(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着テープのMD方向の100%引張時のモジュラスとTD方向の100%引張時のモジュラスとの比(MD方向100%モジュラス/TD方向100%モジュラス)が0.5〜1.9である、請求項1または2に記載の粘着テープの製造方法。
前記非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比が、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50〜50:1である、請求項10に記載の粘着テープの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の粘着テープは、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を備える。本発明の粘着テープは、基材の両面に粘着剤層を備えていても良いし、基材の片方の面に粘着剤層を備えていても良い。
【0031】
本発明の粘着テープは、その厚みばらつきの標準偏差σが2.0μm以下であり、好ましくは1.9μm以下であり、より好ましくは1.7μm以下であり、さらに好ましくは1.5μm以下であり、特に好ましくは1.2μm以下である。本発明の粘着テープの厚みばらつきの標準偏差σを上記範囲内に調整することにより、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内において均一となり得る。本発明の粘着テープにおいては、その厚みばらつきが小さく、厚み精度が良好なので、
図1に示すように、本発明の粘着テープをダイシングテープとして用いた場合、半導体のダイシングにおいて、ダイシング後にチップをダイシングテープ上から採取する前に、ダイシングテープにチップが搭載された状態において、ダイシングテープ200をエキスパンド(延伸)してチップ100間の間隔を広げた場合に、チップ100の位置ずれが起こることなく良好に整列されたチップが得られ得る。一方、粘着テープの厚みばらつきが大きいと、厚み精度が悪くなるので、
図2に示すように、本発明の粘着テープをダイシングテープとして用いた場合、半導体のダイシングにおいて、ダイシング後にチップをダイシングテープ上から採取する前に、ダイシングテープにチップが搭載された状態において、ダイシングテープ200をエキスパンド(延伸)してチップ100間の間隔を広げた場合に、チップ100の位置ずれが起こり、例えば、ピックアップ不良などが生じ得る。特に、LEDチップは小さいために、チップの位置ずれが起こりやすい。なお、厚みばらつきの標準偏差σの測定方法については後述する。
【0032】
なお、厚みばらつきを測定する方法としては、測定対象の面内の任意の複数点の厚みを測定して統計処理するなど、任意の適切な方法を採用し得る。このような厚みを測定する方法としては、例えば、マイクロメーター、マイクロノギス、ダイヤルゲージなどの物理的な接触を伴う方法;測定対象に対するα線、X線、赤外線、電磁波などの透過率や反射率を測定する非接触的方法;測定対象を任意の測定箇所で切断して光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察する方法;などが挙げられ、これらの組み合わせを採用しても良い。
【0033】
本発明の粘着テープの平均厚みは、好ましくは20μm〜120μmであり、より好ましくは30μm〜120μmであり、さらに好ましくは40μm〜120μmである。本発明の粘着テープの平均厚みを上記範囲内に調整することにより、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。また、本発明の粘着テープの平均厚みが小さすぎると、取扱性が悪くなるおそれがあり、特に、貼り合わせ作業が難しくなるおそれがある。本発明の粘着テープの平均厚みが大きすぎると、延伸等の変形に対する追随性が悪くなるおそれがある。
【0034】
本発明の粘着テープは、そのMD方向の100%引張時のモジュラスとTD方向の100%引張時のモジュラスとの比(MD方向100%モジュラス/TD方向100%モジュラス)が、好ましくは0.5〜1.9であり、より好ましくは0.5〜1.8であり、さらに好ましくは0.8〜1.6であり、特に好ましくは1.0〜1.5である。上記の比(MD方向100%モジュラス/TD方向100%モジュラス)を上記範囲内に調整することにより、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。
【0035】
<基材>
本発明の粘着テープの厚みばらつきを生じさせる因子としては、基材の厚みばらつき、粘着剤層の厚みばらつき、基材の粘着剤層の反対の面に備え得る非粘着層の厚みばらつきなど、様々な因子が考えられる。
【0036】
上記因子の中でも、粘着テープの厚みばらつきに最も大きな影響を与える因子は、基材の厚みばらつきである。なぜならば、粘着テープの構成要素の中で、エキスパンドやピン突き上げの応力に対して最も強く負荷がかかるのは基材であるため、基材の厚みばらつきが大きいと、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内において不均一なものになってしまうおそれが大きいからである。また、粘着剤層や非粘着層は、基材表面に塗工するなどして設けられるが、基材の厚みばらつきが大きいと、いくら粘着剤層や非粘着層の塗工精度などを上げても、基材の厚みばらつきによる影響によって、粘着剤層や非粘着層にも厚みばらつきが生じてしまう。
【0037】
上記のような理由により、基材は、その厚みばらつきの標準偏差σが、好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.8μm以下であり、さらに好ましくは1.6μm以下である。基材の厚みばらつきの標準偏差σを上記範囲内に調整することにより、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。厚みばらつきの標準偏差σの測定方法については後述する。
【0038】
基材の平均厚みは、好ましくは20μm〜120μmであり、より好ましくは30μm〜120μmであり、さらに好ましくは40μm〜120μmである。本発明の基材の平均厚みを上記範囲内に調整することにより、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。また、基材の平均厚みが小さすぎると、取扱性が悪くなるおそれがあり、特に、粘着テープを構成したときに貼り合わせ作業が難しくなるおそれがある。基材の平均厚みが大きすぎると、延伸等の変形に対する追随性が悪くなるおそれがある。
【0039】
基材は、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸びが、好ましくは100%以上であり、より好ましくは200%〜1000%である。このような最大伸びを示す基材を使用することにより、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。また、このような最大伸びを示す基材を使用することにより、本発明の粘着テープに適度な伸び性を付与することができ、例えば、被着体への追従性が向上し得る。
【0040】
基材としては、上記の特性を満足するものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な材料を選択し得る。このような基材としては、好ましくは、プラスチックフィルムである。
【0041】
