特許第6021527号(P6021527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021527
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】基地局、無線通信システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20161027BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20161027BHJP
【FI】
   H04W72/04 111
   H04W52/02 110
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-191204(P2012-191204)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-49933(P2014-49933A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内野 徹
(72)【発明者】
【氏名】清嶋 耕平
【審査官】 田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/082545(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/059926(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/041075(WO,A1)
【文献】 特開2011−259106(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/063244(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0294491(US,A1)
【文献】 Samsung,On the necessity of DRX enhancement [online],3GPP TSG-RAN2#70 meeting Tdoc R2-103549,2010年 6月22日,[検索日:2016.06.24],URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_70bis/Docs/R2-103549.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置と無線信号を通信する信号送受信部と、
前記無線信号を通信するため前記ユーザ装置に割り当てられるプライマリセルと1以上のセカンダリセルとを管理するセル管理部と、
前記ユーザ装置に割り当てられたセカンダリセルの状態を管理するためのタイマを管理するタイマ管理部と、
を有する基地局であって、
前記セル管理部が前記ユーザ装置にセカンダリセルを割り当てると、前記タイマ管理部は、前記割り当てられたセカンダリセルに対して前記タイマを起動し、
前記セカンダリセルの無線リソースが前記ユーザ装置にスケジューリングされると、前記タイマ管理部は、前記タイマをリセットして再起動し、
前記タイマが所定の閾値を超過すると、前記セル管理部は、前記ユーザ装置から前記セカンダリセルを削除し、
当該基地局と通信接続するユーザ装置の間欠受信状態を管理する間欠受信状態管理部をさらに有し、
前記セル管理部が前記ユーザ装置から前記セカンダリセルを削除すると、前記間欠受信状態管理部は、前記セカンダリセルの削除の直前に前記ユーザ装置が間欠受信状態であったか確認し、前記ユーザ装置が間欠受信状態であった場合、前記セカンダリセルの削除後に前記ユーザ装置を間欠受信状態に遷移させる基地局。
【請求項2】
前記間欠受信状態管理部は、前記タイマ管理部から前記タイマが所定の閾値を超過したという通知を受信することに応答して、前記ユーザ装置が間欠受信状態であるか否かを確認する、請求項記載の基地局。
【請求項3】
前記基地局は、キャリアアグリゲーションを用いて前記ユーザ装置と通信し、
前記プライマリセルは、前記ユーザ装置との通信接続を維持するためのセルであり、
前記セカンダリセルは、前記プライマリセルに追加して割り当てられるセルである、請求項1又は2記載の基地局。
【請求項4】
ユーザ装置と、
前記ユーザ装置と通信接続する基地局と、
を有する無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記ユーザ装置と無線信号を通信する信号送受信部と、
前記無線信号を通信するため前記ユーザ装置に割り当てられるプライマリセルと1以上のセカンダリセルとを管理するセル管理部と、
前記ユーザ装置に割り当てられたセカンダリセルの状態を管理するためのタイマを管理するタイマ管理部と、
を有し、
前記セル管理部が前記ユーザ装置にセカンダリセルを割り当てると、前記タイマ管理部は、前記割り当てられたセカンダリセルに対して前記タイマを起動し、
前記セカンダリセルの無線リソースが前記ユーザ装置にスケジューリングされると、前記タイマ管理部は、前記タイマをリセットして再起動し、
前記タイマが所定の閾値を超過すると、前記セル管理部は、前記ユーザ装置から前記セカンダリセルを削除し、
