(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明では、各構成要素を見易くするため、図面において構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0011】
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態である放熱構造1について説明する。
放熱構造1は、
図1及び
図2に示すように、ヒートシンク2と、複数の半導体モジュール(第一の発熱部品)3と、回路基板4と、複数の電子部品(第二の発熱部品)5とを備える半導体装置において、半導体モジュール3及び電子部品5が発する熱をヒートシンク2により放熱する構造である。
【0012】
具体的に、この放熱構造1において、ヒートシンク2は、例えばCuやAlなどの熱伝導性の高い材料からなる。ヒートシンク2は、ベース部6と、複数の放熱フィン7A,7Bとを有している。ベース部6は、矩形平板状に形成されている。各放熱フィン7A,7Bは、矩形平板状に形成されて、ベース部6の第一の面6aに対して垂直に立設されている。また、複数の放熱フィン7A,7Bは、ベース部6の長手方向(
図2中における左右方向)の両端部及びその両端部の間に位置して、互いに間隔を空けた状態で並んで設けられている。また、各放熱フィン7A,7Bは、ベース部6の短手方向(
図2中における上下方向)の両端部の間に亘って立設されている。
【0013】
本実施形態では、複数の放熱フィン7A,7Bのうち、ベース部6の長手方向の両端部に沿った位置に2つの放熱フィン7Aと、これら2つの放熱フィン7Aの間に2つの放熱フィン7Bとがベース部6の長手方向に並んで設けられている。また、放熱フィン7Bは、半導体モジュール3を配置するため、放熱フィン7Aよりも高さ及び厚み方向の寸法が大きくなっている。なお、ヒートシンク2については、本実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、各放熱フィン7A,7Bの数や寸法等を適宜変更して実施することが可能である。
【0014】
放熱フィン7Bには、差込溝8が設けられている。差込溝8は、放熱フィン7Bの先端側に設けられた差込口8aから半導体モジュール3を差し込み可能に保持する。具体的に、この差込溝8は、放熱フィン7Bの先端側から一定の幅で第一の面6aに対して垂直に半導体モジュール3を差し込むのに十分な深さで切り欠かれている。放熱フィン7Bは、この差込溝8によって2つのフィン部7a,7bに分断されている。
【0015】
また、放熱フィン7Bには、差込口8aを塞ぐ蓋材9a(
図2において図示を省略する)が設けられている。蓋材9aは、差込溝8に半導体モジュール3が差し込まれた状態で、差込口8aを閉塞するように取り付けられている。なお、蓋材9aの取付構造については、このような構造に必ずしも限定されるものではなく、後述する
図11A〜11Dに示されるように、放熱フィン7Bを差込溝8の幅方向から挟み込むように蓋材(挟持部材)9bが取り付けられた構造とすることが可能である。また、蓋材9aについては、省略することも可能である。
【0016】
半導体モジュール3は、
図3に拡大して示すように、第一の基板10と、第一の半導体素子11と、接続子12と、第二の半導体素子13と、第二の基板14とを、順に積層することにより構成されている。
【0017】
このうち、第一及び第二の基板10,14は、セラミック基板であり、セラミック板(絶縁板)15,16と、セラミック板15,16の両面に設けられたCu層(導電層)17,18とを有している。また、第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面側のCu層17,18は、この半導体モジュール3の回路パターン17a,18aを形成している。なお、第一及び第二の基板10,14は、セラミック基板に限らず、例えばアルミニウム基板であってもよい。アルミニウム基板は、アルミニウム板の両面に絶縁層を介してCu層が設けられた構成である。
