(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技球を入賞し易くするために転動入賞口を大きくしたいという要請があるが、そうすると開閉扉も大きくなってスムーズな開閉動作が困難になるという問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、開閉扉の大型化を伴わずに転動入賞口を実質的に大きくすることが可能な弾球遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る弾球遊技機は、遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備えた遊技板と、遊技板の前面から突出し、遊技領域を囲む包囲壁と、遊技領域に設けられ、遊技領域を流下する遊技球を受け止めて横斜め下方へと転動させる転動路と、転動路の少なくとも一部に開口し、遊技球が入球可能な転動入賞口と、転動入賞口に設けられ、通常は、転動入賞口を閉状態にしてかつ上面が転動路の少なくとも一部を構成し、所定の条件が成立すると、転動入賞口を開状態にする開閉扉と、遊技板の前面から突出し、転動路の上方の流下領域を流下する遊技球を複数の流下経路に振分ける複数の流路振分突部とを備えた弾球遊技機において、転動入賞口の下端開口縁から転動路の上流側に水平に延ばした基準線を、下端開口縁を中心に上方に回動して複数の流路振分突部のうち基準線が最初に接する特別振分突部に接したときに、その基準線が、包囲壁か又は包囲壁に隣接する隣接部材かの何れかに交差する交点と下端開口縁とを結ぶ線分を入賞線分として、流下領域のうち入賞線分と転動路の上面との間の領域を、それ以外の領域よりも転動入賞口に入球し易い入賞容易領域とし、その入賞容易領域が1つ以上の遊技球が進入可能な大きさになるように特別振分突部を配置し、入賞線分を通過する以外に入賞容易領域内への進入経路を設けず、入賞容易領域内に転動入賞口以外に遊技球が入球可能な入球部を有しない
ように構成され、遊技板の前面より前側に突出する第1領域構成壁と包囲壁の一側部とに横方向で挟まれて上下方向に延び、少なくとも一部が転動路の上流側の上方に位置する第1流下領域と、遊技板の前面より前側に突出する第2領域構成壁と転動路とに上下方向で挟まれて横方向に延び、少なくとも一部が転動路の下流側の上方に位置する第2流下領域とから構成されるL字状流下領域であり、転動入賞口は、第1流下領域と第2流下領域との境界部分より下流側に配置され、特別振分突部は、第1流下領域と第2流下領域との境界部分の近傍に配置されているところに特徴を有する。
【0007】
この請求項1の弾球遊技機では、転動入賞口の下端開口縁から転動路の上流側に水平に延ばした基準線を、下端開口縁を中心に上方に回動して複数の流路振分突部のうち基準線が最初に接する特別振分突部に接したときに、その基準線が、包囲壁か又は包囲壁に隣接する隣接部材かの何れかに交差する交点と下端開口縁とを結ぶ線分を入賞線分として、流下領域のうち入賞線分と転動路の上面との間を入賞容易領域とした。そして、入賞容易領域が1つ以上の遊技球が進入可能な大きさで、入賞線分を通過する以外に入賞容易領域内への進入経路はなく、さらに、入賞容易領域内に転動入賞口以外に遊技球が入球可能な入球部を有しないので、転動入賞口が開いているときに、入賞線分を通過して入賞容易領域に進入した遊技球は、転動路上を転動して転動入賞口に入賞するか転動入賞口に入賞することになる。即ち、入賞線分が実質的な転動入賞口をなし、実際の転動入賞口の全長が、それより長い入賞線分まで実質的に拡張されたことになる。つまり、本発明によれば、開閉扉の大型化を伴わずに転動入賞口を実質的に大きくすることが可能になる。
【0009】
また、本発明によれば、L字
状流下領域のうちL字の縦辺に相当する第1流下領域を流下して入賞容易領域に進入した遊技球は、比較的、高速で落下して転動路における中間位置より上流側部分に強く衝突するが、転動入賞口は、転動路の中間位置より下流側部分に配置されているので、遊技球が開閉扉に強く衝突することが防がれ、開閉扉の動作不良を抑制することが可能となる。
