(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記平面基板が前記筒体における内方側となり、前記駆動コイルが前記筒体における外方側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバ走査装置。
前記平面基板が前記筒体における外方側となり、前記駆動コイルが前記筒体における内方側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバ走査装置。
第1の方向に前記光ファイバを高速に揺動し、前記第1の方向に直交する第2の方向への前記光ファイバの揺動速度を前記第1の方向の速度よりも低速となるように駆動して、ラスタースキャンを行うことを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ走査装置の駆動方法。
第1の方向および前記第1の方向に直交する第2の方向への前記光ファイバの揺動速度を等速に駆動させてスパイラルスキャンを行うことを特徴とする請求項7記載の光ファイバ走査装置の駆動方法。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、CCD、CMOSなどの固体撮像素子を有した撮像装置により被検体像を光電変換して、モニタに取得画像を表示する電子内視鏡がある。近年、このような固体撮像素子の技術を用いず、被写体像を画像表示する装置として、光ファイバを走査させて、被写体上に光スポットをスキャンして被写体を撮影する光ファイバ走査装置が知られている。
【0003】
この光ファイバ走査装置は、光源からの光を導光する照明用の光ファイバの先端を2次元走査させ、被検体からの戻り光を受光用のファイババンドルで受光して、経時的に検出した光強度信号を用いて2次元画像化する。
【0004】
光ファイバの走査方法としては、光ファイバに圧電素子を設けて圧電効果を使って走査させるものや、光ファイバに永久磁石を設けて、永久磁石の周辺に電磁コイルを配した磁場発生器を用い、コイルに流れる電流により誘起される磁場と永久磁石との間に生じる磁力を使用して光ファイバを走査するものが知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、円筒内に円形コイルを配してコイルに流れる電流により誘起される磁場と永久磁石との間に生じる磁力を使用する光ファイバ走査装置が開示されている。この従来の光ファイバ走査装置は、円筒内に永久磁石を有する光ファイバを配し、周辺に2対のコイルを設けた構造とすることで、X方向、Y方向の2軸のファイバ駆動が可能とする技術が開示されている。
【0006】
そして、従来の光ファイバ走査装置のコイルは、楕円断面をもつものが用いられており、ファイバを中心に置いた際に、X、Yの2方向に対し、それぞれに対向した位置に計4つが配置されている。これらのコイル構造は、詳細には開示されていないが、特許文献1では銅線を楕円状に巻きつけたものが使用されている。また、楕円断面を持つコイルを用いることで円形コイルに対して占有面積を減じることで走査範囲と径の両立を図っている。
【0007】
円筒内に配した2対のコイルは、コイル1個毎が独立した制御を行うものであり、例えば、コイルに電流を流すと、そのコイル端にNあるいはS極が位置する形で磁場が発生する。この様にして、対となるコイルの向かい合う端には、反対極の磁場が発生するように電流を印加し、2対のコイルに、被写体表面に光ファイバからの光スポットが走査される形になるよう、対向するコイルに対して電流方向を制御している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明である内視鏡について説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0017】
(第1の実施の形態)
先ず、
図1から
図10を用いて、本発明の第1の実施の形態の走査型内視鏡を有する走査型内視鏡システムの構成について以下に説明する。
図1は、走査型内視鏡を有する走査型内視鏡システムの構成を示す斜視図、
図2は走査型内視鏡を有する走査型内視鏡システムの構成を示す模式図、
図3は光走査ユニットの構成を示す断面図、
図4は薄膜コイルチップの構成を示す平面図、
図5は
図4のV−V線に沿った薄膜コイルチップの構成を示す断面図、
図6は薄膜コイルユニットの構成を示す平面図、
図7は
図6のVII−VII線に沿った薄膜コイルユニットの構成を示す断面図、