【0018】
第一及び第二の半導体素子11,13は、動作時の発熱量が比較的大きい、例えばパワーダイオードやパワートランジスタなどのパワーデバイスである。第一の半導体素子11と第二の半導体素子13とは、第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面側に各々実装されることによって、それぞれの回路パターン17a,18aと電気的に接続されている。
【0019】
接続子12は、例えばCuなどの導電性材料からなる。接続子12は、第一の接続部12aと、第二の接続部12bと、連結部12cとを有している。このうち、第一の接続部12aは、第一の半導体素子11と第二の半導体素子13とを電気的に接続する部分であり、第二の接続部12bは、一方の回路パターン17aと電気的に接続される部分であり、連結部12cは、第一の接続部12aと第二の接続部12bとを連結する部分である。
【0020】
第一の接続部12aは、第一の基板10と第二の基板14との間隔を保持するのに十分な厚みで柱状に形成されている。第一の接続部12aの両端部は、はんだ等の導電性接着剤(図示せず)を介して第一の半導体素子11及び第二の半導体素子13と接合されている。第二の接続部12bは、板状に形成されて、はんだ等の導電性接着剤(図示せず)を介して一方の回路パターン17aと接合されている。連結部12cは、第一の接続部12aと第二の接続部12bとを連結するのに十分な長さで長尺板状に形成されている。連結部12cの一端側は、第一の接続部12aの側面と一体に接続されている。連結部12cの他端側は、第二の接続部12b側に折り曲げられて第二の接続部12bと一体に接続されている。
【0021】
第一の基板10と第二の基板14との間には、スペーサ19が配置されている。スペーサ19は、第一の接続部12aと共に、第一の基板10と第二の基板14との間隔を保持している。また、スペーサ19は、この半導体モジュール3の回路部品として、回路パターン17a,18aの間に挟み込まれた状態で配置されている。回路部品としては、例えば、配線部、抵抗器、コンデンサなどが挙げられる。
【0022】
図1及び
図2に示す回路基板4及び複数の電子部品5は、半導体モジュール3の駆動を制御する制御部30を構成している。このうち、回路基板4は、ヒートシンク2(ベース部6)の第一の面6aとは反対側の第二の面6bに接合されている。一方、複数の電子部品5は、回路基板4上に実装されている。各電子部品5は、各半導体モジュール3よりも発熱量が小さい発熱部品である。
【0023】
複数の電子部品5のうち一部の電子部品5と半導体モジュール3とは、コネクタ20を介して電気的に接続されている。コネクタ20は、半導体モジュール3側の第一の接続端子21a,21bが差し込まれる第一の差込口22a,22bと、電子部品5側の第二の接続端子23が差し込まれる第二の差込口24とを有している。半導体モジュール3側の第一の接続端子21a,21bは、
図3において図示を省略するものの、回路パターン17a,18aと各々接続されている。
【0024】
ヒートシンク2には、コネクタ20を差し込み可能に保持する差込孔25が設けられている。ヒートシンク2には、半導体モジュール3側の第一の接続端子21a,21bを貫通させる第一の貫通孔26a,26bが設けられている。第一の貫通孔26a,26bは、差込溝8の底面から差込孔25に向かって形成されている。ヒートシンク2及び回路基板4には、電子部品5側の第二の接続端子23を貫通させる第二の貫通孔27が設けられている。第二の貫通孔27は、回路基板4の電子部品5が実装される面から差込孔25に向かって形成されている。また、第一の接続端子21a,21b及び第二の接続端子23は、第一の貫通孔26a,26b及び第二の貫通孔27との間で電気的に絶縁されている。
【0025】
