(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本技術を適用したディジタルカメラの一実施の形態]
【0018】
図1は、本技術を適用した撮像装置としてのディジタルカメラの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0019】
レンズ部11は、撮影レンズ、絞り、フォーカスレンズ等を含み、レンズ部11に入射する光は、イメージセンサ12に照射される。
【0020】
イメージセンサ12は、例えば、CCDや(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャ等で構成され、TG22から供給されるタイミング信号に同期して動作する。
【0021】
イメージセンサ12は、レンズ部11からの光を光電変換し、その結果得られるアナログの画像信号を、アナログ信号処理部13に供給する。
【0022】
アナログ信号処理部13は、イメージセンサ12からの画像信号に、相関二重サンプリング処理や自動利得調整処理等のアナログ信号処理を施し、A/D(Analog/Digital)変換部14に供給する。
【0023】
A/D(Analog/Digital)変換部14は、アナログ信号処理部13からの画像信号をA/D変換し、その結果得られるディジタルの画像データを、ディジタル信号処理部15に供給する。
【0024】
ディジタル信号処理部15は、A/D変換部14からの画像データに、ホワイトバランス調整処理や、ノイズ除去処理、必要な圧縮符号化処理(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)符号化や、MPEG(Moving Picture Experts Group)符号化等)等のディジタル信号処理を施し、入出力パネル18(の表示部17)や記録デバイス19に供給する。
【0025】
入出力パネル18は、入力部16と表示部17とで構成される。
【0026】
入力部16は、外部からの入力を受け付ける(検知する)機能を有するデバイス、すなわち、例えば、静電式等のタッチパネルや、光を照射する光源と、その光の、物体からの反射光を受光するセンサとのセット等で構成される。
【0027】
入力部16は、外部からの物体、すなわち、例えば、ユーザの指や、ユーザが扱うタッチペン等が近接し、又は、タッチされると、その近接、又は、タッチがされている位置を表す信号を、CPU23に供給する。
【0028】
表示部17は、画像を表示するデバイス(表示装置)、すなわち、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等で構成され、ディジタル信号処理部15から供給される画像データ等に応じて、画像を表示する。
【0029】
入出力パネル18は、以上のような入力部16と表示部17とが一体的になっており、表示部17において画像を表示し、入力部16において、表示部17に表示された画像に対する外部からの操作入力を受け付けることができる。
【0030】
なお、入出力パネル18としては、例えば、いわゆるタッチスクリーン等を採用することができる。
【0031】
記録デバイス19には、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)等のディスクや、メモリカード等の半導体メモリその他のリムーバブルな記録媒体(図示せず)の着脱が可能になっており、記録デバイス19は、装着された記録媒体に対する画像データの記録再生制御を行う。
【0032】
すなわち、記録デバイス19は、ディジタル信号処理部15からの画像データを、記録媒体に記録し、また、記録媒体に記録された画像データを読み出し、ディジタル信号処理部15に供給する。
【0033】
アクチュエータ20は、レンズ部11のフォーカスレンズや絞りを調整するモータであり、モータドライバ21によって駆動される。
【0034】
モータドライバ21は、CPU(Central Processing Unit)23の制御に従い、アクチュエータ20を駆動する。
【0035】
TG(Timing Generator)22は、CPU23の制御に従い、イメージセンサ12において画素値としての電荷を読み出すためのタイミング信号や露出時間等を調整するためのタイミング信号を、イメージセンサ12に供給する。その他、TG22は、必要なタイミング信号を、必要なブロックに供給する。
【0036】
CPU23は、プログラムROM(Read Only Memory)26に記憶されたプログラム、さらには、必要に応じて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)25に記憶されたプログラムを実行することにより、ディジタルカメラを構成する各ブロックを制御する。
【0037】
操作部24は、ユーザによって操作される物理的なボタン等であり、ユーザの操作に対応する信号を、CPU23に供給する。
【0038】
EEPROM25は、例えば、ユーザが操作部24等を操作することにより設定した撮像パラメータ等の、ディジタルカメラの電源がオフされたときにも保持する必要があるデータや、プログラムを記憶する。
【0039】
プログラムROM26は、CPU23が実行するプログラム等を記憶している。
【0040】
RAM27は、CPU23の動作上必要なデータやプログラムを一時記憶する。
【0041】
以上のように構成されるディジタルカメラでは、CPU23が、プログラムROM26に記録されているプログラムを実行することにより、ディジタルカメラの各部を制御する。
【0042】
一方、イメージセンサ12は、TG22から供給されるタイミング信号に同期して動作しており、レンズ部11に入射した光を光電変換する。イメージセンサ12において、光電変換の結果得られる画像信号は、アナログ信号処理部13に供給される。
【0043】
アナログ信号処理部13では、イメージセンサ12からの画像信号に、アナログ信号処理が施され、A/D変換部14に供給される。A/D変換部14では、アナログ信号処理部13からの画像信号が、A/D変換され、その結果得られるディジタルの画像データが、ディジタル信号処理部15に供給される。
【0044】
ディジタル信号処理部15では、A/D変換部14からの画像データに、ディジタル信号処理が施され、入出力パネル18(の表示部17)に供給されて、対応する画像、すなわち、いわゆるスルー画が表示される。
【0045】
また、CPU23は、入出力パネル18(の入力部16)や操作部24からの信号に従い、所定の処理を実行する。
【0046】
すなわち、入出力パネル18や操作部24が、例えば、撮像を行うように操作されると、CPU23は、ディジタル信号処理部15を制御することにより、A/D変換部14からの画像データに、圧縮符号化処理を施させ、記録デバイス19を介して、記録媒体に記録させる。
【0047】
また、入出力パネル18や操作部24が、例えば、再生を行うように操作されると、CPU23は、ディジタル信号処理部15を制御することにより、記録デバイス19を介して、記録媒体から、画像データを読み出させる。
【0048】
さらに、CPU23は、ディジタル信号処理部15に、記録媒体から読み出した画像データを伸張させ、入出力パネル18に供給して表示させる。