図8は光走査ユニットを示す側面図、
図9は光走査ユニットを示す断面図、
図10は
図8のX−X線に沿った光走査ユニットを示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の光走査型内視鏡システム(以下、単に内視鏡システムという)1は、光走査型内視鏡(以下、単に内視鏡という)2と、光源装置およびビデオプロセッサの機能を備えた本体装置3と、モニタ4と、から主に構成されている。ここでの内視鏡2は、照明光を走査させながら被検体に照射し、被検体からの戻り光を得て接続される本体装置3で得られた被検体像をモニタ4で表示する構成となっている。
【0019】
内視鏡2は、所定の可撓性を備えたチューブ体を主体として構成され、生体内に挿通される細長な挿入部51と、操作部52と、電気ケーブルであるユニバーサルケーブル53と、を有して構成されている。内視鏡2の挿入部51は、先端から順に先端部54と、湾曲部55と、可撓管部56と、を有して構成されている。ここでの内視鏡2は、所謂軟性内視鏡を例示するが、これに限定されることなく、外科用の挿入部51が硬質な硬性内視鏡であってもよい。
【0020】
内視鏡2の操作部52には、挿入部51の湾曲部55を湾曲操作するための湾曲操作ノブ57が回動自在に配設されると共に、各種内視鏡機能のスイッチ類などが設けられている。なお、湾曲操作ノブ57は、湾曲部55を上下方向に湾曲操作するためのUP湾曲操作ノブ57aと、湾曲部55を左右方向に湾曲操作するためのRL湾曲操作ノブ57bと、が重畳するように配設されている。
【0021】
また、挿入部51と操作部52の連結部は、ユーザによる把持部を兼ねる把持部58と、この把持部58および挿入部51の可撓管部56の一端の間に設けられた折れ止め部に配置されて、挿入部51に配設された各種処置具を挿通する処置具チャンネルの開口部となる処置具チャンネル挿通部59と、を有して構成されている。
【0022】
操作部52から延設されたユニバーサルケーブル53は、延出端に本体装置3と着脱自在な内視鏡コネクタ60を有している。この内視鏡コネクタ60は、コイル状のコイルケーブル60aが延設しており、このコイルケーブル60aの延出端に本体装置3と着脱自在な電気コネクタ60bが設けられている。
【0023】
本体装置3は、内視鏡画像を表示するモニタ4と電気的に接続される。なお、内視鏡システム1は、内視鏡2の挿入部51の先端部54から空気および水を噴出する送気送水機能を本体装置3に設けてもよい。
【0024】
図2に示すように、挿入部51の先端部54の先端面54aには、照明レンズ13a,13bにより構成される照明光学系13および検出光学系16aが設けられている。また、挿入部51の内部には、照明光学系13と、基端側から先端側へ挿通され、後述する光源ユニット24からの光を導光し、生体に照明光を照射する光学素子としての光ファイバである照明ファイバ14と、照明ファイバ14の先端側に設けられ、後述するドライバユニット27からの駆動信号に基づき、照明ファイバ14の先端を所望の方向に走査させるアクチュエータを構成する光ファイバ走査用磁場発生器としての光ファイバ走査装置15と、が設けられた光走査ユニット40が搭載されている。このような構成により、光走査ユニット40の照明ファイバ14によって導光された光源ユニット24からの照明光が被写体に照射される。
【0025】
また、挿入部51の内部には、挿入部51の内周に沿って基端側から先端側へ挿通され、被検体からの戻り光を受光する受光部としての検出ファイバ16が設けられている。この検出ファイバ16の先端には、上述の検出光学系16aが配設されている。なお、検出ファイバ16は、少なくとも2本以上のファイババンドルの構成としても良い。内視鏡2の内視鏡コネクタ60が本体装置3に接続された際に、検出ファイバ16は、後述する分波器36に接続される。
【0026】
また、挿入部51の内部には、内視鏡2に関する各種情報を記憶したメモリ19が設けられている。メモリ19は、内視鏡2が本体装置3に接続された際に、図示しない信号線を介して、後述する制御部としてのコントローラ23に接続され、内視鏡2に関する各種情報がコントローラ23によって読み出される。
【0027】
本体装置3は、電源21と、メモリ22と、コントローラ23と、光源ユニット24と、駆動ユニット25と、検出ユニット26とを有して構成されている。光源ユニット24は、3つの光源31a,31b,31cと、合波器32と、を有して構成されている。
