特許第6021216号(P6021216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6021216サーバ装置及び該サーバ装置を備えた見守りシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021216
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】サーバ装置及び該サーバ装置を備えた見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20161027BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20161027BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20161027BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B25/08 A
   G08B25/10 D
   H04M11/00 301
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-138973(P2012-138973)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-2659(P2014-2659A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100079843
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 明近
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107135
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 栄一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】羽河 利英
(72)【発明者】
【氏名】平 緑
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−234134(JP,A)
【文献】 特開2001−052277(JP,A)
【文献】 特開2007−241798(JP,A)
【文献】 特開2002−230672(JP,A)
【文献】 特開2003−178383(JP,A)
【文献】 特開2004−266677(JP,A)
【文献】 特開2008−140141(JP,A)
【文献】 特開2007−317122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00−31/00
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守り対象者の異常を知らせるための特定の機器から送信された異常情報を通信ネットワークを介して受信する通信部と、該通信部が受信した異常情報に含まれる異常の緊急度を示す情報を解析する解析部と、前記見守り対象者が異常である旨の情報を通知する端末装置を予め記憶する記憶部と、前記解析部が解析した異常の緊急度に従って、前記記憶部に記憶した前記端末装置に対して、前記異常である旨の情報を前記通信部により通知する通知処理部とを有するサーバ装置であって、
前記解析部の解析により、前記異常の緊急度が高いと判断した場合、前記通知処理部は、予め定められた通知の順序を定める条件に従うことなく、前記記憶部に記憶された全ての前記端末装置に対して、前記異常である旨の情報を通知し、
前記解析部の解析により異常の緊急度が低いと判断した場合、前記通知処理部は、前記記憶部に記憶された前記端末装置のうち、前記予め定められた通知の順序を定める条件に従って、前記端末装置に前記異常である旨の情報を通知することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバ装置において、
前記通知の順序を定める条件として、
前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器と前記端末装置との距離に従って該端末装置に対する通知の順序を定める第1の条件と、
予め指定された優先順位に従って、前記端末装置に対する通知の順序を定める第2の条件とが設定可能であり、
前記通知処理部は、予め設定された前記第1または前記第2の条件に従って前記端末装置に前記異常である旨の情報を通知することを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のサーバ装置において、
