【実施例1】
【0021】
図1は、本発明に係る実施例1の浴室乾燥システムの全体概略構成を示す全体概略側面図であり、浴室1内に浴槽2が設けられ、その浴槽2の上方の天井部3に、温風を吹き出す乾燥機4が設けられている。この乾燥機4は、浴室1内の乾燥や入浴の際の暖房にも用いられるものである。
浴室1内の天井部3に開口5が形成され、開口5を通して昇降自在に、衣類やタオル、あるいは、それらを吊り下げたハンガーなどの被乾燥物を掛ける可動物干しバー6が設けられている。
浴室1内の対向する壁面の所定箇所に掛け具(図示せず)が取り付けられ、その掛け具に、衣類やタオル、あるいは、それらを吊り下げたハンガーなどの被乾燥物を掛ける固定物干しバー7が架設されている。
【0022】
図2の物干し昇降機構の正面図に示すように、天井部3の上部空間内において、天井部3に支持プレート8が取り付けられ、その支持プレート8に、第1の軸受部9を支持する第1の支持ブラケット10が取り付け支持され、第1の支持ブラケット10に正逆転可能な物干し駆動機構としての物干し昇降用電動モータ11が取り付け支持されている。
また、支持プレート8に、第2の軸受部12を支持する第2の支持ブラケット13が取り付け支持されている。
第1および第2の軸受部9,12にわたってロール部14が軸架され、そのロール部14と物干し昇降用電動モータ11とが連動連結されている。ロール部14には、スクリーン15を一体的に設けた一対のワイヤー16が巻回され、ワイヤー16,16の下端部に可動物干しバー6が一体的に取り付けられている。
【0023】
上記物干し昇降用電動モータ11とロール部14とワイヤー16,16とにより、物干し昇降用電動モータ11を正逆転することで可動物干しバー6およびスクリーン15を一体的に駆動昇降するように物干し昇降機構17が構成されている。
詳述すれば、
図3の全体概略側面図に示すように、天井部3の上部空間内に収納される待機位置、可動物干しバー6に掛けられた被乾燥物を乾燥する乾燥位置〔
図3の(a)〕、乾燥位置よりも下方で可動物干しバー6に被乾燥物を掛けたり可動物干しバー6に掛けられた被乾燥物を取り込んだりする為の回収位置〔
図1〕、および、乾燥位置よりも下方で固定物干しバー7に掛けられた被乾燥物を乾燥する乾燥補助位置〔
図3の(b)〕との間で可動物干しバー6およびスクリーン15を昇降できるように構成されている。
【0024】
乾燥機4には、温風の吹出し方向を規定するルーバー18が備えられ、そのルーバー18に、ルーバー駆動機構としての正逆転可能なルーバー用電動モータ19(
図4参照)が連動連結され、ルーバー18による温風の吹出し方向を上下方向に変更できるように構成されている。回転カム式のクランク機構を介装して所定角度の範囲で上下に往復揺動させる構成を採用する場合には、ルーバー駆動機構として、正逆転しないタイプのルーバー用電動モータを用いることができる。
【0025】
図1中、20は、浴室1や脱衣室(図示せず)内に設けられるリモートコントロール装置を示し、入浴に際しての暖房運転、浴室1内の乾燥を行う室内乾燥運転、衣類等の被乾燥物を可動物干しバー6に掛ける乾燥準備運転、被乾燥物を乾燥する乾燥運転、浴室1内の換気を行う換気運転、風向設定や運転時間設定などを手動で操作できるようになっている。
【0026】
図4はルーバーに対する駆動制御系を示すブロック図であり、支持プレート8と第1および第2の支持ブラケット10,13それぞれとの間に設けられたロードセルやストレインゲージなどの重量センサ21,21による測定結果が加算器22に入力され、可動物干しバー6に被乾燥物が掛けられていないときを初期値として、可動物干しバー6に掛けられた被乾燥物の重量を測定するように重量測定手段23が構成されている。
【0027】
重量測定手段23が、ルーバー駆動制御手段としての第1のコントローラ24に接続され、その第1のコントローラ24にルーバー用電動モータ19が接続されている。
第1のコントローラ24には、ルーバー用重量変化幅導出手段25、第1の比較手段26、大重量変化幅記憶手段27、ルーバー用乾燥最適位置判定手段28、モータ回転角指令手段29、設定回転角指令手段30が備えられている。
【0028】