【0028】
駆動ユニット25には、上述のドライバユニット27が設けられており、このドライバユニット27によって光ファイバ走査装置15が駆動される。
【0029】
電源21は、図示しない電源スイッチなどの操作に応じて、コントローラ23への電源の供給を制御する。メモリ22には、本体装置3全体の制御を行うための制御プログラムなどが記憶されている。
【0030】
制御部としてのコントローラ23は、電源21から電源が供給されると、メモリ22から制御プログラムを読み出し、光源ユニット24、駆動ユニット25の制御を行うとともに、検出ユニット26で検出された被写体からの戻り光の光強度の解析を行い、得られた被写体像の周囲を所定のアスペクト比の画像としてマスキング処理してモニタ4に表示させる制御を行う。
【0031】
光源ユニット24の光源31a,31b,31cは、コントローラ23の制御に基づき、それぞれ異なる波長帯域の光、例えば、R(赤),G(緑),B(青)の波長帯域の光を合波器32に出射する。合波器32は、光源31a,31b,31cから出射されたR,G,Bの波長帯域の光を合波し、照明ファイバ14に出射する。
【0032】
駆動ユニット25のドライバユニット27は、コントローラ23の制御に基づいて、照明ファイバ14の先端を所望の方向、例えば、楕円螺旋状(スパイラル状)またはラスター状に走査させるための駆動信号を光ファイバ走査装置15に出力する。すなわち、ドライバユニット27は、照明ファイバ14の先端を挿入部51の挿入軸に対して左右方向(X軸方向)および上下方向(Y軸方向)に駆動するように光ファイバ走査装置15へ所定の駆動信号を出力する。
【0033】
こうして、光ファイバ走査装置15は、ドライバユニット27からの駆動信号に基づいて磁場を発生し、照明ファイバ14の先端(自由端)を揺動させ、楕円螺旋状またはラスター状に走査させる。これにより、光源ユニット24から照明ファイバ14に出射された光は、被検体に対して楕円螺旋状(スパイラル状)またはラスター状に順次照射される。なお、照明ファイバ14には、光ファイバ走査装置15からの磁場を受けて揺動させるための、後述する円筒状の永久磁石17が設けられている。
【0034】
検出ファイバ16は、被検体の表面領域で反射された戻り光を受光し、受光した戻り光を分波器36に導光する。分波器36は、例えば、ダイクロイックミラーなどであり、所定の波長帯域で戻り光を分波する。具体的には、分波器36は、検出ファイバ16により導光された戻り光を、R,G,Bの波長帯域の戻り光に分波し、それぞれ検出器37a、37b,37cに出力する。
【0035】
検出器37a、37bおよび37cは、それぞれR,G,Bの波長帯域の戻り光の光強度を検出する。検出器37a、37bおよび37cで検出された光強度の信号は、それぞれA/D変換器38a、38b,38cに出力される。A/D変換器38a〜38cは、それぞれ検出器37a〜37cから出力された光強度の信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、コントローラ23に出力する。
【0036】
コントローラ23は、A/D変換器38a〜38cからのデジタル信号に所定の画像処理を施して被写体像を生成し、モニタ4に表示する。
【0037】
次に、以上のように構成された内視鏡システム1の構成において、以下に、挿入部51の先端部54の内部に設けられた光走査ユニット40の詳細な構成について以下に説明する。
【0038】
図3に示すように、光走査ユニット40は、照明レンズ13a,13bにより構成される照明光学系13と、この照明光学系13を保持する枠体43と、光ファイバ走査装置15と、この光ファイバ走査装置15の基端部分を固定保持すると共に照明ファイバ14が挿通固定される保持部材としてのフェルール41と、光ファイバ走査装置15と共にフェルール41を枠体43に保持する保持体44と、を有して構成されている。なお、光ファイバ走査装置15には、駆動ユニット25のドライバユニット27(
図2参照)からの駆動信号が供給される図示しない配線が接続されている。
【0039】
ここでのフェルール41は、光通信の分野で用いられる部材であり、材質はジルコニア(セラミック)、ニッケルなどが用いられ、照明ファイバ14の外径に対して高精度(例えば、±1μm)での中心孔加工が容易に実現できる。また、フェルール41は、断面正方形を有する四角柱(柱状)であり、その略中心には、照明ファイバ14の径に基づいた中心孔加工が施され、照明ファイバ14が接着剤などにより固定される。中心孔加工は、クリアランス(隙間)を極力小さくし、接着剤層を極力薄くする。なお、フェルール41と照明ファイバ14を接着する接着剤には、粘性の低いものが使用される。
