(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンピュータを、複数の各車両が通行すべき経路を探索して、当該探索した経路を示すデータを、前記各車両のドライバーの端末へ送信する経路探索装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信した場合に、当該データの送信元の端末が搭載された車両の出発地から目的地までの経路を探索すると共に、既に経路を探索済みの他の車両については当該探索済みの経路を当該他の車両の経路として特定する経路探索部、
前記経路探索部が探索した経路を車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションすると共に、前記経路探索部が特定した経路を前記他の車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする交通量シミュレーション部、
前記交通量シミュレーション部がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が道路毎及び時間帯毎に設定された所定のしきい値以上となる渋滞時に、当該道路を通行する車両を特定する通行車両特定部、
前記通行車両特定部が特定した車両のうち、1以上の車両について、前記渋滞時に当該渋滞している道路を通行しない経路を再探索する経路再探索部、
前記経路再探索部が経路を再探索した車両のドライバーの端末に対しては、当該再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の車両のドライバーの端末に対しては、前記経路探索部が探索した経路を示すデータを送信する経路データ送信部
として機能させるプログラム。
コンピュータを、複数の各車両が通行すべき経路を探索して、当該探索した経路を示すデータを、前記各車両のドライバーの端末へ送信する経路探索装置として機能させるプログラムを記録した記録媒体であって、
前記コンピュータを、
車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信した場合に、当該データの送信元の端末が搭載された車両の出発地から目的地までの経路を探索すると共に、既に経路を探索済みの他の車両については当該探索済みの経路を当該他の車両の経路として特定する経路探索部、
前記経路探索部が探索した経路を車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションすると共に、前記経路探索部が特定した経路を前記他の車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする交通量シミュレーション部、
前記交通量シミュレーション部がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が道路毎及び時間帯毎に設定された所定のしきい値以上となる渋滞時に、当該道路を通行する車両を特定する通行車両特定部、
前記通行車両特定部が特定した車両のうち、1以上の車両について、前記渋滞時に当該渋滞している道路を通行しない経路を再探索する経路再探索部、
前記経路再探索部が経路を再探索した車両のドライバーの端末に対しては、当該再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の車両のドライバーの端末に対しては、前記経路探索部が探索した経路を示すデータを送信する経路データ送信部
として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、特許文献1に記載されているような既知のカーナビゲーションシステムは、途中経路の路面状況、混雑具合等の交通現況を参照して、出発地から目的地までの最適な経路を探索する。ところで、道路の混雑具合は、時々刻々と変化する。したがって、探索された経路は、その探索時において混雑していなくても、通行時に混雑していないとは限らない。しかしながら、既知のカーナビゲーションシステムは、そのような潜在的な未来の混雑を想定していないため、最適とは言えない経路を探索してしまうこともあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、複数の車両のナビゲーションを行うカーナビゲーションシステムであって、複数の各車両が通行すべき経路を探索して、当該探索した経路を示すデータを、各車両のドライバーの端末へ送信する経路探索装置を備え、経路探索装置は、
車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信した場合に、当該データの送信元の端末が搭載された車両の出発地から目的地までの経路を探索する
と共に、既に経路を探索済みの他の車両については当該探索済みの経路を当該他の車両の経路として特定する経路探索部と、経路探索部が探索した経路を車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする
と共に、経路探索部が特定した経路を他の車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする交通量シミュレーション部と、交通量シミュレーション部がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が道路毎及び時間帯毎に設定された所定のしきい値以上となる渋滞時に、当該道路を通行する車両を特定する通行車両特定部と、通行車両特定部が特定した車両のうち、1以上の車両について、渋滞時に当該渋滞している道路を通行しない経路を再探索する経路再探索部と、経路再探索部が経路を再探索した車両のドライバーの端末に対しては、当該再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の車両のドライバーの端末に対しては、経路探索部が探索した経路を示すデータを送信する経路データ送信部とを有する。
