(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021215
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】立体映像記録装置と、立体映像表示装置と、それらを用いた立体映像記録システム
(51)【国際特許分類】
H04N 13/00 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
H04N13/00 220
H04N13/00 550
H04N13/00 590
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-133450(P2012-133450)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-258568(P2013-258568A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】パナソニックヘルスケアホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 智久
【審査官】
佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−221700(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/062572(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00−15/00
H04N 5/91
G09G 5/00− 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元内視鏡からの手術の立体映像信号を記録する立体映像記録装置であって、
3次元内視鏡からの手術の立体映像信号を入力する映像入力部と、
3次元内視鏡からの手術の立体映像信号を入力するとともに立体映像信号の視差情報を調整し、表示する立体映像表示装置からの情報を受信する受信部と、
この受信部が受信した前記立体映像表示装置から送信される前記立体映像信号の視差情報により、前記映像入力部に入力された3次元内視鏡からの手術の立体映像信号の前記立体映像信号の視差情報を調整する記録制御部と、
前記視差情報が調整された立体映像信号を記録する記録部と、
前記記録部に記録された立体映像信号を出力する映像出力部と、
を備えた立体映像記録装置。
【請求項2】
3次元内視鏡からの手術の立体映像信号を表示する立体映像表示装置であって、
3次元内視鏡からの手術の立体映像信号を入力する映像入力部と、
被写体に対して左右両眼視差情報をもつ立体映像信号の視差情報を調整する設定入力部と、前記視差情報により調整された立体映像信号を表示可能となるように合成する表示制御部と、
この表示制御部で調整した視差情報を請求項1に記載の立体映像記録装置に送信する送信部と、
を備えた立体映像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の立体映像記録装置と、
請求項2に記載の立体映像表示装置と、
前記立体映像記録装置と立体映像表示装置とに立体映像信号を送信するネットワークと、
を備えた立体映像記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、内視鏡手術の立体映像を記録する立体映像情報記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の内視鏡手術の立体映像を記録する立体映像記録装置は、被写体に対して左右両眼視差を有する立体情報撮影カメラにより入力された左右それぞれの映像信号を、それぞれそのまま記録する構成となっていた。立体映像の視差調整をして、使用者に合った立体感で表示する表示装置が開示されている(例えば下記特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−250059号公報
【特許文献2】国際公開第2011/148921号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例における課題は、使用者が視差調整した立体映像信号を記録できないことであった。
【0005】
すなわち、上記従来例における立体映像記録装置は、被写体に対して左右両眼視差を有する立体情報撮影カメラにより入力された左右それぞれの映像信号を、それぞれそのまま記録する構成となっていたので、例えば、立体映像表示装置で視差情報を調整した場合には、その視差情報を調整する手段を立体映像記録装置で備えていないので、使用者が視差調整した立体映像信号を記録できない構成となっていた。
【0006】
そこで本発明は、使用者が視差調整した立体映像信号を記録することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そしてこの目的を達成するために本発明は、立体映像信号を記録する立体映像記録装置であって、外部装置からの情報を受信する受信部と、この受信部が受信した前記外部装置からの視差情報により、前記立体映像信号の視差情報を調整して、この立体映像信号を記録する記録部と、を備えた構成とした。
【0008】
これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、立体映像信号を記録する立体映像記録装置であって、外部装置からの情報を受信する受信部と、この受信部が受信した前記外部装置からの視差情報により、前記立体映像信号の視差情報を調整して、この立体映像信号を記録する記録制御部と、を備えた構成としたものであるので、使用者が視差調整した立体映像信号を記録することができる。
【0010】
すなわち本発明においては、外部より視差情報を受信する受信部と、その受信された視差情報を調整した映像信号を記録する記録制御部と、を備えているので、使用者が視差調整した立体映像信号を記録することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の一実施形態を示す立体映像記録システムのブロック図
【
図3】本発明の一実施形態を示す立体映像表示装置、および、立体映像記録装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、手術用内視鏡装置に適用した物を、添付図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態を示す図として、手術用カメラである3D硬性内視鏡7を用いて、体腔内の手術を行っている状態を示している。
【0014】
図1に示すように、執刀医1、助手2は、患者3を全身麻酔した後、この患者3の体腔6が鉗子4、5、またレンズおよびカメラを含む3D硬性内視鏡7に対して動かないように患者3を固定した状態で手術を行う。
