、前記傾斜面を越えて設けられ、かつ、前記第2の環状頂上部と接触するへりを有し、
前記傾斜面と前記ダイアフラム部との間、および、前記第2の環状頂上部の一部と前記ダイアフラムとの間に、間隙が設けられ
前記間隙は、前記チャネルの端に設けられた排出開口と流体連結する、シャフト・アセンブリ。
【請求項16】
前記チャネルは前記ブーツの適合部に形成され、前記間隙は前記適合部の端と前記傾斜面との間に設けられる、請求項15の記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項17】
第1の環状頂上部および第2の環状頂上部を有する第1のシャフトと、
ブーツバンドアセンブリによって前記第1の環状頂上部および前記第2の環状頂上部の間の前記第1のシャフトに固定されたブーツと
を備え、
前記第1の環状頂上部及び前記第2の環状頂上部は第1の軸表面及び傾斜面によって分離され、前記第2の環状頂上部は前記傾斜面の端に取り付けられた軸方向に伸びる表面を有し、
前記ブーツは、当該ブーツの内面に形成された入口部、一部螺旋部、及び、排出部を有するチャネルを有し、
前記チャネルは、前記入口部及び前記排出部が前記ブーツの長軸および前記チャネルの端に隣接して配置されたダイアフラム部に対して傾斜するように、前記ブーツの長軸の周りをまわっており、
前記ダイアフラム部は、前記傾斜面を越えて設けられ、かつ、前記第2の環状頂上部と連続的に接触するへりを有し
前記傾斜面前記ダイアフラム部の間、および、前記第2の環状頂上部の一部と前記ダイアフラム部との間、間隙が設けられ
前記間隙は、前記チャネルの端に設けられた排出開口と流体連結する、シャフト・アセンブリ。
【請求項18】
前記チャネルは、等速ジョイントにおける内部要素および外部要素の間に設けられた空間と流体連結する、請求項17に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項19】
前記入口部は、前記一部螺旋部の幅より大きな幅を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項20】
前記入口部の幅は、前記一部螺旋部へと次第に細くなっている、請求項19に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項21】
入口開口が、前記チャネルの端に設けられ、
前記入口開口は、前記入口部に取り付けられ、前記一部螺旋部の幅より大きな幅を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載のシャフト・アセンブリ。
【請求項22】
前記入口開口の幅は、前記入口部へと次第に細くなっている、請求項21に記載のシャフト・アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法(35USC)の119条第e項によって、2012年3月14日に出願された米国特許仮出願、出願番号第61/610,676 号における出願日の便益を享受し、その全内容は、参照によりここに取り入れられる。
【0002】
本発明は、加圧ガスを等速ジョイントからベントする(排気する、逃がす)ことを可能とするシャフト・アセンブリに関する。より具体的には、本発明は、等速ジョイントに隣接する空間の加圧ガスを大気中へとベントすることのできるシャフト・アセンブリに関する。
【0003】
等速ジョイントにおける回転および/または押し込みにより生成された複数の加圧ガスをベントするための複数のブーツおよび複数のアセンブリが知られている。しかしながら、これら公知のブーツおよびアセンブリでは潤滑剤が過剰に失われてしまい、あるいは堅牢なベントを提供することができない。そのため、潤滑剤の損失を最小化し、効果的にベントし、かつ等速ジョイントを汚染物質から保護することのできる改良されたアセンブリを提供することが求められている。
【発明の概要】
【0004】
一実施例において、シャフト・アセンブリが、提供される。シャフト・アセンブリは、第1のシャフトを備える。第1のシャフトは、第1の環状頂上部及び第2の環状頂上部を有する。第1の環状頂上部及び第2の環状頂上部が傾斜面によって分離される。第2の環状頂上部は、傾斜面の端に取り付けられた軸方向に伸びる表面を有する。ブーツは、シャフトに固定される。ブーツは、チャネルと、チャネルの一端に隣接して配置されたダイアフラム部とを有する。チャネルは、ブーツの内面に形成された、入口部、一部螺旋部、及び排出部を有する。第ダイアフラム部は、傾斜面を越えて設けられ、かつ第2の環状頂上部と接触するへりを有する。
【0005】