【0010】
請求項
2の発明は、請求項
1に記載の弾球遊技機において、特別振分突部は、第2流下領域内における第1流下領域側に配置されて、遊技板から前方に突出した支柱構造をなし、第2領域構成壁の下面のうち第1領域構成壁の側面側の端部には、特別振分突部を中心として円弧状に湾曲した円弧部が設けられ、円弧部と特別振分突部との間に遊技球1つ分の幅をなした円弧通路が形成されているところに特徴を有する。
【0011】
この請求項
2の発明により、特別振分突部の上側に遊技球1つ分の幅をなした円弧通路を備えたことで、特別振分突部の上側に入賞容易領域とは異なる通路を構成することが可能となる。
【0012】
請求項
3の発明は、請求項
2に記載の弾球遊技機において、円弧部の下端部の接線と転動路との交点より転動路の下流側に転動入賞口が配置されているところに特徴を有する。
【0013】
この請求項
3の構成によれば、特別振分突部の下方は入賞容易領域をなし、特別振分突部の上方の円弧通路を流下した遊技球は、円弧部に案内されて転動路のうち転動入賞口より上流側に落下する。即ち、本発明によれば、特別振分突部の上方と下方の何れを流下しても転動入賞口に容易に入賞させることが可能となる。
【0014】
請求項
4の発明は、請求項1乃至
3の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機において、遊技板には、役物取付孔が形成され、特別振分突部は、役物取付孔の少なくとも一部を前面側から覆う孔閉塞板に、転動路及び転動入賞口を上面に有する入賞ブロックと共に一体的に備えられているところに特徴を有する。
【0015】
この請求項
4の構成では、孔閉塞板に、転動路及び転動入賞口を上面に有する入賞ブロックと特別振分突部とが一体的に備えられているので、組み付け誤差による入賞線分のばらつきが抑えることが可能となる。
【0016】
請求項
5の発明は、請求項
4に記載の弾球遊技機において、前記転動路を挟んで孔閉塞板と対向しかつ少なくとも
一部が透明になった前方対向板を備え、孔閉塞板と前方対向板との対向面の間で突出して、転動入賞口に向かって転動する遊技球を蛇行させるための複数の強制蛇行突部を備えたところに特徴を有する。
【0017】
この請求項
5の構成によれば、転動入賞口に向かう遊技球が蛇行して転動速度が抑えられ、転動入賞口への入賞の確実性を増加させることが可能となる。
【0018】
請求項
5の発明は、請求項1乃至
5の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機において、開閉扉は、遊技板の前後方向にスライドするスライド扉であるところに特徴を有する。
【0019】
開閉扉は、転動路の幅方向の一端を中心に回動する回動扉であってもよいし、請求項
5の構成のように、遊技板の前後方向にスライドするスライド扉であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10(本発明の「弾球遊技機」に相当する。)に係る一実施形態を、
図1〜
図6に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。
【0022】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ノブ28が設けられている。操作ノブ28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0023】
図2に示すように、遊技領域R1は全体が略円形状となっていて、本発明の「包囲壁」に相当するガイドレール12により囲まれている。遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、遊技板表示窓10Hが貫通形成され、この遊技板表示窓10Hを通して、表示装置30の表示画面30Gが前方に臨んでいる。
【0024】