【0050】
図2は、
図1のTG22の構成例を示すブロック図である。
【0051】
図2において、TG22は、高速発振器31、低速発振器32、及び、セレクタ33を有する。
【0052】
高速発振器31は、例えば、PLL回路であり、CPU23(
図1)の制御に従って、ディジタルカメラの動作モードが、通常の撮像を行う通常モードである場合に、イメージセンサ12(
図1)で画像を撮像するのに必要な高速のクロック(基準クロック)を発振(生成)し、セレクタ33に供給する。
【0053】
低速発振器32は、例えば、リング発振器であり、CPU23の制御に従って、ディジタルカメラの動作モードが、イメージセンサ12がそれほど高速で動作する必要がない低速モードである場合に、イメージセンサ12で用いられる、高速発振器31のクロックよりも低速(周波数の低い)クロックを発振し、セレクタ33に供給する。
【0054】
セレクタ33は、CPU23の制御に従って、高速発振器31から供給されるクロック、及び、低速発振器32から供給されるクロックのうちの一方を選択し、タイミング信号として、イメージセンサ12に供給する。
【0055】
ここで、イメージセンサ12は、そこに入射する光を光電変換するので、画像を撮像する他、例えば、照度を計測するための照度センサとして利用することができる。イメージセンサ12を、照度センサとして利用する場合、イメージセンサ12は、画像を撮像するときのように高速で動作する必要がない。
【0056】
そこで、ディジタルカメラにおいて、イメージセンサ12を、照度センサとして利用して、照度を計測する場合、CPU23は、動作モードを低速モードに設定し、セレクタ33に、低速発振器32から供給されるクロックを選択させ、イメージセンサ12に供給させる。
【0057】
一方、ディジタルカメラにおいて、画像の撮像を行う場合、CPU23は、動作モードを通常モードに設定し、セレクタ33に、高速発振器31から供給されるクロックを選択させ、イメージセンサ12に供給させる。
【0058】
以上のように、イメージセンサ12が高速で動作する必要がない低速モードでは、低速発振器32で得られる、高速発振器31のクロックよりも低速なクロックが、イメージセンサ12に供給され、イメージセンサ12は、その低速なクロックに同期して動作する。したがって、低速モードにおいては、通常モードの場合よりも、イメージセンサ12の消費電力を低減することができる。
【0059】
すなわち、低速モードにおいて、イメージセンサ12を、低速発振器32の低速なクロックに同期して動作させることにより、高速発振器31の高速なクロックに同期して動作させる場合よりも、イメージセンサ12の消費電力を低減することができる。
【0061】
図3は、
図2の低速発振器32の構成の概要を示すブロック図である。
【0062】
図3において、低速発振器32は、3個以上の奇数個である2N+1個(Nは、1以上の整数)のインバータ40
1,40
2,・・・,40
n−1,40
n,40
n+1,・・・,40
2N+1と、遅延部41とを有する。
【0063】
2N+1個のインバータ40
1ないし40
2N+1は、その順で、ループ状に接続されており、インバータ40
iは(i=1,2,・・・,2N+1)、そこに入力される(電圧)レベルを反転して出力する。
【0064】
なお、
図3では、最終段のインバータ40
2N+1の出力が、低速発振器32の出力である発振出力信号として出力される。
【0065】
2N+1個のインバータ40
1ないし40
2N+1のうちの1つのインバータ40
nは(nは、1ないし2N+1の範囲の任意の整数)、シュミットトリガインバータになっている。以下、インバータ40
nを、シュミットトリガインバータ40
nともいう。
【0066】
遅延部41は、シュミットトリガインバータ40
nの前段に設けられており、そのシュミットトリガインバータ40
nに入力される電圧の変化(前段のインバータ40
n−1の出力の変化)を遅延させる。
【0067】
ここで、遅延部41での、シュミットトリガインバータ40
nに入力される電圧(以下、シュミットトリガ入力電圧ともいう)の変化の遅延量によって、低速発振器32の発振周期(発振周波数)が決まる。遅延部41での遅延量は、シュミットトリガインバータ40
nのヒステリシス幅等によって決まる。
【0068】
以上のように構成される低速発振器32では、最終段のインバータ40
2N+1の出力である発振出力信号が、最初の段のインバータ40
1に入力され、インバータ40
1において反転され、後段のインバータ40
2に出力される。
【0069】
以下、同様に、各インバータ40
iには、前段のインバータ40
i−1の出力が入力され、各インバータ40
iでは、前段のインバータ40
i−1の出力が反転されて、後段のインバータ40
i+1に出力される。
【0070】
低速発振器32を構成するインバータ40
1ないし40
2N+1の数2N+1は、奇数であるため、低速発振器32では、最初の段のインバータ40
1の入力を反転したレベルが、最終段のインバータ40
2N+1から出力され、その最終段のインバータ40
2N+1の出力が、最初の段のインバータ40
1に入力される。その結果、低速発振器32は発振する。
【0071】
なお、低速発振器32では、インバータ40
n−1は、前段のインバータ40
n−2の出力を反転した後、後段の遅延部41に供給する。
【0072】
遅延部41は、シュミットトリガ入力電圧となるインバータ40
n−1の出力の変化を遅延し、シュミットトリガ入力電圧として、シュミットトリガインバータ40
nに出力する。
【0073】
低速発振器32では、遅延部41において、シュミットトリガ入力電圧の変化の速度を調整することができ、シュミットトリガインバータ40
nにおいて、ヒステリシス幅を調整することができる。
【0074】
低速発振器32において、発振周期(発振周波数の逆数)、すなわち、発振出力信号の周期は、シュミットトリガ入力電圧の変化の速度と、シュミットトリガインバータ40
nのヒステリシス幅とによって決まる。
【0075】
したがって、低速発振器32では、シュミットトリガ入力電圧の変化の速度やヒステリシス幅を調整することにより、発振周波数を可変に制御することができる。
【0077】
図4は、
図2の低速発振器32の第1の構成例を示すブロック図(回路図)である。
【0078】
なお、図中、
図3の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0079】
図4では、低速発振器32は、3個のインバータ40
1,40
2,及び、40
3と、遅延部41とを有する。
【0080】
また、
図4では、ループ状に接続された3個のインバータ40
1ないし40
3のうちの、2段目のインバータ40
2がシュミットトリガインバータになっている。
【0081】
インバータ40
1は、pMOS(positive channel Metal Oxide Semiconductor)のFET(Field Effect Transistor)51、及び、nMOS(negative channel MOS)のFET52のドレインどうしが接続され、かつ、ゲートどうしが接続されたCMOS(Complementary MOS)構成のインバータである。
