(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021234
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】イーサネット(登録商標)システムを経由した4ワイヤペア電力のための検出スキーム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20161027BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
G06F1/26 F
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-15493(P2015-15493)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-180046(P2015-180046A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2015年1月29日
(31)【優先権主張番号】14/607,608
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/933,707
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593219551
【氏名又は名称】リニアー テクノロジー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Linear Technology Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ポール
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ヒース
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ドゥウェリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒース スチュワート
【審査官】
衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0327558(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0025452(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0283118(US,A1)
【文献】
特表2008−529462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネット(登録商標)ケーブルにおける4つのワイヤペアを介して電力を供給するためのPoE(Power Over Ethernet(登録商標))システムであって、
イーサネット(登録商標)ワイヤを経由してデータおよび電圧を提供するPSE(Power Sourcing Equipment)であって、前記PSEは、前記イーサネット(登録商標)ワイヤ上での伝送のためのPoE電圧を生成するための電圧源を有し、前記イーサネット(登録商標)ワイヤは、4つのペアのワイヤを含む、PSEと、
前記データおよび電圧を受け取るための、少なくとも前記イーサネット(登録商標)ワイヤによって前記PSEに接続されたPD(Powered Device)であって、前記PDは、フル電圧レベルが前記PDに印加される前に、前記PDがハンドシェーキングフェーズの間に第1の信号を受け取ると、前記PSEにPoE特性を提示する、PDと
を含み、
前記PSEは、
第1のペアのワイヤおよび第2のペアのワイヤを含む第1のセットのイーサネット(登録商標)ワイヤに印加されるように、前記第1の信号を制御するためのコントローラと、
前記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第3のペアのワイヤとスイッチとの間に結合された第1の電流検出コンポーネントと、
前記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第4のペアのワイヤと前記スイッチとの間に結合された第2の電流検出コンポーネントと
をさらに含み、
前記コントローラは、前記PSEが前記第1の信号を前記PDに供給している間に、前記第1の電流検出コンポーネントおよび前記第2の電流検出コンポーネントを通る電流がほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることを検出し、それに応答して、前記第3のペアのワイヤおよび前記第4のペアのワイヤが前記スイッチを介して低電圧に結合されることを引き起こすように前記スイッチがオン状態である間に、前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤに対してフルPoE電圧を印加するように前記PSEを制御する、システム。
【請求項2】
