特許第6021213号(P6021213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIエアロスペースの特許一覧

<>
  • 特許6021213-無線ガス検知システム、レクテナ 図000002
  • 特許6021213-無線ガス検知システム、レクテナ 図000003
  • 特許6021213-無線ガス検知システム、レクテナ 図000004
  • 特許6021213-無線ガス検知システム、レクテナ 図000005
  • 特許6021213-無線ガス検知システム、レクテナ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021213
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】無線ガス検知システム、レクテナ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
   G01N27/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-93842(P2012-93842)
(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公開番号】特開2013-221859(P2013-221859A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】小澤 雄一郎
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−208376(JP,A)
【文献】 特表2010−530063(JP,A)
【文献】 特開平05−093704(JP,A)
【文献】 特開2009−041938(JP,A)
【文献】 北吉均 他,無電源10m超応答可能な無線タグ温度センサ,信学技報,2005年 3月,Vol.104 No.680,pp.179-184
【文献】 篠原真毅 他,レクテナ技術のバッテリレス微小電力機器への応用,信学技報,2010年 3月,pp.27-32 (SPS2009-17)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/24
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数の電磁波を送信する送電装置と、
前記送電装置から送信される電磁波を受信するアンテナ、前記アンテナに誘起する交流電力を整流し、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する整流素子を含み、前記整流素子が前記所定のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合し、前記整流素子の電流電圧特性が変化したときにインピーダンス不整合が生じて前記所定の周波数の反射波が増加するレクテナと、
前記アンテナから送信される電磁波を受信して測定することによって前記所定のガスを検出する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システム。
【請求項2】
第1周波数及び第2周波数を含む周波数帯域で周波数が変化する電磁波を送信する送電装置と、
前記送電装置から送信される電磁波を受信する第1アンテナ、前記第1アンテナに誘起する交流電力を整流し、第1のガスに反応して電流電圧特性が変化する第1整流素子、前記第1アンテナと前記第1整流素子との間に設けられ、前記第1周波数を中心周波数とする第1バンドパスフィルタを含み、前記第1整流素子が前記第1のガスに反応していない状態において前記第1周波数でインピーダンスが整合し、前記第1整流素子の電流電圧特性が変化したときにインピーダンス不整合が生じて前記第1周波数の反射波が増加する第1レクテナと、
前記送電装置から送信される電磁波を受信する第2アンテナ、前記第2アンテナに誘起する交流電力を整流し、第2のガスに反応して電流電圧特性が変化する第2整流素子、前記第2アンテナと前記第2整流素子との間に設けられ、前記第2周波数を中心周波数とする第2バンドパスフィルタを含み、前記第2整流素子が前記第2のガスに反応していない状態において前記第2周波数でインピーダンスが整合し、前記第2整流素子の電流電圧特性が変化したときにインピーダンス不整合が生じて前記第2周波数の反射波が増加する第2レクテナと、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナから送信される電磁波を受信して測定することによって前記第1のガス及び前記第2のガスをそれぞれ検出する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システム。
【請求項3】
所定の周波数の電磁波を送信する送電装置と、
前記送電装置から送信される電磁波を受信する第1アンテナ、前記第1アンテナに誘起する交流電力を整流し、第1のガスに反応して電流電圧特性が変化する第1整流素子、前記第1整流素子で整流された直流電力で動作し、第1識別情報を含む信号の電磁波を前記第1アンテナから送信する第1送信回路を含み、前記第1整流素子が前記第1のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合し、前記第1整流素子の電流電圧特性が変化したときにインピーダンス不整合が生じて、前記第1整流素子から前記第1送信回路へ供給される直流電力が低下し、前記第1アンテナから送信される前記第1識別情報を含む信号の電磁波の強度が低下する第1レクテナと、