当該基地局と通信接続するユーザ装置の間欠受信状態を管理する間欠受信状態管理部をさらに有し、
前記セル管理部が前記ユーザ装置から前記セカンダリセルを削除すると、前記間欠受信状態管理部は、前記セカンダリセルの削除の直前に前記ユーザ装置が間欠受信状態であったか確認し、前記ユーザ装置が間欠受信状態であった場合、前記セカンダリセルの削除後に前記ユーザ装置を間欠受信状態に遷移させる無線通信システム。
【請求項5】
プライマリセルと1以上のセカンダリセルとを介しユーザ装置と通信接続する基地局における方法であって、
前記ユーザ装置にセカンダリセルを割り当てると、前記割り当てられたセカンダリセルに対してタイマを起動するステップと、
前記セカンダリセルの無線リソースが前記ユーザ装置にスケジューリングされると、前記タイマをリセットして再起動するステップと、
前記タイマが所定の閾値を超過すると、前記セカンダリセルを削除するステップと、
を有し、
当該基地局と通信接続するユーザ装置の間欠受信状態を管理するステップをさらに有し、
前記ユーザ装置から前記セカンダリセルを削除すると、前記間欠受信状態を管理するステップは、前記セカンダリセルの削除の直前に前記ユーザ装置が間欠受信状態であったか確認し、前記ユーザ装置が間欠受信状態であった場合、前記セカンダリセルの削除後に前記ユーザ装置を間欠受信状態に遷移させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、より詳細には、キャリアアグリゲーションを利用した無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)は、LTE(Long Term Evolution)の次世代の通信規格として、LTE−A(Long Term Evolution−Advanced)の標準化を進めている。LTE−Aシステムでは、LTEシステムとのバックワードコンパチビリティを確保しつつ、LTEシステムを上回るスループットを実現するため、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)技術が導入される。キャリアアグリゲーション技術では、LTEシステムによりサポートされている20MHzの最大帯域幅を有するLTEキャリア(コンポーネントキャリアとも呼ばれる)が基本コンポーネントとして利用され、これら複数のコンポーネントキャリアを同時に用いることによって、より広帯域な通信を実現することが図られている。
【0003】
キャリアアグリゲーションでは、例えば、図1に示されるようなコンポーネントキャリアの配置が想定される。ケース1では、隣接する20MHzの2つの帯域が、キャリアアグリゲーションによって40MHzの帯域として利用可能になる。ケース1は、20MHzより大きな連続する帯域を確保可能なケースなどに効果的に用いられ、LTEシステムとのバックワードコンパチビリティを確保しつつ、LTEシステムを上回るスループットを実現することができる。ケース2では、離間した10MHzの2つの帯域が、キャリアアグリゲーションによって20MHzの帯域として利用可能になる。ケース2は、事業者への周波数帯域の割当てが断片的である場合などに効果的に用いられ、LTEシステムとのバックワードコンパチビリティを確保しつつ、LTEシステムを上回るスループットを実現することができる。
【0004】
キャリアアグリゲーションでは、ユーザ装置(User Equipment:UE)は、複数のコンポーネントキャリアを同時に用いて基地局(evolved NodeB:eNB)と通信することが可能である。キャリアアグリゲーションでは、ユーザ装置との接続性を担保する信頼性の高いプライマリセル(Primary Cell:Pcell)と、プライマリセルに接続中のユーザ装置に追加的に設定されるセカンダリセル(Secondary Cell:Scell)とが設定される。例えば、図1に示される具体例において、2つのコンポーネントキャリアの一方がプライマリセルに設定され、他方がセカンダリセルに設定されてもよい。
【0005】
プライマリセルは、LTEシステムと同様のセルであり、ユーザ装置とネットワークとの間の接続性を担保するためのセルである。すなわち、プライマリセルでは、ユーザ装置は、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)やPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を受信し、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)及びPRACH(Physical Random Access Channel)を送信することが可能である。また、プライマリセルを変更する場合、ユーザ装置は、ハンドオーバを実行する必要がある。
【0006】