前記第1の電流検出コンポーネントは、第1の抵抗器であり、前記第2の電流検出コンポーネントは、前記第1の抵抗器の抵抗と等しい抵抗を有する第2の抵抗器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スイッチは、前記ハンドシェーキングフェーズの間にオン状態である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スイッチは、前記ハンドシェーキングフェーズの間にオフ状態であり、前記スイッチは、前記コントローラが、前記第1の電流検出コンポーネントおよび前記第2の電流検出コンポーネントを通る電流が、ほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることを検出した場合に、前記コントローラによってターンオンされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記適切な大きさは、前記PDがPoE適合性であることを示す特性インピーダンスを前記PDが有していることを前記PSEに伝達する大きさである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の信号は、少なくとも1つの電流制限電圧である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の信号は、少なくとも1つの電圧制限電流である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ハンドシェーキングフェーズは、前記PDがPoE適合性であるかどうかを前記PSEが決定する検出フェーズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤは、前記PDにおいて一緒に接続されており、前記第3のペアのワイヤおよび前記第4のペアのワイヤは、前記PDにおいて一緒に接続されており、その結果、前記PDに対する電力は、前記4つのペアのワイヤによって搬送される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤに対して前記フルPoE電圧を印加するように前記PSEを制御する前記コントローラは、前記PSEにおける前記電圧源のフル電圧出力を前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤに結合するコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
イーサネット(登録商標)ケーブルにおける4つのワイヤペアを介して電力を供給するためのPoE(Power Over Ethernet(登録商標))システムによって実行される方法であって、
イーサネット(登録商標)ワイヤを経由してPSE(Power Sourcing Equipment)によってデータおよび電圧をPD(Powered Device)に提供することであって、前記PSEは、前記イーサネット(登録商標)ワイヤ上での伝送のためのPoE電圧を生成するための電圧源を有し、前記イーサネット(登録商標)ワイヤは、4つのペアのワイヤを含む、ことと、
フル電圧レベルが、前記電圧源によって前記PDに印加される前に、ハンドシェーキングフェーズの間に、前記PSEによって第1の信号を生成することと、
前記PDが、前記第1の信号を受け取ると、前記PDによって前記PSEにPoE特性を提示することと
を含み、
前記PSEは、
第1のペアのワイヤおよび第2のペアのワイヤを含む第1のセットのイーサネット(登録商標)ワイヤに印加されるように、前記第1の信号を制御するステップと、
前記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第3のペアのワイヤとスイッチとの間に結合された第1の電流検出コンポーネントを通る第1の電流を検出するステップと、
前記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第4のペアのワイヤと前記スイッチとの間に結合された第2の電流検出コンポーネントを通る第2の電流を検出するステップと、
前記PSEが前記第1の信号を前記PDに供給する間に、前記第1の電流検出コンポーネントおよび前記第2の電流検出コンポーネントを通る電流がほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることを検出するステップと、
それに応答して、前記第3のペアのワイヤおよび前記第4のペアのワイヤが低電圧に結合されることを引き起こすように前記スイッチがオン状態である間に、前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤに対してフルPoE電圧を印加するように前記PSEを制御するステップと
をさらに実行する、方法。
【請求項12】
前記第1の電流検出コンポーネントは、第1の抵抗器であり、前記第2の電流検出コンポーネントは、前記第1の抵抗器の抵抗と等しい抵抗を有する第2の抵抗器である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スイッチは、前記ハンドシェーキングフェーズの間にオン状態である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記スイッチは、前記ハンドシェーキングフェーズの間にオフ状態であり、前記スイッチは、前記第1の電流検出コンポーネントおよび前記第2の電流検出コンポーネントを通る電流が、ほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることが検出された場合に、ターンオンされる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記適切な大きさは、前記PDがPoE適合性であることを示す特性インピーダンスを前記PDが有していることを前記PSEに伝達する大きさである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の信号は、少なくとも1つの電流制限電圧である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の信号は、少なくとも1つの電圧制限電流である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ハンドシェーキングフェーズは、前記PDがPoE適合性であるかどうかを前記PSEが決定する検出フェーズを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤは、前記PDにおいて一緒に接続されており、前記第3のペアのワイヤおよび前記第4のペアのワイヤは、前記PDにおいて一緒に接続されており、その結果、前記PDに対する電力は、前記4つのペアのワイヤによって搬送される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤに対して前記フルPoE電圧を印加するように前記PSEを制御するステップは、前記PSEにおける前記電圧源のフル電圧出力を前記第1のペアのワイヤおよび前記第2のペアのワイヤに結合することを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、Michael Paulらによる米国仮出願第61/933,707号(2014年1月30日出願)に対する優先権を主張するものであり、該米国仮出願の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、PoE(Power Over Ethernet(登録商標):イーサネット(登録商標)を経由した電力)等のシステムに関し、電力は、データラインを経由して伝送され、ルーチンは、データラインに対してフルPoE電圧が印加される前に実行される。本発明は、より具体的には、4つのワイヤペアを経由した電力送達のためにPD(Powered Device:受電側デバイス)がPoE対応のPSE(Power Sourcing Equipment:給電側デバイス)を識別するための枠組みに関している。
【背景技術】
【0003】
(背景)
データラインを経由して遠隔機器に電力を伝送することは公知である。PoE(Power Over Ethernet(登録商標):イーサネット(登録商標)を経由した電力)は、このようなシステムの例である。PoEにおいては、限られた電力が、イーサネット(登録商標)スイッチから、イーサネット(登録商標)接続された機器(例えば、VoIP電話、WLANトランスミッタ、セキュリティカメラ等)に伝送される。スイッチからのDC電力は、標準CAT−5ケーブル配線の2セットのツイストペアワイヤを経由して伝送される。同一の2セットのツイストペアワイヤはまた、差動データ信号を伝送し得る。なぜなら、DC共通モード電圧は、データに影響を与えないからである。このように、PD(Powered Device:受電側デバイス)に対して何らかの外部電源を提供する必要性が排除され得る。PoEに対する標準は、IEEE 802.3において制定されており、参照により本明細書中に援用される。CAT−5ケーブルは、4つのツイストワイヤペアを有しており、ワイヤペアのうちの2つは、典型的には使用されない。
【0004】
データラインを経由して電力を提供することは、その他の既存のシステムおよび将来のシステムに対して適用可能である。例えば、自動車内の電子機器は、配線を減らすためにデータラインを経由して機器に提供される電力からますます恩恵を受けるようになる。データラインを経由した電力を使用した様々な新しいシステムが、IEEEまたはその他のグループによって標準化され得る。
【0005】
本発明は、フルPoE電圧がワイヤペアに印加されるべきであるというPDからの何らかの種類のインジケーションを要求するシステムに適用される。本発明は、データラインを経由した電力を使用する任意のシステムに適用され得るが、典型的なPoEシステムが、例として記載される。
【0006】
図1は、PoEを使用した典型的なイーサネット(登録商標)システムを表している。
図1の例において、PSE(Power Sourcing Equipment:給電側デバイス)12は、電力およびデータをPDに供給する任意のイーサネット(登録商標)デバイスであり得る。PSE 12およびPD 14は、典型的には、イーサネット(登録商標)8ピン(4つのツイストペア)RJ45コネクタで終端する標準的なCAT−5ケーブルを介して接続される。ツイストペアのうちの2つのみが、典型的には、PoEおよびデータのために必要とされる。
【0007】
PSE 12は、典型的には、主電圧(120 VAC)によって給電され、44〜57ボルトの間のDC電圧を生成する外部電圧コンバータまたは内部電圧コンバータ16を使用する。PoE標準は、PSEが、PDにおいて最小37ボルトを供給することを規定している。ケーブルに沿った電圧降下は、距離とともに増加する。
【0008】
ツイストペアのうちの2つ18、20は、PoE電力を搬送するために割り当てられ、これらのペアはまた、差動データを搬送し得る。残りの使用されない2つのペア21、22もまた示されている。使用される全てのペアは、トランスフォーマ(例えば、トランスフォーマ23、24)によってPD 14において終端される。ツイストペア18が、44ボルトを提供し、ツイストペア20が、接地に対してまたは何らかのその他の低電圧に対して接続されることが仮定される。接続は、PD 14に44ボルトを提供するために、トランスフォーマ23、24のセンタータップに対して形成される。DC電圧は、共通モードなので、差動データに影響を与えない。その他の従来の終端回路網(例えば、トランスフォーマから下流にある極性補正回路網(ダイオードブリッジ)等)もまた、PD終端ブロック25に含まれるが、本発明には関係しない。
【0009】
電圧をPD 14によって要求される任意の電圧または任意の複数の電圧に変換するために、44ボルトは、DC−DCコンバータ26に対して印加される。負荷28(例えば、セキュリティカメラ)は、コンバータ26によって給電され、ツイストワイヤペアを介してPSE 12と通信する。
【0010】
IEEE標準は、PoE受電デバイスの存在を検出するために、そして、PSE 12がPD 14に対して利用可能なフル電力を形成する前に、PSE 12およびPD 14の関連特性を伝達するために、PSE 12とPD 14との間の特定の低電流ハンドシェーキング手順を要求する。検出/分類回路29は、ハンドシェーキングルーチンを制御し、そして、状態機械、プロセッサ、または、任意のその他の適切な制御回路であり得る。PSE 12はまた、ハンドシェーキングルーチンを実行するための回路を含む。ハンドシェーキングルーチンを実行するための回路は、周知のICである。