前記通知処理部は、前記端末装置に前記異常である旨の情報を通知する際、前記第1の条件または前記第2の条件に従って、最初に通知すべき端末装置に前記異常である旨の情報を通知した後、該異常である旨の情報を通知した端末装置からの返信が所定時間内にない場合、次に通知すべき端末装置に前記異常である旨の情報を通知し、前記通知した端末装置からの返信があるまで、前記記憶部に記憶された全ての端末装置に対して順に前記異常である旨の情報を通知することを特徴とするサーバ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のサーバ装置において、
前記記憶部は、前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器から送信された該機器の位置情報と、前記端末装置から送信された該端末装置の位置情報とを記憶し、
前記通知処理部は、前記第の条件に従って前記通知を行う場合、前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器の位置情報と前記端末装置の位置情報とを前記記憶部から取得し、前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器と前記端末装置との距離が近い前記端末装置の順に前記通知を行うことを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1のサーバ装置と、前記特定の機器として、所定の条件に従って前記見守り対象者の異常と、該異常の緊急度を判断し、該判断した異常を示す異常情報を前記緊急度を示す情報とともに前記サーバ装置に送信する機器と、を有することを特徴とする見守りシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の見守りシステムにおいて、
GPS衛星から受信した信号に基づいて自身の位置を判断し、該判断した位置の情報を前記サーバ装置に送信する端末装置を有することを特徴とする見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置及び該サーバ装置を備えた見守りシステムに関し、より詳細には、高齢者などの見守り対象者の異常の有無を判断し、異常があると判断したときに所定の宛先に通知するようにした見守りシステムと、見守りシステムが有するサーバ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
一人暮らしの高齢者などの見守り対象者の生活行動を監視し、異常を判断したときに所定の宛先に通知するようにした見守りシステムが普及している。
このような見守りシステムでは、見守り対象者やその生活行動を、カメラや各種センサ等により監視して、監視情報を通信ネットワークを介して所定のサーバに収集させている。そしてサーバは、収集した監視情報に基づいて見守り対象者の異常の有無を判断し、異常があると判断した場合に、見守り対象者の家族や地方公共団体の担当者等の予め定めた通知先にメール等を用いて異常を通知するようにしている。これら見守り対象者を見守る立場にある主体を見守り者とする。
【0003】
図3は、見守りシステムの一例を説明する図で、例えば一人暮らしの高齢者などの見守り対象者60を見守る見守りシステムを概念的に示している。この見守りシステムは、サーバ30により集中管理される。見守り対象者60は、自身の端末装置20を保持している。また、見守り対象者60が住む家屋内には、通信機能を持ったテレビ受像機10が備えられている。
【0004】
テレビ受像機10及び端末装置20は、通信ネットワーク50に接続される。通信ネットワークは、インターネット、公衆電話回線網、WANなどのネットワークである。
通信ネットワーク50には、サーバ30が接続されるともに、見守り対象者60の異常を通知するための見守り者用の端末装置40a,40b,40cが接続される。見守り者用の端末装置40a,40b,40cは、例えば見守り対象者60の親や親族、地方公共団体の担当者などが保持する端末装置で、予め異常を通知する通知先としてサーバ30に登録されたものである。サーバ30には、端末装置40a,40b,40cだけでなく、さらに複数の端末装置を登録することができる。
【0005】
通信ネットワーク50に接続された各機器(テレビ受像機10,端末装置20,40a,40b,40c、サーバ30)は、通信相手先を特定して相互に通信が可能に構成される。サーバ30は、多数の見守り対象者を管理して、その見守り対象者毎に登録された端末装置に対して、見守り対象者の異常を通知することができる。
【0006】
見守りシステムの一例では、見守り対象者60の住居内のテレビ受像機10は、予め定めた一定期間の間、電源がONされなかった場合に、見守り対象者60に異常があったものと判断し、サーバ30に対して異常情報を送信する。この場合、テレビ受像機10では、本体電源がOFFの状態でも動作し、電源ONのリモコン信号等に対する処理を行うサブマイコンを有している。そしてサブマイコンが電源ON・OFFを監視して、一定期間の間、電源がONされなかった場合に、サブマイコンの制御によってサーバ30に異常情報を送信することができる。
【0007】