遊技板表示窓10Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から遊技板表示窓10Hに嵌め込まれ、遊技板表示窓10Hの内側に張り出している。表示装飾枠23には、遊技板11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制する規制突部24が備えられている。この規制突部24における右辺部のうち下端部が本発明の第1領域構成壁24Aに相当する。また、表示装飾枠23における下辺部のうち右側部には、遊技板11の前面から突出し、第1領域構成壁24Aの下端と接続した本発明の第2領域構成壁24Bが形成されている。
【0025】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、第1の始動入賞口14A,メイン大入賞口15及びアウト口16が、上から順に並べて設けられている。また、表示装飾枠23の右側には始動ゲート18と第2の始動入賞口14Bとが上から順に設けられ、第2の始動入賞口14Bの左下方には、サイド大入賞口17(本発明の「転動入賞口」に相当する)が設けられている。以下、これら各部品と遊技の流れについて簡単に説明する。
【0026】
まず、始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしていて、始動ゲート18を遊技球が通過すると普通図柄の当否判定が行われる。その当否判定の結果は、図示しない普通図柄表示部にて表示される。
【0027】
第1の始動入賞口14Aは、上面に開口を備えたポケット構造をなしている。また、第2の始動入賞口14Bは、前方に向けて開口していて、その下端部には前後方向にスライド可能な可動板14Tが備えられている。この可動板14Tは、常には第2の始動入賞口14Bの開口縁より後方に位置し、第2の始動入賞口14Bへの遊技球の入球を困難とする。そして、前述した普通図柄の当否判定結果が当りの場合に、可動板14Tが前方にスライドし、上方から流下する遊技球を受け止めて第2の始動入賞口14Bへ案内する。
【0028】
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、特別図柄の当否判定が行われ、その判定結果が、表示画面30Gにて表示される。例えば、判定結果が当りのときは、3つの数字がゾロ目で並んだ表示が行われ、判定結果が外れのときには、3つの数字がばらばらの数となった表示が行われる。この特別図柄の当否判定で当りとなると、「大当り遊技」が実行される。なお、第1の始動入賞口14Aへの入球に基づく当否判定確率と第2の始動入賞口14Bへの入球に基づく当否判定確率とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、当否判定確率が同じであっても、特典の付与割合(例えば、大当たり遊技のラウンド数が複数パターンある場合のラウンド数の移行割合・高確率状態或いは時短状態への移行割合)が異なっていてもよい。
【0029】
メイン大入賞口15は前方に開放し、常には回動扉15Tにて閉塞されている。また、サイド大入賞口17は、上方に向けて開口し、常にはスライド扉17Tにて閉塞されている。そして、「大当り遊技」になると、メイン大入賞口15やサイド大入賞口17が開放し、遊技球が入球可能となる。例えば、最大16ラウンドの「大当り遊技」においてメイン大入賞口15は1〜13と15Rで開放し、サイド大入賞口17は14・16Rで開放される。なお、開放ラウンドはこの限りでなくてもよい。
【0030】
なお、各始動入賞口14A,14B、各大入賞口15,17に遊技球が入球すると、所定数の賞球が上皿26に払い出されるようになっている。また、各入賞口14A,14B,15,17等に入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に取り込まれる。
【0031】
本実施形態のパチンコ遊技機10では、表示装飾枠23や遊技領域R1に配された障害釘の配置等により、第1の始動入賞口14Aに遊技球を入球させるには、遊技領域R1のうち表示装飾枠23の左方に配された左方領域21Lに遊技球を流下させた方が有利となる一方、始動ゲート18、第2の始動入賞口14B、メイン大入賞口15及びサイド大入賞口17に遊技球を入球させるには、遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右方に配された右方領域21Rに遊技球を流下させた方が有利となる。