【0015】
3D硬性内視鏡7は、助手2によって操作され、患者3の処置対象の臓器がある体腔6の観察および拡大可能なように、体腔6に3D硬性内視鏡7の先端部を挿入し、その挿入の深さ・角度を変更するが、この状態において、執刀医1は、処置具としての鉗子4、5を3D硬性内視鏡7とは離れた位置から挿入するので、体腔6内で3D硬性内視鏡7の先端部と鉗子4、5との間は、鉗子4、5による処置が可能な程度に離した状態になる。
【0016】
ここで、手術に使用する処置具としては、鉗子4、5あるいは、ドリル、レーザメスなど、先端に処置手段と、手で保持するための把持部とを備えた長手方向に棒状の形状をしたものを想定している。
【0017】
3D硬性内視鏡7の先端部は、左右一対のレンズによって構成されており、これらレンズ間に生じる左右の視差による映像を合成することで、患部の映像が立体的な映像として立体映像表示装置8に映し出される。執刀医1は、この立体映像表示装置8に映し出された映像を見ながら鉗子4、5により手術を行い、助手2は、この立体映像表示装置8に映し出された映像を見ながら3D硬性内視鏡7の操作を行うのである。
【0018】
上記立体情報を撮像する3D硬性内視鏡7からの映像は、ネットワーク9を経由して、立体映像表示装置8および立体映像記録装置10に入力される。
【0019】
図2に3D硬性内視鏡7と、ネットワーク9を経由して、立体映像表示装置8および立体映像記録装置10により構成される立体映像記録システムを示す。
【0020】
まず、3D硬性内視鏡7から出力された左右一組の映像信号は、ネットワーク9を経由して、立体映像表示装置8および立体映像記録装置10にそれぞれ入力される。
【0021】
立体映像表示装置8は、使用者が視差情報を調整可能となるように構成されている。これは、本実施形態においては、使用者は、内視鏡により手術を行う執刀医1であり、執刀医1は、立体映像表示装置8に表示される立体映像の奥行き感、つまり、鉗子4、5で患部を手術する際の距離感を執刀医1の感覚に合うように手術の前に調整する。
【0022】
つまり、立体映像表示装置8は、使用者である手術を行う執刀医1固有の感覚に合うように、使用前に視差情報に調整されることとなる。
【0023】
3D硬性内視鏡7からの映像信号は、ネットワーク9を経由して、立体映像表示装置8および立体映像記録装置10に入力されることとなり、この映像信号には、上述した立体映像表示装置8で調整された視差情報は含まれない。そこで、立体映像表示装置8から調整された視差情報を送信手段11によって立体映像記録装置10に送信するように構成されている。
【0024】
立体映像記録装置10では、送信手段11を経由して受け取った視差情報も基に3D硬性内視鏡7からの映像信号の視差情報を調整し、調整された映像信号を記録するように構成している。
【0025】
尚、、送信手段11は具体的には、RS232Cなどの有線での送信形態であっても良いし、無線形態で接続されたものであっても良い。
【0026】
図3に、立体映像表示装置8、および、立体映像記録装置10の内部の機能ブロック図を示す。
【0027】
まず、立体映像表示装置8は、被写体に対して左右両眼視差情報をもつ立体映像信号を入力する映像入力部12と、この映像入力部からの立体映像信号を表示可能となるように合成する表示制御部13と、この表示制御部13からの映像信号を表示部14に表示する。
【0028】
次に、設定入力部15では、使用者である執刀医1が、その感覚に合うように、視差情報を表示部14の表示画面を見ながら調整する。設定入力部15に入力された視差情報は、表示制御部13に渡され、表示制御部13では、映像入力部12からの立体映像信号に対して、左右の映像信号のずらし量を調整するために用いられる。表示制御部13では、調整された視差情報を送信部16に渡し、送信可能となるように構成されている。
【0029】
次に、立体映像記録装置10は、被写体に対して左右両眼視差情報をもつ立体映像信号を入出力する映像入出力部17と、この映像入出力部17からの立体映像信号を記録再生可能となるように制御する記録再生制御部18と、この記録再生制御部18からの映像信号を記録部19にて記録媒体に記録する。
【0030】
また、記録動作の逆の動作として再生動作は、記録部19にて記録媒体に書き込まれた映像信号を、記録再生制御部18が読み出し、映像入出力部17より外部に映像信号を出力する。
【0031】
また、設定入力部20では、記録再生動作の設定と、使用者が視差情報を設定可能となるように構成されている。
【0032】
そして、立体映像記録装置10には、立体映像表示装置8に設けられた送信部16から送信手段11を経由して、立体映像表示装置8にて調整された視差情報を受信可能とする受信部21が設けられている。受信部21では、立体映像表示装置8の送信部16より受信した視差情報を受け取り、この視差情報に基づいて、記録再生制御部18では、映像入出力部17より入力された映像信号を視差補正して、記録媒体に記録する構成となっている。
【0033】
このように本発明の実施の形態の立体映像記録装置10においては、外部より視差情報を受信する受信部21と、その受信された視差情報を調整した映像信号を記録する記録制御部18と、を備えているので、使用者である執刀医1が視差調整した立体映像信号を記録することができるので、手術に実際に利用された手術画像を記録することが可能となるのである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように本発明は、立体映像信号を記録する立体映像記録装置であって、外部装置からの情報を受信する受信部と、この受信部が受信した前記外部装置からの視差情報により、前記立体映像信号の視差情報を調整して、この立体映像信号を記録する記録制御部と、を備えた構成としたものであるので、使用者が視差調整した立体映像信号を記録することができる。
【0035】
すなわち本発明においては、外部より視差情報を受信する受信部と、その受信された視差情報を調整した映像信号を記録する記録制御部と、を備えているので、使用者が視差調整した立体映像信号を記録することができるのである。
【0036】
したがって、手術中の患部の映像を立体的に表示、記録することが求められる3D硬性内視鏡等の手術用カメラへの記録表示装置への適用が大いに期待されるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 執刀医
2 助手
3 患者
4、5 鉗子
6 体腔
7 3D硬性内視鏡
8 立体映像表示装置
9 ネットワーク
10 立体映像記録装置
11 送信手段
12 映像入力部
13 表示制御部
14 表示部
15 設定入力部
16 送信部
17 映像入出力部
18 記録再生制御部
19 記録部
20 設定入力部
21 受信部