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特許6021540捕集装置及びこれを備えるガスタービンプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6021540
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月9日
(54)【発明の名称】捕集装置及びこれを備えるガスタービンプラント
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/16 20060101AFI20161027BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20161027BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20161027BHJP
【FI】
   B01D45/16
   F02C7/22 B
   F02C7/22 D
   F01D25/00 Q
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-200634(P2012-200634)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-54598(P2014-54598A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】山口 明範
(72)【発明者】
【氏名】東 一也
(72)【発明者】
【氏名】串岡 清則
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−169834(JP,A)
【文献】 特開平11−324616(JP,A)
【文献】 特開昭62−136218(JP,A)
【文献】 特表平05−501745(JP,A)
【文献】 特開2000−257403(JP,A)
【文献】 特開2005−180485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/16
F01D 25/00
F02C 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中に含まれている粒子を捕集する捕集装置において、
第一の向きへ流れる前記流体を、前記第一の向きよりも鉛直下方側を指向する第二の向きへと転向させるL字型の曲管と、
前記曲管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体の流路を、前記第二の向きに向わせつつ縮小させた後に前記第二の向きに向わせつつ拡大させる縮小拡大管と、
前記縮小拡大管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体を、前記第二の向きと、前記第二の向きとは異なる向きである第三の向きと、に分岐させる分岐管と、
前記分岐管の前記第二の向き側の出口に接続され、前記流体中の前記粒子が集められる捕集部と、
を備え、
前記縮小拡大管における流路縮小部が、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の入口開口の中心に対して偏芯しており、前記第二の向きに見たときに、前記入口開口の前記中心を基準にして、前記流路縮小部の偏芯位置が前記第一の向きから90°〜270°の範囲内であることを特徴とする捕集装置。
【請求項2】
流体中に含まれている粒子を捕集する捕集装置において、
第一の向きへ流れる前記流体を、前記第一の向きよりも鉛直下方側を指向する第二の向きへと転向させるL字型の曲管と、
前記曲管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体の流路を、前記第二の向きに向わせつつ縮小させた後に前記第二の向きに向わせつつ拡大させる縮小拡大管と、
前記縮小拡大管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体を、前記第二の向きと、前記第二の向きとは異なる向きである第三の向きと、に分岐させる分岐管と、
前記分岐管の前記第二の向き側の出口に接続され、前記流体中の前記粒子が集められる捕集部と、
を備え、
前記縮小拡大管における流路縮小部は、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の入口開口の中心から放射方向側で且つ前記第二の向きに見たときに前記入口開口の前記中心を基準にして前記曲管の入口側に偏芯していることを特徴とする捕集装置。
【請求項3】