図2に示すように、左方領域21Lには複数の障害釘や風車19等が配置されていて、遊技球がランダムに下方へ流下するようになっている。
【0032】
右方領域21Rは、遊技球が1球ずつ通過可能な基幹経路22Aと、基幹経路22Aから排出された遊技球が複数の流下経路に振り分けられながら流下する本発明の流下領域22Bとを備えている。上述した始動ゲート18、第2の始動入賞口14B、サイド大入賞口17は、右方領域21Rのうち流下領域22Bに配されている。
【0033】
ところで、
図2に示すように、遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右下方部には、上面25Uにサイド大入賞口17を有し、サイド大入賞口17に入球した遊技球を取り込んで遊技板11の裏側へ送球する入賞ブロック25Rが備えられている。入賞ブロック25Rは、ガイドレール12に隣接配置されていて、ガイドレール12に沿って右上端部から左下端部まで延びた側縁面25Sと、その右上端部から左方へ延びた上面25Uと、側縁面25Sの左下端部から上方へ延び、上面25Uの左端部に接続した左側面25Tと、を備えている。そして、この入賞ブロック25Rの上面25Uが、本発明の転動路35の大部分を構成し、前述した流下領域22Bの下端部となっている。
【0034】
図3に示すように、転動路35は、ガイドレール12と隣接した位置から左斜め下方へ緩やかに傾斜して延びていて、その終端は、表示装飾枠23の下方でかつ遊技領域R1の右端から左右方向の長さの1/3程左方へ進んだ位置に配されている。つまり、表示装飾枠23の第1領域構成壁24Aは、転動路35の中間位置の上方に位置していて、第2領域構成壁24Bは、転動路35の中間位置よりも下流側部分を上方から覆っている。これにより、流下領域22Bは、転動路35のうち中間位置より上流部分の上方の領域で、その上部が表示装飾枠23の第1領域構成壁24Aとガイドレール12との間に挟まれた第1流下領域22Mと、転動路35のうち中間位置より下流部分と表示装飾枠23の第2領域構成壁24Bとの間に挟まれて第1流下領域22Mから屈曲した第2流下領域22NとからなるL字状になっている。なお、転動路35の右端部には、遊技球1球分程上方に膨出した膨出部35Bが形成されていて、衝突した遊技球の動きに変化がもたらされる。
【0035】
同図に示すように、始動ゲート18は、流下領域22Bにおける第1流下領域22Mの上端部のうち基幹経路22Aの下端部から遊技球2球分程離れた位置に配されている。始動ゲート18は、基幹経路22Aの終端開口と上下方向で対向していて、始動ゲート18の左右両側方には2枚の平行な側方突壁33H,33Hが備えられている。また、これら側方突壁33H,33Hのうち右側の側方突壁33Hとガイドレール12との間には、第1通路T1が設けられ、左側の側方突壁33Hと表示装飾枠23の第1領域構成壁24Aとの間には第2通路T2が設けられている。なお、第1通路T1と第2通路T2とは共に少なくとも遊技球1球が通過可能な幅をなしている。
【0036】
また、流下領域22Bには、基幹経路22Aの終端開口の両端の近傍に1本ずつ上釘N1,N1が配設されていると共に、側方突壁33H,33Hの上端の近傍に1本ずつ下釘N2,N2が配設されている。右側の上釘N1と下釘N2及び左側の上釘N1と下釘N2は共に鉛直方向に並んでいて、上釘N1と下釘N2との間は遊技球1〜1.2球分空いている。これにより、右方向に打たれて基幹経路22Aから排出された遊技球は、始動ゲート18を通過するか、下釘N2に弾かれて、第1通路T1又は第2通路T2を流下するようになっている。
【0037】
第2の始動入賞口14Bは、第1流下領域22Mの上下方向における中央部に位置している。また、第2の始動入賞口14Bは、前方にスライドした可動板14Tが始動ゲート18と対向するように配されていて、始動ゲート18を通過した遊技球を可動板14Tにより受け止めることが可能になっている。
【0038】
