(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ショットキ電極は、前記ダイオードトレンチの側壁において第1の厚さを有し、前記第2層間絶縁膜上において前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有している、請求項4または5に記載の半導体装置。
前記ショットキ電極が、前記ダイオードトレンチの側壁において前記ダイオード領域にショットキ接触し、前記ダイオードトレンチの底部において前記pnダイオード領域にオーミック接触するショットキ/オーミック電極層を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
トランジスタ領域およびダイオード領域が設定された第1導電型の半導体層の前記トランジスタ領域に第2導電型のボディ領域を形成し、前記ダイオード領域は前記第1導電型としておく工程と、
前記半導体層に前記ボディ領域を挟むように間隔を開けて、前記第1導電型のソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、
前記ソース領域を貫通して前記ボディ領域に達するように前記半導体層にソーストレンチを形成し、同時に、前記ダイオード領域にダイオードトレンチを形成する工程と、
前記ソーストレンチおよび前記ダイオードトレンチの各底部に不純物イオンを注入することにより、前記ソーストレンチの底部の前記ボディ領域内に、前記第2導電型で前記ボディ領域よりも不純物濃度の高いボディコンタクト領域を形成し、同時に、前記ダイオードトレンチの底部の前記ダイオード領域内に形成され、前記第2導電型を有し、前記第1導電型の前記ダイオード領域との間にpn接合を形成するpnダイオード領域を形成する工程と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記ボディ領域の表面にゲート絶縁膜を介して対向するゲート電極を形成する工程と、
前記ソーストレンチにソース電極を埋め込み、同時に、前記ダイオードトレンチの側壁において前記ダイオード領域にショットキ接合するショットキ電極を形成する工程とを含み、
前記ソーストレンチが前記半導体層の表面に第1方向に沿って直線状に形成され、
前記ダイオードトレンチが前記半導体層の表面に、前記第1方向に直交する第2方向に沿って、直線状に形成される、半導体装置の製造方法。
前記ソース電極および前記ショットキ電極を形成する前に、前記ゲート電極と前記ソース電極との間を絶縁する第1層間絶縁膜を形成し、同時に、前記ダイオードトレンチ外における前記ダイオード領域の表面と前記ショットキ電極との間に介在されるべき第2層間絶縁膜を形成する工程をさらに含む、請求項14または15に記載の半導体装置の製造方法。
前記ダイオード領域に複数の前記ダイオードトレンチが間隔を開けて形成され、前記複数のダイオードトレンチの間の間隔が、逆バイアス時に、前記pn接合から広がる空乏層が互いに結合するように定められる、請求項14〜16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の半導体装置を製造する場合において、ゲート電極を埋め込むためのトレンチを形成する際、トレンチの形成に先立って、n型半導体層の表層部の全域に保護膜を形成する必要がある。この場合、トレンチ形成後に、ショットキバリアダイオードが形成される予定の領域における保護膜を除去する工程が必要になることから、その分だけ半導体装置の製造工程が複雑になるので、半導体装置を安価に製造することが困難である。
【0006】
また、ショットキバリアダイオードでは、性能向上のために、逆バイアス時における逆方向リーク電流の低減が望まれている。
そこで、この発明の目的は、安価に製造することができ、逆方向リーク電流を低減することができる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、第1導電型の半導体層に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域を挟んで間隔を開けて前記半導体層に形成された前記第1導電型のソース領域およびドレイン領域と、前記ソース領域を貫通して前記ボディ領域に達するように前記半導体層に形成されたソーストレンチと、前記ソーストレンチの底部において前記ボディ領域内に形成され、前記第2導電型で前記ボディ領域よりも不純物濃度の高いボディコンタクト領域と、前記ソーストレンチに埋め込まれたソース電極と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記ボディ領域の表面にゲート絶縁膜を介して対向するゲート電極と、前記半導体層に設けられた前記第1導電型のダイオード領域と、前記ダイオード領域に形成されたダイオードトレンチと、前記ダイオードトレンチの底部において前記ダイオード領域内に形成され、前記第2導電型を有し、前記第1導電型の前記ダイオード領域との間にpn接合を形成するpnダイオード領域と、前記ダイオードトレンチの側壁において前記ダイオード領域にショットキ接合されたショットキ電極とを含
み、前記ソーストレンチが前記半導体層の表面に第1方向に沿って直線状に形成されており、前記ダイオードトレンチが前記半導体層の表面に、前記第1方向に直交する第2方向に沿って、直線状に形成されている、半導体装置である。
【0008】
この構成によれば、半導体層のダイオード領域外には、トランジスタが形成されていて、ダイオード領域では、ダイオードトレンチの底部においてpnダイオードが形成され、ダイオードトレンチの側壁においてショットキバリアダイオードが形成されている。この場合、ソーストレンチとダイオードトレンチとを同時に形成することができる。さらに、ソーストレンチの底部でのボディコンタクト領域の形成と、ダイオードトレンチの底部でのpnダイオード領域の形成とを同時に行い、ソーストレンチへのソース電極の埋め込みと、ダイオードトレンチにおけるショットキ電極の形成とを同時に行うことができる。これにより、トランジスタとダイオードとを同時に形成できるので、トランジスタとダイオードとを別工程で形成する場合に必要となる工程(たとえば、半導体層の表面に保護膜を形成してからソーストレンチを形成した後にダイオード領域における当該保護膜を除去する工程)を省略することができる。このように、トランジスタを形成するための工程を利用してダイオードトレンチおよびpnダイオード領域を形成できるので(つまり、ダイオードを形成するための特別な工程が不要になるので)、少ない工程数でトランジスタおよびショットキバリアダイオードを同一チップ上に有する半導体装置を作成できる。そのため、半導体装置を安価に製造することができる。
【0009】
また、逆バイアス時には、ダイオードトレンチの底部のpnダイオードの周囲において空乏層が広がることによって、ダイオード領域における電流の流路が塞がれるので、逆方向リーク電流を低減することができる。
また、ボディコンタクト領域およびpnダイオード領域を形成するために不純物イオンを第2方向に沿って傾斜した方向からソーストレンチおよびダイオードトレンチに注入すると、ソーストレンチの側壁および底部にボディコンタクト領域が形成され、ダイオードトレンチの底部にpnダイオード領域が形成される。しかし、ダイオードトレンチにおいて第1方向に対向する一対の側壁では、不純物イオンの注入が抑制されるのでpnダイオード領域が形成されない。これにより、ショットキ電極は、ダイオードトレンチの当該側壁においてショットキ接合することができる。
請求項2記載の発明は、第1導電型の半導体層に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域を挟んで間隔を開けて前記半導体層に形成された前記第1導電型のソース領域およびドレイン領域と、前記ソース領域を貫通して前記ボディ領域に達するように前記半導体層に形成されたソーストレンチと、前記ソーストレンチの底部において前記ボディ領域内に形成され、前記第2導電型で前記ボディ領域よりも不純物濃度の高いボディコンタクト領域と、前記ソーストレンチに埋め込まれたソース電極と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記ボディ領域の表面にゲート絶縁膜を介して対向するゲート電極と、前記半導体層に設けられた前記第1導電型のダイオード領域と、前記ダイオード領域に形成されたダイオードトレンチと、前記ダイオードトレンチの底部において前記ダイオード領域内に形成され、前記第2導電型を有し、前記第1導電型の前記ダイオード領域との間にpn接合を形成するpnダイオード領域と、前記ダイオードトレンチの側壁において前記ダイオード領域にショットキ接合されたショットキ電極とを含み、前記ダイオードトレンチが、平面視矩形状に形成されており、前記ソーストレンチが前記半導体層の表面に直線状に形成されており、前記平面視矩形状のダイオードトレンチの互いに平行な2辺が前記ソーストレンチの長手方向に直交している、半導体装置である。