サーバ30は、テレビ受像機10からの異常情報を受け取ると、予め登録されている見守り者用の端末装置40a,40b,40cに対して、見守り対象者60に異常が発生した旨を通知する。端末装置40a,40b,40cにより異常を知った見守り者は、自身が見守り対象者60に連絡をとり、もしくは見守り対象者60の住居を訪れて異常を確認する等の処置を行う。
【0008】
上記のような見守りシステムの技術に関して、例えば、特許文献1には、見守り者が異変情報を受け取ったか否か、ひいては対処を引受けたか否かを確認することができ、更には対処の進捗状況を把握することを目的とした生活見守りシステムが開示されている。この生活見守りシステムでは、見守り対象者に異変が起きると、宅内見守り装置から異変情報が管理センタに送信される。これをセンタのサーバーコンピュータが受信するとともに、対象者を見守るべき担当者(見守り者)の端末に配信して、異変への対処を打診する。その後、サーバーコンピュータは、対処を引受ける旨の確認情報の受信の有無、更には対処後の報告の有無に基づいて対処の進捗状況を管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−178383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように見守りシステムでは、見守り対象者を監視するセンサや機器等を使用してサーバが情報を収集している。このときに、異常情報がサーバに送信された場合、サーバは、予め登録された見守り者の端末装置等に対して、見守り対象者に異常がある旨を通知する。見守り者がこの通知を受け取れば、見守り対象者に電話をしたり、見守り対象者の住居を訪ねたりすることで安否を確認することができる。
【0011】
特許文献1の見守りシステムでは、見守り対象者に異常があると判断されたときに、予め定めた優先順位に従って、見守り者の端末装置に順次異常である旨を通知するようにしている。例えば、サーバは、見守り対象者に異常があると判断された場合、最も優先順位の高い見守り者の端末装置に対して異常である旨を通知する。そして、その見守り者から確認情報を受信できない場合、次の優先順位であるバックアップセンタの端末装置に異常である旨を通知する。
【0012】
しかしながら、上記特許文献1のように、所定の優先順位に従って順次異常情報を送信する手法を採ると、災害時などの緊急度の高い異常事態が発生した場合に、迅速かつ確実に対応することができない場合が生じる。
また、常に決められた優先順位に従って異常の通知を行うと、見守り対象者に対する対応を柔軟に行うことができないという問題が生じる。例えば、優先順位の高い見守り者が異常である旨の通知を受けたときに、見守り対象者とは物理的に遠く離れた場所にいるときなどでは、連絡を受けた見守り者が迅速に対応できない場合が生じる。
【0013】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、見守り対象者の対応の可能性や緊急度を考慮して見守り対象者の異常を見守り者に通知することにより、見守り対象者の支援や救護を確実かつ円滑に実施できるようにしたサーバ装置及び該サーバ装置を備えた見守りシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、見守り対象者の異常を知らせるための特定の機器から送信された異常情報を通信ネットワークを介して受信する通信部と、該通信部が受信した異常情報に含まれる異常の緊急度を示す情報を解析する解析部と、前記見守り対象者が異常である旨の情報を通知する端末装置を予め記憶する記憶部と、前記解析部が解析した異常の緊急度に従って、前記記憶部に記憶した前記端末装置に対して、前記異常である旨の情報を前記通信部により通知する通知処理部とを有するサーバ装置であって、前記解析部の解析により、前記異常の緊急度が高いと判断した場合、前記通知処理部は、予め定められた通知の順序を定める条件に従うことなく、前記記憶部に記憶された全ての前記端末装置に対して、前記異常である旨の情報を通知し、前記解析部の解析により異常の緊急度が低いと判断した場合、前記通知処理部は、前記記憶部に記憶された前記端末装置のうち、前記予め定められた通知の順序を定める条件に従って、前記端末装置に前記異常である旨の情報を通知することを特徴としたものである。
【0015】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記通知の順序を定める条件として、前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器と前記端末装置との距離に従って該端末装置に対する通知の順序を定める第1の条件と、予め指定された優先順位に従って、前記端末装置に対する通知の順序を定める第2の条件とが設定可能であり、前記通知処理部は、予め設定された前記第1または前記第2の条件に従って前記端末装置に前記異常である旨の情報を通知することを特徴としたものである。