前記送電装置から送信される電磁波を受信する第2アンテナ、前記第2アンテナに誘起する交流電力を整流し、第2のガスに反応して電流電圧特性が変化する第2整流素子、前記第2整流素子で整流された直流電力で動作し、第2識別情報を含む信号の電磁波を前記第2アンテナから送信する第2送信回路を含み、前記第2整流素子が前記第2のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合し、前記第2整流素子の電流電圧特性が変化したときにインピーダンス不整合が生じて、前記第2整流素子から前記第2送信回路へ供給される直流電力が低下し、前記第2アンテナから送信される前記第2識別情報を含む信号の電磁波の強度が低下する第2レクテナと、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナから送信される電磁波を受信して測定することによって前記第1のガス及び前記第2のガスをそれぞれ検出する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システム。
【請求項4】
所定の周波数の電磁波を受信するアンテナと、
前記アンテナに誘起する交流電力を整流し、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する整流素子と、を備え、
前記整流素子が前記所定のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合し、前記整流素子の電流電圧特性が変化したときにインピーダンス不整合が生じて前記所定の周波数の反射波が増加する、ことを特徴とするレクテナ。
【請求項5】
請求項4に記載のレクテナにおいて、前記アンテナと前記整流素子との間に設けられ、前記所定の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタをさらに備える、ことを特徴とするレクテナ。
【請求項6】
請求項4に記載のレクテナにおいて、前記整流素子で整流された直流電力で動作し、所定の識別情報を含む信号の電磁波を前記アンテナから送信する送信回路をさらに備える、ことを特徴とするレクテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの微量漏洩を検出するガス検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池やプラント、ロケットエンジン等を安全に運用する上では、水素ガス等のガス漏れに起因する事故を未然に防止する等の観点から、水素ガス等の微量漏洩を高精度に検出可能なガス検知システムが不可欠である。このようなガス検知システムに用いられる水素ガスセンサとしては、例えば接触燃焼式センサ、気体熱伝導式センサ、熱線型半導体式センサ等が実用化されている(例えば非特許文献1を参照)。また近年は、水素ガスセンサとしてGaN系材料を用いたショットキーバリアダイオードの研究開発が進められている(例えば非特許文献2を参照)。このGaN系材料を用いたショットキーバリアダイオードは、水素ガスに反応して電流電圧特性が変化する性質を有するダイオードである。
【0003】
また燃料電池やプラント、ロケットエンジン等のガス検知システムにおいては、ガスセンサを有線接続で配置することが困難な場合もある。この場合、例えばガスセンサへの電力供給及びガスセンサからの検出信号の受信を無線で行うことが可能になれば、従来配置することができなかった場所にもガスセンサを配置することが可能になる。
【0004】
無線電力伝送技術の一例としては、近年、研究開発が進められているレクテナ(Rectenna)技術が公知である。このレクテナ技術は、微小な消費電力の電子機器への無線給電に適している。ここでレクテナとは、例えばダイポールアンテナと整流回路とで構成され、マイクロ波のエネルギーを直流電流に整流変換するアンテナである(例えば非特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】福井 清、“水素ガスセンサの現状と将来”、[online]、表面技術、[平成23年12月6日検索]、インターネット〈URL:http://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/57/4/244/#pdf/-char/ja/〉
【非特許文献2】松尾 一心、他3名、“GaN系ショットキー形水素ガスセンサーの作製と評価”、[online]、[平成23年12月6日検索]、インターネット〈URL:http://annex.jsap.or.jp/hokkaido/yokousyuu40th/B-3.pdf〉
【非特許文献3】篠原 真毅、他3名、“レクテナ技術のバッテリレス微小電力機器への応用”、[online]、信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE SPS2009-17(2010-03)、[平成23年12月6日検索]、インターネット〈URL:http://www.ieice.org/~wpt/paper/SPS2009-17.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、ガスセンサへの電力供給及びガスセンサからの検出信号の受信を無線で行うことが可能になれば、例えば従来配置することができなかった場所にもガスセンサを配置することが可能になる。またガス検出の対象となる場所は、人間が立ち入ることが困難な環境条件となる場合が多いため、緊急時等に現場においてガスセンサを有線接続で設置するのは容易ではない。しかしガスセンサへの電力供給及びガスセンサからの検出信号の受信を無線で行うことが可能になれば、そのような場所に予めガスセンサを配置しておくだけで、緊急時等にガスの微量漏洩の有無を検出することが容易に可能になる。
