特許第6021388号(P6021388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日置電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000002
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000003
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000004
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000005
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000006
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000007
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000008
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000009
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000010
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000011
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000012
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000013
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000014
  • 特許6021388-プローブ装置および測定装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021388
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】プローブ装置および測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/06 20060101AFI20161027BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   G01R1/06 A
   G01R31/36 A
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-84916(P2012-84916)
(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公開番号】特開2013-213770(P2013-213770A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】吉池 哲也
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−170769(JP,U)
【文献】 特開2000−227451(JP,A)
【文献】 特開2008−39430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06
G01R 31/36
G01R 19/155
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のプローブ支持部材の一端部にプローブ本体が配設されたプローブ装置であって、前記プローブ支持部材は、一対の前記プローブ本体が相互に離間させられた状態で配設された第1部材と、前記第1部材が一端部に取り付けられた棒状の第2部材とを備え、前記一対のプローブ本体のうちの少なくとも一方は、当該一対のプローブ本体の他方に対して接離する接離方向への移動が可能に前記第1部材に取り付けられ、前記第1部材は、前記一対のプローブ本体の先端部同士を結ぶ第1仮想線と、前記第2部材における他端部側の部位の長手方向に沿った中心線との交差角度を変更可能に当該第2部材の前記一端部に取り付けられているプローブ装置において、
前記第1部材は、前記第1仮想線と前記中心線との交差角度を変更可能に当該第1部材を軸部材によって前記第2部材に軸着させるための第1軸孔と、当該第1軸孔の軸線および前記第1仮想線の双方と非平行な向きに前記軸部材を挿入可能な第2軸孔とが形成され、前記第1軸孔および前記第2軸孔のいずれかに前記軸部材が挿入された状態で前記第2部材に取り付け可能に構成されているプローブ装置。
【請求項2】
前記第2部材は、前記一端部および前記他端部の間の長さを変更可能に構成された伸縮機構を備えて構成されている請求項1記載のプローブ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のプローブ装置と、前記一対のプローブ本体を介して測定用信号を入出力して測定対象体についての電気的パラメータを測定する測定部とを備えて構成されている測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ支持部材の一端部にプローブ本体が配設されたプローブ装置、およびプローブ装置と測定部とを備えて測定対象体についての電気的パラメータを測定可能に構成された測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置や太陽光発電装置等の電源装置には、蓄電用のバッテリーが搭載されている。この場合、この種の電源装置に搭載されているバッテリーは、数年程度で耐用寿命を迎えて、電源装置において必要とされる蓄電容量に満たない容量となってしまう。このため、この種の電源装置では、搭載しているバッテリーが耐用寿命を迎える前に、劣化したバッテリーを新たなバッテリーに交換する必要がある。
【0003】