プラスチックフィルムは、任意の適切な樹脂材料を含み得る。このような樹脂材料としては、好ましくは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられ、より好ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられ、さらに好ましくは、ポリ塩化ビニルが挙げられる。ポリ塩化ビニルは応力緩和性に優れるため、特に、LEDダイシングなどの半導体加工に用いる粘着テープに好適に用いることができる。
【0042】
プラスチックフィルム中の上記樹脂材料の含有割合としては、目的・用途に応じて、任意の適切な含有割合を設定し得る。このような含有割合としては、例えば、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは60重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは70重量%〜100重量%である。
【0043】
プラスチックフィルム中には、可塑剤が含まれていても良い。プラスチックフィルム中の可塑剤の含有割合は、該プラスチックフィルム中の上記樹脂材料に対して、好ましくは0.5重量%〜50重量%であり、より好ましくは1.0重量%〜40重量%である。プラスチックフィルム中に上記含有割合にて可塑剤を含ませることによって、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。また、プラスチックフィルム中に上記含有割合にて可塑剤を含ませることによって、延伸等の変形に対する本発明の粘着テープの追随性が一層良好なものとなる。
【0044】
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系(大日本インキ(株)製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系((株)ジェイプラス製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系(リン酸トリクレシル等)、アジピン酸系エステル、クエン酸エステル(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。本発明においては、エステル系可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0045】
プラスチックフィルム中には、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の適切なその他の成分を含んでいても良い。
【0046】
厚みばらつきの標準偏差σが小さくて厚み精度の高い基材は、その製造方法を厳密に工夫することによって得ることができることを本発明者は見出した。
【0047】
基材は、本発明の効果を発現できる範囲内で、任意の適切な製造方法によって製造し得る。このような製造方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、ブロー成形などが挙げられる。これらの中でも、厚みばらつきの標準偏差σが小さくて厚み精度の高い基材を得るためには、カレンダー成形が好ましい。
【0048】
カレンダー成形としては、カレンダーロールの数や配置型によって任意の適切な成形機を採用し得る。このような成形機としては、例えば、L型4本、逆L型4本、Z型4本、これらを変形した傾斜型、さらに安定させるためにロールを追加した6本型などが一般に挙げられる。
【0049】
厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得るためには、カレンダー成形の条件を厳密に制御することが重要である。
【0050】
厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得るための1つの好ましい手段としては、カレンダー成形において、最終バンクのコンパウンド温度のばらつきを±5%以内に制御することが挙げられる。カレンダー成形において、最終バンクのコンパウンド温度のばらつきを±5%以内に制御することによって、厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得ることができ、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。
【0051】
厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得るための別の1つの好ましい手段としては、カレンダー成形において、最終3ロール(最終ロールを含めた後半部分の連続した3ロール)の温度差を±20%以内、好ましくは±18%以内、より好ましくは±16%以内、特に好ましくは±15%以内に制御することが挙げられる。カレンダー成形において、最終3ロール(最終ロールを含めた後半部分の連続した3ロール)の温度差を上記範囲以内に制御することによって、厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得ることができ、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。
【0052】
本発明において、厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得るためには、特に、上記の2つの手段が好ましく挙げられる。
【0053】
厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得るためには、カレンダー成形において、コンパウンド温度を140°〜220℃の範囲内に制御することも有効である。
【0054】
厚みばらつきの標準偏差σが特に小さくて厚み精度の特に高い基材を得るためには、カレンダー成形において、各ロールの回転数のばらつきを±5%以内に制御することも有効である。
【0055】
<粘着剤層>
粘着剤層の厚みは、好ましくは1.0μm〜30μmであり、より好ましくは1.0μm〜20μmであり、さらに好ましくは3.0μm〜15μmである。粘着剤層の厚みが1.0μm未満の場合、十分な粘着力を発現できないおそれがある。粘着剤層の厚みが30μmより大きい場合、用途によっては粘着力が大きくなりすぎて、剥離等の際に被着体を破砕するおそれがある。
【0056】
上記粘着剤層の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤を採用し得る。
【0057】
粘着剤層の材料としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー;天然ゴム;メタクリル酸メチルなどのモノマーをグラフトした特殊天然ゴム;SBS、SBR、SEPS、SIS、SEBS、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなどの合成ゴム;などが挙げられる。これらの中でも、剥離後の被着体への糊残りが少なく、高凝集性を有し、透明性に優れる点で、少なくとも1種の(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。
【0058】
粘着剤層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、粘着剤層中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、目的に応じて適宜設定し得る。
【0059】
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを主モノマーとして含むモノマー成分から構成される樹脂である。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量%〜100重量%、特に好ましくは95重量%〜100重量%である。上記モノマー成分中のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0060】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0061】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0062】