この構成によれば、半導体層のダイオード領域外には、トランジスタが形成されていて、ダイオード領域では、ダイオードトレンチの底部においてpnダイオードが形成され、ダイオードトレンチの側壁においてショットキバリアダイオードが形成されている。この場合、ソーストレンチとダイオードトレンチとを同時に形成することができる。さらに、ソーストレンチの底部でのボディコンタクト領域の形成と、ダイオードトレンチの底部でのpnダイオード領域の形成とを同時に行い、ソーストレンチへのソース電極の埋め込みと、ダイオードトレンチにおけるショットキ電極の形成とを同時に行うことができる。これにより、トランジスタとダイオードとを同時に形成できるので、トランジスタとダイオードとを別工程で形成する場合に必要となる工程(たとえば、半導体層の表面に保護膜を形成してからソーストレンチを形成した後にダイオード領域における当該保護膜を除去する工程)を省略することができる。このように、トランジスタを形成するための工程を利用してダイオードトレンチおよびpnダイオード領域を形成できるので(つまり、ダイオードを形成するための特別な工程が不要になるので)、少ない工程数でトランジスタおよびショットキバリアダイオードを同一チップ上に有する半導体装置を作成できる。そのため、半導体装置を安価に製造することができる。
また、逆バイアス時には、ダイオードトレンチの底部のpnダイオードの周囲において空乏層が広がることによって、ダイオード領域における電流の流路が塞がれるので、逆方向リーク電流を低減することができる。また、ボディコンタクト領域およびpnダイオード領域を形成するために、ソーストレンチの長手方向に直交する方向に沿って傾斜した方向から不純物イオンをソーストレンチおよびダイオードトレンチに注入すると、ソーストレンチの側壁および底部にボディコンタクト領域が形成され、ダイオードトレンチの底部にpnダイオード領域が形成される。しかし、ダイオードトレンチにおいてダイオードトレンチの長手方向に直交する方向に対向する一対の側壁では、不純物イオンの注入が抑制されるのでpnダイオード領域が形成されない。これにより、ショットキ電極は、ダイオードトレンチの当該側壁にショットキ接合することができる。
請求項
3記載の発明のように、前記ダイオードトレンチが、前記ソーストレンチと等しい深さを有しているので、たとえば同じエッチング条件によって、半導体層にダイオードトレンチおよびソーストレンチを同時に形成することができる。
【0010】
請求項
4記載の発明は、前記ゲート電極と前記ソース電極との間を絶縁する第1層間絶縁膜と、前記ダイオードトレンチ外における前記ダイオード領域の表面と前記ショットキ電極との間に配置された第2層間絶縁膜とをさらに含む、請求項1
〜3のいずれか一項に記載の半導体装置である。この構成によれば、第1層間絶縁膜によってゲート電極とソース電極との間を絶縁することができ、第2層間絶縁膜によってダイオードトレンチ外におけるダイオード領域の表面とショットキ電極との間を絶縁することができる。
【0011】
請求項
5記載の発明は、前記第1層間絶縁膜および前記第2層間絶縁膜が等しい厚さを有している、請求項
4に記載の半導体装置である。
この構成によれば、半導体装置の製造の際、第1層間絶縁膜および第2層間絶縁膜と同一の層間絶縁膜を半導体層の表面の全域に形成し、次いで、ソーストレンチを形成し、ついでにダイオードトレンチを同時に形成する。ソーストレンチの底部にボディコンタクト領域を形成するついでに、ダイオードトレンチの底部にpnダイオード領域を同時に形成することができる。また、ダイオードトレンチの側壁では、ショットキバリアダイオードを作ることができる。この際、前記層間絶縁膜の除去は不要である。そして、この際、第1層間絶縁膜および第2層間絶縁膜を同一工程で形成することができる。
【0012】
請求項
6記載の発明は、前記ショットキ電極は、前記ダイオードトレンチの側壁において第1の厚さを有し、前記第2層間絶縁膜上において前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さを有している、請求項
4または
5に記載の半導体装置である。
ショットキ電極においてダイオード領域にショットキ接合する部分の厚さが場所によって異なると、順方向電圧(Vf)が微妙に異なる複数のショットキバリアダイオードが並列接続されることによって、ショットキバリアダイオード全体の特性が安定しなくなる虞がある。そこで、請求項
6記載の発明の構成によれば、ショットキ電極において第1の厚さの部分だけがダイオードトレンチの側壁においてダイオード領域にショットキ接合していて、ショットキ電極において第2の厚さの部分はダイオード領域にショットキ接合していない。これにより、ショットキ電極においてダイオード領域にショットキ接合している部分の厚さが第1の厚さで均一となり、Vfのばらつきがなくなるので、ショットキバリアダイオード全体の特性を安定させることができる。
【0013】
請求項
7記載の発明のように、前記ダイオード領域に複数の前記ダイオードトレンチが間隔を開けて形成されていることが好ましい。
請求項
8記載の発明は、前記複数のダイオードトレンチの間の間隔が、逆バイアス時に、前記pn接合から広がる空乏層が互いに結合するように定められている、請求項
7に記載の半導体装置である。この構成によれば、逆バイアス時には、隣り合うダイオードトレンチの底部において空乏層が広がって結合することによって、ダイオード領域における電流の流路が一層塞がれるので、逆方向リーク電流を一層低減することができる。
【0014】
請求項
9記載の発明は、前記ショットキ電極が、前記ダイオードトレンチの側壁において前記ダイオード領域にショットキ接触し、前記ダイオードトレンチの底部において前記pnダイオード領域にオーミック接触するショットキ/オーミック電極層を含む、請求項1〜
8のいずれか一項に記載の半導体装置である。この構成によれば、ショットキ/オーミック電極層をダイオードトレンチの側壁および底壁に形成すれば、ショットキバリアダイオードおよびpnダイオードを同時に形成することができる。
【0015】
請求項
10記載の発明は、前記ソース電極および前記ショットキ電極が、同じ電極材料からなる、請求項1〜
9のいずれか一項に記載の半導体装置である。この構成によれば、前記電極材料をソーストレンチ内およびダイオードトレンチ内に供給することによって、ソース電極およびショットキ電極を同一工程で形成することができる
。
【0018】
請求項1
1記載の発明は、前記ソース領域および前記ドレイン領域が前記ボディ領域を挟んで前記半導体層の厚さ方向に間隔を開けて配置されており、前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通して前記ドレイン領域に達するゲートトレンチをさらに含み、前記ゲートトレンチ内に前記ゲート電極が埋め込まれている、請求項1〜1
0のいずれか一項に記載の半導体装置である。この構成によれば、ゲート電極に電圧を印加すると、ボディ領域におけるゲート電極の近傍にチャネルが形成されるので、トランジスタに電流が流れる。すなわち、トレンチゲート型のトランジスタが構成される。
【0019】
請求項1
2記載の発明のように、前記ダイオードトレンチが、前記ゲートトレンチよりも浅く形成されていてもよい。
請求項1
3記載の発明のように、前記ソース領域および前記ドレイン領域が前記半導体層の表面に沿って間隔を開けて配置されていてもよい。すなわち、前記トランジスタは、プレーナ型トランジスタであってもよい。
【0020】
請求項1
4記載の発明は、トランジスタ領域およびダイオード領域が設定された第1導電型の半導体層の前記トランジスタ領域に第2導電型のボディ領域を形成し、前記ダイオード領域は前記第1導電型としておく工程と、前記半導体層に前記ボディ領域を挟むように間隔を開けて、前記第1導電型のソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、前記ソース領域を貫通して前記ボディ領域に達するように前記半導体層にソーストレンチを形成し、同時に、前記ダイオード領域にダイオードトレンチを形成する工程と、前記ソーストレンチおよび前記ダイオードトレンチの各底部に不純物イオンを注入することにより、前記ソーストレンチの底部の前記ボディ領域内に、前記第2導電型で前記ボディ領域よりも不純物濃度の高いボディコンタクト領域を形成し、同時に、前記ダイオードトレンチの底部の前記ダイオード領域内に形成され、前記第2導電型を有し、前記第1導電型の前記ダイオード領域との間にpn接合を形成するpnダイオード領域を形成する工程と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記ボディ領域の表面にゲート絶縁膜を介して対向するゲート電極を形成する工程と、前記ソーストレンチにソース電極を埋め込み、同時に、前記ダイオードトレンチの側壁において前記ダイオード領域にショットキ接合するショットキ電極を形成する工程とを含
み、前記ソーストレンチが前記半導体層の表面に第1方向に沿って直線状に形成され、前記ダイオードトレンチが前記半導体層の表面に、前記第1方向に直交する第2方向に沿って、直線状に形成される、半導体装置の製造方法である。
【0021】
この方法によれば、完成した半導体装置において、トランジスタ領域では、トランジスタが形成されていて、ダイオード領域では、ダイオードトレンチの底部においてpnダイオードが形成され、ダイオードトレンチの側壁においてショットキバリアダイオードが形成されている。この場合、ソーストレンチとダイオードトレンチとを同時に形成することができる。さらに、ソーストレンチの底部でのボディコンタクト領域の形成と、ダイオードトレンチの底部でのpnダイオード領域の形成とを同時に行い、ソーストレンチへのソース電極の埋め込みと、ダイオードトレンチにおけるショットキ電極の形成とを同時に行うことができる。これにより、トランジスタとダイオードとを同時に形成できるので、トランジスタとダイオードとを別工程で形成する場合に必要となる工程(たとえば、半導体層の表面に保護膜を形成してからソーストレンチを形成した後にダイオード領域における当該保護膜を除去する工程)を省略することができる。そのため、半導体装置を安価に製造することができる。