前記第三の向きは、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の出口開口の中心を基準にして、前記第二の向きに見たときに前記流路縮小部の偏芯位置から90°〜270°の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の捕集装置。
【請求項4】
前記分岐管の前記第三の向き側の出口は、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の出口開口の中心を基準にして、前記第二の向きに見たときに前記流路縮小部の偏芯位置とは反対側であることを特徴とする請求項1又は2に記載の捕集装置。
【請求項5】
圧縮機とタービンと燃焼器とを有するガスタービンと、
前記流体としてのガス燃料を前記燃焼器へ供給するガスラインと、
前記ガスライン中に配置される請求項1から4のいずれか一項に記載の捕集装置と、を備えることを特徴とするガスタービンプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中に含まれている粒子を捕集する捕集装置及びこれを備えるガスタービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
配管内等を流通する流体に含まれる粒子を捕集する技術として、例えば特許文献1や特許文献2が挙げられる。
特許文献1では、蒸気流中に含まれている粒子を分離除去する方法が挙げられている。
この方法では、主蒸気管を水平方向から鉛直方向へ屈曲させ、屈曲後に、さらに主蒸気管を鉛直方向と水平方向とに分岐させ、鉛直方向と水平方向への流路を作る。
これにより、主蒸気管内の蒸気及び粒子は、屈曲部によって水平方向から鉛直方向へ流通方向が変わり、鉛直方向へ生じる慣性力や重力の影響で鉛直下方向へと直進する。その後、蒸気中の多くの粒子は、分岐部内で鉛直下方向へ直進し続ける。一方、蒸気は粒子ほど慣性力や重力の影響を受けないため、分岐部で粒子の一部を含みながら水平方向に分岐された主蒸気管へと流れていく。これによって、分岐後の水平方向へ流れていく蒸気中の粒子を少なくできる。
【0003】
また、特許文献2では、指輪加工、歯科技工等の貴金属研磨作業時に空気に混入した金属微粉末を分離収集する方法が挙げられている。
この方法では、集塵吸入された空気の風速や風向を変化させることにより、主に金属微粉末が分離収集される。つまり、金属微粉末を含んだ空気が、分離収集装置の空気流入部から直進して流入した後に、細径化された孔を通過することで風速が増加される。その後、空気は、吸塵器で直進方向と交差する方向へ風向を変更して排出される。ところが、比重の大きい金属微粉末は、このような風速、風向の急激な変化についていくことができず、空気と同じ方向へ向きを変えることなく慣性力により直進するため、直進方向の先に配置された金属粉回収部内に金属微粉末を収集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−28208号公報
【特許文献2】特開昭57−113820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれの方法も捕集効率が高くないため、高い捕集率を持つ捕集装置が望まれている。
【0006】
本発明は、上記要望に応えるためになされたものであって、捕集効率を向上させることができる捕集装置及びこれを備えるガスタービンプラントを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記要望に応えるための本発明の一態様に係る捕集装置は、流体中に含まれている粒子を捕集する捕集装置において、第一の向きへ流れる前記流体を、前記第一の向きよりも鉛直下方側を指向する第二の向きへと転向させるL字型の曲管と、前記曲管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体の流路を、前記第二の向きに向わせつつ縮小させた後に前記第二の向きに向わせつつ拡大させる縮小拡大管と、前記縮小拡大管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体を、前記第二の向きと、前記第二の向きとは異なる向きである第三の向きと、に分岐させる分岐管と、前記分岐管の前記第二の向き側の出口に接続され、前記流体中の前記粒子が集められる捕集部と、を備え、前記縮小拡大管における流路縮小部が、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の入口開口の中心に対して偏芯しており、前記第二の向きに見たときに、前記入口開口の前記中心を基準にして、前記流路縮小部の偏芯位置が前記第一の向きから90°〜270°の範囲内であることを特徴とする。
