(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1工程において、前記複数のリブ部のうち一方の前記リブ部が、前記内張り材の端部の内面と接触し、他方の前記リブ部が、前記管路の内面に接触するように前記弾性部材を配置することを特徴とする請求項4に記載の内張り材の端部処理方法。
前記第2工程において、前記押さえ部材によって、前記弾性部材を厚み方向に圧縮率10〜20%で圧縮することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内張り材の端部処理方法。
前記弾性部材は、ニトリルゴム(NBR)を主成分とし、JIS6253に準拠したデュロメータA硬度が60〜70であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内張り材の端部処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゴムやエラストマーなどで形成された弾性部材は、長期間使用すると、可塑剤の流出や大気中のオゾンの影響で劣化が生じる。従来の弾性部材は、引張状態で配置されるため、このような劣化により、引張方向と垂直な方向に亀裂が生じてしまう。また、弾性部材を引張状態で設置すると、弾性部材には縮径しようとする力が生じるため、シール性が低くなりやすい。
【0007】
本発明は、弾性部材を長寿命化できる内張り材の端部処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
第1の発明に係る内張り材の端部処理方法は、管路に内張りされた内張り材の端部をシールする端部処理方法であって、前記内張り材の端部に筒状の弾性部材を配置する第1工程と、前記弾性部材を内側から押さえる押さえ部材を配置する第2工程とを備え、前記弾性部材は、外力が作用していない状態での外径が前記管路の内径よりも大きく、周方向に圧縮された状態で前記管路内に配置されることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、弾性部材を圧縮状態で配置するため、弾性部材を引張状態で配置する場合に比べて、弾性部材の内部に侵入するオゾンを低減できるため、オゾン劣化を低減できる。また、たとえオゾン劣化や可塑剤の流出による劣化が生じても、圧縮状態で配置されているため、亀裂が生じにくい。
また、弾性部材は周方向に圧縮状態で配置されているため、弾性部材には拡径しようとする力が生じる。そのため、弾性部材が引張状態で配置される場合に比べて、シール性を向上させることができる。
【0010】
第2の発明に係る内張り材の端部処理方法は、前記第1工程において、前記弾性部材を前記内張り材の端部の内側に配置して、前記弾性部材の一箇所だけを弛ませてから、この弛みを内周側から押しながら、前記弛みから周方向に離れた2箇所を周方向に引っ張ることで、前記弾性部材を周方向に圧縮することを特徴とする。
【0011】
この構成によると、特殊な治具を用いることなく、弾性部材を周方向に圧縮することができる。
【0012】
第3の発明に係る内張り材の端部処理方法は、前記弾性部材の外周面には、外側に突出する環状のリブ部が形成されており、前記第2工程において、前記弾性部材の前記リブ部が形成されている箇所の内周面に前記押さえ部材を押し付けることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、弾性部材の外周面にはリブ部が突出して形成されているため、弾性部材を周方向に圧縮状態で設置したとき、リブ部の周囲には隙間が形成されている。弾性部材の圧縮に伴う膨張分を上記の隙間に逃がすことができるため、弾性部材を圧縮させやすい。そのため、弾性部材の圧縮率を高くすることができ、その結果、弾性部材の外周面の接触面圧を高くすることができるため、シール性を向上させることができる。
また、弾性部材の外周面から突出するリブ部を、内張り材の内面又は管路内面と接触させることにより、接触面積を小さくできるため、弾性部材の外周面の接触面圧を高くでき、シール性を向上できる。
また、リブ部を設けたことにより、管路内面に凹凸があった場合に、管路内面に対する弾性部材の追従性を向上できる。
【0014】
第4の発明に係る内張り材の端部処理方法は、前記リブ部が、軸方向に並んで2つ以上形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によると、弾性部材と内張り材の内面又は管路内面との密着性を向上できる。
【0016】
第5の発明に係る内張り材の端部処理方法は、前記第1工程において、前記複数のリブ部のうち一方の前記リブ部が、前記内張り材の端部の内面と接触し、他方の前記リブ部が、前記管路の内面に接触するように前記弾性部材を配置することを特徴とする。