例えば、特開平6−342045号公報には、バッテリーの放電電流を測定することで、その劣化の度合いを判定するパッテリーの寿命計測装置(以下、単に「寿命計測装置」ともいう)が開示されている。この寿命計測装置は、バッテリーの正端子および負端子の間に、第1の放電抵抗と、第1の放電抵抗よりも抵抗値が大きい第2の放電抵抗とが並列接続されると共に、第1の放電抵抗を両端子に接続する第1のスイッチ、および第2の放電抵抗を両端子に接続する第2のスイッチを備えて構成されている。
【0004】
この寿命計測装置によるバッテリーの寿命計測(劣化判定)に際しては、まず、上記の両スイッチを交互にオン/オフ制御することによって計測対象のバッテリーにおける両端子に対して両放電抵抗を交互に接続すると共に、第2の放電抵抗を介して放電しているときの放電電流を積算して全放電容量ΔQを求め、かつ、その放電の前後における充電状態Za,Zbを、第1の放電抵抗を介して放電しているとき(第1のスイッチをオン制御しているとき)の端子間電圧に基づいて求める。次いで、全放電容量ΔQと、充電状態Za,Zbとに基づいて計測対象のバッテリーの満充電状態における電荷を算出する。この後、算出した電荷と、新品のバッテリーにおける既知の電荷とを比較することにより、計測対象のバッテリーの劣化度(寿命)が求められる。このような作業を定期的に実施することにより、電源装置に搭載されているバッテリーが耐用寿命を迎える前に新たなバッテリーに交換することが可能となる。
【0005】
一方、前述した電源装置のなかには、多数のバッテリーを搭載しているタイプの電源装置が存在する。具体的には、一例として、図14に示す電源装置70は、天板81、底板82、棚板83,83、側板84,84および背板85と、図示しない正面扉とを有するラック80内に複数のバッテリー90が載置されて構成されている。この場合、この電源装置70は、ラック80の底板82および棚板83,83上に5×3=15個のバッテリー90がそれぞれ載置されて、合計で15×3=45個のバッテリー90を備えて構成されている。
【0006】
このような電源装置70におけるバッテリー90を対象として上記の寿命計測装置によって寿命計測(劣化判定)を行うときには、放電抵抗、スイッチ、寿命判定部および電圧測定部等からなる測定回路を、各バッテリー90の接続端子91a,91bに対して順に接続する必要がある。この場合、ラック80の手前側(正面扉側)から奥側(背板85側)に向かって3列に並んでいる各バッテリー90のうちの、例えば3列目の5つのバッテリー90(背板85側のバッテリー90)のうちのいずれかを計測対象とする寿命計測に際しては、計測者がラック80の奥側まで手を差し入れて接続端子91a,91bに測定回路を接続する必要が生じる。
【0007】
しかしながら、搭載されているバッテリー90が大型の場合には、計測者の手が奥側のバッテリー90における接続端子91a,91bに届かないことがある。また、計測者の手が接続端子91a,91bに届いたとしても、ラック80内に差し入れた手が、手前側のバッテリー90における接続端子91a,91bに接触してしまうおそれがある。したがって、電源装置70に搭載されているバッテリー90の検査に際しては、例えば、実公昭38−5076号公報に開示されている絶縁抵抗計用試験棒(以下、単に「試験棒」ともいう)のような棒状のプローブ装置を利用することで、ラック80内に手を差し入れることなく、奥側のバッテリー90における接続端子91a,91bに対して測定回路を接続する方法が採用されている。
【0008】
この場合、上記の公報には、L字状のテスト金具、接続金具およびネジ金具が相互に連結された試験棒Aと、L字状のテスト金具、接続金具およびコード金具が相互に連結された試験棒Bとが開示されている。また、試験棒Aは、測定対象体に接触させられるフランジ部がテスト金具の一端部に設けられると共に、絶縁材料で形成された握りがネジ金具の一端部に設けられている。さらに、試験棒Bは、測定対象体に接触させられるフランジ部がテスト金具の一端部に設けられると共に、絶縁材料で形成された握りがコード金具の一端部に設けられている。
【0009】
上記のような両試験棒A,Bを利用して、前述した寿命計測装置によってバッテリー90の寿命計測(劣化判定)を実行する際には、両試験棒A,Bを測定回路に接続した状態において、例えば、試験棒Aの握りを左手で把持すると共に試験棒Bの握りを右手で把持して、両試験棒A,Bをラック80内に差し入れる。次いで、試験棒Aのフランジ部を接続端子91aに接触させると共に、試験棒Bのフランジ部を接続端子91bに接触させる。これにより、計測者の手をラック80内に差し入れることなく、接続端子91a,91bに測定回路が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−342045号公報(第3−5頁、第1−8図)
【特許文献2】実公昭38−5076号公報(第1−2頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の試験棒には、以下の解決すべき問題点が存在する。すなわち、従来の試験棒では、例えば接続端子91aに接触させるための試験棒Aと、接続端子91bに接触させるための試験棒Bとが別個独立して形成されている。したがって、従来の試験棒を利用して寿命計測装置等によってバッテリー90の寿命計測(劣化判定)を実行する際には、例えば試験棒Aの握りを左手で把持すると共に試験棒Bの握りを右手で把持して両試験棒を接続端子91a,91bにそれぞれ接触させる必要がある。このため、従来の試験棒には、寿命計測に際して計測者の両手が塞がってしまい、計測開始スイッチ、計測終了スイッチおよび計測値のホールドスイッチ等の各種操作スイッチの操作を行うことができないという問題点がある。
【0012】
また、従来の試験棒では、例えば、試験棒Aを接続端子91aに接触させる際に、試験棒Aのフランジ部を接続端子91aに接触させる作業に集中していることに起因して、試験棒Bのフランジ部を他のバッテリー90の接続端子91a,91bやラック80の導体部分等に誤って接触させてしまい、測定回路に対して想定外の電流が流れ込む事態を招くおそれがある。このような事態が生じたときには、電源装置70や寿命計測装置の破損を招くおそれがある。さらに、試験棒Aを接続端子91aに接触させた後に、試験棒Bを接続端子91bに接触させる際には、試験棒Bのフランジ部を接続端子91bに接触させる作業に集中していることに起因して、接続端子91aに接触させている試験棒Aが接続端子91aから外れてしまい、試験棒Aを接続端子91aに接触させる作業を再び実行する必要が生じることがある。