【0082】
インバータ40
1の入力端子は、FET51及び52のゲートどうしの接続点であり、インバータ40
1の出力端子は、FET51及び52のドレインどうしの接続点である。
【0083】
シュミットトリガインバータ40
2以外のインバータ、すなわち、
図4では、インバータ40
1及び40
3は、以上のようなCMOS構成のインバータになっている。
【0084】
シュミットトリガインバータ40
2は、インバータ61、電流源62及び63、FET64及び65、並びに、抵抗66を有する。
【0085】
インバータ61は、例えば、インバータ40
1と同様の、CMOS構成のインバータであり、インバータ61の出力端子は、後段のインバータ40
3の入力端子に接続されている。したがって、インバータ61の出力が、シュミットトリガインバータ40
2の出力として出力される。
【0086】
さらに、インバータ61の出力端子は、FET64及び65のゲートに接続されており、インバータ61の入力端子は、FET64及び65それぞれのドレインに接続されている。
【0087】
電流源62は、電圧VDDの電源と、FET64のソースとの間に接続されており、電源からFET64の方向に、電流を流す。
【0088】
電流源63は、電圧(電位)VSSのGND(グラウンド)と、FET65のソースとの間に接続されており、FET65からGNDの方向に、電流を流す。
【0089】
なお、電流源62及び63は、同一の(電流値の)電流I2を流す。
【0090】
FET64は、pMOSのFETで、FET65は、nMOSのFETであり、FET64及び65のドレインどうしは接続されている。
【0091】
FET64及び65は、低速発振器32が出力する発振出力信号、すなわち、最終段のインバータ40
3の出力に応じて、抵抗66に流れる電流の方向を切り替えるスイッチとして機能する。
【0092】
抵抗66の一端は、FET64及び65のドレインどうしの接続点(インバータ61の入力端子)に接続され、抵抗66の他端は、シュミットトリガインバータ40
2の入力端子として、遅延部41を介して、前段のインバータ40
1の出力端子に接続されている。
【0093】
抵抗66には、後述するように、電流源62が流す電流I2や、電流源63が流す電流I2が流れる。
【0094】
遅延部41は、電流源71及び72、並びに、コンデンサ73を有する。
【0095】
電流源71は、電源と、インバータ40
1を構成するFET51のソースとの間に接続されており、電源からFET51の方向に、電流を流す。
【0096】
電流源72は、GNDと、FET52のソースとの間に接続されており、FET52からGNDの方向に、電流を流す。
【0097】
なお、電流源71及び72は、同一の電流I1を流す。
【0098】
また、本実施の形態では、例えば、電流源71及び72が流す電流I1は、電流源62及び63が流す電流I2よりも大であることとする。なお、電流I1は、電流I2よりも小であってもよい。
【0099】
コンデンサ73の一端は、GNDに接地され、他端は、前段のインバータ40
1の出力端子、さらには、その出力端子と接続されている、シュミットトリガインバータ40
2の入力端子としての抵抗66の他端に接続されている。
【0100】
ここで、以下、適宜、抵抗66の他端(シュミットトリガインバータ40
2の入力端子)を、ノード#1ともいい、ノード#1の電圧を、電圧V1とも記載する。また、以下、適宜、抵抗66の一端(インバータ61の入力端子)(FET64及び65のドレインどうしの接続点)を、ノード#2ともいい、ノード#2の電圧を、電圧V2とも記載する。
【0101】
図5は、
図4の低速発振器32の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0102】
図4の低速発振器32では、その低速発振器32の出力である発振出力信号の極性が、H(High)レベルであるか、又は、L(Low)レベルであるかに応じて、抵抗66及びコンデンサ73に流れる電流の方向が、スイッチとしてのFET64及び65のオン/オフによって切り替わる。
【0103】
具体的には、例えば、発振出力信号がLレベルである場合には、その発振出力信号が入力端子に供給されるインバータ40
1のpMOSのFET51はオンし、nMOSのFET52はオフする。
【0104】
また、発振出力信号がLレベルである場合には、その発振出力信号を出力しているインバータ40
3の入力、ひいては、シュミットトリガインバータ40
2の出力でもあるインバータ61の出力は、Hレベルになっている。したがって、Hレベルのインバータ61の出力がゲートに供給されるpMOSのFET64、及び、nMOSのFET65については、FET64はオフし、FET65はオンする。
【0105】
その結果、電流は、電流源71からオン状態のFET51に流れ、ノード#1に流れる。
【0106】
ノード#1に流れた電流は、コンデンサ73に流れる(注入される)。
【0107】
さらに、ノード#1に流れた電流は、抵抗66、ノード#2、及び、オン状態のFET65を流れ、電流源63に流れる。
【0108】
電流源71から、FET51を介して、ノード#1に向っては、電流源71が流す電流I1が流れる。
【0109】
また、ノード#1から、抵抗66、ノード#2、及び、FET65を介して、電流源63に向っては、電流源63が流す電流I2が流れる。
【0110】
したがって、コンデンサ73には、電流源71が流す電流I1と、電流源63が流す電流I2との差分の電流I1-I2が、ノード#1から注入される(コンデンサ73において、差分の電流I1-I2が、ノード#1からGNDの方向に流れる)。
【0111】
一方、発振出力信号がHレベルである場合には、その発振出力信号が入力端子に供給されるインバータ40
1のpMOSのFET51はオフし、nMOSのFET52はオンする。
【0112】
また、発振出力信号がHレベルである場合には、その発振出力信号を出力しているインバータ40
3の入力、ひいては、シュミットトリガインバータ40
2の出力でもあるインバータ61の出力は、Lレベルになっている。したがって、Lレベルのインバータ61の出力がゲートに供給されるpMOSのFET64、及び、nMOSのFET65については、FET64はオンし、FET65はオフする。
【0113】
その結果、電流は、電流源62から、オン状態のFET64、ノード#2、及び、抵抗66を介して、ノード#1に流れる。
【0114】
さらに、ノード#1には、コンデンサ73から放出(放電)される電流が流れる。
【0115】
ノード#1に流れた電流は、オン状態のFET52を介して、電流源72に流れる。
【0116】
電流源62から、FET64、ノード#2、及び、抵抗66を介して、ノード#1に向っては、電流源62が流す電流I2が流れる。
【0117】
また、ノード#1から、FET52を介して、電流源72に向っては、電流源72が流す電流I1が流れる。
【0118】
したがって、コンデンサ73からは、電流源72が流す電流I1と、電流源62が流す電流I2との差分の電流I1-I2が、ノード#1に放出される(コンデンサ73において、GNDからノード#1の方向に、差分の電流I1-I2が流れる)。
