(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021228
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】コンタクトロック部材とテストストップを有する電気プラグ部材
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20161027BHJP
【FI】
H01R13/64
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-534272(P2013-534272)
(86)(22)【出願日】2011年10月17日
(65)【公表番号】特表2013-543641(P2013-543641A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】EP2011068071
(87)【国際公開番号】WO2012052382
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年9月1日
(31)【優先権主張番号】102010042826.4
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ベンメル、 クリスチャン、 オットー
(72)【発明者】
【氏名】イェッター、 ロルフ
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−151942(JP,A)
【文献】
実開昭62−129782(JP,U)
【文献】
特開2010−102946(JP,A)
【文献】
特開2000−268915(JP,A)
【文献】
特開2009−099471(JP,A)
【文献】
特開平06−310199(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0269963(US,A1)
【文献】
米国特許第05967843(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気プラグインコネクタのためのプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)であり、差込部分(2)を備え、当該プラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)の差込の方向Zに相手プラグ部材(100)と結合することができるように構成され、電気プラグインコンタクトのための少なくとも一つの受容部(5)を有し、少なくとも固定位置(S)において、少なくとも部分的に、前記受容部(5)に突出するコンタクトロック部材(8)を備えるプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)であって、
前記固定位置(S)における前記コンタクトロック部材(8)は、テスト路(P)を解放し、そのテスト路(P)に沿って、テスト部材(3、200)がテストストップ(18)を通過して案内され、
前記コンタクトロック部材(8)は、前記プラグ部材の外側に沿って前記差込の方向Zとは逆向きに延出しており、
前記テスト路(P)は、少なくとも部分的に、前記コンタクトロック部材(8)上のテスト凹部(17)によって形成されることを特徴とするプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)。
【請求項2】
前記テストストップ(18)が前記コンタクトロック部材(8)に形成されることを特徴とする請求項1に記載のプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)。
【請求項3】
少なくとも前記コンタクトロック部材(8)の固定前位置(V)にある、テストストップ(18)は前記差込の方向Zに向き、且つ、前記テスト路(P)は、前記差込の方向Zに平行に延出することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)。
【請求項4】
前記テスト凹部(17)は、スロットであることを特徴とする請求項1に記載のプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)。
【請求項5】
前記コンタクトロック部材(8)は、少なくとも部分的に、前記差込の方向Zを実質的に横切るように移動可能に前記差込部分(2)に対して横方向にヒンジ結合されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)。