【0011】
以下は、PSE 12とPD 14との間のハンドシェーキングルーチンの単純な要約である。
【0012】
PSE 12が、最初に、イーサネット(登録商標)ケーブルを介してPD 14に接続されると、PSE 12は、PD 14に、それがPoE対応かどうかを決定するように呼びかける。この期間は、決定フェーズと呼ばれる。決定フェーズの間に、PSE 12は、ツイストワイヤペア18、20を経由してPD 14に対して固定間隔の間に第1の電流制限電圧を印加し、その後、固定間隔の間に第2の電流制限電圧を印加し、その一方で、結果電流を検出することにより、PD 14(約25kオーム)の特性インピーダンスを探す。正しい電流インピーダンスが検出されない場合、PSE 12は、負荷が非PoE対応であるとみなし、PoE生成側をシャットダウンする。その後、システムは、標準イーサネット(登録商標)接続のように動作する。
【0013】
検出はまた、2つの電圧制限電流を使用して行われ得る。
【0014】
シグネチャインピーダンスが検出された場合、PSE 12は、オプションの分類フェーズへと移行する。PSE 12は、電圧をPD 14に対して高める。PSE 12は、1つのパルス(Type 1 PSEであることを示すもの)または2つのパルス(Type 2 PSEであることを示すもの)のいずれかを生成する。PD 14は、特定の電流レベルで分類フェーズに応答し、PD 14がType 1であるかまたはType 2であるかを識別する。Type 1 PDは、13W未満を要求する。Type 2 PDは、最大25.5Wまでを要求する。様々なクラス(例えば、5つのクラス)(各々が、これらのタイプのうちにあり、最大平均電流レベルおよび最大瞬間電流レベルに関連付けられている)もまた、識別され得る。その後、PSE 12は、この電力需要情報を使用して、要求された電力を自身がPD 14に供給し得るかどうかを決定し、PD 14は、該情報を使用して、PSE 12とともに自身が完全に動作することが可能であるかどうかを決定する。検出および分類フェーズのための最大時間窓(例えば、500ms)が存在する。
【0015】
その他のタイプの決定ルーチンおよび分類ルーチンおよび標準が、将来に実装され得る。
【0016】
決定フェーズおよび検出フェーズが完了すると、PSE 12は、その出力電圧を42V超に高める。PD 14においてUVLO(under−voltage lockout:低電圧ロックアウト)閾値が検出されると、内部FETは、フルPoE電圧をコンバータ26に接続するために、ターンオンされ、コンバータ26は、調節されたDC電圧を負荷28に供給する。この時点において、PD 14は、通常のように動作することを開始し、PD 14は、入力電圧が要求されたレベルを超えて維持している限り、通常のように動作することを継続する。
【0017】
いくつかのタイプのPoEアプリケーション(例えば、高電力アプリケーション)に対して、ワイヤペアのうちの2つを経由して正電圧を印加し、残りの2つのワイヤペアを経由して低電圧(例えば、0ボルト)を印加することが望ましい。このように、負荷電流は、4つのワイヤペアによって共有される。これを行う従来の方法は、第1のワイヤペアに正電圧を供給し、かつ、第2のワイヤペアに低電圧を供給する、第1のPSEを使用すること、ならびに、第3のワイヤペアに正電圧を供給し、かつ、残りの第4のワイヤペアに低電圧を供給する、第1のPSEと同一の、第2のPSEを使用することである。PSE電力は、分離された電力供給を使用して印加され、その結果、低電圧は、0ボルトであり得るものの、接地されないことに留意されたい。
【0018】
各PSEは、PDがPoE対応かどうかを決定するために、決定ルーチンおよび分類ルーチンを独立的に実行する。このタイプのPoEシステムの短所は、2つの完全なPSEシステムが要求され、コストおよびサイズをシステムに追加することである。
【0019】
イーサネット(登録商標)ケーブルにおける4つのワイヤペアの全てを使用するPDに電力を供給することにより高電力アプリケーションを可能にし、単一のPSEのみが要求される、新規な技術が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の概要)
単一のPSEは、従来のCAT−5イーサネット(登録商標)ケーブルを介して電力をPDに供給し、4つのツイストワイヤペアの全ては、DC電力をPDに供給して、高電力をPDに潜在的に供給する。ペアのうちの2つ(Pair1およびPair2)は、正電圧を供給し、残りの2つのペア(Pair3およびPair4)は、低電圧(例えば、0ボルト)に接続される。別の実施形態においては、供給される電圧は、その他の電圧レベルであり得る。なぜなら、PDは、電圧差によって給電されるからである。トランスフォーマ終端は、なおも、差動データがワイヤペアを経由して伝送されることを可能にする。
【0021】
低電圧/検出フェーズ(IEEE標準によって明記されている)の間、PSEは、電流制限電圧をPair1およびPair2に印加し、PDがPoE対応であることを示すPDの特定の特性インピーダンスを検出する。その他の検出技術が使用され得る。25kオーム抵抗器がPair1/2およびPair3/4を横断してPDにおいて接続されていると仮定すると、特性電流は、Pair3および4を通して流れ得る。
【0022】
第1の低値抵抗器R1は、Pair3に接続された1つの端部を有し、第2の等しい値の抵抗器R2は、Pair4に接続された1つの端部を有する。抵抗器R1およびR2のその他の端部は、一緒に結び付けられ、かつ、電流センサに接続される。この共通端部はまた、ターンオン時にPair3および4を低電圧に結合し得るMOSFET(またはその他のタイプのスイッチ)に接続される。
【0023】
