特許第6021442号(P6021442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021442
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 29/04 20060101AFI20161027BHJP
   B60C 5/14 20060101ALI20161027BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20161027BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   C08L29/04 B
   B60C5/14 A
   C08L77/00
   C08L15/00
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-121205(P2012-121205)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-245318(P2013-245318A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004101
【氏名又は名称】日本合成化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 峻
(72)【発明者】
【氏名】古川 和也
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/026166(WO,A1)
【文献】 特開平07−082317(JP,A)
【文献】 特開平08−216286(JP,A)
【文献】 特表2004−506540(JP,A)
【文献】 特開平09−208638(JP,A)
【文献】 特開平09−208885(JP,A)
【文献】 特開平06−087956(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/123229(WO,A1)
【文献】 Hongjin JIANG,Junpo HE,Jieping LIU,and Yuliang YANG,Synthesis and Characterization of Poly(ethylene-co-vinylalcohol)-graft-poly(ε-caprolactone),Polymer Journal,2002年,Vol.34,No.9,p682-686
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
B60C 5/00−5/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し単位−O−(CH−CO−(ただしnは2〜9の整数である。)を有する脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、ポリアミド樹脂(B)と、酸無水物基またはエポキシ基を有する変性ゴム(C)とからなる熱可塑性エラストマー組成物からなる層を含む空気入りタイヤ。
【請求項2】
ポリアミド樹脂(B)がポリアミド樹脂の末端アミノ基と結合し得る化合物(D)で変性されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
ポリアミド樹脂の末端アミノ基と結合し得る化合物(D)が単官能エポキシ化合物であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
変性ゴム(C)が架橋剤(E)で動的に架橋されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
変性ゴム(C)が、酸無水物基またはエポキシ基を有するエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体またはエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
熱可塑性エラストマー組成物が脂肪族ポリエステルがグラフトされていないエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)をさらに含む請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
熱可塑性エラストマー組成物がエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド樹脂(B)との合計量100質量部に対して変性ゴム(C)を70〜280質量部含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド樹脂(B)との合計量に対してポリアミド樹脂(B)が5〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。より詳しくは、熱可塑性エラストマー組成物からなる層を含む空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂に変性ゴムを分散させてなる熱可塑性エラストマー組成物を空気入りタイヤのインナーライナーに用いることは知られており、その通気度を改善する(減らす)ために、さらにエチレン−ビニルアルコール共重合体を配合することも試みられている(特許文献1)。
【0003】