【0007】
経路探索装置は、車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信する地点データ受信部を更に有し、経路探索部、及び経路再探索部は、地点データ受信部が受信したデータによって示される出発地から目的地までの経路を探索してよい。
【0008】
経路探索装置は、交通規制を示すデータを取得する交通規制データ取得部を更に有し、経路探索部、及び経路再探索部は、交通規制データ取得部が取得したデータによって示される交通規制を回避する経路を探索してよい。
【0009】
本発明の第2の形態によると、複数の車両のナビゲーションを行うカーナビゲーション方法であって、複数の各車両が通行すべき経路を探索して、当該探索した経路を示すデータを、各車両のドライバーの端末へ送信する経路探索装置の経路探索部が、
車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信した場合に、当該データの送信元の端末が搭載された車両の出発地から目的地までの経路を探索する
と共に、既に経路を探索済みの他の車両については当該探索済みの経路を当該他の車両の経路として特定する段階と、経路探索装置の交通量シミュレーション部が、経路探索部が探索した経路を車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする
と共に、経路探索部が特定した経路を他の車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする段階と、経路探索装置の通行車両特定部が、交通量シミュレーション部がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が道路毎及び時間帯毎に設定された所定のしきい値以上となる渋滞時に、当該道路を通行する車両を特定する段階と、経路探索装置の経路再探索部が、通行車両特定部が特定した車両のうち、1以上の車両について、渋滞時に当該渋滞している道路を通行しない経路を再探索する段階と、経路探索装置の経路データ送信部が、経路再探索部が経路を再探索した車両のドライバーの端末に対しては、当該再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の車両のドライバーの端末に対しては、経路探索部が探索した経路を示すデータを送信する段階とを含む。
【0010】
本発明の第3の形態によると、複数の各車両が通行すべき経路を探索して、当該探索した経路を示すデータを、各車両のドライバーの端末へ送信する経路探索装置であって、
車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信した場合に、当該データの送信元の端末が搭載された車両の出発地から目的地までの経路を探索する
と共に、既に経路を探索済みの他の車両については当該探索済みの経路を当該他の車両の経路として特定する経路探索部と、経路探索部が探索した経路を車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする
と共に、経路探索部が特定した経路を他の車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする交通量シミュレーション部と、交通量シミュレーション部がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が道路毎及び時間帯毎に設定された所定のしきい値以上となる渋滞時に、当該道路を通行する車両を特定する通行車両特定部と、通行車両特定部が特定した車両のうち、1以上の車両について、渋滞時に当該渋滞している道路を通行しない経路を再探索する経路再探索部と、経路再探索部が経路を再探索した車両のドライバーの端末に対しては、当該再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の車両のドライバーの端末に対しては、経路探索部が探索した経路を示すデータを送信する経路データ送信部とを備える。
【0011】
本発明の第4の形態によると、コンピュータを、複数の各車両が通行すべき経路を探索して、当該探索した経路を示すデータを、各車両のドライバーの端末へ送信する経路探索装置として機能させるプログラムであって、コンピュータを、
車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信した場合に、当該データの送信元の端末が搭載された車両の出発地から目的地までの経路を探索する
と共に、既に経路を探索済みの他の車両については当該探索済みの経路を当該他の車両の経路として特定する経路探索部、経路探索部が探索した経路を車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする
と共に、経路探索部が特定した経路を他の車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする交通量シミュレーション部、交通量シミュレーション部がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が道路毎及び時間帯毎に設定された所定のしきい値以上となる渋滞時に、当該道路を通行する車両を特定する通行車両特定部、通行車両特定部が特定した車両のうち、1以上の車両について、渋滞時に当該渋滞している道路を通行しない経路を再探索する経路再探索部、経路再探索部が経路を再探索した車両のドライバーの端末に対しては、当該再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の車両のドライバーの端末に対しては、経路探索部が探索した経路を示すデータを送信する経路データ送信部として機能させる。
【0012】