他方、セカンダリセルは、プライマリセルに追加されてユーザ装置に設定されるセルである。セカンダリセルの追加及び削除は、RRC(Radio Resource Control)のコンフィギュレーション(Configuration)により実行される。セカンダリセルでは、ユーザ装置は、PUCCH及びPRACHを送信しない。また、セカンダリセルがユーザ装置に設定された直後は非アクティブ(deactivate)状態であり、MACレイヤにおいてアクティブ化(activation)することで始めて通信可能又はスケジューリング可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.7.0 (2012-03)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在検討されているキャリアアグリゲーションでは、ユーザ装置にセカンダリセルが追加されると、基地局から当該セカンダリセルを削除するRRCシグナリングが通知されるまで、ユーザ装置は、割り当てられたセカンダリセルを保持し続ける。このため、ユーザ装置が割り当てられたセカンダリセルを使用しなくなった場合、ユーザ装置がセカンダリセルを保持し続けることは、無線リソースの効率的な利用やユーザ装置のバッテリセービングの観点から望ましくない。従って、一定期間使用されないセカンダリセルを削除するための仕組みが必要とされる。
【0009】
また、LTEシステム及びLTE−Aシステムでは、ユーザ装置のバッテリセービングを図るため、間欠受信(Discontinuous Reception:DRX)制御が採用されている。DRX制御では、ユーザ装置が基地局とRRCコネクションを確立している(RRC connected状態)ときでも、例えば、送受信データ量の増減に応じて、ユーザ装置の送受信処理が省かれる。現在検討されているキャリアアグリゲーションでは、DRX状態にあるユーザ装置に割り当てられているセカンダリセルが削除される場合、基地局からセカンダリセルを削除するRRCシグナリングを受信すると、ユーザ装置は、非DRX状態に戻ってセカンダリセル削除処理を実行し、当該処理の完了後も非DRX状態を継続することになる。従って、DRX状態にあるユーザ装置からセカンダリセルを削除する場合、ユーザ装置がセカンダリセル削除処理の完了後に迅速にDRX状態に遷移するための仕組みが必要とされる。
【0010】
上記問題点に鑑み、本発明の一課題は、セカンダリセルを適時的に削除するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、ユーザ装置と無線信号を通信する信号送受信部と、前記無線信号を通信するため前記ユーザ装置に割り当てられるプライマリセルと1以上のセカンダリセルとを管理するセル管理部と、前記ユーザ装置に割り当てられたセカンダリセルの状態を管理するためのタイマを管理するタイマ管理部とを有する基地局であって、前記セル管理部が前記ユーザ装置にセカンダリセルを割り当てると、前記タイマ管理部は、前記割り当てられたセカンダリセルに対して前記タイマを起動し、前記セカンダリセルの無線リソースが前記ユーザ装置にスケジューリングされると、前記タイマ管理部は、前記タイマをリセットして再起動し、前記タイマが所定の閾値を超過すると、前記セル管理部は、前記ユーザ装置から前記セカンダリセルを削除する基地局に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、セカンダリセルを適時的に削除することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、キャリアアグリゲーションを概略的に示す図である。
図2図2は、本発明の一実施例によるScell Inactive Timerによる制御を概略的に示す図である。
図3図3は、本発明の一実施例による無線通信システムを概略的に示す図である。
図4図4は、本発明の一実施例による基地局の構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の一実施例によるScell Inactive Timerの動作を示すフロー図である。
図6図6は、本発明の他の実施例によるDRX状態におけるScell Inactive Timerの動作を概略的に示す図である。
図7図7は、本発明の他の実施例による基地局の構成を示すブロック図である。
図8図8は、本発明の他の実施例によるScell Inactive Timerの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
以下に開示される実施例では、キャリアアグリゲーションが利用可能な無線通信システムが説明される。キャリアアグリゲーションでは、基地局(evolved NodeB:eNB)は、ユーザ装置(User Equipment:UE)との通信接続を維持するためのプライマリセルと、ユーザ装置によるプライマリセルへの接続後に必要に応じて追加されるセカンダリセルとを提供する。後述される実施例によると、ユーザ装置に割り当てられたセカンダリセルが利用されることなく保持され続けることを回避するため、基地局は、当該セカンダリセル(Scell)に対して管理するScell Inactive Timerを用いて、ユーザ装置に割り当てられたセカンダリセルの状態を管理する。このScell Inactive Timerを利用することによって、基地局は、ユーザ装置への割当て後に不要になったセカンダリセルを速やかに回収する。
【0016】