【0017】
この構成によると、弾性部材と内張り材の内面との接触面圧と、弾性部材と管路内面との接触面圧を共に向上させることができる。
【0018】
第6の発明に係る内張り材の端部処理方法は、前記第2工程において、前記押さえ部材によって、前記弾性部材を厚み方向に圧縮率10〜20%で圧縮することを特徴とする。
【0019】
弾性部材の厚み方向の圧縮率が小さすぎる場合(例えば5%未満の場合)、または、圧縮率が大きすぎる場合(例えば30%以上の場合)、弾性部材を長期間使用すると、弾性部材の反発力が著しく低下する。
本発明では、弾性部材を厚み方向に10〜20%の圧縮率で配置するため、弾性部材を長寿命化できる。
【0020】
第7の発明に係る内張り材の端部処理方法は、前記弾性部材は、ニトリルゴム(NBR)を主成分とし、JIS6253に準拠したデュロメータA硬度が60〜70であることを特徴とする。
【0021】
弾性部材の硬度が小さすぎる場合(例えば硬度が50未満の場合)、弾性部材は柔らかすぎて取扱いにくいため、施工が難しい。一方、硬度が大きすぎる場合(例えば硬度が80以上の場合)、弾性部材を圧縮することが困難となる。
本発明では、弾性部材のデュロメータA硬度が60〜70であるため、施工性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態は、既設のガス導管路1(以下、単に管路1という)に内張りされた内張り材2の端部をシールするために、本発明の内張り材の端部処理方法を適用した一例である。
【0024】
図1に示すように、管路1は、円筒状であって、地中に略水平方向に敷設されている。管路1の内径は、例えば400〜750mmである。内張り材2は、例えば、筒状織布の両面に硬質熱硬化性樹脂層が積層された構成であって、その厚みは例えば2〜4mmである。内張り材2は、管路1の内面に接着剤(図示省略)によって接着されている。内張り材2の端部は、管路1の端部1aから所定距離離れた位置に配置されている。
【0025】
<内張り材の端部構造>
まず、端部処理が施された内張り材の端部構造について説明する。
図2および
図3に示すように、内張り材の端部処理構造は、内張り材2の端部の内側に配置された筒状の弾性部材3と、弾性部材3の内側に配置された金属製の2つのリング部材(押さえ部材)5とを有する。弾性部材3は、その軸方向中央部が内張り材2の縁に位置するように配置される。2つのリング部材5は、弾性部材3の両端部の内側にそれぞれ配置されている。リング部材5は、弾性部材3の内周面に押し付けられている。
【0026】
図4に示すように、弾性部材3は、筒状であって、例えば、ニトリルゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の弾性材料で形成されている。弾性部材3のJIS6253に準拠したデュロメータA硬度(デジタル硬度計により計測)は、例えば60〜70である。
【0027】
図5に示すように、弾性部材3は、厚さが一定の本体部3aと、本体部3aの外周面から外側に突出する4つのリブ部3bとで構成されている。本体部3aの軸方向長さは、弾性部材3の軸方向長さを構成する。4つのリブ部3bは、それぞれ環状であって、軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。4つのリブ部3bの形状(突出高さ及び幅)はすべて同じである。リブ部3bは、弾性部材3のうち2つのリング部材5が配置される軸方向範囲の両端部に設けられている。
【0028】
弾性部材3は、管路1内に設置する前の状態(弾性部材3に外力が作用していない状態)において、本体部3aの外径は、管路1の内径よりも大きくなっている。したがって、弾性部材3の外径も、管路1の内径よりも大きく、弾性部材3は、周方向に圧縮された状態で管路1の内面に沿って配置されている。弾性部材3の外径は、例えば、管路1の内径に2mm足した数値に、さらに弾性部材3の厚み(例えば5mm)を足した数値とする。
【0029】
また、弾性部材3は、リング部材5によって厚み方向に圧縮された状態で配置されている。弾性部材3を管路1の内面に周方向に圧縮して配置した状態からの厚み方向の圧縮率は5〜20%が好ましく、特に10〜20%が好ましい。
【0030】
図5には、外力が作用していない状態における弾性部材3の軸方向長さ、リブ部3bの軸方向長さ、及びリブ部3bの離間距離の一例を表示しているが、これらの数値に限定されるものではない。なお、弾性部材3を気体が透過するのを防止するには、本体部3aの厚さは2mm以上が好ましい。また、管路内面に対する弾性部材3の追従性を高くするには、リブ部3bの突出高さは3mm以上が好ましい。