【0013】
このように、従来の試験棒には、両試験棒A,Bが別個独立して形成されていることに起因して、接続端子91a,91b等の対象物に対して両試験棒A,Bのフランジ部(プローブ本体)をそれぞれ接触させる作業が困難となっており、これに起因して、対象物や測定装置の破損を招いたり、測定処理に要する時間が長くなったりするという問題点がある。
【0014】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、測定対象物に対してプローブ本体を確実かつ容易に接触させることができ、しかも、その状態において各種操作スイッチの操作を行うことが可能なプローブ装置および測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成すべく、請求項1記載のプローブ装置は、棒状のプローブ支持部材の一端部にプローブ本体が配設されたプローブ装置であって、前記プローブ支持部材は、一対の前記プローブ本体が相互に離間させられた状態で配設された第1部材と、前記第1部材が一端部に取り付けられた棒状の第2部材とを備え、前記一対のプローブ本体のうちの少なくとも一方は、当該一対のプローブ本体の他方に対して接離する接離方向への移動が可能に前記第1部材に取り付けられ、前記第1部材は、前記一対のプローブ本体の先端部同士を結ぶ第1仮想線と、前記第2部材における他端部側の部位の長手方向に沿った中心線との交差角度を変更可能に当該第2部材の前記一端部に取り付けられているプローブ装置において、前記第1部材は、前記第1仮想線と前記中心線との交差角度を変更可能に当該第1部材を軸部材によって前記第2部材に軸着させるための第1軸孔と、当該第1軸孔の軸線および前記第1仮想線の双方と非平行な向きに前記軸部材を挿入可能な第2軸孔とが形成され、前記第1軸孔および前記第2軸孔のいずれかに前記軸部材が挿入された状態で前記第2部材に取り付け可能に構成されている。
【0017】
さらに、請求項記載のプローブ装置は、請求項1記載のプローブ装置において、前記第2部材は、前記一端部および前記他端部の間の長さを変更可能に構成された伸縮機構を備えて構成されている。
【0019】
また、請求項記載の測定装置は、請求項1または2記載のプローブ装置と、前記一対のプローブ本体を介して測定用信号を入出力して測定対象体についての電気的パラメータを測定する測定部とを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載のプローブ装置では、一対のプローブ本体のうちの少なくとも一方が他方に対して接離する接離方向への移動が可能に第1部材に取り付けられると共に、一対のプローブ本体の先端部同士を結ぶ第1仮想線と、第2部材における他端部側の部位の長手方向に沿った中心線との交差角度を変更可能に第1部材が第2部材の一端部に取り付けられてプローブ支持部材が構成されている。また、請求項記載の測定装置によれば、上記のプローブ装置と、一対のプローブ本体を介して測定用信号を入出力して測定対象体についての電気的パラメータを測定する測定部とを備えて構成されている。
【0021】
したがって、請求項1記載のプローブ装置および請求項記載の測定装置によれば、例えば、バッテリーの寿命計測(劣化判定)を行うときには、プローブ支持部材の端(第2部材における第1部材の取付け側端部とは反対側の端部)を把持して、バッテリーが収容されているラック内にプローブ装置を挿入することで、両プローブ本体をバッテリーの両接続端子に接触させることができるため、一方の手でプローブ装置を把持して両プローブ本体を両接続端子に接触させた状態を維持しつつ、他方の手で測定装置の操作部等を操作することができる。また、測定対象のバッテリーにおける両接続端子の位置に応じてプローブ本体の離間距離や、プローブ本体を結ぶ第1仮想線と第2部材の長手方向に沿った中心線との交差角度を調整することで、同型のバッテリーを対象とする測定処理を連続して実行するときに、プローブ本体の一方を両接続端子の一方に接触させるだけで、プローブ本体の他方についても、両接続端子の他方に対して確実かつ容易に接触させることができる。これにより、プローブ本体を誤って他のバッテリーの両接続端子に接触させたりラックの導体部分に接触させたりする事態や、プローブ本体のいずれかが両接続端子から外れてしまう事態を回避できるため、測定対象のバッテリーを搭載している電源装置や、測定装置の破損を好適に回避することができる。
また、このプローブ装置およびこの測定装置によれば、第1軸孔および第2軸孔のいずれかに軸部材を挿入するようにして第2部材に第1部材を取り付け可能に構成したことにより、第2部材に対する両プローブ本体の向きのバリエーションが増えるため、用途に応じて第1の軸孔および第2の軸孔のいずれかを使用することで、各種の測定対象体に両プローブ本体を確実かつ容易に接触させることができる。
【0023】
さらに、請求項記載のプローブ装置および請求項記載の測定装置によれば、一端部および他端部の間の長さを変更可能に構成された伸縮機構を備えて第2部材を構成したことにより、ラックの奥側に設置されているバッテリーを測定対象とするときには、第2部材の全長を十分に長くすることでラック内に手を差し入れることなくプローブ本体を両接続端子にそれぞれ接触させることができ、また、ラックの手前側に設置されているバッテリーを測定対象とするときには、第2部材の全長を十分に短くすることで第2部材が邪魔となることなく、プローブ支持部材の端を把持してプローブ装置をラック内に挿入してプローブ本体を両接続端子にそれぞれ接触させることができる。また、プローブ装置(測定装置)を使用しないときには、第2部材の全長を十分に短くすることで、必要となる収納スペースを十分に狭くすることができると共に、容易に携行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】バッテリー検査装置1の構成図である。
図2】バッテリー検査装置1におけるプローブ装置3の外観斜視図である。