【0119】
以上のように、低速発振器32では、発振出力信号の極性に応じて、コンデンサ73に対し、電流I1とI2との差分の電流(以下、差分電流ともいう)I1-I2が注入され、又は、放出される。
【0120】
コンデンサ73に差分電流I1-I2が注入される場合、抵抗66には、電流源63が流す電流I2が、ノード#1からノード#2の方向に流れる。この場合、抵抗66の抵抗値を、Rと表すこととすると、ノード#2の電圧V2は、抵抗66において生じる電圧降下I2×Rだけ、ノード#1の電圧V1よりも低い電圧V1-I2×Rとなる。
【0121】
また、コンデンサ73から差分電流I1-I2が放出される場合、抵抗66には、電流源62が流す電流I2が、ノード#2からノード#1の方向に流れる。この場合、ノード#2の電圧V2は、抵抗66において生じる電圧降下I2×Rだけ、ノード#1の電圧V1よりも高い電圧V1+I2×Rとなる。
【0122】
インバータ61に入力されるノード#2の電圧V2が、上昇又は下降し、インバータ61の閾値Vth(インバータ61の出力が反転するときの、インバータ61の入力の電圧)を超えると(又は閾値Vthに等しくなると)、インバータ61の出力の極性、ひいては、発振出力信号の極性が反転し、コンデンサ73に対する差分電流I1-I2の注入と放出、ひいては、抵抗66に流れる電流I2の方向が切り替わる。
【0123】
低速発振器32の発振中は、以上のように、コンデンサ73に対する差分電流I1-I2の注入と放出とが切り替わることにより、ノード#1の電圧V1は、
図5に示すように、(ほぼ)三角波となる。
【0124】
すなわち、コンデンサ73に差分電流I1-I2が注入されるときには、ノード#1の電圧V1は、コンデンサ73への電荷のチャージにより、近似的に線形に上昇し、コンデンサ73から差分電流I1-I2が放出されるときには、ノード#1の電圧V1は、コンデンサ73からの電荷の放出により、近似的に線形に下降する。
【0125】
いま、インバータ61の出力が、Hレベルになっている(FET64がオフで、FET65がオンになっている)こととすると、コンデンサ73に差分電流I1-I2が注入され、ノード#1の電圧V1は、上昇する。
【0126】
コンデンサ73への差分電流I1-I2の注入時には、抵抗66を流れる電流I2が、ノード#1からノード#2の方向に流れ、その結果、インバータ61の入力であるノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ低い電圧V1-I2×Rになる。さらに、
図5に示すように、ノード#2の電圧
V2は、ノード#1の電圧V1が上昇するのと同様に上昇する。
【0127】
ノード#2の電圧V2=V1-I2×Rが上昇して、インバータ61の閾値Vth以上(より大)となると、インバータ61の出力は、
図5に示すように、HレベルからLレベルに反転する。
【0128】
インバータ61の出力が、Lレベルになると、コンデンサ73からは差分電流I1-I2の放出が開始され、さらに、抵抗66に流れる電流I2の方向は、ノード#1からノード#2の方向から、ノード#2からノード#1の方向に切り替わる。
【0129】
以上のように、抵抗66に流れる電流I2の方向が、ノード#1からノード#2の方向から、ノード#2からノード#1の方向に切り替わると、ノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ高い電圧V1+I2×Rになる。
【0130】
したがって、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ低い電圧V1-I2×Rであったノード#2の電圧V2が上昇して、インバータ61の閾値Vthに等しくなった瞬間、
図5に示すように、ノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ低い電圧V1-I2×Rから、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ高い電圧V1+I2×Rに急上昇する。
【0131】
インバータ61の出力が、Lレベルになると、上述したように、コンデンサ73からは差分電流I1-I2の放出が開始されるので、ノード#1の電圧V1は、下降する。
【0132】
コンデンサ73からの差分電流I1-I2の放出時には、抵抗66を流れる電流I2が、ノード#2からノード#1の方向に流れ、その結果、インバータ61の入力であるノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ高い電圧V1+I2×Rになる。さらに、
図5に示すように、ノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1が下降するのと同様に下降する。
【0133】
ノード#2の電圧V2=V1-I2×Rが下降して、インバータ61の閾値Vth未満(以下)となると、インバータ61の出力は、
図5に示すように、LレベルからHレベルに反転する。
【0134】
インバータ61の出力が、Hレベルになると、コンデンサ73には差分電流I1-I2の注入が開始され、さらに、抵抗66に流れる電流I2の方向は、ノード#2からノード#1の方向から、ノード#1からノード#2の方向に切り替わる。
【0135】
以上のように、抵抗66に流れる電流I2の方向が、ノード#2からノード#1の方向から、ノード#1からノード#2の方向に切り替わると、ノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ低い電圧V1-I2×Rになる。
【0136】
したがって、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ高い電圧V1+I2×Rであったノード#2の電圧V2が下降して、インバータ61の閾値Vthに等しくなった瞬間、
図5に示すように、ノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ高い電圧V1+I2×Rから、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ低い電圧V1-I2×Rに急下降する。
【0137】
インバータ61の出力が、Hレベルになり、コンデンサ73への差分電流I1-I2の注入が開始されると、上述したように、ノード#1の電圧V1は上昇し、以下、同様の動作が繰り返される。
【0138】
以上のように、低速発振器32では、抵抗66に流れる電流I2の方向が、ノード#1からノード#2の方向である場合には、ノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ低い電圧V1-I2×Rになり、抵抗66に流れる電流I2の方向が、ノード#2からノード#1の方向である場合には、ノード#2の電圧V2は、ノード#1の電圧V1よりも抵抗66での電圧降下I2×R分だけ高い電圧V1+I2×Rになる。
【0139】
したがって、電圧V2と電圧V1との差分(ノード#2とノード#1との電位差)V2-V1は、
図5に示すように、値として、-I2×Rと、+I2×Rとを交互にとるパルスになる。
【0140】
また、インバータ61の出力、すなわち、シュミットトリガインバータ40