【0022】
また、完成した半導体装置において、逆バイアス時には、ダイオードトレンチの底部のpnダイオードの周囲において空乏層が広がることによって、ダイオード領域における電流の流路が塞がれるので、逆方向リーク電流を低減することができる。
また、ボディコンタクト領域およびpnダイオード領域を形成するために不純物イオンを第2方向に沿って傾斜した方向からソーストレンチおよびダイオードトレンチに注入すると、ソーストレンチの側壁および底部にボディコンタクト領域が形成され、ダイオードトレンチの底部にpnダイオード領域が形成される。しかし、ダイオードトレンチにおいて第1方向に対向する一対の側壁では、不純物イオンの注入が抑制されるのでpnダイオード領域が形成されない。これにより、ショットキ電極は、ダイオードトレンチの当該側壁にショットキ接合することができる。
請求項15記載の発明は、トランジスタ領域およびダイオード領域が設定された第1導電型の半導体層の前記トランジスタ領域に第2導電型のボディ領域を形成し、前記ダイオード領域は前記第1導電型としておく工程と、前記半導体層に前記ボディ領域を挟むように間隔を開けて、前記第1導電型のソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、 前記ソース領域を貫通して前記ボディ領域に達するように前記半導体層にソーストレンチを形成し、同時に、前記ダイオード領域にダイオードトレンチを形成する工程と、前記ソーストレンチおよび前記ダイオードトレンチの各底部に不純物イオンを注入することにより、前記ソーストレンチの底部の前記ボディ領域内に、前記第2導電型で前記ボディ領域よりも不純物濃度の高いボディコンタクト領域を形成し、同時に、前記ダイオードトレンチの底部の前記ダイオード領域内に形成され、前記第2導電型を有し、前記第1導電型の前記ダイオード領域との間にpn接合を形成するpnダイオード領域を形成する工程と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記ボディ領域の表面にゲート絶縁膜を介して対向するゲート電極を形成する工程と、前記ソーストレンチにソース電極を埋め込み、同時に、前記ダイオードトレンチの側壁において前記ダイオード領域にショットキ接合するショットキ電極を形成する工程とを含み、前記ソーストレンチが前記半導体層の表面に直線状に形成され、前記ダイオードトレンチが、平面視矩形状に形成され、前記平面視矩形状のダイオードトレンチの互いに平行な2辺が前記ソーストレンチの長手方向に直交するように設定される、半導体装置の製造方法である。
この方法によれば、完成した半導体装置において、トランジスタ領域では、トランジスタが形成されていて、ダイオード領域では、ダイオードトレンチの底部においてpnダイオードが形成され、ダイオードトレンチの側壁においてショットキバリアダイオードが形成されている。この場合、ソーストレンチとダイオードトレンチとを同時に形成することができる。さらに、ソーストレンチの底部でのボディコンタクト領域の形成と、ダイオードトレンチの底部でのpnダイオード領域の形成とを同時に行い、ソーストレンチへのソース電極の埋め込みと、ダイオードトレンチにおけるショットキ電極の形成とを同時に行うことができる。これにより、トランジスタとダイオードとを同時に形成できるので、トランジスタとダイオードとを別工程で形成する場合に必要となる工程(たとえば、半導体層の表面に保護膜を形成してからソーストレンチを形成した後にダイオード領域における当該保護膜を除去する工程)を省略することができる。そのため、半導体装置を安価に製造することができる。
また、完成した半導体装置において、逆バイアス時には、ダイオードトレンチの底部のpnダイオードの周囲において空乏層が広がることによって、ダイオード領域における電流の流路が塞がれるので、逆方向リーク電流を低減することができる。また、ボディコンタクト領域およびpnダイオード領域を形成するために、ソーストレンチの長手方向に直交する方向に沿って傾斜した方向から不純物イオンをソーストレンチおよびダイオードトレンチに注入すると、ソーストレンチの側壁および底部にボディコンタクト領域が形成され、ダイオードトレンチの底部にpnダイオード領域が形成される。しかし、ダイオードトレンチにおいてダイオードトレンチの長手方向に直交する方向に対向する一対の側壁では、不純物イオンの注入が抑制されるのでpnダイオード領域が形成されない。これにより、ショットキ電極は、ダイオードトレンチの当該側壁にショットキ接合することができる。
請求項1
6記載の発明は、前記ソース電極および前記ショットキ電極を形成する前に、前記ゲート電極と前記ソース電極との間を絶縁する第1層間絶縁膜を形成し、同時に、前記ダイオードトレンチ外における前記ダイオード領域の表面と前記ショットキ電極との間に介在されるべき第2層間絶縁膜を形成する工程をさらに含む、請求項1
4または15に記載の半導体装置の製造方法である。
【0023】
この方法によれば、完成した半導体装置において、第1層間絶縁膜によってゲート電極とソース電極との間を絶縁することができ、第2層間絶縁膜によってダイオードトレンチ外におけるダイオード領域の表面とショットキ電極との間を絶縁することができる。第1および第2層間絶縁膜は同一工程で形成されるので、工程数を少なくすることができる。
請求項1
7記載の発明は、前記ダイオード領域に複数の前記ダイオードトレンチが間隔を開けて形成され、前記複数のダイオードトレンチの間の間隔が、逆バイアス時に、前記pn接合から広がる空乏層が互いに結合するように定められる、請求項1
4〜16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法である。
【0024】
この方法によれば、完成した半導体装置において、逆バイアス時には、隣り合うダイオードトレンチの底部において空乏層が広がって結合することによって、ダイオード領域における電流の流路が一層塞がれるので、逆方向リーク電流を一層低減することができる
。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
図2は、本発明の別の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
本発明の一実施形態に係る半導体装置1は、平面視四角形のチップ状に形成されている。平面視における半導体装置1の四辺のそれぞれの長さは、たとえば、数mm程度である。
【0029】
半導体装置1の平面視四角形の表面において、その一辺の近傍には、当該一辺に沿って外部接続領域Aが形成されており、外部接続領域A以外の領域には、アクティブ領域Bが形成されている。半導体装置1は、外部接続領域Aに配置された複数の外部電極2と、アクティブ領域Bを取り囲むガードリング3と、アクティブ領域Bに配置された複数のダイオード形成領域Cと、アクティブ領域Bにおいてダイオード形成領域C外のトランジスタ形成領域Dとを備えている。
【0030】
複数(ここでは、7つ)の外部電極2は、四角形の一辺に沿って並んで配置されている。各外部電極2は、ボンディングワイヤ(図示せず)によってリード(図示せず)に接続される(後述する)。ガードリング3は、外部接続領域Aとアクティブ領域Bとを分離絶縁している。
複数のダイオード形成領域Cは、アクティブ領域Bの全域において均一に分布するように分散配置(離散配置)されている。具体的には、複数のダイオード形成領域Cは、互いに間隔を空け、
図1に示すように千鳥状に配列されていてもよいし、
図2に示すように行列状に配列されていてもよい。
【0031】
図3は、
図1または
図2の半導体装置の要部の拡大図である。
図4は、
図3の半導体装置の要部の変形例を示す図である。
図3は、
図1または
図2において点線で囲んだ部分(1つのダイオード形成領域Cおよびその周囲のトランジスタ形成領域D)を抜き出して示している。
各ダイオード形成領域Cは、平面視で正方形状である。平面視において、各ダイオード形成領域Cは、トランジスタ形成領域Dに取り囲まれている。
【0032】
ダイオード形成領域Cには、ショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45が形成されており、トランジスタ形成領域Dには、複数のトランジスタセル11Aが形成されている。複数のトランジスタセル11Aは、並列に接続されており、全体で1つのトランジスタ11を形成している(
図1参照)。トランジスタ11は、複数のショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45を内蔵している(
図1参照)。このように、半導体装置1のアクティブ領域Bでは、複数のショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45を取り囲むようにトランジスタ11が形成されている(
図1参照)。このように、半導体装置1では、同一素子内にトランジスタ11、ショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45が設けられている。
【0033】