【0040】
本実施の形態の光ファイバ走査装置15は、
図4および
図5に示すように、平面基板のシリコン基板61上に絶縁層62を形成し、この絶縁層62上に駆動コイル63を形成した薄膜コイルチップ50を基本構成とし、
図6および
図7に示すように、複数、ここでは4つの薄膜コイルチップ50が連続的に並設された構成となっている。
【0041】
光ファイバ走査装置15の1つの薄膜コイルチップ50は、シリコン基板61上に絶縁層62を介して渦巻状の形態をした駆動コイル63が形成されており、この駆動コイル63のコイル配線の両端に電極パットである電気接続部64,65が配設されている。即ち、薄膜コイルチップ50は、電気接続部64,65により、給電用の配線接続が可能になっている。ここでのシリコン基板61は、両縁角部分がエッジングなどにより加工されたテーパ61aが形成されている。
【0042】
なお、駆動コイル63は、非導電性樹脂66で覆われ、周囲との電気的絶縁が確保されている。また、電気接続部64,65上の非導電性樹脂66には、コンタクトホール67,68が開口され、配線接続可能な構成となっている。
【0043】
なお、ここでは駆動コイル63のコイル配線の両端に電気接続部64,65を配置した構成としているが、これに限定されることなく、絶縁層62を介した2層配線などのMEMSプロセスを用いることで、電気接続が取り易い位置に電機接続部パッド64,65を形成してもよい。
【0044】
本実施の形態の薄膜コイルチップ50の製造では、先ず、シリコン基板61上に絶縁層62を形成し、駆動コイル63を形成する。なお、駆動コイル63は、低抵抗の金属であり、比較的製造方法が簡易である金、銅などにより形成される。
【0045】
また、駆動コイル63の形成方法は、鍍金成長用の種となる金属薄膜を形成し、光反応樹脂によって樹脂型を形成し、開口部の金属薄膜上にのみ鍍金を成長させる等のMEMSプロセスを用いて作製することが可能である。なお、駆動コイル63は、1層ではなくMEMSプロセスを利用した多層化したコイルを形成することもでき、コイル配線長を長くとることも可能である。
【0046】
非導電性樹脂66は、電気絶縁性を確保でき、シリコン基板61上に容易に形成されるものが好ましく、ポリイミド、エポキシなどのような高電気耐圧樹脂が使用可能である。このような構成により、シリコン基板61上に駆動コイル63を形成した磁場発生器用の薄膜コイルチップ50を製造することができる。この薄膜コイルチップ50を複数用いて磁場発生器としての光ファイバ走査装置15を構成することが可能となる。
【0047】
このように、薄膜コイルチップ50は、MEMSプロセスを用いた駆動コイル63を形成することで、従来のような銅線を楕円状に巻きつけたコイルに比して非常に薄い構成とすることができる。
【0048】
ここで、上述した薄膜コイルチップ50を複数、ここでは4つ備えた光ファイバ走査装置15の構成について以下に説明する。
【0049】
光ファイバ走査装置15は、上述した薄膜コイルチップ50を、
図6および
図7に示すように、4つ連続的に並設した薄膜コイルユニット70を有して構成される。この薄膜コイルユニット70は、非導電性樹脂66が一体形成されて、4つの薄膜コイルチップ50が一体的に連続するように連結されている。
【0050】
以上のように構成された薄膜コイルユニット70は、
図8から
図10に示すように、薄膜コイルチップ50の間が折り曲げられて、断面矩形状(正方形)の筒体に変形される。
【0051】
具体的には、薄膜コイルユニット70は、保持体44に嵌着されたフェルール41の前方側へ突出する先端部分の4つの外側面にシリコン基板61の後方側の表面一部分が接着剤などにより貼り付けられて固定される。このとき、薄膜コイルチップ50を連結している非導電性樹脂66の連結部分66aが基点として折り曲げられる。即ち、薄膜コイルユニット70は、隣接する薄膜コイルチップ50の間の非導電性樹脂66の連結部分66aが略直角に折り曲げられて、シリコン基板61が内側となるように断面正方形の柱体であるフェルール41の外周面に巻き付けるように断面矩形状の筒状となる。
【0052】