【0007】
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、所定の周波数の電磁波を送信する送電装置と、前記送電装置から送信される電磁波を受信するアンテナ、前記アンテナに誘起する交流電力を整流し、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する整流素子を含み、前記整流素子が前記所定のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合するレクテナと、前記アンテナから送信される電磁波を受信して測定する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システムである。
尚、本発明において「電磁波を送信」とは、電磁波を放射することを意味し、「電磁波を受信」とは、電磁波を電気エネルギーに変換することを意味する。
【0009】
レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置する。そして所定の周波数の電磁波を送電装置からレクテナへ送信する。レクテナは、整流素子が所定のガスに反応していない状態において所定の周波数でインピーダンスが整合する。したがって整流素子が所定のガスに反応していない状態においては、レクテナから反射波はほとんど生じない。他方、レクテナは、整流素子が所定のガスに反応すると、整流素子の電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、所定の周波数の電磁波となってアンテナから送信される。
【0010】
したがってレクテナから送信される所定の周波数の電磁波の有無や強度の変化を電磁波測定装置で測定することによって、そのレクテナの整流素子が所定のガスに反応しているか否かを特定することができる。つまり所望の場所における所定のガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができる。
【0011】
これにより本発明の第1の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。
【0012】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、第1周波数及び第2周波数を含む周波数帯域で周波数が変化する電磁波を送信する送電装置と、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第1アンテナ、前記第1アンテナに誘起する交流電力を整流し、第1のガスに反応して電流電圧特性が変化する第1整流素子、前記第1アンテナと前記第1整流素子との間に設けられ、前記第1周波数を中心周波数とする第1バンドパスフィルタを含み、前記第1整流素子が前記第1のガスに反応していない状態において前記第1周波数でインピーダンスが整合する第1レクテナと、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第2アンテナ、前記第2アンテナに誘起する交流電力を整流し、第2のガスに反応して電流電圧特性が変化する第2整流素子、前記第2アンテナと前記第2整流素子との間に設けられ、前記第2周波数を中心周波数とする第2バンドパスフィルタを含み、前記第2整流素子が前記第2のガスに反応していない状態において前記第2周波数でインピーダンスが整合する第2レクテナと、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナから送信される電磁波を受信して測定する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システムである。
【0013】
第1レクテナ及び第2レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置する。そして第1周波数及び第2周波数を含む周波数帯域で周波数が変化する電磁波を送電装置から第1レクテナ及び第2レクテナへ送信する。第1レクテナは、第1周波数を中心周波数とする第1バンドパスフィルタが設けられているので、第1周波数及びその近傍の周波数の電磁波だけを送受信することになる。同様に、第2レクテナは、第2周波数を中心周波数とする第2バンドパスフィルタが設けられているので、第2周波数及びその近傍の周波数の電磁波だけを送受信することになる。
【0014】
第1レクテナは、第1整流素子が第1のガスに反応すると、第1整流素子の電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、第1周波数の電磁波となって第1アンテナから送信される。また第2レクテナは、第2整流素子が第2のガスに反応すると、第2整流素子の電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、第2周波数の電磁波となって第2アンテナから送信される。
【0015】