【0008】
また、上記要望に応えるための本発明の他の態様に係る捕集装置は、流体中に含まれている粒子を捕集する捕集装置において、第一の向きへ流れる前記流体を、前記第一の向きよりも鉛直下方側を指向する第二の向きへと転向させるL字型の曲管と、前記曲管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体の流路を、前記第二の向きに向わせつつ縮小させた後に前記第二の向きに向わせつつ拡大させる縮小拡大管と、前記縮小拡大管の出口に接続され、前記第二の向きへ流れる前記流体を、前記第二の向きと、前記第二の向きとは異なる向きである第三の向きと、に分岐させる分岐管と、前記分岐管の前記第二の向き側の出口に接続され、前記流体中の前記粒子が集められる捕集部と、を備え、前記縮小拡大管における流路縮小部は、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の入口開口の中心から放射方向側で且つ前記第二の向きに見たときに前記入口開口の前記中心を基準にして前記曲管の入口側に偏芯していることを特徴とする捕集装置。
【0009】
以上の一態様又は他の態様によれば、第一の向きに流れている流体中に含まれる粒子は、第一段階として、曲管通過時に第二の向きへ流通方向が転向されるため、遠心力により曲管の入口側とは反対側に偏り集められた状態で第二の向きへ流通する。その後、粒子は、第二段階として、第二の向きへ流通しつつ、縮小拡大管の流路縮小部を流通する過程で、再度遠心力がかかりながら曲管通過時とは逆側である曲管の入口側に偏り集められる。
【0010】
そして、縮小拡大管の流路縮小部を通過すると、粒子は、その流通流路がほぼ絞られたまま曲管の入口側に偏った状態で、重力の影響を受けながら第二の向きへ流通する。このため、第三の向きへはほとんど流通しない。一方、流体は、重力及び遠心力の影響を粒子ほど受けず、縮小拡大管の流路縮小部を通過後に拡散して流通するため、分岐管を通過時に第三の向きに流れていく。これにより、多くの粒子は、分岐管の第二の向き側の出口に接続されている捕集部に集まるため、粒子の捕集効率を向上させることができる。
なお、ここでの「第一の向き」及び「第三の向き」は、「第二の向き」よりも水平方向成分を多く含む向きである。
【0011】
ここで、以上の一態様又は他の態様の捕集装置において、前記第三の向きは、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の出口開口の中心を基準にして、前記第二の向きに見たときに前記流路縮小部の偏芯位置から90°〜270°の範囲内であることが好ましい。
【0012】
また、以上の一態様又は他の態様の捕集装置において、前記分岐管の前記第三の向き側の出口は、前記第二の向きに見たときの前記縮小拡大管の出口開口の中心を基準にして、前記第二の向きに見たときに前記流路縮小部の偏芯位置とは反対側であることが好ましい。
【0013】
これらの捕集装置によれば、縮小拡大管の流路縮小部の通過時に偏り集められた粒子は、分岐管内を通過時に分岐管の第三の向き側の出口と距離をとって第二の向きへ流通する。よって、これらの捕集装置では、分岐管の第三の向き側の分岐流路に粒子がほとんど混入せず、分岐管の第二の向き側の分岐流路に粒子がほとんど流通するため、捕集効率をより向上させることができる。
【0014】
さらに、上記要望に応えるための本発明の一態様に係るガスタービンプラントは、圧縮機とタービンと燃焼器とを有するガスタービンと、前記流体としてのガス燃料を前記燃焼器へ供給するガスラインと、前記ガスライン中に配置される上記いずれかの捕集装置と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このような一態様によれば、ガスライン中に上記いずれかの捕集装置が配置されているため、ガス燃料中の粒子を除去することができ、粒子を除去されたガス燃料を燃焼器に供給することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の捕集装置によれば、流体中に含まれている粒子の捕集効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る捕集装置を含むガスタービンプラントの系統図である。
図2】本発明の一実施形態に係る捕集装置の斜視図である。
図3】本発明の各実施例1〜4及び比較例1〜3の捕集装置の模式図で、同図(a)は実施例1の模式図、同図(b)は実施例2の模式図、同図(c)は実施例3の模式図、同図(d)は実施例4の模式図、同図(e)は比較例1の模式図、同図(f)は比較例2の模式図、同図(g)は比較例3の模式図である。
図4】本発明の実施例1〜4及び比較例2、3の曲管と縮小拡大管の流路縮小部との位置関係を示す説明図である。