図3】プローブ装置3におけるプローブ取付け部32の外観斜視図である。
図4】支持部材本体31の伸縮、およびプローブ取付け部32における角パイプ51に対するスライダ52a,52b(プローブ本体22a,22b)のスライドについて説明するためのプローブ装置3の平面図である。
図5】支持部材本体31に対するプローブ取付け部32の回動について説明するためのプローブ装置3の平面図である。
図6】バッテリー90の接続端子91a,91bの位置と、プローブ本体22a,22bの離間距離L2や支持部材本体31およびプローブ取付け部32の交差角度θ1との関係について説明するための説明図である。
図7】ラック80に積載されたバッテリー90の劣化検査時におけるプローブ装置3の使用方法について説明するための説明図である。
図8】プローブ装置3の他の使用方法について説明するための平面図である。
図9】他の実施の形態に係るプローブ装置3Aの平面図である。
図10】プローブ装置3Bにおける折曲げ機構45近傍の外観斜視図である。
図11】プローブ装置3Bの側面図である。
図12】プローブ装置3Cにおける折曲げ機構55近傍の外観斜視図である。
図13】プローブ装置3Dにおけるプローブ取付け部32dの外観斜視図である。
図14】電源装置70の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、プローブ装置および測定装置の実施の形態について説明する。
【0027】
図1に示すバッテリー検査装置1は、「測定装置」の一例であって、装置本体2およびプローブ装置3を備えて、図14に示す電源装置70に搭載されているバッテリー90等の各種バッテリーを対象として、その劣化の度合いを検査可能に構成されている。
【0028】
装置本体2は、図1に示すように、測定部11、操作部12、表示部13および制御部14を備えている。測定部11は、制御部14の制御に従い、プローブ装置3を介してバッテリー90における接続端子91a,91b間の内部抵抗や、接続端子91a,91b間の電圧など(「測定対象体についての電気的パラメータ」の一例)を測定し、その測定結果を制御部14に出力する。操作部12は、測定部11による測定処理の測定モードを切り替える切替えスイッチや、表示部13に対して測定値を表示させた状態を維持するホールドスイッチ等の各種操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部14に出力する。表示部13は、制御部14の制御に従い、測定部11による測定結果(この例では、抵抗値や電圧値)などを表示する。制御部14は、バッテリー検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部14は、操作部12からの操作信号に従い、測定部11を制御して各種の測定処理を実行させる。また、制御部14は、表示部13を制御して、測定部11から出力された測定結果に基づく測定値等を表示させる。
【0029】
プローブ装置3は、「プローブ装置」の一例であって、図2に示すように、プローブ支持部材21およびプローブ本体22a,22bを備えると共に、両プローブ本体22a,22bが接続ケーブル23a,23bを介して測定部11にそれぞれ接続されている。また、プローブ支持部材21は、支持部材本体31、プローブ取付け部32および軸部材33を備えて構成されている。支持部材本体31は、「第2部材」に相当し、一例として、一端部に握り部41aが設けられた絶縁性樹脂製の丸パイプ41と、その外径が丸パイプ41の内径よりもやや小径に形成されると共にプローブ取付け部32を取り付けるためのヘッド部43が一端部に固定された絶縁性樹脂製の丸パイプ42とが連結部44を介して連結されて全体として棒状に形成されている。
【0030】
この場合、図4に示すように、本例のプローブ装置3では、丸パイプ41に対して丸パイプ42を矢印Aの向きにスライドさせて丸パイプ41に対する丸パイプ42の挿入長を変更することで、支持部材本体31の全長L1(「第2部材」の「一端部および他端部の間の長さ」)を任意に変更することができるように構成されている(「伸縮機構」の一例)。また、本例のプローブ装置3では、丸パイプ41に対して連結部44を周方向に沿って回動させることで、連結部44と丸パイプ42との間に配設されている図示しないストッパ部材を丸パイプ42の周面に押し付けることにより、丸パイプ41に対する丸パイプ42のスライド(支持部材本体31の全長の変更)を規制する構成が採用されている。
【0031】
プローブ取付け部32は、「第1部材」に相当し、図3に示すように、一例として、その長手方向の中央部に軸部材33(本発明における「軸部材」の一例)を挿通可能な軸孔H1(「第1軸孔」の一例)および軸孔H2(「第2軸孔」の一例)が形成された絶縁性樹脂製の角パイプ51と、プローブ本体22a,22bがそれぞれ取り付けられると共に角パイプ51に対してスライド可能に取り付けられた絶縁性樹脂製のスライダ52a,52bとを備えて構成されている(「一対のプローブ本体が相互に離間させられた状態で配設され」との構成の一例)。
【0032】
この場合、図4に示すように、本例のプローブ装置3では、角パイプ51に対してスライダ52aを矢印Bの向きでスライドさせることでプローブ本体22bに対してプローブ本体22aを接離させる接離方向に移動させると共に、角パイプ51に対してスライダ52bを矢印Bの向きでスライドさせることでプローブ本体22aに対してプローブ本体22bを接離させる接離方向に移動させることにより、両プローブ本体22a,22bの離間距離L2を任意に調整することができるように構成されている(「一対のプローブ本体のうちの少なくとも一方」が「双方」の構成の例)。また、本例のプローブ装置3では、一例として、スライダ52a,52bの位置によって両スライダ52a,52bの離間距離L2を示す目盛りおよび距離表示が角パイプ51の表面に記されている(図示せず)。これにより、このプローブ装置3では、各種の測定対象に合わせて両スライダ52a,52bの離間距離L2を変更する場合であっても、同じ測定対象についての測定に際しては、前回測定時における離間距離L2を確実かつ容易に再現することが可能となっている。
【0033】
