(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021225
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】車両の荷室の開口部構造
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20161027BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20161027BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
F25D23/02 Z
F25D23/02 303E
B62D33/04 Z
F25D11/00 101D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-128796(P2013-128796)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-4465(P2015-4465A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】井上 文男
(72)【発明者】
【氏名】内城 重男
【審査官】
▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−053179(JP,U)
【文献】
特開昭55−143117(JP,A)
【文献】
実開昭59−010690(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3061417(JP,U)
【文献】
実開昭48−077219(JP,U)
【文献】
実開昭60−041789(JP,U)
【文献】
特公昭60−017523(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
B62D 33/04
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度管理される荷室の開口部を開閉する扉部材の開放時に、前記荷室を外部から仕切ることによって前記荷室の温度変化を抑制する車両の荷室の開口部構造であって、
前記開口部の上縁の中間部から前記開口部の上縁に沿って左方向及び右方向へ延び、前記荷室に対して固定される左レール及び右レールと、
前記左レール及び前記右レールにスライド移動自在に支持される複数のランナーと、
前記ランナーを介して前記左レール及び前記右レールにそれぞれ吊り下げられる左カーテン及び右カーテンと、を備え、
前記左カーテンと前記右カーテンとは、前記ランナーのスライド移動によって前記開口部を閉じる閉状態と前記開口部を開放する開状態との間で移動可能であり、
前記左レールと前記右レールとは、前記左カーテンと前記右カーテンとが自重によって閉状態又は開状態の一方へ移動するように水平方向に対してそれぞれ傾斜し、
前記左カーテンの右縁部と前記右カーテンの左縁部とには、前記左カーテン及び前記右カーテンの上縁近傍から前記左カーテン及び前記右カーテンの下縁よりも上方の所定高さまで上下方向に延びる左右の内縁プレートがそれぞれ固定され、
前記左右の内縁プレートの少なくとも一方には、前記閉状態で前記左右の内縁プレートを着脱可能に連結する磁石が固定され、
前記左カーテンの前記右縁部のうち前記左の内縁プレートよりも下方の領域と、前記右カーテンの前記左縁部のうち前記右の内縁プレートよりも下方の領域とは、前記磁石によって連結されない左右の非連結領域であり、
前記左の非連結領域は、前記左の内縁プレートよりも右側へ張り出して前記閉状態で前記右の非連結領域と重なる左の重複部を一体的に有し、
前記右の非連結領域は、前記右の内縁プレートよりも左側へ張り出して前記閉状態で前記左の非連結領域と重なる右の重複部を一体的に有する
ことを特徴とする車両の荷室の開口部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の開口部構造であって、
前記開口部は、前記荷室の後方を開放し、
前記左カーテンの左縁部と前記右カーテンの右縁部とは、前記開口部の左右の側縁部にそれぞれ保持され、
前記左レールと前記右レールとは、前記開状態の前記左カーテンと前記右カーテンとが自重によってそれぞれ前記閉状態へ移動するように前記中間部に向かって下方へ傾斜している
ことを特徴とする車両の荷室の開口部構造。
【請求項3】
請求項2に記載の開口部構造であって、
前記左右の内縁プレートには、前記左カーテン及び前記右カーテンを移動させる際に把持可能で、且つ前記開口部の左右の側縁部に設けられた左右の突起部に係止可能な左右の環状グリップがそれぞれ取付けられ、