本発明の第5の形態によると、コンピュータを、複数の各車両が通行すべき経路を探索して、当該探索した経路を示すデータを、各車両のドライバーの端末へ送信する経路探索装置として機能させるプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータを、
車両の出発地と目的地とを示すデータを、当該車両のドライバーの端末から受信した場合に、当該データの送信元の端末が搭載された車両の出発地から目的地までの経路を探索する
と共に、既に経路を探索済みの他の車両については当該探索済みの経路を当該他の車両の経路として特定する経路探索部、経路探索部が探索した経路を車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする
と共に、経路探索部が特定した経路を他の車両が移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする交通量シミュレーション部、交通量シミュレーション部がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が道路毎及び時間帯毎に設定された所定のしきい値以上となる渋滞時に、当該道路を通行する車両を特定する通行車両特定部、通行車両特定部が特定した車両のうち、1以上の車両について、渋滞時に当該渋滞している道路を通行しない経路を再探索する経路再探索部、経路再探索部が経路を再探索した車両のドライバーの端末に対しては、当該再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の車両のドライバーの端末に対しては、経路探索部が探索した経路を示すデータを送信する経路データ送信部として機能させるプログラムを記録した。
【0013】
なおまた、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、この発明によっては、既知のカーナビゲーションシステムと比較して、潜在的な未来の混雑を回避し得る、より最適なナビゲーションを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、一実施形態に係るカーナビゲーションシステム100の利用環境の一例を示す。カーナビゲーションシステム100は、複数の自動車Va、b、c、・・・(以下、自動車Vと総称する。)のナビゲーションを行うシステムである。ここで、自動車Vは、この発明における「車両」の一例であってよい。
【0018】
カーナビゲーションシステム100は、経路探索装置110を備える。経路探索装置110は、自動車Vにそれぞれ設けられた複数のカーナビゲーション装置Ua、b、c、・・・(以下、カーナビゲーション装置Uと総称する。)に通信回線Nを介して通信接続される。そして、経路探索装置110は、各自動車Vが通行すべき経路を探索して、その探索した経路を示すデータを、各自動車Vのカーナビゲーション装置Uへ送信する。一方、カーナビゲーション装置Uは、経路探索装置110から受信したデータによって示される経路にしたがって道順案内等を行い、ドライバーの運転を支援する。なおまた、カーナビゲーション装置Uは、この発明における「ドライバーの端末」の一例であってよい。また、通信回線Nは、インターネット等のコンピュータネットワーク、通信事業者のコアネットワーク、及び種々のローカルネットワークを含む。
【0019】
なおまた、本実施形態においては、説明が煩雑になることを防ぐことを目的として、カーナビゲーションシステム100が一の経路探索装置110を備える構成について説明する。しかしながら、カーナビゲーションシステム100は、複数の経路探索装置110を備えてよい。
【0020】
図2は、経路探索装置110のブロック構成の一例を示す。経路探索装置110は、交通規制データ取得部111、地点データ受信部112、経路探索部113、交通量シミュレーション部114、通行車両特定部115、経路再探索部116、経路データ送信部117、交通規制情報格納部118、及び地点情報格納部119を有する。以下、各構成要素の機能、及び動作を説明する。
【0021】
交通規制データ取得部111は、交通規制を示すデータを取得する。
【0022】
地点データ受信部112は、自動車Vの出発地と目的地とを示すデータを、その自動車Vのカーナビゲーション装置Uから受信する。
【0023】
経路探索部113は、複数の各自動車Vの出発地から目的地までの経路を探索する。より具体的に説明すると、経路探索部113は、地点データ受信部112が受信したデータによって示される出発地から目的地までの経路を探索する。また、経路探索部113は、交通規制データ取得部111が取得したデータによって示される交通規制を回避する経路を探索する。
【0024】
交通量シミュレーション部114は、経路探索部113が探索した経路を各自動車Vが移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする。
【0025】
通行車両特定部115は、交通量シミュレーション部114がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が所定のしきい値以上となる渋滞時に、その道路を通行する自動車Vを特定する。
【0026】
経路再探索部116は、通行車両特定部115が特定した自動車Vのうち、1以上の自動車Vについて、渋滞時にその渋滞している道路を通行しない経路を再探索する。より具体的に説明すると、経路再探索部116は、地点データ受信部112が受信したデータによって示される出発地から目的地までの経路を探索する。また、経路再探索部116は、交通規制データ取得部111が取得したデータによって示される交通規制を回避する経路を探索する。
【0027】
経路データ送信部117は、経路再探索部116が経路を再探索した自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、その再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、経路探索部113が探索した経路を示すデータを送信する。