図5】本発明の実施例1、実施例3、実施例4の曲管と出口管部との位置関係を示す説明図である。
図6】本発明の比較例1及び比較例2と実施例1とにおける粒子径と捕集率との関係を示すグラフである。
図7】本発明の実施例1〜3及び比較例3における粒子径と捕集率との関係を示すグラフである。
図8】本発明の実施例1〜3及び比較例3における絞り位置と平均捕集率との関係を示すグラフである。
図9】本発明の実施例1と実施例5とにおける粒子径と捕集率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の捕集装置3を備えるガスタービンプラント1は、圧縮機CとタービンTと燃焼器11とを有するガスタービン10と、ガスタービン10と接続されている発電機Gと、流体であるガス燃料Fを燃焼器11へ供給する燃料配管であるガスライン2と、ガスライン2と接続されておりガス燃料Fの供給元であるガスタンク12と、ガスライン2中に配置されているストレーナ13と、ガスタンク12とストレーナ13との間のガスライン2中に配置されている捕集装置3とを備える。
【0019】
図2に示すように、本実施形態の捕集装置3は、ガスライン2中に配置されており、第一の向きXへ延在する第一ライン21から、第二の向きZへ延在する第二ライン22へ流通の向きを変化させる曲管31と、第二ライン22を第二の向きZと第三の向きYへ延在する第三ライン23とに分岐させる分岐管32と、曲管31と分岐管32との間の第二ライン22中に配置されている縮小拡大管33と、分岐管32の第二ライン22側に接続されている捕集管(捕集部)34と、を備える。
【0020】
ここで各ライン21,22,23について簡単にまとめて説明する。
第一ライン21は、ガスライン2の一部であり、ガスタンク12と曲管31とに接続されており、側方である第一の向きXへ延在して配置されている。
第二ライン22は、捕集装置3内を鉛直下向きである第二の向きZへ延在して配置されている。
第三ライン23は、ガスライン2の一部であり、分岐管32とストレーナ13とに接続されており、側方であり第一の向きX及び第二の向きZに直交する第三の向きYへ延在して配置されている。
【0021】
曲管31は、断面円形状をなすL字型に屈曲したL型エルボで形成され、入口側であり第一ライン21と接続されている曲管入口部311と、第二の向きZへ流通の向きを屈曲させる屈曲部312と、出口側であり第二ライン22と接続されている曲管出口部313とを有する。
【0022】
分岐管32は、断面円形状をなすT字型の配管継手で形成され、第二の向きZに延びる直管部322と、直管部322の中間から第三の向きYに延びる出口管部321とを有する。直管部322は、鉛直上向きで曲管31側の第二ライン22と接続されている直管入口部323と、鉛直下向きで捕集管34側の第二ライン22と接続されている直管出口部324とを有する。出口管部321は、直管部322の中間から第三の向きYに延出して配置され、第三ライン23に接続されている。
【0023】
縮小拡大管33は、第二ライン22中の曲管31と分岐管32との間に配置され、一対の偏芯レデューサ332の縮径側が互いに接続されて形成されている。この縮小拡大管33で偏芯レデューサ332の縮径側同士が接続されている接続部分が流路縮小部331をなす。流路縮小部331の軸芯は、第二ライン22における放射方向であって、第二ライン22の中心軸Cから第一の向きXにおける曲管31の入口側である曲管入口部311側に偏らせた位置に偏芯されて配置されている。
なお、偏芯レデューサ332は、ガス燃料Fに対しての除去する粒子Pの大きさ等に合わせて、流路縮小部331の断面積サイズを適宜選択し使用されればよい。
【0024】
捕集管34は、断面円形状をなすL字型に屈曲した管材で、分岐管32における直管出口部324の先である第二ライン22の下端に配置されている。この捕集管34は、一方の開口が第二ライン22の下端と接続され、他方の開口に開閉蓋341を有する。
【0025】
次に、上記構成の捕集装置3を備えたガスタービンプラント1の作用について説明する。
上記のような捕集装置3を備えたガスタービンプラント1によれば、不純物である粒子Pを含んだガス燃料Fは、ガスタンク12から供給されガスライン2である第一ライン21内を流通し捕集装置3に到達する。捕集装置3に到達したガス燃料Fは、曲管31へ曲管入口部311から流入し、屈曲部312で流通の向きが変換されて、曲管出口部313から第二ライン22へ流出する。そして、ガス燃料Fは、縮小拡大管33内の流路の絞られた流路縮小部331を通過し、直管入口部323から分岐管32内へ流入する。分岐管32内を流通するガス燃料Fは、分岐管32内で流通の向きが変換されて出口管部321を介して第三ライン23へ流出する。その後、ガス燃料Fは、第三ライン23内を流通し、ストレーナ13を介して、燃焼器11に到達し、そこで燃焼する。このガス燃料Fの燃焼で生成された燃焼ガスにより、タービンTが駆動し、このタービンTの駆動により、発電機Gによる発電が行われる。