そして電磁波測定装置において、第1レクテナから送信される第1周波数の電磁波、及び第2レクテナから送信される第2周波数の電磁波の有無や強度の変化を個々に測定する。それによって第1整流素子が第1のガスに反応しているか否か、第2整流素子が第2のガスに反応しているか否かをそれぞれ特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができるとともに、その微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0016】
これにより本発明の第2の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。またその微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0017】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、所定の周波数の電磁波を送信する送電装置と、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第1アンテナ、前記第1アンテナに誘起する交流電力を整流し、第1のガスに反応して電流電圧特性が変化する第1整流素子、前記第1整流素子で整流された直流電力で動作し、第1識別情報を含む信号の電磁波を前記第1アンテナから送信する第1送信回路を含み、前記第1整流素子が前記第1のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合する第1レクテナと、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第2アンテナ、前記第2アンテナに誘起する交流電力を整流し、第2のガスに反応して電流電圧特性が変化する第2整流素子、前記第2整流素子で整流された直流電力で動作し、第2識別情報を含む信号の電磁波を前記第2アンテナから送信する第2送信回路を含み、前記第2整流素子が前記第2のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合する第2レクテナと、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナから送信される電磁波を受信して測定する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システムである。
【0018】
第1レクテナ及び第2レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置する。そして所定の周波数の電磁波を送電装置から第1レクテナ及び第2レクテナへ送信する。第1レクテナの第1送信回路は、第1整流素子で整流された直流電力で動作し、第1識別情報を含む信号の電磁波を第1アンテナから送信する。また第2レクテナの第2送信回路は、第2整流素子で整流された直流電力で動作し、第2識別情報を含む信号の電磁波を第2アンテナから送信する。
【0019】
第1整流素子が第1のガスに反応すると、第1整流素子の電流電圧特性が変化するため、第1レクテナのインピーダンス不整合が生じる。それによって第1送信回路へ供給される直流電力が低下するため、第1送信回路から送信される第1識別情報を含む信号の電磁波は、強度が低下するか、全く送信されない状態となる。また第2整流素子が第2のガスに反応すると、第2整流素子の電流電圧特性が変化するため、第2レクテナのインピーダンス不整合が生じる。それによって第2送信回路へ供給される直流電力が低下するため、第2送信回路から送信される第2識別情報を含む信号の電磁波は、強度が低下するか、全く送信されない状態となる。
【0020】
そして電磁波測定装置において、第1レクテナから送信される第1識別情報を含む信号の電磁波、及び第2レクテナから送信される第2識別情報を含む信号の電磁波の有無や強度の変化を個々に測定する。それによって第1整流素子が第1のガスに反応しているか否か、第2整流素子が第2のガスに反応しているか否かをそれぞれ特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができるとともに、その微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0021】
これにより本発明の第3の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。またその微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0022】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、所定の周波数の電磁波を受信するアンテナと、前記アンテナに誘起する交流電力を整流し、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する整流素子と、を備え、前記整流素子が前記所定のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合する、ことを特徴とするレクテナである。
【0023】
レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置し、所定の周波数の電磁波をレクテナへ送信する。レクテナは、整流素子が所定のガスに反応していない状態において所定の周波数でインピーダンスが整合する。したがって整流素子が所定のガスに反応していない状態においては、レクテナから反射波はほとんど生じない。他方、整流素子が所定のガスに反応すると、整流素子の電流電圧特性が変化するため、レクテナのインピーダンス不整合が生じてレクテナからの反射波が増加する。この反射波は、所定の周波数の電磁波となってアンテナから送信される。