2の出力は、
図5に示すように、インバータ61の入力であるノード#2の電圧V2が、インバータ61の閾値Vth以上であるときに、Lレベルとなり、ノード#2の電圧V2が、インバータ61の閾値Vth未満であるときに、Hレベルとなる。
【0141】
そして、発振出力信号、すなわち、インバータ61の出力が入力されるインバータ40
3の出力は、
図5に示すように、インバータ61の出力を反転した信号となる。
【0142】
ここで、シュミットトリガインバータ40
2の入力であるノード#1(抵抗66の他端)の電圧V1について、コンデンサ73に差分電流I1-I2の注入が開始されるときの電圧V1を、電圧Thv1と表すとともに、コンデンサ73から差分電流I1-I2の放出が開始されるときの電圧V1を、電圧Thv2と表すこととする。
【0143】
図5に示すように、電圧Thv1は、三角波の電圧V1の最小値であり、電圧thv2は、三角波の電圧V2の最大値である。
【0144】
シュミットトリガインバータ40
2の入力であるノード#1から、そのシュミットトリガインバータ40
2の出力でもあるインバータ61の出力を見た場合、インバータ61の出力は、ノード#1の電圧が上昇して、電圧Thv2になったときに、HレベルからLレベルになる。
【0145】
また、インバータ61の出力は、ノード#1の電圧が下降して、電圧Thv1になったときに、LレベルからHレベルになる。
【0146】
したがって、シュミットトリガインバータ40
2は、電圧Thv1を、出力の極性がLレベルからHレベルに反転するときの第1の閾値とし、電圧Thv2を、出力の極性がHレベルからLレベルに反転するときの第2の閾値とするシュミットトリガインバータとして機能している。
【0147】
シュミットトリガインバータ40
2のヒステリシス幅Vppは、第2の閾値である電圧Thv2と、第1の閾値である電圧Thv1との差Thv2-Thv1であるが、この差Thv2-Thv1は、抵抗66での電圧降下によって生じており、ノード#2の電圧V2とノード#1の電圧V1との差V2-V1の最大値に等しい。
【0148】
したがって、ヒステリシス幅Vppは、式(1)で表される。
【0149】
Vpp=+I2×R−(-I2×R)
=2×I2×R
・・・(1)
【0150】
式(1)によれば、シュミットトリガインバータ40
2のヒステリシス幅Vppは、抵抗66(の抵抗値R)と、その抵抗66に流れる電流I2とによって決まる。したがって、ヒステリシス幅Vppは、抵抗66と電流I2によって、任意の値に可変に調整することができる。
【0151】
また、
図5に示した三角波の電圧V1の変化、すなわち、電圧V1が上昇する傾き(以下、上昇速度ともいう)、及び、電圧V1は下降する傾き(以下、下降速度ともいう)は、コンデンサ73に流れる電流I1-I2が大であるほど、大(急峻)になる。また、電圧V1の変化は、コンデンサ73の静電容量Cが小であるほど、大になる。
【0152】
低速発振器32の発振周期Tは、三角波の電圧V1の周期に等しく、電圧V1の周期は、ヒステリシス幅Vppである、電圧Thv2と電圧Thv1との差Thv2-Thv1が大であるほど、大になり(長くなり)、電圧V1の変化が大(急峻)であるほど、小になる(短くなる)。
【0153】
以上のような電圧V1の周期に等しい発振周期Tは、ヒステリシス幅Vpp=2×I2×R、及び、コンデンサ73の静電容量Cに比例し、かつ、コンデンサ73に流れる電流I1-I2に反比例し、式(2)で表される。
【0154】
T=2×I2×R×C/(I1-I2)×2
・・・(2)
【0155】
式(2)によれば、発振周期T(発振周波数)は、ヒステリシス幅Vpp、ひいては、電流I2、及び、抵抗66(R)、並びに、コンデンサ73の静電容量C、及び、差分電流I1-I2によって決まる。
【0156】
したがって、発振周期T(発振周波数)は、ヒステリシス幅Vpp(電流I2、及び、抵抗66(R))、コンデンサ73の静電容量、及び、差分電流I1-I2によって、可変に調整することができる。例えば、抵抗66としては、可変の抵抗を採用することができ、その場合、抵抗66(の抵抗値R)を調整することで、発振周期Tを調整することができる。また、例えば、コンデンサ73としては、可変容量のコンデンサを採用することができ、その場合、コンデンサ73の静電容量Cを調整することにより、発振周期Tを調整することができる。
【0157】
ここで、式(2)の発振周期Tは、インバータ61の閾値Vthは勿論、他のインバータ40
1及び40
3のパラメータに影響を受けない。
【0158】
したがって、インバータ40
1等を構成する素子としてのFET51や52等にばらつきがあり、ひいては、閾値Vth等にばらつきがある場合であっても、発振周期Tには、影響しない。
【0159】
以上のように、低速発振器32の発振周期Tは、素子のばらつきに影響されないので、低速発振器32は、素子のばらつきに対する耐性が向上している(強い)ということができる。
【0160】
また、低速発振器32は、リング発振器であるから、PLL回路に比較して、低消費電力であり、さらに、PLL回路のようなフィードバック構成を有しない簡易な回路構成のため、比較的小規模な面積で実装することができる。
【0161】
なお、
図4において、遅延部41は、シュミットトリガインバータ40
2の入力であるノード#1の電圧V1の、電圧Thv1と電圧Thv2との間の変化(電圧Thv1から電圧Thv2になるまでの変化、及び、電圧Thv2から電圧Thv1になるまでの変化)を遅延させている。
【0162】
遅延部41による電圧V1の変化の遅延量は、電圧V1が、電圧Thv1から電圧Thv2に変化(上昇)するまでの時間(及び、電圧Thv2から電圧Thv1に変化(下降)するまでの時間)であり、発振周期Tに対応する。
【0163】
したがって、遅延部41による電圧V1の変化の遅延量は、式(2)の発振周期Tと同様に、電圧Thv2と電圧Thv1との差Thv2-Thv1に等しいヒステリシス幅Vppと、電圧V1の変化(電圧V1の上昇速度、及び、下降速度)、つまり、コンデンサ73に流れる差分電流I1-I2、及び、コンデンサ73の静電容量Cとによって決まる。
【0165】
図6は、
図2の低速発振器32の第2の構成例を示すブロック図である。
【0166】
なお、図中、
図4の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0167】
図6の低速発振器32は、インバータ40
1ないし40
3、及び、遅延部41を有する点で、
図4の場合と共通する。
【0168】
但し、
図6の低速発振器32は、電流制御部100が新たに設けられているとともに、電流源62としてFET81が、電流源63としてFET82が、電流源71としてFET91が、電流源72としてFET92が、それぞれ設けられている点で、
図4の場合と相違する。
【0169】
電流源62としてのFET81は、pMOSのFETであり、ソースが電源に、ドレインが、FET64のソースに、それぞれ接続されている。さらに、FET81は、ゲートが、後述するpMOSのFET104のゲートと接続されており、そのFET104とで、カレントミラー回路を構成している。
【0170】