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、その透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れているが、ポリプロピレンやポリスチレンに比べ加熱延伸性に劣り、深絞り成形が困難であるという問題があった。しかし、近年、加熱延伸性が改善され、深絞り成形に適した、特定の構造単位を含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体が開発されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−132850号公報
【特許文献2】特許第4217198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エチレン−ビニルアルコール共重合体を配合することにより、ポリアミド樹脂の通気度は改善される(減る)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体は繰返し変形(疲労)により通気度が増加する、すなわち疲労により通気度変化が生じるという問題がある。本発明は、低通気度でかつ疲労による通気度の変化率の小さい熱可塑性エラストマー組成物からなる層を含む空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いることにより、低通気度でかつ疲労による通気度の変化率の小さい熱可塑性エラストマー組成物を得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、ポリアミド樹脂(B)と、酸無水物基またはエポキシ基を有する変性ゴム(C)とからなる熱可塑性エラストマー組成物からなる層を含む空気入りタイヤである。
【0008】
好ましくは、ポリアミド樹脂(B)が、ポリアミド樹脂(B)100質量部と、ポリアミド樹脂の末端アミノ基と結合し得る化合物(D)0.05〜5質量部とを、ポリアミド樹脂(B)の融点以上で溶融ブレンドさせて得られた変性ポリアミド樹脂(B)である。
好ましくは、ポリアミド樹脂(B)またはポリアミド樹脂(B)が、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、およびナイロンMXD6からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
好ましくは、ポリアミド樹脂の末端アミノ基と結合し得る化合物(D)が単官能エポキシ化合物である。
【0009】
好ましくは、変性ゴム(C)が架橋剤(E)で動的に架橋されている。
好ましくは、変性ゴム(C)が、酸無水物基またはエポキシ基を有するエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体またはエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体である。
好ましくは、熱可塑性エラストマー組成物は、さらに、脂肪族ポリエステルがグラフトされていないエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含む。
好ましくは、熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド樹脂(B)との合計量100質量部に対して変性ゴム(C)を70〜280質量部含む。
好ましくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド樹脂(B)との合計量に対してポリアミド樹脂(B)が5〜80質量%である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空気入りタイヤは、低通気度でかつ疲労による通気度の変化率も小さい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と、ポリアミド樹脂(B)と、変性ゴム(C)とからなる熱可塑性エラストマー組成物からなる層を含む空気入りタイヤである。
熱可塑性エラストマー組成物は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)およびポリアミド樹脂(B)がマトリックス相を形成し、変性ゴム(C)が分散相を形成している。
【0012】
脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体とは、エチレンと酢酸ビニルの共重合体をケン化して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と称する)の水酸基に脂肪族ポリエステルがグラフトされてなる熱可塑性の樹脂である。
【0013】
脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の幹を形成するEVOH単位の含有量と、この幹にグラフトされた脂肪族ポリエステル単位の含有量の比率(EVOH単位の含有量/脂肪族ポリエステル単位の含有量)は、質量部で、通常99/1〜40/60、好ましくは95/5〜60/40、特に好ましくは90/10〜80/20である。EVOH単位の含有量が低すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。なお、EVOH単位の含有量と脂肪族ポリエステル単位の含有量の比率は、グラフト反応時のEVOHと脂肪族ポリエステルの仕込み比でコントロールすることができる。
【0014】
脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の製造方法は、幹を形成するEVOHに、脂肪族ポリエステルをグラフトさせる公知の方法を用いることができるが、特に、EVOHの存在下にラクトン類を開環重合させる方法が好ましく用いられる。