【0016】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記通知処理部は、前記端末装置に前記異常である旨の情報を通知する際、前記第1の条件または前記第2の条件に従って、最初に通知すべき端末装置に前記異常である旨の情報を通知した後、該異常である旨の情報を通知した端末装置からの返信が所定時間内にない場合、次に通知すべき端末装置に前記異常である旨の情報を通知し、前記通知した端末装置からの返信があるまで、前記記憶部に記憶された全ての端末装置に対して順に前記異常である旨の情報を通知することを特徴としたものである。
【0017】
第4の技術手段は、第2または第3の技術手段において、前記記憶部は、前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器から送信された該機器の位置情報と、前記端末装置から送信された該端末装置の位置情報とを記憶し、前記通知処理部は、前記第の条件に従って前記通知を行う場合、前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器の位置情報と前記端末装置の位置情報とを前記記憶部から取得し、前記見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器と前記端末装置との距離が近い前記端末装置の順に前記通知を行うことを特徴としたものである。
【0018】
第5の技術手段は、第1〜4のいずれか1の技術手段のサーバ装置と、前記特定の機器値として、所定の条件に従って前記見守り対象者の異常と、該異常の緊急度を判断し、該判断した異常を示す異常情報を前記緊急度を示す情報とともに前記サーバに送信する機器と、を有することを特徴とした見守りシステムである。
【0019】
第6の技術手段は、第5の技術手段において、GPS衛星から受信した信号に基づいて自身の位置を判断し、該判断した位置の情報をサーバに送信する端末装置を有することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、見守り対象者の対応の可能性や緊急度を考慮して見守り対象者の異常を見守り者に通知することにより、見守り対象者の支援や救護を確実かつ円滑に実施できるようにしたサーバ装置及び該サーバ装置を備えた見守りシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による見守りシステムの実施形態に係るシステム構成例を説明する図である。
図2】本発明による見守りシステムにおけるサーバの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図3】見守りシステムの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明による見守りシステムの実施形態に係るシステム構成例を説明する図である。本発明の実施形態のシステム構成は、図3に説明した従来のシステムと同様の構成を持っている。つまり見守りシステムは、見守り対象者の住居に備えられたテレビ受像機10と、見守りシステムを管理するサーバ30とを有している。テレビ受像機10は、見守り対象者60の異常を知らせるための特定の機器の一例である。
そしてこれらテレビ受像機10とサーバ30は、通信ネットワーク50を介して通信可能に接続される。また、通信ネットワーク50には、見守り対象者60が保持する端末装置20、見守り対象者60の異常を通知するために予めサーバ30に登録されて見守り者70が保持する端末装置40が接続される。
【0023】
サーバ30は、多数の見守り対象者60を管理することができる。つまりサーバ30には、通信ネットワーク50を介して、複数のテレビ受像機10と、複数の見守り対象者用の端末装置20とが接続される。また、各見守り対象者60に対して、異常情報の通知先として複数の見守り者70用の端末装置40を登録することができる。
【0024】
テレビ受像機10は、アンテナを介して受信した放送波を選局して復調するチューナ15と、チューナ15で復調した映像信号に各種の映像信号処理を行う信号処理部16と、信号処理された映像信号を表示する表示部17を有する。さらにテレビ受像機10は、ユーザによる操作を受け付ける操作部12と、リモコン80から送信されたリモコン信号を受光する受光部13と、テレビ受像機10の各部を制御する制御部11と、通信ネットワーク50を介して外部機器と通信を行う通信部14と、各種データやプログラムを記憶する記憶部19と、振動センサ18とを備えている。振動センサ18は、テレビ受像機10の振動を検知して振動に応じた振動信号を出力する。
【0025】
また、制御部11は、テレビ受像機10の電源がOFFの状態であっても動作するサブマイコンを備えている。サブマイコンは、テレビ受像機10にAC電源が供給されていれば、テレビ受像機の電源がOFFになっていても動作し、リモコンから送信されたリモコン信号の処理などを実行する。
【0026】
サーバ30は、サーバ30の各部を制御する制御部31、通信ネットワーク50を介して外部機器と通信を行う通信部32、テレビ受像機10から送信された異常情報を解析して、異常情報に応じた処理を決定する解析部33、解析部33の解析結果に従って登録された所定の端末装置40に異常を通知する処理を行う通知処理部35、各種データやプログラムを記憶する記憶部34を備える。