より詳細には、図2に示されるように、基地局は、ユーザ装置にセカンダリセルを割り当てると、Scell Inactive Timerを起動する。本起動タイミングは、当該セカンダリセルを追加するメッセージ送信タイミングでもよいし、当該セカンダリセルを追加するメッセージに対するコンプリート受信タイミングでもよいし、当該セカンダリセルを追加後初めての当該セカンダリセルをアクティブ化するタイミングでもよい。ユーザ装置に当該セカンダリセルに新規無線リソースを割り当てる毎に、基地局は、当該セカンダリセルが利用されていると判断し、Scell Inactive Timerをリセットして再起動する。他方、Scell Inactive Timerが所定の閾値を超過すると、基地局は、割り当てられたセカンダリセルが不要になったと判断し、ユーザ装置から当該セカンダリセルを削除する。また、所定の閾値を超えた場合、基地局は、Scell Inactive Timerをリセットして再起動してもよい。
【0017】
このようにして、Scell Inactive Timerを利用することによって、不要になったセカンダリセルをユーザ装置から適時的に回収することが可能になり、不要になったセカンダリセルをユーザ装置が保持し続けることによって生じる無線リソースの非効率的な利用及びユーザ装置のバッテリの浪費を低減することが可能になる。
【0018】
まず、図3を参照して、本発明の一実施例による無線通信システムを説明する。図3は、本発明の一実施例による無線通信システムを概略的に示す図である。
【0019】
図3に示されるように、無線通信システム10は、例えば、LTE−A(Long Term Evolution Advanced)システムなど、キャリアアグリゲーションを利用した無線通信を実現する無線通信システムである。無線通信システム10は、基地局(eNB)100と、1以上のユーザ装置(UE)200とを有する。ユーザ装置200は、典型的には、図示されるように、携帯電話やスマートフォンなどの無線通信機能を備えた何れか適切なユーザ装置であってもよい。
【0020】
基地局100は、ユーザ装置200と無線接続することによって、通信接続された上位局やサーバ(図示せず)から受信したダウンリンク(DL)データをユーザ装置200に送信すると共に、ユーザ装置200から受信したアップリンク(UL)データを上位局(図示せず)に送信する。基地局100は、典型的なハードウェア構成では、プロセッサなどのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ装置、ハードディスク装置などの補助記憶装置、無線信号を通信するための通信装置、上位局、外部のサーバ、オペレータなどと各種データ及び/又は指示をやりとりするためのインタフェース装置などから構成される。後述される基地局100の各機能は、通信装置及び/又はインタフェース装置を介し補助記憶装置に格納されているデータやプログラムをメモリ装置にロードし、ロードされたプログラムに従ってCPUがデータを処理することによって実現される。
【0021】
次に、図4を参照して、本発明の一実施例による基地局の構成を説明する。図4は、本発明の一実施例による基地局の構成を示すブロック図である。
【0022】
図4に示されるように、基地局100は、DL信号送信部110と、UL信号受信部120と、セル管理部130と、Scell Inactive Timer管理部140とを有する。
【0023】
DL信号送信部110は、プライマリセル及び/又はセカンダリセルを介して、データ信号及び/又は制御信号から構成される無線信号をユーザ装置200に送信する。例えば、DL信号送信部110は、ユーザ装置200からの要求に応答してサーバから提供されたデータを無線信号に変換し、要求元のユーザ装置200に送信する。また、DL信号送信部110は、ユーザ装置200と無線通信するのに必要なスケジューリング情報や各種シグナリングなどの制御情報を無線信号に変換し、ユーザ装置200に送信する。
【0024】
UL信号受信部120は、プライマリセル及び/又はセカンダリセルを介して、データ信号及び/又は制御信号から構成される無線信号をユーザ装置200から受信する。例えば、割り当てられたプライマリセル及び/又はセカンダリセルの無線リソースを利用してユーザ装置200がデータ信号を送信すると、UL信号受信部120は、受信したデータ信号を送信先のサーバに転送する。また、割り当てられたプライマリセル及び/又はセカンダリセルの無線リソースを利用してユーザ装置200が制御信号を送信すると、UL信号受信部120は、受信した制御信号を以降の通信に利用したり、及び/又は上位局に転送する。
【0025】
セル管理部130は、基地局100が提供可能なプライマリセルと1以上のセカンダリセルとを管理する。プライマリセル(Primary Cell:Pcell)は、ユーザ装置200との接続性を担保する信頼性の高いセルであり、プライマリセルを変更する場合にはユーザ装置200はハンドオーバを実行する必要がある。セカンダリセル(Secondary Cell:Scell)は、プライマリセルに追加されてユーザ装置200に設定されるセルである。セカンダリセルの追加及び削除は、RRCのコンフィギュレーション(configuration)により行われる。セカンダリセルは、RRCのコンフィギュレーションによりユーザ装置200に設定された直後は、非アクティブ状態である。従って、ユーザ装置200に設定されたセカンダリセルは、MACレイヤにおいてアクティブ化されることによって始めて通信可能、すなわち、スケジューリング可能な状態になる。