【0015】
用いられるラクトン類としては、炭素原子の数が3〜10であるラクトン類であれば特に制限されない。このようなラクトン類は、置換基を有さない場合には下記一般式(1)で表される。ここで、nは2〜9の整数であり、好ましくは、nは4〜5である。
【0016】
【化1】
【0017】
具体的には、β−プロピオンラクトン、γ―ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等を挙げることができ、ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトンが好ましく、安価かつ容易に入手できる点から、ε−カプロラクトンがより好ましい。
これらのラクトン類は、2種以上組み合わせて使用することができる。
【0018】
また、開環重合反応の際には、従来公知の開環重合触媒を添加することが好ましく、例えば、チタン系化合物、錫系化合物等を挙げることができる。具体的には、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのチタニウムアルコキシド、ジブチルジブトキシスズなどのスズアルコキシド、ジブチルスズジアセテートなどのスズエステル化合物などが挙げられるが、これらの中でも安価かつ容易に入手できる点からテトラ−n−ブトキシチタンが好ましい。
【0019】
EVOHにラクトン類を開環重合させてグラフト化する方法としては、例えば、両者を混練機中で溶融混練する方法が挙げられ、その際の混練機としては、一軸および二軸押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等が挙げられる。
【0020】
溶融混練の時間および温度は、特に限定されず、両物質が溶融する温度、およびグラフト化が完了する時間を適宜選べばよいが、通常50〜250℃で10秒〜24時間、特に150〜230℃で5分〜10時間の範囲が好ましく用いられる。
【0021】
原料として用いるEVOHのエチレン含有量は、特に限定されないが、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、さらに好ましくは30〜45モル%である。エチレン含有量が多すぎるとガスバリア性が低下し、逆に少なすぎるとラクトン類との開環重合の反応性が低下する傾向がある。
【0022】
また、EVOHのケン化度は、特に限定されないが、通常80モル%以上であり、好ましくは90〜99.99モル%、特に好ましくは99〜99.9モル%である。ケン化度が低すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
【0023】
また、EVOHにおいて分子量の指標として用いられるメルトフローレート(MFR)は、210℃,荷重2160g条件下で、通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜50g/10分、特に好ましくは1〜25g/10分である。MFR値が低すぎるとラクトン類との開環重合の反応性が低下する傾向がある。
【0024】
EVOHとしては、その平均値が、上記要件を充足するEVOHの組合せであれば、エチレン含有量、ケン化度、MFRが異なる2種以上のEVOHを混合して用いてもよい。
【0025】
本発明の組成物は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に加えて、脂肪族ポリエステルがグラフトされていないエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含んでもよい。脂肪族ポリエステルがグラフトされていないエチレン−ビニルアルコール共重合体を、以下、「未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体」ともいう。
未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含む場合、未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の量は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)との合計量の80質量%以下であり、好ましくは20〜70質量%であり、より好ましくは30〜60質量%である。未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の量が多すぎると、繰返し変形(疲労)により通気度が増加する。
【0026】
本発明において使用するポリアミド樹脂(B)は、限定するものではないが、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロンMXD6、ナイロン46、およびナイロン6Tが単独でまたは混合物として使用できる。なかでも、ナイロン6、ナイロン66、およびナイロン6/66共重合体が耐疲労性とガスバリア性の両立という点で好ましい。
【0027】
ポリアミド樹脂の量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および(A)とポリアミド樹脂(B)との合計量に対して5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、15〜60質量%であることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂の量が多すぎると加工性が悪化し、逆に少なすぎると疲労前通気度の悪化を招く。