一方、ガス燃料Fに含まれている多くの粒子Pは、分岐管32内で出口管部321ではなく直管出口部324から捕集管34へ送られ、捕集管34内に集まり、捕集管34の開閉蓋341を取り外すことで回収される。
【0026】
上記のような捕集装置3によれば、ガス燃料F中に含まれている粒子Pは、曲管31を通過時に屈曲部312で遠心力がかかるため、曲管出口部313から第二ライン22へ導かれる際には、第二ライン22の中心軸C(図4参照)に対する放射方向であって曲管入口部311と反対側に偏り集まって落下する。そして、縮小拡大管33を通過時には、流路縮小部331が第二ライン22の中心軸Cに対する放射方向であって曲管入口部311側に偏芯されて配置されていることで、偏り集まって落下していた粒子Pは、縮小拡大管33の形状に沿って再度遠心力がかかりながら曲管入口部311側に向かう。さらに、粒子Pは、流路が絞られている流路縮小部331を通過することで、より曲管入口部311側に絞られつつ偏り集められ、流路縮小部331を通過後には重力の影響で曲管入口部311側に偏ったまま鉛直下向きへ落下する。
一方、ガス燃料Fは重力や遠心力の影響を粒子Pほど受けず、流路縮小部331を通過後に拡散して流通する。
【0027】
分岐管32の出口管部321が直管部322に対して第三の向きYに向かって接続されるため、直管部322との接続部分である出口管部321の入口開口は、第二ライン22の中心軸Cを基準にして曲管入口部311側に偏っている流路縮小部331から90°の位置に配置されることになる。粒子Pは、この分岐管32の直管部322内を曲管入口部311側に偏り集まって落下するため、出口管部321の入口開口と距離をとって流通し、側方である出口管部321へはほとんど流通しない。
一方、前述したようにガス燃料Fは重力や遠心力の影響を粒子Pほど受けず、流路縮小部331を通過後に拡散して流通しているため、分岐管32内を通過時に出口管部321から第三ライン23へ流れていく。
【0028】
これらにより、出口管部321へガス燃料Fが流通される際に、粒子Pが混入して流通されづらくなり、多くの粒子Pが第二ライン22に取り付けた捕集管34に集まるため、粒子Pの捕集効率を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態のガスタービンプラント1では、以上のように、ガスタンク12からストレーナ13まで間のガスライン2中に配置されている捕集装置3によって、ガス燃料F中の含まれている粒子Pの多くが除去される。さらに、捕集装置3を通過したガス燃料Fからも、ストレーナ13で粒子Pが除去される。よって、本実施形態のガスタービンプラント1では、粒子Pのほとんど含まれないガス燃料Fを燃焼器11に供給することができる。
【実施例】
【0030】
次に、各種実施例及び比較例の捕集率についてのコンピューターによる解析結果を説明する。
まず、各種実施例1〜4及び各種比較例1〜3の構造について説明する。
ここで、以下において、図3〜5に示すように、角度表示は、第二の向きZに見たとき、第二ライン22の中心軸C(図4,5参照)を基準にして、第一の向きX(0°)から中心軸Cの時計回りの角度を示す。なお、曲管31の曲管出口部313(又は出口開口)の中心、縮小拡大管の入口部(又は入口開口)及び出口部(又は出口開口)の中心は、いずれも、第二ライン22の中心軸Cに位置している。
【0031】
[実施例1]
図3(a)及び図4、5に示すように、この実施例1の捕集装置3aは、第一の向きXから180°の位置に流路縮小部331aが配置されている縮小拡大管33aを備えている。また、この捕集装置3aは、第一の向きXから90°の向きに接続されている出口管部321aを有する分岐管32aを備えている。
なお、実施例1の捕集装置3aは、本実施形態で説明した捕集装置3と同一のものである。
【0032】
[実施例2]
図3(b)及び図4、5に示すように、この実施例2の捕集装置3bは、第一の向きXから270°の位置に流路縮小部331bが配置されている縮小拡大管33bを備えている。また、この捕集装置3bは、実施例1と同様、第一の向きXから90°の向きに接続されている出口管部321aを有する分岐管32aを備えている。すなわち、実施例2の捕集装置3bは、縮小拡大管33bにおける流路縮小部331bの位置が実施例1と相違する。
【0033】
[実施例3]