複数のトランジスタセル11A(トランジスタ11)に関連して、後述するゲートトレンチ12およびソーストレンチ13が、トランジスタ形成領域Dにおける半導体装置1の表面(厳密には、後述する半導体層22の表面22A)のほぼ全域に掘り込まれている。ゲートトレンチ12およびソーストレンチ13は、平面視において、いずれも第1方向Yに沿って直線状に延びていて、第1方向Yと直交する第2方向Xに間隔を隔てつつ、当該第2方向Xにおいて交互に配置されている。すなわち、ゲートトレンチ12およびソーストレンチ13は、それぞれストライプ状に形成されている。
【0034】
ゲートトレンチ12およびソーストレンチ13のうち、ソーストレンチ13が、ダイオード形成領域Cに最も近い位置にも形成されている。ダイオード形成領域Cに最も近い位置にあるソーストレンチ13は、ダイオード形成領域C全体を取り囲む四角形のリング状である。また、ダイオード形成領域Cに最も近い位置にあるソーストレンチ13に隣接するゲートトレンチ12は、このソーストレンチ13全体を取り囲む四角形のリング状である。
【0035】
ゲートトレンチ12およびソーストレンチ13の配置に関し、
図4に示すように、ゲートトレンチ12が、網目状のパターンを有することで複数の矩形網目領域を区画していて、各矩形網目領域内において、ソーストレンチ13が、ゲートトレンチ12に対して間隔を隔てつつ、直線状に延びていていてもよい。この場合においても、ダイオード形成領域Cに最も近い位置にあるソーストレンチ13は、ダイオード形成領域C全体を取り囲む四角形のリング状であり、このソーストレンチ13に隣接するゲートトレンチ12は、このソーストレンチ13全体を取り囲む四角形のリング状である。
【0036】
また、ショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45に関連して、後述するダイオードトレンチ14が、ダイオード形成領域Cにおける半導体装置1の表面(厳密には、後述する半導体層22の表面22A)のほぼ全域に掘り込まれている。ダイオードトレンチ14は、平面視において、第2方向Xに沿って直線状に延びていて、第1方向Yに間隔を隔てつつ、当該第1方向Yにおいて交互に配置されている。すなわち、平面視において、個々のダイオードトレンチ14は、第2方向Xに細長い矩形状に形成されていて、複数のダイオードトレンチ14は、ストライプ状に形成されている。平面視矩形状のダイオードトレンチ14のそれぞれにおいて、互いに平行な2辺(第2方向Xに延びる2辺)Hは、ソーストレンチ13の長手方向(第1方向Y)に直交している。
【0037】
図5は、
図3または
図4の切断面線V−Vにおける断面部分周辺の斜視図である。
図5では、説明の便宜上、ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14が示されていて、ゲートトレンチ12の図示が省略されている。
図5に示すように、第1方向Yに沿って直線状に形成されたソーストレンチ13と、第2方向Xに沿って直線状に形成されたダイオードトレンチ14とは、互いに直交して延びている。
【0038】
図6は、
図3または
図4の切断面線V−Vにおける断面図である。なお、切断面線V−Vが途中で直角に折れ曲っているため(
図3および
図4参照)、
図6では、実際には互いに直交する2つの断面(ダイオード形成領域C側の断面とトランジスタ形成領域D側の断面)を、説明の便宜上、同一平面上で示している(後述する
図7A〜
図7Jおよび
図8においても同様)。
【0039】
図6に示すように、半導体装置1は、半導体基板20と、裏面電極21と、半導体層22と、ゲート絶縁膜23と、ゲート電極24と、酸化膜25と、絶縁層26と、第1金属膜27と、第2金属膜29と、ソース電極28と、配線層30とを備えている。
半導体基板20は、所定濃度(たとえば、1×10
19〜5×10
19atom/cm
3)のn
+型の半導体(たとえば、シリコン)からなる。
【0040】
裏面電極21は、半導体基板20の裏面(
図6における下面)の全域を覆っている。裏面電極21は、n型のシリコンとオーミック接触する金属(たとえば、金、ニッケルシリサイド、コバルトシリサイドなど)からなる。そのため、裏面電極21は、半導体基板20の裏面に対してオーミック接触している。
半導体層22は、半導体基板20の表面(
図6における上面)上に積層されている。半導体層22は、半導体基板20よりも低濃度(たとえば、5×10
15〜5×10
16atom/cm
3)のn
−型の半導体からなる。
図6の半導体層22において、上面を、表面22Aといい、下面を、裏面22Bということにする。半導体層22全体の厚さは、たとえば4μmである。なお、半導体層22と半導体基板20とを全体として半導体層とみなしてもよい。
【0041】
半導体層22には、前述したダイオード形成領域Cおよびトランジスタ形成領域Dが設定されている。トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22をトランジスタ領域35といい、ダイオード形成領域Cにおける半導体層22をダイオード領域40ということにする。
図6は、ダイオード形成領域Cとトランジスタ形成領域Dとの境界近傍における半導体層22を示している。半導体層22の表面22Aおよび裏面22Bのそれぞれは、ダイオード形成領域Cおよびトランジスタ形成領域Dの全域に亘って平坦であり、互いに平行に延びている。
【0042】
トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22(トランジスタ領域35)の表層部の全域には、所定の不純物濃度(たとえば、1×10
16〜1×10
17atom/cm
3)を有するp
−型のボディ領域31が形成されている。トランジスタ領域35においてボディ領域31よりも裏面22B側の領域は、n
−型のドレイン領域34となっている。一方、ダイオード形成領域Cにおける半導体層22は、前述したn
−型のダイオード領域40となっている。ボディ領域31の表層部には、所定の不純物濃度(たとえば、5×10
19〜5×10
20atom/cm
3)を有するn
+型のソース領域32が選択的に形成されている。そのため、ボディ領域31は、半導体層22の厚さ方向において、ソース領域32およびドレイン領域34の間に位置している。換言すれば、トランジスタ領域35において、ソース領域32とドレイン領域34とは、ボディ領域31を挟んで(半導体層22の厚さ方向に)間隔を開けて形成されている。ソース領域32の表面と、ソース領域32が形成されていない領域におけるボディ領域31の表面とは面一になっていて、トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22(トランジスタ領域35)の表面22Aをなしている。ソース領域32の厚さは、たとえば約0.2μmであり、ボディ領域31においてソース領域32よりも半導体層22の裏面22B側の部分の厚さは、たとえば約0.4μmである。
【0043】
トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22には、前述したゲートトレンチ12が形成されている。ゲートトレンチ12は、トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22の表面22Aから裏面22B側へ掘り下がっている。ゲートトレンチ12は、ソース領域32およびボディ領域31をともに貫通してドレイン領域34の層厚途中まで到達している。ゲートトレンチ12の底面には、符号12Aが付されている。ゲートトレンチ12では、たとえば、溝幅が約0.2μmであり、深さが約1μmである。
【0044】
ゲート絶縁膜23は、酸化シリコン(SiO
2)からなり、ゲートトレンチ12の内面(側壁面および底壁面)の全域に接するように形成されている。ゲート絶縁膜23は、ゲートトレンチ12の前記側壁面においてボディ領域31に接し、ゲートトレンチ12の前記底壁面においてドレイン領域34に接している。
ゲート電極24は、たとえばポリシリコンからなる。ゲート電極24は、ゲートトレンチ12内においてゲート絶縁膜23の内側に埋め込まれている。ゲート電極24は、ゲート絶縁膜23を介して、ボディ領域31(ソース領域32およびドレイン領域34の間の部分)およびドレイン領域34のそれぞれの表面(ゲートトレンチ12内に露出された部分)に対向している。
【0045】
酸化膜25は、SiO
2からなり、トランジスタ形成領域Dおよびダイオード形成領域Cにおける半導体層22の表面22Aのほぼ全域を覆っている。
絶縁層26は、BPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)などのガラスからなり、酸化膜25上に積層されている。これらの積層された酸化膜25および絶縁層26は、層間絶縁膜48を構成している。層間絶縁膜48の厚さは、たとえば約0.5μmである。層間絶縁膜48は、トランジスタ形成領域Dに形成された第1層間絶縁膜48Aと、ダイオード形成領域Cに形成された第2層間絶縁膜48Bとを含む。第1層間絶縁膜48Aおよび第2層間絶縁膜48Bは等しい厚さを有している。
【0046】
前述したソーストレンチ13は、絶縁層26の表面(