【0024】
したがってレクテナから送信される所定の周波数の電磁波の有無や強度の変化を測定することによって、そのレクテナの整流素子が所定のガスに反応しているか否かを特定することができる。つまり所望の場所における所定のガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができる。これにより本発明の第4の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。
【0025】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、前述した本発明の第4の態様において、前記アンテナと前記整流素子との間に設けられ、前記所定の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタをさらに備える、ことを特徴とするレクテナである。
本発明の第5の態様によれば、前述した本発明の第4の態様で得られる作用効果に加えて、所定の周波数以外の周波数の電磁波に対して反射波が出力されることを防止することができるので、不要な反射波の発生を抑制することができるという作用効果が得られる。
【0026】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第4の態様において、前記整流素子で整流された直流電力で動作し、所定の識別情報を含む信号の電磁波を前記アンテナから送信する送信回路をさらに備える、ことを特徴とするレクテナである。
【0027】
レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置し、所定の周波数の電磁波をレクテナへ送信する。レクテナは、整流素子が所定のガスに反応していない状態において所定の周波数でインピーダンスが整合する。したがって整流素子が所定のガスに反応していない状態においては、レクテナの送信回路は、整流素子で整流された直流電力で動作し、所定の識別情報を含む信号の電磁波をアンテナから送信する。他方、整流素子が所定のガスに反応すると、整流素子の電流電圧特性が変化するため、レクテナのインピーダンス不整合が生じる。それによって送信回路へ供給される直流電力が低下するため、送信回路から送信される所定の識別情報を含む信号の電磁波は、強度が低下するか、全く送信されない状態となる。
【0028】
したがってレクテナから送信される所定の識別情報を含む信号の電磁波の有無や強度の変化を測定することによって、そのレクテナの整流素子が所定のガスに反応しているか否かを特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができる。これにより本発明の第6の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施例の無線ガス検知システムの構成を図示したブロック図。
図2】第1実施例のレクテナの回路図。
図3】第2実施例の無線ガス検知システムの構成を図示したブロック図。
図4】第2実施例の第1レクテナ及び第2レクテナの回路図。
図5】第3実施例の第1レクテナ及び第2レクテナの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、本発明は、以下説明する実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0032】
<第1実施例>
本発明に係る無線ガス検知システムの第1実施例について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は、第1実施例の無線ガス検知システムの構成を図示したブロック図である。図2は、第1実施例のレクテナの回路図である。
【0033】
第1実施例の無線ガス検知システムは、送電装置10、レクテナ20及び電磁波測定装置30を備える。
【0034】
送電装置10は送電アンテナ11を含む。送電装置10は、例えば10GHzの周波数(所定の周波数)の電磁波を送電アンテナ11から送信する。より具体的には送電装置10は、交流信号を発生する発振器、発振器が出力する交流信号を変調する変調回路、変調回路の出力信号を増幅する電力増幅器等を含む公知の装置である。
【0035】
レクテナ20は、受電アンテナ21、ショットキーバリアダイオード22、コンデンサ23、抵抗器24を含む。
【0036】
「アンテナ」としての受電アンテナ21は、送電装置10の送電アンテナ11から送信される電磁波を受信する。「整流素子」としてのショットキーバリアダイオード22は、受電アンテナ21に誘起する交流電力を整流して直流電力に変換する。またショットキーバリアダイオード22は、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する素子であり、例えば水素ガスに反応して電流電圧特性が変化するGaN系ショットキーバリアダイオードである。この「整流素子」としては、特に高周波特性に優れるショットキーバリアダイオードが好適であるが、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する素子であれば、例えばダイオード等の整流素子を用いることもできる。コンデンサ23は、主に平滑コンデンサとして機能する。抵抗器24は負荷抵抗である。