【請求項6】
前記コンタクトロック部材(8)は、弾性的に移動可能なタブとして構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)。
【請求項7】
前記コンタクトロック部材(8)は、前記プラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)上を横方向に前記プラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)の差込面(4)の領域に留められ、且つ前記コンタクトロック部材(8)の自由端は、前記差込の方向Zとは実質的に反対へ向くことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラグ部材(1’、1’’、1’’’、1’’’’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差込部分を有する、防水型及び非防水型電気プラグインコネクタの両方のためにプラグ部材であって、当該プラグ部材の差込の方向へ相手プラグ部材と接続されることができるように構成され、少なくとも一つの電気プラグインコンタクトのための受容部を有し、且つ少なくとも固定位置で少なくとも部分的にその受容部内へ突出するコンタクトロック部材を有するプラグ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトロック部材を有するプラグ部材は、従来の技術から公知となっている。コンタクトロック部材は、しばしば第2のコンタクトロック手段と呼ばれ、固定位置において、受容部内で封止され且つこの受容部からの引き出しに抗して前記部材を機械的に固定する電気コンタクト部材と重なる。コンタクト部材の第1の機械的固定は、大部分部材自体に形成され、受容部内の突起にラッチされるラッチスプリングによってなされる。
【0003】
従来の技術から公知であるプラグ部材の場合、コンタクトロック部材が正確に固定位置へ移行するか否かを確証することがしばしば困難である。最初は、不正確に挿入された電気コンタクト部材がコンタクトロック部材の固定位置への移行を防止できることは真実である。理由は、その不正確に挿入された電気コンタクト部材がコンタクトロック部材の前方へ延出する固定位置を塞ぐからである。しかしながら、一層力を加えてコンタクトロック部材を固定位置へ移行させようとすると、コンタクトロック部材及び/又はコンタクト部材は、少なくとも外側から変形される可能性があり、固定位置へ到達された印象を与える。
【0004】
この問題は、プラグ部材が周囲のハウジングに受け入れられ、且つ封止部材が周囲のハウジングとプラグ部材の導体受容部部分との間に配置されることができ、従って、差込部分が苦労すればアクセス可能である場合に、一層悪化される。次に、固定位置のチェックは、例えば、コンタクトロック部材の位置を感知するために、周囲のハウジングとプラグ部材との間の空間に導入される追加の補助手段でのみ生じる。この補助手段の導入でより多くの力を使うと、同様にコンタクトロック部材の変形となり、固定位置のチェックで誤った結論を導く可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術から公知のプラグ部材の場合における上述の問題に鑑み、本発明は、コンタクトロック部材の固定位置が単純に且つ信頼性を持ってチェックされるプラグ部材を提供する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、補助手段としてのテスト部材がテストストップを越えて案内されることができるテスト路を、固定位置にあるコンタクトロック部材が解放する本発明に従って、達成される。
【0007】
この解決策では、テストストップが、テスト部材が作動される力の印加とは無関係にテスト部材を阻止できる、従って、固定位置に適切に到達しなかったことを知らせることができる点が有利である。更に、画定されたテスト路は、適宜、テスト部材をテストストップへ向けて又はそれを通過するように案内するのを助けることができる。このため、コンタクトロック部材の又はテストストップの変形を引き起こす可能性のある無制御移動が防止されることができる。
【0008】
本発明に従う解決策は、各々がそれ自体有利である以下の更なる複数の実施の形態によって更に望ましいように補充及び向上されることができる。
【0009】