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0063】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0064】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、粘着剤としての効果を十分に発現させるために、好ましくは、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含む。より好ましくは、カルボキシル基含有モノマーである。また、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、粘着剤としての効果を十分に発現させるために、アクリロニトリルを含有し得る。
【0065】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリルアルコールなどが挙げられる。水酸基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0066】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0067】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が水酸基含有モノマーを含む場合、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合は、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%である。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分がカルボキシル基含有モノマーを含む場合、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合は、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%である。このように、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含むことにより、架橋剤を用いた場合に、該架橋剤との架橋反応を効率的に生じさせることが可能となり、粘着剤としての効果を十分に発現させることができる。さらに、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合や、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合を、上記の範囲内に収まるように調整することによって、剥離操作の際の被着体の破砕を効果的に防止できる。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合や、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合が、上記の範囲よりも多すぎる場合には、粘着力が大きくなりすぎてしまい、ブロッキングが生じやすくなるおそれがあり、また、剥離操作の際に被着体の破砕が発生しやすくなるおそれがある。
【0068】
粘着剤層は、好ましくは、架橋剤を含む。粘着剤層が架橋剤を含む場合、粘着剤層中の架橋剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、好ましくは、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.1重量部〜20重量部である。粘着剤層中の架橋剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、適度な架橋反応を生じさせることができ、剥離操作の際の被着体の破砕を効果的に防止できる。
【0069】
架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。これらの架橋剤の中でも、本発明の効果を十分に発現できる点で、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。また、架橋剤は必要に応じて適宜選択でき、1種のみであっても良いし、2種以上の混合系であっても良い。
【0070】
粘着剤層は、可塑剤を含んでいても良い。粘着剤層が可塑剤を含む場合、粘着剤層中の可塑剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.1重量部〜70重量部である。粘着剤層中の可塑剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、本発明の効果をより一層効果的に発現することが可能となる。粘着剤層中の可塑剤の含有割合が、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、70重量部より大きいと、粘着剤層が柔軟になりすぎてしまい、糊残りや被着体汚染が発生しやすくなるおそれがある。
【0071】
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系(大日本インキ(株)製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系((株)ジェイプラス製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系(リン酸トリクレシル等)、アジピン酸系エステル、クエン酸エステル(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。本発明においては、エステル系可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0072】
粘着剤層は、架橋反応等を促進させるために、任意の適切な触媒を含んでいても良い。粘着剤層が触媒を含む場合、粘着剤層中の触媒の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部である。粘着剤層中の触媒の含有割合を上記範囲内に収めることによって、本発明の効果をより一層効果的に発現することが可能となる。
【0073】
このような触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート等の有機金属化合物;ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物;p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸、β−ヒドロキシエチルアクリレートの燐酸エステル、モノアルキル亜燐酸、ジアルキル亜燐酸等の酸性化合物;などが挙げられる。触媒は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0074】
粘着剤層は、本発明の効果をより一層発現させるためには、そのSP値が、好ましくは9.0(cal/cm
3)
0.5〜12.0(cal/cm
3)
0.5であり、より好ましくは9.5(cal/cm
3)
0.5〜11.0(cal/cm
3)
0.5である。SP値は、Smallの式によって算出される溶解度パラメータである。SP値の計算は、公知の文献(例えば、Journal of Applied Chemistry,3,71,1953.など)に記載された方法で行うことができる。
