【実施例】
【0030】
次に、各種実施例及び比較例の捕集率についてのコンピューターによる解析結果を説明する。
まず、各種実施例1〜4及び各種比較例1〜3の構造について説明する。
ここで、以下において、
図3〜5に示すように、角度表示は、第二の向きZに見たとき、第二ライン22の中心軸C(
図4,5参照)を基準にして、第一の向きX(0°)から中心軸Cの時計回りの角度を示す。なお、曲管31の曲管出口部313(又は出口開口)の中心、縮小拡大管の入口部(又は入口開口)及び出口部(又は出口開口)の中心は、いずれも、第二ライン22の中心軸Cに位置している。
【0031】
[実施例1]
図3(a)及び
図4、5に示すように、この実施例1の捕集装置3aは、第一の向きXから180°の位置に流路縮小部331aが配置されている縮小拡大管33aを備えている。また、この捕集装置3aは、第一の向きXから90°の向きに接続されている出口管部321aを有する分岐管32aを備えている。
なお、実施例1の捕集装置3aは、本実施形態で説明した捕集装置3と同一のものである。
【0032】
[実施例2]
図3(b)及び
図4、5に示すように、この実施例2の捕集装置3bは、第一の向きXから270°の位置に流路縮小部331bが配置されている縮小拡大管33bを備えている。また、この捕集装置3bは、実施例1と同様、第一の向きXから90°の向きに接続されている出口管部321aを有する分岐管32aを備えている。すなわち、実施例2の捕集装置3bは、縮小拡大管33bにおける流路縮小部331bの位置が実施例1と相違する。
【0033】
[実施例3]
図3(c)及び
図4、5に示すように、この実施例3の捕集装置3cは、第一の向きXから225°の位置に流路縮小部331cが配置されている縮小拡大管33cを備えている。また、この捕集装置3cは、第一の向きXから45°の向きに接続されている出口管部321cを有する分岐管32cを備えている。すなわち、実施例3の捕集装置3cは、縮小拡大管33cにおける流路縮小部331cの位置と分岐管32cとが実施例1と相違する。
【0034】
[実施例4]
図3(d)及び
図4、5に示すように、この実施例4の捕集装置3dは、実施例1と同様、第一の向きXから180°の位置に流路縮小部331aが配置されている縮小拡大管33aを備えている。また、捕集装置3dは、第一の向きX、つまり0°の向きに接続される出口管部321dを有する分岐管32dを備えている。すなわち、実施例4の捕集装置3dは、分岐管32dが実施例1と相違する。
【0035】
[比較例1]
図3(e)及び
図4、5に示すように、この比較例1の捕集装置3eは、縮小拡大管33を備えていない。また、この捕集装置3eは、第一の向きXから90°の向きに接続される出口管部321aを有する分岐管32aを備えている。すなわち、比較例1の捕集装置3eは、縮小拡大管33を備えていない点が実施例1と相違する。
【0036】
[比較例2]
図3(f)及び
図4、5に示すように、この比較例2の捕集装置3fは、第二ライン22の中心軸C上に流路縮小部331fが配置されている縮小拡大管33fを備えている。この縮小拡大管33fは、一対の同芯レデューサの縮径側が互いに接続されて形成されている。また、この捕集装置3fは、実施例1と同様、第一の向きXから90°の向きに接続される出口管部321aを有する分岐管32aとを備えている。すなわち、比較例2の捕集装置3fは、第二ライン22の中心軸Cに対して流路縮小部331fが偏芯していない点が実施例1と相違する。
【0037】
[比較例3]
図3(g)及び
図4、5に示すように、この比較例3の捕集装置3gは、第一の向きX、つまり0°の位置に流路縮小部331gが配置されている縮小拡大管33gを備えている。また、この捕集装置3gは、実施例1と同様、第一の向きXから90°の向きに接続される出口管部321aを有する分岐管32aとを備えている。すなわち、比較例3の捕集装置3gは、縮小拡大管33gにおける流路縮小部331gの位置が実施例1と相違する。
【0038】
各実施例及び各比較例の捕集率をCFD(Computational Fluid Dynamics)解析によって比較した結果を
図6〜9に示す。
図6に示すように、実施例1と比較例1、2について、粒子径における捕集率を比較した。縮小拡大管33を備えていない比較例1の捕集装置3eと、縮小拡大管33を備えている実施例1の捕集装置3a及び比較例2の捕集装置3fとを比較すると、縮小拡大管33を備えている実施例1及び比較例2の方が、高い捕集率を示した。さらに、実施例1と比較例2とを比較すると、縮小拡大管33の中でも、第二ライン22の中心軸C上に流路縮小部331fが配置されている比較例2よりも、第二ライン22の中心軸Cから偏芯した位置に流路縮小部331aが配置されている実施例1の方が、高い捕集率を示した。特に、粒子径の小さい時ほど捕集率の差が顕著に表れており、第二ライン22の中心軸Cから偏芯した位置に流路縮小部331aが配置されている実施例1が高い捕集率を発揮することが確認された。
【0039】
また、
図7及び
図8に示すように、実施例1〜3及び比較例3について、縮小拡大管33の流路縮小部331の偏芯位置を互いに変更した場合の粒子径に応じた捕集率(
図7)及び平均捕集率(