【0031】
図6に示すように、リング部材5は、C字状に形成されたばね弾性を有する板状部材である。2つのリング部材5は、周長が若干異なるが、その他の構成は同じである。リング部材5の周方向両端部には、テーパー縁5aが形成されている。リング部材5の2つのテーパー縁5aは、軸方向に対して逆方向に傾斜している。また、テーパー縁5aは、内周側に向かうほどテーパー縁5a同士の間隔が広くなるように、径方向に対して傾斜している(
図3参照)。
【0032】
図7に示すように、リング部材5の周方向両端部のテーパー縁5aの間には、楔形片6が嵌合されている。楔形片6の周方向両端部は、軸方向及び径方向に対して、テーパー縁5aとほぼ同じ角度で傾斜している。
【0033】
また、リング部材5の周方向両端部において、テーパー縁5aよりも内周側には、テーパー縁5aより周方向に突出した突出部5bが形成されている。この突出部5bは、楔形片6が径方向内側に抜けるのを防止する役割を果たす。また、リング部材5の周方向両端部の内周面には、連結板7がネジ部材によって固定されている。
【0034】
また、リング部材5の周方向両端部および楔形片6と、弾性部材3の内面との間には、敷板4が配置されている(
図3参照)。敷板4は、楔形片6を挿入する際の滑りを良くすると共に、楔形片6の挿入部分の圧着力を均一に保つためのものである。なお、本実施形態では、リング部材5の周方向端部は、リング部材5の最下端に位置しているが、周方向端部の位置はこれに限定されるものではない。
【0035】
<内張り材の端部処理方法>
次に、内張り材2の端部処理方法について説明する。
まず、管路1に内張りされた内張り材2の端部の内側に、弾性部材3を配置する。上述したように、施工前の弾性部材3の外径は管路1の内径よりも大きいため、管路1内に配置された弾性部材3には弛みが生じる。
図8に示すように、この弛みを上側に寄せて、弾性部材3を最上部の一箇所だけが弛んだ状態とする。そして、この弛み(凸部)を内周側からハンマー等によって径方向に押しつぶすと同時に、弛みから周方向に約45°に離れた2箇所を掴んで下方に引き下げる。この動作を、弛みが無くなるまで、複数回繰り返す。これにより、弾性部材3は、周方向に圧縮されて、
図9に示すように、弾性部材3の軸方向一端側の2つのリブ部3bは、内張り材2の内面に全周にわたって接し、弾性部材3の軸方向他端側の2つのリブ部3bは、管路1の内面に全周にわたって接する状態となる。なお、弛みを生じさせる位置は、弾性部材3の最上部以外の位置であってもよい。
【0036】
次に、
図10に示すように、弾性部材3の管端1aから遠い方の端部の内側に、リング部材(押さえ部材)5を配置する。リング部材5は、周方向両端部が最下端に位置するように配置する。また、リング部材5の周方向両端部と弾性部材3との間には、敷板4を配置する。
【0037】
次に、リング部材5を拡径させるための拡径装置10を管路1内に搬入する。
図11および
図12に示すように、拡径装置10は、軸部材11と、軸部材11の外周に放射状に配置された複数のアーム部材12と、アーム部材12の径方向外側の端部に連結された押圧部材13と、アーム部材12を駆動するための駆動手段(油圧シリンダ14および油圧ポンプ15(
図10参照))と、4本の脚部材16とを備えている。
【0038】
なお、
図11は、脚部材16を省略して表示している。また、
図12の断面図は、切断位置にあるアーム部材12と押圧部材13のみを表示しており、その他のアーム部材12と押圧部材13は省略している。
【0039】
アーム部材12は、端部同士が回動可能に連結された2本のアーム12a、12bで構成されている。アーム12aの径方向内側の端部は、軸部材11に固定されている。アーム12bの径方向内側の端部は、軸部材11に対して軸方向に移動可能に連結されている。油圧シリンダ14のロッドを伸長させることで、アーム12bはアーム12a側に移動して、アーム部材12の径方向長さが大きくなる(拡径する)。この油圧シリンダ14は、手動で作動する油圧ポンプ15(
図10参照)に接続されており、油圧ポンプ15から供給された油圧によって駆動される。
【0040】
押圧部材13は、アーム部材12の径方向外側端部に揺動可能に連結されている。押圧部材13は、リング部材5を内面から押圧してリング部材5を拡径させるためのものである。また、押圧部材13は、アーム部材12から取り外し可能となっている。
【0041】
脚部材16は、アーム部材12の前後両側に2本ずつ配置されている。脚部材16の先端には、管路1内を走行するためのローラ16aが設けられている。
【0042】
また、拡径装置10は、支持台20(