前記左カーテン及び前記右カーテンを前記開状態とした際に前記左右の環状グリップを前記左右の突起部に係止することにより、前記左カーテン及び前記右カーテンの展開が前記環状グリップによって規制されて前記開状態が保持される。
ことを特徴とする車両の荷室の開口部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度管理される荷室の開口部を開閉する扉部材の開放時に、荷室を外部から仕切ることによって荷室の温度変化を抑制する車両の荷室の開口部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
温度管理される荷室を備え、荷室の開口部が扉部材によって開閉される車両において、扉部材の開放時の荷室の温度変化を抑制するために、荷室を外部から仕切るカーテンを荷室の開口部に設ける構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−29656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷室の開口部にカーテンを設ける態様として、開口部の上縁に沿って延びるレールを荷室に対して固定し、カーテンを移動可能にレールから吊り下げる構造が考えられる。荷室に対する積荷の搬入や搬出を行う作業者は、扉部材を開放し、カーテンを開状態に移動させることによって、荷室に対する積荷の入出作業を効率良く行うことができる。また、作業終了後の扉部材の閉止前に、カーテンを閉状態に移動させておくことによって、扉部材の次回の開放時に荷室がカーテンによって外部から仕切られるため、荷室の温度変化を抑制することができる。
【0005】
しかし、作業者がカーテンを閉状態まで十分に移動させずに扉部材を閉めてしまうと、扉部材の次回の開放時において、荷室の温度変化を十分に抑制できない可能性が生じる。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、荷室の温度変化の抑制効果を高めることが可能な車両の荷室の開口部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は、温度管理される荷室の開口部を開閉する扉部材の開放時に、荷室を外部から仕切ることによって荷室の温度変化を抑制する車両の荷室の開口部構造であって、
左レール
及び右レールと複数のランナーと
左カーテン
及び右カーテンとを備える。
左レール
及び右レールは、
開口部の上縁の中間部から開口部の上縁に沿って
左方向及び右方向へ延び、荷室に対して固定される。複数のランナーは、
左レール
及び右レールにスライド移動自在に支持される。
左カーテン
及び右カーテンは、ランナーを介して
左レール
及び右レールに
それぞれ吊り下げられる。
【0008】
左カーテン
と右カーテンとは、ランナーのスライド移動によって開口部を閉じる閉状態と開口部を開放する開状態との間で移動可能である。
左レール
と右レールとは、
左カーテン
と右カーテンとが自重によって閉状態又は開状態の一方へ移動するように水平方向に対して
それぞれ傾斜している。
【0009】
左カーテン及び右カーテンが自重によって閉状態へ移動するように左レール及び右レールが傾斜している場合は、左カーテン及び右カーテンの開状態を保持するための手段を設けることが好適であり、左カーテン及び右カーテンが自重によって開状態へ移動するように左レール及び右レールが傾斜している場合は、左カーテン及び右カーテンの閉状態を保持するための手段を設けることが好適である。
左カーテンの右縁部と右カーテンの左縁部とには、左カーテン及び右カーテンの上縁近傍から左カーテン及び右カーテンの下縁よりも上方の所定高さまで上下方向に延びる左右の内縁プレートがそれぞれ固定されている。左右の内縁プレートの少なくとも一方には、閉状態で左右の内縁プレートを着脱可能に連結する磁石が固定される。左カーテンの右縁部のうち左の内縁プレートよりも下方の領域と、右カーテンの左縁部のうち右の内縁プレートよりも下方の領域とは、磁石によって連結されない
左右の非連結領域である。
左の非連結領域は、左の内縁プレートよりも右側へ張り出して閉状態で右の非連結領域と重なる左の重複部を一体的に有し、右の非連結領域は、右の内縁プレートよりも左側へ張り出して閉状態で左の非連結領域と重なる右の重複部を一体的に有する。
【0010】
上記構成では、
左カーテン
及び右カーテンが自重によって閉状態へ移動するように
左レール
及び右レールが傾斜している場合、荷室への積荷の入出作業の終了後に、作業者が
左カーテン
及び右カーテンを閉状態へ十分に移動させずに扉部材を閉止した場合であっても、
