(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置調整部が、前記第2の筐体の前記表示ユニットにおける表示画像の出射方向が前記使用者の眼球に向くよう、前記第1の筐体の前記頭部装着部に対する角度が調整可能である請求項1から11の何れか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フレキシブル部材からなる支持アームにより表示ユニット位置を使用者の眼の位置に調節する際に、非屈曲状態での支持アームが使用者の眼に対して適切な位置にない場合、表示ユニット位置の調整が困難なことがある。
理想的には、支持アームを一度曲げるだけで表示ユニットを適切な位置に配置できればよいが、眼の位置に対して支持アームの位置が適切な位置に配置できない場合には、何度も支持アームを曲げて、例えばS字状に支持アームを曲げなければならず、表示ユニットの位置調整に手間がかかるという問題がある。
特に、表示ユニットによる表示を行う状態と、表示ユニットを使用者の視界前方から退避させて表示ユニットによる表示を行わない状態とを、頻繁に切り換えて使用するような場合においては、上記問題は大きなものとなる。
あるいは、周囲の環境に応じて表示ユニットを使用者の視界上方に配置して使用する場合と、表示ユニットを使用者の視界下方に配置して使用する場合とを、頻繁に切り換えて使用するような場合においても、上記問題は大きなものとなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、表示ユニットの位置調整を容易に行うことのできる頭部装着型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の
第1態様は、使用者の頭部に装着される頭部装着部と、前記頭部装着部に保持された第1の筐体と、表示素子を有する表示ユニットが設けられた第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを接続するフレキシブル部材からなる支持アームと、前記第1の筐体の前記頭部装着部に対する角度を調整可能な位置調整部と、を備え
、該位置調整部が、前記頭部装着部に対して前記第1の筐体を回動可能に支持し、かつ、前記頭部装着部に対して上下方向に移動可能である支持軸を有する頭部装着型表示装置
である。
位置調整部において、第1の筐体の頭部装着部に対する角度を調整すると、第1の筐体とともに支持アームおよび第2の筐体の角度が変わり、使用者に対する表示ユニットの向きを変えることができる。
表示ユニットから出射される画像表示光を使用者の眼球に向けるには、位置調整部において、第1の筐体、支持アーム、および第2の筐体の角度を調整すればよい。また、表示ユニットから出射される画像表示光を使用者の眼球に向けた状態から、表示ユニットを使用者の視界の妨げにならない位置に退避させる場合にも、位置調整部において、第1の筐体、支持アーム、および第2の筐体の角度を調整すればよい。
【0008】
本発明の第2態様は、使用者の頭部に装着される頭部装着部と、前記頭部装着部に保持された第1の筐体と、表示素子を有する表示ユニットが設けられた第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを接続する柔軟性および形状維持性を有するフレキシブル部材からなる支持アームと、前記第1の筐体の前記頭部装着部に対する角度を調整可能な位置調整部と、前記支持アームが挿通され、該挿通させた位置において前記支持アームの変形を拘束する拘束部材と、を備える頭部装着型表示装置である。
本発明の第3態様は、使用者の頭部に装着される頭部装着部と、前記頭部装着部に保持された第1の筐体と、表示素子を有する表示ユニットが設けられた第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを接続する柔軟性および形状維持性を有するフレキシブル部材からなる支持アームと、前記第1の筐体の前記頭部装着部に対する角度を調整可能な位置調整部と、前記第1の筐体から前記支持アーム側に出没可能に設けられ、前記支持アームの変形を拘束する拘束部材とを備える頭部装着型表示装置である。
本発明の第4態様は、使用者の頭部に装着される頭部装着部と、前記頭部装着部に保持された第1の筐体と、表示素子を有する表示ユニットが設けられた第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを接続する柔軟性および形状維持性を有するフレキシブル部材からなる支持アームと、前記第1の筐体の前記頭部装着部に対する角度を調整可能な位置調整部と、断面C字状で前記支持アームに着脱可能であり、前記支持アームの変形を拘束する拘束部材とを備える頭部装着型表示装置である。
上記態様においては、前記位置調整部が、前記第1の筐体を、前記頭部装着部に対して回動可能に支持する支持軸を有していてもよい。