低電圧/電流検出フェーズの間、PoEは、MOSFETがオンの間に抵抗器R1およびR2を通るそれぞれの電流を同時に検出する。別の実施形態において、MOSFETは、オフであり得、抵抗器R1およびR2は、別の接続によって検出フェーズの間に低電圧に接続され得る。「単一チャネルPD」においてPair3およびPair4が一緒にPDに接続される場合、ほぼ等しい電流が、検出フェーズの間に、Pair3およびPair4の両方を流れ得る。PDが「デュアルチャネルPD」の場合、別個の25kオーム抵抗器が、Pair3およびPair4に接続され得、同様の電流が、なおも抵抗器R1およびR2を流れ得る。
【0024】
電流がほぼ等しく、かつ、PDの特性が、PoE対応である場合、PSEは、フル正電圧をPair1および2に供給し、Pair3およびPair4を接地またはその他の低電圧に結合するMOSFETをオンに保つ。検出フェーズの間にMOSFETがオフであり、抵抗器R1およびR2が別の接続によって低電圧に接続される実施形態において、MOSFETは、その後、検出フェーズの終了時にターンオンされ、低電圧への抵抗器R1およびR2の唯一の接続となる。フル正電圧がPair1および2に印加され、Pair3、4は、低電圧に結合されるので、PD(単一チャネルまたはデュアルチャネル)は、4つのペアのワイヤを介する電力を受け取る。
【0025】
したがって、PDが4つのペアのワイヤを介して電力を受け取るかどうかの検出は、IEEE標準によって明記される従来の検出フェーズの間に単一PSEによって実行される。
【0026】
任意の分類ルーチンもまた、フル正電圧が、正のペアPair1およびPair2と低電圧ペアPair3およびPair4との間に印加される前に実行され得る。
【0027】
動作の間に、抵抗器R1およびR2を通る電流の和が検出され得、動作電流が許容限度内にあるかどうかを決定し得る。動作電流が許容限度内にない場合、MOSFETはターンオフされる。
【0028】
様々なその他の実施形態が記載される。
【0029】
用語PSEおよびPDは、電力を供給する機器および電力を受け取る機器を識別するために、本開示の全体を通して使用され、このような機器/デバイスは、特に断りがない限り、イーサネット(登録商標)機器/デバイスに限定されない。
【0030】
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
イーサネット(登録商標)ケーブルにおける4つのワイヤペアを介して電力を供給するためのPoE(Power Over Ethernet(登録商標))システムであって、
イーサネット(登録商標)ワイヤを経由してデータおよび電圧を提供するPSE(Power Sourcing Equipment)であって、上記PSEは、上記イーサネット(登録商標)ワイヤ上での伝送のためのPoE電圧を生成するための電圧源を有し、上記イーサネット(登録商標)ワイヤは、4つのペアのワイヤを含む、PSEと、
上記データおよび電圧を受け取るための、少なくとも上記イーサネット(登録商標)ワイヤによって上記PSEに接続されたPD(Powered Device)であって、上記PDは、フル電圧レベルが上記PDに印加される前に、上記PDがハンドシェーキングフェーズの間に第1の信号を受け取ると、上記PSEにPoE特性を提示する、PDと
を含み、
上記PSEは、
第1のペアのワイヤおよび第2のペアのワイヤを含む第1のセットのイーサネット(登録商標)ワイヤに印加されるように、上記第1の信号を制御するためのコントローラと、
上記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第3のペアのワイヤとスイッチとの間に結合された第1の電流検出コンポーネントと、
上記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第4のペアのワイヤと上記スイッチとの間に結合された第2の電流検出コンポーネントと
をさらに含み、
上記コントローラは、上記PSEが上記第1の信号を上記PDに供給している間に、上記第1の電流検出コンポーネントおよび上記第2の電流検出コンポーネントを通る電流がほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることを検出し、それに応答して、上記スイッチが閉鎖され、上記第3のペアのワイヤおよび上記第4のペアのワイヤを上記スイッチを介して低電圧に結合させている間に、上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤに対してフルPoE電圧を印加するように上記PSEを制御する、システム。
(項目2)
上記第1の電流検出コンポーネントは、第1の抵抗器であり、上記第2の電流検出コンポーネントは、上記第1の抵抗器の抵抗と等しい抵抗を有する第2の抵抗器である、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
上記スイッチは、ハンドシェーキングフェーズの間にオン状態である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目4)
上記スイッチは、上記ハンドシェーキングフェーズの間にオフ状態であり、上記スイッチは、上記コントローラが、上記第1の電流検出コンポーネントおよび上記第2の電流検出コンポーネントを通る電流が、ほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることを検出した場合に、上記コントローラによってターンオンされる、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目5)
上記適切な大きさは、上記PDがPoE適合性であることを示す特性インピーダンスを上記PDが有していることを上記PSEに伝達する大きさである、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目6)