【0075】
粘着剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0076】
本発明の粘着テープは、粘着剤層の表面に剥離ライナーを備えていても良い。
【0077】
剥離ライナーとしては、任意の適切なセパレータを採用し得る。このような剥離ライナーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材;などが挙げられる。
【0078】
粘着剤層を基材上に設ける方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような手段として、好ましくは、粘着剤層を形成する塗工液を基材上に塗工することによって粘着剤層を設ける方法である。
【0079】
上記のような塗工による粘着剤層の形成においては、塗工時の塗布ムラなどが、粘着テープの厚みばらつきに影響を与え得る。このような影響を低減するための手段の1つとして、塗工後に得られる粘着テープの巻き取り張力を、好ましくは200N/m以下とし、より好ましくは30N/m〜180N/mとし、さらに好ましくは30N/m〜160N/mとし、特に好ましくは30N/m〜150N/mとする。巻き取り張力とは粘着テープをロール状に捲回するときの張力をいう。上記引き取り張力を上記範囲内に調整することにより、塗工時の塗布ムラなどが粘着テープの厚みばらつきに与える影響を低減でき、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。
【0080】
塗工時の塗布ムラなどが粘着テープの厚みばらつきに与える影響を低減するための手段の別の1つとして、塗工後に得られる粘着テープの乾燥時の乾燥温度を、好ましくは200℃以下とし、より好ましくは180℃以下とし、さらに好ましくは160℃以下とする。上記乾燥温度を上記範囲内に調整することにより、塗工時の塗布ムラなどが粘着テープの厚みばらつきに与える影響を低減でき、エキスパンドやピン突き上げに対する本発明の粘着テープの応力が該テープ面内においてより均一となり得る。
【0081】
塗工方式としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な塗工方式を採用し得る。このような塗工方式としては、例えば、リバース方式、ダイレクト方式、メタリングロールを組み合わせた各種方式などが挙げられる。本発明の効果を十分に発現させるためには、溶媒を含んだウェット状態での塗工層の厚みばらつきが幅方向において±20%以内に調整することが好ましい。
【0082】
<非粘着層>
本発明の粘着テープは、好ましくは、基材の片方の面に粘着剤層を備え、該基材の該粘着剤層と反対の面に非粘着層を備える。
【0083】
このような非粘着層の組成等は特に限定されるものではなく、その一例としては、シリコーン層、(メタ)アクリル系ポリマー層、シリコーン層と(メタ)アクリル系ポリマー層の混合層、(メタ)アクリル系ポリマーがグラフト重合されたシリコーン層などが挙げられる。これらの中でも、シリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層が好ましい。非粘着層をシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層とすることにより、非粘着層と基材(特に、プラスチックフィルム)との馴染みが良くなり、本発明の粘着テープは、延伸等の変形に対する追随性が良好なものとなる。
【0084】
非粘着層の表面は凹凸構造を有することが好ましい。非粘着層の表面が凹凸構造を有することにより、台座への過密着を効果的に抑制できる。この凹凸構造は、具体的には、非粘着層の算術平均表面粗さRaが、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.1μm〜3.0μmであり、さらに好ましくは0.2μm〜2.0μmであり、特に好ましくは0.3μm〜2.0μmであり、最も好ましくは0.5μm〜2.0μmである。非粘着層の算術平均表面粗さRaが上記範囲内に収まることにより、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制できる。なお、非粘着層の算術平均表面粗さRaの測定方法は後述する。
【0085】
非粘着層は、示差走査熱量測定(DSC測定)によるガラス転移温度Tgが、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上であり、特に好ましくは55℃以上である。非粘着層の示差走査熱量測定によるガラス転移温度Tgの上限は、特に限定されないが、取扱性等の観点から、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは170℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下であり、特に好ましくは130℃以下であり、最も好ましくは100℃以下である。非粘着層の示差走査熱量測定によるガラス転移温度Tgが上記範囲内に収まれば、非粘着層の表面の硬さが高温下においても適度に高くなり、よって耐熱性が高くなり、本発明の粘着テープを負圧により固定用台座に吸着固定を行ってダイシング等を行う場合に、台座の発熱等による過密着が起こることを効果的に抑制できる。なお、非粘着層の示差走査熱量測定(DSC測定)によるガラス転移温度Tgの測定方法は後述する。
【0086】
非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーは、そのSP値が、好ましくは9.0(cal/cm
3)
0.5〜12.0(cal/cm
3)
0.5であり、より好ましくは9.5(cal/cm
3)
0.5〜11.5(cal/cm
3)
0.5であり、さらに好ましくは9.5(cal/cm
3)
0.5〜11.0(cal/cm
3)
0.5である。SP値は、Smallの式によって算出される溶解度パラメータである。SP値の計算は、公知の文献(例えば、Journal of Applied Chemistry,3,71,1953.など)に記載された方法で行うことができる。
【0087】
非粘着層は、好ましくは、相分離構造を有する。非粘着層が相分離構造を有することにより、該非粘着層の表面に微小な凹凸構造が効率的に形成され得る。これは、おそらくは、例えば、非粘着層がシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層である場合を例にとると、相分離構造生成時のシリコーン、(メタ)アクリル系ポリマーの物質移動性の差異によって凹凸が生成するものと推測される。この凹凸構造の形成によって、本発明の粘着テープにおいて、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制し得るとともに、ロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制でき、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることを抑制し得る。
【0088】