左カーテン
及び右カーテンが自重によって閉状態へ移動するので、扉部材の次回の開放時の荷室の温度変化を確実に抑制することができる。
【0011】
一方、左カーテン及び右カーテンが自重によって開状態へ移動するように左レール及び右レールが傾斜している場合、荷室への積荷の入出作業の終了時において、作業者が左カーテン及び右カーテンを引っ張って移動させない限り左カーテン及び右カーテンは開状態に維持されるため、作業者は左カーテン及び右カーテンを閉状態へ移動させなければならないことに容易に気付く。このように、作業者に対して左カーテン及び右カーテンの閉状態への十分な移動を積極的に促すことによって、扉部材の次回の開放時の荷室の温度変化を確実に抑制することができる。
また、荷室に対して入出する積荷が小型の場合に、左カーテン及び右カーテンを閉状態に維持したまま、左右の非連結領域から積荷の入出を行うことができるので、作業性が向上する。また、積荷の入出時における開口部の開放が最小限に抑えられるので、荷室の温度変化の抑制効果を高めることができる。
また、積荷の入出時以外(扉部材の次回の開放時を含む)は左右の非連結領域が互いに重なり合うので、荷室の温度変化の抑制効果をさらに高めることができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の開口部構造であって、開口部は、荷室の後方を開放する。左カーテンの左縁部と右カーテンの右縁部とは、開口部の左右の側縁部にそれぞれ保持される。左レールと右レールとは、開状態の左カーテンと右カーテンとが自重によってそれぞれ閉状態へ移動するように中間部に向かって下方へ傾斜している。
【0013】
左カーテンの左縁部は、開口部の左の側縁部に解除可能に保持されてもよく、右カーテンの右縁部は、開口部の右の側縁部に解除可能に保持されてもよい。
【0014】
上記構成では、荷室への積荷の入出作業の終了後に、作業者が左カーテン及び右カーテンの少なくとも一方を閉状態へ十分に移動させずに扉部材を閉止した場合であっても、そのカーテン(左カーテン及び右カーテンの少なくとも一方)が自重によって閉状態へ移動するので、扉部材の次回の開放時の荷室の温度変化を確実に抑制することができる。
【0015】
また、左カーテンと右カーテンとは、磁石により連結されて十分な閉状態となる。このため、自重による移動の際にも磁石による連結によって十分な閉状態となり、且つこの十分な閉状態が磁石によって確実に維持される。なお、このような磁石による連結は、左カーテンの右縁部と右カーテンの左縁部とが所定の範囲内(磁石が機能する範囲内)まで近接することが必要となるが、車両が走行すると、車両の振動を受けて左カーテン及び右カーテンが揺動し、左カーテンの右縁部と右カーテンの左縁部とが所定の範囲内まで近接する可能性が高まるので、十分な閉状態への移行が生じ易い。
【0016】
本発明の第3の態様は、上
記第2の態様の開口部構造であって、
左右の内縁プレートには、左カーテン及び右カーテンを移動させる際に把持可能で、且つ開口部の左右の側縁部に設けられた左右の突起部に係止可能な左右の環状グリップがそれぞれ取付けられる。左カーテン及び右カーテンを開状態とした際に左右の環状グリップを左右の突起部に係止することにより、左カーテン及び右カーテンの展開が環状グリップによって規制されて開状態が保持される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、荷室の温度変化の抑制効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の荷室の開口部構造(カーテンは閉状態)を車両後方から視た斜視図である。
【
図2】閉状態のカーテンを車両後方から視た正面図である。
【
図5】(a)はレール及びランナーの斜視図であり、(b)はランナーの拡大斜視図である。
【
図6】
図1のカーテンを開状態に保持した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図1のカーテンを閉状態に維持したまま積荷の入出を行う場合のカーテンの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、特に説明のない限り左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の車両1は、冷凍食品や冷蔵食品などを輸送するための荷箱2を車両後部に備えたバン型貨物自動車である。荷箱2は、断熱構造の施された6面体であり、前壁部(図示省略)、左右の側壁部3、屋根部4、床部5及び左右の後扉(扉部材)6から構成される。荷箱2の内部は温度管理される荷室7(