【0028】
ポリアミド樹脂(B)は、変性ポリアミド樹脂(B)であってもよい。ここで、変性ポリアミド樹脂(B)とは、ポリアミド樹脂(B)およびポリアミド樹脂の末端アミノ基と反応し得る化合物(D)を溶融ブレンドして得られるものをいう。ポリアミド樹脂の末端アミノ基と反応し得る化合物(D)を、以下、「アミノ基反応性化合物」ともいう。変性ポリアミド樹脂(B)は、末端アミノ基が少ないまたは末端アミノ基を有しないので、酸無水物基またはエポキシ基を有する変性ゴム(C)を高充填しても流動性を維持し、フィルム製膜が容易である。
【0029】
アミノ基反応性化合物(D)としては、単官能エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、酸無水物基含有化合物、ハロゲン化アルキル基含有化合物などが挙げられるが、ポリアミド樹脂の末端アミノ基との反応性という観点で、好ましくは、単官能エポキシ化合物である。
【0030】
単官能エポキシ化合物としては、エチレンオキシド、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、3−メチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、4−メチル−1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、3−メチル−1,2−エポキシペンタン、4−メチル−1,2−エポキシペンタン、4−メチル−2,3−エポキシペンタン、3−エチル−1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、5−メチル−1,2−エポキシヘキサン、4−メチル−1,2−エポキシヘキサン、5−メチル−1,2−エポキシヘキサン、3−エチル−1,2−エポキシヘキサン、3−プロピル−1,2−エポキシヘキサン、4−エチル−1,2−エポキシヘキサン、5−メチル−1,2−エポキシヘキサン、4−メチル−2,3−エポキシヘキサン、4−エチル−2,3−エポキシヘキサン、2−メチル−3,4−エポキシヘキサン、2,5−ジメチル−3,4−エポキシヘキサン、2,5−ジメチル−3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシへプタン、4−メチル−1,2−エポキシヘプタン、5−メチル−1,2−エポキシへプタン、6−メチル−1,2−エポキシヘプタン、3−エチル−1,2−エポキシヘプタン、3−プロピル−1,2−エポキシヘプタン、3−ブチル−1,2−エポキシヘプタン、4−プロピル−2,3−エポキシヘプタン、5−エチル−1,2−エポキシへプタン、4−メチル−2,3−エポキシヘプタン、4−エチル−2,3−エポキシへプタン、4−プロピル−2,3−エポキシヘプタン、2−メチル−3,4−エポキシヘプタン、5−メチル−3,4−エポキシヘプタン、6−エチル−3,4−エポキシヘプタン、2,5−ジメチル−3,4−エポキシヘプタン、2−メチル−5−エチル−3,4−エポキシへプタン、1,2−エポキシヘプタン、2,3−エポキシヘプタン、3,4−エポキシへプタン、1,2−エポキシオクタン、2,3−エポキシオクタン、3,4−エポキシオクタン、4,5−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、2,3−エポキシノナン、3,4−エポキシノナン、4,5−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、2,3−エポキシデカン、3,4−エポキシデカン、4,5−エポキシデカン、5,6−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、2,3−エポキシウンデカン、3,4−エポキシウンデカン、5,6−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、2,3−エポキシドデカン、3,4−エポキシドデカン、4,5−エポキシドデカン、5,6−エポキシドデカン、6,7−エポキシドデカン、エポキシエチルベンゼン、1−フェニル−1,2−エポキシプロパン、3−フェニル−1,2−エポキシプロパン、1−フェニル−1,2−エポキシブタン、3−フェニル−1,2−エポキシブタン、4−フェニル−1,2−エポキシブタン、3−フェニル−1,2−エポキシペンタン、4−フェニル−1,2−エポキシペンタン、5−フェニル−1,2−エポキシペンタン、1−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、3−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、4−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、5−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、6−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、グリシドール、3,4−エポキシ−1−ブタノール、4,5−エポキシ−1−ペンタノール、5,6−エポキシ−1−ヘキサノール、6,7−エポキシ−1−ヘプタノール、7,8−エポキシ−1−オクタノール、8,9−エポキシ−1−ノナノール、9,10−エポキシ−1−デカノール、10,11−エポキシ−1−ウンデカノール、3,4−エポキシ−2−ブタノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−2−ペンタノール、2,3−エポキシ−1−ペンタノール、1,2−エポキシ−3−ペンタノール、2,3−エポキシ−4−メチル−1−ペンタノール、2,3−エポキシ−4,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,3−エポキシ−1−ヘキサノール、3,4−エポキシ−2−ヘキサノール、4,5−エポキシ−3−ヘキサノール、1,2−エポキシ−3−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−メチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−エチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4,4−ジメチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4,4−ジエチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−メチル−1−ヘキサノ−ル、3,4−エポキシ−5−メチル−2−ヘキサノール、3,4−エポキシ−5,5−ジメチル−2−ヘキサノール、3,4−エポキシ−3−ヘプタノール、2,3−エポキシ−1−へプタノール、4,5−エポキシ−3−ヘプタノール、2,3−エポキシ−4−ヘプタノール、1,2−エポキシ−3−ヘプタノール、2,3−エポキシ−1−オクタノール、3,4−エポキシ−3−オクタノール、4,5−エポキシ−3−オクタノール、5,6−エポキシ−4−オクタノール、2,3−エポキシ−4−オクタノール、1,2−エポキシ−3−オクタノール、2,3−エポキシ−1−ノナノール、3,4−エポキシ−2−ノナノール、4,5−エポキシ−3−ノナノール、5,6−エポキシ−5−ノナノ−ル、3,4−エポキシ−5−ノナノール、2,3−エポキシ−4−ノナノール、1,2−エポキシ−3−ノナノール、2,3−エポキシ−1−デカノール、3,4−エポキシ−2−デカノール、4,5−エポキシ−3−デカノール、5,6−エポキシ−4−デカノール、6,7−エポキシ−5−デカノール、3,4−エポキシ−5−デカノール、2,3−エポキシ−4−デカノール、1,2−エポキシ−3−デカノール、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロヘプタン、1,2−エポキシシクロオクタン、1,2−エポキシシクロノナン、1,2−エポキシシクロデカン、1,2−エポキシシクロドデカン、3,4−エポキシシクロペンテン、3,4−エポキシシクロヘキセン、3,4−エポキシシクロヘプテン、3,4−エポキシシクロオクテン、3,4−エポキシシクロノネン、1,2−エポキシシクロデセン、1,2−エポキシシクロウンデカン、1,2−エポキシシクロドデセン、1−ブトキシ−2,3−エポキシプロパン、1−アリルオキシ−2,3−エポキシプロパン、ポリエチレングリコールブチルグリシジルエーテル、2−エチルへキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられ、ポリアミド樹脂の相溶性の観点から、炭素数が3〜20、好ましくは3〜13であり、エーテルおよび/または水酸基を有するエポキシ化合物が特に好ましい。
【0031】
ポリアミド樹脂(B)としては、前述のポリアミド樹脂(B)として使用することができるものとして例示したポリアミド樹脂を使用することができる。
【0032】
ポリアミド樹脂(B)とアミノ基反応性化合物(D)を溶融ブレンドする方法は、特に限定されないが、たとえば、ポリアミド樹脂(B)とアミノ基反応性化合物(D)を二軸混練機に投入し、ポリアミド樹脂(B)の融点以上、好ましくは融点より20℃以上高い温度で、たとえば240℃で溶融混練する。溶融混練する時間は、たとえば、1〜10分、好ましくは2〜5分である。
【0033】
ポリアミド樹脂(B)の変性に用いるアミノ基反応性化合物(D)の量は、ポリアミド樹脂(B)100質量部に対して0.05〜5質量部であり、好ましくは1〜3質量部である。アミノ基反応性化合物(D)の量が少なすぎると、変性ゴムを高充填した際の流動性改善効果が小さいため好ましくない。逆に、多すぎると、ポリアミド樹脂の低温耐久性(繰り返し疲労性)を悪化させるので好ましくない。
【0034】
本発明に用いる変性ゴム(C)は、酸無水物基またはエポキシ基を有するゴムであり、ゴムに酸無水物基またはエポキシ基を導入したものである。ポリアミド樹脂との相溶性という観点から、特に好ましくは、変性ゴム(C)は酸無水物基を有するゴムである。
【0035】
変性ゴム(C)を構成するゴムとしては、特に限定するものではないが、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体などが挙げられる。すなわち、変性ゴム(C)は、好ましくは、酸無水物基またはエポキシ基を有するエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体またはエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体である。エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体などが挙げられる。エチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体などが挙げられる。
【0036】