図1における上面)から掘り下がり、絶縁層26および酸化膜25(第1層間絶縁膜48A)を貫通して、さらに、半導体層22においてソース領域32を貫通してボディ領域31の層厚途中まで到達している。ソーストレンチ13は、トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22において、ゲートトレンチ12を避けた位置に形成されていて、この位置における半導体層22の表面22Aから掘り下がって形成されている。ソーストレンチ13は、たとえば、溝幅が約0.2μmであり、深さが約0.3μmである。ソーストレンチ13の底面13Aと半導体層22の裏面22Bとの間隔Pは、ゲートトレンチ12の底面12Aと半導体層22の裏面22Bとの間隔Qより大きい。つまり、ソーストレンチ13は、ゲートトレンチ12よりも浅く形成されている。また、ボディ領域31におけるダイオード形成領域C側の端縁は、平面視において、ダイオード形成領域Cに最も近いソーストレンチ13(
図6における右端のソーストレンチ13)の底面13Aにおいて溝幅方向における中央部分と一致している。
【0047】
ボディ領域31内におけるソーストレンチ13の底面13Aおよびその周囲(ソーストレンチ13の底部)には、p
−型のボディ領域31よりも不純物濃度の高い(たとえば、不純物濃度が5×10
18〜5×10
19atom/cm
3である)p
+型のボディコンタクト領域33が形成されている。
前述したダイオードトレンチ14は、絶縁層26の表面(
図6における上面)から掘り下がり、絶縁層26および酸化膜25(第2層間絶縁膜48B)を貫通して、さらに、半導体層22においてダイオード領域40の層厚途中まで到達している。前述したように、ダイオードトレンチ14は、第2方向Xに長手の直線状であり、ダイオード領域40において第1方向Yに間隔を開けて複数形成されている(
図3および
図4参照)。各ダイオードトレンチ14の底面14Aと半導体層22の裏面22Bとの間隔Rは、ソーストレンチ13の底面13Aと半導体層22の裏面22Bとの間隔Pと同じで、ゲートトレンチ12の底面12Aと半導体層22の裏面22Bとの間隔Qより大きい。つまり、ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14は、互いに等しい深さであって、ゲートトレンチ12よりも浅く形成されている。
【0048】
ダイオード領域40内におけるダイオードトレンチ14の底部(底面14Aの直下の部分)には、ボディコンタクト領域33とほぼ同じ不純物濃度を有するp
+型のpnダイオード領域41が形成されている。p
+型のpnダイオード領域41は、n
−型のダイオード領域40との間にpn接合を形成している。
第1金属膜27は、n
−型のシリコンとの接合によりショットキ接合を形成する金属からなり、当該金属は、たとえば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、チタンナイトライド(TiN)、チタンシリサイド、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、コバルトシリサイド等を含む。当該金属は、n
−型の半導体にはショットキ接合し、n
+型やp
+型の半導体にはオーミック接合する。第1金属膜27は、第1層間絶縁膜48Aの表面(
図6における上面)および各ソーストレンチ13の内面の全域に接するように形成されていて、この状態で、ソース領域32およびボディコンタクト領域33に対して電気的に接続(オーミック接触)している。このように、ソーストレンチ13は、ソース領域32およびボディコンタクト領域33にコンタクトをとるためのものである。
【0049】
さらに、第1金属膜27は、第2層間絶縁膜48Bの表面(
図6における上面)および各ダイオードトレンチ14の内面の全域に接するように形成されていて、この状態で、pnダイオード領域41に対してオーミック接触し、ダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいてダイオード領域40に対してショットキ接合している。
ソース電極28は、たとえばタングステンからなる。ソース電極28は、内面に第1金属膜27が形成されたソーストレンチ13の内側を埋め尽くすように、各ソーストレンチ13に埋め込まれている。ソーストレンチ13内の第1金属膜27はソース電極28の一部をなす。ゲート電極24を覆うように第1層間絶縁膜48Aが形成され、第1層間絶縁膜48Aにおいてゲート電極24を避けた位置にソース電極28が形成されている。これにより、隣り合うゲート電極24とソース電極28との間に第1層間絶縁膜48Aが介在されているので、第1層間絶縁膜48Aによって、隣り合うゲート電極24とソース電極28との間を絶縁することができる。
【0050】
第2金属膜29は、チタンまたはチタンナイトライドからなり、第1金属膜27の表面全域と、ソース電極28においてソーストレンチ13から露出された面(
図6における上面)とを覆っている。ダイオード形成領域Cにおいて積層状態にある第1金属膜27および第2金属膜29は、ショットキ電極42を構成している。ショットキ電極42は、ダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいてダイオード領域40にショットキ接触し、ダイオードトレンチ14の底部(底面14Aの周辺)においてpnダイオード領域41にオーミック接触するショットキ/オーミック電極層としての第1金属膜27を含んでいる。ショットキ電極42の厚さは、200Å〜300Åである。
【0051】
半導体層22のダイオード領域40においてダイオードトレンチ14が形成されていない部分の表面22Aが、全域に渡って第2層間絶縁膜48Bによって覆われており、第2層間絶縁膜48Bの表面(
図6における上面)および側面(ダイオードトレンチ14の側壁14Bをなしている部分)がショットキ電極42によって覆われている。つまり、第2層間絶縁膜48Bは、ダイオードトレンチ14外におけるダイオード領域40の表面(半導体層22の表面22A)とショットキ電極42との間に配置(介在)されている。第2層間絶縁膜48Bによって、ダイオードトレンチ14外におけるダイオード領域40の表面とショットキ電極42との間を絶縁することができる。
【0052】
配線層30は、たとえばアルミニウムと銅との合金(AlCu合金)からなる。配線層30は、第2金属膜29上に積層されていて、第2金属膜29の表面(
図6における上面)全域を覆っている。配線層30は、前述した複数の外部電極2のうち対応するものに対して電気的に接続されている(
図1および
図2参照)。また、ゲート電極24は、図示しない中継配線を介して、対応する外部電極2に対して電気的に接続されている。
【0053】
トランジスタ形成領域Dでは、配線層30と、第2金属膜29と、ソース電極28と、第1金属膜27と、ソース領域32と、ボディコンタクト領域33とが電気的に接続されている。また、裏面電極21と、半導体基板20と、半導体層22においてボディ領域31よりも半導体基板20側のドレイン領域34とが電気的に接続されている。
これにより、トランジスタ形成領域Dでは、個々のトランジスタセル11Aが構成されている。トランジスタセル11A(トランジスタ11)は、ゲート電極24が埋め込まれたゲートトレンチ12を有することから、いわゆるトレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。また、トランジスタセル11A内では、ボディ領域31およびドレイン領域34によって寄生ダイオードが構成されている。
【0054】
たとえば、ソース電極28(配線層30)が接地され、裏面電極21に正電圧が印加された状態で、ゲート電極24に閾値以上の電圧が印加される。すると、ボディ領域31における、ゲート電極24の外側のゲート絶縁膜23との界面近傍のチャネル領域Xにチャネルが形成され、このチャネルを介して、裏面電極21からソース電極28に向けて電流が流れる。
【0055】
また、ダイオード形成領域Cでは、裏面電極21が半導体基板20に対してオーミック接触しているとともに、第1金属膜27(ショットキ電極42)がダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいてダイオード領域40に対してショットキ接合していることから、ショットキバリアダイオード10が構成されている。ショットキバリアダイオード10とトランジスタ11とは並列接続されている。また、ダイオード形成領域Cでは、各ダイオードトレンチ14の底面14Aのpnダイオード領域41がダイオード領域40にpn接合しているので、pnダイオード領域41とダイオード領域40とのpn接合によって、pnダイオード45が構成されている。このように1つのダイオードトレンチ14において、底面14Aにpnダイオード45が形成され、側壁14Bにショットキバリアダイオード10が形成されている。
【0056】
ダイオード形成領域Cの各ダイオードトレンチ14において、ショットキバリアダイオード10とpnダイオード45とは並列接続されている。ショットキバリアダイオード10の順方向電圧(Vf)は、pnダイオード45のVf(たとえば、0.6V〜0.7V)よりも低いので、pnダイオード45よりも先にショットキバリアダイオード10が導通する。
【0057】
また、逆バイアス時には、各ダイオードトレンチ14の底部のpnダイオード45では、空乏層80が広がり、隣り合うダイオードトレンチ14の底部の空乏層80同士が互いに結合する。換言すれば、複数のダイオードトレンチ14の間の間隔は、逆バイアス時に、pnダイオード領域41とダイオード領域40とのpn接合から広がる空乏層80が互いに結合するように定められている。ダイオードトレンチ14の底部のpnダイオード45の周囲において空乏層80が広がって結合することによって、ダイオード領域40における電流の流路が塞がれるので、逆方向リーク電流を低減することができる。