【0028】
図3は、交通規制情報格納部118に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。交通規制情報格納部118には、道路、起点、終点、上下、規制内容、原因事象、規制日(年/月/日)、及び規制時間帯の各情報が対応付けられて格納される。
【0029】
道路の情報は、交通規制の対象となる道路を示す情報である。起点の情報は、交通規制の対象となる区間の起点を示す情報である。終点の情報は、交通規制の対象となる区間の終点を示す情報である。上下の情報は、交通規制の対象となる車線を示す情報である。規制内容の情報は、交通規制の内容を示す情報である。原因事象の情報は、交通規制の原因となる事象を示す情報である。規制日(年/月/日)の情報は、交通規制が実施される日付を示す情報である。規制時間帯の情報は、交通規制が実施される時間帯を示す情報である。
【0030】
図4は、地点情報格納部119に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。地点情報格納部119には、車両ID(identifier)、出発地、目的地、出発時刻or到着時刻(年/月/日/時:分)、経路、及び経路データ送信済み?(Yes or No)の各情報が対応付けられて格納される。
【0031】
車両IDの情報は、複数の自動車Vの中で、各自動車Vを一意に識別するための情報である。出発地の情報は、車両IDの情報によって識別される自動車Vのドライバーによって設定された、出発地を示す情報である。目的地の情報は、車両IDの情報によって識別される自動車Vのドライバーによって設定された、目的地を示す情報である。出発時刻or到着時刻(年/月/日/時:分)の情報は、車両IDの情報によって識別される自動車Vのドライバーによって設定された、出発時刻又は到着時刻を示す情報である。経路の情報は、経路探索部113、又は経路再探索部116が探索した経路を示す情報である。経路データ送信済み?(Yes or No)の情報は、車両IDによって識別される自動車Vのカーナビゲーション装置Uへ、経路データが送信されたか否かを示す情報である。
【0032】
図5は、経路探索装置110の動作フローの一例を示す。この動作フローにおいては、交通規制を示すデータを取得する動作について説明する。なおまた、この動作フローの説明においては、
図1から
図4を共に参照する。
【0033】
経路探索装置110の交通規制データ取得部111は、交通規制を示すデータを取得すると(S101)、そのデータによって示される交通規制の情報を、交通規制情報格納部118に格納する(S102)。より具体的に説明すると、交通規制データ取得部111は、例えば、通信回線Nを介して道路交通情報を公開している業務機関等のサーバから交通規制を示すデータを取得する。
【0034】
このようにして、交通規制情報格納部118には、
図3に示すような情報が格納されることになる。そして、交通規制情報格納部118に格納された情報は、経路探索部113、及び経路再探索部116が経路を探索する際に参照される。
【0035】
図6は、経路探索装置110の動作フローの一例を示す。この動作フローにおいては、複数の各自動車Vが通行すべき経路を探索して、その探索した経路を示すデータを、各自動車Vのカーナビゲーション装置Uへ送信する動作について説明する。なおまた、この動作フローの説明においては、
図1から
図5を共に参照する。
【0036】
自動車Vのドライバーは、所望の目的地までのナビゲーションを受けようとする場合、カーナビゲーション装置Uにて所定の操作を行って、出発地と目的地、並びに出発時刻又は到着時刻の設定を行う。このような設定が成されると、カーナビゲーション装置Uは、設定された出発地と目的地の情報と、出発時刻又は到着時刻の情報と、自車両の車両IDの情報とを示すデータを、経路探索装置110へ送信する。
【0037】
経路探索装置110の地点データ受信部112は、カーナビゲーション装置Uから送信されたデータを受信すると(S201)、そのデータによって示される車両ID、出発地、目的地、及び出発時刻又は到着時刻の情報を対応付けて、地点情報格納部119に格納する(S202)。このようにして、地点情報格納部119には、
図4に示すような車両ID、出発地、目的地、及び出発時刻or到着時刻(年/月/日/時:分)の各情報が格納されることになる。
【0038】
このようにして、地点情報格納部119に新たな情報が格納されると、経路探索装置110の経路探索部113は、地点情報格納部119に格納されている情報を参照して、複数の各自動車Vの出発地から目的地までの経路を探索する(S203)。その際、経路探索部113は、交通規制情報格納部118に格納されている情報を参照して、交通規制を回避する経路を探索する。但し、地点情報格納部119に既に経路の情報が格納されている場合、経路探索部113は、その経路を、その経路の情報に対応付けられて格納されている車両IDによって識別される自動車Vの経路とする。ここで、経路探索部113は、出発地から目的地までの経路を探索するにあたり、既知の経路探索処理の技術を用いるものとする。例えば、経路探索部113は、既知の経路探索処理の技術を用いて、最短経路を探索したり、有料道路を優先した経路を探索したり、一般道路を優先した経路を探索したりする。これらの探索方法は、ユーザによって選択されるものとすることもできる。そして、経路探索部113は、探索した各自動車Vの経路を示すデータを、交通量シミュレーション部114へ送ると共に、その経路の情報を、地点情報格納部119に格納する(S204)。このようにして、地点情報格納部119には、
図4に示すような経路の情報が格納されることになる。
【0039】