他の実施例において、シャフト・アセンブリは第1のシャフトを備える。第1のシャフトは、第1の環状頂上部および第2の環状頂上部を有する。第1の環状頂上部及び第2の環状頂上部は、第1の軸表面及び傾斜面によって分離される。第2の環状頂上部は、傾斜面の端に取り付けられた軸方向に伸びる表面を有する。ブーツは、ブーツバンドアセンブリによって第1の環状頂上部および第2の環状頂上部の間のシャフトに固定される。ブーツは、チャネルと、当該チャネルの一端に隣接して配置されたダイアフラム部とを有する。チャネルは、ブーツの内面に形成された、入口部、一部螺旋部、及び排出部を有する。チャネルは、入口部及び排出部がブーツの長軸に対して傾斜するように、ブーツの長軸の周りをまわる。ダイアフラム部は、傾斜面を越えて設けられ、かつ第2の環状頂上部と連続的に接触するへりを有する。傾斜面およびダイアフラム部の間に間隙が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
上記および本発明の他の利点は、添付の図面に照らして考慮された場合に、以下の詳細な説明から当業者であれば容易に明らかになるであろう。
図1】アセンブリの実施例を表した断面図であり、本発明に従ったシャフトは極めて細い線で示される。
図1A図1のアセンブリの一部を表した拡大断面図である。
図2図1のアセンブリにおいて用いられるブーツの実施例の正面図である。
図3】3−3線に沿って図2のブーツの実施例を表した断面図である。
図4】4−4線に沿って図2のブーツの実施例を表した部分的な断面図である。
図5】5−5線に沿って図2のブーツの実施例を表した部分的な断面図である。
図5A】5A−5A線に沿って図2のブーツの実施例を表した部分的な断面図である。
図6】6−6線に沿って図2のブーツの実施例を表した断面図である。
図7】7−7線に沿って図2のブーツの実施例を表した部分的な断面図である。
図8】8−8線に沿って図2のブーツの実施例を表した部分的な断面図である。
図9図1のアセンブリのシャフトの実施例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
明示的に除外して記述された場合を除いて、本発明が様々な他の方向性及びステップ・シーケンスを仮定できると理解されるべきである。添付の図面に例示され、以下の明細書に記載される特定の物品、アセンブリ及び特徴は、本発明の概念の例示的な複数の実施例であるに過ぎないことも理解されるべきである。それゆえ、開示されている複数の実施例に関する具体的な寸法、方向、またはその他の物理的特徴は、特に明記しない限り、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。またここで記載された様々な実施例における同じ構成要素は、そうではない場合もありうるが、本出願の本節において同じ参照番号で共通して参照されてよい。
【0008】
ここで図面を参照すると、等速ジョイント11(以下では「アセンブリ」としても参照される)で発生した圧力をベント(排気)するためのシャフト・アセンブリ10が、図1に例示される。アセンブリ10は、車両(不図示)用の等速ジョイントと関連して記載される。ここで記載されているアセンブリ及びベントの方法が、オンハイウェイ及びオフハイウェイの車両に対して適用することができることは、当業者によって理解される。さらには当業者には、本発明が、工業、蒸気機関、および航空宇宙的なアプリケーションを有することができることが理解される。
【0009】
等速ジョイント11は、第2のシャフト(不図示)に接続された外部要素14と第1のシャフト12の先端部16に形成された内部要素15とを有する。特に明記しない限り、本明細書で使用されている「半径の」「半径方向に」「軸の」および「軸方向に」という用語は、第1のシャフト12の長軸13に関連してアセンブリ10において利用されうる所定の構成要素の方向を参照する。等速ジョイント11は、内部要素15と外部要素14との間に配置される複数の溝18に球17が適合するように構成される。しかしながら、当然のことながら、いかなるタイプの等速ジョイントであっても本明細書に記載の発明を実施する際に利用されることができる。
【0010】
アセンブリ10は第1のシャフト 12を有する。第1のシャフトは等速ジョイント11に取り付けられる。ここで図9を参照すると、第1のシャフト12は、第1の環状頂上部20と第2の環状頂上部22とを有する。第1の環状頂上部20は、一端側では第1の内側傾斜面24によって、他端側では第2の内側傾斜面26によって、第1のシャフト12に接続されている。一実施例において、第1の内側傾斜面24および第2の内側傾斜面26の少なくとも一部が、第1のシャフト12の長軸13に対して鋭角となるように形成される。
【0011】