回収位置で可動物干しバー6に被乾燥物を掛けるとともに固定物干しバー7にも被乾燥物を掛け、リモートコントロール装置20により乾燥物に対する乾燥運転を開始するに伴い、乾燥作業状態での最上方位置でルーバー10を設定時間(例えば、10秒など)停止し、被乾燥物に温風を送るとともに、ルーバー用重量変化幅導出手段25の動作を開始するようになっている。
設定時間が経過すると、設定回転角指令手段30からルーバー用電動モータ19に駆動出力を出し、乾燥機4は停止するとともに、ルーバー18を駆動して吹出し方向を設定角度下方に変更してから停止し、停止後に乾燥機4を駆動して被乾燥物に温風を送るようになっている。
【0029】
この動作につき、
図5の測定重量の経時的変化を示すグラフを用いて説明する。
先ず、乾燥作業状態での最上方位置L1〔
図3の(a)参照〕において、例えば、10秒間ルーバー18を停止し、被乾燥物に温風を送る。ルーバー用重量変化幅導出手段25では、重量測定手段23で測定された重量を、例えば、0.5秒間ごとなどにプロットし、10秒間での平均値を求め、それを被乾燥物が掛けられていないときからの重量の変化幅として導出するようになっている。
ルーバー用電動モータ19を駆動して、ルーバー18の吹出し方向を設定角度づつ変更し、各位置において上記動作を繰り返し、L2、L3、L4、L5およびL6〔
図3の(a)参照〕それぞれでの重量変化幅を導出するようになっている。
【0030】
停止回数が6回などの設定回数に達すると、すなわち、ルーバー18が乾燥作業状態での最下方位置に移動すると、第1の比較手段26において、ルーバー用重量変化幅導出手段25で導出された重量変化幅と、大重量変化幅記憶手段27に位置情報とともに記憶されたそれまでの最も大きい重量とを比較し、重量の大きい方を位置情報とともに大重量変化幅記憶手段27に記憶させるようになっている。最初の吹出し位置では、それ以前の重量が零(または被乾燥物が掛けられていないときの重量)になるから、最初の吹出し位置での重量測定手段23で測定された重量が大重量変化幅記憶手段27に位置情報とともに記憶される。
【0031】
ルーバー用乾燥最適位置判定手段28では、ルーバー18が乾燥作業状態での最下方位置に移動した状態で、第1の比較手段28により比較されて取り出される重量変化幅が大きい方の位置情報、すなわち、重量変化幅が最大となる位置を求め、そのときのルーバー18の吹出し方向の位置を乾燥最適位置と判定するようになっている。
【0032】
モータ回転角指令手段29では、ルーバー用乾燥最適位置判定手段28で判定された乾燥最適位置に対応するルーバー用電動モータ19の回転角を算出し、その回転角になるようにルーバー用電動モータ19を駆動して停止させ、乾燥最適位置でルーバー18を停止するようになっている。
【0033】
乾燥最適位置に停止して乾燥を行い、設定乾燥時間(例えば、15分)が経過した後には、設定回転角指令手段30により、ルーバー18の吹出し方向を設定角度下方に変位するようにルーバー用電動モータ19を設定回転角分だけ駆動して停止させ、乾燥最適位置におけるよりも被乾燥物の下方側に温風を当てるようになっている。また、この動作を乾燥作業状態で最下方となる吹出し位置にルーバー18が変位するまで繰り返すようになっている。
【0034】
上記実施例において、ルーバー18の吹出し方向を設定角度下方に変位する動作を繰り返さずに、乾燥最適位置に停止して乾燥を行い、その設定乾燥時間が経過した後に、1度だけルーバー用電動モータ19を設定回転角分だけ駆動して停止させ、ルーバー18の吹出し方向を設定角度下方に変位して乾燥最適位置におけるよりも被乾燥物の下方側に温風を当てるように構成するものでも良い。
【0035】
上記構成により、被乾燥物に乾燥機4からの温風を当てたときに、最も重量変化幅が大きい位置、すなわち、温風が被乾燥物に効果的に当たる位置を最適位置として乾燥を行うことができ、被乾燥物に対する乾燥運転を短時間で効率良く行うことができる。
【0036】
図6は、スクリーンおよび可動物干しバーに対する駆動制御系を示すブロック図であり、設定時間(例えば、15分)ごとに、重量測定手段23で測定される被乾燥物の重量が脱水率算出手段31に入力されるようになっている。