酸無水物基を有する変性ゴムは、たとえば、酸無水物とペルオキシドをゴムに反応させることにより製造することができる。酸無水物基を有する変性ゴム中の酸無水物基の含有量は、好ましくは0.01〜1モル/kg、より好ましくは0.05〜0.5モル/kgである。酸無水物基の含有量が少なすぎると変性ゴム分散の悪化を招き、逆に多すぎると加工性の悪化を招く。また、酸無水物基を有する変性ゴムは、市販されており、市販品を用いることができる。市販品としては、三井化学株式会社製無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(タフマー(登録商標)MP0620)、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(タフマー(登録商標)MH7020)などがある。
【0037】
エポキシ基を有する変性ゴムは、たとえば、グリシジルメタクリレートをゴムに共重合させることにより製造することができる。共重合比率は、限定するものではないが、たとえば、ゴム100質量部に対し、グリシジルメタクリレート10〜50質量部である。エポキシ基を有する変性ゴム中のエポキシ基の含有量は、好ましくは0.01〜5モル/kg、より好ましくは0.1〜1.5モル/kgである。エポキシ基の含有量が少なすぎると変性ゴム分散の悪化を招き、逆に多すぎると加工性の悪化を招く。また、エポキシ基を有する変性ゴムは、市販されており、市販品を用いることができる。市販品としては、住友化学株式会社製エポキシ変性エチレンアクリル酸メチル共重合体(エスプレン(登録商標)EMA2752)などがある。
【0038】
特に好ましい変性ゴムは、酸無水物基でグラフト変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体であり、その例としては、前述の三井化学株式会社製無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(タフマー(登録商標)MP0620)、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(タフマー(登録商標)MH7020)がある。
【0039】
熱可塑性エラストマー組成物中の変性ゴム(C)の量は、好ましくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド樹脂の合計量100質量部に対して、70〜280質量部であり、より好ましくは80〜240質量部であり、さらに好ましくは90〜220質量部である。変性ゴム(C)の量が少なすぎると、低温耐久性に劣り、逆に多すぎると、溶融時の流動性が低下し、フィルム製膜性が悪化する。
【0040】
変性ゴム(C)は架橋剤(E)で動的架橋されていることが好ましい。動的架橋することにより、熱可塑性エラストマー組成物中の変性ゴム(C)の分散状態を固定することができる。
【0041】
架橋剤(E)としては、変性ゴム(C)中の酸無水物基またはエポキシ基と反応する官能基およびアミド結合または水酸基と水素結合し得る官能基を有する水素結合性化合物が挙げられる。酸無水物基またはエポキシ基と反応する官能基およびアミド結合または水酸基と水素結合し得る官能基を有する水素結合性化合物としては、酸無水物基またはエポキシ基と反応する官能基として、アミノ基、水酸基、カルボキシル基またはメルカプト基を有し、かつアミド結合または水酸基と水素結合し得る官能基として、スルホン基、カルボニル基、エーテル結合、水酸基または含窒素複素環を有する化合物が挙げられるが、なかでも酸無水物基またはエポキシ基と反応する官能基としてアミノ基および/または水酸基を有し、かつアミド結合または水酸基と水素結合し得る官能基としてスルホン基、カルボニル基および/または含窒素複素環を有する化合物が好ましい。酸無水物基またはエポキシ基と反応する官能基としてアミノ基および/または水酸基を有し、かつアミド結合または水酸基と水素結合し得る官能基としてスルホン基、カルボニル基および/または含窒素複素環を有する化合物としては、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3′−ジアミノ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、(4−(4−アミノべンゾイル)オキシフェニル)4−アミノベンゾエート、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられるが、なかでも3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが、コスト、安全性、低温耐久性の向上の観点で好ましい。
【0042】
架橋剤(E)の量は、変性ゴム(C)100質量部に対して0.1〜2質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜1質量部である。架橋剤の量が少なすぎると、動的架橋が不足し、変性ゴム(C)の微分散を維持できず、耐久性、ガスバリア性が低下する。逆に、架橋剤の量が多すぎても、耐久性が低下するため、好ましくない。
【0043】
動的架橋は、変性ゴム(C)を架橋剤(E)とともに溶融ブレンドすることによって行なうことができる。溶融ブレンドの温度は、通常、ポリアミド樹脂(B)の融点以上の温度であるが、好ましくはポリアミド樹脂(B)の融点より20℃高い温度、たとえば190〜290℃である。たとえば、融点が225℃のポリアミド樹脂を使用した場合、好ましくは、245〜265℃である。溶融ブレンドの時間は、通常、1〜10分、好ましくは2〜5分である。混練時の剪断速度は、好ましくは1000〜8000秒−1、より好ましくは1000〜5000秒−1である。
【0044】