上記第1の信号は、少なくとも1つの電流制限電圧である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目7)
上記第1の信号は、少なくとも1つの電圧制限電流である、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目8)
上記ハンドシェーキングフェーズは、上記PDがPoE適合性であるかどうかを上記PSEが決定する検出フェーズを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目9)
上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤは、上記PDにおいて一緒に接続されており、上記第3のペアのワイヤおよび上記第4のペアのワイヤは、上記PDにおいて一緒に接続されており、その結果、上記PDに対する電力は、上記4つのペアのワイヤによって搬送される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目10)
上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤに対して上記フルPoE電圧を印加するように上記PSEを制御する上記コントローラは、上記PSEにおける上記電圧源のフル電圧出力を上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤに結合するコントローラを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目11)
イーサネット(登録商標)ケーブルにおける4つのワイヤペアを介して電力を供給するためのPoE(Power Over Ethernet(登録商標))システムによって実行される方法であって、
イーサネット(登録商標)ワイヤを経由してPSE(Power Sourcing Equipment)によってデータおよび電圧をPD(Powered Device)に提供することであって、上記PSEは、上記イーサネット(登録商標)ワイヤ上での伝送のためのPoE電圧を生成するための電圧源を有し、上記イーサネット(登録商標)ワイヤは、4つのペアのワイヤを含む、ことと、
フル電圧レベルが、上記電圧源によって上記PDに印加される前に、ハンドシェーキングフェーズの間に、上記PSEによって第1の信号を生成することと、
上記PDが、上記第1の信号を受け取ると、上記PDによって上記PSEにPoE特性を提示することと
を含み、
上記PSEは、
第1のペアのワイヤおよび第2のペアのワイヤを含む第1のセットのイーサネット(登録商標)ワイヤに印加されるように、上記第1の信号を制御するステップと、
上記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第3のペアのワイヤとスイッチとの間に結合された第1の電流検出コンポーネントを通る第1の電流を検出するステップと、
上記イーサネット(登録商標)ワイヤにおける第4のペアのワイヤと上記スイッチとの間に結合された第2の電流検出コンポーネントを通る第2の電流を検出するステップと、
上記PSEが上記第1の信号を上記PDに供給する間に、上記第1の電流検出コンポーネントおよび上記第2の電流検出コンポーネントを通る電流がほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることを検出するステップと、
それに応答して、上記スイッチが閉鎖され、上記第3のペアのワイヤおよび上記第4のペアのワイヤを低電圧に結合させている間に、上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤに対してフルPoE電圧を印加するように上記PSEを制御するステップと
をさらに実行する、方法。
(項目12)
上記第1の電流検出コンポーネントは、第1の抵抗器であり、上記第2の電流検出コンポーネントは、上記第1の抵抗器の抵抗と等しい抵抗を有する第2の抵抗器である、上記項目に記載の方法。
(項目13)
上記スイッチは、ハンドシェーキングフェーズの間にオン状態である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
上記スイッチは、上記ハンドシェーキングフェーズの間にオフ状態であり、上記スイッチは、上記第1の電流検出コンポーネントおよび上記第2の電流検出コンポーネントを通る電流が、ほぼ等しく、かつ、適切な大きさであることが検出された場合に、ターンオンされる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
上記適切な大きさは、上記PDがPoE適合性であることを示す特性インピーダンスを上記PDが有していることを上記PSEに伝達する大きさである、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
上記第1の信号は、少なくとも1つの電流制限電圧である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
上記第1の信号は、少なくとも1つの電圧制限電流である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
上記ハンドシェーキングフェーズは、上記PDがPoE適合性であるかどうかを上記PSEが決定する検出フェーズを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤは、上記PDにおいて一緒に接続されており、上記第3のペアのワイヤおよび上記第4のペアのワイヤは、上記PDにおいて一緒に接続されており、その結果、上記PDに対する電力は、上記4つのペアのワイヤによって搬送される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤに対して上記フルPoE電圧を印加するように上記PSEを制御するステップは、上記PSEにおける上記電圧源のフル電圧出力を上記第1のペアのワイヤおよび上記第2のペアのワイヤに結合することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