図10に一部分のみ表示)に支持されている。支持台20は、管路1内において、拡径装置10を管軸方向と管軸に直交する方向(上下左右方向)に移動させることができるようになっている。
【0043】
図10に示すように、拡径装置10を管路1内に搬入する際には、アーム部材12を縮径状態にしておく。また、最下端の押圧部材13をアーム部材12から取り外しておく。そして、支持台20によって拡径装置10の位置と向きを調整しつつ、押圧部材13がリング部材5の内側に位置するように、拡径装置10を配置する。
【0044】
次に、油圧ポンプ15に設けられた油圧計15aを見ながら油圧ポンプ15を操作して、
図13に示すように、複数の押圧部材13を拡径方向に移動させてリング部材5に当接させ、リング部材5を内側から押圧して拡径する。この拡径作業を行いつつ、リング部材5の周方向両端部のテーパー縁5aの間に、楔形片6を嵌入する。
【0045】
油圧が所定の圧力に達して、リング部材5が弾性部材3に強固に押し付けられた状態となったら、油圧ポンプ15の操作を止めて、リング部材の拡径を終了する。そして、楔形片6をリング部材5の周方向両端部の隙間に嵌合させる。その後、アーム部材12を縮径させて、拡径装置10を弾性部材3の内側から移動させる。
【0046】
次に、弾性部材3の管端1a側の略半分をめくって、内張り材2の端面にシール剤(図示省略)を塗布してから、弾性部材3を元に戻す。その後、弾性部材3の管端1a側の端部の内側に、リング部材5を配置して、他方のリング部材5と同様に拡径および楔形片6の嵌入を行う。以上の工程により、内張り材2の端部がシールされる。
【0047】
その後、2つのリング部材5の周方向両端部の内周面に連結板7を固定する。リング部材5の周方向両端部が連結板7で連結されていることにより、たとえ楔形片6が位置ずれした場合であっても、リング部材5が縮径するのを防止できる。
【0048】
以上説明した本実施形態の内張り材の端部処理方法によると、弾性部材3を圧縮状態で配置するため、弾性部材3を引張状態で配置する場合に比べて、弾性部材3の内部に侵入するオゾンを低減できるため、オゾン劣化を低減できる。また、たとえオゾン劣化や可塑剤の流出による劣化が生じても、圧縮状態で配置されているため、亀裂が生じにくい。
【0049】
また、弾性部材3は周方向に圧縮状態で配置されているため、弾性部材3には拡径しようとする力が生じる。そのため、弾性部材が引張状態で配置される場合に比べて、弾性部材3の外周面と内張り材2の内面又は管路内面との接触面圧を高くできる。その結果、内張り材2の端部のシール性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、弾性部材3の一箇所を弛ませてから、この弛みを内周側から押しながら、当該弛みから周方向に離れた2箇所を周方向に引っ張ることで、弾性部材3を周方向に圧縮している。そのため、特殊な治具を用いることなく、弾性部材3を周方向に圧縮することができる。
【0051】
また、本実施形態では、弾性部材3の外周面にはリブ部3bが突出して形成されているため、弾性部材3を周方向に圧縮状態で設置したとき、リブ部3bとリブ部3bとの間には隙間が生じている。弾性部材3の圧縮に伴う膨張分を上記の隙間に逃がすことができるため、弾性部材3を圧縮させやすい。そのため、弾性部材3の圧縮率を高くすることができる。圧縮率は、弾性部材3と内張り材2の内面及び管路内面との接触面圧と比例するため、圧縮率を高くすることで、接触面圧が高くなり、シール性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、リブ部3bの先端面が、内張り材2の内面及び管路内面と接触するため、リブ部3bを設けない場合に比べて、弾性部材3と、内張り材2の内面及び管路内面との接触面積を小さくできる。したがって、弾性部材3と、内張り材2の内面及び管路内面との接触面圧を高くできるため、シール性を向上できる。
【0053】
また、リブ部3bを設けたことにより、管路内面に凹凸があった場合に、管路内面に対する弾性部材3の追従性を向上できる。
【0054】
また、本実施形態では、弾性部材3に4つのリブ部3bが設けられており、4つのリブ部3bのうちの一部を、内張り材2の内面と接触させて、残りのリブ部3bを、管路1の内面に接触させるため、弾性部材3と内張り材2の内面との接触面圧と、弾性部材3と管路内面との接触面圧を共に向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、弾性部材3のうち、2つのリング部材5が配置される軸方向範囲に、それぞれ、2つのリブ部3bが設けられている。仮に、弾性部材3のうちリング部材が配置される軸方向範囲にリブ部3bが1つしか設けられていない場合、リング部材が傾く恐れがあるが、本実施形態では、リング部材5が配置される軸方向範囲に2つのリブ部3bが設けられているため、リング部材5の傾きを防止できる。