第1の軸表面28が、第1の環状頂上部20と第2の環状頂上部22との間に設けられる。これにより第1の軸表面28は、第2の環状頂上部22を第1の環状頂上部20から分離する。第1の軸表面28は、1つの端部30において第2の内側傾斜面26に取り付けられ、別の端部34において外側傾斜面 32に取り付けられる。一実施例において、第1の軸表面28は、第1の環状頂上部20の軸長よりも長い軸長を有する。
【0012】
外側傾斜面32は、凹形状部または凸形状部と共に形成されてもよい。しかしながら、外側傾斜面32は、好ましくは線形部として形成される。これらの実施例において、好ましくは、外側傾斜面32の少なくとも一部分は、第1のシャフト12の長軸13に対して鋭角となるように形成される。
【0013】
外側傾斜面32は第2の環状頂上部22に取り付けられ、第2の環状頂上部22を第1の環状頂上部20から分離する。第2の環状頂上部22は、軸方向に延びる表面(以下では「第2の軸表面38」としても参照される)を有する。1つの端部において、第2の軸表面38は外側傾斜面32の一端に取り付けられる。反対側の端部において、第2の軸表面38は第2の環状頂上部22を第1のシャフト12の中央部分36へ取り付ける。
【0014】
第1のシャフト12は、後端部40から中央部36へ、直径が減少してもよい。好ましくは、後端部40は、大直径部42から中直径部44へと直径が減少し、そして更には小直径部46へと直径が減少する。特定の複数の実施例において、複数の中間直径部48、48Aが、大直径部42と中直径部44との間、及び/または、中直径部44と小直径部46との間に位置する。また特定の複数の実施例において、第1のシャフト12は、中直径部44に載置されたセンターベアリング(不図示)を介して支持部材(不図示)により回転可能に支持される。
【0015】
図1に戻り、空間50が内部要素15と外部要素14との間に設けられる。球17を滑りやすくするために、グリースまたは適切な他の潤滑剤が空間50の中に配置され、これにより滑りやすさが向上し耐用年数が増加する。アセンブリ10は、ブーツ52及びブーツアダプタ 54を有する。ブーツ52及びブーツアダプタ54は、汚染物質が空間50に入ること及び、潤滑剤が空間50から漏れ出ることを防止すべく、空間50を取り囲むために設けられる。
【0016】
ブーツアダプタ54は、好ましくは、薄い金属シートから作られ、第1の端部56において外部要素14に取り付けられる。第1の端部56は実質的に円筒形状を有していてもよく、好ましくは、外部要素14の一端の近くに位置するシール部材58を越えて設けられる。シール部材58は、外部要素14の周辺部の周りに設けられ、Oリングかその同種のものであってよい。
【0017】
ブーツアダプタ54はまた第2の端部60を有する。第2の端部60は、接続部62において、ブーツ52に接触し、かつ取り付けられる。第2の端部60は、実質的に円筒形状を有してよい。一実施例において、第2の端部60は、丸み部分66に取り付けられたベース部分64を有する。本実施例において、第2の端部60は、丸み部分66における特定の複数の部分が互いに重なり合うように、折り曲げられる。丸み部分66は丸縁部68に取り付けられてよい。図1に示されるように、ベース部分64、丸み部分66および丸縁部68は、ブーツ52における接続部62と接触してもよい。
【0018】
ブーツ52の接続部62は、ベース部分64、および丸み部分66に取り付けられ、ブーツアダプタ54の丸縁部68が設けられた場合には、丸縁部68に取り付けられる。一実施例において、ブーツ52は、エラストマー材料で作られる。これにより、ブーツアダプタ54およびブーツ52を互いに取り付けるべく、接続部62はベース部分 64、および丸み部分66及び/または丸縁部68の間で圧縮されてよい。これらの実施例において接続部62は、フランジ部分70を有してもよい。ある実施例において、フランジ部分70は、丸められた端部を有する。また特定の複数の実施例においてフランジ部分70は、接続部62の隣接部72よりも大きな厚みを有し、そして、第1のシャフト12の周りを環状に延伸してもよい。
【0019】
ブーツ52は、内面74および外面76を有する。ブーツアダプタ54および第1のシャフト12に取り付けられた場合に、内面74の特定の複数の部分は、空間50に隣接し、特定の複数の部分は第1のシャフト12と接触する。外面76は大気へ曝されている。ブーツ52は、第1のシャフト12の長軸13と一直線にそろった長軸77を有する。ブーツ52と第1のシャフト12とは同心である。
【0020】