以上のような構成を有する放熱構造1では、半導体モジュール3が差込溝8に差し込まれた状態で放熱フィン7Bと接している。これにより、半導体モジュール3が発する熱は、差込溝8の内壁面、すなわちフィン部7a,7bと接する第一及び第二の基板10,14から放熱フィン7Bへと伝わり、外部に放熱されることになる。一方、複数の電子部品5が発する熱は、回路基板4からベース部6を経由して放熱フィン7A,7Bへと伝わり、外部に放熱されることになる。この場合、半導体モジュール3が発する熱は、ベース部6を経由することなく、放熱フィン7Bへと直接伝わるため、熱の伝達経路が短くなり、半導体モジュール3の放熱性が高まる。
【0026】
以上のように、本実施形態の放熱構造1では、半導体モジュール3を放熱フィン7Bに接した状態で配置することで、従来のように半導体モジュール3をベース部6の第二の面6bに配置する場合に比べて、高い放熱性を得ることが可能である。
【0027】
また、本実施形態の放熱構造1では、半導体モジュール3を差込溝8に差し込んだ状態で配置することで、従来のように半導体モジュール3をベース部6の第二の面6bに配置する場合に比べて、小型化が可能となる。さらに、半導体モジュール3の第一及び第二の基板10,14をフィン部7a,7bに接触させることで、半導体モジュール3からの放熱を効率よく行わせることが可能である。
【0028】
また、本実施形態の放熱構造1では、ベース部6の第一の面6a側に配置された半導体モジュール3と、ベース部6の第二の面6b側に配置された電子部品5とがコネクタ20を介して電気的に接続されている。これにより、半導体モジュール3と電子部品5との間を短い距離で接続できるため、電気抵抗を低減し、電力ロスを小さくすることが可能である。
【0029】
ところで、半導体モジュール3については、
図4Aに模式的に示すように、絶縁性の確保及びパーティクルに対する保護のため、モールド樹脂28によって第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面側を封止することが行われる。しかしながら、このようなモールド樹脂28は、第一及び第二の半導体素子11,13や第一及び第二の基板10,14等との間で線膨張係数の差が大きいため、熱膨張時にクラック等が生じ易い。
【0030】
これに対して、本発明では、
図4Bに模式的に示すように、モールド樹脂28の代わりに、第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面を覆う絶縁膜29を設けた構成とすることが可能である。絶縁膜29には、例えばセラミック等の高熱伝導性を有する絶縁材料が用いられる。
【0031】
本実施形態の放熱構造1では、このような絶縁膜29が設けられた半導体モジュール3を差込溝8に差し込むことによって、絶縁性の確保及びパーティクルに対する保護が可能となる。さらに、絶縁膜29を設けた場合は、絶縁膜29の薄膜化によって半導体モジュール3からの放熱性が高められるだけでなく、線膨張係数の差によるクラックの発生が抑制可能となる。また、モールド樹脂28で封止するための工程が省略できるため、製造工程の簡略化が図れる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明では、上述した半導体モジュール3と電子部品5との間を接続するコネクタ20の接続構造を変更することも可能である。以下、コネクタ20の接続構造の変形例について説明する。
【0033】
(第1変形例)
図5A及び
図5Bは、本実施形態に係るコネクタ20の接続構造の第1変形例を説明するための図である。本第1変形例に係るコネクタ31の接続構造は、上記差込孔25の代わりに、ベース部6の第二の面6b側からコネクタ31を差し込み可能に保持する差込溝32を設けた構成を有する。また、差込溝32の底面と差込溝8の底面との間には、貫通孔33が設けられている。貫通孔33の孔径(水平幅)は、差込溝32の溝径(水平幅)よりも小さい。コネクタ31は、半導体モジュール3側の第一の接続端子34が差し込まれる第一の差込口35と、電子部品5側の複数の第二の接続端子36が差し込まれる複数の第二の差込口37と、貫通孔33に嵌合される突起部38とを有している。回路基板4には、複数の第二の接続端子36を貫通させる貫通孔39が設けられている。