【0056】
弾性部材3の厚み方向の圧縮率が小さすぎる(例えば5%未満)場合、弾性部材3と、内張り材2の内面及び管路1の内面との接触面圧が低いため、シール性が低くなると共に、長時間使用したときに、弾性部材3の反発力が低下するため、シール性がさらに低下する。一方、弾性部材3の厚み方向の圧縮率が大きすぎる場合(例えば30%以上の場合)、施工直後のシール性は高いものの、長時間使用したときに、弾性部材3の反発力が無くなってしまうため、シール性が低下する。
本実施形態では、弾性部材3を厚み方向に10〜20%の圧縮率で配置することで、弾性部材3を長寿命化でき、高いシール性を長期間維持できる。
【0057】
弾性部材3の硬度が小さすぎる場合(例えば硬度が50未満の場合)、弾性部材3は柔らかすぎて取扱いにくいため、施工が難しい。一方、硬度が大きすぎる場合(例えば硬度が80以上の場合)、弾性部材3を圧縮することが困難となる。
本実施形態では、弾性部材3のデュロメータA硬度が60〜70であるため、施工性を向上できる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0059】
上記実施形態では、弾性部材3の弛みを押しながら、弛みから約45°離れた箇所を周方向に引っ張ることで、弾性部材3を周方向に圧縮した状態で管路1内に配置しているが、弾性部材3を周方向に圧縮させる方法は、上述の方法でなくてもよい。
【0060】
上記実施形態では、本体部3aの径は一定であるが、一定でなくてもよい。例えば、本体部3aの軸方向一端側略半分(内張り材2の端部の内側に配置される部分)の径が、本体部3aの軸方向他端側略半分(内張り材2の軸方向外側に配置される部分)の径よりも小さくなっていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、4つのリブ部3bは全て同じ形状であるが、異なっていてもよい。例えば、弾性部材3のうち、管端1aから遠い方のリング部材5が配置される軸方向範囲に設けられた2つのリブ部3bの突出高さが、管端1aに近い方のリング部材5が配置される軸方向範囲に設けられた2つのリブ部3bの突出高さより低くなっていてもよい。
【0062】
上記実施形態では、リブ部3bは、1つのリング部材5が配置される軸方向範囲に、2つ設けられているが、リブ部3bは、1つのリング部材5が配置される軸方向範囲に、1つだけ設けられていてもよく、3つ以上設けられていてもよい。
【0063】
上記実施形態では、リブ部3bは、2つのリング部材5が配置される軸方向範囲に、それぞれ設けられているが、リブ部3bは、一方のリング部材5が配置される軸方向範囲にのみ設けられ、他方のリング部材5が配置される軸方向範囲には設けられていなくてもよい。また、弾性部材3は、リブ部3bを全く有していなくてもよい。
【0064】
上記実施形態では、リブ部3bは弾性部材3の外周面に設けられているが、弾性部材3の内周面にリブ部を設けてもよい。この場合、弾性部材3と、内張り材2の内面及び管路1の内面との接触面積が小さくなるという効果は得られないが、弾性部材3を圧縮させやすいという効果は上記実施形態と同様に得られる。
【0065】
上記実施形態では、拡径装置10を用いてリング部材5を拡径させているが、リング部材5の拡径手段はこれに限定されるものではない。
【0066】
上記実施形態では、リング部材5が、本発明の押さえ部材に相当するが、本発明の押さえ部材は、リング部材5に限定されるものではなく、弾性部材3の内周面に1周にわたって接触して弾性部材3を押圧する構成であればよい。
【0067】
上記実施形態では、弾性部材3は、内張り材2の端部の内面と管路1の内面に接触するように配置されるが、内張り材2の端部の内面だけに接触するように配置してもよい。この場合、内張り材2の端面から水等が侵入するのを防止することはできないが、リング部材を内張り材2の内面に直接配置する場合に比べて、内張り材2の端部を周方向に均等に押さえることができ、内張り材2と管路1との間に水等が侵入するのを防止できる。
この変更例では、弾性部材3の内側に配置するリング部材の数は1つでよい。また、リブ部3bは、弾性部材3のうちリング部材が配置される軸方向範囲内に設ければよい。リブ部3bは、上記軸方向範囲内に2つ以上設けることが好ましい。
【0068】
上記実施形態は、ガス導管に内張りされた内張り材2の端部の処理に、本発明の内張り材の端部処理方法を適用した例であるが、本発明が適用される管路は、ガス導管に限定されるものではなく、上水道管や下水道管であってもよい。また、管路の内径は、上記実施形態で述べた径に限定されるものではない。