電流源63としてのFET82は、nMOSのFETであり、ソースが接地され、ドレインが、FET65のソースに接続されている。さらに、FET82は、ゲートが、後述するnMOSのFET102のゲートと接続されており、そのFET102とで、カレントミラー回路を構成している。
【0171】
電流源71としてのFET91は、pMOSのFETであり、ソースが電源に、ドレインが、FET51のソースに、それぞれ接続されている。さらに、FET91は、ゲートが、FET104のゲートと接続されており、そのFET104とで、カレントミラー回路を構成している。
【0172】
電流源72としてのFET92は、nMOSのFETであり、ソースが接地され、ドレインが、FET52のソースに接続されている。さらに、FET92は、ゲートが、FET102のゲートと接続されており、そのFET102とで、カレントミラー回路を構成している。
【0173】
電流制御部100は、所定の基準電流に対応する電流を流すように、電流源62としてのFET81、電流源63としてのFET82、電流源71としてのFET91、及び、電流源72としてのFET92を制御する。
【0174】
すなわち、電流制御部100は、電流源101、nMOSのFET102及び103、並びに、pMOSのFET104を有する。
【0175】
電流源101は、FET102のドレインに接続されており、基準電流Irefを流す。したがって、FET102のドレインからソースには、基準電流Irefが流れる。
【0176】
FET102は、ソースが接地され、ゲートがドレインと接続されている。さらに、FET102のゲートは、FET82,92、及び、103のゲートと接続されている。FET102は、FET82,92、及び、103それぞれとで、カレントミラー回路を構成している。
【0177】
FET103のソースは接地されており、ドレインは、FET104のドレインと接続されている。
【0178】
上述したように、FET102と103とは、カレントミラー回路を構成しているが、いま、説明を簡単にするため、FET102と103とのミラー比(FET102の面積とFET103の面積との比)(FET102の面積を基準とするFET103の面積)が、1:1であるとすると、FET103のドレインからソースには、FET102のドレインからソースに流れる基準電流Irefに対応する電流として、基準電流Irefと同一の電流(基準電流Irefのコピー)が流れる。
【0179】
FET104は、ソースが電源に接続され、ゲートがドレインと接続されている。さらに、FET104のゲートは、FET81及び91のゲートと接続されている。FET103は、FET81及び91それぞれとで、カレントミラー回路を構成している。
【0180】
なお、上述したように、FET103のドレインと、FET104のドレインとが接続されているので、FET104のソースからドレインには、FET103と同様に、基準電流Irefと同一の電流が流れる。
【0181】
ここで、以上のように、FET102及び103には、基準電流Irefと同一の電流が流れるが、以下では、FET102に、基準電流Irefと同一の電流が流れることを、FET102に、基準電流Irefが流れる、ともいう。FET103についても、同様である。
【0182】
以上のように構成される低速発振器32では、FET81が、FET104とカレントミラー回路を構成するため、FET81のソースからドレインには、FET104と81とのミラー比M(104:81)に応じて、FET104に流れる基準電流Irefに対応する電流I(81)が流れる。
【0183】
さらに、FET82が、FET102とカレントミラー回路を構成するため、FET82のドレインからソースには、FET102と82とのミラー比M(102:82)に応じて、FET102に流れる基準電流Irefに対応する電流I(82)が流れる。
【0184】
また、FET91が、FET104とカレントミラー回路を構成するため、FET91のソースからドレインには、FET104と91とのミラー比M(104:91)に応じて、FET104に流れる基準電流Irefに対応する電流I(91)が流れる。
【0185】
さらに、FET92が、FET102とカレントミラー回路を構成するため、FET92のドレインからソースには、FET102と92とのミラー比M(102:92)に応じて、FET102に流れる基準電流Irefに対応する電流I(92)が流れる。
【0186】
FET104と81とのミラー比M(104:81)と、FET102と82とのミラー比M(102:82)とを一致させることにより、FET81に流れる電流I(81)と、FET82に流れる電流I(82)とは、同一の電流I2になる。
【0187】
さらに、FET104と91とのミラー比M(104:91)と、FET102と92とのミラー比M(102:92)とを一致させることにより、FET91に流れる電流I(91)と、FET92に流れる電流I(92)とは、同一の電流I1になる。
【0188】
そして、ミラー比M(104:91)及びM(102:92)を、ミラー比M(104:81)及びM(102:82)よりも大に調整することにより、FET91に流れる電流I(91)、及び、FET92に流れる電流I(92)である電流I1は、FET81に流れる電流I(81)、及び、FET82に流れる電流I(82)である電流I2よりも大になる。
【0189】
なお、基準電流Irefは、
図6に示したように、電流制御部100に、電流源101を設けて、その電流源101から取得する他、図示せぬ他の回路から取得する(供給を受ける)ことができる。
【0191】
図7は、
図2の低速発振器32の第3の構成例を示すブロック図である。
【0192】
なお、図中、
図6の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0193】
図7の低速発振器32は、インバータ40
1ないし40
3、遅延部41、及び、電流制御部100を有する点で、
図6の場合と共通する。
【0194】
但し、
図7の低速発振器32は、電流制御部100の電流源101に代えて、電流生成部110、FET114及び115が設けられている点で、
図6の場合と相違する。
【0195】
電流生成部110には、例えば、外部から、図示せぬBGR(Band Gap Reference)回路で得られる安定したリファレンス電圧(BGR電圧)V
BGRが供給される。
【0196】
電流生成部110は、そこに供給されるリファレンス電圧V
BGRに応じて、そのリファレンス電圧V
BGRに対応する基準電流Irefを生成する。
【0197】
すなわち、電流生成部110は、オペアンプ111、抵抗112、及び、nMOSのFET113を有する。
【0198】
オペアンプ111の非反転入力端子(+)には、図示せぬBGR回路からリファレンス電圧V
BGRが供給(印加)される。オペアンプ111の反転入力端子(−)には、一端が接地された抵抗112の他端が接続されている。オペアンプ111の出力端子は、FET113のゲートに接続されている。
【0199】
FET113のソースは、オペアンプ111の反転入力端子と抵抗112との接続点に接続され、FET113のドレインは、pMOSのFET114のドレインに接続されている。