【0034】
一方、
図5Bに示すコネクタ40の接続構造は、上記差込孔25の代わりに、ベース部6の第一の面6a側からコネクタ40及び半導体モジュール3を差し込み可能に保持する差込溝41を設けた構成を有する。また、差込溝41には、貫通孔42が設けられている。貫通孔42の孔径(水平幅)は、差込溝41の溝径(水平幅)よりも小さい。コネクタ40は、半導体モジュール3側の第一の接続端子43が差し込まれる第一の差込口44と、電子部品5側の第二の接続端子45が差し込まれる第二の差込口46と、貫通孔42に嵌合される突起部47とを有している。
【0035】
以上のように、本実施形態の第1変形例では、
図5Aに示すコネクタ31の接続構造や、
図5Bに示すコネクタ40の接続構造を採用することも可能である。
【0036】
(第2変形例)
図6A及び
図6Bは、本実施形態に係るコネクタ20の接続構造の第2変形例を説明するための図である。本第2変形例では、予め複数のコネクタ50が設けられたヒートシンク51を用いる。各コネクタ50は、ベース部6の第一の面6aに第一の差込口52と、ベース部6の第二の面6bに第二の差込口53とを有し、放熱フィン7の間に差し込まれた半導体モジュール3の接続端子を第一の差込口52に差し込むと共に、電子部品5の接続端子を第二の差込口53に差し込むことが可能となっている。なお、複数のコネクタ50の配置や数等については、任意に変更することが可能である。
【0037】
(第3変形例)
図7A〜
図7Cは、本実施形態に係るコネクタ20の接続構造の第3変形例を説明するための図である。本第3変形例に係るコネクタ61の接続構造(ヒートシンク60)は、コネクタ61をヒートシンク60に対してスライド可能に取り付けた構成を有する。尚、コネクタ61自体の構成を見易くするため、
図7Bと
図7Cでは、半導体モジュール3、回路基板4、及び電子部品5の図示を省略している。また、コネクタ61の数については、
図7Bと
図7Cでは1つしか図示していないが、任意に変更することが可能である。
【0038】
コネクタ61の接続構造(ヒートシンク60)は、上記差込孔25の代わりに、ヒートシンク60のベース部6の第二の面6b側からコネクタ61を差し込んでスライド可能に保持するスライド溝62,63を設けた構成を有する。スライド溝(第一のスライド溝)62は、ヒートシンク60のベース部6の第二の面6bから第一の面6aに向かって延伸する。スライド溝(第二のスライド溝)63は、ヒートシンク60のベース部6の第一の面6aから第二の面6bに向かって延伸し、スライド溝62と差込溝8とを連結する。つまり、スライド溝62,63は、ベース部6を第一の面6aから第二の面6bに向かう方向(鉛直方向)に貫通している。スライド溝63の溝径(水平幅)は、スライド溝62の溝径(水平幅)よりも小さい。このため、ヒートシンク60のベース部6の第二の面6b側からコネクタ61をスライド溝62,63に差し込んでも、コネクタ61がスライド溝62,63から抜け落ちることがない。
【0039】
スライド溝62,63は、ヒートシンク60のベース部6のうち、平面視で隣接フィン部7a,7bの間(つまり、差込溝8上)に設けられ、ベース部6の第一の面6aに沿って延伸するフィン部7a,7bの延伸方向と平行(つまり、差込溝8と平行)に延伸している。スライド溝62,63の延伸方向の両端部(両側面)は、
図7Cに示すように、平面視でヒートシンク60のベース部6の第一の面6a(または第二の面6b)の内側に位置している。つまり、スライド溝62,63は、ベース部6を第一の面6aから第二の面6bに向かう方向(鉛直方向)に貫通しているが、ベース部6の第一と第二の面6a,6bに平行な方向(水平方向)には貫通していない。このため、コネクタ61は、スライド溝62,63から抜け落ちることなく、スライド溝62,63内をスライド溝の延伸方向(つまり、差込溝8と平行)にスライドすることができる。
【0040】