支持軸周りに第1の筐体を回動させることで、第1の筐体、支持アーム、および第2の筐体の、前記頭部装着部に対する角度を調整できる。
【0009】
上記態様においては、前記支持軸が、前記頭部装着部に対して上下方向に移動可能であってもよい。これにより、第1の筐体、支持アーム、および第2の筐体の高さを調整することができる。
【0010】
上記態様においては、頭部に装着された状態での側面視において、非屈曲状態の前記支持アームが前記位置調整部の調整により、眼球中心と重なる位置に調整可能であることが好ましい。このようにすることで、表示ユニットの位置調整を容易に行うことができる。
【0011】
上記態様においては、前記位置調整部が、前記第2の筐体の前記表示ユニットにおける表示画像の出射方向が前記使用者の眼球に向くよう、前記第1の筐体の前記頭部装着部に対する角度が調整可能であってもよい。
【0012】
上記態様においては、前記支持アームが、柔軟性および形状維持性を有するフレキシブル部材からなっていてもよい。
これにより、位置調整部における角度調整に加え、支持アームを曲げることでも、表示ユニットの向きを調整することができる。
【0013】
上記態様においては
、前記支持アームの変形を拘束する拘束部材を備えていてもよい。
拘束部材で支持アームの変形を拘束すると、支持アームの端部の近傍において支持アームが変形し、その変形位置を安定させることができる。
【0014】
上記態様においては、前記拘束部材が、前記第1の筐体から前記支持アーム側に出没可能に設けられていてもよい。これにより、支持アームの変形位置を調節することができる。
【0015】
上記態様においては、前記拘束部材が、断面C字状で、前記支持アームに着脱可能であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示ユニットの位置調整を容易に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る頭部装着型表示装置について、図面を参照して以下に説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る頭部装着型表示装置1Aは、
図1に示されるように、表示ユニット21を支持し、使用者の頭部に装着される表示装置本体5を有する。
【0019】
表示装置本体5は、使用者の頭部(例えば耳)に係止するための頭部装着部11が設けられた第1の筐体10と、表示ユニット21が設けられた第2の筐体20と、第1の筐体10と第2の筐体20とを連結するフレキシブル部材からなる支持アーム30と、を有している。
【0020】
図1、
図2に示すように、第1の筐体10には、外部からブルートゥース等の無線通信を介して送信される信号を受信する無線通信回路12a、表示ユニット21を駆動する信号を生成・出力する駆動回路12bおよび制御回路12c等を含む電子基板12が収容されている。また、バッテリ部10bには、電子基板12に電力を供給するバッテリ13が収容されている。
【0021】
図1に示したように、頭部装着部11は、ベース部11aと、ベース部11aに設けられ、使用者の頭部、例えば使用者の耳に係止可能なフック11bと、を備えている。
なお、頭部装着部11の細部の形状や構成については、上記したものに何ら限るものではない。
【0022】
第2の筐体20は、支持アーム30側の端部からその断面積が漸次増大し、その反対側の端部に、表示ユニット21を構成する接眼光学系22が設けられている。
この接眼光学系22は、支持アーム30および第2の筐体20が延びる方向に対し、使用者が頭部装着型表示装置1Aを頭部に装着した状態で、使用者の視界の範囲内に位置するよう配置される。
【0023】
図2に示すように、第2の筐体20は、表示ユニット21を構成するLCD等の表示素子23、照明系24を内蔵している。
図1に示すように、支持アーム30は、第1の筐体10側から第2の筐体20側に向けて、ほぼ一定の外径を有した棒状をなしている。
【0024】
この支持アーム30は、フレキシブル部材からなり、使用者が手で自在に曲げることのできる柔軟性と、手を離せば、そのままの形状を維持できる形状維持性と、を有したものとする。
また、
図2に示すように、支持アーム30には、第1の筐体10の電子基板12と、第2の筐体20の表示ユニット21とを電気的に接続する配線35が備えられている。
【0025】
このような支持アーム30としては、
図3(a)、(b)に示すように、金属製の芯材31の外表面を、樹脂素材やゴム系素材からなるコート層32で被覆したものを用いることができる。芯材31は、その外径を0.5mm〜1.2mm程度とするのが好ましい。
この場合、配線35は、コート層32内にインサート成形により内蔵しても良いし、樹脂材料はゴム材料からなる柔軟性を有したアウターチューブ内に、コート層32を有した芯材31とともに挿入配置しても良い。
【0026】
また、