非粘着層は、好ましくは、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含む。非粘着層は、より具体的には、好ましくは、上記シリコーンリッチ相と上記(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相とが互いに独立した相分離構造で含み、より好ましくは、上記シリコーンリッチ相が空気界面側(基材(特に、プラスチックフィルム)の反対側)に存在し、上記(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相が基材(特に、プラスチックフィルム)側に存在する。このような相分離構造を有することにより、空気界面側に存在するシリコーンリッチ相によってブロッキングが効果的に抑制され、基材(特に、プラスチックフィルム)側に存在する(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相によって非粘着層と基材(特に、プラスチックフィルム)との馴染みが良くなって変形追随性が良好になる。非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比を下記のように調整することによって、このような相分離構造を形成し得る。
【0089】
非粘着層が、相分離構造を有することや、上記のような、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含むことは、任意の適切な方法によって観察し得る。このような観察方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、電解放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)などの電子顕微鏡を用いて非粘着層断面を形態観察する方法が挙げられる。2層分離構造は、形態観察像の濃淡により判読することが可能である。また、全反射法による赤外吸収分光によって、非粘着層空気界面側から内部へとプローブ光深度を変えながら、組成中に含まれるケイ素や炭素などの含有量の変化を観測することによって観察する方法も挙げられる。この他、X線マイクロアナライザーやX線光電子分光によって観察する方法も挙げられる。また、適宜これらの方法を組み合わせて観察しても良い。
【0090】
非粘着層が空気界面側(基材(特に、プラスチックフィルム)の反対側)に存在するシリコーンリッチ相と基材(特に、プラスチックフィルム)側に存在する(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相との相分離構造を有する場合、該非粘着層を負圧により固定用台座に吸着固定してダイシング等を行う際に該固定用台座が発熱すると、該発熱による熱負荷によって該相分離構造の表面構造が破壊され、特に発熱した該固定用台座に多く接する凸部分における該相分離構造の表面構造が破壊され、該凸部分において空気界面側に(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相が露出することが起こり得る。しかし、本発明の粘着テープは、非粘着層の示差走査熱量測定によるガラス転移温度Tgが好ましくは上記の範囲内に収まっているため、熱負荷を受けた凸部分の硬さが適度に高く、よって耐熱性が高くなる。このため、本発明の粘着テープを負圧により固定用台座に吸着固定を行ってダイシング等を行う場合に、台座の発熱等による過密着が起こることを効果的に抑制できる。
【0091】
非粘着層がシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層である場合、非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50〜50:1であり、より好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:30〜30:1であり、さらに好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:10〜10:1であり、特に好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:5〜5:1であり、最も好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:3〜5:1である。非粘着層中のシリコーンの含有割合が大きすぎると、基材(特に、プラスチックフィルム)背面との化学的親和性が低くなり、基材(特に、プラスチックフィルム)背面に馴染みにくいおそれがある。また、非粘着層中のシリコーンの含有割合が大きすぎると、粘着テープとした場合、延伸等の変形に対する追随性が悪くなり、非粘着層が破砕されて汚染の原因となるおそれがある。非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合が大きすぎると、非粘着層がアクリル系粘着剤として作用してしまうおそれがあり、ブロッキングが生じやすいおそれがある。
【0092】
シリコーンとしては、任意の適切なシリコーンを採用し得る。このようなシリコーンとしては、例えば、白金系化合物を触媒としてアルケニル基含有ポリジアルキルシロキサンとポリジアルキルハイドロジェンポリシロキサンを付加反応により硬化させて剥離性皮膜を形成して得られる付加型シリコーン、スズ系触媒を用いたメチロール基含有ポリジアルキルシロキサンとポリジアルキルハイドロジェンポリシロキサンを反応させて得られる縮合型シリコーンなどが挙げられる。付加型シリコーンの例としては、例えば、信越シリコーン製の「KS−776A」、「KS−839L」などが挙げられる。縮合型シリコーンの例としては、例えば、信越シリコーン製の「KS723A/B」などが挙げられる。なお、シリコーンを製造する際には、白金系触媒やスズ系触媒の他に、適宜、その他の架橋剤、架橋促進剤などを使用しても良い。また、シリコーンの性状としては、トルエン等の有機溶剤に溶解したタイプ、これらをエマルジョン化したエマルジョンタイプ、シリコーンのみからなる無溶剤タイプなどに分類される。また、付加型シリコーンや縮合型シリコーンの他に、シリコーン/アクリルグラフトポリマー、シリコーン/アクリルブロックポリマーなどを使用することができる。シリコーン/アクリルグラフトポリマーとしては、例えば、サイマックGS−30、GS101、US−270、US−350、US−380(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。シリコーン/アクリルブロックポリマーとしては、例えば、モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770(以上、日油(株)製)などが挙げられる。
【0093】
(メタ)アクリル系ポリマーとしては、任意の適切な(メタ)アクリル系ポリマーを採用し得る。本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。
【0094】
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを主モノマーとして含むモノマー成分から構成されるポリマーである。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量〜100重量%、特に好ましくは95重量%〜100重量%である。上記モノマー成分中のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0095】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0096】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0097】
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0098】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0099】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、本発明の効果を十分に発現させるために、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含んでいても良い。