コネクタ61は、半導体モジュール3の第一の接続端子64を着脱可能な第一の差込口65と、電子部品5の複数の第二の接続端子66を着脱可能な複数の第二の差込口67と、貫通孔63に嵌合される突起部68とを有している。第一の差込口65は、コネクタ61の対向する二面のうち、ベース部6の第一の面6a側の面(第三の面)からベース部6の第二の面6b側の面(第四の面)に向かって延伸している。また、複数の第二の差込口67は、コネクタ61の対向する二面のうち、ベース部6の第二の面6b側の面(第四の面)からベース部6の第一の面6a側の面(第三の面)に向かって延伸している。
【0041】
複数の第二の差込口67は、
図7Bに示すように、コネクタ61のスライド方向(スライド溝の延伸方向)と平行に配列された3つの第二の差込口の組67a(第一組)と、コネクタ61のスライド方向(スライド溝の延伸方向)と垂直に配列された3つの第二の差込口の組67b(第二組)と、を含み、各組67a,67bの中央の第二の差込口は共通している。このため、電子部品5の3つの第二の接続端子66は、第二の差込口の2組67a,67bのどちらにも着脱可能となる。
【0042】
また、回路基板4には、複数の第二の接続端子66を貫通させる貫通スライド孔69が設けられている。回路基板4に設けられた貫通スライド孔69の位置は、コネクタ61に設けられたスライド溝62,63の位置と平面視で重なる。また、コネクタ61の複数の第2の差込口67は、平面視で貫通スライド孔69内に位置している。
【0043】
この構成により、コネクタ61をスライド溝62に沿ってスライドすることが可能となるため、コネクタの位置が固定されている構成と比べて、回路基板4上に実装される電子部品5の位置をより自由に決定することが可能となる。また、第二の差込口の組67aと67bのいずれに対しても、電子部品5の複数の第二の接続端子66を着脱可能となるため、電子部品5を回路基板4上に実装する際に、電子部品5の向きを自由に決定することが可能となる。
【0044】
(第4変形例)
図8A〜
図8Cは、本実施形態に係るコネクタ20の接続構造の第4変形例を説明するための図である。本第4変形例に係るコネクタ71の接続構造(ヒートシンク70)は、電子部品5の複数の第二の接続端子76を着脱可能な複数の第二の差込口77を平面視で格子状に設けた構成を有する。尚、コネクタ71自体の構成を見易くするため、
図8Bと
図8Cでは、半導体モジュール3、回路基板4、及び電子部品5の図示を省略している。また、コネクタ71の数については、
図8Bと
図8Cでは2つしか図示していないが、任意に変更することが可能である。
【0045】
コネクタ71の接続構造(ヒートシンク70)は、上記差込孔25の代わりに、ベース部6の第二の面6b側からコネクタ71を差し込み可能に保持する差込溝72,73を設けた構成を有する。差込溝72は、ヒートシンク70のベース部6の第二の面6bから第一の面6aに向かって延伸する。差込溝73は、ヒートシンク70のベース部6の第一の面6aから第二の面6bに向かって延伸し、差込溝72と差込溝8とを連結する。つまり、差込溝72,73は、ベース部6を第一の面6aから第二の面6bに向かう方向(鉛直方向)に貫通している。差込溝73の溝径(水平幅)は、差込溝72の溝径(水平幅)よりも小さい。このため、ヒートシンク70のベース部6の第二の面6b側からコネクタ71を差込溝72,73に差し込んでも、コネクタ71が差込溝72,73から抜け落ちることがない。
【0046】
差込溝72,73は、ヒートシンク70のベース部6のうち、平面視で隣接フィン部7a,7bの間(つまり、差込溝8上)に設けられ、ベース部6の第一の面6aに沿って延伸するフィン部7a,7bの延伸方向と平行(つまり、差込溝8と平行)に延伸している。差込溝72,73の延伸方向の両端部(両側面)は、
図8Cに示すように、平面視でヒートシンク70のベース部6の第一の面6a(または第二の面6b)の内側に位置している。つまり、差込溝72,73は、ベース部6を第一の面6aから第二の面6bに向かう方向(鉛直方向)に貫通しているが、ベース部6の第一と第二の面6a,6bに平行な方向(水平方向)には貫通していない。このため、コネクタ71は、差込溝72,73に差し込まれて、差込溝72,73から抜け落ちることなく保持される。