また、図2に示すように、本例のプローブ装置3では、支持部材本体31の丸パイプ42におけるヘッド部43に対して軸孔H1,H2のいずれかを挿通させるようにして配設した軸部材33によってプローブ取付け部32(角パイプ51)を軸着することで支持部材本体31の一端部にプローブ取付け部32を取り付けることができるように構成されている。この場合、図5に示すように、軸孔H1を挿通させるようにして配設した軸部材33によってヘッド部43にプローブ取付け部32を軸着した状態においては、軸部材33を回動中心として支持部材本体31に対してプローブ取付け部32を矢印Cの向きで回動させることが可能となる。これにより、一対のプローブ本体22a,22bの先端部同士を結ぶ仮想線(「第1仮想線」の一例:同図に示す実線Lb、一点鎖線Lcおよび二点鎖線Ld等)と、支持部材本体31における丸パイプ41(使用時に利用者が把持する側の部位:握り部41aが設けられている部位:「第2部材における他端部側の部位」の一例)の長手方向に沿った中心線(同図に示す破線La)との平面視における交差角度θ1を任意に変更することが可能となっている。なお、本明細書では、「第2部材」の一端部に「第1部材」を軸支している「軸部材(上記の例では「軸部材33」)」の中心線に沿って「プローブ装置」を上方から視認する状態を「平面視」という。
【0034】
さらに、本例の本例のプローブ装置3は、後述するように、軸孔H1に挿通させた状態の33を取り外して丸パイプ42(ヘッド部43)からプローブ取付け部32(角パイプ51)を取り外し、丸パイプ42に対して軸孔H2を挿通させた軸部材33によってプローブ取付け部32を軸着することができるように構成されている。これにより、支持部材本体31に対するプローブ取付け部32(プローブ本体22a,22b)の取り付け姿勢を用途に応じて様々に変化させることが可能となっている。なお、図3に示すように、本例のプローブ装置3では、一例として、軸孔H1の軸線Lh1が、プローブ取付け部32からのプローブ本体22a,22bの突出方向と平行となり、軸線Lh2の軸線Lh2が、軸線Lh1および実線Lbと非平行で、かつ、軸線Lh1に対して直交するように規定されて軸孔H1,H2が形成されている。
【0035】
また、本例のプローブ装置3では、一例として、ヘッド部43における角パイプ51との接触部位、および角パイプ51におけるヘッド部43との接触部位のいずれか一方に、軸部材33に形成された軸孔H1,H2を中心として、複数の凹部(図示せず)が放射状に設けられ、かつ両接触部位の他方に上記の凹部に係合可能な1または複数の凸部が設けられている。これにより、このプローブ装置3では、凹部に対して凸部が係合している状態において、支持部材本体31に対するプローブ取付け部32の意図しない回動が規制されると共に、軸孔H1,H2のいずれかに挿通させられた軸部材33を回動中心として支持部材本体31に対してプローブ取付け部32を相対的に回動させたときには、上記の各凹部に対する凸部の係合、および係合解除が交互に生じることでクリック感が得られるようになっている。
【0036】
さらに、本例のプローブ装置3では、支持部材本体31に対するプローブ取付け部32の回動状態(回動角度)を把握することができるように、一例として、角パイプ51に対するヘッド部43の回動位置によって支持部材本体31に対するプローブ取付け部32の回動角度を示す目盛りおよび角度表示が角パイプ51の表面に記されている(図示せず)。これにより、このプローブ装置3では、各種の測定対象に合わせて支持部材本体31に対するプローブ取付け部32の回動状態を変更する場合であっても、同じ測定対象についての測定に際しては、前回測定時における回動状態を確実かつ容易に再現することが可能となっている。
【0037】
一方、測定対象の一例である電源装置70は、前述したように、多数のバッテリー90がラック80内に収容されて構成されている。また、図14に示すように、この電源装置70では、搭載されているバッテリー90のすべてが同型の製品で構成されており、バッテリー90の筐体における接続端子91a,91bの配設位置や、接続端子91a,91bの離間距離がすべてのバッテリー90において共通となっている。さらに、各バッテリー90を収容するラック80は、図示しない正面扉が取り付けられている前面側だけが開口されており、後述するバッテリー90の検査処理に際しては、ラック80の前面側から収容空間内にプローブ装置3を差し入れて各バッテリー90の接続端子91a,91bにプローブ本体22a,22bを接触させることができるように構成されている。
【0038】
このバッテリー検査装置1を使用して電源装置70の各バッテリー90を検査する際には、まず、図2に示すように、一例として、軸孔H1を挿通させるようにして配設した軸部材33によって支持部材本体31にプローブ取付け部32を軸着させる。次いで、測定対象のバッテリー90における接続端子91a,91bの位置に応じて、プローブ装置3の各部を調整する。具体的には、図6に示すように、一例として、まず接続端子91a,91bの離間距離(接続端子91aの中心と接続端子91bの中心との間の距離)に応じてスライダ52a,52bを角パイプ51に対してそれぞれスライドさせることで、プローブ本体22a,22bの離間距離L2を接続端子91a,91bの離間距離に合わせる。この際に、スライダ52aだけをスライドさせたり、スライダ52bだけをスライドさせることでプローブ本体22a,22bの離間距離L2を調整することもできるが、重量バランスを崩さないためには、軸部材33に対するスライダ52a,52bのそれぞれの離間距離を等しくするのが好ましい。
【0039】
次いで、軸部材33を中心として支持部材本体31に対してプローブ取付け部32を回動させることにより、両プローブ本体22a,22bを結ぶ仮想線(同図における実線Lb)と支持部材本体31の長手方向に沿った線(同図における破線La)との交差角度θ1を、ラック80に対するプローブ装置3の挿入方向(この例では、同図における上下方向)と、接続端子91a,91bを結ぶ仮想線との交差角度に合わせる。続いて、測定対象のバッテリー90のラック80内での設置場所に応じて支持部材本体31を伸縮させる。具体的には、図7に示すように、例えば、ラック80の奥側に設置されているバッテリー90を対象として測定処理を実行する際には、丸パイプ41に対して丸パイプ42をスライドさせることで支持部材本体31の全長を長くすると共に、ラック80の手前側に設置されているバッテリー90を対象として測定処理を実行する際には、丸パイプ41に対して丸パイプ42をスライドさせることで支持部材本体31の全長を短くする。これにより、プローブ装置3の調整作業が完了する。