【0100】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、アリルアルコールなどが挙げられる。水酸基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0101】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0102】
非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは、それを構成するモノマー成分中の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が、該水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー成分の総量に対して、好ましくは2重量%〜30重量%であり、より好ましくは3重量%〜25重量%であり、特に好ましくは5重量%〜20重量%である。非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が、該水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー成分の総量に対して、上記範囲内に収まれば、非粘着層の表面に微小な凹凸構造が一層効率的に形成され、この凹凸構造の形成によって、本発明の粘着テープにおいて、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを一層抑制し得るとともに、ロール状の形態におけるブロッキングが一層効果的に抑制でき、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることを一層抑制し得る。
【0103】
非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは、それを構成するモノマー成分における水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー成分中に、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。この場合、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの含有割合は、重量比で、(メタ)アクリル酸:(メタ)アクリル酸エステルが、好ましくは0:100〜20:80であり、より好ましくは0:100〜10:90であり、さらに好ましくは0:100〜5:95である。
【0104】
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの含有割合が上記範囲内に収まれば、非粘着層の表面に微小な凹凸構造が一層効率的に形成され、この凹凸構造の形成によって、本発明の粘着テープにおいて、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを一層抑制し得るとともに、ロール状の形態におけるブロッキングが一層効果的に抑制でき、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることを一層抑制し得る。
【0105】
(メタ)アクリル系ポリマーは、任意の適切な重合方法によって製造し得る。
【0106】
非粘着層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、触媒、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0107】
非粘着層の厚みは、好ましくは0.01μm〜10μmであり、より好ましくは0.1μm〜5μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜2μmである。非粘着層の厚みが0.01μm未満の場合、ブロッキングが生じやすくなる。非粘着層の厚みが10μmより大きいと、延伸等の変形に対する追随性が悪くなるおそれがある。非粘着層の厚みが0.01μmより小さいと、本発明の効果が発現し難くなるおそれや、製造がし難くなるおそれがある。
【0108】
基材(特に、プラスチックフィルム)の片方の面に非粘着層を形成する方法としては、例えば、基材(特に、プラスチックフィルム)の片方の面に非粘着層の材料を塗布して乾燥することによって非粘着層を形成する方法が挙げられる。上記塗布の方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、スピンコーター、ロールコーター、ナイフコーター、アプリケーター等を用いる方法が挙げられる。
【0109】
本発明の粘着テープは、任意の適切な用途に用い得る。本発明の粘着テープは、上述の通り、負圧により固定用台座に吸着固定を行ってダイシング等を行う場合に、台座の発熱等による過密着が起こることを効果的に抑制でき、また、ロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制され、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることがなく、該非粘着層と該プラスチックフィルムとの馴染みが良く、延伸等の変形に対する追随性が良好である。したがって、脆弱な材料で構成されて微細精緻な回路パターンを有し得る半導体ウェハを被着体とする半導体加工に好適に用い得る。本発明の粘着テープを半導体加工に用いると、負圧により固定用台座に吸着固定を行ってダイシング等を行う場合に、台座の発熱等による過密着が起こることを効果的に抑制でき、したがって、ダイシングを含めた半導体製造工程をスムーズに進めることができる。また、本発明の粘着テープを半導体加工に用いると、従来ブロッキングに起因して生じているフィルム変形や応力ひずみの蓄積が生じないので、半導体ウェハの微細精緻な回路パターンに的確に追従して貼り合わせることが可能となり、また、半導体ウェハに貼り合わせた後の応力ひずみの自然解放が起こらないために、半導体ウェハが破砕することを効果的に防止できる。特に、LEDに用いられるウェハは、窒化ガリウム、ガリウムヒ素、炭化ケイ素などの非常に脆弱な材料で構成されているため、本発明の粘着テープは、LEDに用いられるウェハのダイシング(LEDダイシング)などに非常に好適である。
【実施例】
【0110】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。部は重量部を意味する。また、溶液で供給されている試薬の量は、溶液を揮発させて残る固形分の量(固形分換算量)によって表される。
【0111】
<平均厚み>
1/1000ダイヤルゲージにて、50mm間隔で、MD方向に55点、TD方向に55点の厚みを測定した。TD方向の測定は、長さが足りなければ、MD方向に50mm位置をずらした上で引き続き測定し値を算出した。その後、合計110点の測定値の最大値から5点、最小値から5点を除き100点とした。そのうえで、EXCELのAVERAGE関数を用い、平均値を算出した。
【0112】
<厚みばらつきの標準偏差σ>
1/1000ダイヤルゲージにて、50mm間隔で、MD方向に55点、TD方向に55点の厚みを測定した。TD方向の測定は、長さが足りなければ、MD方向に50mm位置をずらした上で引き続き測定し値を算出した。その後、合計110点の測定値の最大値から5点、最小値から5点を除き100点とした。そのうえで、EXCELのSTDEV関数を用い、厚みばらつきの標準偏差σを算出した。
【0113】
<MD方向の100%引張時のモジュラスとTD方向の100%引張時のモジュラス>