乾燥開始前の重量が初期重量として初期重量メモリ32に記憶され、その初期重量と以降に入力される重量とに基づいて、脱水率算出手段31において、下記式に基づいて脱水率W(%)が算出されるようになっている。
脱水率W=(1−W2/W1)×100
W1:初期重量、W2:重量測定手段23で測定された被乾燥物の重量
脱水率算出手段31で算出された脱水率と設定脱水率(例えば、20%など)とが第2の比較手段33で比較され、算出脱水率が設定脱水率になったことに基づいて、可動物干しバー6に掛けられた被乾燥物が乾燥終了タイミングになったことを判定するように乾燥終了判定手段34が構成されている。
【0037】
乾燥終了判定手段34の第2の比較手段33には駆動制御手段35が接続され、第2の比較手段33からの比較出力、すなわち、乾燥終了が判定された旨に応答して、物干し昇降機構17の物干し昇降用電動モータ11を駆動し、スクリーン15および可動物干しバー6を乾燥補助位置〔
図3の(b)参照〕に移動させ、浴室1内の空間をスクリーン15で遮り、固定物干しバー7に掛けられた被乾燥物に対する乾燥を促進するようになっている。
【0038】
また、浴室1内に湿度センサ36が設けられ、設定時間(例えば、15分)ごとに、湿度センサ36で測定される湿度が湿度差算出手段37に入力されるようになっている。
湿度差算出手段37に入力された湿度が湿度メモリ38に記憶され、新たな湿度が湿度差算出手段37に入力されるたびに、その1回前の湿度が湿度メモリ38から取り出されて減算され、設定時間における湿度差を算出するようになっている。
湿度差算出手段37で算出された湿度差が第3の比較手段39に入力され、湿度差が0になったかどうか、すなわち、可動物干しバー6および固定物干しバー7に掛けられた被乾燥物の乾燥状態から乾燥運転終了タイミングを判定するように乾燥運転終了判定手段40が構成されている。
【0039】
乾燥運転終了判定手段40の第3の比較手段39には駆動制御手段35が接続され、第3の比較手段39からの比較出力、すなわち、乾燥終了が判定された旨に応答して、物干し昇降機構17の物干し昇降用電動モータ11を駆動し、可動物干しバー6およびスクリーン15を回収位置(
図1参照)に移動させるとともに乾燥機4を停止し、可動物干しバー6に掛けられた被乾燥物を取り込みやすいようになっている。
【0040】
第3の比較手段39からの比較出力が取込み判定手段41に入力され、可動物干しバー6およびスクリーン15を回収位置に移動させた後において、重量測定手段23で測定された被乾燥物の重量に基づいて、その重量が、可動物干しバー6に被乾燥物が掛けられていない重量であることを判定し、その被乾燥物が掛けられていない旨に応答して、駆動制御手段35により、可動物干しバー6およびスクリーン15を待機位置(天井部3に収納された位置)に移動させるようになっている。
【0041】
次に、上記構成に基づく一連の制御動作を、
図7、
図8および
図9のフローチャートを用いて順に説明する。
(1)乾燥準備工程
リモートコントロール装置20により、乾燥準備ボタンを押す。これにより、待機位置に収納されていた可動物干しバー6およびスクリーン15が被乾燥物を掛けやすい回収位置に下降して停止する。そこで、可動物干しバー6および固定物干しバー7に被乾燥物を掛ける。ここでの操作としては、固定物干しバー7に被乾燥物を掛けてから乾燥準備ボタンを押し、可動物干しバー6を回収位置に移動し、そこに被乾燥物を掛けるようにしても良い。
【0042】
(2)乾燥最適位置判定工程
被乾燥物を掛けた後、乾燥運転ボタンを押す。この乾燥運転ボタンが押されるに伴い(S1)、物干し昇降機構17を自動的に駆動して可動物干しバー6およびスクリーン15を乾燥位置〔
図3の(a)〕に移動し(S2)、ルーバー18を乾燥作業状態での最上方位置L1に停止して(S3)、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)運転(ON)する(S4)。
次いで、重量測定手段23で測定される重量に基づいて重量変化幅を導出し、それを最上方位置L1での重量変化幅として大重量変化幅記憶手段27に記憶させる(S5)。