【0037】
レクテナ20は、ショットキーバリアダイオード22が水素ガスに反応していない状態において、10GHzの周波数でインピーダンスが整合する。レクテナ20のインピーダンスは、例えばショットキーバリアダイオード22の特性、コンデンサ23の容量、抵抗器24の抵抗値、ショットキーバリアダイオード22とコンデンサ23との間の配線長を調整することによって整合させることができる。より高精度にレクテナ20のインピーダンスを整合させる上では、例えばインピーダンス調整用のスタブ(stub)をレクテナ20に設けるのが好ましい。
【0038】
電磁波測定装置30は、受信アンテナ31を含む。電磁波測定装置30は、公知の電波測定器等であり、レクテナ20の受電アンテナ21から送信される電磁波を受信して測定するための装置である。
【0039】
このような構成の第1実施例の無線ガス検知システムにおいて、レクテナ20は、ガスセンサとして所望の場所に配置される。そして10GHzの周波数の電磁波が送電装置10からレクテナ20へ送信される。レクテナ20は、ショットキーバリアダイオード22が水素ガスに反応していない状態において10GHzの周波数でインピーダンスが整合する。したがってショットキーバリアダイオード22が水素ガスに反応していない状態においては、レクテナ20から反射波はほとんど生じない。他方、レクテナ20は、ショットキーバリアダイオード22が水素ガスに反応すると、ショットキーバリアダイオード22の電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、10GHzの周波数の電磁波となって受電アンテナ21から送信される。
【0040】
したがってレクテナ20から送信される10GHzの周波数の電磁波の有無や強度の変化を電磁波測定装置30で測定することによって、そのレクテナ20のショットキーバリアダイオード22が水素ガスに反応しているか否かを特定することができる。つまり所望の場所における水素ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができる。
【0041】
このようにして本発明によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができる。
【0042】
<第2実施例>
本発明に係る無線ガス検知システムの第2実施例について、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3は、第2実施例の無線ガス検知システムの構成を図示したブロック図である。図4は、第2実施例の第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bの回路図である。
【0043】
第2実施例の無線ガス検知システムは、送電装置10、第1レクテナ20a、第2レクテナ20b及び電磁波測定装置30を備える。電磁波測定装置30については、第1実施例と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0044】
第2実施例の送電装置10は、第1周波数及び第2周波数を含む周波数帯域で周波数が変化する電磁波を送信する。ここで例えば第1周波数を20GHz、第2周波数を30GHzとすると、送電装置10は、20GHz〜30GHzの範囲で周波数が周期的にスイープする電磁波を送電アンテナ11から送信する。あるいは20GHz及び30GHzの周波数の電磁波を送電アンテナ11から交互に送信してもよい。
【0045】
第2実施例の第1レクテナ20aは、第1受電アンテナ21a、第1ショットキーバリアダイオード22a、第1コンデンサ23a、第1抵抗器24a、第1バンドパスフィルタ25aを含む。
【0046】
「第1アンテナ」としての第1受電アンテナ21aは、送電装置10の送電アンテナ11から送信される電磁波を受信する。「第1整流素子」としての第1ショットキーバリアダイオード22aは、第1受電アンテナ21aに誘起する交流電力を整流して直流電力に変換する。また第1ショットキーバリアダイオード22aは、第1のガス(例えば水素ガス)に反応して電流電圧特性が変化する素子である。第1コンデンサ23aは、主に平滑コンデンサとして機能する。第1抵抗器24aは負荷抵抗である。第1バンドパスフィルタ25aは、第1受電アンテナ21aと第1ショットキーバリアダイオード22aとの間に設けられており、中心周波数が20GHzのバンドパスフィルタである。
【0047】
第2レクテナ20bは、回路構成は第1レクテナ20aと同じであり、第2受電アンテナ21b、第2ショットキーバリアダイオード22b、第2コンデンサ23b、第2抵抗器24b、第2バンドパスフィルタ25bを含む。
【0048】
「第2アンテナ」としての第2受電アンテナ21bは、送電装置10の送電アンテナ11から送信される電磁波を受信する。「第2整流素子」としての第2ショットキーバリアダイオード22bは、第2受電アンテナ21bに誘起する交流電力を整流して直流電力に変換する。また第2ショットキーバリアダイオード22bは、第2のガス(第1のガスと異なる種類のガス)に反応して電流電圧特性が変化する素子である。第2コンデンサ23bは、主に平滑コンデンサとして機能する。第2抵抗器24bは負荷抵抗である。第2バンドパスフィルタ25bは、第2受電アンテナ21bと第2ショットキーバリアダイオード22bとの間に設けられており、中心周波数が30GHzのバンドパスフィルタである。