なお、薄膜コイルユニット70の折り曲げは、非導電性樹脂66の連結部分66aで行うが、この連結部分66aに折り曲げ位置を簡易的に定めるためにミシン目のような一部への切込みを入れて折り曲げ易くしても良い。さらに、薄膜コイルユニット70を矩形状に折り曲げた際の形状を固定するために接着剤等を使用しても良い。
【0053】
ここでの薄膜コイルチップ50の隣接するシリコン基板61は、薄膜コイルユニット70を断面矩形状の筒状に変形しても、上述したテーパ61aが形成されているため、互いが干渉しないようになっている。なお、シリコン基板61は、異方性エッチングした場合にシリコンの結晶方位の持つ性質を利用して断面がテーパ形状になる。そのために、薄膜コイルユニット70は、断面矩形状の筒状に変形しても、シリコン基板61のテーパ61aによって内側の逃げが形成され、隣接するシリコン基板61が干渉せず、容易に折り曲げることができる構造となる。また、シリコン基板61の分割方法は、ブレードダイシングなどの異方性エッチング以外の方法をとることも可能である。
【0054】
フェルール41に薄膜コイルユニット70を固定させた後に、円筒状の永久磁石17が設けられた照明ファイバ14がフェルール41に接着固定される。このとき、照明ファイバ14の先端部分が4つの薄膜コイルチップ50によって形成された筒状の中空部分に配置される。また、照明ファイバ14の先端中途部に配設された永久磁石17が4つの薄膜コイルチップ50の駆動コイル63の中心位置に合わせられて、照明ファイバ14のフェルール41への固定位置が調整される。
【0055】
即ち、光ファイバ走査装置15は、薄膜コイルユニット70により形成された筒体の断面中心位置に照明ファイバ14が配設される。なお、ここでの永久磁石17は、中心に形成される貫通孔に照明ファイバ14が挿通され、照明ファイバ14の先端中途部分に接着固定されている。
【0056】
以上のように構成された光ファイバ走査装置15は、
図10に示すように、4つの薄膜コイルチップ50がX方向とY方向にそれぞれ対向するように配置される。即ち、永久磁石17に作用する磁力を発生させて照明ファイバ14をX方向に駆動する駆動コイル63が設けられる2つの薄膜コイルチップ50a,50bが対向し、永久磁石17に作用する磁力を発生させて照明ファイバ14をY方向に駆動する駆動コイル63が設けられる2つの薄膜コイルチップ50c,50dが対向するように配置される。
【0057】
なお、駆動コイル63の巻き方向を対向した形で同方向とした場合、各駆動コイル63に電流を流した際にX方向あるいはY方向に1方向の磁場が発生する。また、ここでの薄膜コイルチップ50の駆動コイル63は、1つとしているが、2つあるいはそれ以上に自由に設定することができる。さらに、駆動コイル63の巻き方向を変えて、磁場の発生方向を変更して使用することも可能である。
【0058】
光ファイバ走査装置15は、例えばシリコン基板61のサイズを幅1.2mm、長さ3mm、厚み0.3mmとして作製した場合、1辺が1.6mmの正方形断面を持つ筒状の磁場発生器となる。勿論、シリコン基板61のサイズは、変更が可能で、さらなる小型化が可能である。
【0059】
なお、ここでの各薄膜コイルチップ50は、2つの電気接続部64,65を設けた構成としているが、電気接続部を2層配線化するなどの手段を講じて、各薄膜コイルチップ50間を渡す配線を設け、1つの薄膜コイルチップ50に電気接続部を集約する構成としても良い。
【0060】
このように構成された本実施の形態の光ファイバ走査装置15は、対向する2つの薄膜コイルチップ50a,50bの駆動コイル63に電流を流すと電磁力によって照明ファイバ14に設けられた永久磁石17がX方向に動くため、電流方向を切り替えることで照明ファイバ14がX方向に振動(揺動)する。一方、対向する2つの薄膜コイルチップ50c,50dの駆動コイル63に電流を流すと電磁力によって照明ファイバ14に設けられた永久磁石17がY方向に動くため、電流方向を切り替えることで照明ファイバ14がY方向に振動(揺動)する。
【0061】
このように、光ファイバ走査装置15は、対となる2つの薄膜コイルチップ50a,50bとついとなる2つの薄膜コイルチップ50c,50dのそれぞれの駆動コイル63に電流が流されることで、X方向およびY方向への照明ファイバ14の振動(揺動)を組み合わせて2次元に照明ファイバ14を駆動させることができる。
【0062】
光ファイバ走査装置15は、例えば、X方向への照明ファイバ14の振動(揺動)を高速(例えば、7KHZ程度)にし、Y方向への照明ファイバ14の振動(揺動)を低速(例えば、30HZ)に駆動させればラスタースキャンを実施することができ、X方向およびY方向共に等速で照明ファイバ14を振動(揺動)させて、X方向とY方向の駆動力の位相を変えてスキャンさせればスパイラルスキャンが行うことができる。