熱可塑性エラストマー組成物は、ポリアミド樹脂または変性ポリアミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体および変性ゴムを、ポリアミド樹脂または変性ポリアミド樹脂の融点以上、好ましくはポリアミド樹脂または変性ポリアミド樹脂の融点より20℃高い温度で、たとえば230℃で、溶融ブレンドすることによって製造することができる。
変性ゴムは、ポリアミド樹脂または変性ポリアミド樹脂およびエチレン−ビニルアルコール共重合体と溶融ブレンドする前にあらかじめ動的架橋しておく必要はなく、ポリアミド樹脂または変性ポリアミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体および変性ゴムを溶融ブレンドする際に架橋剤を添加することによって、ポリアミド樹脂または変性ポリアミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体および変性ゴムを溶融ブレンドするのと同時に変性ゴムを動的架橋することができる。すなわち、ポリアミド樹脂または変性ポリアミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体および変性ゴムおよび架橋剤を溶融ブレンドすることによって、変性ゴムが動的架橋された熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0045】
熱可塑性エラストマー組成物には、前記した成分に加えて、カーボンブラックやシリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、可塑剤、各種オイル、老化防止剤などの樹脂およびゴム組成物用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0046】
熱可塑性エラストマー組成物は、T型ダイス付きの押出機や、インフレーション成形機などでフィルムとすることができる。そのフィルムは、通気度が低いため、空気入りタイヤのインナーライナーとして好適に使用することができる。
【0047】
本発明の空気入りタイヤは、前記の熱可塑性エラストマー組成物からなる層を含む空気入りタイヤである。タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。たとえば、予め熱可塑性エラストマー組成物を所定の幅と厚さのフィルム状に押し出し、それをタイヤ成形用ドラム上に円筒に貼りつける。その上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望の空気入りタイヤを製造することができる。
【実施例】
【0048】
(1)原材料
実施例および比較例に用いた原材料は次のとおりである。
エチレン−ビニルアルコール共重合体として、次の4種類を用いた。
EVOH−1: 脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH/ε−カプロラクトン=83質量%/17質量%)。かかるEVOH−1は、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、MFR12g/10分(210℃,荷重2160g)の組成を有するEVOH100質量部、ε−カプロラクトン20質量部、テトラ−n−ブトキシチタン0.2質量部をニーダーに仕込み、220℃ で6時間反応させることにより得た。
EVOH−2: 脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH/ε−カプロラクトン=83質量%/17質量%)。かかるEVOH−2は、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.6モル%、MFR12g/10分(210℃,荷重2160g)の組成を有するEVOH100質量部、ε−カプロラクトン20質量部、テトラ−n−ブトキシチタン0.2質量部をニーダーに仕込み、220℃ で6時間反応させることにより得た。
EVOH−3: エチレン含有量48モル%、ケン化度99.7モル%、MFR15g/10分(210℃,荷重2160g)の未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体
EVOH−4: エチレン含有量29モル%、ケン化度99.6モル%、MFR8.0g/10分(210℃,荷重2160g)の未変性エチレン−ビニルアルコール共重合体
ポリアミド樹脂として、次の2種類を用いた。
ナイロン6/66: 宇部興産株式会社製ナイロン6/66共重合体「UBEナイロン」5023B
ナイロン6: 宇部興産株式会社製ナイロン6「UBEナイロン」1022B
ポリアミド樹脂の末端アミノ基と結合し得る化合物として、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル(日油株式会社製エピオール(登録商標)SB)を用いた。
変性ゴムとして、次の2種類を用いた。
変性ゴム−1: 無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(三井化学株式会社製タフマー(登録商標)MH7020
変性ゴム−2: 無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学株式会社製タフマー(登録商標)MP0620
架橋剤として、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(四国化成工業株式会社製セイクA)を用いた。
【0049】
(2)変性ポリアミド樹脂の調製