図3(c)及び図4、5に示すように、この実施例3の捕集装置3cは、第一の向きXから225°の位置に流路縮小部331cが配置されている縮小拡大管33cを備えている。また、この捕集装置3cは、第一の向きXから45°の向きに接続されている出口管部321cを有する分岐管32cを備えている。すなわち、実施例3の捕集装置3cは、縮小拡大管33cにおける流路縮小部331cの位置と分岐管32cとが実施例1と相違する。
【0034】
[実施例4]
図3(d)及び図4、5に示すように、この実施例4の捕集装置3dは、実施例1と同様、第一の向きXから180°の位置に流路縮小部331aが配置されている縮小拡大管33aを備えている。また、捕集装置3dは、第一の向きX、つまり0°の向きに接続される出口管部321dを有する分岐管32dを備えている。すなわち、実施例4の捕集装置3dは、分岐管32dが実施例1と相違する。
【0035】
[比較例1]
図3(e)及び図4、5に示すように、この比較例1の捕集装置3eは、縮小拡大管33を備えていない。また、この捕集装置3eは、第一の向きXから90°の向きに接続される出口管部321aを有する分岐管32aを備えている。すなわち、比較例1の捕集装置3eは、縮小拡大管33を備えていない点が実施例1と相違する。
【0036】
[比較例2]
図3(f)及び図4、5に示すように、この比較例2の捕集装置3fは、第二ライン22の中心軸C上に流路縮小部331fが配置されている縮小拡大管33fを備えている。この縮小拡大管33fは、一対の同芯レデューサの縮径側が互いに接続されて形成されている。また、この捕集装置3fは、実施例1と同様、第一の向きXから90°の向きに接続される出口管部321aを有する分岐管32aとを備えている。すなわち、比較例2の捕集装置3fは、第二ライン22の中心軸Cに対して流路縮小部331fが偏芯していない点が実施例1と相違する。
【0037】
[比較例3]
図3(g)及び図4、5に示すように、この比較例3の捕集装置3gは、第一の向きX、つまり0°の位置に流路縮小部331gが配置されている縮小拡大管33gを備えている。また、この捕集装置3gは、実施例1と同様、第一の向きXから90°の向きに接続される出口管部321aを有する分岐管32aとを備えている。すなわち、比較例3の捕集装置3gは、縮小拡大管33gにおける流路縮小部331gの位置が実施例1と相違する。
【0038】
各実施例及び各比較例の捕集率をCFD(Computational Fluid Dynamics)解析によって比較した結果を図6〜9に示す。
図6に示すように、実施例1と比較例1、2について、粒子径における捕集率を比較した。縮小拡大管33を備えていない比較例1の捕集装置3eと、縮小拡大管33を備えている実施例1の捕集装置3a及び比較例2の捕集装置3fとを比較すると、縮小拡大管33を備えている実施例1及び比較例2の方が、高い捕集率を示した。さらに、実施例1と比較例2とを比較すると、縮小拡大管33の中でも、第二ライン22の中心軸C上に流路縮小部331fが配置されている比較例2よりも、第二ライン22の中心軸Cから偏芯した位置に流路縮小部331aが配置されている実施例1の方が、高い捕集率を示した。特に、粒子径の小さい時ほど捕集率の差が顕著に表れており、第二ライン22の中心軸Cから偏芯した位置に流路縮小部331aが配置されている実施例1が高い捕集率を発揮することが確認された。
【0039】
また、図7及び図8に示すように、実施例1〜3及び比較例3について、縮小拡大管33の流路縮小部331の偏芯位置を互いに変更した場合の粒子径に応じた捕集率(図7)及び平均捕集率(図8)を比較した。流路縮小部331(331g)が曲管入口部311側と反対側にある比較例3の捕集装置3gよりも、流路縮小部331(330a,331b,331c)が曲管入口部311側に配置される実施例1の捕集装置3a、実施例2の捕集装置3b、実施例3の捕集装置3cの方が高い捕集率を示した。中でも、流路縮小部331aが曲管入口部311側である180°の位置に配置されている実施例1と、流路縮小部331cが曲管部入口部311側である225°の位置に配置されている実施例3とが、高い捕集率を示した。さらに、粒子径の小さい時ほど捕集率の差が顕著に表れており、実施例1及び実施例3が高い捕集率を発揮することが確認された。
【0040】
さらに、図9に示すように、実施例1及び実施例4について、分岐管32の出口管部321の接続位置を曲管入口部311側と反対側の位置に配置した場合の粒子径における捕集率を比較した。第一の向きXから90°の向きに接続されている出口管部321aを有する実施例1の捕集装置3aと、第一の向きXから180°の向きに接続されている出口管部321dを有する実施例4の捕集装置3dとは、共に高い捕集率を示した。言い換えると、流路縮小部331の位置から90°の位置及び180°の位置に分岐管32の出口管部321が接続されている実施例1の捕集装置3a及び実施例4の捕集装置3dとが、共に高い捕集率を示した。
