【課題を解決するための手段】
【0008】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、所定の周波数の電磁波を送信する送電装置と、前記送電装置から送信される電磁波を受信するアンテナ、前記アンテナに誘起する交流電力を整流し、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する整流素子を含み、前記整流素子が前記所定のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合するレクテナと、前記アンテナから送信される電磁波を受信して測定する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システムである。
尚、本発明において「電磁波を送信」とは、電磁波を放射することを意味し、「電磁波を受信」とは、電磁波を電気エネルギーに変換することを意味する。
【0009】
レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置する。そして所定の周波数の電磁波を送電装置からレクテナへ送信する。レクテナは、整流素子が所定のガスに反応していない状態において所定の周波数でインピーダンスが整合する。したがって整流素子が所定のガスに反応していない状態においては、レクテナから反射波はほとんど生じない。他方、レクテナは、整流素子が所定のガスに反応すると、整流素子の電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、所定の周波数の電磁波となってアンテナから送信される。
【0010】
したがってレクテナから送信される所定の周波数の電磁波の有無や強度の変化を電磁波測定装置で測定することによって、そのレクテナの整流素子が所定のガスに反応しているか否かを特定することができる。つまり所望の場所における所定のガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができる。
【0011】
これにより本発明の第1の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。
【0012】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、第1周波数及び第2周波数を含む周波数帯域で周波数が変化する電磁波を送信する送電装置と、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第1アンテナ、前記第1アンテナに誘起する交流電力を整流し、第1のガスに反応して電流電圧特性が変化する第1整流素子、前記第1アンテナと前記第1整流素子との間に設けられ、前記第1周波数を中心周波数とする第1バンドパスフィルタを含み、前記第1整流素子が前記第1のガスに反応していない状態において前記第1周波数でインピーダンスが整合する第1レクテナと、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第2アンテナ、前記第2アンテナに誘起する交流電力を整流し、第2のガスに反応して電流電圧特性が変化する第2整流素子、前記第2アンテナと前記第2整流素子との間に設けられ、前記第2周波数を中心周波数とする第2バンドパスフィルタを含み、前記第2整流素子が前記第2のガスに反応していない状態において前記第2周波数でインピーダンスが整合する第2レクテナと、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナから送信される電磁波を受信して測定する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システムである。
【0013】
第1レクテナ及び第2レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置する。そして第1周波数及び第2周波数を含む周波数帯域で周波数が変化する電磁波を送電装置から第1レクテナ及び第2レクテナへ送信する。第1レクテナは、第1周波数を中心周波数とする第1バンドパスフィルタが設けられているので、第1周波数及びその近傍の周波数の電磁波だけを送受信することになる。同様に、第2レクテナは、第2周波数を中心周波数とする第2バンドパスフィルタが設けられているので、第2周波数及びその近傍の周波数の電磁波だけを送受信することになる。
【0014】
第1レクテナは、第1整流素子が第1のガスに反応すると、第1整流素子の電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、第1周波数の電磁波となって第1アンテナから送信される。また第2レクテナは、第2整流素子が第2のガスに反応すると、第2整流素子の電流電圧特性が変化するため、インピーダンス不整合が生じて反射波が増加する。この反射波は、第2周波数の電磁波となって第2アンテナから送信される。
【0015】
そして電磁波測定装置において、第1レクテナから送信される第1周波数の電磁波、及び第2レクテナから送信される第2周波数の電磁波の有無や強度の変化を個々に測定する。それによって第1整流素子が第1のガスに反応しているか否か、第2整流素子が第2のガスに反応しているか否かをそれぞれ特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができるとともに、その微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0016】
これにより本発明の第2の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。またその微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0017】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、所定の周波数の電磁波を送信する送電装置と、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第1アンテナ、前記第1アンテナに誘起する交流電力を整流し、第1のガスに反応して電流電圧特性が変化する第1整流素子、前記第1整流素子で整流された直流電力で動作し、第1識別情報を含む信号の電磁波を前記第1アンテナから送信する第1送信回路を含み、前記第1整流素子が前記第1のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合する第1レクテナと、前記送電装置から送信される電磁波を受信する第2アンテナ、前記第2アンテナに誘起する交流電力を整流し、第2のガスに反応して電流電圧特性が変化する第2整流素子、前記第2整流素子で整流された直流電力で動作し、第2識別情報を含む信号の電磁波を前記第2アンテナから送信する第2送信回路を含み、前記第2整流素子が前記第2のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合する第2レクテナと、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナから送信される電磁波を受信して測定する電磁波測定装置と、を備える無線ガス検知システムである。