このように、本発明のプラグ部材の第1の有利な実施の形態によれば、テストストップがコンタクトロック部材上に形成されることができる。このコンタクトロック部材は、第1に電気コンタクト部材を受容部へ固定すること及び第2に電気コンタクト部材が適切に着座されていることをチェックすることを助けることによるデュアル機能を実行できる。
【0010】
少なくともコンタクトロック部材の固定位置におけるテストストップは、差込の方向に向くことができ、テスト路は、差込の方向に平行に延出できる。このように、テスト部材は、例えば、プラグ部材の差込面を越える又は前記部材を越えてプラグ部材内へ又はプラグ部材と周囲のハウジングとの間の空間内へ差込方向とは反対へ導入されることができる。これによって、特に、プラグ部材が相手プラグ部材と一緒になる最終挿入状態におけるプラグ部材の全ての領域が差込面の所まで周囲のハウジングによって覆われる及び/又は封止される場合は、固定位置のチェックが容易になる。
【0011】
テスト路は、少なくとも部分的に、コンタクトロック部材上のテスト凹部によって形成されることができる。テスト凹部は、凹部によって形成されるテスト路がプラグ部材の外部寸法を広げないので、プラグ部材の外部寸法を最小にするのを助けることができる。更に、コンタクトロック部材は、少なくとも部分的に、テスト路を決定付けることによって追加の機能を実現できる。次に、コンタクトロック部材は、特に、テスト凹部が、例えば、差込の方向に平行に延出することができるスロットである場合にテスト路を簡単に決定付けることができる。
【0012】
コンタクトロック部材は、電気コンタクト部材をそれらの夫々の受容部内に機械的に固定することができ、そこでは、差込の方向を実質的に横切るように延出する少なくとも一つの固定要素が、コンタクトロック部材に形成されることができ、その要素が、少なくとも固定位置で、差込部分のテスト溝や固定溝を介して、受容部内へ突出し、固定溝は、少なくとも部分的に、差込の方向を横切るように延び且つ少なくとも一つの受容部内に延出するか又はその受容部への通路と交差する。このような固定溝は、一列に配置される複数のコンタクト受容部が設けられる場合、特に有利である。次に、コンタクトロック部材は、同時に、複数のコンタクト部材が、固定溝内に突出する固定要素に受容部内に着座されていることをチェックするのを助けることができる。
【0013】
固定要素と固定溝は、ラッチ手段および相手ラッチ手段として互いに協働するように構成されることができる。このように、固定部材は、例えば、固定位置に達すると、相手プラグ部材にラッチできる。これによって、固定位置に適切に到達したことを認識するのが助けられることができる。その理由は、係合動作は、固定位置に到達したことを視覚的及び聴覚的に知らせることができるからである。
【0014】
コンタクトロック部材は、少なくとも部分的に、差込の方向を実質的に横切るように移動可能に差込部分に対して横方向へヒンジ結合されることができる。このように、コンタクトロック部材は、第1に、差込部分へ分離不能に接続されることができる。第2に、コンタクトロック部材を差込部分又はプラグ部材へヒンジ結合することによって、コンタクトロック部材を固定前位置から固定位置へ移行するための移動の予め決定された路を決定付けることが助けられる。このように、固定位置への移行でコンタクトロック部材の傾きや変形を引き起こすおそれがあるコンタクトロック部材の無制御移動が防止されることができる。
【0015】
テスト部材は、弾性移動可能タブとして構成されることができる。従って、テスト部材は、それが、固定位置へ適切に移行されない及び/又は固定位置へラッチされない場合、自動的に固定前位置へスプリング力で戻されることができる。このようなスプリング機能は、特に、テスト部材がプラグ部材と一体物に形成され且つ固定前位置で事前に張力が付与される場合に、容易に実現されることができる。このために、プラグ部材とテスト部材は、例えば、射出成形プラスチック部品として一体物に形成されることができ、その部品の元の状態は、固定前位置でのテスト部材であり、その固定前位置の外から、そのテスト部材は、ある力の印加で固定位置へ移行されなければならない。ここで、タブとしてのテスト部材の構成は、絶対的に必要ではないが、好適である。その理由は、プラグ部材の外部寸法が最小にされることができ、差込部分とテスト部材との間の画定されたスプリング力が実現されるからである。
【0016】