JIS−K−7127(1999年)に従って、インストロン型引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)によって測定した。具体的には、幅20mm×長さ100mmのサンプルをチャック間距離50mmで設置した後、0.3m/分の引張速度で引っ張りを行った。その後、チャートを読み込み、100%伸張時(50mm伸張時)の荷重をモジュラスとした。
【0114】
<ダイシング条件>
装置:商品名「DFD−651」(DISCO社製)
ブレード:商品名「27HECC」(DISCO社製)
ブレード回転数:40000rpm
ダイシング速度:120mm/sec
ダイシング深さ:25μm
カットモード:ダウンカット
ダイシングサイズ:3.0mm×3.0mm
エキスパンド量:10mm
【0115】
<エキスパンド性>
実施例・比較例で得られた粘着テープを、研磨を施した6インチ半導体ウェハ(厚さ=30μm)の研削面に、23℃、50%RHの雰囲気化で、圧着ローラー2往復によって貼り合わせた。次に、上記のダイシング条件によって、ウェハをダイシングした後、エキスパンドを行った。
エキスパンド後の連続して連なる20個のチップのズレを測定し、下記の基準で評価した。なお、ズレの基準は20個の中心線とした。
○:20個に渡って、1mm以上のズレが1.0個以下。
×:20個に渡って、1mm以上のズレが1.0個を超えるもの。
【0116】
<最大伸び>
最大伸びは、JIS−K−7127(1999年)に従って、インストロン型引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)によって測定した。具体的には、幅20mm×長さ100mmのサンプルをチャック間距離50mmで設置した後、0.3m/分の引張速度で引っ張りを行い、破断した際の値を測定した。
【0117】
<弾性率>
JIS−K−7127(1999年)に従って、インストロン型引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)によって測定した。具体的には、幅20mm×長さ100mmのサンプルをチャック間距離50mmで設置した後、0.3m/分の引張速度で引っ張りを行い、初期弾性率を求めた。初期弾性率は、破断伸び0〜2%の領域における接線を引き、接線を100%伸びの値まで直線で伸ばした値とし、サンプルの断面積換算で補正した。
【0118】
<非粘着層の観察>
(SEMによる観察)
非粘着層断面が観察できるよう加工した後、透過型電子顕微鏡(SEM)で形態観察を行った。
(全反射法による赤外分光測定(ATR−IR)による観察)
赤外分光スペクトルメーター(Perkinermer製、Spectrum One)を用い、全反射測定法を選択し、プローブ光の分析深さを変えるため、2種類の全反射測定用プリズム(ZnSe45°、Ge45°)を用いて、非粘着層のATR−IR測定を行った。
【0119】
<算術平均表面粗さRa>
OLYMPUS製の共焦点レーザー顕微鏡「LEXT3000」を使用して、対物レンズ20倍で3Dモードにて測定した。3Dモードの観察範囲の決定は、レンズを上下動させた際にCF画像(共焦点画像)が真っ暗になる位置をそれぞれ観察範囲のTopとBottomに設定することで行った。
3Dモードでの画像取り込み方法は、Step方式で0.2μmピッチにて画像取り込みを行った。
算術平均表面粗さRaの計測は、解析モードの粗さ解析にて任意の場所のRaを計測した。なお、値はn=5の平均値にて求めた。
【0120】
<非粘着層の示差走査熱量測定(DSC測定)によるガラス転移温度Tgの測定>
非粘着層をフェザー刃でかき集め、DSCの固体測定用のパンに3mg程度封入した。
パンをTAインスツルメント社の高感度示差走査熱量計Q2000に投入し、0℃〜200℃まで昇温速度2℃/minで昇温した。
また同条件で冷却し、さらに昇温した。セカンドランの転移領域以下の直線部分の外挿と転移領域以上の直線部分の外挿との中点を連ねた直線と測定曲線の交点を求め、これをガラス転移温度Tgとした。
【0121】
〔実施例1〕
(基材)
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルムをカレンダー法によって製膜した。具体的には、製膜時の最終バンクのコンパウンド温度のばらつきを±3%とし、最終3ロールの温度差を±10%以内に設定し、逆L型のカレンダーによって製膜した。得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1A)の厚みは70μmであり、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される弾性率(MD)が485MPa、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸び(MD)が300%であった。
(非粘着層)
シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)60重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)40重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=60/30/10)50重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)10重量部を、溶液状態で混合して、混合溶液を得た。混合溶液(1B)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=2:1であった。
軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1A)の片方の面に、上記混合溶液を塗布して、乾燥温度を160℃以下に保った状態で乾燥し、厚さ1.0μmの非粘着層(1B)を形成させた。
また、非粘着層(1B)をSEMによって観察すると、
図3、
図4、
図5に示すように、形態観察像の濃淡により、空気界面側とプラスチックフィルム側とで組成が異なっていることが確認でき、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含んでおり、シリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相とが互いに独立した相分離構造をなしており、シリコーンリッチ相が空気界面側(プラスチックフィルムの反対側)に存在しており、(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相がプラスチックフィルム側に存在していることが観察された。
さらに、非粘着層(1B)について全反射法による赤外分光測定(ATR−IR)を行ったところ、(メタ)アクリル系ポリマー相中のカルボニル基由来の1725cm
−1付近のピークに対するSi−CH
3由来の800cm
−1付近のピークの吸光度比を測定した結果、ZnSe45°に比べGe45°のプリズムを用いた場合に800cm
−1付近のピークが大きくなることがわかった。したがって、基材側に比べ空気界面側でケイ素の含有率が高まることがわかった。
また、非粘着層(1B)においてシリコーンリッチ相が空気界面側(プラスチックフィルムの反対側)に存在していることは、FT−IRにおいても確認できた。FT−IRによる測定は、Perkinermer製の「Spectrum One」を用い、分析深さ方向の異なる2種類のプリズム(ZnSe45°、Ge45°)にて空気界面側をATR法で測定した。得られたチャートを確認したところ、非粘着層の(メタ)アクリルポリマー由来のC=Oに帰属する1720cm
−1−1730cm
−1のピークに対する、Si−CH
3由来の800cm