その後、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)停止(OFF)し(S6)、ルーバー18を乾燥作業状態での最上方位置L1から設定角度下向きにした位置L2に移動して停止し(S7)、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)運転(ON)する(S8)。
【0043】
その間、重量測定手段23で測定される重量に基づいて重量変化幅を導出し、先に大重量変化幅記憶手段27に記憶されている大重量変化幅(ここでは最上方位置L1での重量変化幅)と比較し、大きいほうの重量変化幅を位置情報とともに大重量変化幅記憶手段27に記憶させる(S9)。
しかる後、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)停止(OFF)し(S10)、ルーバー18を設定角度下向きにした位置L3に移動して停止し、上述ステップS8からステップS10の動作を繰り返し、各位置L4、L5およびL6についても同様に処理する(S11)。
上記処理の結果、重量変化幅が最大の位置を乾燥最適位置と判定し(S12)、ルーバー18の吹出し方向を乾燥最適位置に移動して停止する(S13)。
【0044】
(3)乾燥運転工程
その後、乾燥機4を運転する前に、重量測定手段23で被乾燥物の重量を測定し、その測定した重量W1を初期重量メモリ32に記憶させ(S14)てから、乾燥機4を運転(ON)する(S15)。
しかる後、例えば、15分や20分などの設定時間が経過したことを確認して(S16)から、ルーバー用電動モータ19を駆動して、ルーバー18の吹出し方向を設定角度下向きに変更する(S17)。ルーバー18の吹出し方向が乾燥作業状態での最下方位置L6になるまでステップS16からステップS18までの動作を繰り返す。
【0045】
ルーバー18の吹出し方向を乾燥作業状態での最下方位置L6にして乾燥運転を開始した後、例えば、10分などの設定時間が経過したことを確認して(S19)から、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)停止(OFF)し(S20)、重量測定手段23で被乾燥物の重量を測定し、その測定した重量W2と初期重量メモリ32に記憶させてある初期重量W1とに基づいて脱水率Wを算出する(S21)。
脱水率Wが設定脱水率WSを越えたかどうかを判断し(S22)、越えていなければステップS23に移行して乾燥機4を運転(ON)してからステップS19に戻す。
【0046】
(4)乾燥補助運転工程
ステップS22で脱水率Wが設定脱水率WSを越えているときには、可動物干しバー6に掛けられた被乾燥物の乾燥が終了したと判定し、物干し昇降機構17を自動的に駆動して可動物干しバー6およびスクリーン15を乾燥補助位置〔
図3の(b)〕に移動し(S24)、乾燥機4を運転(ON)し(S25)、乾燥機4からの温風をスクリーン15で遮り、浴室1内の室内空間を狭くして固定物干しバー7に掛けられた被乾燥物の乾燥を促進する。
【0047】
(5)乾燥運転終了工程
次いで、例えば、10分などの設定時間が経過したことを確認して(S26)から、湿度センサ36で湿度を測定し、湿度メモリ38に記憶させるとともに前回記憶した湿度を取り出して両者の湿度差を算出し(S27)、算出された湿度差が0になったかどうかを判断する(S28)。
ステップS28で、湿度差が0になっていなければ、ステップS26に戻す。一方、湿度差が0になっていれば、ステップS29に移行し、乾燥機4を停止(OFF)し、物干し昇降機構17を自動的に駆動して可動物干しバー6およびスクリーン15を回収位置(
図1)に移動する。
【0048】
(6)取込み工程
しかる後、例えば、10分などの設定時間が経過したことを確認して(S30)から、重量測定手段23で測定される重量に基づいて、可動物干しバー6に被乾燥物が掛けられていない状態かどうか、すなわち、被乾燥物が可動物干しバー6から取込まれたかどうかを判断する(S31)。
ステップS31で被乾燥物がまだ取込まれていなければ、ステップS30に戻す。一方、被乾燥物が取込まれていれば、ステップS32に移行し、例えば、10分などの設定時間が経過したことを確認してからステップS33に移行し、物干し昇降機構17を自動的に駆動して可動物干しバー6およびスクリーン15を待機位置に移動する。