図6参照)であり、荷室7の温度は所定の温度範囲から外れないように空調装置(図示省略)によって制御される。左右の後扉6は、荷室7の開口部8を閉止して荷室7を密閉するとともに、左右に観音開き状に開移動して荷室7を開放する。
【0022】
荷室2の開口部8の上部には、閉止位置の後扉6の前方(荷室7内)で開口部8の上縁に沿って車幅方向に延びるレール9が荷室7に対して固定されている。レール9には複数のランナー10がスライド移動自在に支持され、ランナー10を介してカーテン11がレール9に吊り下げられている。カーテン11は、レール9に吊り下げられた状態でその下縁が荷室7の床部5の上面に近接又は接触する上下長さと、左右に拡げられた状態で開口部8の横幅よりも長い横幅とを有し、ランナー10のスライド移動によって開口部8を閉じる閉状態と開口部8を開放する開状態との間で移動可能である。
【0023】
レール9は、開口部8の上縁の中間部(本実施形態では車幅方向の略中央)から左方向へ延びる左レール9Lと、中間部から右方向へ延びる右レール9Rとから構成される。
【0024】
図5(a)に示すように、レール9は、上フランジ部12と下フランジ部13とが縦板部14で連結されたI状断面を有する。上フランジ部12の所定の複数位置にはそれぞれレールブラケット15が固定され、レールブラケット15を荷箱2の屋根部4(
図1参照)の後端部の下面側に締結固定することによって、レール9が荷室7に対して固定される。下フランジ部13の幅方向の両端縁(前縁及び後縁)には、上方に突出する直線状のレール突部16が一体的に設けられている。
【0025】
図5(a)及び(b)に示すように、ランナー10は、車輪支持板17と前後の車輪支持軸18(前側は図示省略)と前後の車輪19とを有する。車輪支持板17は、底板部20の前縁及び後縁から前後の縦板部21が相対向して起立するU形状である。前側の車輪支持軸18は前側の縦板部21の後面に固定されて後方へ延び、後側の車輪支持軸18は後側の縦板部21の前面に固定されて前方へ延びる。前後の車輪19は、前後の車輪支持軸18にそれぞれ軸受40(後側は図示省略)を介して回転可能に支持される。各車輪19の外周面には、全周に亘って連続する環状溝41が形成され、環状溝41にレール突部16が下方から係合した状態で、車輪19がレール9の下フランジ部13上を転動する。前後の車輪19がそれぞれ軸受40を介して回転自在に支持され、且つ各車輪19の環状溝41がレール突部16に係合されるので、ランナー10は極めて微少な力によって円滑に且つ安定してレール9に沿ってスライド移動する。車輪支持板17の底板部20の下面には、カーテン11を吊り下げるための連結環22が固定されている。
【0026】
図1に示すように、カーテン11は、左レール9Lにランナー10を介して吊り下げられる左カーテン11Lと、右レール9Rにランナー10を介して吊り下げられる右カーテン11Rとに分割して構成される。カーテン11は、幅広な短冊状の厚肉部分と幅狭な短冊状の薄肉部分とが交互に連続する透明樹脂製(例えば塩化ビニル製)のシートである。厚肉部分と薄肉部分とが交互に連続することにより、蛇腹状の折り畳み状態と平面状の展開状態との間の状態移行が容易に行われる。各厚肉部分の上端部は、シートに固定される板材及びリング23を介してランナー10の連結環22に連結され(
図4参照)、これによりカーテン11がランナー10を介してレール9に吊り下げられる。
【0027】
図2に示すように、左カーテン11Lの左縁部と右カーテン11Rの右縁部とには、それぞれ上下方向の広い範囲に亘って延びる外縁プレート24(左側は図示省略)が固定されている。外縁プレート24の車幅方向外端部の複数箇所(本実施形態では2箇所)にはそれぞれマグネット(永久磁石)25が固定され、これらのマグネット25に対応して開口部8の側縁部にはマグネット25と磁着可能(磁力によって吸着可能)な磁性部(図示省略)が設けられている。マグネット25の磁着によって、左カーテン11Lの左縁部と右カーテン11Rの右縁部とは、開口部8の左右の側縁部にそれぞれ解除可能に保持される。
【0028】
左カーテン11Lの右縁部と右カーテン11Rの左縁部とには、それぞれ上下方向に延びる内縁プレート26が固定されている。内縁プレート26の上端は、外縁プレート24の上端とほぼ同高さとなるカーテン11の上縁近傍であるが、内縁プレート26の下端は、外縁プレート24の下端よりも上方であり、内縁プレート26の上下方向の長さは、外縁プレート24よりも短い。