−1付近のピークの吸光度比が、分析深さ方向の浅いGe45°のプリズムを用いた場合に大きくなっていることが確認できた。このことから、空気界面側にはシリコーンの濃度がより高くなっていることが証明できた。
これらの観察結果、ならびに、表面自由エネルギー最小化の原理を考慮にいれると、空気界面側にシリコーンリッチ相を有する2層構造が非粘着層に形成されたことがわかった。
(粘着剤層)
ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)=85/15/2.5(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)10重量部、DOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)60重量部からなる粘着剤のトルエン溶液を調製した。
この粘着剤溶液を、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1A)の非粘着層(1B)と反対側の面に塗布した後、乾燥温度を160℃以下に保った状態で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層(1C)を軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1A)の非粘着層(1B)と反対側の面に形成した。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(1B)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1A)/粘着剤層(1C)の積層構造を構築し、引き取り張力100N/mで巻き取って、粘着テープ(1)を製造した。
結果を表1にまとめた。
【0122】
〔実施例2〕
引き取り張力150N/mで巻き取った以外は、実施例1と同様に行い、粘着テープ(2)を製造した。
結果を表1にまとめた。
【0123】
〔実施例3〕
(基材)
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルムをカレンダー法によって製膜した。具体的には、製膜時の最終バンクのコンパウンド温度のばらつきを±4.5%とし、最終3ロールの温度差を±15%以内に設定し、逆L型のカレンダーによって製膜した。得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(3A)の厚みは70μmであり、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される弾性率(MD)が501MPa、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸び(MD)が480%であった。
(非粘着層)
実施例1と同様に行い、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(3A)の片方の面に、厚さ1.0μmの非粘着層(3B)を形成させた。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(3A)の非粘着層(3B)と反対側の面に、厚み10μmの粘着剤層(3C)を軟質ポリ塩化ビニルフィルム(3A)の非粘着層(3B)と反対側の面に形成した。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(3B)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(3A)/粘着剤層(3C)の積層構造を構築し、引き取り張力150N/mで巻き取って、粘着テープ(3)を製造した。
結果を表1にまとめた。
【0124】
〔比較例1〕
(基材)
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルムをカレンダー法によって製膜した。具体的には、製膜時の最終バンクのコンパウンド温度のばらつきを±10%とし、最終3ロールの温度差を±20%以内に設定し、逆L型のカレンダーによって製膜した。得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C1A)の厚みは80μmであり、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される弾性率(MD)が450MPa、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸び(MD)が530%であった。
(非粘着層)
実施例1と同様に行い、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C1A)の片方の面に、厚さ1.0μmの非粘着層(C1B)を形成させた。形成時の乾燥温度は170℃以下に保った。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C1A)の非粘着層(C1B)と反対側の面に、厚み10μmの粘着剤層(C1C)を軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C1A)の非粘着層(C1B)と反対側の面に形成した。形成時の乾燥温度は170℃以下に保った。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(C1B)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C1A)/粘着剤層(C1C)の積層構造を構築し、引き取り張力250N/mで巻き取って、粘着テープ(C1)を製造した。
結果を表1にまとめた。
【0125】
〔比較例2〕
(基材)
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルムをカレンダー法によって製膜した。具体的には、製膜時の最終バンクのコンパウンド温度のばらつきを±10%とし、最終3ロールの温度差を±10%以内に設定し、逆L型のカレンダーによって製膜した。得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C2A)の厚みは77μmであり、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される弾性率(MD)が450MPa、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸び(MD)が520%であった
(非粘着層)
実施例1と同様に行い、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C2A)の片方の面に、厚さ1.0μmの非粘着層(C2B)を形成させた。形成時の乾燥温度は170℃以下に保った。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C2A)の非粘着層(C2B)と反対側の面に、厚み10μmの粘着剤層(C2C)を軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C2A)の非粘着層(C2B)と反対側の面に形成した。形成時の乾燥温度は170℃以下に保った。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(C2B)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(C2A)/粘着剤層(C2C)の積層構造を構築し、引き取り張力150N/mで巻き取って、粘着テープ(C2)を製造した。
結果を表1にまとめた。
【0126】
【表1】