100質量部のナイロン6/66に対し2質量部のp−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテルを二軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製)の原料供給口からシリンダー内に導入し、温度230℃および滞留時間約5分間に設定された混練ゾーンに搬送して溶融混練し、溶融混練物を吐出口に取り付けられたダイからストランド状に押出した。得られたストランド状押出物を樹脂用ペレタイザーでペレット化し、ペレット状の変性ポリアミド樹脂−1を得た。
100質量部のナイロン6に対し2質量部のp−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテルを二軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製)の原料供給口からシリンダー内に導入し、温度240℃および滞留時間約5分間に設定された混練ゾーンに搬送して溶融混練し、溶融混練物を吐出口に取り付けられたダイからストランド状に押出した。得られたストランド状押出物を樹脂用ペレタイザーでペレット化し、ペレット状の変性ポリアミド樹脂−2を得た。
【0050】
(3)熱可塑性エラストマー組成物の調製
ポリアミド樹脂もしくは変性ポリアミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、変性ゴムおよび架橋剤を、表2に示す質量比率で、二軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製)の原料供給口からシリンダー内に導入し、温度230℃および滞留時間約2〜8分間に設定された混練ゾーンに搬送して溶融ブレンドし、溶融ブレンド物を吐出口に取り付けられたダイからストランド状に押出した。得られたストランド状押出物を樹脂用ペレタイザーでペレット化し、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
【0051】
(4)熱可塑性エラストマー組成物の評価方法
得られた熱可塑性エラストマー組成物について、通気度、疲労後の通気度変化率およびタイヤエア漏れを下記の試験法により評価した。
【0052】
(a)通気度
ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を、550mm幅T型ダイス付40mmφ単軸押出機(株式会社プラ技研)を用いて、押出温度Cl/C2/C3/C4/ダイ=210/220/225/230/230℃、冷却ロール温度50℃、引き取り速度3m/分の押出条件で、平均厚み0.10mmのフィルムに成形した。次に、このフィルムから長さ20cmおよび幅20cmの試験片を作製し、150℃で3時間以上乾燥し、JIS K7126−1「プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法(差圧法)」に準じて、試験気体として空気を用い、試験温度55℃で、熱可塑性エラストマー組成物フィルムの通気度を測定した。
ちなみに、下記の表2では通気度を「10−12cc・cm/cm・sec・cmHg」の単位で表示するが、1×10−12cc・cm/cm・sec・cmHgは7.5×10−8mm・mm/mm・sec・MPaに換算することができる。
【0053】
(b)疲労後の通気度変化率
表1に示す配合において、加硫剤以外の原料を1.7リットルのバンバリーミキサーにて、設定温度70℃にて5分間混練してマスターバッチを得た後、8インチロールで加硫剤を混練し、0.7mm厚のフィルムに成形した。得られた未加硫ゴム組成物フィルムを、上記「(a)通気度」の試験法と同様に作製した熱可塑性エラストマー組成物フィルムと積層し、170℃で15分間加硫させた。得られた積層体から、長さ11cmおよび幅11cmの試験片を作製し、上記「(a)通気度」の試験法と同様に通気度を測定した。通気度を測定した後、試験片を、室温で伸張率20%および毎分400回の条件のもとで100万回繰り返し伸張させることにより疲労させた。疲労後の試験片について、上記「(a)通気度」の試験法と同様に通気度を測定し、疲労後の通気度とする。疲労前の通気度に対する疲労後の通気度の比率を「疲労後の通気度変化率」と定義する。疲労後の通気度変化率が1.30以下であれば、疲労による通気度悪化を抑制する効果があると見なす。
【0054】
【表1】
【0055】
(c)タイヤエア漏れ
熱可塑性エラストマー組成物を厚さ60μmのフィルムに成形し、そのフィルムをインナーライナーとして用い、常法によりラジアルタイヤ195/65R15を作製した。作製したタイヤを空気圧250kPa、21℃雰囲気下で3か月間放置し、タイヤ空気圧変化を測定し、1か月あたりのタイヤ空気圧の減少量を%表示したものを「タイヤエア漏れ」(%/月)という。タイヤエア漏れは、作製したタイヤを室内でJATMA規格により規定された標準リムにて140kPaの圧力で空気を封入し、外形1700mmのドラム上を用い、38℃の室温にて、荷重300kN、速度80km/hで距離7万km走行させた後にも測定した。走行前のタイヤエア漏れを「疲労前タイヤエア漏れ」といい、走行後のタイヤエア漏れを「疲労後タイヤエア漏れ」という。疲労前タイヤエア漏れに対する疲労後タイヤエア漏れの比率を、「疲労によるタイヤエア漏れの変化率」という。疲労によるタイヤエア漏れの変化率が1.25倍以下であれば、疲労によるエア漏れ悪化を抑制する効果があると見なす。
【0056】
(5)評価結果
評価結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の空気入りタイヤは、自動車等のタイヤとして好適に利用することができる。