【0040】
次いで、装置本体2の測定部11に接続ケーブル23a,23bを接続した状態において、例えばプローブ装置3の握り部41aを右手で把持して、測定対象のバッテリー90における接続端子91a,91bに両プローブ本体22a,22bを接触させる。この際に、このバッテリー検査装置1(プローブ装置3)では、上記の調整作業によって、測定対象のバッテリー90の設置位置に応じて支持部材本体31の全長が調整されている。したがって、たとえ奥側のバッテリー90を測定対象とする場合であっても、ラック80内に右手を差し入れることなく、両接続端子91a,91bに両プローブ本体22a,22bを接触させることが可能となっている。
【0041】
また、このバッテリー検査装置1(プローブ装置3)では、上記の調整作業によって、両プローブ本体22a,22bを結ぶ仮想線と支持部材本体31の長手方向に沿った線との交差角度θ1が、ラック80に対するプローブ装置3の挿入方向(この例では、図7における上下方向)と、接続端子91a,91bを結ぶ仮想線との交差角度に合わされている。したがって、ラック80に対して正面側から奥側に向かって真っ直ぐにプローブ装置3を差し入れることで、プローブ支持部材21がラック80の側板84に当接して両プローブ本体22a,22bを接続端子91a,91bに接触させることができなくなる事態を招くことなく、両接続端子91a,91bに両プローブ本体22a,22bを接触させることが可能となっている。
【0042】
さらに、このバッテリー検査装置1(プローブ装置3)では、上記の調整作業によって、プローブ本体22a,22bの離間距離L2が接続端子91a,91bの離間距離に一致させられている。したがって、プローブ本体22aを接続端子91aに対して接触可能な位置に移動させることでプローブ本体22bについても接続端子91bに対して接触可能な位置に移動し、プローブ本体22bを接続端子91bに対して接触可能な位置に移動させることでプローブ本体22aについても接続端子91aに対して接触可能な位置に移動させられる。これにより、両プローブ本体22a,22bを他のバッテリー90の接続端子91a,91bやラック80の導体部分に接触させてしまう事態や、プローブ本体22a,22bのいずれかが接続端子91a,91bから外れてしまう事態が回避される。
【0043】
次いで、握り部41aを右手で把持したまま、装置本体2の操作部12を左手で操作して、例えば、バッテリー90の内部抵抗を測定させる。この際に、測定部11は、制御部14の制御に従い、バッテリー90の接続端子91a,91bの間にケーブル23a,23bおよびプローブ本体22a,22bを介して交流信号(「測定用信号」の一例)を出力すると共に接続端子91a,91b間を流れる電流を入力してその電流値を測定することにより、接続端子91a,91b間の抵抗値を測定する。この場合に、バッテリー90が劣化しているときには、その内部抵抗が、未使用状態のバッテリー90よりも大きな抵抗値となる。したがって、制御部14は、測定部11による測定結果(この例では、抵抗値)を表示部13に表示させると共に、測定部11によって測定された抵抗値が予め規定された抵抗値以下のときには、一例として「測定したバッテリーは正常です」とのメッセージを表示部13に表示させ、測定部11によって測定された抵抗値が予め規定された抵抗値よりも大きいときには、一例として「測定したバッテリーは劣化しています。新しいバッテリーに交換して下さい」とのメッセージを表示部13に表示させる。
【0044】
この後、ラック80内へのバッテリー90の設置位置に応じて支持部材本体31の全長L1を変更しつつ、他のバッテリー90についても、上記のバッテリー90に対する測定処理と同様の手順で内部抵抗を測定する。この際に、手前側に設置されたバッテリー90を対象とする測定処理に際しては、支持部材本体31の全長L1を十分に短くすることで、支持部材本体31が邪魔となることなく、握り部41aを把持した状態において、両プローブ本体22a,22bを接続端子91a,91bに接触させることが可能となる。これにより、電源装置70の点検作業が完了する。
【0045】
一方、前述したように、このバッテリー検査装置1(プローブ装置3)では、軸孔H2を挿通させるようにして配設した軸部材33によって丸パイプ42にプローブ取付け部32を軸着することができるように構成されている。このような取り付け形態を採用した場合には、図8に実線で示すように、プローブ本体22a,22bを支持部材本体31(丸パイプ42)の長手方向に沿って前向きに突出させることができると共に、同図に一点鎖線および二点鎖線の引出線で示すように、軸孔H2に挿入されている軸部材33を中心として支持部材本体31に対してプローブ取付け部32を回動させることで、プローブ本体22a,22bの向きを任意に調整することが可能となる。したがって、支持部材本体31に対して軸孔H1を挿通させた軸部材33によってプローブ取付け部32を軸着した状態において測定対象体にプローブ本体22a,22bを接触させるのが困難な場合であっても、支持部材本体31に対して軸孔H2を挿通させた軸部材33によってプローブ取付け部32を軸着することで、測定対象体にプローブ本体22a,22bを容易に接触させることが可能となる。
【0046】
このように、このプローブ装置3では、一対のプローブ本体22a,22bのうちの少なくとも一方(本例では、双方)が他方に対して接離する接離方向への移動が可能にプローブ取付け部32に取り付けられると共に、一対のプローブ本体22a,22bの先端部同士を結ぶ仮想線と、支持部材本体31における丸パイプ41の長手方向に沿った中心線との交差角度を変更可能にプローブ取付け部32が支持部材本体31の一端部(この例では、丸パイプ42の先端部に設けられたヘッド部43)に取り付けられてプローブ支持部材21が構成されている。また、このバッテリー検査装置1では、上記のプローブ装置3と、一対のプローブ本体22a,22bを介して測定用信号を入出力して測定対象体についての電気的パラメータを測定する測定部11とを備えて構成されている。