経路探索装置110の交通量シミュレーション部114は、経路探索部113から送られたデータを受け取ると、そのデータによって示される経路を各自動車Vが移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする(S205)。ここで、交通量シミュレーション部114は、各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションするにあたり、既知の交通シミュレーション処理の技術を用いるものとする。そして、交通量シミュレーション部114は、シミュレーション結果を示すデータを、通行車両特定部115へ送る。
【0040】
経路探索装置110の通行車両特定部115は、交通量シミュレーション部114から送られたデータを受け取ると、そのデータによって示されるシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が所定のしきい値以上となる渋滞時に、その道路を通行する自動車Vを特定する(S206)。ここで、所定のしきい値は、カーナビゲーションシステム100の事業者によって予め設定される。例えば、所定のしきい値は、道路毎に異なる値であってよいし、同じ道路であっても時間帯毎に異なる値であってよい。そして、通行車両特定部115は、渋滞の時間帯と、渋滞する道路と、渋滞時にその道路を通行する自動車Vの車両IDを示すデータを、経路再探索部116へ送る。
【0041】
経路探索装置110の経路再探索部116は、通行車両特定部115から送られたデータを受け取ると、そのデータによって示される車両IDによって識別される自動車Vのうち、1以上の自動車Vについて、渋滞時にその渋滞している道路を通行しない経路を再探索する(S207)。より具体的に説明すると、経路再探索部116は、地点情報格納部119に格納されている情報を参照して、通行車両特定部115から送られたデータによって示される車両IDによって識別される自動車Vのうち、カーナビゲーション装置Uへ経路データが未だ送信されていない1以上の自動車Vについて、通行車両特定部115から受け取ったデータによって示される渋滞の時間帯と、渋滞する道路の各情報を参照して、渋滞時にその渋滞している道路を通行しない経路を探索する。その際、経路再探索部116は、交通規制情報格納部118に格納されている情報を参照して、交通規制を回避する経路を探索する。ここで、経路再探索部116は、経路を再探索するにあたり、既知の経路探索処理の技術を用いるものとする。そして、経路再探索部116は、再探索した経路の情報を、地点情報格納部119に格納する(S208)。その際、地点情報格納部119に経路の情報が既に格納されている場合、経路再探索部116は、再探索した経路の情報を以て上書きする。このようにして、地点情報格納部119には、
図4に示すような経路の情報が格納されることになる。そして、経路再探索部116は、経路の再探索処理が終了したことを示すデータを、経路データ送信部117へ送る。
【0042】
経路探索装置110の経路データ送信部117は、経路再探索部116から送られたデータを受け取ると、地点情報格納部119に格納されている情報のうち、カーナビゲーション装置Uへ経路データが未だ送信されていない経路の情報を読み出して、対象のカーナビゲーション装置Uへ送信する(S209)。このようにして、経路データ送信部117は、経路再探索部116が経路を再探索した自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、その再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、経路探索部113が探索した経路を示すデータを送信することになる。そして、経路データ送信部117は、地点情報格納部119に格納されている情報のうち、経路データを送信した対象の経路データ送信済み?(Yes or NO)の情報を、「No」から「Yes」に書き換える(S210)。このようにして、地点情報格納部119には、
図4に示すような経路データ送信済み?(Yes or No)の情報が格納されることになる。
【0043】
一方、カーナビゲーション装置Uは、経路探索装置110から送信されたデータを受信すると、そのデータによって示される経路にしたがって道順案内等を行い、ドライバーの運転を支援する。
【0044】
以上説明したように、経路探索装置110は、複数の各自動車Vの出発地から目的地までの経路を探索する。そして、経路探索装置110は、その経路を各自動車Vが移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化をシミュレーションする。そして、経路探索装置110は、そのシミュレーション結果に基づいて、道路の交通量が所定のしきい値以上となる渋滞時に、その道路を通行する自動車Vを特定する。そして、経路探索装置110は、特定した自動車Vのうち、1以上の自動車Vについて、渋滞時にその渋滞している道路を通行しない経路を再探索する。そして、経路探索装置110は、経路を再探索した自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、その再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、経路を示すデータを送信する。このようにして、カーナビゲーションシステム100によっては、既知のカーナビゲーションシステムと比較して、潜在的な未来の混雑を回避し得る、より最適なナビゲーションを行うことができる。
【0045】
また、上述したように、経路探索装置110は、自動車Vの出発地と目的地とを示すデータを、その自動車Vのカーナビゲーション装置Uから受信する。このようにして、カーナビゲーションシステム100によっては、各自動車Vのドライバーによって設定された出発地と目的地とを利用して、経路探索を行うことができる。
【0046】
また、上述したように、経路探索装置110は、交通規制を示すデータを取得する。このようにして、カーナビゲーションシステム100によっては、交通規制を回避し得る経路探索を行うことができる。
【0047】