ブーツアダプタ54および第1のシャフト12に取り付けられた場合に、ブーツ52は環状折りたたみ部78を有する。環状折りたたみ部78は1つの端80において接続部62に取り付けられる。またブーツ52はつば82を有する。つば82は環状折りたたみ部78の別の端84に取り付けられる。つば82は、首部86、適合部88およびダイアフラム部90を有する。首部86は適合部88に取り付けられ、適合部88はダイアフラム部90に取り付けられる。好ましくは、適合部88の厚みは、首部86とダイアフラム部90の厚みよりも大きい。
【0021】
図1Aに最も良く例示されているように、適合部88は第2の内側傾斜面26と外側傾斜面32との間に配置され、第1の軸表面28と接触する。アセンブリ10はブーツ52を第1のシャフト12へ固定するためにブーツバンドアセンブリ92を有する。ブーツ52は、好ましくは、第1のシャフト12に永久的に固着される。ブーツ52が第1のシャフト12に固定された場合、ブーツ52は第1のシャフト12に沿って軸方向に移動しないことが好ましい。
【0022】
ブーツ52は、第1の環状頂上部20と第2の環状頂上部22の間で第1のシャフト12に固定される。好ましくは、適合部88がブーツバンドアセンブリ92によって第1のシャフト12に取り付けられる。一実施例において、ブーツ52は、その外面76において、一対の環状突起94を有する。これらの環状突起94は、ブーツバンドアセンブリ92が適合部88の周りに位置することを確実にするために設けられる。
【0023】
ブーツバンドアセンブリ92はバンド部96と1または複数の耳98を有してよい。好ましくは、バンド部96は適合部88の周りに環状に位置する。1または複数の耳98は、バンド部96の周囲を調整すべくクリンプすることができ、これにより、ブーツ52を第1のシャフト12へ固定する。
【0024】
図2から図8に、ブーツアダプタ54または第1のシャフト12に取り付けられていない場合のブーツ52を示し、これらの図は様々な特徴を記述するために用いられる。図示するように、ブーツ52は大型直径部100からつば82へと次第に細くなっており、かつ一般的には漏斗形状である。
【0025】
ブーツ52は、その内面74に形成されたチャネル102を有する。チャネル102は空間50と流体連結する。一実施例において、チャネル102はつば82における予め定められた複数の部分に形成される。好ましくは、チャネル102は、適合部88に形成され、適合部88を通って延びる。また、チャネル102は首部86の一部に形成されてもよい。
【0026】
チャネル102は、入口部104、一部螺旋部106および排出部108を有する。入口部104は一部螺旋部106に取り付けられ、一部螺旋部106は排出部108に取り付けられる。チャネル102は、また、チャネル102の一端に設けられた入口開口110と、チャネル102の反対側の端に設けられた排出開口112とを有する。入口開口110は入口部104に取り付けられ、排出開口112は排出部108に取り付けられる。一実施例において、入口開口110、入口部104、一部螺旋部106、排出部108および排出開口112は隣接している。
【0027】
好ましくは、チャネル102は、単一の連続したチャネルとして形成される。そのようにチャネル102を形成することは、当然のことながら、周知のチャネル設計よりも利点がある。好ましくは、チャネル102において妨害物に敏感な複数の領域を生じさせうるジョイント部や継ぎ目の界面を有さないように、チャネル102がブーツ52の内面74によって画定される。一実施例において、チャネル102における入口開口110、排出開口112および複数の部分104、106、108は、成形により形成される。
【0028】
一部螺旋部106は、ブーツ52の長軸77に対して傾斜するように向きが定められる。一部螺旋部106は、入口部104および排出部108と流体連結している。特定の複数の実施例において、一部螺旋部106は、実質的に一定の幅を有し、適合部88の周りに延びる。
【0029】
ここで図4を参照すると、排出部108はブーツ52の長軸77に対して傾斜するように向きが定められる。アセンブリ10が形成される場合に、排出開口112は間隙114と流体連結する。間隙114は、外側傾斜面32および適合部88における一端の間に設けられる。また、間隙114は外側傾斜面32およびダイアフラム部90の間に設けられる。加えて間隙114は、ダイアフラム部90と第2の環状頂上部32の一部分との間に設けられてもよい。
【0030】
入口開口110および入口部104が、図5に最も良く示される。例示されるように、入口部104は、ブーツ52の長軸77に対して傾斜するように向きが定められる。アセンブリ10が形成される場合に、入口開口 110は、空間50およびチャネル102の間に流体連結を提供する。
【0031】