図8)を比較した。流路縮小部331(331g)が曲管入口部311側と反対側にある比較例3の捕集装置3gよりも、流路縮小部331(330a,331b,331c)が曲管入口部311側に配置される実施例1の捕集装置3a、実施例2の捕集装置3b、実施例3の捕集装置3cの方が高い捕集率を示した。中でも、流路縮小部331aが曲管入口部311側である180°の位置に配置されている実施例1と、流路縮小部331cが曲管部入口部311側である225°の位置に配置されている実施例3とが、高い捕集率を示した。さらに、粒子径の小さい時ほど捕集率の差が顕著に表れており、実施例1及び実施例3が高い捕集率を発揮することが確認された。
【0040】
さらに、
図9に示すように、実施例1及び実施例4について、分岐管32の出口管部321の接続位置を曲管入口部311側と反対側の位置に配置した場合の粒子径における捕集率を比較した。第一の向きXから90°の向きに接続されている出口管部321aを有する実施例1の捕集装置3aと、第一の向きXから180°の向きに接続されている出口管部321dを有する実施例4の捕集装置3dとは、共に高い捕集率を示した。言い換えると、流路縮小部331の位置から90°の位置及び180°の位置に分岐管32の出口管部321が接続されている実施例1の捕集装置3a及び実施例4の捕集装置3dとが、共に高い捕集率を示した。
【0041】
これらの結果から、縮小拡大管33を用いた方が捕集効率を向上させることができ、中でも偏芯レデューサ332を用いて縮小拡大管33を形成することで捕集効率をより向上させることができることがわかった。
また、縮小拡大管33の中でも、比較例3のように流路縮小部331(331g)の位置を曲管入口部311と反対側に配置するよりも、実施例1〜4のように流路縮小部331(流路縮小部331a、流路縮小部331b、流路縮小部331c)を曲管入口部311側に配置する方が捕集率を向上できることがわかった。
さらに、実施例1〜4のように分岐管32における出口管部321の接続位置が流路縮小部331と反対側の位置に接続される方が捕集率を向上できることがわかった。
【0042】
以上から、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第一の向きXから180°〜270°の範囲に配置されれば高い捕集率を発揮し、特に、第一の向きXから180°〜225°の範囲に配置されればより高い捕集率を発揮することがわかった。また、対称性から、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第一の向きXを基準にして180°〜270°の範囲と対称な範囲である90°〜180°の範囲に配置されれば高い捕集率を発揮し、特に、第一の向きXを基準にして180°〜225°の範囲と対称な範囲である135°〜180°の範囲に配置されればより高い捕集率を発揮することも明らかである。すなわち、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第一の向きXから90°〜270°の範囲に配置されれば高い捕集率を発揮し、特に、第一の向きXから135°〜225°の範囲に配置されればより高い捕集率を発揮することがわかった。言い換えると、縮小拡大管33の流路縮小部331は、第二の向きZに見たときに、第二ライン22の中心軸Cから放射方向側で且つ中心軸Cを基準にして曲管入口部311側に偏芯していると、高い捕集率を発揮することがわかった。
【0043】
また、分岐管32における出口管部321の接続位置が流路縮小部331の位置から90°〜180°、さらに180°〜270°の位置である方が捕集率を向上できることがわかった。言い換えると、分岐管32のストレーナ13に接続される側の出口は、第二の向きZに見たときに、縮小拡大管33の出口開口の中心Cを基準にして、流路縮小部331の偏芯位置とは反対側である方が捕集率を向上できることがわかった。
【0044】
以上、本発明の実施形態及び実施例について図面を参照して詳述したが、以上の実施形態及び各実施例における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態及び実施例によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
具体的には、例えば、以上の実施形態及び実施例では、第二の向きZが鉛直下向きであるが、本発明において、第二の向きは第一の向き及び第三の向きよりも鉛直下方側を指向していればよい。また、以上の実施形態及び実施例では、第一の向き及び第三の向きがいずれも水平方向の向きであるが、本発明において、第一の向き及び第三の向きは水平方向成分を含む向きであればよい。
また、以上の実施形態では、流路縮小部331を形成する部品として偏芯レデューサ332を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、オリフィス等の縮径する構造を持つ市販の公知の部品を用いてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、対象とする流体をガス燃料Fとしたがこれに限定されるものではなく。例えば、蒸気などの流体を対象にしてもよい。