図7は、本実施形態に係る経路探索装置110を構成するコンピュータ800のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ800は、ホストコントローラ801により相互に接続されるCPU(Central Processing Unit)802、RAM(Random Access Memory)803、グラフィックコントローラ804、及びディスプレイ805を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ806により相互に接続される通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ809を有する入出力部と、入出力コントローラ806に接続されるROM(Read Only Memory)810、フレキシブルディスクドライブ811、及び入出力チップ812を有するレガシー入出力部とを備える。
【0048】
ホストコントローラ801は、RAM803と、高い転送レートでRAM803をアクセスするCPU802、及びグラフィックコントローラ804とを接続する。CPU802は、ROM810、及びRAM803に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィックコントローラ804は、CPU802等がRAM803内に設けたフレームバッファ上に生成する画像データを取得し、ディスプレイ805上に表示させる。これに代えて、グラフィックコントローラ804は、CPU802等が生成する画像データを格納するフレームバッファを、内部に含んでもよい。
【0049】
入出力コントローラ806は、ホストコントローラ801と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROMドライブ809を接続する。ハードディスクドライブ808は、コンピュータ800内のCPU802が使用するプログラム、及びデータを格納する。CD−ROMドライブ809は、CD−ROM892からプログラム、又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808に提供する。
【0050】
また、入出力コントローラ806には、ROM810と、フレキシブルディスクドライブ811、及び入出力チップ812の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM810は、コンピュータ800が起動時に実行するブートプログラム、及び/又はコンピュータ800のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスクドライブ811は、フレキシブルディスク891からプログラム、又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808に提供する。入出力チップ812は、フレキシブルディスクドライブ811を入出力コントローラ806へと接続すると共に、例えばパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ806へと接続する。
【0051】
RAM803を介してハードディスクドライブ808に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク891、CD−ROM892、又はIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM803を介してコンピュータ800内のハードディスクドライブ808にインストールされ、CPU802において実行される。
【0052】
コンピュータ800にインストールされ、コンピュータ800を経路探索装置110として機能させるプログラムは、コンピュータ800を、ステップS203において、複数の各自動車Vの出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部113と、経路探索部113が探索した経路を各自動車Vが移動する場合における、複数の各道路の交通量の経時的変化を、ステップS205においてシミュレーションする交通量シミュレーション部114と、交通量シミュレーション部114がシミュレーションしたシミュレーション結果に基づいて、ステップS206において、道路の交通量が所定のしきい値以上となる渋滞時に、その道路を通行する自動車Vを特定する通行車両特定部115と、通行車両特定部115が特定した自動車Vのうち、1以上の車両について、渋滞時にその渋滞している道路を通行しない経路を、ステップS207において再探索する経路再探索部116と、経路再探索部116が経路を再探索した自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、ステップS209において、その再探索された経路を示すデータを送信し、それ以外の自動車Vのカーナビゲーション装置Uに対しては、経路探索部113が探索した経路を示すデータを、ステップS209において送信する経路データ送信部117として機能させる。
【0053】
更に、当該プログラムは、コンピュータ800を、ステップS201において、自動車Vの出発地と目的地とを示すデータを、その自動車Vのカーナビゲーション装置Uから受信する地点データ受信部112と、地点データ受信部112が受信したデータによって示される出発地から目的地までの経路を、ステップS203において探索する経路探索部113と、地点データ受信部112が受信したデータによって示される出発地から目的地までの経路を、ステップS207において探索する経路再探索部116として機能させてもよい。
【0054】
更に、当該プログラムは、コンピュータ800を、ステップS101において、交通規制を示すデータを取得する交通規制データ取得部111と、交通規制データ取得部111が取得したデータによって示される交通規制を回避する経路を、ステップS203において探索する経路探索部113と、交通規制データ取得部111が取得したデータによって示される交通規制を回避する経路を、ステップS207において探索する経路再探索部116として機能させてもよい。