記憶部34には、監視対象のテレビ受像機10の情報や異常の通知先情報等が記憶される。通知処理部35は、テレビ受像機10からの異常情報に応じて、記憶部34に予め記憶された通知先に対して、見守り対象者に異常がある旨を示す情報を通知する。異常の通知は、メールにより行うことができる。また、ショートメッセージを使用したり、通知先を発呼して接続し、自動生成した音声にて見守り者に通知するもの等を適用することもできる。
【0027】
また、サーバ30は、予め登録した見守り者の端末装置40の位置情報を取得して記憶部34に記憶させる。端末装置40の位置情報は、端末装置40でGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)を利用して取得した位置情報をサーバ30に送信させたものである。端末装置40側では定期的に、あるいは端末装置40の電源がONにされたときなどの所定のタイミングで位置情報をサーバ30に送信する。あるいは、サーバ30は、登録されている端末装置40に対して適宜位置情報を送信するよう要求することができる。
【0028】
また、サーバ30は、見守り対象者の位置情報も取得する。この場合、見守り対象者の位置情報として、例えば、見守り対象者が保持する端末装置20がGPSを利用して取得した位置情報をサーバ30に送信させたものを用いることができる。この場合にも、端末装置20から定期的に、あるいは所定のタイミングで位置情報をサーバ30に送信させ、あるいは、サーバ30から端末装置40に対して適宜位置情報を送信するよう要求することができる。
【0029】
見守り対象者の位置情報は、テレビ受像機10から取得するようにしてもよい。この場合、例えば、ユーザ操作によってテレビ受像機10の住所情報をサーバ30に送信させ、その住所情報に基づいてテレビ受像機10の設置場所の位置情報を判断することができる。あるいは、テレビ受像機10に対して図示しないGPS受信部を設け、テレビ受像機10にてGPSを利用した位置判定を行わせるようにしてもよい。
【0030】
また、端末装置20,40が携帯電話として機能している場合、キャリアの基地局が行うセルサーチによって取得した端末装置20,40の位置情報を用いることができれば、その位置情報を利用してもよい。
端末装置20またはテレビ受像機10は、本発明で見守り対象者の位置を判断するために予め定められた機器に相当する。
【0031】
こうして、サーバ30では、登録されている端末装置40の位置情報と、見守り対象者の端末装置20またはテレビ受像機10の位置情報とを取得して記憶保持しておく。そしてテレビ受像機10から異常情報が送信された際に、端末装置40の位置情報を参照し、見守り対象者の端末装置20またはテレビ受像機10に近い順に端末装置40の優先順位を決定し、その決定した優先順位に従って、見守り対象者の異常を通知する。
【0032】
また、サーバ30には、上記位置情報に基づいて見守り対象者の異常を通知するモードの他に、予め指定された優先順位に従って、優先順位の高い端末装置40から見守り対象者の異常を通知するモードも持つことができる。これらのモードは、サーバ30に対するユーザの操作によって適宜切り換えて設定することができる。位置情報に基づいて見守り対象者の異常を通知するモードにおける通知条件は、本発明の第1の条件に相当する。また、予め指定された優先順位に従って見守り対象者の異常を通知するモードにおける通知条件は、本発明の第2の条件に相当する。
【0033】
見守り対象者60が保持する端末装置20は、装置各部を制御する制御部21、各種データやプログラムを記憶する記憶部22、通信ネットワーク50を介して外部機器と通信を行う通信部25、ユーザによる操作入力を受け付ける操作入力部24、表示部23、及びGPS受信部26を備えている。
【0034】
GPS受信部26は、GPS衛星からの信号を受信する。制御部21は、GPS受信部26が受信したGPS衛星からの信号に基づいて端末装置20の現在位置を判定することができる。判定した現在位置は、定期的にもしくは電源ON時などの所定のタイミングで、もしくはサーバ30からの要求に応じてサーバ30に送信される。
この例は、見守り対象者の位置情報を端末装置20を用いて判断する場合の構成であり、見守り対象者の位置情報をテレビ受像機10で判断する場合には、端末装置20のGPS受信部26は必須の構成ではない。
【0035】
見守り者70が保持する端末装置40は、装置各部を制御する制御部41、各種データやプログラムを記憶する記憶部42、通信ネットワーク50を介して外部機器と通信を行う通信部43、ユーザによる操作入力を受け付ける操作入力部44、表示部45、及びGPS受信部46を備えている。
GPS受信部46は、上記の端末装置20と同様に、GPS衛星からの信号を受信する。制御部41は、GPS受信部46が受信したGPS衛星からの信号に基づいて端末装置40の現在位置を判定する。判定した現在位置は、定期的にもしくは電源ON時などの所定のタイミングで、もしくはサーバ30からの要求に応じてサーバ30に送信される。