上述したように、流下領域22Bの下端部には、転動路35が設けられ、サイド大入賞口17は、この転動路35に配されている。詳細には、サイド大入賞口17は、表示装飾枠23の第1領域構成壁24Aよりも下流側で、入賞ブロック25Rの上面25Uのうち左端寄り位置に遊技球3〜4球分開口して形成されていて、このサイド大入賞口17を閉塞するようにスライド扉17Tが配置されている。サイド大入賞口17は、通常時はスライド扉17Tにより閉塞されていて、入賞ブロック25Rの上面25Uを転動した遊技球はスライド扉17Tの上面を通過して左方へ転動していく。そして、「大当り遊技」の実行の間に、スライド扉17Tが後方にスライドし、遊技球がサイド大入賞口17に入球可能となる。なお、サイド大入賞口17が閉鎖しているときのスライド扉17Tの上面も転動路35の一部を構成している。
【0039】
図3に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10では、転動路35の左右方向の中央部の上方に、本発明の「特別振分突部」に相当する支柱36が設けられている。この支柱36は第1領域構成壁24Aの下方部のうち、第1領域構成壁24Aを下方へ延ばした延長線より僅かに左方に位置している。つまり、支柱36は、第2流下領域22Nのうち第1流下領域22M寄り位置に配されている。なお、支柱36の前端には五角形の装飾板36Mが固定されている。
【0040】
また、支柱36は、表示装飾枠23の第2領域構成壁24Bの右端部近傍に配されていて、第2領域構成壁24Bの右端部は、支柱36を避けるように湾曲している。詳細には、第2領域構成壁24Bは、その右端部が第1領域構成壁24Aの下端から左下方へ向けて支柱36を中心とした円弧を描きながら延びた円弧部24Eをなし、円弧部24Eの下端から左方へやや下りながら直線状に延びている。この第2領域構成壁24Bの直線部分と転動路35とは遊技球2球分程の間隔を空けて平行になっている。
【0041】
円弧部24Eと支柱36との間は、遊技球1球分の幅をなし、本発明の円弧通路37となっている。円弧部24Eは、約90度分の円弧をなし、その下端部の接線は略鉛直方向に延びている。また、サイド大入賞口17はこの接線と入賞ブロック25Rの上面25Uとの交点よりも下流側に配されている。
【0042】
ここで、サイド大入賞口17の入賞入口について詳説する。「入賞入口」とは、「入賞口又は当該入賞口に連なる遊技釘等(遊技部材)で構成される遊技球の流下経路のうち、入賞口から最も離れた位置にあるもの」のことであり、「入賞口に連なる遊技釘等」とは、遊技釘間を遊技球が通過できないように遊技釘等を連続配置したもののことをいう。即ち、遊技球をサイド大入賞口17に案内する転動路35は、「入賞口に連なる遊技釘等」に相当する。
【0043】
図4に示すように、サイド大入賞口17の左端側開口縁を支点P0として右方側に水平に延びる架空の線分H(
図4に示す一点鎖線。本発明の「基準線」に相当する。)を上方(
図4における反時計回り方向)に回動して(徐々に起こして)いくと、線分Hが初めて支柱36に接したときに線分Hが交差部P1に至る。この交差部P1と支点P0とを結ぶ線分Hが、サイド大入賞口17の入賞線分Nとなり、サイド大入賞口17への実質的な入賞入口と見なすことができる。つまり、支柱36付近まで流下した遊技球は、支柱36により、入賞線分Nの上方か下方かに振り分けられる。
【0044】
また、ここで、大入賞口の入賞入口は55mmを越え135mm以下に規定されているため、サイド大入賞口17は、入賞線分Nの長さが上記の範囲内になるように配置されている。なお、「大入賞口」とは、「入賞口のうち役物が作動した場合に著しく入賞が容易になる入賞口」のことである。
【0045】
そして、この入賞線分Nと転動路35とガイドレール12とで囲まれた領域(
図4に示すグレーの部分)が、それ以外の領域よりもサイド大入賞口17に遊技球が入賞し易い入賞容易領域Kとなる。入賞容易領域Kは、遊技球が少なくとも1つ進入可能である(含むことができる)と共に、入賞線分Nを通過する以外の進入経路が設けられておらず、遊技球を複数の流下経路に分割可能な障害釘や遊技球が入球可能な入球部が設けられていないので、入賞容易領域K内での遊技球の流下方向の変化が少なく、入賞容易領域Kに流下した遊技球のほとんどがサイド大入賞口17に入賞し易いようになっている。