図3(c)に示すように、金属製の線材を螺旋状に巻いてなるフレキシブルチューブ33を用いることができる。フレキシブルチューブ33は、金属製の断面円形の線材33aを螺旋状に巻いたコイルスプリング状にするとともに、フレキシブルチューブ33の外周面側において互いに隣接する線材33a,33aの間に、金属製の断面三角形(くさび状)の線材33bを巻き付けた構成とすることもできる。このフレキシブルチューブ33は、その内径を2.5mm以上、外径を4.5mm以下とするのが好ましい。
このフレキシブルチューブ33は、インサート成型によりスリーブ34に覆うようにしても良い。
この場合、配線35は、フレキシブルチューブ33内に挿通させるのが好ましい。
【0027】
さて、
図1に示すように、本実施形態の頭部装着型表示装置1Aにおいては、頭部装着部11に対し、第1の筐体10、第2の筐体20、支持アーム30からなる表示装置本体5は、表示ユニット21の接眼光学系22の位置が調整可能とする位置調整部40Aが備えられている。
図1(c)に示すように、この位置調整部40Aは、頭部装着部11のベース部11aに形成されたスライド溝41と、スライド溝41に沿ってスライド移動可能に設けられた支持軸42と、を備えている。
【0028】
スライド溝41は、頭部装着型表示装置1Aを使用者が装着した状態で、上下方向に連続するように形成する。これにより、支持軸42の位置を、上下方向に調整可能とする。さらには、
図1(c)に示した例のように、スライド溝41を、頭部装着型表示装置1Aを使用者が装着した状態で、上方に行くにしたがい表示ユニット21が設けられた前方に向けて傾斜して形成するのも好ましい。これにより、支持軸42の位置を、上下方向だけでなく前後にも調整できるようになる。
支持軸42は、頭部装着型表示装置1Aを使用者が装着した状態で、水平方向、かつ第1の筐体10と第2の筐体20とを結ぶ方向に直交する方向に軸線を有するよう設けられている。表示装置本体5は、この支持軸42に対し、その軸線周りに回動可能に設けられている。
【0029】
このような位置調整部40Aは、頭部装着部11によって、頭部装着型表示装置1Aを使用者の頭部に装着した状態で、表示装置本体5は、位置調整部40Aによって、支持軸42の上下方向および前後方向の位置が調整できるとともに、支持軸42を中心として回動可能となっている。これにより、表示装置本体5の先端部の表示ユニット21を上下させるとともに、表示ユニット21における支持軸42を中心とした角度を変更することによって、使用者の眼球Eに対する接眼光学系22の高さおよび光軸角度を調整する。従って、例えば、頭部に装着された状態での側面視において、位置調整部40Aを調整することにより、非屈曲状態の支持アーム30が眼球Eの中心Cと重なる位置となるように調整することができる。
【0030】
さらに、位置調整部40Aで表示ユニット21の高さと角度を調整した後、必要に応じ、フレキシブル部材からなる支持アーム30を変形させ、使用者の眼球Eに対する接眼光学系22の高さおよび光軸角度の微調整を行うことができる。
このとき、位置調整部40Aにおける表示装置本体5の位置調整は、接眼光学系22から出射される画像表示光が、使用者の眼球E、より好ましくは、眼球Eの中心Cに向かうように行うのが好ましい。
【0031】
頭部装着型表示装置1Aを使用しないときには、支持アーム30を変形させることなく、そのまま、支持軸42を中心として表示装置本体5を回動させ、表示ユニット21が使用者の視野の邪魔にならない位置に退避させることができる。その後、再び頭部装着型表示装置1を使用するときにも、支持アーム30を変形させることなく、そのまま、支持軸42を中心として表示装置本体5を回動させれば良い。
【0032】
上述したようにして、位置調整部40Aにより、表示装置本体5を、頭部装着部11に対し、その傾き、高さ、前後方向の位置を調整可能とすることによって、表示ユニット21の位置調整を容易に行うことが可能となる。
さらに、フレキシブル部材からなる支持アーム30により、表示ユニット21の位置を微調整することができる。
加えて、頭部装着型表示装置1Aを使用する使用状態と、頭部装着型表示装置1Aを使用しない不使用状態との切り替えは、支持アーム30を変形させることなく、表示装置本体5を回動させれば良い。したがって、このような場合には、表示ユニット21の位置調整を、特に容易に行うことが可能となる。
【0033】
なお、上記実施形態において、支持アーム30をフレキシブル部材からなるものとしたが、これに限るものではなく、支持アーム30が変形不可能な剛性を有する材料からなるものとしても良い。
また、頭部装着部11を、使用者の耳に装着するものとしたが、これに限るものではなく、頭部装着部11を、使用者が装着した眼鏡のテンプルに係止させる構成とすることも可能である。
【0034】
次に、本発明の他の複数実施形態について説明する。以下に示す他の実施形態においては、上記第1実施形態で示した構成と異なる構成を中心に説明を行い、上記第1実施形態と共通する構成については、同符号を付してその説明を省略する。