これにより、可動物干しバー6およびスクリーン15を天井部3に収納し、一連の制御動作を終了する。
【実施例2】
【0049】
図10は本発明の実施例2に係る浴室乾燥システムにおける可動物干しバーに対する駆動制御系を示すブロック図であり、重量測定手段23が、物干しバー駆動制御手段としての第2のコントローラ51に接続され、その第2のコントローラ51に物干し昇降用電動モータ19が接続されている。
第2のコントローラ51には、物干しバー用重量変化幅導出手段52、第4の比較手段53、大重量変化幅記憶手段54、物干しバー用乾燥最適位置判定手段55、モータ回転量指令手段56、設定回転量指令手段57が備えられている。
【0050】
回収位置で可動物干しバー6に被乾燥物を掛けるとともに固定物干しバー7にも被乾燥物を掛け、リモートコントロール装置20により乾燥物に対する乾燥運転を開始するに伴い、乾燥作業状態での最下方位置で可動物干しバー6を設定時間(例えば、10秒など)停止し、被乾燥物に温風を送るとともに、物干しバー用重量変化幅導出手段52の動作を開始するようになっている。
設定時間が経過すると、設定回転量指令手段57から物干し昇降用電動モータ11に駆動出力を出し、乾燥機4を停止するとともに、可動物干しバー6を駆動して設定量上昇させてから停止し、停止後に乾燥機4を駆動して被乾燥物に温風を送るようになっている。
【0051】
この動作につき、
図11の測定重量の経時的変化を示すグラフ、および、
図12の乾燥作業状態の全体概略側面図を用いて説明する。
先ず、乾燥作業状態での最下方位置P1において、例えば、10秒間可動物干しバー6を停止し、被乾燥物に温風を送る。物干しバー用重量変化幅導出手段52では、重量測定手段23で測定された重量を、例えば、0.5秒間ごとなどにプロットし、10秒間での平均値を求め、それを被乾燥物が掛けられていないときからの重量の変化幅として導出するようになっている。
物干し昇降用電動モータ11を駆動して、可動物干しバー6の固定位置を設定高さづつ変更し、各位置において上記動作を繰り返し、P2、P3、P4、P5およびP6それぞれでの重量変化幅を導出するようになっている。
【0052】
停止回数が6回などの設定回数に達すると、すなわち、可動物干しバー6が乾燥作業状態での最上方位置P6に移動すると、第4の比較手段53において、物干しバー用重量変化幅導出手段52で導出された重量変化幅と、大重量変化幅記憶手段54に位置情報とともに記憶されたそれまでの最も大きい重量とを比較し、重量の大きい方を位置情報とともに大重量変化幅記憶手段54に記憶させるようになっている。最初の固定位置では、それ以前の重量が零(または被乾燥物が掛けられていないときの重量)になるから、最初の固定位置での重量測定手段23で測定された重量が大重量変化幅記憶手段54に位置情報とともに記憶される。
【0053】
物干しバー用乾燥最適位置判定手段55では、可動物干しバー6が乾燥作業状態での最上方位置P6に移動した状態で、第4の比較手段53により比較されて取り出される重量変化幅が大きい方の位置情報、すなわち、重量変化幅が最大となる位置を求め、そのときの可動物干しバー6の固定位置を乾燥最適位置と判定するようになっている。
【0054】
モータ回転量指令手段56では、物干しバー用乾燥最適位置判定手段55で判定された乾燥最適位置に対応する物干し昇降用電動モータ11の回転量を算出し、その回転量になるように物干し昇降用電動モータ11を駆動して停止させ、乾燥最適位置で可動物干しバー6を停止するようになっている。
【0055】
乾燥最適位置に停止して乾燥を行い、設定乾燥時間(例えば、15分)が経過した後には、設定回転量指令手段57により、可動物干しバー6の固定位置を設定高さ上昇するように物干し昇降用電動モータ11を設定回転量だけ駆動して停止させ、乾燥最適位置におけるよりも被乾燥物の下方側に温風を当てるようになっている。また、この動作を乾燥作業状態で最上方となる固定位置に可動物干しバー6が上昇するまで繰り返すようになっている。
【0056】
次に、上記構成に基づく乾燥最適位置の判定に伴う乾燥制御動作を、