テスト部材は、差込面の領域でプラグ部材に対して横方向へ留められることができ、テスト部材の自由端は、差込の方向と実質的に反対へ向くことができる。このように、テスト部材は、プラグ部材が差込面で最初に周囲のハウジング内へ導入され及び/又は相手プラグ部材のプラグ受容部内に導入されると、固定前位置から固定位置へ自動的に移行されることができる。テスト部材は、差込の方向に対して斜めに固定前位置内へ延出でき、従って、一タイプのランプ(傾斜路)を形成し、そのランプに沿って、テスト部材は、周囲のハウジングの又は相手プラグ部材の内側形状がプラグ部材の導入のためにコンタクトロック部材の固定位置への移行を必要とする場合、固定前位置から固定位置へ押し込まれる或いは無理やりに押し込まれる。
【0017】
その結果、適切に受容部へ挿入されない少なくとも一つのコンタクト部材によって固定前位置で阻止されるテスト部材は、プラグ部材の周囲のハウジング又は相手プラグ部材への導入を防止でき、従って、プラグ部材の不完全な導入を示すことができる。このように、本発明に従うプラグ部材のためのアセンブリ方法の動作ステップは、ステップ数が減少される又は省略されることができる。その理由は、一つの動作ステップにおいて、プラグ部材は、周囲のハウジング又は相手プラグ部材へ挿入され、且つ同時に夫々の受容部におけるコンタクト部材の適切な着座がチェックされることができるからである。
【0018】
本発明は、添付の図面を参照して、幾つかの実施の形態を使用する例を介してより詳細に説明される。これらの実施の形態は、上述のように、個々の特徴が互いから独立して、実現される又は省略される可能な構成を単に表しているに過ぎない。実施の形態の説明において、簡単のために、同じ特徴及び要素は、同じ参照番号が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に従うプラグ部材の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に従うプラグ部材の他の実施の形態の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されるプラグ部材の概略平面図である。
【
図7】
図7は、本発明に従う他の実施の形態のプラグ部材と相手プラグ部材の概略斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示されるプラグ部材とテスト路に沿ってテストストップまで案内されるテスト部材の概略斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示されるプラグ部材のテスト凹部に沿う概略斜視断面図である。
【
図10】
図10は、本発明に従うプラグ部材の更なる実施の形態の概略斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明に従うプラグ部材の更なる実施の形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
初めに、本発明に従うプラグ部材1の実施の形態が
図1の概略斜視図を参照して説明される。プラグ部材1は、差込部分2と導体受容部部分3を備えている。差込部分2は、受容部プラグ部材(ここではまだ示されていない)及び/又は周囲のハウジング(図示せず)に導入されるように構成される。導体受容部部分3は、電気導体(図示せず)をプラグ部材1内へ導入するように構成される。
【0021】
差込部分2は差込面4を備え、この差込面4は、プラグ部材1の差込方向Zへ向き、その方向へ沿って、プラグ部材1は、周囲のハウジング及び/又は受容部プラグ部材へ挿入可能であるように構成される。プラグ部材1のコンタクト受容部5は、開口6を介して差込面4のコンタクト受容部5ヘアクセス可能となっている。コンタクト受容部5や開口6は、プラグ部材1の横方向Xに延出する二列6a、6bに配置されている。これらの列5a、5bは、プラグ部材1の横方向Yに互いに隣接して配置される。
【0022】
コンタクト受容部5又はそれらの開口6は、コンタクト部材や受容部コンタクト部材(ここではまだ示されていない)の夫々のコンタクト受容部5との関連付けを容易にするマーキング7が付与されている。
【0023】
タブ形状のコンタクトロック部材8は、プラグ部材1に対して横方向へ留められている。コンタクトロック部材8の基部9は、差込面4の前縁10の領域に配置されている。基部9から、コンタクトロック部材8は、プラグ部材1の外側に沿って差込の方向Zとは実質的に反対へ延出している。最初に、基部9をコンタクトロック部材8の作動部分12へ接続するスプリング部分11は、基部9に隣接する。コンタクトロック部材8の固定要素13は、作動部分12に隣接する。固定要素13は、差込の方向Zを横切るように、すなわち横方向Xに平行に延出するバーの形状であり、このバーは、実質的に横方向Yに沿って差込の方向Zとは反対へ向くコンタクトロック部材8の端部からプラグ部材1の壁に配置されたテスト開口14の方向へ延出する。