【0026】
ユーザ装置200が基地局100に通信接続すると、セル管理部130は、プライマリセルによりユーザ装置200と接続する。プライマリセルへの接続後に何らかの理由によってセカンダリセルを追加する必要が生じると、セル管理部130は、ユーザ装置200にセカンダリセルを割り当てる。具体的には、セル管理部130は、ユーザ装置200にセカンダリセルを割り当てることを決定すると、ユーザ装置200にセカンダリセルを割り当てることを通知するRRCシグナリングを送信するようDL信号送信部110に指示する。
【0027】
また、セカンダリセルの割当て後、後述されるように、Scell Inactive Timer管理部140からScell Inactive Timerが所定の閾値を超過したことが通知されると、セル管理部130は、ユーザ装置200に割り当てたセカンダリセルを回収するため、セカンダリセルの割当てを解除するためのRRCシグナリングを送信するようDL信号送信部110に指示する。このRRCシグナリングを受信すると、ユーザ装置200は、セカンダリセル削除処理を開始する。このとき、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerをリセットして、再起動してもよい。
【0028】
Scell Inactive Timer管理部140は、ユーザ装置200に割り当てられたセカンダリセルを管理するためのScell Inactive Timerを管理する。Scell Inactive Timerは、ユーザ装置200に割り当てられたセカンダリセルに対して設定され、ユーザ装置200にセカンダリセルの無線リソースが割り当てられていない期間、すなわち、ユーザ装置200がセカンダリセルを利用していない期間を計時するのに利用される。Scell Inactive Timerが所定の期間を超過すると、Scell Inactive Timer管理部140は、セル管理部130に当該セカンダリセルが利用されていないことを通知し、セル管理部130にセカンダリセルを回収させる。
【0029】
具体的には、セル管理部130がユーザ装置200にセカンダリセルを割り当てると、Scell Inactive Timer管理部140は、ユーザ装置200に割り当てられたセカンダリセルに対してScell Inactive Timerを起動する。なお、ハンドオーバの前後でセカンダリセルが引き継がれる場合、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerの値を引き継ぎ、計時を継続する。
【0030】
Scell Inactive Timerの起動後、当該セカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200に割り当てられる毎に、Scell Inactive Timer管理部140は、当該セカンダリセルがユーザ装置200に利用されていると判断し、Scell Inactive Timerをリセットして再起動する。
【0031】
Scell Inactive Timerが所定の閾値を超過すると、Scell Inactive Timer管理部140は、当該セカンダリセルがユーザ装置200に不要になったと判断し、セル管理部130に当該セカンダリセルが利用されていないことを通知する。当該通知を受信すると、セル管理部130は、ユーザ装置200から当該セカンダリセルを削除する。このとき、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerをリセットして、再起動してもよい。

次に、図5を参照して、本発明の一実施例によるScell Inactive Timerの動作を説明する。図5は、本発明の一実施例によるScell Inactive Timerの動作を示すフロー図である。
【0032】
図5に示されるように、セル管理部130がユーザ装置200にセカンダリセルを割り当てたことに応答して、ステップS101において、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerを起動する。
【0033】
ステップS102において、セル管理部130は、割り当てられたセカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200にスケジューリングされたか検知する。例えば、セル管理部130は、スケジューリング部(図示せず)などから当該セカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200に割り当てられたことを通知されると、割り当てられたセカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200にスケジューリングされたと判断することができる。
【0034】
セル管理部130が当該セカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200に割り当てられたことを検知した場合(S102:Y)、セル管理部130は、当該セカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200に割り当てられたことをScell Inactive Timer管理部140に通知し、当該処理はステップS101に戻って、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerをリセットして再起動する。