【0047】
差込溝72,73に差し込まれたコネクタ71は、ヒートシンク70のベース部6のうち、平面視で隣接フィン部7a,7bの間(つまり、差込溝8上)にあり、ベース部6の第一の面6aに沿って延伸するフィン部7a,7bの延伸方向と平行(つまり、差込溝8と平行)に延伸している。コネクタ71の延伸方向の両端部(両側面)は、
図8Cに示すように、平面視でヒートシンク70のベース部6の第一の面6a(または第二の面6b)の内側に位置している。
【0048】
コネクタ71は、半導体モジュール3の第一の接続端子74を着脱可能な複数の第一の差込口75と、電子部品5の複数の第二の接続端子76を着脱可能な複数の第二の差込口77と、貫通孔73に嵌合される突起部78とを有している。複数の第一の差込口75は、コネクタ71の対向する二面のうち、ベース部6の第一の面6a側の面(第三の面)から第二の面6b側の面(第四の面)に向かって延伸している。また、複数の第二の差込口77は、コネクタ71の対向する二面のうち、ベース部6の第二の面6b側の面(第四の面)から第一の面6a側の面(第三の面)に向かって延伸している。
【0049】
複数の第一の差込口75は、
図8Cに示すように、平面視で、コネクタ71の対向する二面のうち、ベース部6の第一の面6a側の面(第三の面)上に、差込溝8,72,73の延伸方向と平行に一列に配列されている。このため、半導体モジュール3の第一の接続端子74は、複数の第一の差込口75のいずれにも着脱可能となる。
【0050】
また、複数の第二の差込口77は、
図8Bに示すように、平面視で、コネクタ71の対向する二面のうち、ベース部6の第二の面6b側の面(第四の面)上に格子状に配置されている。複数の第二の差込口77は、コネクタ71の延伸方向(差込溝8,72,73の延伸方向)と垂直に配列された3つの第二の差込口の組77a(第一組)と、コネクタ71の延伸方向(差込溝8,72,73の延伸方向)と平行に配列された3つの第二の差込口の組77b(第二組)と、を含んでいる。このため、電子部品5の3つの第二の接続端子76は、第二の差込口の2組77a,77bのどちらにも着脱可能となる。
【0051】
回路基板4には、複数の第二の接続端子76を貫通させる貫通スライド孔79が設けられている。回路基板4に設けられた貫通スライド孔79の位置は、コネクタ71に設けられた差込溝72,73の位置と平面視で重なる。また、コネクタ71の複数の第2の差込口77は、平面視で貫通スライド孔79内に位置している。
【0052】
この構成により、半導体モジュール3の第一の接続端子74を差し込むための差込口を、コネクタ71の半導体モジュール3側の面(第三の面)に一列に配置された複数の第一の差込口75から自由に選択することが可能となる。例えば、後述する
図9Cに示されるように、放熱フィン7を隔てて隣接する2つの半導体モジュール3を平面視で互いにずらして配置することが可能となる。
【0053】
同様に、電子部品5の第二の接続端子76を差し込むための差込口を、コネクタ71の電子部品5側の面(第四の面)に格子状に配置された複数の第二の差込口77から自由に選択することが可能となる。例えば、電子部品5の長辺がコネクタ71の長辺と平行になるように、電子部品5の3つの第二の接続端子76を3つの第二の差込口の組77bに接続することができる。同様に、電子部品5の短辺がコネクタ71の長辺と平行になるように、電子部品5の3つの第二の接続端子76を3つの第二の差込口の組77aに接続することができる。このように、コネクタ71によって互いに電気的に接続される半導体モジュール3と電子部品5の配置をより自由に決定することが可能となる。
【0054】
また、半導体モジュール3は、複数の放熱フィン7A,7Bのうちの少なくとも1つの放熱フィン7A(7B)と接する構成であればよい。したがって、例えば、