【0024】
テスト開口は、壁に沿って横方向Xへ延出し、列5aのコンタクト受容部5と横方向へ交差する固定溝14の形態である。固定要素13のラッチ突起の形状のラッチ手段15は、固定溝14のラッチ凹部の形態の相手ラッチ手段16と協働するように構成される。
【0025】
テスト路Pは、差込の方向Zと平行な幾つかの部分17a乃至17cにおいてプラグ部材1に沿って延出する溝状テスト凹部17に沿って延出する。テスト凹部17の第1の部分17aは、導入部分として働き、差込の方向Zに対して反対へアクセス可能なテスト部材(ここではまだ示されていない)のための導入開口が差込面上に形成される深さまで差込面5上の横方向縁10とコンタクトロック部材8の基部9と交差する。第1の部分17aは、テスト凹部17の第2の部分17bによってその差込の方向Zとは反対側で隣接されており、この第2の部分17bは、作動部分12を第1の作動部分12aと第2の作動部分12bへ分割する開口として構成される。差込の方向Zとは反対側に向く開口の端部において、この開口は、固定要素13程度まで延出し、従って、差込の方向Zを横切るように延出するテストストップ18を形成する。
【0026】
テストストップ18の上方で差込の方向Zとは反対に、テスト凹部17は、解放路P’を決定付け、テスト路Pの連続を表し且つテスト部材がテストストップ18又は固定要素13を通過した場合に、テスト路Pに沿ってテスト凹部17へ導入されるテスト部材によって到達される第3の部分17cへ連続する。テストストップ18は、一タイプのランドとして、コンタクトロック部材8の、テスト凹部17によって分離された二つの部分8a、8bを一緒に接続する固定要素18の一部上に形成される。テストストップで、テスト路Pは、解放路P’へ連続する。
【0027】
テスト凹部17の第3の部分17cは、導体受容部部分3のカラー3aを通過するように差込の方向Zへ貫通し、これは、差込面4からテスト凹部17へ導入されたテスト部材が差込の方向Zとは反対へ導体受容部部分3を越えて移動できることを意味する。これによって、導体受容部部分3の上方からテスト部材が適切にテストストップ18を通過したか否かをチェックすることが容易になる。
【0028】
更に、プラグ部材1は、プラグ部材の壁に形成された溝の形態で差込の方向Zに平行に延出するガイド要素19を備え、それによって、プラグ部材1の周囲のハウジング又は相手プラグ部材への正確な導入が容易となり、従って、相手プラグ部材におけるピンコンタクトの形態の相手電気コンタクト部材が差込の方向Zに対して斜めに移動又は傾けられるプラグ部材によって損傷されることから防止される。
【0029】
更に、プラグ部材1は、差込の方向Zへ向く非対称幾何学構造の形態のコーディング要素20aとランドの形態のコーディングガイド20bを備えるコーディング手段20を有する。
【0030】
図1に描かれている状態において、プラグ部材1やそのコンタクトロック部材8は、固定前位置Vにあり、そこでは、固定要素13は、コンタクト受容部5に係合していない。コンタクト受容部5が、適切に電気コンタクト部材を備えると、コンタクトロック部材8は、横方向Yへの作動力Fの印加によって、固定前位置Vから固定位置S(ここではまだ示されていない)へ移行されることができ、そこでは、固定要素13はテスト開口14へ係合し、そしてラッチ手段15が相手ラッチ手段16へラッチされる。
【0031】
固定位置Sにおいて、テスト凹部17の部分17a乃至17cは、差込の方向Zに同一平面上にあり、それによって、テスト部材は、テスト凹部17の第1の部分17aを通過するようにテスト凹部17の第2の部分17bに沿ってテストストップ18を越えてテスト凹部17の第3の部分17c内へ押し込まれることができ、従って、固定位置Sの適切な到達を示すことができる。
【0032】
図2は、本発明に従うプラグ部材1’の他の実施の形態を描いている。
図1に示されるプラグ部材1とは異なり、このプラグ部材1’は、電気コンタクト部材のためのより少数の受容部5を有する。更に、プラグ部材1’は、テスト凹部17が第1の部分17aと第2の部分17bによって形成されているだけである点でプラグ部材1とは異なっている。第1の部分17aは、コンタクトロック部材8における開口として構成されるテスト凹部17の第2の部分17bに対する導入(run−in)領域として設計される。スロット形状のテスト凹部17によって決定付けられるテスト路Pは、テストストップ18に繋がっている。テスト凹部17の第3の部分17cによって画定される解放路P’の形態のテスト路Pの連続は、