【0047】
したがって、このプローブ装置3、およびプローブ装置3を備えたバッテリー検査装置1によれば、プローブ支持部材21の端(この例では、支持部材本体31における丸パイプ41の握り部41a)を把持してプローブ装置3をラック80内に挿入することで、両プローブ本体22a,22bをバッテリー90の接続端子91a,91bに接触させることができるため、一方の手でプローブ装置3を把持して両プローブ本体22a,22bを接続端子91a,91bに接触させた状態を維持しつつ、他方の手で装置本体2の操作部12等を操作することができる。また、測定対象のバッテリー90における接続端子91a,91bの位置に応じてプローブ本体22a,22bの離間距離L2や、プローブ本体22a,22bを結ぶ仮想線と支持部材本体31の長手方向に沿った中心線との交差角度θ1を調整することで、同型のバッテリー90を対象とする測定処理を連続して実行するときに、プローブ本体22a,22bの一方を接続端子91a,91bの一方に接触させるだけで、プローブ本体22a,22bの他方についても、接続端子91a,91bの他方に対して確実かつ容易に接触させることができる。これにより、プローブ本体22a,22bを誤って他のバッテリー90の接続端子91a,91bに接触させたりラック80の導体部分に接触させたりする事態や、プローブ本体22a,22bのいずれかが接続端子91a,91bから外れてしまう事態を回避できるため、バッテリー検査装置1や電源装置70の破損を好適に回避することができる。
【0048】
また、このプローブ装置3およびバッテリー検査装置1によれば、一端部および他端部の間の長さを変更可能に構成された伸縮機構を備えて支持部材本体31を構成したことにより、ラック80の奥側に設置されているバッテリー90を測定対象とするときには、支持部材本体31の全長L1を十分に長くすることでラック80内に手を差し入れることなくプローブ本体22a,22bを接続端子91a,91bにそれぞれ接触させることができ、また、ラック80の手前側に設置されているバッテリー90を測定対象とするときには、支持部材本体31の全長L1を十分に短くすることで支持部材本体31が邪魔となることなく、プローブ支持部材21の端(握り部41a)を把持してプローブ装置3をラック80内に挿入してプローブ本体22a,22bを接続端子91a,91bにそれぞれ接触させることができる。また、プローブ装置3(バッテリー検査装置1)を使用しないときには、支持部材本体31の全長L1を十分に短くすることで、必要となる収納スペースを十分に狭くすることができると共に、容易に携行することができる。
【0049】
さらに、このプローブ装置3およびバッテリー検査装置1によれば、軸孔H1,H2のいずれかに軸部材33を挿入するようにして支持部材本体31にプローブ取付け部32を取り付け可能に構成したことにより、支持部材本体31に対するプローブ本体22a,22bの向きのバリエーションが増えるため、用途に応じて軸孔H1,H2のいずれかを使用することで、各種の測定対象体にプローブ本体22a,22bを確実かつ容易に接触させることができる。
【0050】
なお、「プローブ装置」および「測定装置」の構成は、上記のプローブ装置3およびバッテリー検査装置1の構成に限定されない。例えば、角パイプ51におけるスライダ52aの取付け部位とスライダ52bの取付け部位との間(すなわち、プローブ取付け部32の中央部)を軸部材33によって丸パイプ42のヘッド部43(支持部材本体31の一端部)に軸着した構成のプローブ装置3を例に挙げて説明したが、「第1部材」の「第2部材」に対する軸着位置は、この例に限定されない。例えば、図9に示すプローブ装置3Aでは、前述したプローブ装置3におけるプローブ支持部材21に代えて、プローブ支持部材21aを備えて構成されている。
【0051】
なお、このプローブ装置3Aや、後述するプローブ装置3B〜3D(図10〜13参照)において前述したプローブ装置3と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。この場合、プローブ支持部材21aは、プローブ装置3におけるプローブ支持部材21のプローブ取付け部32に代えて、角パイプ51の一端部が軸部材33によって丸パイプ42のヘッド部43に軸着されると共に、この角パイプ51の他端部側にスライダ52a,52bの双方がスライド可能に取り付けられて、「第1部材」に相当するプローブ取付け部32aが構成されている。
【0052】
このような構成のプローブ装置3Aにおいても、丸パイプ41に対して丸パイプ42を矢印Aの向きでスライドさせることで、支持部材本体31の全長L1を任意に変更することができる。また、角パイプ51に対して両スライダ52a,52bを矢印Bの向きでスライドさせることで、両プローブ本体22a,22bの離間距離L2を任意に調整することができる。さらに、軸部材33を軸中心として支持部材本体31に対してプローブ取付け部32aを矢印Cの向きで回動させることで、両プローブ本体22a,22bを結ぶ仮想線(「第1仮想線」の一例:この例では、実線Lb)と支持部材本体31の長手方向に沿った中心線(この例では、破線La)との交差角度θ1を任意に調整することができる。したがって、前述したプローブ装置3と同様の効果を奏することができる。
【0053】
また、図10,11に示すプローブ装置3Bにおけるプローブ支持部材21bのように、支持部材本体31b(「第2部材」の他の一例)をプローブ取付け部32に対して上下方向に折曲げ可能とする折曲げ機構45を設けることもできる。具体的には、このプローブ装置3Bでは、丸パイプ41等と相まって支持部材本体31bを構成する丸パイプ42がプローブ側部位42aおよび握り部側部位42bを備えて軸部材42cによって相互に軸支されて折曲げ機構45が構成されている。これにより、このプローブ装置3Bでは、プローブ取付け部32からの両プローブ本体22a,22bの突出方向と平行な仮想線(図11に示す二点鎖線:「プローブ本体の突出方向と平行な第2仮想線」の一例)と、丸パイプ41の長手方向に沿った中心線(図11に示す破線および一点鎖線)との側面視における交差角度θ2を任意に変更することが可能となっている。