【0058】
ここで、第2層間絶縁膜48Bは必ずしも設ける必要はなく、これを除去してショットキ電極42とダイオード領域40とのショットキ接合の面積を大きくしてもよい。ただし、ダイオード領域40の表面(表面22A)上のショットキ電極42の厚さと、ダイオードトレンチ14の側壁14Bのショットキ電極42の厚さとは必ずしも等しくならないので、特性が不安定になるおそれがある。すなわち、ショットキ電極42においてダイオード領域40にショットキ接合する部分の厚さが場所によって異なると、Vfが微妙に異なる複数のショットキバリアダイオード10が並列接続されることになるから、ショットキバリアダイオード10全体の特性が安定しなくなる虞がある。
【0059】
そこで、この実施形態の半導体装置1では、第2層間絶縁膜48Bを除去せずに残している。この場合、ショットキ電極42は、ダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいて第1の厚さTを有し、第2層間絶縁膜48B上において第1の厚さTよりも厚い第2の厚さUを有している。
この半導体装置1では、ショットキ電極42において第1の厚さTの部分だけがダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいてダイオード領域40にショットキ接合していて、ショットキ電極42において第2の厚さUの部分はダイオード領域40にショットキ接合していない。これにより、ショットキ電極42においてダイオード領域40にショットキ接合している部分の厚さが第1の厚さTで均一となり、Vfのばらつきがなくなるので、ショットキバリアダイオード10全体の特性を安定させることができる。これにより、半導体装置1全体の性能向上を図ることができる。また、半導体装置1の製造の際に、第2層間絶縁膜48Bを除去する工程を省略することができるから、工程数を少なくしてコスト削減を図ることができる。
【0060】
図7A〜
図7Jは、
図6に示す半導体装置の製造方法を示す図解的な断面図である。
まず、
図7Aに示すように、公知の方法により、半導体基板20を作製する。
次いで、
図7Bに示すように、半導体基板20の表面からエピタキシャル成長させることによって、半導体基板20上にn
−型の半導体層22を形成する。半導体層22には、トランジスタ形成領域Dに対応するトランジスタ領域35と、ダイオード形成領域Cに対応するダイオード領域40とが設定されている。
【0061】
次いで、
図7Cに示すように、ダイオード形成領域C(ダイオード領域40)を覆ってトランジスタ形成領域D(トランジスタ領域35)だけを露出させるレジストパターン46が半導体層22上に形成される。次いで、トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22(トランジスタ領域35)の表層部にp型不純物(たとえば、ホウ素)がイオン注入される。その後、レジストパターン46を除去してからアニール処理することによりp型不純物が活性化され、
図7Cに示すように、トランジスタ領域35の表層部に、p
−型のボディ領域31が形成される。一方、ダイオード領域40は、n
−型のままである。トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22においてボディ領域31よりも半導体基板20側の部分は、ドレイン領域34である。
【0062】
次いで、ボディ領域31の表層部に選択的にn型不純物(たとえば、ヒ素リン)がイオン注入される。その後、アニール処理することによりn型不純物が活性化され、
図7Dに示すように、ボディ領域31の表層部にソース領域32が形成される。
次いで、レジストパターン(図示せず)をマスクとするエッチングにより、半導体層22が表面22A側から掘り込まれる。これにより、
図7Eに示すように、トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22には、ゲートトレンチ12が形成される。
【0063】
次いで、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法によって、
図7Fに示すように、ゲートトレンチ12の内面の全域に、SiO
2からなるゲート絶縁膜23を形成する。
次いで、
図7Gに示すように、ゲートトレンチ12におけるゲート絶縁膜23の内側に、ポリシリコンからなるゲート電極24を埋め込む。
【0064】
次いで、たとえばCVD法によって、ダイオード形成領域Cおよびトランジスタ形成領域Dの両方における半導体層22の表面22Aの全域に、SiO
2からなる膜(SiO
2膜)36を形成する。SiO
2膜36は、酸化膜25の元となる。
次いで、たとえば高密度中のCVDによって、BPSGなどのガラスからなる層(ガラス層)37をSiO
2膜36上に積層する。
図7Gでは、ガラス層37が形成された直後の状態が示されている。ガラス層37は、絶縁層26の元となる。このようにガラス層37がSiO
2膜36上に積層されることによって、前述した層間絶縁膜48が形成される。
【0065】
次いで、レジストパターン(図示せず)をマスクとするエッチングにより、ダイオード形成領域Cおよびトランジスタ形成領域Dにおいて、ガラス層37、SiO
2膜36および半導体層22が、この順番で掘り込まれる。これにより、
図7Hに示すように、ダイオード形成領域Cには、複数のダイオードトレンチ14が形成され、同時に、トランジスタ形成領域Dには、複数のソーストレンチ13が形成される。各ダイオードトレンチ14の底面14Aと、各ソーストレンチ13の底面13Aとは、半導体層22の厚さ方向に関して同じ位置にあり、面一になっている。同一工程(すなわち同一条件)でダイオードトレンチ14およびソーストレンチ13を形成するので、ダイオードトレンチ14およびソーストレンチ13は等しい深さを有する。
【0066】
次いで、
図7Iに示すように、ソーストレンチ13の底部(底面13Aおよびその周囲)およびダイオードトレンチ14の底部(底面14Aおよびその周囲)を介して、半導体層22の表層部に選択的にp型不純物(たとえば、ホウ素)のイオンが注入される。ここで、当該不純物イオンは、
図5の破線で示すように、前述した第2方向X(ソーストレンチ13の長手方向に直交する方向)に沿う平面内において、半導体基板20の厚さ方向に対して所定角度(たとえば±7°程度)だけ傾斜した方向(第2方向Xに沿って傾斜した方向)へ向けて、ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14のそれぞれの底部に注入される。
【0067】
そのため、
図7Iのようにソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14のそれぞれの短手方向に沿う断面を同一平面上で示した場合には、不純物イオンは、破線矢印で示すように、ソーストレンチ13に対して、その深さ方向に傾斜した方向に沿って注入され、ダイオードトレンチ14に対して、その深さ方向に沿って注入される。その結果、半導体層22では、ソーストレンチ13において、底面13Aおよび短手方向(前述した第2方向X)に対向する1対の側壁13Bにおいて不純物イオンが注入される。そして、半導体層22では、ダイオードトレンチ14において、底面14Aおよび長手方向(前述した第2方向X)に対向する1対の側壁14C(
図5参照)において不純物イオンが注入されるものの、短手方向(前述した第1方向Y)に対向する1対の側壁14Bには不純物イオンがほとんど注入されない。
【0068】
その後、アニール処理することによりp型不純物(先ほど注入されたイオン)が活性化され、ソーストレンチ13の側壁13Bおよび底部のボディ領域31内にボディコンタクト領域33が形成され、同時に、ダイオードトレンチ14の底部のダイオード領域40内にpnダイオード領域41が形成される。pnダイオード領域41は、ダイオードトレンチ14の底面14Aの直下およびダイオードトレンチ14の側壁14C(
図5参照)に形成される。しかし、ダイオードトレンチ14の(前述した第1方向Yに対向する)一対の側壁14Bでは、前述したように不純物イオンの注入が抑制されているので、pnダイオード領域41が形成されない。これにより、後述するように、ショットキ電極42は、ダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいてショットキ接合することができる。
【0069】
次いで、
図7Jに示すように、たとえばスパッタ法によって、チタンからなる第1金属膜27が、ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14の内面(酸化膜25、絶縁層26および半導体層22のそれぞれにおいて各トレンチ内に露出された部分)の全域と、絶縁層26(層間絶縁膜48)の表面の全域とに形成される。
次いで、ソーストレンチ13における第1金属膜27の内側に、タングステンからなるソース電極28が埋め込まれる。
図7Jは、ソース電極28の埋め込みが終了した直後の状態を示している。
【0070】