【0018】
第1レクテナ及び第2レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置する。そして所定の周波数の電磁波を送電装置から第1レクテナ及び第2レクテナへ送信する。第1レクテナの第1送信回路は、第1整流素子で整流された直流電力で動作し、第1識別情報を含む信号の電磁波を第1アンテナから送信する。また第2レクテナの第2送信回路は、第2整流素子で整流された直流電力で動作し、第2識別情報を含む信号の電磁波を第2アンテナから送信する。
【0019】
第1整流素子が第1のガスに反応すると、第1整流素子の電流電圧特性が変化するため、第1レクテナのインピーダンス不整合が生じる。それによって第1送信回路へ供給される直流電力が低下するため、第1送信回路から送信される第1識別情報を含む信号の電磁波は、強度が低下するか、全く送信されない状態となる。また第2整流素子が第2のガスに反応すると、第2整流素子の電流電圧特性が変化するため、第2レクテナのインピーダンス不整合が生じる。それによって第2送信回路へ供給される直流電力が低下するため、第2送信回路から送信される第2識別情報を含む信号の電磁波は、強度が低下するか、全く送信されない状態となる。
【0020】
そして電磁波測定装置において、第1レクテナから送信される第1識別情報を含む信号の電磁波、及び第2レクテナから送信される第2識別情報を含む信号の電磁波の有無や強度の変化を個々に測定する。それによって第1整流素子が第1のガスに反応しているか否か、第2整流素子が第2のガスに反応しているか否かをそれぞれ特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができるとともに、その微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0021】
これにより本発明の第3の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。またその微量漏洩が生じているガスの種類を特定することができる。
【0022】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、所定の周波数の電磁波を受信するアンテナと、前記アンテナに誘起する交流電力を整流し、所定のガスに反応して電流電圧特性が変化する整流素子と、を備え、前記整流素子が前記所定のガスに反応していない状態において前記所定の周波数でインピーダンスが整合する、ことを特徴とするレクテナである。
【0023】
レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置し、所定の周波数の電磁波をレクテナへ送信する。レクテナは、整流素子が所定のガスに反応していない状態において所定の周波数でインピーダンスが整合する。したがって整流素子が所定のガスに反応していない状態においては、レクテナから反射波はほとんど生じない。他方、整流素子が所定のガスに反応すると、整流素子の電流電圧特性が変化するため、レクテナのインピーダンス不整合が生じてレクテナからの反射波が増加する。この反射波は、所定の周波数の電磁波となってアンテナから送信される。
【0024】
したがってレクテナから送信される所定の周波数の電磁波の有無や強度の変化を測定することによって、そのレクテナの整流素子が所定のガスに反応しているか否かを特定することができる。つまり所望の場所における所定のガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができる。これにより本発明の第4の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。
【0025】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、前述した本発明の第4の態様において、前記アンテナと前記整流素子との間に設けられ、前記所定の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタをさらに備える、ことを特徴とするレクテナである。
本発明の第5の態様によれば、前述した本発明の第4の態様で得られる作用効果に加えて、所定の周波数以外の周波数の電磁波に対して反射波が出力されることを防止することができるので、不要な反射波の発生を抑制することができるという作用効果が得られる。
【0026】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第4の態様において、前記整流素子で整流された直流電力で動作し、所定の識別情報を含む信号の電磁波を前記アンテナから送信する送信回路をさらに備える、ことを特徴とするレクテナである。
【0027】
レクテナをガスセンサとして所望の場所に配置し、所定の周波数の電磁波をレクテナへ送信する。レクテナは、整流素子が所定のガスに反応していない状態において所定の周波数でインピーダンスが整合する。したがって整流素子が所定のガスに反応していない状態においては、レクテナの送信回路は、整流素子で整流された直流電力で動作し、所定の識別情報を含む信号の電磁波をアンテナから送信する。他方、整流素子が所定のガスに反応すると、整流素子の電流電圧特性が変化するため、レクテナのインピーダンス不整合が生じる。それによって送信回路へ供給される直流電力が低下するため、送信回路から送信される所定の識別情報を含む信号の電磁波は、強度が低下するか、全く送信されない状態となる。
【0028】
したがってレクテナから送信される所定の識別情報を含む信号の電磁波の有無や強度の変化を測定することによって、そのレクテナの整流素子が所定のガスに反応しているか否かを特定することができる。つまり所望の場所におけるガスの微量漏洩の検出を無線で行うことができる。これにより本発明の第6の態様によれば、ガスの微量漏洩の検出を無線で行うことが可能な無線ガス検知システムを提供することができるという作用効果が得られる。