【0035】
他方、セル管理部130が当該セカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200に割り当てられたことを検知しない場合(S102:N)、Scell Inactive Timer管理部140は、ステップS101において起動したScell Inactive Timerの計時を継続し、当該処理はステップS103に移行する。すなわち、Scell Inactive Timer管理部140は、セル管理部130から当該セカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200に割り当てられたことを通知されるまで、Scell Inactive Timerの計時を継続する。
【0036】
ステップS103において、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerが所定の閾値を超過したか判断する。Scell Inactive Timerが所定の閾値を超過したと判断した場合(S103:Y)、Scell Inactive Timer管理部140は、ユーザ装置200に割り当てられたセカンダリセルが利用されなくなったことをセル管理部130に通知する。このとき、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerをリセットして、再起動してもよい。
他方、Scell Inactive Timerが所定の閾値以下である場合(S103:N)、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerの計時を継続し、当該処理はステップS102に戻る。
【0037】
すなわち、Scell Inactive Timer管理部140は、セル管理部130から当該セカンダリセルの無線リソースがユーザ装置200に割り当てられたことを通知されるまで、又はScell Inactive Timerが所定の閾値を超過するまで、Scell Inactive Timerの計時を継続する。
【0038】
ステップS104において、セル管理部130は、Scell Inactive Timer管理部140から当該セカンダリセルが利用されなくなったことを通知されると、ステップS104において、ユーザ装置200から当該セカンダリセルを削除し、Scell Inactive Timerは動作を終了する。
【0039】
次に、図6を参照して、間欠受信(Discontinuous Reception:DRX)制御が利用される実施例を説明する。本実施例では、無線通信システム10が、ユーザ装置200のバッテリセービングのため間欠受信制御を採用している場合のScell Inactive Timerの動作を説明する。
【0040】
DRX制御では、基地局100は、RRC connected状態のユーザ装置200など、基地局100に接続中のユーザ装置200をアクティブ(active)状態と非アクティブ(inactive)状態の2つの状態により管理する。ユーザ装置200がアクティブ状態(DRXが無効とされる状態、すなわち、非DRX状態)に設定されている間は、ユーザ装置200は、PDCCHなどのダウンリンク制御チャネルをモニタし、基地局100にフィードバック情報を報告する。このフィードバック情報として、例えば、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)、PTI(Precoding Type Indicator)などがあげられる。他方、ユーザ装置200が非アクティブ状態(DRXが有効とされる状態、すなわち、DRX状態)に設定されているとき、ユーザ装置200は、PDCCHなどのダウンリンク制御チャネルをモニタせず、フィードバック情報も報告しない。これにより、ユーザ装置200のバッテリセービングを図ることができる。
【0041】
例えば、LTEシステム又はLTE−Aシステムでは、アクティブ状態は、1)On duration Timer、drx−Inactivity Timer、drx−Retransmission Timer、mac−contensition Resolution Timerの何れかが起動している場合、2)UEがスケジューリングリクエストを送信した場合、3)UL HARQ再送のためのUL GrantがUEに割り当てられる場合、4)UEがRandom Access Responseを受信し、その後に新規送信を指示するPDCCHを受信していない場合、の何れかのケースに該当するとき、UEがアクティブ状態にあると定義される。他方、上記ケース以外の場合、UEは非アクティブ状態にあると定義される。
【0042】