【0036】
上記の構成で、本実施形態による見守りシステムにおいて、テレビ受像機10は、所定の条件に従って異常の緊急度を判断し、緊急度を示す情報とともにサーバ30に異常情報を送信する。
緊急度が低い場合とは、所定期間の間、テレビ受像機に対する操作入力がなかった場合とする。例えば、テレビ受像機10の電源が一定期間ONにされなかった場合に緊急度が低い異常と判断する。この場合、テレビ受像機10では、本体電源がOFFの状態でも動作するサブマイコンが電源ON・OFFを監視して、一定期間の間、電源がONされなかった場合に、サブマイコンの制御によってサーバ30に異常情報を通知することができる。また、テレビ受像機10の電源がONであってもチャンネルやボリューム変更などの操作入力が所定期間なかった場合に、緊急度の低い異常と判断することができる。
【0037】
緊急度が高い場合とは、例えば、テレビ受像機10の振動センサ18によって、所定レベル以上の振動を検知した場合、あるいは、テレビ受像機10が、気象庁による緊急地震速報を受信した場合、が適用される。
テレビ受像機10の制御部11は、振動センサ18から出力された振動信号に基づいて、振動が所定レベル以上であるかを判断する。所定レベルの設定は、例えばテレビ受像機10が転倒する程度の振動を想定して定めることができる。つまり大地震などの災害時にテレビ受像機10が転倒するほどの揺れがあった場合、緊急度の高い異常であると判断することができる。
また、緊急地震速報としては、気象庁の配信サーバから通信ネットワーク50を介して送信されてくる情報を用いる。あるいは、デジタル放送で放送される緊急地震速報の受信の有無を判断するようにしてもよい。
【0038】
テレビ受像機10から送信された異常情報を受け取ったサーバ30の制御部31は、その異常情報を解析部33で解析させ、通知処理部35にて通知処理を行わせる。ここでは、解析部33では、テレビ受像機10から送信された異常情報の緊急度を判断する。通知処理部35は、解析部33によって緊急度の高い異常情報を受信したと判断したときには、予め記憶部34に記憶された全ての端末装置40に対して、見守り対象者に異常が生じた旨を通知する処理を行う。通知先の端末装置40は、複数の端末を登録しておくことができ、その通知の優先順位や通知条件を適宜定めておくことができる。
【0039】
解析部33により、テレビ受像機10から送信された異常情報が、緊急度の低い異常情報であると判断された場合、通知処理部35は、サーバ30に設定される通知モードを判断する。ここで距離優先の通知モードになっている場合には、記憶部34から端末装置40の位置情報と、端末装置20の位置情報とを取得し、これらの距離が最も近い端末装置40に対して見守り対象者の異常を通知する。そして通知した端末装置40から通知を受信した旨の応答を待ち、所定時間内に応答がなければ次に端末装置20との距離が近い端末装置40を選択し、異常を通知する。こうして、端末装置40からの応答があるまで、端末装置20との距離が近い順に登録された端末装置40に対して見守り対象者の異常を通知する。なお、見守り対象の位置情報として、テレビ受像機10の位置情報を用いる場合には、端末装置40とテレビ受像機10との距離に従って順次通知を行う。
【0040】
また、緊急度の低い異常情報のときに、指定された優先順位順に異常を通知する通知モードになっている場合には、サーバ30は、予め指定された優先順位の最も高い端末装置40に対して見守り対象者の異常を通知する。そして通知した端末装置40から通知を受信した旨の応答を待ち、所定時間内に応答がなければ次に優先順位の高い端末装置40に対して異常を通知する。こうして、端末装置40からの応答があるまで、指定され優先順位に従って、登録された端末装置40に対して見守り対象者の異常を通知する。
【0041】
サーバ30から見守り対象者の異常を示す通知を受け取った端末装置40では、見守り者70がその通知を確認することで、見守り対象者60に異常があったことを認識することができる。そして、サーバ30に対して通知を確認したことを示す応答を返信する。ここでは単にメールやショートメッセージに返信するだけで応答とすることができる。またサーバ30から音声メッセージで通知された場合、メール等によりサーバ30に返信することで応答とすることができる。
この後は、見守り者70は、端末装置40によって見守り対象者60の端末装置20を呼び出して安否を確認したり、見守り対象者60の住居を訪問して安否を確認するなどの処置を行うことができる。
【0042】
上記の例において、テレビ受像機10から緊急度の高い情報と緊急度の低い情報との両方が送信される場合もある。この場合、サーバ30では緊急度の高い情報を優先して、緊急度が高いときの処理を行うように予め定めておく。
また、テレビ受像機10において、緊急度が高いと判断する事象と、緊急度が低いと判断する事象とが重複して生じた場合、緊急度が高い情報を優先してサーバ30に送信するようにしてもよい。
【0043】