図2に描かれたプラグ部材1’の実施の形態では設けられない。
【0033】
図3は、
図2に描かれたプラグ部材1’を概略平面図で示している。ここで、特に、コンタクトロック部材8のテストストップ18が差込の方向Zに向いていることが明確である。
【0034】
図4は、固定溝14に沿って見る右からのプラグ部材1’の概略側面図である。固定溝14は、固定要素13と相補的に構成されている。コンタクトロック部材8が横方向Yと平行に向けられる作動力Fによって固定溝14に向けて移動されるとすぐに、コンタクト受容部5内へ不正確に挿入されたコンタクト部材が固定溝に重なり、それによって固定前位置Vから固定位置Sへのコンタクトロック部材8の移行が防止されない限り、ラッチ手段15は、固定溝14内に移動し、固定溝14を満たす。
【0035】
固定位置Sの到達は、破線で描かれている固定部材8によって
図4に示されている。コンタクトロック部材8が固定位置Sへ到達するとすぐに、コンタクトロック部材8が表面と面一となるように差込部分2の表面のへこみ14’内に位置し、そして挿入部分2の外形寸法がコンタクトロック部材8によって拡大されない。
【0036】
更に、コンタクトロック部材8の作動部分12の差込の方向Zに対する傾きのコースに起因して、固定前位置Vにあるコンタクトロック部材の場合に、差込の方向Zへの挿入力は、これが不正確にプラグ部材1’へ挿入されたコンタクト部材によって防止されない限り、常に、コンタクトロック部材を固定位置Sへ移動させる作動力Fの方向へ力の成分を発生することが
図4に見られる。このように、プラグ部材1’の周囲のハウジング又は相手プラグ部材への挿入中に、同時に、コンタクトロック部材8は、作動されることができ、プラグ部材の夫々の受容部5への正確な着座がチェックされる。
【0037】
図5は、
図3と
図4に示される、プラグ部材1’の正面図であり、そこでは、特に、テストストップ18より上のテスト路Pが画定された方法では連続されていないことが明白になっている。このように、固定位置Sに到達した後、テスト凹部17に沿って差込の方向Zとは反対に案内されるテスト部材がテストストップ18を越えて滑ることができる。
【0038】
図6は、
図3乃至
図5に示されるプラグ部材1’を左から見た概略側面図である。ここで、固定要素13を含むコンタクトロック部材8は、それらが固定前位置Vにある時に、差込部2の横方向縁21を越えて横方向Yに突出する方法が再度明瞭になっている。
【0039】
図7は、本発明に従うプラグ部材1’’の他の実施の形態の概略斜視図である。更に、
図7は、本発明に従う相手プラグ部材100の概略斜視図を含んでいる。プラグ部材1’’と相手プラグ部材100は、差込の方向Zへ一緒になるように嵌合するように配置される。
【0040】
図1に描かれたプラグ部材1とは異なり、プラグ部材1’’は、より多くの数のコンタクト受容部5を有する。機能に関して、テスト凹部17とテストストップ18を含むコンタクトロック部材8の構造は、
図1に描かれているコンタクトロック部材8の構造と同様である。
【0041】
相手プラグ部材100は、差込の方向Zとは反対に向く差込開口102を有するプラグ受容部101を備える。テスト凹部17と相補的に構成されるガイド要素103は、プラグ受容部101内に配置される。このように、ガイド要素103は、プラグ受容部101内でテスト要素として働くことができる。ガイド要素103は、差込の方向Zとは反対へテスト凹部に沿って滑ることができ、コンタクトロック部材8が固定位置Sへ移行されない限り、テストストップ18に当接してプラグ部材1のプラグ受容部101への完全な挿入を防止する、差込の方向Zとは反対に向くテスト当接部104を形成する。
【0042】
更に、差込の方向Zと平行に延出する極性形成要素105とコーディング要素106がプラグ受容部101内に配置されている。ガイド要素103と、極性形成要素105及びコーディング要素106は、プラグ受容部101内に配置されたピンコンタクトの形状の相手コンタクト部材107が挿入時に曲がることを防止するために、可能な限り正確に且つ差込の方向Zに平行にプラグ受容部101内へプラグ部材1’’を導入するのを助ける。
【0043】
図8は、テスト凹部17へ導入されたテスト部材200を含むプラグ部材1’’を示している。テスト部材200は、矩形横断面を有するピンの形状であり、差込の方向Zとは反対に向く上側のテスト当接部204を形成する。テスト部材200がテスト路Pに沿って案内されると、コンタクトロック部材8が
図8に描かれた固定前位置Vから固定位置Sへ移行されない限り、テスト当接部204は、テストストップ18に当接する。
【0044】