ここで、Scell Inactive Timerが所定の閾値を超過した際にユーザ装置200が非アクティブ状態又はDRX状態に遷移している場合、基地局100がセカンダリセルを削除するための信号をユーザ装置200に送信することによって、ユーザ装置200をアクティブ状態又は非DRX状態に遷移させてしまうことになり、バッテリセービングの観点から望ましくない。このため、本実施例では、図6に示されるように、セカンダリセルの削除を決定した時点など、ユーザ装置200がセカンダリセルの削除を基地局100から通知される直前にユーザ装置200が非アクティブ状態であった場合、基地局100は、ユーザ装置200からセカンダリセル削除処理が完了したという通知を受信すると、ユーザ装置200にDRX MAC CEなどの制御信号を送信することによって、ユーザ装置200を強制的に非アクティブ状態に戻す。これにより、セカンダリセル削除処理の実行中にのみユーザ装置200をアクティブ状態に遷移させ、当該処理の完了後に速やかに非アクティブ状態に戻すことが可能となり、効果的なバッテリセービングが可能となる。
【0043】
次に、図7を参照して、本発明の他の実施例による基地局の構成を説明する。図7は、本発明の他の実施例による基地局の構成を示すブロック図である。
【0044】
図7に示されるように、基地局100は、DL信号送信部110と、UL信号受信部120と、セル管理部130と、Scell Inactive Timer管理部140と、DRX状態管理部150とを有する。DL信号送信部110、UL信号受信部120、セル管理部130及びScell Inactive Timer管理部140は、図4に示されたものと同様であり、重複する説明は省略する。
【0045】
DRX状態管理部150は、基地局100と通信接続(すなわち、RRC connected)するユーザ装置200が間欠受信状態であるか否かを管理する。DRX状態管理部150は、セル管理部130がユーザ装置200に割り当てられているセカンダリセルを削除すると、当該セカンダリセルの削除の直前にユーザ装置200が非アクティブ状態又はDRX状態であったか確認する。例えば、Scell Inactive Timer管理部140は、Scell Inactive Timerが閾値を超えたと判定すると、セル管理部140に当該セカンダリセルを削除するよう指示すると共に、DRX状態管理部150に当該セカンダリセルが削除されることを通知してもよい。この通知を受信することに応答して、DRX状態管理部140は、ユーザ装置200がアクティブ状態か非アクティブ状態かを確認するようにしてもよい。ユーザ装置200が非アクティブ状態又はDRX状態であった場合、DRX状態管理部150は、DL信号送信部110にユーザ装置をアクティブ状態又は非DRX状態に移行させるためDRX状態移行信号をユーザ装置200に送信するよう指示する。例えば、LTEシステム又はLTE−Aシステムでは、DRX状態管理部150は、セカンダリセルの削除手順が完了した時点でユーザ装置200にDRX MAC CE(Discontinuous Reception Medium Access Control Control Element)を送信することによって、ユーザ装置200を強制的に非アクティブ状態又はDRX状態に遷移させる。これにより、セカンダリセルを削除するための信号の受信に応答して、ユーザ装置200は、非アクティブ状態又はDRX状態からアクティブ状態又は非DRX状態に遷移した後、迅速に非アクティブ状態又はDRX状態に戻ることが可能になる。
【0046】
次に、図8を参照して、本発明の他の実施例によるScell Inactive Timerの動作を説明する。図8は、本発明の他の実施例によるScell Inactive Timerの動作を示すフロー図である。
【0047】
図8に示されるように、ステップS201〜S204は、図5のステップS101〜S104と同一であるため、重複する説明は省略する。
【0048】
セル管理部130がステップS204においてユーザ装置200に割り当てられているセカンダリセルを削除することを決定し、DL信号送信部110を介しセカンダリセルを削除するための信号をユーザ装置200に送信すると、ステップS205において、DRX状態管理部150は、セル管理部130が当該セカンダリセルを削除することを決定した時点においてユーザ装置200がDRX状態と非DRX状態の何れであったか確認する。
【0049】
ユーザ装置200が非アクティブ状態又はDRX状態であった場合(S205:Y)、DRX状態管理部150は、セカンダリセル削除後にアクティブ状態又は非DRX状態に遷移したユーザ装置200を迅速に非アクティブ状態又はDRX状態に強制的に戻す。このため、DRX状態管理部150は、ユーザ装置200からセカンダリセル削除処理が完了したという通知を受信すると、DL信号送信部110にDRX MAC CEなどのDRX状態移行信号を送信するよう指示する。他方、ユーザ装置200が非アクティブ状態又はDRX状態でなかった場合(S205:N)、DRX状態管理部150は、ユーザ装置200がアクティブ状態又は非DRX状態を維持すべきと判断し、DRX状態移行信号を送信することなく当該処理を終了する。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 無線通信システム
100 基地局
110 DL信号送信部
120 UL信号受信部
130 セル管理部
140 Scell Inactive Timer管理部
150 DRX状態管理部
200 ユーザ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8