【0035】
[第2実施形態]
図4に示すように、本発明の第2実施形態に係る頭部装着型表示装置1Bにおいては、表示装置本体5が、位置調整部40Bを介し、使用者の頭部に装着されるヘッドバンド50に設けられている。
ここで、ヘッドバンド50は、使用者の頭部を囲うよう設けられる略逆U字状で、その両端部には、使用者の頭部、例えば耳の近傍に突き当たるパッド51,51が設けられている。
【0036】
位置調整部40Bは、その両端部に、それぞれ、形成されたスライド溝41と、スライド溝41に沿ってスライド移動可能に設けられた支持軸42と、を備えている。
ここで、スライド溝41は、頭部装着型表示装置1Bを使用者が装着した状態で、上下方向に連続するように形成しても良いし、
図1(c)に示した例と同様に、使用者が装着した状態で、上方に行くにしたがい前方にいくよう、傾斜して形成するのも好ましい。
【0037】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と共通する作用効果を奏することができる。
【0038】
[第3実施形態]
図5(a)に示すように、本発明の第3実施形態に係る頭部装着型表示装置1Cにおいては、表示装置本体5が、位置調整部40Cを介し、使用者の頭部に装着される眼鏡100のテンプル部101に設けられている。
【0039】
図5(b)、(c)に示すように、位置調整部40Cは、眼鏡100のテンプル部101に、ベースプレート45が設けられている。このベースプレート45は、テンプル部101に設けられた回動軸46を中心として、回動可能である。
また、ベースプレート45には、回動軸46を中心とした円弧状に連続するガイド溝47が形成され、このガイド溝47内に、テンプル部101に設けられたストッパ軸48が配置されて、ベースプレート45の回動範囲を規制している。
【0040】
表示装置本体5は、このベースプレート45に取り付けられている。これにより、表示装置本体5は、回動軸46を中心として、その角度が変更可能である。
ここで、ベースプレート45に、スライド溝49を設けるとともに、表示装置本体5側にスライド溝49によって移動方向がガイドされるガイド突起(図示無し)を設けることもできる。これにより、使用者が頭部装着型表示装置1Cを頭部に装着した状態で、表示装置本体5を、前後方向に位置調整可能である。
【0041】
このような構成においても、上記第1実施形態と共通する作用効果を奏することができる。
【0042】
(第1〜第3実施形態の変形例)
なお、上記第1〜第3実施形態で示した構成は、以下に示すような変形例とすることも可能である。
例えば、上記実施形態では、位置調整部40A〜40Cにおける位置調整に加えて、フレキシブル部材からなる支持アーム30の変形による位置調整を行う構成としたが、支持アーム30を変形させる場合、その変形部位の位置を安定させるため、以下に示すような構成を採用することもできる。
【0043】
すなわち、
図6に示すように、第1の筐体10に、筒状のスリーブ(拘束部材)60を、支持アーム30側に向けて出没可能とし、このスリーブ60内に支持アーム30を挿通させる構成とすることができる。このような構成においては、スリーブ60によって支持アーム30の変形が拘束されるので、支持アーム30を曲げようとすると、スリーブ60の先端部60aの近傍の屈曲部Sにおいて支持アーム30が曲がる。したがって、支持アーム30の屈曲部Sの位置を安定させることができる。
さらに、
図6(a)、(b)に示した場合と、
図6(c)、(d)に示した場合のように、スリーブ60の第1の筐体10からの突出量を異ならせることによって、屈曲部Sの位置を変更することができ、表示ユニット21の位置・角度調整を、より容易かつ確実に行うことができる。
【0044】
また、上記の例では円筒状のスリーブ60を用いたが、これに代えて、
図7に示すように、断面略C字状のアタッチメント(拘束部材)70を支持アーム30に嵌め込んで取り付けることもできる。
この場合においても、アタッチメント70により支持アーム30の変形が拘束され、支持アーム30の変形が生じる屈曲部Sの位置を安定させることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【0045】
ここで、上記の
図7の例では、アタッチメント70を支持アーム30の第1の筐体10側にのみ設けるようにしたが、第2の筐体20側にもアタッチメント70を設けることもできる。この場合、支持アーム30は、アタッチメント70,70の間において変形するため、その屈曲部Sの位置を、より一層安定させることができる。
また、
図6の例においても、スリーブ60を、支持アーム40の第1の筐体10側と第2の筐体20側にそれぞれ設けてもよく、この場合も、屈曲部Sの位置を、より一層安定させることができる。
【0046】
なお、上記各実施形態で示した構成は、本発明の主旨の範囲内であれば、適宜の変更、構成の取捨選択、組み合わせが可能である。