【0063】
なお、光ファイバ走査装置15の外周を覆うように、例えば、パーマロイなどの軟磁性材料を設けることで、外方への磁界の漏れを防ぎ、内方の永久磁石17へ作用する磁力を高めるようにしても良い。
【0064】
以上の説明により、本実施形態の光ファイバ走査装置15は、従来の巻線コイル構造に比して、筒状にした4つの薄膜コイルチップ50により、細径および小型で、且つ簡易的な構造となる。その結果、光ファイバ走査装置15が細径化および小型化できるため、この光ファイバ走査装置15が設けられる内視鏡2の挿入部51の細径化にも貢献できる。
【0065】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の走査型内視鏡システムについて
図11および
図12を用いて以下に説明する。
図11は、光走査ユニットの構成を示す側面図、
図12は
図11のXII−XII線に沿った光走査ユニットの構成を示す断面図である。なお、ここでの走査型内視鏡システム1において、光走査型内視鏡2に内蔵される光ファイバ走査装置15の構成は、第1の実施の形態の変形例であり、既述の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
上述の第1の実施形態では、シリコン基板61上に形成した駆動コイル63が光ファイバ走査装置15における外方(外側)となるように4つの薄膜コイルチップ50により断面矩形状の筒状となるように成形した構成を例示したが、4つの薄膜コイルチップ50により形成した筒内の磁場を強めるために、対向する駆動コイル63の離間距離(間隔)が近い方が望ましい。
【0067】
そこで、本実施の形態では、シリコン基板61上に形成した駆動コイル63が光ファイバ走査装置15における内方(内側)となるように4つの薄膜コイルチップ50によって筒状となるように成形している。
【0068】
具体的には、
図12および
図13に示すように、本実施形態の光ファイバ走査装置15では、各薄膜コイルチップ50の駆動コイル63を覆う非導電性樹脂66の表面が内側となるように非導電性樹脂66の連結部分66aが基点として折り曲げられる。そして、光ファイバ走査装置15は、隣接する薄膜コイルチップ50の間の非導電性樹脂66の連結部分66aが略直角に折り曲げられて、非導電性樹脂66の表面が内側となるように断面正方形の柱体であるフェルール41の外周面に巻き付けるように断面矩形状の筒状となる。
【0069】
なお、非導電性樹脂66の表面が内側となるように折り曲げた際には、
図13に示すように、電気接続部64(65)およびコンタクトホール67(68)が内側に配置される。そのため、電気接続部64(65)への電気接続には、貫通配線や配線引き出しのためにフレキシブル基板を接続するなど多様な手法を使用することができ、その手段は問わないものとする。
【0070】
このような構成とすることにより、光ファイバ走査装置15は、第1の実施の形態の構成に比して、シリコン基板61および絶縁層62の厚さだけ、駆動コイル63から中心部への距離が近くなっており、より大きな磁場を得ることができる。
【0071】
なお、第1の実施の形態の駆動コイル63を外方に配置した構成に比して、本実施の形態のように駆動コイル63を内方に配置した構成では、例えば、シリコン基板61の厚みを0.3mmに設定した際には、永久磁石17に作用する磁場を2倍程度上昇させることが可能である。
【0072】
このように構成された光ファイバ走査装置15では、第1の実施の形態と同様に細径で簡易的な構造とすることができ、さらに対向する駆動コイル63の離間距離を近づけることで、小電流で大きな磁場を得ることができる。
【0073】
以上に記載した本実施の形態の光ファイバ走査装置15によれば、駆動コイル63を形成したシリコン基板61を上に非導電性樹脂66で連結し、折り曲げて断面矩形状の筒状に形成することで、簡易的な構造で小型化が可能となり、また、組立が容易、且つスキャナとして高性能な光ファイバ走査装置を実現できる構成となる。
【0074】
なお、上述の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0075】
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。