【0055】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ800に読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である交通規制データ取得部111、地点データ受信部112、経路探索部113、交通量シミュレーション部114、通行車両特定部115、経路再探索部116、経路データ送信部117、交通規制情報格納部118、及び地点情報格納部119として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ800の使用目的に応じた情報の演算、又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の経路探索装置110が構築される。
【0056】
一例として、コンピュータ800と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU802は、RAM803上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェース807に対して通信処理を指示する。通信インターフェース807は、CPU802の制御を受けて、RAM803、ハードディスクドライブ808、フレキシブルディスク891、又はCD−ROM892等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェース807は、ダイレクトメモリアクセス方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU802が転送元の記憶装置、又は通信インターフェース807からデータを読み出し、転送先の通信インターフェース807、又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0057】
また、CPU802は、ハードディスクドライブ808、フレキシブルディスク891、CD−ROM892等の外部記憶装置に格納されたファイル、又はデータベース等の中から、全部、又は必要な部分をダイレクトメモリアクセス転送等によりRAM803へと読み込ませ、RAM803上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU802は、処理を終えたデータを、ダイレクトメモリアクセス転送等により外部記憶装置へと書き戻す。
【0058】
このような処理において、RAM803は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM803、及び外部記憶装置等をメモリ、記憶部、又は記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なおまた、CPU802は、RAM803の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM803の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM803、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
【0059】
また、CPU802は、RAM803から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索、置換等を含む各種の処理を行い、RAM803へと書き戻す。例えば、CPU802は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数、又は定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、又は等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合、又は不成立であった場合に、異なる命令列へと分岐し、又はサブルーチンを呼び出す。
【0060】
また、CPU802は、記憶装置内のファイル、又はデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU802は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0061】
以上に示したプログラム、又はモジュールは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク891、CD−ROM892の他に、DVD(Digital Versatile Disk)、又はCD(Compact Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto−Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワーク、又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク、又はRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ800に提供してもよい。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更、又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更、又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0063】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示したシステム、方法、装置、プログラム、及び記録媒体における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。