図3−5に最も良く例示されるように、チャネル102は所定の長さを有し、ブーツ52の長軸77の周りをまわる。好ましくは、チャネル102は、ブーツ52の長軸77の周りを1回転未満まわる。しかしながら、特定の複数の実施例において、チャネル102は、ブーツ52の長軸77の周りを少なくとも半回転であって1回転未満、まわる。好ましくは、チャネル102は、ブーツ52の長軸77の周りを約半回転まわる。他の複数の実施例においてチャネル102は、ブーツ52の長軸77の周りを半回転未満まわる。これらの実施例において、チャネル102の有効長さは、公知のチャネルと比べて低減される。この特徴により、加圧ガスの効率的で逐次的なベントを可能とし、潤滑剤が失われるのを最小化し、かつ製造するのにより安価でより簡易なチャネル102を提供する。
【0032】
ダイアフラム部90は、排出開口112に近接したチャネル102の一端に隣接して配置される。ダイアフラム部90は、外側傾斜面32および第2の環状頂上部22を越えて設けられる。図3−5に最も良く例示されるように、ダイアフラム部90は、第1のフィレット部116、環状部118およびへり120を有する。ダイアフラム部90は、また第2のフィレット部122を有してもよい。適合部88は、第1のフィレット部116に取り付けられる。第1のフィレット部116は、ブーツ52の内面74に設けられたフィレット124を有する。第1のフィレット部116は、環状部118に取り付けられる。環状部118が設けられる場合には、へり120または第2のフィレット部122に取り付けられる。従って、第2フィレット部122が設けられる場合には、へり120に取り付けられ、かつブーツ52の内面74にフィレット124を有する。第2のフィレット部122は、ブーツ52の内面74に設けられたフィレット126を有する。
【0033】
図3に最も良く例示されるように、特定の複数の実施例において、第1のフィレット部116は、環状部118よりも大きな厚みを有する。また、一実施例において、環状部118の直径128は、へり120の直径130よりも大きい。これらの実施例において、へり120の直径130は、適合部88の直径132よりも大きい。
【0034】
図1Aに戻って、第1のフィレット部 116は、外側傾斜面32と接触しない。加えて、環状部118は、第2の環状頂上部22と接触しない。好ましくは、へり120が第2の環状頂上部22と連続的に接触するように、へり120が第2の環状頂上部32に圧入される。ここで図4を参照すると、一実施例において、へり120は、第1の半径方向の面134とシール面136とを有する。シール面136は、第2の環状頂上部22に接触し、へり120と第2の環状頂上部22との間をシールする。
【0035】
へり120は、第2の環状頂上部22に接触し、弾力的なシールを提供する。このシールは弾力的で、汚染物質がブーツ52に入ることおよび潤滑剤が漏れ出ることを防止し、しかしながら、特定の条件の下で空間50の圧力を大気へベントすることを可能とする。一実施例において、このシールはへり120が第2の環状頂上部22に接触する隙間に、選択的に形成されてよい。
【0036】
上記で述べたように、空間50の中で圧力が生じる。空間50の圧力が特定の値に到達した場合、及び/または空間50の圧力と大気圧との差が過度に大きくなった場合に、複数の加圧ガス(即ち、通常の大気圧よりも加圧された複数のガス)が、大気へベントされる。圧力を逃がす目的で、圧力をベントするための経路138がアセンブリ10を通って設けられる。経路138は、空間50から圧力を軽減するだけでなく、汚染物質が空間50に入らずかつ潤滑剤が漏れないように、設けられることが理解されるべきである。
【0037】
経路138はチャネル102を有する。好ましくは、チャネル102は、連続的でかつ切れ目がないように、第1のシャフト12の複数の部分の周りをまわる。ベントの最中、加圧ガスは、空間50から入口開口110、入口部104および一部螺旋部106を通って流れる。また複数の加圧ガスは、排出部108と排出開口112とを通って流れる。
【0038】
経路138は、また間隙114を有する。図1Aに最も良く例示されるように、適合部88の端部は、外側傾斜面32に隣接するが外側傾斜面32とは接触しない。加えて、ダイアフラム部90は、外側傾斜面 32とは接触しない。これにより、適合部88及びダイアフラム部90並びに外側傾斜面32の間に間隙114が設けられる。等速ジョイント11とブーツ52の間の空間50は、入口開口 110を通じてチャネル102と流体連結し、チャネル102は、排出開口112を通じて間隙114と流体連結する。ベントの最中に、加圧ガスは、排出開口112を通って間隙 114へと流れる。
【0039】