図9Aに示すように、隣り合う放熱フィン7の間に半導体モジュール3が挟み込まれた構成や、
図9Bに示すように、放熱フィン7の一側面に半導体モジュール3が接した構成とすることも可能である。また、半導体モジュール3は、上述した放熱フィン7を挟んで対向して配置された構成に限らず、
図9Cに示すように、放熱フィン7を挟んで配置をずらした構成とすることも可能である。
【0055】
また、本発明の第一の発熱部品としては、上述した半導体モジュール3に必ずしも限定されるものではなく、その配置される位置や数等についても適宜変更を加えることが可能である。また、差込溝8についても、第一の発熱部品の大きさに合わせて適宜変更を加えることが可能である。したがって、複数の放熱フィン7には、個々の第一の発熱部品の大きさに合わせて深さや幅の異なる差込溝8が設けられていてもよい。
【0056】
また、本発明は、上述した差込溝8の差込口を塞ぐ蓋材9aが設けられた構成に限らず、上述した差込孔25のように、半導体モジュール3を差し込み可能に保持する差込孔が設けられた構成としてもよい。
【0057】
また、本発明では、例えば
図10Aに示すように、差込溝8に半導体モジュール3を差し込み易くするため、差込口8aにテーパー部8bを設けた構成としてもよい。また、差込溝8については、上述した一定の幅を有する形状に限らず、例えば
図10Bに示すように、深さ方向の先端部に向かって漸次幅が狭くなる形状(いわゆる楔形状)や、
図10Cに示すように、深さ方向の中央部に向かって漸次幅が狭くなる形状(いわゆる鼓形状)とすることで、この差込溝8に差し込まれた半導体モジュール3が容易に抜けない構造とすることも可能である。また、放熱膨張時に半導体モジュール3がフィン部7a,7bに密着することで、放熱性を高めることが可能である。
【0058】
また、本発明では、
図1の蓋材9aの代わりに、
図11Aに示される挟持部材9bを放熱フィン7Bの先端に設けても良い。挟持部材9bは、差込口8aを塞ぐ蓋部9b
1と、蓋部9b
1の幅方向(
図1中における左右方向)の両端部から立設された一対の挟持部9b
2とを有している。挟持部材9bは、差込溝8に半導体モジュール3が差し込まれた状態において、蓋部9b
1が差込口8aを覆い、且つ、一対の挟持部9b
2がフィン部7a,7bを差込溝8の幅方向から挟み込むように、放熱フィン7Bの先端に取り付けられている。これにより、一対のフィン部7a,7bに挟み込まれた半導体モジュール3のフィン部7a,7bに対する密着性を高めることができると共に、差込溝8に差し込まれた半導体モジュール3が落下するのを防止することができる。
【0059】
また、挟持部材9bは、放熱フィン7B(ヒートシンク2)よりも線膨張係数が小さい材料からなることが好ましい。この場合、半導体モジュール3が発する熱により放熱フィン7Bが熱膨張したときに、挟持部材9bによってフィン部7a,7bが外側に広がることを抑え込むことができる。これにより、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を更に高めることができる。
【0060】
また、
図11B〜
図11Dに示すように、
図11Aの挟持部材9bを
図10A〜
図10Cに示した放熱フィン7Bに適用してもよい。
図11B〜
図11Dに示す構造では、何れも放熱フィン7Bを差込溝8の幅方向から挟み込む挟持部材9bが設けられていることから、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を高めることが可能である。さらに、半導体モジュール3が発する熱により放熱フィン7Bが熱膨張したときに、挟持部材9bによってフィン部7a,7bが外側に広がることを抑え込むことよって、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を更に高めることが可能である。これにより、半導体モジュール3の発熱量が大きくなっても、半導体モジュール3が発する熱を十分に放熱フィン7Bへと逃がすことができるため、高い放熱性を得ることが可能である。