【0200】
pMOSのFET114及び115については、それぞれのソースが電源に接続され、ゲートどうしが接続されている。さらに、FET114のゲートとドレインとが接続されており、FET114及び115は、カレントミラー回路を構成している。
【0201】
FET115のドレインは、カレントミラー回路を構成するFET102のドレインに接続されている。
【0202】
なお、ここでは、説明を簡単にするため、カレントミラー回路を構成するFET114と115とのミラー比M(114:115)は、1倍(1:1)であるとする。
【0203】
図7の電流制御部100では、オペアンプ111の非反転入力端子に、図示せぬBGR回路からのリファレンス電圧V
BGRが印加されると、いわゆるイマジナリショート(バーチャルショート)によって、オペアンプ111の反転入力端子の電圧が、非反転入力端子に印加されているリファレンス電圧V
BGRとなる。
【0204】
オペアンプ111の反転入力端子には、一端が接地された抵抗112の他端が接続されているので、抵抗112には、オペアンプ111の反転入力端子の電圧であるリファレンス電圧V
BGRが印加される。したがって、抵抗112の抵抗値をRrefとすると、抵抗112には、式(3)で表される電流Irefが流れる。
【0205】
Iref=V
BGR/Rref
・・・(3)
【0206】
以上のように、抵抗112には、リファレンス電圧V
BGRに比例する電流Irefが流れるので、抵抗112は、リファレンス電圧V
BGRを電流Irefに変換する電圧電流変換用抵抗として機能する。
【0207】
オペアンプ111の出力端子の電圧は、抵抗112に印加されているリファレンス電圧V
BGRより大になるので、オペアンプ111の出力端子に接続されているFET113のゲートの電圧は、抵抗112に接続されているFET113のソースの電圧より大になり、FET113はオンする。
【0208】
したがって、抵抗112に流れる電流Irefは、FET113のドレインからソースの方向に流れる。さらに、FET113を流れる電流は、FET114のソースからドレインの方向に流れ、そのFET114とカレントミラー回路を構成しているFET115にコピーされ、FET115のソースからドレインの方向に、電流Iref(と同一の電流)が流れる。
【0209】
FET115のドレインは、FET102のドレインに接続されているので、FET115に流れる電流Irefは、FET102に、基準電流として流れる。
【0210】
FET102に、電流Irefが流れることにより、以下、
図6で説明したようにして、電流源62としてのFET81、電流源63としてのFET82、電流源71としてのFET91、及び、電流源72としてのFET92に、電流が流れる。
【0211】
FET104と91とのミラー比M(104:91)、及び、FET102と92とのミラー比M(102:92)を、M1と表すこととすると、電流源71としてのFET91、及び、電流源72としてのFET92に流れる電流I1は、式(4)で表される。
【0213】
また、FET104と81とのミラー比M(104:81)、及び、FET102と82とのミラー比M(102:82)を、M2と表すこととすると、電流源62としてのFET81、及び、電流源63としてのFET82に流れる電流I2は、式(5)で表される。
【0215】
なお、本実施の形態では、ミラー比M1は、ミラー比M2よりも大であることとする。
【0216】
式(3)及び式(5)を用いることにより、式(1)のヒステリシス幅Vppは、式(6)で表される。
【0217】
Vpp=2×I2×R
=2×M2×Iref×R
=2×M2×R/Rref×V
BGR
・・・(6)
【0218】
式(6)によれば、ヒステリシス幅Vppは、抵抗66(R)と抵抗112(Rref)との抵抗比R/Rrefによって調整することができる。
【0219】
また、BGR回路から与えられるリファレンス電圧V
BGRは、電源電圧VDD、及び、温度に依存しない。さらに、抵抗比R/Rrefは、製造のばらつきや動作環境によらず、安定である。
【0220】
したがって、式(6)のヒステリシス幅Vppは、素子のばらつき、及び、温度や電源電圧の変動に影響されないので、BGR回路からリファレンス電圧V
BGRの供給を受ける
図7の低速発振器32は、素子のばらつき、及び、温度や電源電圧の変動に対する耐性が向上している(強い)ということができる。
【0221】
[本技術を適用したコンピュータの説明]
【0222】
次に、上述した低速発振器32は、コンピュータ上でシミュレーションすることができる。
【0223】
低速発振器32を、コンピュータ上でシミュレーションする場合には、コンピュータを、低速発振器32、すなわち、インバータ40
1ないし40
2N+1や、遅延部41、電流制御部100として機能させるためのシミュレーション用のプログラムが、コンピュータにインストールされる。
【0224】
図8は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0225】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク205やROM203に予め記録しておくことができる。
【0226】
あるいはまた、プログラムは、リムーバブル記録媒体211に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体211は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体211としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0227】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体211からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク205にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0228】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)202を内蔵しており、CPU202には、バス201を介して、入出力インタフェース210が接続されている。
【0229】
CPU202は、入出力インタフェース210を介して、ユーザによって、入力部207が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)203に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU202は、ハードディスク205に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)204にロードして実行する。
【0230】
これにより、CPU202は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU202は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース210を介して、出力部206から出力、あるいは、通信部208から送信、さらには、ハードディスク205に記録等させる。