【0054】
なお、図11では、プローブ取付け部32に対して支持部材本体31bを上側方向に折り曲げた状態を一点鎖線で図示しているが、このプローブ装置3Bでは、実線で示す非折曲げ状態よりも下側方向に支持部材本体31bを折り曲げることもできるように構成されている。また、本明細書では、「折曲げ機構」を構成している「軸部材(この例では、後述する「軸部材42c」)の中心線に沿って「プローブ装置」を側方から視認する状態を「側面視」という。
【0055】
この場合、このプローブ装置3Bの折曲げ機構45では、一例として、プローブ側部位42aにおける握り部側部位42bとの接触部位、および握り部側部位42bにおけるプローブ側部位42aとの接触部位のいずれか一方に、軸部材42cの挿通孔を中心として複数の凹部(図示せず)が放射状に設けられ、かつ両接触部位の他方に上記の凹部に係合可能な1または複数の凸部が設けられている。これにより、このプローブ装置3Bでは、凹部に対して凸部が係合している状態において、プローブ側部位42aに対する握り部側部位42bの意図しない回動が規制されると共に、軸部材42cを回動中心としてプローブ側部位42aに対して握り部側部位42bを相対的に回動させたときには、上記の各凹部に対する凸部の係合、および係合解除が交互に生じることでクリック感が得られるようになっている。
【0056】
さらに、このプローブ装置3Bでは、プローブ側部位42aに対する握り部側部位42bの回動状態(折曲げ機構45によるプローブ支持部材21bの折曲げ角度)を把握することができるように、一例として、プローブ側部位42aに対する握り部側部位42bの回動角度を示す目盛りおよび角度表示がプローブ側部位42aの側面に記されると共に(図示せず)、各目盛りのうちのいずれかを指し示す矢印(図示せず)が握り部側部位42bの側面に記されている。これにより、このプローブ装置3Bでは、各種の測定対象に合わせてプローブ側部位42aに対する握り部側部位42bの回動状態を変更する場合であっても、同じ測定対象についての測定に際しては、前回測定時における回動状態を確実かつ容易に再現することが可能となっている。なお、プローブ側部位42aに対する握り部側部位42bの意図しない回動を規制するための構成や、プローブ側部位42aに対する握り部側部位42bの回動角度を把握するための構成については、後述するプローブ装置3Cの折曲げ機構55(図12参照)においても同様となっている。
【0057】
このように、このプローブ装置3Bおよびバッテリー検査装置1によれば、両プローブ本体22a,22bの突出方向と平行な仮想線と、支持部材本体31bにおける丸パイプ41の長手方向に沿った中心線との交差角度θ2を変更可能とする折曲げ機構45を支持部材本体31cに設けたことにより、プローブ本体22a,22bを接触させるべき接続端子91a,91bの位置が丸パイプ41の端部(この例では、握り部41a)よりも下方または上方に位置する場合であっても、折曲げ機構45の部位でプローブ支持部材21bを折り曲げて、支持部材本体31bおよびプローブ取付け部32を相互に連結している両プローブ本体22a,22bの突出方向と平行な仮想線と、丸パイプ41の中心線との交差角度θ2を任意に変更するだけで、丸パイプ41を握る手の高さを変えることなく、下方または上方に位置している接続端子91a,91bにプローブ本体22a,22bを確実かつ容易に接触させることができる。
【0058】
さらに、「折曲げ機構」については、「第2部材」の側に設ける構成に限定されず、図12に示すプローブ装置3Cにおけるプローブ支持部材21cに設けた折曲げ機構55のように、「第1部材」の他の一例であるプローブ取付け部32cの側に設けてもよい。この場合、このプローブ装置3Cでは、角パイプ51上に立設されたステー51aと、「第2部材」の他の一例である支持部材本体31cのヘッド部43aに軸部材33によって軸支された握り部側部位51bとが軸部材51cによって相互に軸支されて折曲げ機構55が構成されている。このような構成を採用した場合においても、上記のプローブ装置3Bと同様の効果を奏することができる。
【0059】
また、図13に示すプローブ装置3Dにおけるプローブ支持部材21dのように、プローブ装置3等における軸孔H1,H2に代えて、「第1部材」の他の一例であるプローブ取付け部32dを支持部材本体31(図示せず)に対して軸部材33を回動中心として矢印D1,D2の向きに回動可能に軸孔H3を形成することもできる。この構成によれば、一対のプローブ本体22a,22b(図示せず)の先端部同士を結ぶ仮想線と、支持部材本体31における丸パイプ41(図示せず)の長手方向に沿った中心線との交差角度を変更するための機構、および「折曲げ機構」の双方を軸部材33および軸孔H3だけで構成することができる。加えて、「プローブ装置」の用途は、バッテリーの検査時における測定処理に限定されず、高電圧・高電流発生箇所において、上記のプローブ装置3,3A〜3Dのような「プローブ装置」を使用して任意の電気的パラメータを測定することで安全に測定することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 バッテリー検査装置
2 装置本体
3,3A〜3D プローブ装置
11 測定部
14 制御部
21,21a〜21d プローブ支持部材
22a,22b プローブ本体
23a,23b 接続ケーブル
31,31b,31c 支持部材本体
32,32a,32c,32d プローブ取付け部
33,42c,51c 軸部材
41,42 丸パイプ
41a 握り部
42a プローブ側部位
42b,51b 握り部側部位
43,43a ヘッド部
44 連結部
45,55 折曲げ機構
51 角パイプ
51a ステー
52a,52b スライダ
70 電源装置
80 ラック
90 バッテリー
91a,91b 接続端子
Lh1,Lh2 軸線
H1〜H3 軸孔
θ1,θ2 交差角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14