加圧ガスは、経路138を通り、へり120の辺りにおいて、大気へと放出される。このように、経路138はまた、へり120と第2の環状頂上部22との間に、選択的に形成されたシールを有してもよい。ベント最中に、加圧ガスは、間隙114を通り、かつ、へり120を過ぎて流れる。圧力が空間50からベントされて特定の値へと戻った後、へり120と第2の環状頂上部22との間のシールが元の状態へ戻り、へり120を過ぎた複数のガス流を止める。
【0040】
図5Aは、シャフト・アセンブリ10での使用に適したチャネル102Aの追加の複数の実施例を例示する。図5Aに例示された複数の実施例は、アセンブリ10において、上記のチャネル102の複数の実施例に代えてまたは組み合わせて利用されてよい。
【0041】
図5Aに図示されるように、チャネル102Aは、入口開口140、入口部142および一部螺旋部106を有する。入口開口140は入口部142に取り付けられ、入口部142は一部螺旋部106に取り付けられる。好ましくは、入口開口140は、一部螺旋部106の幅146よりも大きな幅144を有する。また好ましくは、入口部142は、一部螺旋部106の幅146よりも大きな幅148を有する。
【0042】
入口開口140の幅144は入口部142へと次第に細くなっていてよい。入口部142の幅144は、一部螺旋部106へと次第に細くなっていてよい。好ましくは、入口開口140の幅144は、一部螺旋部106の幅146よりも大きく、かつ、入口部142へと次第に細くなっている。この実施例において、入口開口140は、入口開口140の少なくとも1つの側152に形成される半径150を有してよい。例示されるように、チャネル102Aは、断面が、漏斗形状または円錐形状であってよい。
【0043】
上記に記載した複数の実施例は、周知の設計に勝る更なる利点を提供することができる。例えば、入口開口140及び/または入口部142が、チャネル102Aの他の部分106、108よりも広い場合、入口開口140が潤滑剤等によって塞がれることは少ない。これにより、より迅速かつ逐次的に、圧力の軽減が達成されてよい。加えて、入口開口140に半径150も設けることにより、とがった複数の角を有するチャネルを備えたブーツと比べて、ブーツ52の製造を容易にすることができる。
【0044】
図6−8は、シャフト・アセンブリ10での使用に適したチャネル102Bの追加の複数の実施例を例示する。図6−8に例示された複数の実施例は、アセンブリ10において、上記のチャネル102、102Aの複数の実施例に代えてまたは組み合わせて利用されてよい。
【0045】
図6−8に図示されるように、チャネル102Bは、入口開口110、入口部104、一部螺旋部106、排出部108、および排出開口112を有する。入口開口110は入口部104へ取り付けられ、入口部104は一部螺旋部 106へ取り付けられ、一部螺旋部106は排出部108へ取り付けられ、排出部108は排出開口112へ取り付けられる。本実施例において、チャネル102Bはまた、一部螺旋部106に取り付けられかつ流体連結した半環状部154を備える。他の複数の実施例において、半環状部154は、入口部104または排出部108に取り付けられかつ流体連結してもよいことが理解されるべきである。半環状部154は、成形を利用して形成されてよい。
【0046】
半環状部154はブーツ52の内面74に形成される。好ましくは、半環状部154は実質的に一定の幅156を有する。一実施例において半環状部154は、半径方向に適合部88の周りをまわる。好ましくは、半環状部154は、ブーツ52の内面74において、180度より大きい円弧に延びる。一実施例において、半環状部154は、270度未満の円弧に延びる。他の複数の実施例において、半環状部154は、ブーツ52の内面74において、180度未満の円弧に延びる。
【0047】
上記したように、ブーツ52は、取り付けられた状態のまま第1のシャフト12の軸方向に移動しないように、第1のシャフト12に永久的に固着される。ブーツ52に取り付けられている間、チャネルの複数の部分が閉じられるように、チャネルの特定の複数の部分が圧縮されてよい。このように、半環状部154を利用することにより、チャネル102Bが閉じられるかまたは部分的に閉じられる場合に通って流れる複数の加圧ガスのための追加の経路を提供してよい。上記した詳細な説明から、真の範囲および趣旨から逸脱することない範囲で、様々な複数の変更、複数の追加および他の複数の実施例が可能であることは明らかである。ここで議論された複数の実施例は、本発明の原理及び実際の用途の最良の例示を提供し、これにより当業者が本発明を、様々な形態でかつ特定の予期された使用に適するように様々な変更を伴って使用することが可能なように、選択されて記載された。そのような全ての修正及び変更は本発明の範囲内であることが理解されよう。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図9