【0049】
第2実施例の第1レクテナ20aは、第1ショットキーバリアダイオード22aが第1のガスに反応していない状態において、20GHzの周波数でインピーダンスが整合する。他方、第2実施例の第2レクテナ20bは、第2ショットキーバリアダイオード22bが第2のガスに反応していない状態において、30GHzの周波数でインピーダンスが整合する。
【0050】
このような構成の第2実施例の無線ガス検知システムにおいて、第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bは、ガスセンサとして所望の場所にそれぞれ配置される。そして20GHz〜30GHzの範囲で周波数が周期的にスイープする電磁波が送電装置10から第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bへ送信される。あるいは20GHz及び30GHzの周波数の電磁波が送電アンテナ11から交互に送信されるようにしてもよい。第1レクテナ20aは、中心周波数が20GHzの第1バンドパスフィルタ25aが設けられているので、20GHz及びその近傍の周波数の電磁波だけを送受信することになる。同様に、第2レクテナ20bは、中心周波数が30GHzの第2バンドパスフィルタ25bが設けられているので、30GHz及びその近傍の周波数の電磁波だけを送受信することになる。
【0051】
第1レクテナ20aは、第1ショットキーバリアダイオード22aが第1のガスに反応すると、第1ショットキーバリアダイオード22aの電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、20GHzの周波数の電磁波となって第1受電アンテナ21aから送信される。また第2レクテナ20bは、第2ショットキーバリアダイオード22bが第2のガスに反応すると、第2ショットキーバリアダイオード22bの電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、30GHzの周波数の電磁波となって第2受電アンテナ21bから送信される。
【0052】
そして電磁波測定装置30において、第1レクテナ20aから送信される20GHzの周波数の電磁波、及び第2レクテナ20bから送信される30GHzの周波数の電磁波の有無や強度の変化を個々に測定する。それによって第1ショットキーバリアダイオード22aが第1のガスに反応しているか否か、第2ショットキーバリアダイオード22bが第2のガスに反応しているか否かをそれぞれ特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができるとともに、その微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0053】
このようにして本発明によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができる。またその微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
尚、第2実施例は、第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bを備える無線ガス検知システムを例に説明したが、レクテナの数は、特にこの2つに限定されるものではなく、3つ以上のレクテナを設けても本発明が実施可能であることは言うまでもない。
【0054】
<第3実施例>
本発明に係る無線ガス検知システムの第3実施例について、図3及び図5を参照しながら説明する。
第3実施例の無線ガス検知システムは、第2実施例と同様に、送電装置10、第1レクテナ20a、第2レクテナ20b及び電磁波測定装置30を備える(図3)。ただし第3実施例の送電装置10は、第1実施例と同様に、例えば10GHzの周波数(所定の周波数)の電磁波を送電アンテナ11から送信する。電磁波測定装置30については、第1実施例と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0055】
図5は、第3実施例の第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bの回路図である。
第3実施例の第1レクテナ20aは、第1受電アンテナ21a、第1ショットキーバリアダイオード22a、第1コンデンサ23a、第1RFスイッチ26a、第1電源回路27a、第1変調制御回路28aを含む。
【0056】
「第1アンテナ」としての第1受電アンテナ21a、「第1整流素子」としての第1ショットキーバリアダイオード22a、第1コンデンサ23aは、第2実施例と同様である。第1RFスイッチ26a、第1電源回路27a、第1変調制御回路28aは、第1ショットキーバリアダイオード22aで整流された直流電力で動作し、第1識別情報を含む信号の電磁波を第1受電アンテナ21aから送信する「第1送信回路」を構成する。
【0057】
第1RFスイッチ26aは、高周波スイッチ回路であり、第1受電アンテナ21aから第1ショットキーバリアダイオード22aへの信号経路と、第1変調制御回路28aから第1受電アンテナ21aへの信号経路とを切り替えるスイッチである。第1電源回路27aは、第1ショットキーバリアダイオード22aで整流された直流電力で動作し、一定の直流電圧を第1変調制御回路28aへ供給する。第1変調制御回路28aは、第1電源回路27aが出力する直流電圧で動作し、第1RFスイッチ26aを介して、第1識別情報を含む交流信号を第1受電アンテナ21aへ出力する。この第1識別情報は、複数のレクテナの中から第1レクテナ20aを識別して特定するための情報であり、第1レクテナ20aに固有の情報である。