【0046】
流下領域22Bを流下して第2の始動入賞口14Bに入球しなかった遊技球の多くは、支柱36に衝突せずに入賞線分Nを通過して入賞容易領域Kに入り、サイド大入賞口17に入球可能となる。また、流下領域22Bを流下して第2の始動入賞口14Bに入球しなかった遊技球の一部は、支柱36に衝突して上下に振り分けられる。下側に振り分けられた遊技球は入賞容易領域Kへと入りサイド大入賞口17に入球可能となる一方、上側に振り分けられた遊技球は円弧通路37を通過したのち、入賞容易領域Kへ入るか、その下流側へ向かわせられる。なお、下釘N2や側方突壁33H、支柱36等が本発明の「流路振分突部」に相当し、それら「流路振分突部」の中でも支柱36が本発明の「特別振分突部」に相当する。また、本実施形態では、入賞線分Nと、円弧部24Eや第2領域構成壁24Bとの間隔が少なくとも遊技球1球分以上となるように構成されている。
【0047】
なお、
図2に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10は、始動ゲート18、第2の始動入賞口14B、入賞ブロック25Rを一体的に備えた入賞ユニット25を備えていて、支柱36もこの入賞ユニット25に一体的に形成されている。これにより、転動路35、サイド大入賞口17及び支柱36の配置が固定されるので、組み付け誤差による入賞線分Nのばらつきが抑えられる。入賞ユニット25は、ユニット本体25Bにユニット蓋25A(本発明の「前方対向板」に相当する)を取り付けてなり(
図5及び
図6参照)、ユニット本体25Bの前板25M(本発明の「孔閉塞板」に相当する)が遊技板11に形成された役物取付孔(図示せず)の開口縁に宛がわれかつ、ユニット本体25Bの前板25Mより後方のボディ部25Nが役物取付孔内に受容された状態で、遊技板11に固定されている。
【0048】
また、ユニット蓋25Aは透明樹脂により形成されていて、転動路35を転動する遊技球を含む、ユニット本体25Bの前面を流下する遊技球が前方から視認可能となっている。また、
図5に示すように、ユニット本体25Bの前板25Mの前面には、サイド大入賞口17の手前位置の上方部分に1つ、サイド大入賞口17の上方部分に2つ、台形状に前方側へ突出した本体側蛇行突部25Dが形成されている。
図6に示すように、ユニット蓋25Aの裏面のうち、本体側蛇行突部25D間の中間位置に対向する部分には、台形状に後方側へ突出した蓋側蛇行突部25Eが形成されている。これら本体側蛇行突部25D及び蓋側蛇行突部25Eが本発明の「強制蛇行突部」に相当し、サイド大入賞口17に向かう遊技球を蛇行させるため、遊技球の転動速度が抑えられ、サイド大入賞口17への入賞の確実性を上昇させることができる。
【0049】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態のパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機10では、第2の始動入賞口14Bに遊技球が入球して特別図柄の当否判定で当りとなると、サイド大入賞口17が開放される大当り遊技が実行される。この大当り遊技では、サイド大入賞口17に入球させるために遊技球が右方領域21Rに打ち込まれる。
【0050】
右方領域21Rに打ち込まれた遊技球は、基幹経路22Aを通過して流下領域22Bに排出され、下方に向けて流下する。そして、流下領域22Bを流下しかつ、第2の始動入賞口14Bに入球しなかった遊技球のうち支柱36から離れた領域を流下する遊技球は、入賞線分Nを超えて入賞容易領域Kに進入し、転動路35を転動してサイド大入賞口17に入球する。また、支柱36の近傍を流下する遊技球は、一部が支柱36に誘導されて円弧通路37に向かう一方、残りが入賞線分Nを超えて入賞容易領域Kに進入し、転動路35を転動してサイド大入賞口17に入球する。
【0051】