次いで、たとえばスパッタ法によって、チタンからなる第2金属膜29が、第1金属膜27の表面全域と、ソース電極28においてソーストレンチ13から露出された面とに形成され、さらに、アルミニウムからなる配線層30が第2金属膜29上に積層される。そして、半導体基板20の裏面に裏面電極21が形成されると、
図6に示すように、各トランジスタセル11A(トランジスタ11)、ショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45が同時に完成し、これにより、半導体装置1が完成する。
【0071】
ここで、ソース電極28(ソーストレンチ13内の第1金属膜27も含む)およびショットキ電極42(第1金属膜27および第2金属膜29のまとまり)が、同じ電極材料(具体的には、第1金属膜27の材料)からなってもよい。この場合、ソーストレンチ13にソース電極28を埋め込むのと同時に、ショットキ電極42が形成される。つまり、当該電極材料をソーストレンチ13内およびダイオードトレンチ14内に供給することによって、ソース電極28およびショットキ電極42を同一工程で形成することができる。そして、ショットキ電極42(特に、第1金属膜27)をダイオードトレンチ14の側壁14Bおよび底壁(底面14A)に形成すれば、ショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45を同時に形成することができる。
【0072】
また、ショットキ電極42(第1金属膜27および第2金属膜29)は、スパッタ法などで形成する都合上、ダイオードトレンチ14の側壁14Bに金属材料(前述したチタン)が付着しにくいので、側壁14Bよりも、底面14Aや第2層間絶縁膜48Bの上において厚くなる。
以上のように、この半導体装置1では、半導体層22のダイオード領域40外のトランジスタ領域35には、トランジスタ11が形成されていて、ダイオード領域40では、ダイオードトレンチ14の底部においてpnダイオード45が形成され、ダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいてショットキバリアダイオード10が形成されている。この場合、ソーストレンチ13とダイオードトレンチ14とを同時に形成することができる(
図7H参照)。さらに、ソーストレンチ13の底部でのボディコンタクト領域33の形成と、ダイオードトレンチ14の底部でのpnダイオード領域41の形成とを同時に行い(
図7I参照)、ソーストレンチ13へのソース電極28の埋め込みと、ダイオードトレンチ14におけるショットキ電極42の形成とを同時に行うことができる(
図7J参照)。これにより、トランジスタ11とダイオード(ショットキバリアダイオード10およびpnダイオード45)とを同時に形成できる。そのため、トランジスタ11とダイオードとを別工程で形成する場合に必要となる工程(たとえば、半導体層22の表面に保護膜を形成してからソーストレンチ13を形成した後にダイオード領域40における当該保護膜を除去する工程)を省略することができる。このように、トランジスタ11を形成するための工程を利用してダイオードトレンチ14およびpnダイオード領域41を形成できるので(つまり、ダイオードを形成するための特別な工程が不要になるので)、少ない工程数でトランジスタ11およびショットキバリアダイオード10を同一チップ上に有する半導体装置1を作成できる。よって、半導体装置1を安価に製造することができる。
【0073】
前述したように、半導体装置1の製造の際、第1層間絶縁膜48Aおよび第2層間絶縁膜Bと同一の層間絶縁膜48を半導体層22の表面22Aの全域に形成し(
図7G参照)、次いで、ソーストレンチ13を形成し、ついでにダイオードトレンチ14を同時に形成する(
図7H参照)。ソーストレンチ13の底部にボディコンタクト領域33を形成するついでに、ダイオードトレンチ14の底部にpnダイオード領域41を同時に形成することができる(
図7I参照)。また、ダイオードトレンチ14の側壁14Bでは、ショットキバリアダイオード10を作ることができる(
図6参照)。この際、前記層間絶縁膜48の除去は不要である。そして、この際(ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14を形成する際)、第1層間絶縁膜48Aおよび第2層間絶縁膜48Bを同一工程で形成することができるので(
図7H参照)、工程数を少なくすることができる。第1層間絶縁膜48Aおよび第2層間絶縁膜48Bはいずれも除去せずに残しておくので、これらの層間絶縁膜48を除去する工程を省略することができる。
【0074】
また、半導体層22の厚さ方向から見た平面視において、トランジスタ形成領域Dが、ダイオード形成領域Cを取り囲んでいる(
図1〜
図4参照)。トランジスタ形成領域Dのトランジスタ11がONのときにダイオード形成領域Cのショットキバリアダイオード10がOFFすることにより、ダイオード形成領域Cから半導体層22の放熱を図ることができる。また、トランジスタ11がOFFのときは、トランジスタ形成領域Dから半導体層22の放熱を図ることができる。こうして半導体装置1の温度上昇を阻止できる。とくに、トランジスタ形成領域Dがダイオード形成領域Cを取り囲んだ配置とすることによって、一方の領域を介して、他方の領域の放熱を図ることができるから、半導体装置1の温度上昇を効果的に抑制できる。そして、複数のダイオード形成領域Cを所定の間隔を隔てて均一に分布するように分散配置しているので、半導体装置1の温度上昇をより効果的に抑制できる(
図1および
図2参照)。
【0075】
図8は、本発明の別の実施形態に係る半導体装置の図解的な断面図である。
次に、前述した実施形態とは別の実施形態について説明するが、以降の実施形態において、前述した実施形態で説明した部分と対応する部分には、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8の場合においても、平面視において、トランジスタ形成領域Dは、ダイオード形成領域Cを取り囲んでいる(
図1および
図2参照)。
【0076】
図8に示す半導体装置1のトランジスタ11(トランジスタセル11A)は、前述の実施形態とは構造の異なるプレーナー型MOSFETであり、前述したゲートトレンチ12(
図6参照)を有していない。しかし、半導体装置1は、ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14を有している。
図8に示す半導体装置1は、前述した半導体基板20、裏面電極21、半導体層22、ソース電極28および配線層30と、ゲート絶縁膜50と、ゲート電極51と、絶縁膜52と、金属膜53とを備えている。
【0077】
半導体基板20は、n
+型の半導体からなる。裏面電極21は、半導体基板20の裏面(
図8における下面)の全域を覆っていて、半導体基板20の裏面にオーミック接触している。
半導体層22は、エピタキシャル成長によって、半導体基板20の表面(
図8における上面)上に積層されている。半導体層22は、半導体基板20よりも低濃度のn
−型の半導体からなる。
図8の半導体層22において、上面を、表面22Aといい、下面を、裏面22Bということにする。
図8は、ダイオード形成領域Cとトランジスタ形成領域Dとの境界近傍における半導体層22を示している。半導体層22では、ダイオード形成領域Cに対応するダイオード領域40と、トランジスタ形成領域Dに対応するトランジスタ領域35とが設定されている。
【0078】
トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22の表層部には、p
−型のボディ領域54が選択的に形成されている。ボディ領域54は、複数形成され、半導体層22の表層部において離散配置されている。各ボディ領域54の表層部には、n
+型のソース領域55が形成されている。トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22においてボディ領域54以外の領域は、n
−型のドレイン領域56となっている。一方、ダイオード形成領域Cにおける半導体層22は、前述したn
−型のダイオード領域40となっている。
【0079】
ソース領域55の表面と、ソース領域55が形成されていない領域におけるボディ領域54の表面と、ドレイン領域56の表面とは面一になっていて、トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22の表面22Aをなしている。半導体層22の表面22Aにおいて、ソース領域55およびドレイン領域56は、ボディ領域54を挟み、表面22Aに沿って間隔(ソース領域55およびドレイン領域56間のボディ領域54に相当する)を開けて配置されている。
【0080】
ゲート絶縁膜50は、SiO
2からなり、ダイオード形成領域Cおよびトランジスタ形成領域Dにおける半導体層22の表面22A上を部分的に覆っている。トランジスタ形成領域Dのゲート絶縁膜50は、トランジスタ形成領域Dにおける半導体層22の表面22Aにおいて間隔を隔てて隣り合うソース領域55の両方に跨るように形成されている。
ゲート電極51は、たとえばポリシリコンからなり、ゲート絶縁膜50上に積層されている。ゲート電極51は、ソース領域55およびドレイン領域56の間のボディ領域54の表面にゲート絶縁膜50を介して対向している。
【0081】
絶縁膜52は、SiO
2からなる。絶縁膜52は、ゲート電極51の表面においてゲート絶縁膜50に接触していない部分の全域を覆っている。絶縁膜52は、ゲート絶縁膜50につながっている。