図13のフローチャートを用いて順に説明する。
(1)乾燥準備工程
リモートコントロール装置20により、乾燥準備ボタンを押す。これにより、待機位置に収納されていた可動物干しバー6およびスクリーン15が被乾燥物を掛けやすい回収位置に下降して停止する。そこで、可動物干しバー6および固定物干しバー7に被乾燥物を掛ける。ここでの操作としては、固定物干しバー7に被乾燥物を掛けてから乾燥準備ボタンを押し、可動物干しバー6を回収位置に移動し、そこに被乾燥物を掛けるようにしても良い。
【0057】
(2)乾燥最適位置判定工程
被乾燥物を掛けた後、乾燥運転ボタンを押す。この乾燥運転ボタンが押されるに伴い、物干し昇降機構17を自動的に駆動して可動物干しバー6およびスクリーン15を乾燥作業状態での最下方位置P1に移動して停止する(N1)。
その後、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)運転(ON)し(N2)、重量測定手段23で測定される重量に基づいて重量変化幅を導出し、それを最下方位置P1での重量変化幅として大重量変化幅記憶手段54に記憶させる(N3)。
その後、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)停止(OFF)し(N4)、可動物干しバー6およびスクリーン15を乾燥作業状態での最下方位置P1から設定高さ上昇させた位置P2に移動して停止し(N5)、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)運転(ON)する(N6)。
【0058】
その間、重量測定手段23で測定される重量に基づいて重量変化幅を導出し、先に大重量変化幅記憶手段54に記憶されている大重量変化幅(ここでは最下方位置P1での重量変化幅)と比較し、大きいほうの重量変化幅を位置情報とともに大重量変化幅記憶手段54に記憶させる(N7)。
しかる後、乾燥機4を設定時間(例えば、10秒間)停止(OFF)し(N8)、可動物干しバー6およびスクリーン15を設定高さ上昇させた位置P3に移動して停止し、上述ステップN6からステップN8の動作を繰り返し、各位置P4、P5およびP6についても同様に処理する(N9)。
上記処理の結果、重量変化幅が最大の位置を乾燥最適位置と判定し(N10)、可動物干しバー6およびスクリーン15を乾燥最適位置に移動して停止する(N11)。
【0059】
(3)乾燥運転工程
その後、乾燥機4を運転(ON)し(N12)、例えば、15分や20分などの設定時間が経過したことを確認して(N13)から、物干し昇降用電動モータ11を駆動して、可動物干しバー6およびスクリーン15を設定高さ上昇する(N14)。可動物干しバー6およびスクリーン15の高さが乾燥作業状態での最上方位置P6になるまでステップN13からステップN15までの動作を繰り返す。
最終的には可動物干しバー6およびスクリーン15の高さを乾燥作業状態での最上方位置P6にし、脱水率が設定脱水率に達するなど乾燥運転が終了するまで乾燥運転を行う。
【0060】
上記実施例2において、可動物干しバー6を設定高さ上昇する動作を繰り返さずに、乾燥最適位置に停止して乾燥を行い、その設定乾燥時間が経過した後に、1度だけ物干し昇降用電動モータ11を設定回転量だけ駆動して停止させ、可動物干しバー6を設定高さ上昇して乾燥最適位置におけるよりも被乾燥物の下方側に温風を当てるように構成するものでも良い。
【0061】
上記構成により、被乾燥物に乾燥機4からの温風を当てたときに、最も重量変化幅が大きい位置、すなわち、温風が被乾燥物に効果的に当たる位置を最適位置として乾燥を行うことができ、被乾燥物に対する乾燥運転を短時間で効率良く行うことができる。
【0062】
上記実施例では、浴室1内で被乾燥物を乾燥する構成を示したが、本発明の浴室乾燥システムとしては、脱衣室内で被乾燥物を乾燥するように構成するものでも良い。
また、上記実施例では、乾燥機4として天井設置形のものを示したが、壁掛形のものでも良い。
【0063】
上記実施例では、物干しバーとして、可動物干しバー6と固定物干しバー7とを設けているが、本発明としては、固定物干しバー7を設けないものでも良い。