図9は、
図8に描かれたテスト部材200を含むプラグ部材1’’を斜視図において差込の方向Zにテスト路Pに沿って且つ横方向Yに平行に渡される断面で示している。ここで、通路14’は、コンタクト受容部5と固定溝すなわちテスト開口14との間に位置され、コンタクト部材がコンタクト受容部5内に正確に挿入されない限り、コンタクト部材がその通路内へ突出することが明確になる。不正確に挿入されたコンタクト部材は、通路開口22を通って固定溝14内へ突出すると、固定要素13が固定溝14内へ完全に入ることができることを防止する。このように、テスト路Pに沿って案内されるテスト部材200は、コンタクトロック部材が固定前位置Vにある限り、そのテスト当接部204でテストストップ18に当接し、プラグ部材1’’の不完全な又は不正確な装着を知らせる。
【0045】
図10は、本発明に従うプラグ部材1’’’の他の実施の形態を示す。プラグ部材1’’’において、テスト凹部17は、コンタクトロック部材8の横方向縁の単純なくぼみとして形成される。テストストップ18は、このくぼみの上端に形成される。
【0046】
図11は、本発明に従うプラグ部材1’’’’の他の実施の形態を概略斜視図で示す。プラグ部材1’、1’’、及び1’’’とは異なり、他のプラグ部材1’’’’の場合、コンタクトロック部材8は、差込部分2の上端に留められており、それによって、コンタクトロック部材8は、その基部9から差込の方向Zへ延出している。
【0047】
差込の方向Zへ向く固定要素13の表面は、テストストップ18を形成する。テスト路Pは、プラグ部材1’’’’の表面にガイド溝として形成される第1の部分17aに沿って延出し、その溝は、コンタクトロック部材8が固定前位置Vにある限り、テストストップ18までテスト部材200を案内する。コンタクトロック部材8が固定位置Sに位置されるや否や、テスト凹部17の第1の部分17aは、固定溝14に落ち込むテストストップ18を横切ってテスト部材200をコンタクトロック部材8に形成された差込の方向Zへ延出するスロットにより形成されるテスト凹部の第2の部分17b内へ案内する。第2の部分17bは、テスト部材200を解放路P’に沿って解放ストップ18’へ案内する。テスト部材200が解放ストップ18’へ当接すると、テスト部材の貫通の対応深さ又は覆われたテスト路Pと解放路P’が固定位置Sに到達したことを知らせる。
【0048】
本発明の概念の文脈において、上述の実施の形態からの変形が可能である。このように、プラグ部材1’、1’’、1’’’、1’’’’は、問題の要件に対応するプラグインコネクタを形成するために、いずれにせよ、任意の構成の差込部分2、導体受容部部分3及び差込面4を備えることができる。コンタクト受容部5は、ピンコンタクトとして構成されてもよく、その都度、収容されるべきプラグインコンタクトに対応して形成されることができる。
【0049】
コンタクトロック部材8は、その固定要素が受容部5に係合することができ、それによって、受容部5上に位置されるコンタクト部材を固定でき、固定位置Sへ到達したことを知らせることができる限り、いずれにしても、任意の形態のものであることができる。テスト路Pと解放路P’は、テスト部材200又はガイド要素103を確実にテストストップ18及び解放ストップ18’へ供給するために、いずれにしても、いかなる方法によっても、開口、凹部、溝及びスロットの形状に形成されることができる。このように、コンタクトロック部材8は、コンタクトの固定及び固定位置Sのチェックを確実にするために、第1の部分8aと第2の部分8bの何であれ、任意の数に分割されることができる。更に、プラグ部材は、夫々の要件に従って構成される、いずれにしても、任意の数のガイド要素19とコーディング手段20とカラー3aを備えることができる。
【0050】
相手プラグ部材100は、対応する差込開口102とガイド要素3、テスト当接部104、極性形成要素105及びコーディング要素106を備える、夫々の要件に従うプラグ部材に相補的に構成されるプラグ受容部101を有することができる。任意の相手コンタクト部材107がプラグ部材に収容されるコンタクト部材にそれらの形状及び数が合致されることは言うまでもない。
【0051】
最後に、テスト部材200は、夫々の要件に対応する形態を有することができ、任意の方法で形成されるテスト当接部204を有することができ、その当接部のテストストップ18及び/又は解放ストップ18’に対する当接によって、固定前位置Vや固定位置Sが知らされる。テスト部材200は、ガイド要素103によって形成される又はそのように構成されてもよく、夫々の要件に対応するテスト当接部104、204を有する。