(摘要)
PoEシステムによって実行される方法において、PSEは、PDが標準イーサネット(登録商標)ケーブルにおける4つのワイヤペアを介して電力を受け取るために適合性があるかどうかを検出することが可能である。PSEは、検出フェーズの間に、電流制限電圧をケーブルにおける第1のペアのワイヤおよび第2のペアのワイヤに提供し、PDの特性インピーダンスを検出する。PSEにおいて、第1の抵抗器が、第3のワイヤペアに接続されており、第2の抵抗器が、第4のワイヤペアに接続されている。検出フェーズの間に、PSEは、抵抗器を通る相対電流を検出する。電流が同一の場合、PSEは、PDが4つのワイヤペアを介して電流を受け取ることが可能であることを知る。その後、PSEは、フルPoE電圧を第1のワイヤペアおよび第2のワイヤペアに印加し、第3のワイヤペアおよび第4のワイヤペアを、MOSFETを介して、低電圧に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、電力をPDに供給するために2つのワイヤペアを使用する従来のPoE対応のイーサネット(登録商標)システムを図示している。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に従う、単一チャネルPoEシステムを図示しており、2つのワイヤペアを流れる電流を検出することにより、PDが4つのワイヤペアを介して電流を受け取るかどうかを決定する。
【
図4】
図4は、
図3のシステムによって実行される特定のステップを識別するフローチャートである。
【
図5】
図5は、デュアルチャネルPDのフロントエンドを図示しており、別個の特性インピーダンスが、2セットのワイヤペアを横断して接続されている。PSEは、4つのペアのワイヤを介して電力をPDに供給する。
【0033】
同一または等価な要素は、同一番号でラベル付けされている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に従う、PoEシステム32の高レベルダイヤグラムを図示しており、PSE 34は、フルPoE正電圧(VCC)をワイヤペアPair1およびPair2に印加する。Pair3およびPair4は、低値抵抗器R1およびR2を介してMOSFET M1のドレインに結合される。PD 36は、4つのワイヤペアを介した供給電力と適合性があると仮定すると、MOSFET M1は、Pair3、4をVEE(典型的には0ボルト)に結合するためにターンオンされる。システムは、接地を基準としていないので、VCCとVEEとの間の差のみが有意である。抵抗器R1およびR2およびMOSET M1は、PSEの一部分であると考えられ、PSEコントローラおよびその他の回路網と同一パッケージ内にあり得る。
【0035】
図3は、PSE 34およびPD 36をより詳細に図示している。図示されていない回路網は、従来型であり、例えば、差動データ伝送回路網、低電圧ロックアウト回路網、およびその他の保護回路網などである。
図1におけるものと同一番号でラベル付けされた任意の回路網は、同一機能を実行し得、かつ、従来型であり得る。
【0036】
PSEコントローラ38は、PoEに対してIEEE標準に従うものであり得る検出および分類ルーチンを実行する。PSEコントローラ38はまた、検出/分類フェーズの間に、および、フル電圧がPair1および2に印加されている場合の、動作の間に、Pair3および4を低電圧に結合するように、MOSFET M1を制御する。コントローラ38は、プログラムされたプロセッサ、状態機械、ロジック回路、または、その他の任意の適切な回路を含み得る。
【0037】
別の実施形態において、MOSFET M1は、検出フェーズの間にオフにされ得、抵抗器R1およびR2は、検出フェーズの間に、PSE 34内の別のスイッチまたは任意のその他のタイプの回路により、(R1およびR2を介して)低電圧に接続される。一実施形態において、MOSFET M1は、ユーザによって供給され、かつ、PSEコントローラおよび検出回路網を収容しているICパッケージに対して外部に存在する。これは、PD負荷電流が、高であり、かつ、ロバストなMOSFET M1を要求するからである。しかしながら、検出/分類フェーズの間の電流は、低であり、かつ、ICパッケージに対して内部にある異なるスイッチ(またはその他の回路)によって導通され得る。
【0038】
図3の回路の動作は、
図4のフローチャートを参照して記載される。
【0039】
図4のステップ40において、PSE 34は、4つのツイストワイヤペアを有する標準的なCAT−5イーサネット(登録商標)ケーブルを介してPD 36に接続される。PD36がPoE適合性を有し、かつ、4つのワイヤペアを介して電力を受け取ることが仮定される。
【0040】
ステップ42において、PSE 34は、例えばそれを120VACに接続し、かつ、電力スイッチをオンにすることにより、起動される。あるいは、PSE 34は、(PSEを含む)基板をバスの中に挿入することにより、電力供給される。
【0041】
ステップ44において、低電圧/電流検出フェーズが、PSEコントローラ38によって自動的に実行される。
【0042】
生成された検出信号は、
図1に関して記載されたものと同一であり得る。PSEコントローラ38は、(IEEE標準によって明記された)電流制限電圧をPair1、2に供給し、25kオーム抵抗器46によって提供される特性インピーダンスを検出する。一実施形態において、MOSFET M1は、この時点ではオンであり、別の実施形態において、MOSFET M1は、オフであり得、抵抗器R1およびR2は、PSE 34におけるスイッチを経由して低電圧に接続される。電圧コンバータ16は、オフであるか、または、絶縁され、その結果、フル電圧は、Pair1、2に結合されない。検出信号は、Pair1/2およびPair3/4において低電流を形成する(ステップ48)。その他の検出機構が、25kオーム抵抗器を検出することに加えて使用され得る。