【0058】
第2レクテナ20bは、回路構成は第1レクテナ20aと同じであり、第2受電アンテナ21b、第2ショットキーバリアダイオード22b、第2コンデンサ23b、第2RFスイッチ26b、第2電源回路27b、第2変調制御回路28bを含む。
【0059】
「第2アンテナ」としての第2受電アンテナ21b、「第2整流素子」としての第2ショットキーバリアダイオード22b、第2コンデンサ23bは、第2実施例と同様である。第2RFスイッチ26b、第2電源回路27b、第2変調制御回路28bは、第2ショットキーバリアダイオード22bで整流された直流電力で動作し、第2識別情報を含む信号の電磁波を第2受電アンテナ21bから送信する「第2送信回路」を構成する。
【0060】
第2RFスイッチ26bは、高周波スイッチ回路であり、第2受電アンテナ21bから第2ショットキーバリアダイオード22bへの信号経路と、第2変調制御回路28bから第2受電アンテナ21bへの信号経路とを切り替えるスイッチである。第2電源回路27bは、第2ショットキーバリアダイオード22bで整流された直流電力で動作し、一定の直流電圧を第2変調制御回路28bへ供給する。第2変調制御回路28bは、第2電源回路27bが出力する直流電圧で動作し、第2RFスイッチ26bを介して、第2識別情報を含む交流信号を第2受電アンテナ21bへ出力する。この第2識別情報は、複数のレクテナの中から第2レクテナ20bを識別して特定するための情報であり、第2レクテナ20bに固有の情報である。
【0061】
第3実施例の第1レクテナ20aは、第1ショットキーバリアダイオード22aが第1のガスに反応していない状態において、10GHzの周波数でインピーダンスが整合する。同様に、第3実施例の第2レクテナ20bは、第2ショットキーバリアダイオード22bが第2のガスに反応していない状態において、10GHzの周波数でインピーダンスが整合する。
【0062】
このような構成の第3実施例の無線ガス検知システムにおいて、第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bは、ガスセンサとして所望の場所にそれぞれ配置される。そして10GHzの周波数の電磁波を送電装置10から第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bへ送信する。第1レクテナ20aは、第1ショットキーバリアダイオード22aで整流された直流電力で第1電源回路27aが動作する。それによって第1変調制御回路28aが生成する第1識別情報を含む交流信号の電磁波が第1受電アンテナ21aから送信される。また第2レクテナ20bは、第2ショットキーバリアダイオード22bで整流された直流電力で第2電源回路27bが動作する。それによって第2変調制御回路28bが生成する第2識別情報を含む交流信号の電磁波が第2受電アンテナ21bから送信される。
【0063】
第1レクテナ20aは、第1ショットキーバリアダイオード22aが第1のガスに反応すると、第1ショットキーバリアダイオード22aの電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じる。それによって第1電源回路27aへ供給される直流電力が低下するため、第1変調制御回路28aが動作しなくなり、第1識別情報を含む信号の電磁波が第1受電アンテナ21aから送信されない状態となる。また第2ショットキーバリアダイオード22bが第2のガスに反応すると、第2ショットキーバリアダイオード22bの電流電圧特性が変化するため、第2レクテナ20bのインピーダンス不整合が生じる。それによって第2電源回路27bへ供給される直流電力が低下するため、第2変調制御回路28bが動作しなくなり、第2識別情報を含む信号の電磁波が第2受電アンテナ21bから送信されない状態となる。
【0064】
そして電磁波測定装置30において、第1レクテナ20aから送信される第1識別情報を含む信号の電磁波、及び第2レクテナ20bから送信される第2識別情報を含む信号の電磁波の有無や強度の変化を個々に測定する。それによって第1ショットキーバリアダイオード22aが第1のガスに反応しているか否か、第2ショットキーバリアダイオード22bが第2のガスに反応しているか否かをそれぞれ特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができるとともに、その微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0065】
このようにして本発明によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができる。またその微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
尚、第3実施例は、第1レクテナ20a及び第2レクテナ20bを備える無線ガス検知システムを例に説明したが、レクテナの数は、特にこの2つに限定されるものではなく、3つ以上のレクテナを設けても本発明が実施可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
10 送電装置
11 送電アンテナ
20 レクテナ
21 受電アンテナ
22 ショットキーバリアダイオード
30 電磁波測定装置
図1
図2
図3
図4
図5