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10では、サイド大入賞口17を内部に含む入賞容易領域Kが形成されていて、この入賞容易領域Kは、1つ以上の遊技球が進入可能な大きさで、入賞線分Nを通過する以外の進入経路がなく、さらに、入賞容易領域K内にサイド大入賞口17以外に遊技球が入球可能な入球部を有しないので、サイド大入賞口17が開いているときに、入賞線分Nを通過して入賞容易領域Kに進入した遊技球は、転動路35上を転動してサイド大入賞口17に入賞するかサイド大入賞口17に直接入賞することになる。即ち、入賞容易領域Kの境界線である入賞線分Nが実質的なサイド大入賞口17をなし、実際のサイド大入賞口17の全長が、それより長い入賞線分Nまで実質的に拡張されたことになる。つまり、本実施形態によれば、実際のサイド大入賞口17の開口及びスライド扉17Tの大型化を伴わずにサイド大入賞口17を実質的に大きくすることが可能になる。
【0052】
また、L字状の流下領域22BのうちL字の縦辺に相当する第1流下領域22Mを流下して入賞容易領域Kに進入した遊技球は、比較的、高速で落下して転動路35の上流側部分に強く衝突するが、サイド大入賞口17は、転動路35の下流側部分に配置されているので、遊技球がスライド扉17Tに強く衝突することが防がれ、スライド扉17Tの動作不良を防ぐことが可能になる。
【0053】
また、円弧部24Eの接線と転動路35との交点より下流側にサイド大入賞口17が配されているので、円弧通路37を流下した遊技球は、円弧部に案内されて転動路35のうちサイド大入賞口17より上流側に落下し得る。これにより支柱36の上方を流下した遊技球もサイド大入賞口17に入賞することが可能となり、円弧通路37を流下する遊技球に興味をもたせることが可能となる。
【0054】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0055】
(1)上記実施形態では、転動路35が入賞ブロック25Rの上面25Uとサイド大入賞口17が閉じているときのスライド扉17Tとによって構成されていたが、転動路35の全てがスライド扉17Tによって構成されていてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態では、本発明の「開閉扉」がスライド式であったが、回動式であってもよい。
【0057】
(3)上記実施形態では、本発明に係る流下領域22Bが遊技領域R1における右方領域21Rに配されていたが、左方領域21Lであってもよいし、遊技領域R1のうちの表示装飾枠23の下方領域であってもよい。
【0058】
(4)上記実施形態では、本発明の「特別振分突部」が入賞ユニットに一体形成された支柱36であったが、釘であってもよいし、
図7に示すように始動ゲート18であってもよい。
【0059】
(5)上記実施形態では、入賞ブロック25Rにおける上面25Uがガイドレール12と隣接した構成であったが、転動路35とガイドレール12との間に装飾部材や釘などが配された構成であってもよい。
【0060】
(6)
図8のように装飾部材40がガイドレール12に隣接して配された構成であってもよい。この場合、装飾部材との交差部P2と、支点P0との間の線分が入賞線分Nとなる。
【0061】
(7)上記実施形態では、サイド大入賞口17は大当たり遊技中に開放する構成となっていたが、大当たり遊技中以外に開放する構成としてもよい。例えば、サイド大入賞口17内に特典入賞領域と外れ入賞領域を設け、振分装置によって特典入賞領域或いは外れ入賞領域の何れかに遊技球が流下可能に構成し、少なくとも第2の始動入賞口14Bへの入賞を起因に、大当たりとは別に小当たりが発生可能に構成し、大当たりした場合は大当たり遊技が実行されてメイン大入賞口15が開閉し、小当たりした場合は小当たりを起因にしてサイド大入賞口17を開放し、サイド大入賞口17に入賞した遊技球が振分装置の振り分けタイミングによって特典入賞領域に入賞した場合に大当たり遊技が実行され、大当たり遊技中はメイン大入賞口15が開閉する構成に適用してもよい。またその際の小当たりや大当たり等の確率は遊技性に応じて適宜設定すればよい。