【0043】
第1の低値抵抗器R1は、Pair3に接続された第1の端部と、電流検出器50に接続され、かつ、MOSFET M1のドレインに接続された、第2の端部とを有する。R1の値と等しい第2の低値抵抗器R2は、Pair 4に接続された第1の端部と、電流検出器50に接続され、かつ、MOSFET M1のドレインに接続されたた第2の端部とを有する。電流検出器50は、差動増幅器を使用して抵抗器を横断する電圧降下を検出し、その後、オームの法則を適用することにより、抵抗器R1およびR2を通る相対電流を決定し得る。
【0044】
従来のロジック回路網および増幅器回路網は、2つの電流が実質的に同一であるかまたは異なるかを検出し、かつ、電流が、PoE対応のPD 36の特性ではないことを検出するために、電流検出器50またはPSEコントローラ38において使用される。
【0045】
ステップ52において、電流検出器50は、抵抗器R1およびR2を通る相対電流を検出する。電流が同一であり、PD 36の特性がPoE対応の場合、これは、Pair3および4の両方が、少なくとも25kオーム抵抗器46を通して、PD 36内に接続されることを意味する。
【0046】
検出された電流が非常に異なる場合、ワイヤPair3またはワイヤPair4のいずれかは、4つのワイヤを使用してPD 36に電力を提供するために接続されない。これは、PSE 34およびPD 36が、PoEに対して適合性を有しないことを意味する。
【0047】
ステップ54において、抵抗器R1およびR2を通る電流は、ほぼ同一であり、適切な電流範囲内にあり、PSE34は、フル電圧をPair 1および2に印加し、MOSFET M1をオンに維持し、その結果、動作電流は、抵抗器R1およびR2を流れる。フル電圧をPair1および2に供給するために、PSEコントローラ38は、電圧コンバータ16を有効にされるように制御し得るか、または、コンバータ16出力をPair1および2に接続するスイッチを入れ得る。
【0048】
検出フェーズの間にMOSFET M1がオフであり、かつ、抵抗器R1およびR2が、PSE 34におけるスイッチによって低電圧に接続される代替的な実施形態において、MOSFET M1は、その後、検出フェーズの終了時にターンオンされ、低電圧に対する抵抗器R1およびR2の唯一の接続となる。
【0049】
ステップ58において、電流が異なるか、または、適切な範囲内にない場合、PSEコントローラ38は、MOSFET M1をシャットオフし、フル電圧をPD 36に供給しない。
【0050】
ステップ60において、PSE 34がフル電圧をPD 36に供給し、かつ、動作電流が抵抗器R1およびR2を流れる場合の、システムの通常動作の間に、抵抗器R1およびR2を流れる電流の和が、電流センサ50によって検出される。電流が最大閾値を超え、MOSFET M1に対する障害または過大電流のいずれかを示す場合、PSEコントローラ38は、MOSFET M1をシャットオフする。検出された電流が過小の場合、それはPD 36が接続を断たれたことのインジケーションなので、PSE 34は、電力をPD 36に終了させることが必要とされる。システム内に障害が存在することをオペレータに示すために、障害信号が生成され得る。
【0051】
分類フェーズは、フル電圧がPD 36に対して印加される前の任意の時点に起こり得る。
【0052】
したがって、
図3のシステムは、PD 36が4つのワイヤペアを介して電力を受け取り、その一方で、従来型であり得る検出ステップを実行するための適合性を有しているかどうかを検出する。電力送達は、単一のMOSFET M1によって制御される。その後、同一の回路が、過電流状況を検出するために、通常動作の間に使用される。
【0053】
図4は、1つのチャネルがPair1および3を介して電力を受け取り、かつ、第2のチャネルがPair2および4を介して電力を受け取る、デュアルチャネルPD 64のフロントエンドを図示している。様々な電力リードが、PD 64における同一の負荷に接続され得、その結果、電力は、2つのチャネルによって共有されている。各チャネルは、PD 64がPoE対応であることを示す特性インピーダンスをPSEに提供するために、25kオーム抵抗器を含む。検出フェーズの間に、電流センサ50(
図3)は、抵抗器R1およびR2(Pair 3および4に接続されている)を通る電流が適切かつ等価であることを検出し得、PSEに、フル電圧をPD64に提供させ、かつ、MOSFET M1をオンに維持させる。
【0054】
PDが4つのワイヤペアを介して電力を受け取るように構成されているかどうかを決定するために低電圧/電流ハンドシェーキングフェーズの間にPair3および4の電気特性が検出される、記載されている回路網の変形が、企図される。MOSFET M1は、代わりに、バイポーラトランジスタまたは任意のその他のスイッチであり得、並列に接続された複数のトランジスタを含み得る。スイッチという用語は、抵抗器R1およびR2を低電圧に結合する任意の回路網を含み得る。抵抗器R1およびR2は、既知の抵抗値または測定電流を提供し得る任意のデバイスで置き換えられ得る。したがって、抵抗器R1およびR2は、電流を検出するために使用され得る任意の構成要素であり得る。
【0055】
本発明の特定の実施形態が示され、記載されてきたが、当業者にとって、より広い局面における本発明から逸脱することなしに、変更および改変がなされ得ることは、明白であり得、したがって、添付の特許請求の範囲が、その権利範囲内で、本発明の真の精神および範囲内にあるすべてのこのような変更および改変を包含することは、明白であり得る。