図2は、本発明による見守りシステムにおけるサーバの動作の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは図1の構成を参照しながら説明する。
サーバ30は、テレビ受像機10からの異常情報の受信を待つ(ステップS1)。テレビ受像機10は、所定の条件に従って見守り対象者60に異常があることを示す異常情報をアラートとしてサーバ30に送信する。ここではテレビ受像機10では、緊急度の低い異常と緊急度の高い異常とを検出し、異常情報に緊急度を示す情報を含めてサーバ30に送信する。
【0044】
上述したように、緊急度が低い場合とは、テレビ受像機10が所定期間操作されなかった場合とする。また、緊急度が高い場合とは、テレビ受像機10の振動センサ18によって、所定レベル以上の振動を検知した場合、あるいは、テレビ受像機10が、気象庁による緊急地震速報を受信した場合とする。
【0045】
サーバ30の解析部33は、テレビ受像機10から送信された異常情報に含まれる緊急度を示す情報を解析し、緊急度を判定する(ステップS2)。そしてサーバ30の通知処理部35は、判定された緊急度に応じて異常情報を通知する処理を行う。緊急度の低い情報と緊急度の高い情報との両方が送信された場合には、緊急度が高いものと判定することができる。ここで緊急度の高い異常であると判定した場合、通知処理部35は、予め登録された端末装置40の全てに対して異常情報を送信する(ステップS6)。ここでは、緊急度が高いため、見守り対象者等の距離や所定の優先順位に従って順次異常を通知するのではなく、登録された端末装置の全て対して異常を通知し、見守り対象者のケアを確実にできるようにする。
【0046】
ステップS2で緊急度が低いと判定された場合には、通知処理部35は、予めサーバ30に設定された通知モードを判断する(ステップS3)。通知モードとして、見守り対象者と見守り者との距離を優先する距離優先モードと、予め指定された優先順位に従う指定優先モードとを有し、サーバ30の記憶部34にいずれかの通知モードで通知を行うかが予め設定される。
【0047】
ここで判定した通知モードが距離優先モードであれば、通知処理部35は、記憶部34に記憶されている見守り者の端末装置40と、見守り対象者の端末装置20との位置情報を取得し(ステップS4)、見守り対象者の端末装置20との距離に応じて見守り対象者の異常を通知する(ステップS5)。ここでは通知処理部35は、見守り対象者の端末装置20に最も近い端末装置40を抽出し、その抽出した端末装置40に対して異常を通知する。また、見守り対象者の位置を示す情報として、端末装置20から取得した位置情報ではなく、テレビ受像機10から取得した位置情報を用いる場合には、テレビ受像機10に最も近い端末装置40を抽出して異常を通知する。
【0048】
ステップS5の異常の通知においては、最初に異常を通知した端末装置40から応答があれば、異常の通知処理を終了し、所定時間の間、応答がなければ、次に見守り対象者の端末装置20(またはテレビ受像機10)との距離が近い端末装置40に異常を通知する。こうして、応答が返ってくる端末装置40が見つかるまで、登録された端末装置40に対して順に異常を通知していく。
【0049】
ステップS3で通知モードが指定優先モードであれば、通知処理部35は、記憶部34に記憶されている端末装置40の優先順位を取得し、指定された優先順位により異常を通知する(ステップS7)。ここでは、まず最も優先順位の高い優先順位の端末装置40に見守り対象者の異常を通知し、その端末装置40から応答があれば、異常の通知処理を終了する。また、所定時間の間、応答がなければ、次の優先順位の端末装置40に対して異常を通知する。こうして、応答が返ってくる端末装置40が見つかるまで、登録された端末装置40対して優先順位に従って異常を通知していく。
【0050】
上記のように、本発明に係る実施形態のサーバは、見守り対象者の異常の緊急度によって異常通知の送り方を変え、緊急度が高いときには、登録された見守り者の端末装置に一斉に異常を通知し、緊急度が低いときには、距離や指定優先順位に応じて順次異常を通知する。これにより、緊急度の高いときには迅速かつ確実に見守り者に対して異常であることを知らせることができるとともに、緊急度の低いときには、無駄に騒ぎ立てることなく、距離や指定優先順位に応じて順に異常を通知していくことにより、見守る側も見守られる側も過度にストレスを感じることなく、異常事態に適切に対応することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10…テレビ受像機、11,21,31,41…制御部、12…操作部、13…受光部、14,25,32,43…通信部、15…チューナ、16…信号処理部、17,23,45…表示部、18…振動センサ、19,22,34,42…記憶部、20,40,40a,40b,40c…端末装置、24,44…操作入力部、26,46…GPS受信部、30…サーバ、33…解析部、35…通知処理部、50…通信ネットワーク、60…見守り対象者、70…見守り者、80…リモコン。
図1
図2
図3