図3に示すように、左右の内縁プレート26の一方(本実施形態では右側)の車幅方向内端部の複数箇所(本実施形態では2箇所)にはそれぞれマグネット(永久磁石)27が固定され、これらのマグネット27に対応して左右の内縁プレート26の他方(本実施形態では左側)の車幅方向内端部にはマグネット27と磁着可能な磁性部(図示省略)が設けられている。マグネット27の磁着によって、左カーテン11Lと右カーテン11Rとは、着脱可能に連結されて閉状態となる。閉状態のカーテン11は、後扉6の開放時に荷室7を外部から仕切ることによって荷室7の温度変化を抑制する。
【0029】
図2に示すように、左カーテン11Lの右縁部のうち内縁プレート26の下方と、右カーテン11Rの左縁部のうち内縁プレート26の下方とは、閉状態においてマグネット27によって連結されない領域(所定高さ以下の非連結領域28)となる。左カーテン11Lの右縁部の非連結領域28と右カーテン11Rの左縁部の非連結領域28とは、右方向及び左方向へそれぞれ張り出す重複部28a(
図3に右側の重複部を示す)を一体的に有する。マグネット27の磁着によってカーテン11が十分な閉状態になると、左右の重複部28aは相手側(反対側)の非連結領域28とそれぞれ前後に重なり合う。
【0030】
左右の内縁プレート26には、カーテン11を移動させる際に作業者が把持して操作可能な環状のグリップ紐29がそれぞれ取り付けられている。左右のグリップ紐29は、左カーテン11L及び右カーテン11Rを開状態とした際に、開口部8の左右の側縁部にそれぞれ設けられた突起部30に係止されることによって、折り畳まれた左カーテン11L及び右カーテン11Rの展開を規制して閉状態を保持する機能を有する(
図6参照)。
【0031】
左右の内縁プレート26の上部は、それぞれ複数(本実施形態では2つ)のランナー10にリング23を介してそれぞれ連結される。左右の内縁プレート26をそれぞれ複数のランナー23を介してレール9から吊り下げているので、マグネット27と磁性体とが磁着し易い対向姿勢となり易く、左カーテン11Lと右カーテン11Rとが、マグネット27の磁着により連結され易い。
【0032】
図2に示すように、荷室7への積荷の入出作業の終了後に、作業者が左カーテン11L及び右カーテン11Rの少なくとも一方を閉状態へ十分に移動させずに後扉6を閉止した場合であっても、十分に閉状態となっていない一方のカーテン(左カーテン11L及び右カーテン11Rの少なくとも一方)が自重やカーテン11が弾性によって展開しようとする復元力によって閉状態へ移動するので、後扉6の次回の開放時の荷室7の温度変化を確実に抑制することができる。
【0033】
左カーテン11Lと右カーテン11Rとは、マグネット27により連結されて十分な閉状態となる。このため、自重等による移動の際にもマグネット27による連結によって十分な閉状態となり、且つこの十分な閉状態がマグネット27によって確実に維持される。なお、このようなマグネット27による連結は、左カーテン11Lの右縁部と右カーテン11Rの左縁部とが所定の範囲内(マグネット27が機能する範囲内)まで近接することが必要となるが、車両1が走行すると、車両1の振動を受けて左カーテン11L及び右カーテン11Rが揺動し、左カーテン11Lの右縁部と右カーテン11Rの左縁部とが所定の範囲内まで近接する可能性が高まるので、十分な閉状態への移行が生じ易い。
【0034】
また、
図7に示すように、荷室7に対して入出する積荷が小型(小型積荷33)の場合、左カーテン11L及び右カーテン11Rを閉状態に維持したまま、左右の非連結領域28を捲り上げて小型積荷33の入出を行うことができるので、作業性が向上する。また、小型積荷33の入出時における開口部8の開放が最小限に抑えられ、且つ小型積荷33の入出時以外(後扉6の次回の開放時を含む)は左右の非連結領域28の重複部28a(
図3参照)が相手側の非連結領域28と前後に重なり合うので、荷室7の温度変化の抑制効果をさらに高めることができる。
【0035】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【0036】
例えば、カーテン11が自重によって開状態へ移動するようにレール9を傾斜させてもよい。この場合、荷室7への積荷の入出作業の終了時において、作業者がカーテン11を引っ張って移動させない限りカーテン11は開状態に維持されるため、作業者はカーテン11を閉状態へ移動させなければならないことに容易に気付く。このように、作業者に対してカーテン11の閉状態への十分な移動を積極的に促すことによって、後扉6の次回の開放時の荷室7の温度変化を確実に抑制することができる。
【0037】
また、レール9及びカーテン11を左右中のように三分割以上としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:車両
2:荷箱
6:後扉(扉部材)
7:荷室
8:開口部
9:レール
10:ランナー
11:カーテン
27:マグネット(磁石)
28:非連結領域