ソーストレンチ13は、絶縁膜52の表面(
図8における上面)から掘り下がり、絶縁膜52(隣り合うゲート電極51の間の部分)およびゲート絶縁膜50を貫通して、さらに、半導体層22において、ソース領域55およびボディ領域54を貫通してドレイン領域56の層厚途中まで到達している。ボディ領域54およびドレイン領域56におけるソーストレンチ13の底部の周囲には、ボディ領域54よりも不純物濃度の高いp
+型のボディコンタクト領域58が形成されている。ソース電極28が、ソーストレンチ13の内側を埋め込まれている。
【0082】
ダイオードトレンチ14は、半導体層22の表面22Aから掘り下がり、半導体層22においてダイオード領域40の層厚途中まで到達している。ダイオード領域40におけるダイオードトレンチ14の底面14Aの周囲(底面14Aの直下の部分)には、p
+型のpnダイオード領域59が形成されている。p
+型のpnダイオード領域59は、n
−型のダイオード領域40との間にpn接合を形成している。
【0083】
ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14は、前述した実施形態(
図6参照)と同様に、互いに等しい深さである。
金属膜53は、n
−型のシリコンとの接合によりショットキ接合を形成する金属(前述したチタン、モリブデン、パラジウムまたはチタンナイトライド等)を含む。金属膜53は、トランジスタ形成領域Dにおいて、絶縁膜52と、ソース電極28においてソーストレンチ13から露出された面(
図8における上面)とを覆っている。さらに、金属膜53は、ダイオード形成領域Cにおける絶縁膜52の表面(
図8における上面)の全域と、ダイオードトレンチ14の内面(当該内面を構成する絶縁膜52およびゲート絶縁膜50も含む)の全域とに接するように形成されている。この状態で、金属膜53は、pnダイオード領域59に対してオーミック接触し、ダイオードトレンチ14の側壁14Bにおいてダイオード領域40に対してショットキ接合している。金属膜53において、ダイオード領域40にショットキ接合されている部分は、ショットキ電極70を構成している。
【0084】
配線層30は、金属膜53上に積層されていて、金属膜53の表面(
図8における上面)全域を覆っている。配線層30は、前述した複数の外部電極2のうち対応するものに対して電気的に接続されている(
図1および
図2参照)。また、ゲート電極51は、図示しない中継配線を介して、対応する外部電極2に対して電気的に接続されている。
この半導体装置1では、トランジスタ形成領域Dにおいて、配線層30と、金属膜53と、ソース電極28と、ボディ領域54と、ソース領域55とが電気的に接続されている。そして、トランジスタ形成領域Dにおいて、裏面電極21と、半導体基板20と、半導体層22においてボディ領域54およびソース領域55が形成されていない部分(ドレイン領域56)とが電気的に接続されている。
【0085】
これにより、トランジスタ形成領域Dでは、個々のトランジスタセル11Aが構成されている。また、トランジスタセル11A内では、ボディ領域54およびドレイン領域56によって寄生ダイオードが構成されている。
たとえば、配線層30が接地され、裏面電極21に正電圧が印加された状態で、ゲート電極51に対して閾値以上の電圧が印加される。すると、ボディ領域54におけるゲート絶縁膜50との界面近傍のチャネル領域Xにチャネルが形成され、このチャネルを介して、裏面電極21から配線層30に向けて電流が流れる。
【0086】
また、ダイオード形成領域Cでは、裏面電極21が半導体基板20に対してオーミック接触しているとともに、金属膜53が半導体層22(ダイオード領域40)に対してショットキ接合していることから、ショットキバリアダイオード10が構成されている。ショットキバリアダイオード10とトランジスタ11とは並列接続されている。また、ダイオード形成領域Cでは、各ダイオードトレンチ14の底面14Aのpnダイオード領域59がダイオード領域40にpn接合しているので、pnダイオード領域59とダイオード領域40とのpn接合によって、前述したpnダイオード45が構成されている。このように1つのダイオードトレンチ14において、底面14Aにpnダイオード45が形成され、側壁14Bにショットキバリアダイオード10が形成されている。
【0087】
ダイオード形成領域Cの各ダイオードトレンチ14において、ショットキバリアダイオード10とpnダイオード45とは並列接続されている。前述したようにショットキバリアダイオード10のVfがpnダイオード45のVfよりも低いので、pnダイオード45よりも先にショットキバリアダイオード10が導通する。
また、前述した実施形態(
図6参照)の場合と同様に、逆バイアス時には、各ダイオードトレンチ14の底部のpnダイオード45では、空乏層80が広がり、隣り合うダイオードトレンチ14の底部の空乏層80同士が互いに結合する。
【0088】
図8の半導体装置1には、
図6の半導体装置1の構成を適宜適用してもよく、その場合には、
図6の半導体装置1の場合と同様の効果を得ることができる。
図9は、本発明の一実施形態に係る半導体パッケージの模式的な斜視図である。
図9を参照して、半導体パッケージ60は、前述したいずれかの半導体装置1と、金属製のリードフレーム61と、樹脂パッケージ65とを含んでいる。
【0089】
半導体装置1は、リードフレーム61に接合されている。リードフレーム61は、矩形板状のダイパッド62と、ダイパッド62の一辺に対して間隔を隔てて配置されるリード63Aと、ダイパッド62における別の辺から延び出たリード63Bとを含んでいる。リード63Aおよびリード63Bは、それぞれ複数(ここでは、4つ)ある。
半導体装置1では、裏面電極21(
図6および
図8参照)が、ダイパッド62の上面に接合されていて、各リード63Aと、半導体装置1の表面上の対応する外部電極2とがボンディングワイヤ64によって接続されていている。これにより、リード63Aおよび63Bと、半導体装置1内のショットキバリアダイオード10、 pnダイオード45およびトランジスタ11(
図1および
図2参照)とが電気的に接続されている。ここで、
図9において、右端の外部電極2は、ゲート電極24につながっていて、それ以外の外部電極2は、ソース電極28につながっている(
図6も参照)。この場合、
図9において、右端のリード63Aは、ゲート側リードであり、それ以外の3つのリード63Aは、ソース側リードである。そして、全てのリード63Bは、ドレイン側リードである。
【0090】
そして、互いに接合された状態にある半導体装置1およびリードフレーム61は、各リード63Aおよびリード63Bが外部に露出されるように、樹脂パッケージ65で覆われている。半導体パッケージ60は、各リード63Aおよびリード63Bを実装配線基板(図示せず)に対向させて、この実装配線基板に接続(実装)することができる。
図10は、本発明の半導体装置を適用したDC−DCコンバータの回路図である。
【0091】
図10に示すようなDC−DCコンバータ100において、制御部(IC)91には、Highside用トランジスタ92およびLowside用トランジスタ93が接続されるが、本発明の半導体装置1を、Lowside用トランジスタ93に用いることができる。この場合、半導体装置1のトランジスタ11が、Lowside用トランジスタ93となり、ショットキバリアダイオード10が、Highside用トランジスタ92とLowside用トランジスタ93とをつなぐ。
【0092】
以上の他にも、この発明は、様々な形態での実施が可能であり、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
図11は、
図3の半導体装置の要部の変形例を示す図である。
たとえば、前述したダイオードトレンチ14のそれぞれは、ダイオード形成領域Cのほぼ全域に亘って一直線に延びているが(
図3および
図4参照)、
図11に示すように、第2方向Xに延びる同一直線上において、複数のダイオードトレンチ14に分割されていてもよい。この場合においても、前述した実施形態と同様に、平面視において、個々のダイオードトレンチ14は、第2方向Xに長い矩形状に形成されている。また、ソーストレンチ13は、前述した実施形態と同様に、半導体層22の表面22Aにおいて第1方向Yに直線状に形成されており、平面視矩形状の各ダイオードトレンチ14の互いに平行な2辺(第2方向Xに延びる2辺)Hは、ソーストレンチ13の長手方向(第1方向Y)に直交している。
【0093】
また、前述した実施形態では、各ダイオードトレンチ14の底面14Aにおいてpnダイオード45を形成していたが(
図6および
図8参照)、ダイオードトレンチ14におけるイオン注入を省略することによって(
図7I参照)、ダイオードトレンチ14の側壁14Bだけでなく、底面14Aにもショットキバリアダイオード10を形成してもよい。
また、前述した実施形態では、n型を第1導電型とし、p型を第2導電型としているが、逆に、p型を第1導電型とし、n型を第2導電型としてもよい。
【0094】
また、第1層間絶縁膜48Aの厚さと、第2層間絶縁膜48Bの厚さとが異なっていてもよい。また、ゲートトレンチ12、ソーストレンチ13およびダイオードトレンチ14のそれぞれの深さを任意に変更してもよい。ソーストレンチ13とダイオードトレンチ14とは、平面視において直交していることが望ましいが、これらのトレンチの交差角度は、厳密に90°でなくてもよい。