【0231】
なお、入力部207は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部206は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0232】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0233】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0234】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0235】
すなわち、本実施の形態では、低速発振器32が出力する信号を、ディジタルカメラを構成するイメージセンサ12を動作させるためのクロックとして用いる場合について説明したが、低速発振器32が出力する信号は、その他の任意のデバイスを動作させるためのクロックとして用いることができる。
【0236】
なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
【0237】
[1]
ループ状に接続された3個以上の奇数個のインバータと、
前記奇数個のインバータのうちの1つのインバータに入力される電圧の変化を遅延させる遅延部と
を備え、
前記1つのインバータは、シュミットトリガインバータであり、
前記シュミットトリガインバータは、
電流源と、
前記電流源が流す電流が流れる抵抗と
を含み、
前記シュミットトリガインバータのヒステリシス幅は、前記抵抗に流れる電流によって決まる
発振器。
[2]
前記遅延部は、他の電流源と、コンデンサとを含み、
発振周期は、前記コンデンサに流れる電流と、前記ヒステリシス幅とによって決まる
[1]に記載の発振器。
[3]
前記シュミットトリガインバータは、前記発振器が出力する発振出力信号に応じて、前記抵抗に流れる電流の方向を切り替えるスイッチをさらに含む
{2]に記載の発振器。
[4]
所定の基準電流に対応する電流を流すように、前記電流源、及び、前記他の電流源を制御する電流制御部をさらに備える
[3]に記載の発振器。
[5]
所定のリファレンス電圧に応じて、そのリファレンス電圧に対応する前記基準電流を生成する電流生成部をさらに備える
[4]に記載の発振器。
[6]
前記電流生成部は、
非反転入力端子に、前記リファレンス電圧が印加され、反転入力端子に、一端が接地された電圧電流変換用抵抗の他端が接続されたオペアンプと、
前記電圧電流変換用抵抗と
を含み、
前記基準電流は、前記電圧電流変換用抵抗に流れる電流である
[5]に記載の発振器。
[7]
前記電流制御部は、カレントミラー回路を構成する、前記基準電流が流れる一方のトランジスタを含み、
前記電流源、及び、前記他の電流源は、前記カレントミラー回路を構成する、前記基準電流に対応する電流が流れる他方のトランジスタで構成される
[4]ないし[6]のいずれかに記載の発振器。
[8]
前記シュミットトリガインバータ以外のインバータである他のインバータは、pMOS(positive channel Metal Oxide Semiconductor)のFET(Field Effect Transistor)、及び、nMOS(negative channel MOS)のFETのドレインどうしが接続され、かつ、ゲートどうしが接続されたCMOS(Complementary MOS)構成のインバータであり、
前記シュミットトリガインバータは、
前記スイッチとしての、ドレインどうしが接続された他のpMOSのFET、及び、他のnMOSのFETと、
前記他のpMOSのFET、及び、前記他のnMOSのFETそれぞれのゲートに出力端子が接続され、前記他のpMOSのFET、及び、前記他のnMOSのFETのドレインどうしの接続点に入力端子が接続されたCMOS構成のインバータと、
前記電流源としての、前記他のpMOSのFETのソースに接続された第1の電流源、及び、前記他のnMOSのFETのソースに接続された、前記第1の電流源と同一の電流を流す第2の電流源と、
一端が、前記他のpMOSのFET、及び、前記他のnMOSのFETのドレインどうしの接続点に接続され、他端が、前記シュミットトリガインバータの前段のインバータの出力端子と接続された前記抵抗と
を含み、
前記遅延部は、
一端が接地され、他端が、前記前段のインバータの出力端子と接続された前記コンデンサと、
前記他の電流源としての、前記前段のインバータを構成するpMOSのFETのソースに接続された第3の電流源、及び、前記前段のインバータを構成するnMOSのFETのソースに接続された、前記第3の電流源と同一の電流を流す第4の電流源と
を含む
[3]ないし[7]のいずれかに記載の発振器。
[9]
前記発振周期は、前記コンデンサ、前記コンデンサに流れる電流、及び、前記ヒステリシス幅によって決まる
[2]ないし[8]のいずれかに記載の発振器。
[10]
前記ヒステリシス幅は、前記抵抗と、前記抵抗に流れる電流とによって決まる
[1]ないし[9]のいずれかに記載の発振器。
[11]
前記コンデンサは、可変容量のコンデンサであり、
前記発振周期は、前記コンデンサの容量を調整することで調整される
[2]ないし[9]のいずれかに記載の発振器。
[12]
前記抵抗は、可変の抵抗であり、
前記発振周期は、前記抵抗を調整することで調整される
[2]ないし[9]、又は、[11]のいずれかに記載の発振器。
[13]
ループ状に接続された3個以上の奇数個のインバータと、
前記奇数個のインバータのうちの1つのインバータに入力される電圧の変化を遅延させる遅延部と
を備え、
前記1つのインバータは、シュミットトリガインバータであり、
前記シュミットトリガインバータは、
電流源と、
前記電流源が流す電流が流れる抵抗と
を含み、
前記シュミットトリガインバータのヒステリシス幅が、前記抵抗と、前記抵抗に流れる電流とによって決まる
発振器の前記遅延部が、前記1つのインバータである前記シュミットトリガインバータに入力される電圧の変化を遅延させる
発振方法。
[14]
ループ状に接続された3個以上の奇数個のインバータと、
前記奇数個のインバータのうちの1つのインバータに入力される電圧の変化を遅延させる遅延部と
を備え、
前記1つのインバータは、シュミットトリガインバータであり、
前記シュミットトリガインバータは、
電流源と、
前記電流源が流す電流が流れる抵抗と
を含み、
前記シュミットトリガインバータのヒステリシス幅は、前記抵抗に流れる電流によって決まる
発振器が出力する信号に同期して動作する
イメージセンサ。
[15]
ループ状に接続された3個以上の奇数個のインバータと、
前記奇数個のインバータのうちの1つのインバータに入力される電圧の変化を遅延させる遅延部と
を備え、
前記1つのインバータは、シュミットトリガインバータであり、
前記シュミットトリガインバータは、
電流源と、
前記電流源が流す電流が流れる抵抗と
を含み、
前記シュミットトリガインバータのヒステリシス幅は、前記抵抗に流れる電流によって決まる
発振器と、
前記発振器が出力する信号に同期して動作するイメージセンサと
を備える撮像装置。