【0041】
これらの結果から、縮小拡大管33を用いた方が捕集効率を向上させることができ、中でも偏芯レデューサ332を用いて縮小拡大管33を形成することで捕集効率をより向上させることができることがわかった。
また、縮小拡大管33の中でも、比較例3のように流路縮小部331(331g)の位置を曲管入口部311と反対側に配置するよりも、実施例1〜4のように流路縮小部331(流路縮小部331a、流路縮小部331b、流路縮小部331c)を曲管入口部311側に配置する方が捕集率を向上できることがわかった。
さらに、実施例1〜4のように分岐管32における出口管部321の接続位置が流路縮小部331と反対側の位置に接続される方が捕集率を向上できることがわかった。
【0042】
以上から、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第一の向きXから180°〜270°の範囲に配置されれば高い捕集率を発揮し、特に、第一の向きXから180°〜225°の範囲に配置されればより高い捕集率を発揮することがわかった。また、対称性から、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第一の向きXを基準にして180°〜270°の範囲と対称な範囲である90°〜180°の範囲に配置されれば高い捕集率を発揮し、特に、第一の向きXを基準にして180°〜225°の範囲と対称な範囲である135°〜180°の範囲に配置されればより高い捕集率を発揮することも明らかである。すなわち、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第一の向きXから90°〜270°の範囲に配置されれば高い捕集率を発揮し、特に、第一の向きXから135°〜225°の範囲に配置されればより高い捕集率を発揮することがわかった。言い換えると、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第二の向きZに見たときに、第二ライン22の中心軸Cから放射方向側で且つ中心軸Cを基準にして曲管入口部311側に偏芯していると、高い捕集率を発揮することがわかった。
【0043】
また、分岐管32における出口管部321の接続位置が流路縮小部331の位置から90°〜180°、さらに180°〜270°の位置である方が捕集率を向上できることがわかった。言い換えると、分岐管32のストレーナ13に接続される側の出口は、第二の向きZに見たときに、縮小拡大管33の出口開口の中心Cを基準にして、流路縮小部331の偏芯位置とは反対側である方が捕集率を向上できることがわかった。
【0044】
以上、本発明の実施形態及び実施例について図面を参照して詳述したが、以上の実施形態及び各実施例における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態及び実施例によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
具体的には、例えば、以上の実施形態及び実施例では、第二の向きZが鉛直下向きであるが、本発明において、第二の向きは第一の向き及び第三の向きよりも鉛直下方側を指向していればよい。また、以上の実施形態及び実施例では、第一の向き及び第三の向きがいずれも水平方向の向きであるが、本発明において、第一の向き及び第三の向きは水平方向成分を含む向きであればよい。
また、以上の実施形態では、流路縮小部331を形成する部品として偏芯レデューサ332を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、オリフィス等の縮径する構造を持つ市販の公知の部品を用いてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、対象とする流体をガス燃料Fとしたがこれに限定されるものではなく。例えば、蒸気などの流体を対象にしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
F…ガス燃料 P…粒子 1…ガスタービンプラント 10…ガスタービン C…圧縮機 T…タービン 11…燃焼器 G…発電機 2…ガスライン 12…ガスタンク 13…ストレーナ 3…捕集装置 31…曲管 311…曲管入口部 312…屈曲部 313…曲管出口部 32…分岐管 321…出口管部 322…直管部 323…直管入口部 324…直管出口部 33…縮小拡大管 332…偏芯レデューサ 331…流路縮小部 21…第一ライン 22…第二ライン 23…第三ライン 34…捕集管(捕集部) 341…開閉蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9